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団体交渉議事録2005年11月9日

2005年11月9日(水)15:30-16:30
本部別館第3会議室

要求項目

  1. 教職員の一時金を、本年12月期から0.1ヶ月引き上げ、年4.5ヶ月とすること。
  2. 寒冷地手当を、2003年度以前の状態に戻すこと。
  3. 賃金をどうするかは、安易に人勧に準拠するのでなく、優れた人材を確保するためにはどうあるべきかを大学が主体的に判断して、組合に提示すること。
  4. 准職員について、給与を月給方式とし、昇給速度を正規職員と同等にすること。退職手当を正職員と同等の基準で支給すること。
  5. 時間雇用職員に対して、勤務時間・勤続期間に応じたボーナス・退職手当を支給すること。

■職員課 これから団体交渉を始める。組合からの申し入れによる交渉なので、まず組合から発言いただきたい。

■組合 組合が提出した要求項目について説明する。10/3の懇談で賃金問題について若干の意見交換をしたが、今回の交渉では具体的な要求として数字を掲げて出した。また今回の要求は今年度に関する諸要求であり、来年度以降のことについては基本的には触れていない。来年度以降のことについてはむしろ大学側から出されるべきことだろうと考えている。それでは今回の要求とその根拠について説明する。

1、教職員の一時金を、本年12月期から0.1ヶ月引き上げ、年4.5ヶ月とすること

 言うまでもなく、今年度の人事院勧告においては国家公務員の一時金について0.05ヶ月の引き上げが出されている。それに対して組合の要求は0.05ではなく0.1引き上げてほしいということだ。その根拠を述べる。組合は人事院勧告が東北大の教職員に適用されるべきものとは考えていないが、いわゆる社会的常識から人勧を全く無視することもあまり相応しいことではないという視点に立つ。それよりも何よりも、まず法人化という激務を大学の職員はこの間課された。これはまさに職員課の皆さんの涙ぐましい努力を見ればわかるように東北大学の職員が一丸となって法人化というものに向けて、それが望ましいものかどうかは別にして、努力した。そのような教職員の努力に対して一時金という形で報いるべきではないか。経営者としてはそのような教職員の努力に報いてほしい。しかも事務職員について言えば、法人化によって公務員身分がなくなったという不利益が課されている。そのようなものに対して報いる措置を経営者側としてとるべきではないか。さらに大学と政府が出した資料によると東北大の職員の給与は一般の国家公務員に比べて14%低い。私個人としてはこれはあまりにひどいと思う。大学の事務職員がしている職務はもっと高く評価されてしかるべきだと思う。当面、この時期としては一時金として何らかの措置をとることが、教職員全体の士気を高めるものだろう。そういった意味から、経営者側として教職員の一時金を0.1ヶ月引き上げてほしい。

2、寒冷地手当を、2003年度以前の状態に戻すこと

 この問題では昨年度10月頃に団体交渉を行ってきた。残念ながら、寒冷地手当については、人事院勧告に準拠した形で縮小あるいは廃止の方向性が打ち出され、それに伴う就業規則の改定も行われた。しかし、昨年度も組合は主張したが、人事院勧告の寒冷地手当に関する考え方が必ずしも合理的とは思えない。やはり東京のあり方と仙台あるいは札幌のあり方を比較した場合に、寒冷地手当というものは一定の合理的な根拠をもつ手当だろうという認識をもっている。しかも、今年度は原油の高騰のため灯油の価格が極めて高くなってきている。このような経済状況を十分に掌握した上での昨年度の寒冷地手当改定だったとは思えない。そういった意味からも法人化して独自の判断ができるようになったのだから、現在の経済状態に即応した形での手当の支給がぜひとも必要だろう。したがって寒冷地手当を2003年度以前の状態に戻すことを考えてほしい。

3、賃金をどうするかは、安易に人勧に準拠するのでなく、優れた人材を確保するためにはどうあるべきかを大学が主体的に判断して、組合に提示すること

 これは具体的な数値を掲げた要求ではない。容易に推測できるだろうが、平成18年度以降の賃金問題を一定の視野に入れた項目だ。つまり、18年度以降について人勧が触れている内容は、現在の私たちにとってきわめて憂慮すべき内容を含んでいる。私たちにとって東北大が、優れた世界に冠たる大学として発展するためには、賃金問題は避けて通れない問題だ。とくに、今回の、地域に応じた形で地域手当を上乗せする形でのあり方が果たして東北大に相応しいあり方なのかどうかについて、大学側として主体的に判断してほしい。これは決して人勧に準拠して横並びするといった問題ではないだろう。重要なのは、教員、事務職員、技術職員、看護師等いかに優れた人材を確保することができるか、そのための措置として賃金はどうあるべきか、東北大として主体的に考えてほしい。

4、准職員について、給与を月給方式とし、昇給速度を正規職員と同等にすること。退職手当を正職員と同等の基準で支給すること

 准職員はフルタイムで働いているが、賃金は日給・月給方式という形だ。しかし、このもとで、たとえば無給の夏季休暇を導入したりすると、それだけ日給が支払われず給与が下がることになる。こういった准職員のおかれている状況を改善するための一つの方策として、月給方式にすることにすれば、准職員にとって大きな改善になる。その検討をお願いする。さらに昇給速度が正規職員と比べるとかなり遅くなっているようだ。この点について正規職員と区別する必要はないのではないか。さらに退職手当についても正職員と同等の基準で支給するべきだ。これが准職員のあり方をより相応しいものにしていくことになるだろう。つまり、私たちの立場としては准職員という形態での非正規職員がいること自体が一つの問題ではあるが、しかしながら、現状を考えて、できるだけ正規職員と非正規職員との格差を縮めていく方向を強力に進めることが東北大学にとって極めて重要ではないかと考え、この問題提起をしている。

5、時間雇用職員に対して、勤務時間・勤続期間に応じたボーナス・退職手当を支給すること

 時間雇用職員には一時金、退職手当がない。准職員にはある。つまり准職員と時間雇用職員との間にも大きな格差がある。時間雇用職員については、フルタイムとは違って時間に応じて働くのだからボーナスがないのは当然だとか、退職手当がないのも当然だという考え方をこれまでずっと大学側はとってきたが、果たしてそれでよいのだろうかと私たちは思う。現実問題としてパート労働者に対しても現在多くの企業で一時金を支給している。宮城県では50%をこえる企業でパート職員にボーナスを支給しているという実態があるようだ。そうしたことも考えると、やはりできるだけ正規職員と非正規職員の格差を縮小していくべきだし、とくに、時間雇用職員という一番劣悪な労働条件におかれている職員に対して、せめて一時金、退職手当を支給し御苦労様という姿勢を示すことによってその人たちの労働に報いることが、大学にとって非常に重要な方向性になるのではないか。

 以上、当面、賃金問題を中心として掲げた要求は5点だ。この他にも様々な要求があるが、さしあたり今日は以上の5点について説明した。大学側の方で一定の回答をする用意があればお願いしたい。

■徳重理事 5点について聞いた。それぞれ大学側としての考え方を話したい。ただし1の項目については平成17年度の改定と関わるので、一時金を含む17年度の改定について話す。3の項目については給与構造見直しと関連するのでそれについても話す。

1(一時金関係)について

 組合から、法人化に伴う苦労に一時金として報いるべきだ、また身分が公務員でなくなったことについての話等があったが、制度についてはある程度社会一般に受け止められるものでなければならないと考える。その点では今年の人勧では官民格差を踏まえて0.05月アップという勧告がされたし、基本給について0.3%の減、あるいは扶養手当の改定が出された。その意味で、大学側としては0.1月上げることは考えられない。人勧の0.05月引上げを超える引上げは考えていない。実施時期については、給与制度見直しの中で、人事院勧告における0.3%引下げなどの内容も含めて今後協議していきたい。とくに、17年度の取扱いについてだが、給与水準が社会一般の情勢に適応したものとなるようにという国立大学法人法が準用する独立行政法人通則法の規定の考え方、また閣議決定の、国家公務員の給与水準を十分考慮した適正な給与水準とするように要請する、という考えをふまえて、大学側としては、人事院勧告の改定率を有力な参考資料として検討している。その意味で今年度の勧告については、生計費、民間企業の賃金水準などの諸要素が含まれている人事院勧告の改定率をふまえて改定を考えるのが適当だろうと考えている。ただし国家公務員ではないので不利益なものを遡及することはできない。不利益不遡及の原則が判例上確立しているので、人事院勧告のような4月に遡って調整するということはできないと考えている。実施の選択肢として今年度実施するという考え方と、17年度は給与改定を実施しないという考え方があると思う。これらについて総長をはじめ役員の中で検討しているが、現時点では給与改定を実施しないということも案として検討中だ。またその中で今年度末の退職手当をどうするかについても検討中だ。組合の要求への直接の回答というよりも17年度の取扱いという話になったが、一時金の0.1月引上げについては考えていない。

2(寒冷地手当関係)について

 16年度の寒冷地手当改正にあたって、大学としても検討し、運営費交付金を国から措置されているという中での様々な検討の前提を踏まえて、大学としても改正内容に客観的な妥当性があるとして、人事院勧告に準拠した。今年灯油が値上がりしているという状況は承知しているが、それを踏まえての勧告あるいは地方公共団体あるいは国立大学での改定の動きがあるとは承知していない。したがって寒冷地手当の改正は考えていない。

3(給与構造等)について

 これについては、来年度以降の給与構造の改革も含めて指摘されたものと考える。検討の大前提を踏まえながら、本学の給与システムがどうあるべきかということについて検討しているところだが、基本的には、民間企業等の賃金改革の動向等を踏まえて、経験年数や年功を重視してきた現行の給与システムをあらためて、本学の競争力の強化にも資するような、各職員の能力・実績に応じた給与システムへの転換を図るという方向で検討している。ただし問題は、第一期中期期間中の情勢等をみると、効率化係数に伴う運営費交付金の動向に留意する必要がある。また現在の国での総人件費抑制の動きが出ている。これが国立大学法人に及ぶかどうかも十分に見据える必要がある。こういうことも考慮して、新たな給与システム、人事システムの検討作業を進めながらも、給与システムについては現在検討中だが、人事院勧告で示された年功的な給与上昇の抑制や勤務実績の給与への反映等を内容とする18年度の給与構造の改定の内容を取り入れることが適切ではないかと検討しているところだ。また優れた人材を確保するという必要もあるので、その観点から本学独自の給与上の工夫をしていくことを検討していく。これについては、たとえば外部から先生が来る場合に柔軟な給与決定をするシステム等、いくつか検討事項として考えており、組合とも協議しながら早急につめていきたい。

4(准職員関係)について

 法人化移行時には、人事制度を検討したワーキンググループでは、基本的には法人化前の制度を踏襲するということにした。ただし、准職員については3/31問題の改善をはかった。基本的には正規職員と違った制度の作り方をしており、従来から日給による月払いをしてきた。もちろん月給方式ということは理屈の上でないわけではないと思う。事務の簡素化等の観点から検討に値する案があるかもしれないが、額の決め方にもよるのだろうが、現状では教育研究費あるいは外部資金が財源となる。月給方式にした場合の財源としては、こちらの方に影響を及ぼすので、すぐに月給方式にすることは考えていない。また昇給速度については、雇用された年によって違うと思う。たとえば、大卒の人について言えば3年が限度なので、その範囲では昇給速度は違わない。具体的にどの点が問題なのか指摘してほしい。退職手当については、正規職員と比べると少なく本給月額相当額に0.3を乗じて得た額となっているが、これも教育研究費への影響を考えて現時点では正規職員と同等の基準で支給することは考えていない。

5(時間雇用職員関係)について

 これは、額の問題というよりも制度の問題そのものかもしれないが、これも法人化移行時に当時の制度を踏襲して就業規則化するとしていたことから、また、時間雇用職員は週30時間未満の勤務ということから、期末・勤勉手当、退職手当の支給対象外としている。どの程度の額となるかは分からないが、これらを支給することとなった場合には教育研究資金あるいは外部資金への影響があるので現時点ではボーナス、退職手当を支給することは考えていない。

■組合 今聞いた限りでは、やはり、大学側が、人事院勧告を踏まえた形でボーナスや賃金のことを考えなければいけない、という基本的なスタンスに立っていると判断できるが、果たしてそれでいいのか。法人化された後に、一定の閣議決定や法的枠組みがあることは確かだが、最も重要なことは、いろいろな規制から解放されたことであるはずだ。その中でも最も重要なものは各大学が独自性を発揮することであり、むしろ個性を輝かせることにこそ法人化の理念があったはずだ。その理念を生かそうとした場合に、いかに東北大学として優れた人材を確保するかだが、その際に、人勧があるからできないというのでは、非常に窮屈な制度設計にしかならない。今の話では、たとえば一時金を0.1ヶ月引上げるのは難しい、時間雇用職員にボーナスを出すのも難しいと、ボーナスに特化した形で言うとそういうことだが、しかしながら、それは人勧に準拠すればそうなるということで、後の具体的な給与構造についてはまだ検討中という回答だったと思う。その賃金構造についてまず説明されないと、それならばボーナスは0.1でいいとか0.05でいいとかといった判断ができない。そういう意味で、18年度以降について人事院勧告とかなり違う賃金構造を考えているということならば判断のしようがあると思うが、この点についていつ示されるのか。

■徳重理事 まだ決まっていない。今の時点での検討状況は、先ほど説明したつもりだがもう少し詳しく言えば、賃金構造がどうなるかについて我々がいま考えていることは、人事スタッフの中で様々な給与制度について検討してきている。内容について説明する必要はないと思うが。ただし、運営費交付金をめぐる第一期中期計画期間中の動向や人件費をめぐる動向をみると、今回の人事院勧告、とくに基本給をめぐる部分についてはそれを活用し、加えて国大協の参考給与表については枠外があること等若干のメリットもあるのでそれを活用すること、それと地域手当6%を踏まえた場合にどんな課題があるか、優れた人材を確保するためのいろんな工夫が必要であり、それらについて早急につめていこうということで検討作業をしている。今話のあった期末・勤勉手当のことについて言えば、今年度仮に改定を実施しないとすれば、0.05月引上げについては来年度から実施することになるだろうし、基本給の0.3%減あるいは配偶者に係る扶養手当の減については、改定後の基本給の中に含まれてくるのでそういう意味では併せて一括して実施するという案で、まだ方針として決定したわけではないが、検討している。

■組合 方向をつめているということで決定はまだしていない、ただし基盤としては今年度の人事院勧告が示した平成18年度以降の内容がほぼ大枠としては存在する、ということですね。組合としては説明の繰り返しとなることは避けたいと思うが、まずは人事院勧告という枠があるという立場こそが問題だ。現在の東北大学の事務職員の方の給与が通常の公務員よりも14%低いという現実をどうするのか。せめて国家公務員並みにしてくれというのが我々の要求だ。教員の給与をせめて私立大学の教員並みにしてくれというのが我々の要求だ。

■組合 政府の方針を踏まえるということは、閣議決定で決まっているように、国家公務員の処遇を十分踏まえるということだ。またそのために総務省の出したガイドラインにしたがって、たとえば独立行政法人の職員の給与が国家公務員と比べて高くなり過ぎないように給与のチェックを法に基づいて行っている。その結果、国立大学も東北大学も国家公務員行政職より低いことが明らかになったのだから、国の方針を尊重するというのならば低すぎるところは上げなければいけないということになるのが国の方針からいっても筋だし、本学の経営からいっても筋だと思う。この点についてどう考えているか。

■徳重理事 東北大の事務職員等の給与が国の行政職の86%だということについてだが、この数字自体について、詳しく分析してみなければいけないだろう。つまり、この数字の中には調整手当が含まれており、その分の差が含まれている。また望ましいことではないが、国立大学だった時代から国家公務員の中での国立大学の位置付けが、都道府県機関と出先機関の中間程に位置づけられていたためにその時代から必ずしも給与が高くなかったし役職の問題もある。したがってそれをそのまま国家公務員と同じ位にしなければいけないということにはならないだろう。この数字は国立大学の職員の給与の実態をはかる指標の一つだ。もちろん、国立大学の職員が低く評価されていたという実態を否定するものではないが必ずしもいっしょにしなければいけないというものではない。先程質問された閣議決定の要請についてだが、これは、ラスパイレスの低さということよりは国家公務員に適用される給与制度そのものについて十分考慮して検討するようにという要請ではないかと思う。閣議決定の要請についての理解が若干違うのではないかと思う。

■組合 そうすると、あれだけのガイドラインを出して、あれだけ一所懸命給与比較をしたことの意味は何か、ということになる。もちろん100%一緒にしなければいけないということはないが。だから、一方で、理事が言ったように職責や実績、能力に応じた給与にしなければいけないという問題意識はもっているのだろう。そうなると、そもそもこの職責というものをどのようにこの制度では評価しているのだろうか、ということが大事になる。その意味で私たちが考えているのは、私たちがさぼっていて給与が低いということならば仕方がないが、そうではなくとくに事務・技術職員の、それに私学との関係では教員もそうだが、職責に対する評価そのものが低すぎるのではないかということを言っている。だから、給与の構成が、低い給与の方に偏り過ぎている。本当にこれが国立大学法人東北大学に相応しい職務評価なのか。そこのところをどう考えなければいけないのかだ。

■徳重理事 それがすぐに制度に結びつくかどうかはともかくとして、法人化して事務職員や技術職員の職務は非常に重要になったし、担う職務も変わっていかなければならないだろう。従来の評価が低かったかどうかについて、私は国立大学の時代のことはわからないが、職務のあり方については検討していかなければならないだろうと思う。問題は、15年ベースの定員で人件費の交付金が固定されていることだ。

■組合 交付金の動向も踏まえながら人勧も重要な資料としたいと言う場合に、交付金は人勧に合わせて効率化係数以上に下がってしまうだろうと考えているということか。組合としては、全大教を通して文科省と交渉した段階では、交付金は効率化係数がかかるものであって人勧が出たからといって交付金が変わるものではないという回答を得ている。

■徳重理事 そこは我々も同じ説明を受けている。一方で、微妙なニュアンスだが、国の総人件費抑制の動きについては、それがどういう動きになるかわからないので見守っているという言い方をしている。もちろん交付金が減ればいいと思っているわけではない。これをぜひ国大協を通して確保したい。確保すべきものだと考えている。

■組合 交付金が減るのでなければ、全体としては引下げとなる給与構造見直しをする必要はあるのか。

■徳重理事 2点ある。1点は、繰り返しになるが、運営費交付金は税金から措置されている。国立大学法人は国の公的な仕組みだから、国の総人件費抑制方針は無視できない。もう1点は、財源の話かもしれないが、引下げた分交付金が減らされるのかということだが、これは今後の人事戦略の中で使っていくしかないだろう。また、当面、高齢者雇用安定法が来年から試行されるので、19年3月31日定年退職から適用される制度改革を検討中だが、その原資や、本学独自の給与の工夫について充てていく。そういう取り組みを通じて、交付金が仮に減らされても本学が運営できるような財源に充てたい。

■組合 今までの話を聞いていると、運営費交付金にかかっているということですね。それ以上ない袖は振れないと。我々も、ない袖を振れとは言っていない。それが、経営としての姿勢なのか。大学側は、我々には、外部資金をどんどん導入しろ、科研費を獲得せよと言っている。なぜ運営費交付金だけで経営しようとしているのか。もっと経営者としていろいろな所から資金を獲得してこなければいけないのではないか。

■組合 それと、仮に交付金のことだけを考えたとして、大事なことだが、高齢者雇用対策は運営費交付金の特別措置なしでやろうとしたら全国の国立大学は大変なことになる。これは法改正での義務的対応だ。法改正への義務的対応によって新たに必要になった経費を運営費交付金の一円の増額もなしに賄えというのはあまりに理不尽だ。もちろんこの問題では、組合も大学側と意見が一致すれば協力するが、かなり強力に、法改正への当然の対応分については運営費交付金を増額するべきだと、政府に働きかけなければいけないのではないか。

■徳重理事 私の立場で回答することは難しいが、もしできるとすればしたい。逆にいうと、難しいのは、それによって仕事が増えるのかという点だ。つまり、色々な形で雇用調整をすればいいのではないかということだ。今は情報がまったくないので回答できないが、いろいろ情報収集して正確に回答できるようにしたい。もちろん制度改正に対応するという視点はありえると思うので文科省に問い合わせてみたい。

■組合 理事が考えて発議しなければ誰が発議するのか。それぞれの大学の経営のために、全国の理事・学長が発議し、国大協に結集し、政府に強力に働きかけるのでなければ、誰が発議するのか。もちろん我々もそれが100%うまくいくなどとは思っていない。しかし、それが経営者の主体性であり、とくに国立大学法人は運営費交付金が税金から出ているのだから、それに必要なものは政府にはたらきかけて確保する。そのためにこのように努力する、という立場に立つべきだ。その結果うまくいくこともあればうまくいかないこともあるだろう。理事の発言からは、必要なものをどこからどのように確保するか、ということがまったく見えてこない。

■徳重理事 いろいろ情報収集して対応を考えたい。

■組合 先程、理事は准職員の昇給速度について具体的な問題点を出してほしいと言った。これについて、1980年頃から長年働いている准職員から、昇給が3年で2号俸のルールになっていると言われている。また、実務担当の方はわかっていると思うが、日給月給制はしばしば変なところで理不尽なことが起こる。週休二日制が導入された時のことを考えればすぐわかると思うが、実際にはフルタイムで週40時間働いているのに、いろいろなことで一日単位で急に収入が減ったりする。このあり方は法的にもかなりあやしいと思う。職務の実態がかなりの部分正規職員に近いにも拘らず、日給月給制にしておく合理性はあるか。短時間働いている人については、意見はたくさんあるが一旦脇におくとして、同じフルタイムで週40時間働いている職員について、一方が日給月給制にされていることについて、これでいいのか。厚生労働省のいろいろな研究会でも、職務の実態が同じならば、結果として給与の内容は異なるとしても給与の決め方はなるべく同じにしなければならないと言っている。このことをどう考えているのか。日給月給制にしておく合理的な意味はあるのか。

■徳重理事 財政負担の問題がある。法人化したので必ずこうした制度にしておかなければいけないものではない。具体的な話をもう少し聞かなければわからない。

■組合 たとえば、計画年休を実施するときに思わぬところで影響が出てきてしまう。たとえば、休日・祝日で1日休むと、日給計算になっているためにその分給与が出ない。同じ40時間働いている人にこのような差があるのは、制度としてフェアだろうか。月給で働いている人には気がつかないところでいろいろ不利な点がある。これは改善しなければいけないのではないか。

■組合 原資あるいはもともとの予算の問題があるが、先頃本学に数十億円の利益があるという報道がされた。しかしそのうちのほとんどは病院関係の薬の在庫といったものの分だ。実際のところ、そういうものを除いた利益はどれくらいあったのか。

■徳重理事 当期利益は11億3000万円だ。

■組合 経営する側としては、運営費交付金だけではなくそうした利益も総合して経営にあたっているのか。今日の話を聞いていると、そういうものは一切見ずに運営費交付金が減るからとか、予算が足りないとか言っている。仕事をしているといろいろな不満の声が聞こえる。いたるところで「お金をとってこい」ということを言われてみんな頑張っているのだが、経営側はいったいどんな努力をしているのか。それが見えない。たとえば、文科省や財務省に対して、これは当然つけるべき予算だからつけるようにといった働きかけをしたとは聞こえてこない。東北大はそれを率先してやるべきだ。

■組合 先程理事が人勧との関係で、実績主義・能力主義の導入を根拠にした。いまここで実績主義・能力主義導入の是非についてコメントすることはしない。しかし、実績主義・能力主義を導入するのになぜ人勧に準拠しなければならないのか。独自に自分たちの評価システムを作るべきなのではないか。みんなが賃下げになる人勧内容を導入するための理由付けとしてはまったく整合性を欠いている。また、我々はもう公務員ではない、悪いことをしたときだけ公務員扱いされる「みなし公務員」にすぎない。マイナス人勧が出たときだけそれに準拠するということは決してすべきではない。教職員は国家公務員時代には国家公務員法と、教員についてはそれと教育公務員特例法という二重の保護規定があった。それが法人化でまったくなくなった。それと引き換えになったのが人勧に縛られないということだ。

■組合 利益金額も含めて、全体としてどれだけの金額をどこに投入して、どこをどのように節約するのかという説明が必要だ。たとえば給与改定はこうする、高年齢者雇用についてはこうする、その後再来年は教員組織の改正はこうする、といった説明が。先程理事から、今年度給与の改定をしない場合、その分の退職金について100%の運営費交付金がこないかもしれないという話があったが、それならば、運営費交付金で不足する分をこうするとか、全体としてどうなっているのか、どこが不足するのか、どこがなんとかできるのか、それが金額で出てきていない。それを出すべきだ。

■徳重理事 どの程度財務検討のところで詳しくできるかによるだろう。組合とも協議をしながら、制度が具体化されてくればどこが大半かが明確になってくるだろう。情報を出す努力はする。休暇制度それ自体については本学でも工夫していく必要がある。

■組合 人事院勧告にならった場合に浮いたお金を何らかの形で人事面につかうという説明があったが、昨年削った寒冷地手当はその観点からどうなっているか。

■徳重理事 これは完成年次に3億3000万円ほどになる。今年は400万円だ。これも人事戦略の中で検討していく。

■組合 人件費以外には使わないということで確保しているということか。

■徳重理事 決まっているということではないが、基本的には人事戦略にもとづく様々な制度の中に。

■組合 組合も過半数代表者も、北村理事からこの節約分は人件費分に充てると聞いている。よく過去の記録をみて確認してほしい。下がる分についてはここに投入するということをはっきりさせないと、下げられる方としては納得しがたい。

■徳重理事 議事録をみて対応する。

■組合 寒冷地手当は、大阪に住んでいるときは必要だと思わなかったが、仙台に実際に住んでみて必要だと実感しているが、理事自身は寒冷地手当は必要ないと考えているか。金額的には全体から見れば小さい金額だと思うが、寒冷地手当を支給しないという方向を出すことが政策的に重要だと思ってやっているのか、それとも本当にそんなものはいらないと思っているのか。

■徳重理事 手当については社会一般に受け入れられるという観点から人勧に準拠している。

■組合 たとえば東京にとって都市手当があるのは住むにあたって必要だからだ。同じように仙台に住んでいると灯油代がかかると実感している。

■徳重理事 それを手当とするかどうかという議論はあろう。人事制度全体の検討の中で検討していく。

■兵頭特任教授 寒冷地手当は、国家公務員の中でバランスをとるという意味があった。法人化して仙台中心の東北大でそのようなバランスをとる必要はない。手当というよりも本来本給に入ってくるべきものだ。去年の勧告の比較の仕方の中で、結果的に寒冷地手当が組み込まれたものだ。また分割したことによって運営費交付金として配分されたものを超える結果になっている。

■組合 前半は非公務員化の理屈として理解できる。そうならば、我々の給与が高いか低いかも評価されていないのに、勝手に官民較差にもとづいて我々の給与も下げられるというのも、理屈としては同じくらいおかしいだろう。そういう説明ではあまりに理不尽すぎて通らない。やはりそうではなく、ここにこういうお金を充てて、こういうふうに仕組みを発展させたいというふうに、本学の役員自身が考えなければいけない。そういう形で数字を示さずに、人勧に合理性ある、ではすまない。とくに寒冷地手当と違うのは、我々の給与が他と比べて高いか低いかを比べた結果ではないということだ。これは致命的な違いだ。それなのに国家公務員とあわせて同じように下げる、というのは納得できない。

■組合 時間があるので、今後どうするかという話に進むが、先ほどの理事の話だと、今年度分について、つまり月例給を0.3%引き下げるとかボーナスを0.05月引き上げるとかいうことについては、今年度実施するかあるいは来年度実施するかについてもまだ結論が出ていないのですね。

■徳重理事 結論は出ていないが、今年度実施しないという案で検討している。

■組合 見送る方向で検討が進んでいるということですね。見送る方向だということを前提とすると、たとえば人事院勧告で0.05月の一時金のアップについて、国家公務員は適用される。つまり国家公務員は0.05月プラスになった12月のボーナスが出る。それに対して東北大の職員はその0.05がないわけだ。つまり人事院勧告に準拠しないということはボーナスが上がらないということですね。

■徳重理事 今年度は上がらない。

■組合 その理屈としては、その代わり月例給の0.3%が下がらないのだからそれでとんとんではないか、ということか。つまりボーナスが国家公務員よりも悪くなるという状況について、大学は教職員にちゃんと説明しなければ、職員に納得されない。

■徳重理事 トータルな問題として、今回は全体の日程を組み合わせて十分時間をとって検討したい。今言われたことも一方にはあって大事な要素ではあるが、協議の中で受け入れられるのではないか。

■組合 0.3%分を4月に遡らないのは不利益不遡及という原則のもとで行われることだが、それに対して一時金の0.05月の実施如何は本学の政策的な問題だ。法的な裏づけのある問題と本学の政策的な問題をはかりにかけてとんとんでいいではないかという理屈は、かなり難しい。今年度給与改定を行わないのならば、国家公務員よりもボーナスが0.05月低いのはこういう理屈だとちゃんと示してもらわないと困る。だから私は急いでいるのだ。12月9日にボーナスが出る。それが国家公務員よりも0.05月低いというのは非常に重要な問題だ。そこのところを詰めたい。今日これで協議が終了というわけにはいかない。この点はどうか。

■徳重理事 その点については考えていきたい。

■組合 大学側としても今年度は実施せず見送るのなら、それはそれで早く決めてほしい。その上で、ボーナスがなぜ一般の国家公務員よりも0.05月低いのかをちゃんと説明してほしい。それがないと、法人化でボーナスが公務員よりも低くなるのか、と教職員は納得しないだろう。したがって大学側としては今年度の改定を見送るのかどうか早めに結論をだすべきだと思うが、この点どうか。

■徳重理事 検討中だ。

■組合 検討中では12月9日に間に合わないのではないか。12月9日を心待ちにしている人が皆さんも私も含めていっぱいいると思う。

■組合 スケジュールとして、来週は全学労使懇談会があるが、その後どんなテンポで考えているか。

■徳重理事 全学労使懇談会では今の検討状況を話す。

■組合 その中で、ボーナスについては何か発表しないといけないのではないか。その辺のスケジュール化をきちんとして教えてほしい。ついでに言うと、法人化当時から言っているが、給与を変えるときは何月に変えるのかのサイクルをそろそろ確立しよう。給与を変える場合、何月に変えるのが普通だという原則の確立だ。それがまったく決まっていないので毎回このように迷わなければいけなくなる。役員会はそれもきちんと話し合うべきだ。また、こうしたことについて大学が最終決定した場合に、どのようにして周知するのかについてもだ。組合が大きかったら組合に言えば全体にすぐ伝わるし組合もそれが本来はいいのだが、現状ではそうもいかないので、大学としてもどのように周知するのか決めるよう提案する。

■組合 時間が超過しているのでこれでしめるが、ボーナスの額については当面重要な問題なので、この点についてもう少し大学側の姿勢を聞きたい。12月のボーナスがどうなるのかを含めてある程度見通しを立てた形で、継続交渉を行いたいがその点についてはよいか。

■徳重理事 了解する。

■組合 時期的な問題は事務的に調整することとしよう。


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