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「人事評価システム問題」団体交渉報告2006年1月26日

2006年1月26日(木)14:00-15:00
本部別館第3会議室

■石井補佐(職員課) 「人事評価システム」について大学から説明する。

■徳重理事 この間、事務系職員の人事評価システムを中心に検討してきた。技術職員、医療職員、教員については別途検討する。この「新たな人事評価システム」は、法人化をふまえて本学職員としての仕事をする上で重要なシステムだ。人事のタスクで検討し、成案を得たので提案する。

<資料「事務系職員等の新たな人事評価システムに関する基本方針 (案)」説明>

□組合 資料は昨日もらい、昨夜の執行委員会で若干の検討をした。前日に届けて頂いたことに感謝する。今日は説明を聞いた上で、執行委員会での検討で疑問に思う点がたくさん出たので質問したい。

□組合 まず、「新たな人事システム」について、かみくだいて説明してほしい。2点目は、「行動観察記録」をこまめに記入するということだが、どの程度こまめにするのか、たとえば毎日とか1週間にどれだけとかを聞きたい。3点目は、一次評価者が課長、事務長、それから事務長がいないところでは部局長というように、複数の評価者がいるということだが、部局長が一人一人を把握するのは困難だろう。おそらく、一次評価者の評価をそのまま取り入れることになるのではないかと思うが、これをどう考えているのか。5点目は、上司からの評価だけということだが、しかたがないのかもしれないが、上司に良く思われたいと思って、上司に対してものを言う人がこれまでもあまりいなかったので、それがますます少なくなっていくのではないか。下からの評価について考えていないのか。6点目は、「研修の実施」や「評価システムの周知」等について、出向者に対してはどのような措置がなされるのか。

■徳重理事 タスクでいろいろ検討しているので、そちらから答えることもある。1つは、人事システムの運営についてだ。人事システムである以上は、職員の生活の安定と向上を図る。同じ大学の構成員なので、当然のことながら、仕事を通じて大学にも貢献し、また、一人一人の生活の安定を図る必要がある。これがここでのポイントだ。それから、「本学の経営戦略の実現に必要な仕事に専念できる『環境』」というのは、人事システムといっても、人事の制度だけでなく、全体の人間関係、物的環境を含めて、仕事をしやすい環境も必要だ。次は、シートについてだ。毎日か1週間ごとかということだが、そこまで縛らなくてもいいのではないか。気がついた時に記入してもらえば良い。忙しいので、たとえば、何週間かに1回は思い出して付けてみるということで良い。必ず1週間に1回つけろ、ということではない。それから「複数の評価者による評価体制についてだ。これは、ある程度、それぞれの組織によって弾力的に考えるしかないと思っている。評価をする上司が、小さい組織ならば全部知っているだろうし、ある場合には上司があまりいないということもあり、ケースバイケースだろう。それから、上司から良く思われたい、ということはあるのかもしれないが、今回の場合には、面談を通じて評価するとか、評価の基準を公表していく。そして、それをフィードバックしていく。また、できるだけ複数の者による評価をする。それから、評価に関する問題がおきないように、評価者の訓練をする。今までもするべきだったかもしれないが、これからやっていく。部下が評価することはありうると思うが、これからの検討課題としたい。民間でも360度評価をやっているところがあるとも聞いている。出向者に関しては、支障がなければ、できるだけ研修の機会に呼べるように配慮したい。

□組合 「コンピテンシー」の手法を取り入れるといったことが、たとえば、「能力評価」とか「職務遂行過程評価」の関係「勤務評定と新たな人事評価システムとの比較」の表の、「評価の構成」の欄にある。まず、「コンピテンシー」の言葉の意味を説明してほしい。それから、実際に、コンピテンシーの考え方が貫かれた形で、資料が作成されているのかどうかも知りたいと思う。

■徳重理事 まず、私の理解では、「コンピテンシー」というのは単に能力ということではなく、具体的な行動や仕事に現れる能力ということだ。例えば、企画力があるといっても、実際に企画として現れているかどうかが問題だ。そういったことを評価する。評価にあたっては、具体的な仕事の面に関して、こういう企画を頼んだときにこういう仕事ができた、というところに着目する。こういった考えを基にして評価が決まってくる。

□組合 ということになると、具体的な仕事や職務が何かということが、ある程度明確に、年度初めとか現時点とか、係員で会計係ならばこういう仕事だとか、そういったところまで本来業務が明確になっていることも、当然、前提のひとつと思う。しかし、資料の「能力評価等級基準」表のレベルでは、まだ、そういった明確性というか確実なコンピテンシーの遂行が難しいのかなという印象を受けた。そうでなくても、職務の価値がもっと高いのではないか。「セルフマネジメントができる職員」というのであれば、相当高いレベルの職員像があると思うが、その点でも、職務がもっと明確に打ち出されていないと困るのではないか、という意見も聞いている。

■徳重理事 職務と言うと、係長なら係長、主任なら主任で分担する仕事の中味のことか。

□組合 たとえば、会計係員ならば、これが本来業務である、といったようなレベルだ。

■徳重理事 確かに、そういう具体的な仕事というか、内容は一面であるが、それは仕事を受けるに当たって、例えば、これ位が仕事をするにあたって必要な知識能力であるとか、能力を持っているとか、係員とか主任クラスなら、主任クラスなりの判断能力をもっているか、という話だ。むしろ、どういう仕事の内容かというと、明確にならないが、むしろそういう仕事を見越した上で知識とか判断とか企画とかコミュニケーションとか、そういう能力が発揮されていくということだと思う。どう答えたらよいかわからないが、職務内容は明確であったほうがいいとは思うが、それは、職務を遂行するにあたっての、こういう評価項目については、いずれの仕事をするにしても必ずある。そういう点について着目してみていく。もちろん、それぞれすべてに評価項目が均等にそれぞれの仕事にあるというわけではない。企画が強い部署もあるだろうし、経理の確実な仕事の実行が必要という部署もある。それぞれいろいろな形に応じての評価をしていく必要がある。

■鈴木人事課長 おそらく、係員クラスだと定型業務なので、そういったところでコミュニケーション能力をどう測っていくかという疑問もあるのかなという印象を持った。基本的には、実績評価というのは定型業務の職員にはない。というのは、そこで実質的には差は測れないだろうということで、単純作業や定型業務が多い職員については測れないだろうということがある。そこで、今回、実績評価については評価対象にしていない。そこで、いま話された仕事の範疇型というのは、能力評価と職務遂行過程評価ということになる。まさに、3頁の「II.能力評価」に、「具体的な能力・行動を明示する」、とある。そこを、能力の発揮度合いを適確に測定し公正に評価する。要するに、発揮度合いが能力・行動を変えていく力、行動を起こす力というのがコンピテンシーだ。いろいろ表現の仕方はあるが、単純にいえばそういうことになる。そういうことならば、指標を明確に、行動・能力を明示して、そこを見てコンピテンシーをみようということならば、能力評価については可能である。それから、職務遂行過程評価についても、職務達成に向けた過程を明確に測定していく。それは、能力・行動を明示してからやる。どれだけそういう行動を起こしてきたとか。そういうところを見ていこうと思う。おそらく、コンピテンシーとの関連を考えたときに関連付けられる。実績については、職務内容、例えば会計と庶務でどう比較していくのかと言われても、職務の内容として比較していくのは難しい。そこで、どういう実績の差があるかということは、仕事の内容の違いによる比較は難しいので、入っていない。

□組合 1頁の冒頭で、「自ら専門能力を高め、使命感と顧客志向と高い倫理観をもって職務を遂行し、セルフ・マネジメントできる『大学職員』」とある。「顧客」という言葉が、他にも出てくるが、大学として、「顧客」という言葉で、具体的にどういう人を想定しているのか。16頁の「職務遂行過程評価」の「プランニング」の一番下のところに「顧客志向」という欄があって、「所管部門の論理を推しつけることなく、常に顧客サービスの向上を念頭に置きながら行動する」とある。

■徳重理事 確かに、これまで顧客という言葉を使ってきていなかったので、説明が要ると思う。これは、仕事によって顧客は変わってくると考えている。例えば、学生を顧客だとも考えられるし、先生を顧客だと考えることもできる。あるいは、同じ職員が顧客であると考えることもできる。外部、あるいは市民が顧客の場合もある。それは、それぞれの仕事のサービスが、誰を相手にするものかということだ。いずれにせよ、大学のために仕事をするわけだが、その仕事をすることによって誰かの仕事がし易くなる、あるいは、何かの成果を生む。そのサービスの行き着く先のことをいっている。これは、仕事の内容によって違ってくる。例えば、人事課の職員であれば職員全員を顧客としている。産学連携関連の仕事であれば、教員は顧客だろうし、それから外部の連携している企業の方々も含む。もちろん、我々全体にとって学生は顧客だろうと思う。

□組合 そこで、ちょっと注意していただきたい。教育哲学の先生から言わせると、学生を顧客として扱うべきではないということだ。学生はお客様ではない、というふうに言う人もいるから、ちょっと注意した方が良い。教員と学生とはやはり師弟である、師は師であり、弟子は弟子である、というふうに考えている人もいる。あまり、学生はお客様です、神様です、というふうに言うと、反発があるかもしれない。病院では、患者は顧客だろうと思うが。

■徳重理事 でも、学生サービス、学生支援ということもある。

□組合 それは教員の立場からだ。

□組合 職種ごとに、「大学の様々な業務をプラスに遂行していくときの相手方」、という意味で理解してよいか。

■徳重理事 よい

□組合 言葉を代えた方が良いのではないか。

□組合 顧客という言葉はひっかかる。誤解されかねない言葉だ。

■徳重理事 若干意識的に使ったところがある。教員、職員主体の大学ではないということを言いたかった。

□組合 学生は重要な構成員である、ということは、もちろん教員は認識している。

□組合 ちょっと検討した方が良い。

□組合 言葉を検討していただくという意味であれば、もう1つある。1頁の「人事評価システムの役割」のところで、「職員の生活の安定と向上を図り、本学の経営戦略の実現に必要な仕事に専念できる『環境』」とある。ここで「経営戦略」と言われているが、国立大学法人は営利企業ではないので、もちろん、赤字になっては困るのは分かるが、教育機関なので、最初に経営という言葉が出てくるのはいかがなものか。私立大学だって、表向きは利潤追求ではない。

■徳重理事 経営戦略の大きな柱に、教育研究の推進がある。

□組合 例えば、経営協議会というのは、一般的な意味での経営をするところであり、教育研究評議会は、教育研究の最高審議機関だ。事務職員でも、たとえば教務課の場合は、むしろ教育の方にずっと寄っているわけだから、経営ということだけでは引っかかる。言葉が一人歩きしないように検討してほしい。

□組合 先程、評価の仕方について、上の者だけからの評価というのはまずいのではないかという意見に対して、検討課題とする、との回答があった。これは重要なことだ。教員については、もちろん、教員が学生の成績をつけるし、他方で、最近では、学生が教員の評価をするということが、どこでもされている。基本的には、役に立つという判断のもとでそういった評価をしているのだろうし、それを教育に生かしていこうということだと思う。事務職員の評価についても、上司が評価するだけだと、ヒラメ型の職員ができる。大学職員だけでなくて、裁判官等でよく言われていることだ。ヒラメ型の裁判官になってはいけないということを、最高裁長官も言うぐらい、上司からの評価というものは制約のかかるものだ。それを、如何にして、公正で客観的な評価にするかといった時に、同僚もしくは部下からの評価というのは、避けて通れない。実際、本学でも、つい最近、ある部局の事務トップが懲戒を受けている。しかも、部下からの注意があったにも拘らず直っていなかったということのようだ。そういったトップが部下の評価をするというのは、とんでもないことだ。部下が上司を評価するという手法も取り入れていかないと、おそらく、大学はギクシャクした人間関係だけのものになっていくのではないか。これは、執行委員会のなかで議論したことだ。

□組合 それから、「行動観察記録」についてだ。部下の行動をずっと覚えておくわけにはいかないということで、こういったものを作るのだろうが、これはある意味で、観察する側もされる側も大変だ。例えば、席を立ってどこかへ行った時に、さぼりにいったのではないかということを一々チェックするのは難しい。可能なのか。

■徳重理事 記憶は薄れるので、評価のときだけ思い出せばよいとしても、何らかの形で記録は必要だ。それほどまでの記録をせよということではない。私用であることが明らかであれば別だが、そこまで拘束するものではない。

□組合 ずいぶん昔の話だが、ある官庁の職員が、勤務時間中に外に出て行って煙草を吸っている、だから公務員はけしからん、というのが公務員バッシングとしてワイドショーに出ていた。さぼりにいくというのをぜひチェックしたいということになると、なかなか大変だ。

■徳重理事 こういう企画をお願いしたがだめだったとか、新しいシステムを導入したとか、そういう記録は必要だ。

□組合 おそらく、評価のためには、できるだけ細かい記録が残っている方が良いだろうが、例えば、一方の部局の課長さんが非常に詳細な観察記録を取ったとして、他方の部局の課長はほとんどこの記録がないとして、どちらが優秀な課長なのかということになると、評価という点では細かい記録をとった方が良いだろうが、本務ということではこの記録がより少ない方がより有能な課長であるかもしれない。そうなると、はたして、評価をする側としてはより細かい記録をとった方が良いのか、とらない方が良いのか、それが部長の評価にどう反映するのかということで、微妙な話になってくるのではないか。

■徳重理事 具体的な仕事の場面でどういう能力が発揮されたか、あるいは、職務遂行過程においてどういう努力をしたのか、行動として具体的に見たい、という趣旨だ。確かに、いちいち観察をしないといけないのか、という印象があるのかもしれないが。その評価を具体的に実効あるものにしていくためには、こうした記録は不可欠であると考える。

□組合 「行動記録表」それ自体については置いておくとしても、資料を見て、最初に印象をもったのは、これは相当時間がかかるだろう、ということだ。今、教員は中期目標・中期計画、自己評価で大変な時間がとられている。今も各部局でヒアリングしているが、あの資料を作るのに、この間どれだけ時間がかかったかを思うと、いささか愕然とする。最近、私たちが外部資金を取る時に、あなたはすべての時間のうちこの仕事には何%の時間を割けますか、ということを書かせられる。たとえばCOEに50%というように書いている。この評価を行うために、具体的にはこれから試行するにせよ、一応予定としては、例えば、課長クラスならば、評価には全仕事時間の何%位必要だろうと考えているか。

■徳重理事 面談やフィードバックも含めて、という質問だろう。パーセントでいうのは難しいが、中間の時の面談、評価の時の面談、フィ−ドバック、それから実際の適用というのがある。ただ、本当にその全部が評価の問題なのか、ということもある。本来、同じ課で仕事している職員として、いろんなコミュニケーションの場が必要だ。中期目標について言えば、それがどこまでできているか、というコミュニケーションをしないで仕事はできない。その全部が新たな評価システムによるものかというと、これまでも本来していなければいけなかったことでもある。そうした面談の機会にするということも含めてとらえたい。確かに、実行すれば時間はかかる。最初に理解するのにも一定の時間がかかる。逆にいうと、今の勤務評定にもいくつかの項目があるが、今のまま勤務評定をするにしても、何も項目がなくて評価するのが果たして良いのかという問題はあるのではないか。

□組合 これまでの勤務評定と違って、本人にフィードバックする、あなたはこういうことだ、とデータを出すこと、基準も設定すること、等は非常に有効なことではないかと思う。しかし、成績主義を取り入れたあらゆる企業について言えるようなのだが、やはり、評価するための時間がかかる。そんなことをやっているくらいならば、むしろ、本来の仕事をやってくれと言いたくなるような評価疲れが出てくると困る。給料支給日が17日だと大変だから後にずらしてくれ、という時に、せっかく作った時間が評価のためにとられては、目も当てられない。評価に職員が取られる時間は大きな要素だろう。教員についても同じだ。こんな書類を書く時間があるなら学生と話がしたい、という状況が生まれてきてしまっていると思う。

■徳重理事 これは評価をどう位置づけるかということだろうと思う。冒頭に言ったように、職員の意識改革と行動変革をする、それに慣れていく、という位置付けからの評価システム導入だ。仕事がどう進んでいるか、ということでの評価だということを考えれば、当初は大変だろうが、組織の仕事の中に自然に定着していくなら良い。最初はいろいろ大変だろう。試行の中で聞いていきたい。

□組合 こういった問題については、経済学部の野村正實先生が詳しい。一度講演してもらい勉強してはいかがか。組合は学習した。国立大学法人という、民間とも公務員ともつかないような組織に、どんな影響を及ぼすのか分からないが、客観的に、学者の意見等も導入前に聴取した方が良いのではないか。

□組合 「行動観察記録表」に関連して、同じ事務職員でも、職種や部署によって仕事の内容はかなり千差万別だ。たとえば、教務係の場合、何もないのが当然で、ちょっとでもミスがあると何千万円も損害賠償が請求される。平穏無事に見えるのが極めて健全という状態だ。そういう時に、きちんと、やるべきことをミスなしにこなすことができるのが、優れているということなのだろうが、こういう文書を出さなければならないとすると、そういったところはどういうふうに表現したら良いのか。こういう文書があると、何かあった時には書かないといけないと思うだろう。人間なのでミスはあるだろう。そうなると、ミスばかり書かれて、マイナスの評価をする素材にしかならないようなケースが出てくるのではないか、係員クラスの場合にはとくに懸念される。そういう意味で抵抗を感じる。

■徳重理事 ミスだけを書くのではない、というつもりで作っているのだが。

■鈴木人事課長 もともとは、「人事評価シート」を書くために、それに必要な材料として行動記録を観察するということだ。観察されるということだと、ミスをした、とか、職務中にいなくなっている、とか、というイメージを誰でも持つかもしれないが、たとえば、ミスならば、なぜミスを起こしたか、あるいは評価シートの項目のこれが欠けているからミスが起きたというなら参考になるだろうが、項目に該当しないのであれば、そのミスだけをとらえてマイナスに査定するのは客観的にみて問題ではないかと思う。たとえば、煙草を吸うために席を外しているといったこと等は、評価シートに生活態度という評価項目があれば、評価の対象になるかもしれないが、今のところ評価指標としてはないので、席を外しているから、タバコを吸いに行ったからマイナスだということにはならない。少なくとも現在具体化している係長クラスのものとしてはそういうことだ。

□組合 ちょっとしたミスを上司が書くと、マイナス要因にしかならないのではないか。係員クラスには、新しいシステムを導入しようといった提言ができるものではない。

■鈴木人事課長 目標管理に基づく評価、実績の評価は係員にはない。

□組合 これは、実績評価という括りでの話か。

■鈴木人事課長 職務遂行過程評価という考え方はあろうが、今はそういう位置付けだ。

■徳重理事 係員クラスの人事評価シートをどのように作るか、ということだろう。ミスがあってもないようにするとか等、理解に努めたい、能力、実行達成能力、段階の設定の問題等に誤解が生じないように努めたい。もしかしたら、これはなくても良いのだろうか。

■兵頭特任教授 すべて、理由があって制度設計している。評価はできるだけ適正に行いたい。評価誤差についてだが、今の勤務評定のままで、評価シートを使って評価するとなると、典型的には、直近にあった行動を引っぱり出しがちだ。親近効果といわれているものだ。実は、前の方で良いこと等があったのに、評価の時に忘れてしまっていては、適切な評価ができなくなる。そういう誤差を、できるだけ事前に排除できるようなものを、制度設計の中に盛り込みたいと思った。プラス・マイナスの両面を書く。可もなく不可もなく的確に仕事をしているなら、何も書く必要がない。いままでのように直近のものだけで評価するよりは、適正な評価になる。多面評価についても、適正な評価をするためにどうするかという課題だ。さきほど、評価は大変だ、という話があった。まさしくその通りだが、しかし、そうは言っても、評価をしない方が良いのかと言えば、やはりした方が良い。費用対効果の問題もある。二段階ではなく、三段階や四段階にすべきだ、360度多面評価をするべきだということならば、やっても良いが、そのコストや時間をどれだけかけられるのか、という問題もある。一番極端なのは、一人だけの評価にすることだ。でも、それはさすがにどうだろうという問題がある。一人だけでの評価よりも二段階の評価が良い、あるいは、事前に行動観察表のようなもので担保できるものは、できるようにしたい。こういった考えをいくつか組み合わせた。多面評価について言えば、本当はしたいが、誰がやるのか、という難しさもある。トレーニングも必要だ。それをやっても良い。ただ、評価結果をどこかに活用したいという時に、多面評価したものをどれだけ使うか、ということもある。昇進のために使うというのなら、使いやすいかもしれない。昇給のために使うというのなら、そこまでやるか、ということもある。検討を進める中で、個人的には、上の方、管理職には入れるという方向はあるのではないかと思う。

□組合 これからのことだが、これが基礎となって技術職員、看護師、技師等々の評価についての基本方針が出てくるだろうと思うが、それについて何時頃提示する予定か。

■徳重理事 これから作るので、来年度になるだろう。

□組合 当面、試行対象は事務職員のみということか。

■徳重理事 そうだ。たしかに、いろんなところですでに実施されている評価方法もあるかもしれない。それも参考にする。基本的には三要素だろうと思う。

□組合 先程の説明では、教員については3月をめざすが、若干遅れることもあるかも知れない、ということか。

■徳重理事 いま準備しているものは3月くらいにまとまるのではないか。オーソライズに遅れることはあり得る。

□組合 看護師、技術職員等は来年あらためて考えるということか。

■徳重理事 関係者を含めて検討する。

□組合 評価のことで検討してほしいことがある。ぜひ、役員の自己評価報告書を出してほしい。私たちが評価するのも良いが、その前に、たとえば、経営協議会の委員ならば会議に何回出たか等だ。

■徳重理事 私が良いと言えるような問題ではない。

□組合 みんなが評価されているのに、評価されていないトップがいるのは面白くない。

■徳重理事 総長も含むということか。

□組合 総長は選挙で選ばれているので、その意味で評価を受けていると言えるだろう。それ以外の、たとえば、経営協議会や学外理事など、どんなことをしているのかも分からない。広報・学報等で、何月何日に東京で会議が行われた、欠席、ということが知らされ、そこで初めてこんな人がいたのかということを知る、という実態だ。これでは良くない。トップの一員である以上、私はこういう仕事をした、ということを示す必要がある。そうした自己評価報告書を職員に示すべきだ。教員は全部やっているわけだから、責務としてあるのではないか。どこで検討するのか分からないが、それをやらないで一般職員に評価をというのは問題ではないか。検討してほしい。

□組合 評価者の訓練についてだ。評価の仕方だけでなく、自らが模範を示せ、部下の中に入って意識改革をするために話をしなさいということを管理職に強調してほしい。出向者について、支障がなければ検討ということだが、具体的に返事をいただければありがたい。

■徳重理事 相手の機関の判断もあるだろう。今の段階で必ず実施するとは言えない。

□組合 協議はするということか。

■徳重理事 例えば共催でやるとかいうことが考えられるが、しかし、そちらの機関での評価の問題もあるので即答できない。そこは詰めていかないと、今の段階でわかったということはできない。

□組合 今の評価者研修は、職員のスキルアップのための研修とは結び付けて考えていないのか、むしろ、研修をした方がスキルアップになるのではないか。

■徳重理事 研修については、次回の交渉での議題だ。研修とは、当然、タイアップする。この評価システムは、あくまで、意識改革、行動変化を図るということなので、職場の中で面談等を通じてやっていく。そこが一番大事なところだ。

□組合 評価した結果を処遇に反映させるということだが、例えば、勤勉手当などが例として掲載されている。これはあくまで例に過ぎない、ということだが、現行制度の中で勤勉手当の率等はどうなっているのか。

■鈴木人事課長 現行では、公務員時代の考え方を踏襲しており、基本的には、ある程度各部局に数の割り振りをして、各部局からの推薦をお願いしている。これが実情だ。

□組合 S、A、B、C、Dのランクについて例示されている。理事の説明では、標準はBということだったと思う。

■徳重理事 これはあくまで例に過ぎない。別途検討中でありこの点についてはあらためて別途提案する。これで具体的に提案しているということではない。イメージできるようにするための資料だ。

□組合 C、Dは絶対評価ということで、ゼロでも良いということか。

■徳重理事 提案しているわけではないが、絶対評価ということは、問題がなければゼロでもいいということだ。

□組合 必ず誰かをDにしなければならないとすると、かなりつらい人も出てくる。

■兵頭特任教授 ただし、それは現段階での話だ。確かに、昇給の場合にCやDはゼロがあって当然だ。ただ、勤勉手当の場合は、原資の配分の話になるので、CやDを何%にするということはあり得る。今のところは、CやDを何パーセント配分するかといったことは考えていない。

□組合 10分超過した。大学側提案を受け止めた。持ち帰り、改めて検討する。

■徳重理事 次回は、2/1に能力開発システムについて、ある程度基本的な考え方をまとめたので提案する。技術職員、事務職員を視野に入れているが、具体的な研修や能力開発についてはこれからであり、今回は大きな方針や考え方についての提案だ。

□組合 2/1の団交の後に、支部代表者の会議がある。その場でこの3回の団体交渉での大学側提案については支部の代表者に伝える。各支部で検討してもらった上でまた集約することになる。

■徳重理事 2/1には前回までの給与支給日や継続雇用についての提案に対する意見はもらえるか。

□組合 まだそこまではいかないと思う。ただ、給与支給日の話は昨晩も執行委員会で話し合ったが否定的な話が強かった。もう少し工夫してもらわないと困るということだ。

■鈴木人事課長 それは、人を増やせということか。

□組合 そうだ。その期間だけでもいいから、他の部署に応援を頼むとか。

■鈴木人事課長 逆に、支給日を延ばすことによって工夫できるとすれば、まずはそこからやるべきではないかと考えた。それがだめなら人の配置といった経費のかかる対策を考えるつもりだったのだが。最初から増員をというのが本来の筋ということか。

□組合 大学の支給日は公務員の中でも一番遅い。他省庁では15日というところもある。それならば工夫があり得るのではないか。

□組合 定員外職員の給与は、元々5日の支給日だった。5日の支給日でさえ、本来その月に支払うべきものが5日分遅れて支給されていたということだ。それが、2週間以上遅れて、17日に支給されるようになったという経緯がある。今回の提案でそれをさらに遅くするのは問題なのではないか。

■鈴木人事課長 実質的に、最初の月は厳しいだろうが、次の月からは、定着してしまえば、生活の面で支障がないのではないか。

□組合 日給にしているのならば、本来は毎日その日に支給すべきところ、遅れて支給しているのだから、受け取る時にプラスアルファがあるべきとか。

□組合 1月の支部代表者の会議の時には検討するようお願いしておいた。ただ口頭での提案だったので、具体的にどの部分がどのように大変なのかということが、実感としてわからなかった。資料的なものを出してもらえれば、より理解し易いだろう。

□組合 計算が大変なら、超勤の締めを早くするということもあるのではないか。

■鈴木人事課長 なるべく月の超勤を反映させたいと考えた。

□組合 どんな作業が集中するのか、そのための人員がどれだけ必要、どれだけ不足するのか、整理してほしい。具体的なイメージを結ぶのに必要だ。学内どの部署もみんな大変だ。会計だけがとくに大変だと言われてもよくわからない。我々も更に検討する。

■徳重理事 1/31から2/7にかけて地区ごとに給与制度改定、システム見直し、人事給与策、退職手当等について、今提案していることについて質問を受ける会をする。


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