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第三号議案

二○○○年度運動の基調と重点課題

[一]社会的情勢

(1)自自公連立政府は、圧倒的多数を背景に強行した「学校教育法等一部改正法」、戦争法(新ガイドライン法)に引き続き、昨年の大会以降、憲法調査会を発足に加え、国旗国歌法、盗聴法、労働者派遣法、中央省庁再編関連法、独立行政法人通則法、産業競争強化法を、十分な論議もなく次々に強行成立させ(一部では民主党などの協力を得)、平和主義、国民主権を危うくする悪政を重ねてきました。また、金融不安の解消を口実とした大手銀行への公的支援には、新たに七兆円が追加されることになりました。
 一方、小渕前総理の入院に伴って急遽発足した森内閣は、自由党の分裂によって新 たな自公保の連立内閣となりました。森首相は「神の国」・「国体」発言にあるように戦前の皇国史観と侵略戦争の肯定が信条であり、資質が問われる総理大臣であります。
 大手ゼネコン、銀行のために予算をばらまく政府ではなく、財政赤字を解消しつつ雇用確保、消費税引き下げ、医療費引き下げ、教育費軽減等、福祉、医療、教育を重視し、国民一人一人の安心した生活を目指す政府が望まれます。

(2)「グローバルスタンダード」「規制緩和」という流行語に示されるように新自由主義が社会を覆い尽くそうとしています。そのような流れに、教育も巻き込まれようとしています。文部省と科学技術庁は、二○○一年一月に「教育科学技術省」として統合されます。そして、国立大学の独立行政法人化がいよいよ具体的に検討され始めました。独法化の第一目的は行政改革=予算減らしであり、大学改革とは関係ありません。しかし、「改革」をうたい文句にして「トップダウン式」の大学運営が求められています。また、独法化によって自由度が上がる、研究し易くなるという幻想が振りまかれています。
 社会問題、環境問題がグローバルに深化している状況において、少子化、大衆化、国際化の進む大学においては、益々学問の自由、大学の自治・民主的運営が必要です。
 組合の取り組みの具体化にあたっても、高等教育は国が責任をもって整備すべきこ と、世界でも有数の高い学費、貧弱な高等教育予算の改善、長期的な視野から主体性を伸ばす教育と自由闊達な研究を展開すること等、国民のための大学づくりの観点に立って運動を展開する必要があります。

[二]教職員の生活と権利

(1)恒常的に予算は削減され、技官、事務職員を中心に定員が大幅に削減され、教育・研究において重大な支障が出始めているのに加え、大学の運営自身が機能しなくなりつつあります。医療スタッフを含めて大学のスタッフの増強はもはや一刻の猶予もありません。

(2)大学院重点化により東北大学の予算は若干増えたものの、第九次定員削減とこれに加えた事務職員の削減(一七名)により、教職員の多忙化は深刻さを増してきました。また、本年四月から始まった事務一元化によって、庶務・施設・経理等の業務に混乱が持ちこまれ、事務的業務についての教員の負担増が懸念されています。

(3)さらに「大学改革」による新規業務の拡大、外部資金の増大に伴う経理の「煩雑化」「多様化」などが定員削減とあいまって進行し、慢性的な超過勤務など、深刻な過重労働を生み出しています。一方、定員外職員・パート職員数は一、○○○名を越え、教職員の五分の一に達しています。これら非常勤の職員の待遇は劣悪であり、常勤職員との間の軋轢も懸念されます。一時金交付といった処遇の改善が必要です。

(4)教員の任期制は、二○○○年新たに加齢研の助手に導入する規則改定が行われました。新たな導入に反対し、導入されたポストについて廃止を求める取り組みの強化が必要です。

(5)教務職員の待遇改善については、法人化構想によって国大協の取り組みが停滞しています。定年前一年間の昇格は待遇改善にならず、限界に来ています。とくに全国的にも数が多い東北大学においては、早急に抜本的な解決に踏み切らなければなりません。各部局における合意を得ることが重要になっています。

(6)大学・高等教育に重大な変化をもたらす大学審路線の「大学改革」による「トップダウン」方式の大学運営には強く反対し、大学の自治、学問の自由の擁護など、二一世紀に向けた大学づくりの展望を示す運動が求めれています。また、大学に働く教職員の仕事を正しく評価させ、待遇改善・勤務時間短縮など、教職員の待遇と諸権利を保障させ拡大する取り組みが重要になっています。

(7)なお、今年の秋に実施される総長選挙においては、独法化を柱に教務職員問題、大学運営方式見直し問題を明確に争点として設定する運動を展開します。

[三]たたかいの基調

(1)組合の基本的な目的は、私たちの職場である大学の教育・研究の発展と、それを支える私たちの勤務条件や生活の改善・向上をめざすことにあります。この点では、賃金や労働条件の改善、地位確立等の条件整備を図ることを中心に、要求運動を多面的に発展させることが求められています。
 その運動を進める上で、学内多数派の形成、とりわけ組合員の拡大という観点を重視し取り組みを進めます。

(2)同時に、大学らしい組合運動として、国民のための大学、「いかなる権威からも自由で創造的な大学、人間と地球の未来を創る大学」をめざします。私たちをとりまく逆流する情勢を阻止し、平和や民主主義の理念を共有する国民として多数者を形成する運動を進める必要があります。

[四]重点課題

(1)全ての新入職員に対して組合加入を訴えきり、組合員を増加させること。
(2)国立大学の独立行政法人化に反対する取り組みを学内外に広め、前進させること。
(3)教務職員問題の抜本的解決を実現させること。
(4)病院、看護職員問題を運動化させること。
(5)ユネスコの勧告「高等教育教職員の地位に関する勧告(一九九七・一一)」 「ユネスコ高等教育世界宣言─二一世紀の高等教育 展望と行動─(一九九八・一○)」を学習し普及させること。

[五]たたかいの目標

(1)組織の強化・拡大、及びそれと連動した財政の確立という点から目を離さず、教職員の生活と権利の擁護、学術の中心としての大学の充実・改革・民主化、各職種の地位確立と専門部・対策委員会等の運動の強化、地球環境・平和・民主主義・文化の課題についての取り組みの強化、地域共闘・他団体との共同等の取り組みを進めます。

(2)要求実現をはかるため、交渉機能の充実強化をはかります。総長交渉などの議題については、そのたびに要求項目を支部代表者会議等で集約し、内容の充実をめざします。

(3)組合員のための福利厚生活動の充実、領域の拡大をはかります。また、未組織職場へ異動した組合員に対して教職員共済の利用を可能にしたり、他大学への異動の際には単組間で連絡を取り合うなど、全体として組合員減にならないような体制づくりに取り組みます。

(4)組織強化・拡大の大きな課題として、次代の組合の担い手づくりを強力に推進することが求められています。とりわけ、青年部・婦人部の活動の強化は大切です。また、引き続き事務職員、病院職員の組織拡大も重視して取り組みます。

(5)具体的要求目標は職場討議をへて決議機関で決定します。

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