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東北大学職員組合は2001年5月14日、東北大学総長、評議員を始め、各部局の教授層にあてて以下の文書を送付しました。
各位

 日頃より、東北大学の発展、教育研究条件の改善・向上にご尽力されておられることに敬意を表します。
 さて、職員組合は、国立大学の独立行政法人化をめぐる緊迫した情勢のもと、別添の通り、「このまま通則法に基づく法人化に進んでよいのでしょうか?! この1ヶ月が山場、もういちど冷静な判断を求めます」を作成いたしました。御一読いただけますようお願いいたします。

2001年5月14日

東北大学職員組合
〒980-8577 仙台市青葉区片平2丁目1-1
内線:片平5029,3349 TEL:022-227-8888 FAX:022-227-0671
e-mail:info@tohokudai-kumiai.org


このまま通則法に基づく法人化に進んでよいのでしょうか?!
この1ヶ月が山場、もういちど冷静な判断を求めます

東北大学職員組合

 国立大学の独立行政法人化をめぐる情勢がいよいよ緊迫してきました。5月21日に国大協の設置形態検討特別委員会が「中間まとめ案」を作成し、6月12・13日の国大協総会で「中間まとめ」を得る運びといわれています。その後、文部科学省の調査検討会議でも夏から秋頃をめどに「中間報告」を出し、来年3月までには制度設計を終えてしまう予定と伝えられています。
 いうまでもなく独法化は大学の設置形態を大きく変えるばかりでなく、教職員一人一人の身分や待遇に大きな影響を与えます。ひとつの「流れ」ができてしまっていることは否めませんが、まだ独立行政法人への移行が決まったわけではありません。国大協が首を縦に振らなければ、状況は大きく変わります。いまいちど独法化とは何なのかを冷静に考えてみるべきではないでしょうか。
 ここでは、最近、明らかとなってきた特徴的な問題点にしぼって私たちが得た情報をお知らせします。みなさまの議論のお役に立てれば幸いです。

1. 独法化した機関の嘆き

 この4月より、多くの国立研究機関が独立行政法人に移行しました。まだ一月を経過したばかりですが、早くも「こんなはずじゃなかった」という声が聞こえてきます。
 まず、独立行政法人は「中期計画」を策定することになるわけですが、独立行政法人に移行した研究機関では、そこに「5年間で10%の経費削減」を盛り込むことを強要されているといいます。内訳は毎年1%の経費削減と1%の収入増によって達成するのだといいます。このことにも独法化の本質のひとつが経費削減であることがはっきりと表れています。
 また、ある独立行政法人の理事長は、すべてが行革本部の指示に従う格好になっていることを評して「まったくの従属機関」になったと嘆いています。一方、組織外からの理事や監事は天下りポストでしかも高給を支払うことになったということです。費目管理がなくなっても人件費と他の運営費は厳格に区別されてきますので、全体の収入増があっても経費削減によって人件費が確実に減ることになります。そうすると、平均的な給与水準が下がることは容易に想像できます。

2.独法化で国際協同研究はどうなる?

 国立大学は、大学間協定を含め多くの学術協定を結んで、国際的な協同研究を精力的に進めています。しかし、大学が独立行政法人となることで、国際共同研究が円滑に行われない恐れのあることが明らかになっています。たとえば、この4月から独立行政法人となった国立試験研究機関は、諸外国と締結している科学技術協力協定に基づく実施取決めが失効するという事態に直面しています。
 外務省国際科学協力室が各省の国際協力関係担当および各国駐在日本大使館宛に送るために作成した「独法化についての各国政府に通知する電信案」には次のようにあります。「独法はもはや政府機関ではなく、政府と異なる独立の法人格を有する機関(each IAI has its own independent judicial personality)であり、また、その活動が科技協定等に従って行われることを政府として担保することができないことから、独法が行う協力活動は科技協定等に基づく活動(activities under the Agreement)として扱うことはできない」。そのため「(i)独法化される政府機関が実施取決めの締結主体となっている場合については、当該政府機関は独法化以降は政府機関たる地位を失うので、政府機関を当事者とすることを前提としている当該実施取決めはその存在の基盤を失い、終了する。(ii)独法化される政府機関が実施取決めの締結主体になっていなくとも、主務省庁が締結主体となっている実施取決め上の協力活動を実質的に担っている場合については、もしその独法化により主務省庁が当該実施取決め上の義務を果たすことができなくなるのであれば、当該実施取決めは終了させる。」
 国立大学の独立行政法人化の是非をめぐる議論が、このような重大な事態を予想したり、それを織り込んだりしてなされてきたことはありません。国際共同研究が危機にさらされ、大学の使命を果たせなくなるような独法化の危険性を承知しながら、文部科学省は「国際化時代に対応する」優れた研究を行うことを大学に期待しているのでしょうか。
*関連ホームページ
  http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/010417gaimusyou.html
  http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/010419sosikidu.htm

3.通則法を露骨に適用した大学法人化案あらわる−なぜか経済産業省官僚が公表−

 最近、経済産業省の官僚グループが、「国立大学法人化法案」なるものをまとめました。「独立行政法人通則法をベースに、大学自治・教育機能等に着目して幾点の修正を加えた」としていますが、これは通則法の露骨な適用がその本質といえます。たとえば、次の通りです。
(1)管理運営組織
 法案では、法人の最高意思決定機関として、産業界・地方自治体・その他学外有識者(以上の比率が過半数ないし三分の一)と学長等学内の代表者よりなる運営会議を置くとしています。一方、評議会も教授会もその名称すら見あたりません。大学自治を否定して、外部からコントロールしようとする仕組みといわざるをえません。
(2)中期目標と中期計画
 中期目標は文部科学大臣が大学横断的に示し、それに基づき各大学が中期計画を立てるとしています。法案の趣旨を説明した文書の中では、中期目標は「大学活動に関連する他の国家政策目標との整合性に十分配慮する」としており、大学を国家目標に従属させようという意図が明確です。しかも大学が作成した中期計画案は文科相との協議を経ることになっており、事実上自主的な決定が不可能になっています。
 なぜ今頃、しかも経産省官僚がこのような案を公表したのか。いろいろ推測ができます。たとえば、文部科学省の調査検討会議での議論が「なまぬるい」として牽制しようとしている、あるいは、極端な案を示して「落としどころ」をより通則法に近い地点に誘導しようとしている、などなど。いずれにしろ、通則法に基づく大学法人化が、研究教育の荒廃と大学の国家統制を導くということをこれほど明快に教えてくれるものはありません。通則法に基づく法人化への幻想を打ち砕くために関連ホームページより案文のご一読をおすすめします。
*関連ホームページ
 http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Club/9154/houjinho-keisan.html
 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/010419sosikidu.htm


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