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法人移行に際しての非常勤職員の雇用継承および待遇に関する要望書

東北大学総長
吉本高志 殿

2002年11月22日
東北大学職員組合    
執行委員長 高橋 満

 大学・高等教育の充実と教職員の待遇改善・地位確立のために日頃からご尽力されていることに対して心から敬意を表するものである。

 東北大学職員組合は、「独立行政法人通則法」に基づく大学の「法人化」はもとより、「国立大学等の独立行政法人化に関する調査検討会議」が2002年3月26日に発表した「新しい「国立大学法人」像について」による大学の「法人化」についても反対であるが、法人化される場合について必要な意見を述べるのは当然であると考えている。

 さて、10月13日に評議会にて確認された東北大学制度検討委員会の中間報告においては、「法人化時点で東北大学の常勤職員である者は、本人の意思に反しない限り、所要の法律によって、国立大学法人東北大学の職員として継承する」とされている。常勤職員の雇用の継承自体は当然であるが、もし「非常勤職員である者は継承しない」ということならば重大である。

 2002年7月1日現在、東北大学には日々雇用職員275名、時間雇用職員724名が働いている。恒常的な業務に継続して就き、東北大学の教育・研究・医療を支える基幹的業務を担っている非常勤職員、いわば定員削減によって減らされた定員の業務を責任をもって担っている非常勤職員は多く存在する。人事院東北事務局長も、今年6月の全大教東北地区協議会との交渉の際に東北大学の非常勤職員数を見て「定員削減をしている意味がない」と驚きの声を上げていたが、このことからもそれは明らかである。今年の人事院勧告の別紙第3の報告(6ウ(イ))においても、「非常勤職員に関しては、現在まで十分な制度的整備がなされておらず、非常勤職員が、常勤職員とほぼ同様の勤務実態を有しながら、定員等の都合で非常勤として採用されるといった運用が見られるところである」という事実認識がされている。組合はもとよりその立場で、長年にわたって非常勤職員の定員化と待遇改善を要求してきたが、こうした人事院の事実認識は、それを含め多くの組合の長年の主張の上にたつものである。

 「現在まで十分な制度的整備がなされておらず」という点についても、1980年には文部省が定員外職員問題の抜本的解決は定員化しかないことを言明しており、政府・人事院・大学がそのように認識しているにも拘わらず、当面の措置として2級4号俸の頭打ち解消を実施して後、遅々として進んでいないという問題である。いまなお41年前の閣議決定「定員外職員の常勤化の防止」や人事院規則に拘束され、非常勤職員と定員内職員との待遇格差はむしろ拡大している。

 端的な例として、1980年に日々雇用職員の3年期限付き採用とともに導入された時間雇用職員は、実態として東北大学の恒常的業務に長期にわたって就いている場合にも、1年ごとの更新という雇用不安のもとにおかれ、時間給の頭打ち、ボーナスなし、福利厚生における劣悪な条件等を余儀なくされている。中には、異動のある定員内職員よりもベテランとなり仕事を任せられている時間雇用職員も少なくなく、20年もの間勤続している時間雇用職員もいる。

 こうした非常勤職員は、本人の意思に反しない限り、法人の職員として当然に雇用継承されるべきである。もちろん、法人への継承にあたって待遇の切り下げがあってはならないことは言うまでもないし、労働法の均等待遇原則・同一労働同一賃金原則は遵守されるべきである。

 東北大学職員組合は、現在および法人移行後の非常勤職員について任用権限を有する総長に、法人移行に際しての非常勤職員の雇用継承および待遇について東北大学として責任をもって方策を講じるよう、以下の通り要望するものである。

  1. 東北大学に働く非常勤職員は、本人の意思に反しない限り、法人の職員として雇用継承すること。
  2. 非常勤職員の雇用継承にあたっては、現在の待遇を引き下げないこと。
  3. 実態として東北大学の恒常的業務に長期にわたって就いている非常勤職員は、法人の正規常勤職員として雇用すること。また、現に恒常的業務に就いている職員は、本人の意思に反しない限り原則として次年度も雇用し、法人化前に雇用を打ち切ったりしないこと。
  4. 所定労働時間の短い職員として雇用する場合には、労働法の均等待遇原則・同一労働同一賃金原則に基づいて差別のない雇用をすること。
  5. 恒常的な業務に継続して就いている非常勤職員を法人の必要人員とみなして、外注や業務委託をするのではなく、雇用のために必要な財源を確保すること。

以上


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