ホームに戻る

東北大学職員組合ニュース


2001年12月12日号 目 次

総長交渉報告
【1、教職員の待遇改善について】
【2、「再任用を希望する職員を全員雇用すること」について】
【3、「老朽化、狭隘化した施設設備の改善に努めること。特に移転対象地区の施設について、安全確保、改善を行うこと。また、キャンパス整備計画の進展状況について伺いたい」について】
【4、「構成員の合意を基礎とした、自主的・民主的な大学運営を維持発展させること」について】
【5、男女共同参画について】
【6、その他】

日時  2001年12月5日(水)10:30〜11:55
場所  本部事務局一会議室
当局  阿部総長、北村事務局長、浜企画調整官、三浦総務部長、加藤人事課長
組合  大村前委員長、篠原前教文部長、関本委員長、真壁副委員長、木村副委員長、金澤書記長等、計21名


1、教職員の待遇改善について

□<組合>教職員の待遇改善および新再任用については本来ならば人事院勧告前に行う必要があった。

■<総務部長>7月から着任した。交渉が遅れたことをお詫びする。まず私から一括して回答した後に担当から回答し、その後時間の許す範囲で質疑応答ということにしたい。人事院勧告との関係では来年に向けて努力する。

(1)「東北大学の責任者として、教職員の待遇改善を求める上申書を文部科学大臣に提出すること」について

■<総務部長>例年同様今年も文科省に対しては7月の概算要求のヒアリング、人事課長の会議で話した。一方国大協も例年通り8月に大学の要求をとりまとめて人事院、文科省に対して要望した。文科省も7月に人事院に対して要望した。

(2)「大学になじまない『俸給体系の基本的見なおし』に反対すること」について

■<総務部長>今行われている公務員制度改革について詳細は当局も知らず新聞報道に過ぎないが、それでも行政改革推進本部の決定を踏まえた報道だろうが、改革の内容は幹部職員に年俸制を入れること、能力、実績に応じた人事制度にすること、級別定数廃止、能力給制度等について12月中に閣議決定するとのことだ。大学としては必要なら先ほどの要望のように国大協を通じて文科省宛に大学の実情を伝えていく。

(3)「教務職員問題の根本的解決を図ること」について

■<総務部長>概算要求等を行っておりさらに努力したい。具体的には、概算要求を今年は16名の振替で要求した。確定ではないが4名ほど予算要求が通るのではないかという感触がある。ひとりでも多く実現するために今迄通り最大限努力するが、しかし部局の都合もあるので部局長会議や事務的には総務部から各部局への周知徹底で努力する。なお、国大協が最近助手に関するアンケートを出したのでそれについても取り組む。

(4)「技術職員の上位級定数の20%確保をめざすこと。とくに、『団塊』世代の6級昇格については実態を把握して世代間の不公平を解消すること」について

■<総務部長>定員増については文科省のヒアリングの際にお願いしている。国大協も毎年文科省に提出する要望書の中に盛り込んでいる。今後とも努力したい。

(5)「事務職員のいわゆる『サービス残業』を解消すること。『水曜ノー残業デー』を徹底すること」について

■<総務部長>サービス残業があることは認識している。一方で事務の多様化、多忙化等もあるので、OA機器等も活用して効率化を図る。これからの定員配置や業務内容改善等を通して趣旨を徹底していきたい。

(6)「医療職員の定員増に努力すること」について

■<総務部長>当然本学は基幹病院として高度な手術、治療等をすることが目的だ。現在行っている平成14年度の概算要求では看護婦について76名要求している。他に臨床工学技師、視能訓練士等についても要求している。状況は厳しく平成13年度に実現したのは3名に留まったが今後とも努力していきたい。国大協も要望書に医療職員に関する要望も盛り込んでいる。

(7)「図書館職員の待遇改善を図ること」について

■<総務部長>当然図書館職員の待遇改善についても引き続き努力していきたい。

(8)「長期的定員外職員を早急に定員化すること」について

■<総務部長>試験制度があるので試験対象職種について定員化できないことはやむをえない。看護婦等の資格取得者の採用については欠員が生じたら当然適任者を定員内に採用していく。

(9)「パート職員にボーナスを支給すること」について

■<総務部長>パート職員すなわち時間雇用職員については期末手当相当額の支給は残念ながら現行上はできない。

□<組合>俸給体系についてだが、行革推進本部が提起している公務員制度改革は我々にとってはとんでもないこと。基本的な内容は、退職金制度の大幅な改悪であり我々の試算によれば一人およそ1000万円の退職金減額になる。またエリート最優先の俸給体系になる。今多くの大学を支えている教職員にとっては有害無益の改悪だ。あらためて東北大学としてどういう害や影響があるかきちんと吟味、検討した上で態度を示してほしい。組合としては公務員制度改革なるものについては強く反対するということを言っておく。

■<総務部長>わかった。

□<組合>教務職員の問題については総長自身非常に心を痛めており前々回の会見では「仙台弁で言うといずい」というような表現を使っていることは記憶に新しいと思う。矛盾や問題点については深く認識していると思う。今や教務職員数は全国の大学でワースト1位だ。

■<総長>大分前からワースト。

□<組合> この間文科省なり総務庁がいろいろ改善の手立てをとり特例措置として10年間の期間を設けたというプロセスがあったが、残念ながら、それが終了してしまうという状況の中で、今や東北大学では助手になっても60歳で無惨にも首を切られ自己都合退職ということになりそれぞれ500万円もの損害を与えてしまう。そのことについては総長交渉その他で口を酸っぱくして言ってきた。先程部長が16名中4名通る感触と言ったが、現実には60歳の定年であればなんら待遇改善にならない。そのことを百も承知でこのまま見過ごすのは東北大学の総長としてきわめて重大だ。このままでは私自身も再来年の三月に退職することになるが総長自身としては出るところに出て訴えるなら訴えてみよということは思っていないだろうが、抵抗手段としてはそういう道筋しかないような極めて緊迫した状況にあるということを言っておきたい。

■<総長>教務職員問題は東北大学だけがダントツに悪いというのはその通りだ。毎回話していることだが、私は工学部長の時に非常に驚き、極力概算要求しようとしてスタートした。しかし予算定員外の教務職員が非常にたくさんいるという問題がありそれについては概算要求できなかった。学部長の時にはいくらがんばってもできず、総長になっていろいろ調べてみると、とにかく本部、文科省も巻き込んだいろんなやりとりがあり30年経過している。どうして東北大学だけこうなのかわからないが、今の事務局の無理とも言える努力によって各部局と本部の間の関係だけはようやくすっきりした。現在必ずしも思う通りに進まないのは部局間の貸し借りのようなものがわからなくなってきたことによる。私の任期もあと一年をきったので任期中になんとかしたい。ワーキンググループを作り早急に部局間をなんとかすっきりさせたい。これが今私が信条としているところだ。それから国大協の方は大変申し訳ないが全く熱心にやっていない。第七常置委員長が代わり今の第七常置委員長に私が催促をしたところ彼は一生懸命にやると言ったが、そのスタートがアンケートなので少し時間がかかる。アンケートから全部やり直すということだ。これは助手問題全体とのからみになる。組合の意見は十分わかっているのでその方向で知恵を出してやっていきたい。

□<組合>看護婦をしており病院の実情を少し話したい。大学病院は特定機能病院として高度先進医療を提供している。大学病院として治療の困難な疾患等も治療してきた大きな役割がある。そうした医療は質の高い看護活動を前提として初めて実現しうるものと看護婦は自負している。去年の秋に加齢研統合、新病等移転、外来再編が行われ、緩和ケア病棟、重症病棟が新設されたが、増員はなく各科の看護婦を減らして充てられたので、結局病棟の看護婦が少なくなった。その中で安全確保の対策が義務づけられて、マニュアルづくりや日常の注意をしている。何よりも問題なのは一人夜勤の科がまだあることだ。一人夜勤では何かあった時対応できず相談すらできない。高度先進医療をしている大学病院で一人夜勤というのはとても危険なことだ。これで事故を起こすなというのは矛盾している。誰でも安心して入院できるような大学病院にしたい。人が大事なのだということをもっともっと上の方に言ってほしい。看護婦はみんな毎日疲れている。一人夜勤をしているのはリハビリ病棟、西9階病棟。夜勤すると心拍がカタカタなっているのがわかる。それをみんな経験している。それだけつらい思いをして働いているということを知ってほしい。

□<組合>大学病院でメッセンジャーをしておりメッセンジャー業務の実情を説明する。私は53年3月にパートの夜間看護助手として採用されたがその後3年期限付き雇用でクビを切られた。再雇用され60年からパートで物品メッセンジャーとして19年働いてきた。H5年には19人から13人に減らされ仕事の量も多くなった。H12年に時間雇用の臨時用務員となり約2万円給料が減ったが老後を思い我慢して働いてきた。11月8日、総務課長からH13年12月25日より民営化されるので協力してほしい、4月からは再雇用されないと言われた。私達は1年契約だが毎年再雇用されてきたので64歳までは再雇用されると思い老後の計画を立ててきた。大学病院で働いて24年だが、13人でようやく軌道に乗ったときに2回目のクビというのはあまりにひどいではないか。法人化されても働き続けられるようにお願いする。

■<総務部長>話はわかった。具体的には回答できないが、病院の方と相談する。

■<総長>日本の大学病院の看護婦はものすごく少ないということは認識している。東京医科歯科大学の学長が、法人化問題の話が先にいっているために文科省もその前に大改善するのはほとんどあきらめているようだと推測している。しかしいずれにしても現在のような人数ではとんでもないことははっきりしている。それはなんとかするべく努力したい。各論についてはあとで事務局に調べてもらう。

□<組合>宜しくお願いする。


2、「再任用を希望する職員を全員雇用すること」について

■<総務部長>知っての通り来年4月から実施される。10月に文科省で人事担当課長会議が行われたので、それを受けて本学でも部局長、各部局の事務長等の会議で説明した。残る問題はそれをどのように運用するかという点であり会議等で検討中だ。早急に結論を得たい。いずれにしても予算定員の振替となり定員削減もあるので、全員採用は困難だ。あまり多くはないということにならざるをえないだろう。

□<組合>組合でも来年、再来年、その次までの退職者にアンケートをとった。設問はいろいろあるが、希望するか希望しないかということでは70%の人が希望すると回答している。定員を使うということになると、それだけの人が再任用できないということになると大変なことになる。工夫が必要であり事務局と組合の方でこれから協議していきたい。

■<総務部長>今日も午前中に運用等含めてどういう条件が必要かについて検討していたが、その条件等について提示した上で具体的に聞くということになるだろう。再任用を希望する人がいたら教えてほしい。

□<組合>希望があるかどうかという調査の方法だが、実は多元研である教務職員に対して、機械工場もしくは経理関係の仕事しかないがそれでも希望するかという聞き方がされ、本人はそれならば辞退すると答えたという。その教務職員は教室系技官だが、そういう聞き方は希望者を少なくするために誘導するものだ。そういうことのないようにしてほしい。まだ先生方もどういうところで働いてもらうか議論していないのに事務方がそういうことで絞り込みをするというのは変だ。ぜひ改めてほしい。

3、「老朽化、狭隘化した施設設備の改善に努めること。特に移転対象地区の施設について、安全確保、改善を行うこと。また、キャンパス整備計画の進展状況について伺いたい」について

<老朽化について>

■<総務部長>これまでも施設整備費、営繕工事費で対応している。限られたパイの中でできるだけの努力をしてきた。片平、雨宮については移転対象地区なので、基本的で大きな工事はできないが、しかしそうは言っても安全確保上や研究教育上必要なところでの整備はしている。例えば具体的にはH12年度の予算では約4億円の改修費用を注ぎ込んでいる。その他に今年の9月に、キャンパス問題懇談会で移転対象である片平、雨宮の暫定整備計画が策定された。それに伴い3年間重点的に配分することになり今年は約1億5千万円ほどの補助を予定している。また耐震関係の調査を行っており19棟中15棟については済んだ。

<キャンパス整備計画の進捗状況について>

■<企画調整官>H10年3月に移転整備を行うにあたってのガイドラインをまとめ、H11年10月にはこのガイドラインをベースにしてより体系的に展開した新キャンパス整備大綱を取りまとめた。この大綱に基づいて移転整備計画の個別事項ごとに鋭意検討中だ。また大学の移転統合の方針をいっそう明確にするとともに、移転自体は大学の発展ひいては学都仙台の都市再生に著しく寄与するものであることを広く訴えるために、本年9月の評議会においてキャンパス移転推進本部を設置した。

<青葉山訴訟の状況について>

■<企画調整官>H8年8月末、宮城県から県有地を使用している仙台カントリークラブに対してH9年3月末日以降この県有地の賃貸借契約を更新しない旨の通告を行った。カントリー側はこの返還に応じず、県は民事調停を申し立てた。この調停は不成立に終わった。宮城県はH9年11月18日に仙台地方裁判所に民事訴訟を提起した。以降H13年3までに19回の口頭弁論が行われ19回めの口頭弁論が終了した時、県は裁判の終了を要請したがカントリー側は依然として主張を行いたいということを申し述べた。裁判所は今後の進め方を論議するための弁論準備手続きの開催を決定した。第一回弁論準備手続きが5月11日に開かれ、この準備手続きで土地の所有権の争いであること、立証責任はカントリー側にあることを確認してH14年2月20日までの間にさらに6回の準備手続きを開催することが決定された。これまで5回の弁論準備手続きが行われている。和解の可能性について裁判長からカントリー側に打診されたが、カントリー側としては自己の主張を終えた段階で検討すると回答した。大学は宮城県に対して裁判の早期決着を図るよう要請中だ。

■<総長>早期移転が実現しないことには老朽化等の問題は解決せず、裁判中は早期決着の要請などはしてはいけないと考えていたが、最近は仙台市民の中から、被害者は東北大学なのだからどんどん発言すべきだという声もあってキャンパス移転推進本部を立ち上げた。それで推進本部長つまり農学部長が県知事、市長、有力者等に早期移転の運動を始めているところだ。もちろんあまり派手にはできないが、移転の実現を待っていてもいけないので、早期移転が実現するまでの対策として、各部局から総長裁量経費の使い方について協力してもらっている。今は営繕費用も総長裁量経費に入っているので、他の部局が何も修理できなくなることのないギリギリのところまで全部片平、雨宮に使えるよう各部局に理解してもらっている。


4、「構成員の合意を基礎とした、自主的・民主的な大学運営を維持発展させること」について

■<総務部長>調査検討会議中間報告についてパブリックコメントを作成し、国大協総会に向けても意見を出した。中身については知っていると思う。また文科省より構造改革の方針つまりいわゆる再編統合、法人化に関連しての経営手法、評価等の方針が出た。多面的な問題があるが評価の話にウェートをおいて委員会の方では審議されている。大学の全体の意思決定については部局長会議と評議会で行う。東北大学は法人化問題について検討委員会を設置して検討している。事務方も検討委員会をつくり検討している。新聞報道ではh16年4月に法人化されるとの情報もある。本学の検討委員会でパブリックコメントを作成し提出した。本学としては概ね大学にふさわしい内容だと思うがいろいろな点でまだまだ検討の余地があるという評価だ。

□<組合>総長は、国大協の設置形態検討特別委員会、調査検討会議の組織業務委員会等いろいろ忙しくて我々との会見に応じられないということだったと思うが、その間中間報告が出されて我々の方からはそれについても含めて質問したい。

■<総長>遅れたのは事務のいる前でなんだがこれは私がわるい。去年は催促したが今年は催促しなかった。私の悪い点は催促しなかった点だ。

□<組合>組合としては国大協が先に出した枠組みも今回の調査検討会議中間報告も独立行政法人通則法とほとんど同じ内容だと考えている。国大協自身が通則法に反対と言っていたのにほとんど同じではないかと。組合は国大協総会にも総長にも調査検討会議にも意見書を出した。国大協が中間報告に対して意見書をまとめた中の第一番目にある総括的論点の中で財政的基盤の問題が上げられている。該当箇所を読み上げるか。

■<総務部長>まず質問を受けた上で総長からは総括的な回答をする。それがこの交渉のルールだと了解している。

■<総長>読み上げるのではなく一番心配に思っていることをしぼって質問してほしい。

□<組合>国大協がまず最初に財政的基盤について述べているということはこれについて危ういと国大協自身が考えているということだろう。総長は財政的基盤を確立して少なくとも今と同額のものを確保できると考えているのか。もし確保できないと考えるのならば、これはもう話はなかったということにしてくれというふうに発言してほしいというのが我々の立場だ。

■<総長>まず中間報告が通則法そのものであるかどうかという点については、国大協の99人の学長のうち最後は一人だけがそう言っており、あとは独立行政法人通則法とは相当違ったものだということで一定の評価をした上で、但し、と言っている。但しと言っているのはほとんど、組合が言っていることと共通なことがたくさんある。心配しているところはほとんど同じであり財政のことは第一常置委員会でも一番大切でありながら一番悩ましいところだ。なぜ独立行政法人通則法から完全に抜けきれていないのか、最後まで中間報告に対して評価しない学長が一人いたがその学長は少なくとも目標、評価から財政までのところが独立行政法人の影響を受け過ぎているということだ。そのことは他の学長もかなり異口同音に心配しているところだが評価していると述べているだけのことだ。一番悩ましいのは結局その運営費交付金をなくしては国が財政負担する根拠がなくなるというところだ。独立行政法人を全く100%離れて運営費交付金に相当するものも大学セクターで勝手に考えなさいというのは一番冷たい考え方だ。国大協は独立行政法人の制度を利用してできるだけ独立行政法人から離れたものを作ろうとしている。そこが外れるなら独立行政法人の制度を利用することに何のメリットもないということではないか。

□<組合>財務省は国立大学の予算を減らす方針だと明確に言っている。

■<総長>予算を減らすと言う人は小泉さんを含めて山ほどいる。今後とも半永久的に続く闘争だ。今のところはなんとか留まっている。基盤校費の問題についても同様のことが言えるだろう。

■<事務局長>傾向的に政府には財政再建の問題があり財務省はその立場での意見だろう。財務省には財務省の論理があり、文科省には文科省の、大学には大学の論理がある。

□<組合>法人化に伴う問題としてたとえば法人化に際して定員外職員を継続雇用しない等という問題があるのではないか。

■<総長>文科省も他の省も大学の定員問題について一生懸命聞く姿勢がないのが実態だ。

□<組合>組合はこの間中間報告等について検討してきた。中間報告等で言われているのは採算ばかりだ。技術至上主義、金儲けの論理だけが強調されている。総長に経営手腕を要求するなどということが出てくるし、また、そのために大学運営に有識者を入れるのだろう。目先の成果主義だ。国大協の意見書は中間報告に対してそういう観点では反対していないのではないか。この方向では目先の利益だけを追う研究者を育てることになるのではないか。大学の将来を懸念せざるを得ない。総長はこのことについてどう考えるか。調査検討会議の最終報告が来年3月に出るが、このような将来の高等教育の根本に関わる問題で拙速はさけるべきだ。東北大学としては今後どう審議しようとし、また目標をどのように考えているのか。

■<総長>パブリックコメントが最終的にどう取り扱われるのかという問題については、パブリックコメントは文科省に対して出しているものであり文科省の連絡調整委員がそれをどうするのかはわからない。短期的成果主義がいいと思っている国立大学の学長は一人もいない。国大協会長がIDE「現代の高等教育」誌巻頭言で述べていたように妥協の産物であり、いろんなところにフラストレーションを与えている。もちろんそれが大学の役割であるとは思っていない。独立行政法人通則法がまずいということ、成果主義の闘争に巻き込むことの問題については組合との間にディベートするということは全くない。自民党の文教委員会ですら短期的で金になるものを追求するのはまずいと考えている。中間報告にはたしかに弱いところがあるが、その弱さは国立大学がいかに実情以上に批判されているかということの反映だ。この批判の中で国立大学の立場を理解してもらおうとすればするほど言い方が弱くなる。その意味で妥協の産物だと思う。

■<総務部長>新聞報道に言うように来年3月に結論が出るとすれば時間がない。

□<組合>法人化は全教職員にとって重大問題だ。全教職員に対して十分な情報を提供するべきだ。

□<組合>この間の動きの中で一番心配なのは、国立大学が生き残り的考え方になっていることだ。東北大学は重点化が進んだ大学でありそれも一つの成果だが、いわゆる地方大学の中での生き残り作戦の動きに対して、国大協として国の高等教育のあり方について学者としての英知の結集を図るべきなのに、生き残りという考えに終止しているのは残念なことだ。東北大学は地方大学の輪の中に入っていって知恵をしぼることはできないのか。国大協は今後の50年の大学のあり方を変えるのだからその点で知恵をしぼるべきではないか。

■<総長>非常に本質的な発言だ。国大協は単一であるかのように思われているが、たしかに私大から見たら単一だが、内部ではものすごく違う。私は、国大協は高等教育、学術研究の維持・向上だけを考えればいいと言っているのだが、個々の大学ごとにたとえば教員養成等それぞれに強調したい面があり国大協としてまとまることは難しい。私は少なくとも国大協は高等教育、学術研究の維持・向上だけでは責任を果たすべきだと考えて発言している。しかし現状では法人化問題等に振り回されていてそれができていない。

□<組合>このままでは若い世代の教員が大学運営や国大協の御都合主義にばかばかしくなるのは目に見えている。それは将来の大学運営にとって由々しきことではないか。

■<総長>その通りだ。東北大学としてはどんどん自分達で国立大学の1つとしての東北大学のあり方についてビジョンを出してほしいと私は委員会に要望している。国大協は難しい。上に行けば行くほど平準化されてしまう。東北地区の大学への働きかけだが、個々の大学でそれぞれ長期構想を議論しており、どこまでしゃしゃりでていいかという問題がある。これまでのところ全体をまとめるようなことはしていない。

□<組合>中間報告では技術組織の問題については非常に希薄でありほとんど述べられていない。妥協の産物でこうした記述が少なくなっているというのは納得しがたい。

■<総長>技術職員も看護職員も事務職員も全て中間報告ではあまり述べられていないが、それは独立行政法人の仕組みが全てトップである理事長、独立行政法人の長に集権するような性格になっており、技術職員等のことはその中で決めるべきとされるからであり教授会についても同様だ。私はそのようなトップダウンのやり方は大学にあわないと言っているが、これからも別な面でもそのことを発言していきたい。

□<組合>総長は成果主義の闘争に巻き込むことが悪いと言う点では組合とディベートする対立はないし、また財政についても少なくなっていいとは考えていないし、大学人は皆その点で同じ意見だということであり、それはありがたい発言だ。一方考えとしてはそうであっても一旦成文化されるとその成文化されたものが議論の出発点になるというのも事実だろう。成文化されたものの中にその見地を盛り込むようにお願いする。
 そもそもこの法人化問題は国の財政問題、公務員定員削減からきている。その点で非常勤職員やパート職員の身分の継承といった問題が国大協の中で全く議論されていないのは由々しいことだ。総長がかつて工学部の中でリーダーシップをとったようにこの面でも力を発揮してほしい。
 今回の日程の問題だが、やはり四月に申し入れた交渉が十二月になるというのは非常にまずいことだ。どこに責任があるのかも含めて考えてほしい。現在は変革期であり組合と総長が二度、三度と話し合うようにしてもらわないと困る。

■<総長>三番目の問題についてはあとで事務局によく聞く。二番目の問題についてはその通りだ。文科省についてはこの間姿勢が変わってきており少なくとも遠山文科大臣はそんなことで法人化するつもりはないと言っている。しかし他の省はまだ違う。

□<組合>今、国立大学の将来を決めるターニングポイントだ。国立大学の将来的にあるべき姿、それに東北大学の個性もあわせて取り組んでほしい。


5、男女共同参画について

(1)「男女共同参画の推進については女性教官だけを検討対象とするのではなく、大学全体の教職員について検討し、改善を図ること」について

■<総務部長>当然、教官だけが対象なのではない。東北大学でも今年四月に男女共同参画委員会が活動を始めたが構成は男女半々でありメンバーには職員も入っている。広報活動や相談窓口等の具体化を進めているところだ。

(2)「採用や昇級昇格等における男女間格差の解消にむけて引き続き努力すること」について

■<総務部長>当然今までも適任者がいれば昇任させてきている。さらに努力していきたい。国大協がアンケートに取り組んでおり東北大学としても追跡調査を行う。男女差別の解消については積極的に進めている。


6、その他

(1)「厚生施設の改善を行うこと」について

■<総務部長>食堂の昼の混雑については当然承知している。席数が少ない問題があり生協で弁当を用意する等の対応をしているところだ。大学として文科省に概算要求するということも考えている。東北大学は2007年に100周年を迎えるが100周年記念の建造物を作るという考えも当然ある。その中に厚生施設を作るということも考えている。

(2)「組合に学内LANへの接続を認めること。東北大学ホームページ中、学内に公開されている法人化関連ページについて早急に組合からのアクセスを可能にすること」について

■<総務部長>東北大学の内規に基づいており現時点では無理だが関係部署で検討したい。

□<組合>組合も東北大学を少しでも良くしたいと考えている。今後とも定期的に総長交渉をもってほしい。


発行:東北大学職員組合教育宣伝部


ホームに戻る