※文責は組合にあります。見出しも組合にてつけました。
2009年10月21日(水)14:00 - 15:30
本部第1会議室
※平成は固有名詞を除きすべて西暦に変えました。
■課長補佐 これから団体交渉を始める。交渉時間は15:00までの予定だ。組合からの交渉申し入れなので、組合から発言する。
※暫時、組合側、法人側の自己紹介
□組合 組合の要求事項は2点だ。第1点は、「期末・勤勉手当および本給を引き下げる労働条件の不利益変更を行わないこと」、第2点は、「3月の期末手当を復活させて、教職員の一時金を0.1ヶ月引き上げること」だ。第1点については説明の必要がないだろう。第2点については、一時金はボーナスといって良い。0.1ヶ月引き上げとは、現在の夏冬のボーナス合計4.5ヶ月を4.6ヶ月にしてほしいという趣旨だ。以上だ。
■折原理事 関連した内容でこちらからも交渉を申し入れたいと思っていたので、取り扱い方針について同様に説明したい。
□組合 失礼だが、9/15部局長連絡会議の配布資料は、学内誰でも読むことができるし、組合も持っている。今回の法人側提案とタイトルはまったく同じものだ。これからの趣旨説明がこれとまったく同じ説明ならば時間をかけずに簡潔に説明してほしい。9/15資料に書いていないことについてはできるだけ詳しく説明してほしい。
■折原理事 わかった。
以下法人側説明
部局長連絡会議の資料は、部局長連絡会議終了後にこちらで組合にとどけた部内資料で、途中段階のものだ。その後10/2に役員会が開かれ公のものになった。役員会配付資料が最終的に法人側の提案だ。この資料ももっていると思うが、ここに記載されていないことを中心に説明したい。今回人勧が出て本学でどうするか検討した。1頁の「参考」にある「本学職員の給与の取扱いに関する基本方針」で「給与改定の実施時期については、人事院勧告に基づく給与法の改正、労使交渉に要する十分な期間の確保、人件費予算の計画性の確保などを考慮して、翌年4月から実施する。」ということが基本方針として大きな判断材料だ。もう一つは、夏も同じだったが「公務員の給与改定に関する取扱い」(8/25閣議決定)について要請があったということだ。国立大学法人もふくめて、「国家公務員の給与水準を十分考慮して国民の理解が得られる適正な給与水準とするよう要請」された。この2つを基本として決めたのが2頁の「取扱方針」だ。今回の人勧は(1)〜(4)の4つあり、(4)のボーナスが大きい。これを12月分で行わせてほしい。(1)本給、(2)住居手当、(3)地域手当の実施時期については、関係者の意見も聞きこれから決めていきたい。
今回は不利益変更になるが就業規則の変更によって行いたい。その際の要件が労働契約法第10条に具体的に上がっている。つまり、(1)労働者の受ける不利益の程度、(2)労働条件の変更の必要性、(3)変更後の就業規則の内容の相当性、(4)労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情、をあげているので、順次これにそって説明する。
年間の減 | 減の内訳 | ||
6月期分(暫定凍結分) | 12月期分(引き下げ) | ||
教育職(一) | △188,000 | △107,000 | △81,000 |
一般職・医療職 | △99,000 | △57,000 | △42,000 |
再雇用(フルタイム | △31,000 | △20,000 | △11,000 |
※総額で、教員は約4億3,800万円、職員2億3,800万円、合計6億7,600万円
給与・手当の項目 | 職種の別 | 月額の減 | 備考 |
---|---|---|---|
本給月額 | 教育職(一) | △919 | 若年者を除く |
一般職・医療職 | △585 | ||
自宅に係る住居手当月額 | △2,500 |
□組合 今、他大学準拠と言ったが、他大学に合わせなければいけない根拠は何か。
■折原理事 他大学に合わせると言ったのではなく、他大学の方針のことを言った。判断材料の一つだ。同じように要請されている地方公共団体などがどうするかといったことも重要な判断材料だ。そのうち本給月額の引き下げについては、翌年4月から実施するという本学の基本方針がある。これについては組合も含めていろんなところから意見を聞きたい。給与改定だけではなく、労働条件の改善はたえず考えなければならない。今回のことも契機として改善をはかりたい。
以上、法人側説明
■折原理事 長くなったが説明は以上だ。
□組合 組合が要求したことと、法人側の説明との間には大きな隔たりがある。先にこちらが要求事項を提案したが、それに対する回答が今の話だと受け取って良いか。
■折原理事 2点の要求のうち、1点目の不利益変更をしないことについてはそうだ。
□組合 0.1ヶ月引き上げるなんてとんでもない、0.35ヶ月引き下げる、ということですね。最初の回答として。
■折原理事 そうだ。
□組合 今は大きな隔たりがあるが、話し合いを重ねて、できるだけ歩み寄って落とし所を探したい。そのため誠実な話し合いをしたい。組合としては決裂したくない。できるだけ法人側と合意したい、と考えている。その点は了解してほしい。
今の法人側説明について、分からないところがたくさんある。互いに誤解があるのかもしれないので、それをひとつひとつ解決していくことによって合意点を見出すのがよい。
■折原理事 はい。
□組合 時間の制約もあるので、最初に2つ言っておきたいことがある。これは時間をとらないものだと思う。第一点。今の理事の説明は10/2役員会資料の説明だった。9/15部局長連絡会議では言われているのに、10/2役員会ではまったく言われていないことが一つある。
1ヶ月60時間をこえる超過勤務手当の支給割合を引き上げるという問題だ。これは労基法改正に対応するものだが、これに触れなかったということは、白紙撤回となったのか。具体的には、こう書いてある。「1ヶ月60時間を超える超過勤務手当の支給割合を150/100に引き上げることに代えて、有給休暇を付与できる仕組みを検討する」とある。これが役員会の資料にはまったくないので、これは白紙にもどったのか。組合の要求を言っておく。現在、有給休暇は消化率が良くない。5割を超えていないと思う。有給休暇を十分消化できない中で、60時間を超えた場合には有給休暇を付与するといっても、あまり効果がない。やはり割増率を150/100に引き上げるということで対応してほしい。これについて今議論するつもりはない。まず、白紙に戻ったのかどうか聞きたい。
■折原理事 これは別途の課題として検討しなければいけないことだ。これは途中段階の資料なので、また部局長連絡会議ということで、人勧にも盛り込まれている重要な話なので、部局長に大事なことを理解してもらうつもりで資料に入れた。本学には労基法が適用されるので、これの改正にはきちんとする。
□組合 今のところは白紙か。
■折原理事 これから検討するということだ。これについても同じように意見を聞き判断しなければいけない。
□組合 組合の要望は支給率の引き上げでやってほしいということだ。
■折原理事 意見として聞いた。
□組合 もう一つ簡単な確認をしたい。6月の臨時人勧によるボーナス「凍結」の際に、全学労使懇談会をおこなった。過半数代表者の意見を聞き、署名や記名押印をして労基署に届出された。聞くところでは、ある過半数代表者は署名や記名押印をせずに届けたという。それを法人側は労働基準監督署にそのまま持っていったのか。また、労基署はそれに対して何も言わなかったのか。
各事業場の過半数代表者がいろんな意見を出したと思う。その意見に対して法人側は回答したのか。あるいは回答する必要はないと考えているのか。今回も、過半数代表者を集めて全学労使懇談会をする際にいろんな意見が出る可能性があるが、その時に、過半数代表者が出した意見に対して法人側は答えるつもりがあるのかどうか、それとも答える必要はないと考えているのかどうか。
■折原理事 押印や署名のない意見書は事実としてあった。それについても労基署に提出して、受理されている。
□組合 何も言われなかったのか。
■折原理事 そのような事例がある。
■人事課長 意見書に署名や押印がなくても、意見を聞いたことが客観的にわかれば受理するという通知がある。
□組合 あとの方はどうか。
■折原理事 夏は、事業場長、過半数代表者宛に7/9付で文書(※組合註)を出した。いろいろ意見を聞いたが、それをふまえて出したものだ。その主旨はこういうことだ。意見書の中には、説明が不十分とか職員に対して直接説明をといった意見・要望があった。今回の凍結部分については、今回は凍結をすると判断したが、今回いただいた意見・要望をふまえて、12月期には職員に対する説明会を開催するなどして、より多くの職員の理解が得られるよう更なる配慮させていただきたいと考えている、と。組合からも要望をいただいたので、キャンパスをまわって直接説明したい。
今回実施した6月期(ボーナス)における特例措置については、その内容や提案するに至った考え方等を人事課HPに掲載し、職員の理解が得られるよう周知に努めたところですが、過半数代表者から提出された意見書の中には、「説明が不十分」、「職員に対し直接説明してほしい」等の意見や要望がありました。今回の措置により凍結された部分の取扱いについては、夏の人事院勧告、政府の方針、その時の情勢等を総合的に考慮した上で、本学としての方針を決定し、12月期におけるボーナス支給の際に判断することにしております。その際には、今回の意見や要望を踏まえ、職員に対する説明会を開催するなど、より多くの職員の理解が得られるよう更なる配慮させていただきたいと考えております。
□組合 キャンパスを回るのか。
■折原理事 そうだ。
□組合 いつから始めるのか。
■折原理事 今の予定では過半数代表者の全学労使懇談会は11/4(水)を予定している。役員会は11月の上旬であり、5つのキャンパスがあるので、できればその日のうちから説明会をおこないたい。
□組合 その日程はおかしいのではないか。組合と交渉が始まったばかりで、組合の意見はどうなるのか。全学労使懇談会ということになると、おそらく、我々はこう考えているので理解してほしいという形になるのではないか。
■折原理事 意見を同じように聞くことになる。
□組合 方針がある程度決まらないと説明会できないのではないか。それとも意見聴取のための懇談会か。
■折原理事 方針を、それまでに、できれば実施時期も含めて最終的なことを決めて方針を示したい。時期的にはそうしなければいけない。それについては理解してほしい。
□組合 4日までに組合と合意に達すると考えているのか。
■折原理事 そのようにお願いしたい。
□組合 もし歩み寄っても、合意にいたらない場合には、それについては包み隠さず話して意見を聞くようにしてほしい。
■折原理事 組合の交渉の内容やいただいた意見は話している。隠していない。
□組合 11月4日に予定しているということは、それまでに何回か交渉を重ねて組合の理解を得られると考えているのでよろしくということか。
■折原理事 得られれば幸いだと思っている。それに向けてきちんと努力しなければいけない。12月にやるとすると、さかのぼれば、そのくらいにしなければならない。
□組合 過半数代表者から意見が出ればきちんと答える必要があると考えているのか。
■折原理事 夏は先ほど説明したような形でこたえたが、法人側がどういう風に考えたかを答えなければならない。
□組合 過半数代表者は団体交渉権をもっていない。組合がどんな回答を引きだしたかに関心をもっている過半数代表者がいる。過半数代表者の意見に対して、法人側が見解を述べるつもりだと受け取って良いか。
■折原理事 もう一度。
□組合 過半数代表者が要望を出す可能性がある。こういう点はどうかなど。それに対して法人側はちゃんと答えるつもりがあると考えているのか。
■折原理事 夏もそうだったが、最終的な意見要望をいただくまでの間、過半数代表者から疑問点や質問もいっぱいもらった。その都度答えている。個別にも対応している。組合も過半数代表者に情報提供しているだろう。
□組合 当然、連携してやるつもりだ。
□組合 それではこの問題については以上として、中心的な論点に入る。
法人側提案は、「これまでの社会一般の情勢及び本学を取り巻く情勢等を考慮して」引き下げはやむを得ないということだが、国家公務員に比べて本学の事務・技術職員の給与水準が、ラスパイレス指数で88.8%だ。民間よりも国家公務員よりも1割以上低いということを表していると思う。この東北大学の現在の給与水準について、働きに見合った妥当な水準と考えているのか。
■折原理事 事実として、対国家公務員の88.8だ。これには地域手当やボーナスなどいろんな要素が含まれている。できるだけ上げていきたい。実際、過去から少しずつこの数値は上がっている。決して下がっていない。努力はしている。
□組合 時間がかかり過ぎではないか。いつからいつまでどのくらい改善されたということか。
■折原理事 2005年には86.3だったが、2008年には88.8だ。3年間で2.5改善した。いろいろ、たとえば人勧が来ても実施時期をずらしたりしたことの積み重ねの結果だと思う。問題だということはわかる。一方でいろんな状況があり、その中での総合的な判断だ。
□組合 低いということは認めるということか。
■折原理事 88.8なので。国と比べると。
□組合 妥当な水準ではない、低すぎるということか。
■折原理事 国といってもいろいろありその平均となる。他の独立行政法人も大都市にあるところが多いので一概には言えないが。このままでいいとは思っていない。足りないと言われることはわかる。
□組合 88.8というのはあまりに低い。
■人事課長 国のラスパイレスと比べて低いというが、そもそも国立大学は府県単位機関と、地方の出先機関との中間的な位置付けだ。一般職の国家公務員は独立行政法人になってどんどん外れていっている。それにともなって、本府省・管区の公務員の比率が高まっている。そういう背景がある。地域手当の違いもある。そもそも違うという背景がある。
■折原理事 数字としては重要な数字だが。
□組合 計算上出ているが、妥当な水準だということか。
■人事課長 数字だけをもって低いから上げろというのはちょっと違う。
□組合 それをもう少し説明してほしい。
■人事課長 そもそもの比較の背景が違う。
□組合 88.8は本学が計算したものだろう。課長が計算したのではないのか。
■課長補佐 給与水準の公表ということでhpにあがっている数字は、人事院から文科省経由で88.8だということを示された数字だ。本学がいろんなデータを調べた結果ではない。
□組合 文科省の計算は間違っているのか。
■課長補佐 間違っているとは言っていない。
□組合 あの数字を信用して良いのではないか。
■折原理事 数字としては事実だ。昔よりも上げる努力をして上げている。しかし単純に国が100で東北大は88.8だからというのは、構造的に必ずしも単純に比較できるようなことではない。法人はきちんと上げる努力をしている。
□組合 仙台市は国家公務員より高い。
■折原理事 県も高い。
□組合 仙台市は赤字なので今度は下げると思うが。うちは黒字なのにこういう状態だ。理事は、低いと思っているということではないか。今の88.8は妥当な水準とは思っていないのではないか。
■折原理事 上げる努力をしている、ということだけだ。これは数字であり、何に比べて低いということは単純には言えない。100に比べると88.8はたしかに低いが、単純に比較はできない。昔よりも上げる努力をしていることが大事だ。わかってほしい。
□組合 だからこれは一つの基準だ。
■折原理事 基準だ。
□組合 人勧にしたがって下げると言っているから、こちらはこういう数字を出すのだ。
■折原理事 総合的な判断をする材料だ。
□組合 人事院勧告で公務員が下がる、だからそれに合わせて下げると最初に説明したのではないか。比較するのは当たり前ではないか。法人側は、引き下げる理由として、人勧でそうなったので、東北大学も人勧にあわせて引き下げると言ったのではないか。
■折原理事 基本方針に基づいて判断している。
□組合 人事院勧告にもとづけば公務員との関係はどうなっているのか、我々としてはその数字を出すしかない。
■折原理事 出して構わない。
□組合 だから聞いた。
■折原理事 答えた。
□組合 では低いということは認めるということか。妥当な水準だということか。
■折原理事 100に比べると88.8は低いと思う。しかし単純に比較できるような数字ではないということを理解してほしい。我々が重視しているのは、前の数値と比べていかに上がってきているかということだ。
□組合 格差を縮小するように努力してきたし、これからも努力するということか。
■折原理事 そうだ。法人化の時に86.3だった数字を上げるような努力をしてきたし、これからも上げていきたい。今は88.8だということだ。
□組合 次に進む。今の答えで納得したわけではないことは言っておく。
□組合 先ほど教員の場合や職員の場合でどれ位不利益をこうむるかという数字を上げてもらった。総額でいくらになるか。
■折原理事 ボーナスの部分と給与の部分がある。ボーナスの部分で言うと、総額でどうなるかというと、12月で改定した場合は、年間で約6億7,000万円になる。
□組合 職員と教員をわけてどうなるか。
■折原理事 年間で教員は約4億3,800万円、職員は2億3,800万円、合計6億7,600万円という計算をしている。
□組合 およそ7億円弱ということか。だいたいそうだと思う。
□組合 9/15部局長連絡会議資料では、指定職も引き下げるとあった。役員は、指定職の本給表を適用することになっている。役員給与規程は提案されていないが、どうなるか。
■折原理事 役員も下げる。もともとの月数が違うが、同じように下げる。
□組合 同じとは。
■人事課長 マイナス0.25月だ。
□組合 今回の交渉のテーマとは違うが、大学の損益計算書には、教員人件費の項目がある。そこで役員の人件費とわけて書いてある。もう一つ、東北大学の役職員の報酬給与についてという別のファイルがある。そこにも役員の報酬・給与が出ている。両者に大きなギャップがあるがそれは何か。
■人事課長 損益計算書には非常勤役員の人件費、福利厚生費(事業主負担分の共済掛金)、常勤役員の退職手当が含まれているので、公表の数字とは少し違う。
□組合 副学長の分ではないのか。
■課長補佐 違う。
□組合 退職手当なら、退職者がいないときにはゼロにならなければいけない。いないときでも億円、何千万円という差だ。たとえば7,300万円とか、1,900万円とか、1億3,700万円とかだ。このギャップが退職金のはずはない。おかしい。
■人事課長 共済の掛金や非常勤の役員もある。
□組合 非常勤役員分も、すでに計算済みだ。
■折原理事 技術的な話なので、時間がもったいないのでやめよう。
□組合 全部外に出ている数字だ。調べておいてほしい。確認するが、ギャップは、退職手当、福利厚生費か。
■課長補佐 常勤役員の退職手当と常勤役員の福利厚生費の分が損益計算書に入っている。
□組合 別の資料(役職員の報酬給与)に役員の退職手当も明記されている。役員で退職した人がいないときは、数字が少なくなるはずだ。福利厚生費がたいへんな高額になるはずがない。億単位の額だ。調べて教えてほしい。今の答えではおかしい。(※組合註)
以上のやりとりにおいて、法人側はギャップを「役員の退職手当と福利厚生費」であると説明し、組合側はこの説明に納得しませんでした。もし、法人側の説明が正しいとすれば、退職手当の計上時期が法人側の二つの公表資料においてずれがある、ということが考えられます。年度ごとに見ると、退職手当と福利厚生費では説明がつかないのですが、年度を超えてならしてみるとある程度説明がつくからです。この点は、次回の交渉で確かめます。
□組合 先ほど、ボーナスについては総額を聞いたが、給与については聞いていない。
■折原理事 給与の減は、実施時期によって違う。仮に国と同じように12月から実施すると、国の場合には4月にさかのぼるので1年分になるので、教員は年間では3,600万、職員は1,400万、合計5,000万。12月実施や1月実施など、実施時期によってそれが下がってくる。国と同じようにいく場合、年間5,000万となる。
□組合 月額なので年俸制の人は下がらないのか。
■折原理事 契約ベースなので下がらない。ただし、年俸制は年額での契約だから来年の契約についてそれぞれ考える際の判断材料になる。
□組合 人件費5%削減義務というのがある。
■折原理事 2005年度を基準にして2006年度から5年間で5%削減だ。
□組合 本学の場合、2008年度の時点で9.1%下げている。超過達成状況だ。頑張り過ぎではないか。あと2年あるからこれでいくと10%強になるのではないか。職員は業務が増えているから忙しくなっている。理事もそうだろう。職員が多忙になっているのに人件費が減っている。それは職員数が減っているからだ。本学Hpにも載っている。職員数を削減することによって達成したと。仕事が忙しくなり、給与が下がっては救われない。職員の負担が増えていることははっきりしているので、その負担増に昇給で報いるという考えがあってもいいのではないか。先ほど、86.3%から努力したということだが、もっと上げてほしい。どうか。
■折原理事 総人件費改革は義務だ。2005年度から5年間で5%削減だから、目安としては1年で1%削減という目標だ。また事務職員が多忙になっていて、かつ、人数も減っているのは事実だが、この総人件費改革は教員の分も含んでいる。途中で9.1%下がっている。これは事実だ。大きなところは実は教員だ。もう一つ、総人件費改革の対象の給与は、いわゆる退職者台帳をもっている人の分の人件費だ。本学の場合は事務職員もある程度定員削減しないと達成できないので、計画にそってやっている。そのかわり非常勤職員を多く雇用したり、教員でいうと定員削減になじまないところがあるので、それぞれのところで年俸制にかえたりして対象から外れる人が出てくる。それで瞬間的にそういう数値が出てくる。この状況は他大学も同じだ。最広義の人件費で見ると、人件費は実は増えている。これはまた別の問題になる。この数字については最終的に5年後どうなるかという話はあるが、今教員でいうとプロジェクトでの雇用に移って年俸制になったり、労基法の任期がついたり、事務職員でいうと非常勤職員に振り変わったりしている。
□組合 5%は法的な義務だから守らなければいけないが、すでに9.1%なので、そんなに頑張る必要はない。何%を目標にしているのか。
■折原理事 次期の中期目標期間のことも考えなければならない。皆一律に昇給・昇格すると、後年度以降に影響を及ぼす。運営費交付金もどうなるかわからない。勤勉手当等で、それに影響されない形でやることは大事だと思うが、後年度にそのまま負担がいくような形で一律にというようなことは難しい。これは理解してほしい。対象者は職員だけでなく、教員も入っている。雇う、雇わないということも影響している。雇った場合にも、台帳に載らない形で雇っている人もいてそういう人は除かれている。理解してほしい。
□組合 言われていることはわかるが、9.1%はどう見ても頑張り過ぎだ。あと2年だが、職員給与を相当上げない限り、超過達成は間違いない。
■折原理事 たまたまこうなっているのでわからない。事務職員は計画になじむが、教員のところは難しい。
□組合 5%削減の基礎となる2005年度の人件費はいくら位か。400億円とか350億円位だと、1割低いだけで30数億円だ。
■折原理事 人件費は500億円近いのではないか。
□組合 1%超過達成でも相当の数字になる。
■折原理事 部局の積み上げであり、部局によって事情が違うということがある。
□組合 教員人件費についてはそうだろう。
■折原理事 教員人件費については抱き込みの数字になる。
□組合 財源の問題だが。先ほど、あと2年間の間に事態がどうなるかわからないので心配だ、たとえば給与を上げた場合に目標達成できるかわからない、という話だった。
■折原理事 はい。
□組合 それから、本学の経営実績を考慮して職員の給与を決めなければいけないと言ったが、経営状態は良いのではないか。財源がないのならばしかたないかもしれないが、東北大は役員の活躍もあって多額の純益を出している。過去5年間の利益剰余金は133億円で、内訳は、目的積立金は55億円、積立金は31億円だ。積立金というのは現金の裏づけがないということだが・・。加えて昨年度の当期未処分利益46億円。これも半分くらいは目的積立金にいくのではないか。このように非常に大きなお金がある。この目的積立金をどのように使うつもりか。人件費に使うべきだ。使い道が決まっていて手をつけられない状態なのか。
また、第一期の中期目標期間が今年度で終わる。次年度から第2期に入る。目的積立金は期を超えて持ち越せないという話もある。そうなると国庫に返納するのか。持ち越し可能なのか。
■折原理事 今年度で第1期は終わるが、(返納かどうかは)国ではっきり決まっていない。
□組合 感触ぐらいはあるのではないか。
■折原理事 はっきりとはわからない。担当でもないので。先行独立行政法人で見ると、返納させられている。
□組合 もし返納ということになれば、国庫に返納するために積み立ててきたことになる。
■折原理事 そういうことにはならない。
□組合 ではどうする。
■折原理事 大学の教育研究の発展のために使う。
□組合 今年度内に使ってしまうということか。
■折原理事 今までもそうだ。目的積立金は年度ごとの承認だ。
□組合 使わなかった分は次に持ち越される。
■折原理事 持ち越される。6年間の間は。
□組合 さっき言った数字は今年の3月の数字だ。
■折原理事 年度ごとに、また目的積立金として認められるかどうかは文科大臣の承認だ。
□組合 知っている。
■折原理事 確定しているのは、2005、2006、2007年度までが大学で頑張った分だと認められ、そこまでしか確定していない。2008年度は、例年で言うと12月くらいに承認される。
□組合 たぶん20億円だろう。
■折原理事 2009年度もどうなるかわからない。今年度のものは余さずに使う。
□組合 使うのか。今年度分だけが問題ではない。一つの(中期目標・中期計画)期間の中で繰り越すことができる、そしていつでも使えるというのが目的積立金だ。ただそれを来年度に持ち越せるかどうか、という話だ。
■折原理事 次期の2010年度への持ち越しはダメだ。はっきりと区切りがあるから。はっきりとはしていないが、たぶん先行独立行政法人の例で言うとそうなる。(目的積立金を)将来の大学の発展のために使うのは当然だ。
□組合 今、不確定要素があるように言ったが、文科省は、目的積立金としての申請をほとんど100%認めているはずだ。剰余金が出たとき、現金の裏付けのあるものはすべて目的積立金にしたいということで、ほとんどの法人がそれをしている。文科省は今までそれを全部認めている。
■折原理事 毎年、精査した上で協議している。国の税金なので財務省協議となる。その結果なので2007年度の分も遅くなっている。
□組合 今年は8億円くらい出るだろうと予想しているのではないか。
■折原理事 それは執行計画の中の話だ。教員人件費は部局渡しきりで執行するなど、本部管理でない部分もある。
□組合 渡し切りでやっている分についてはどうなるのか。
■折原理事 そういう部分を大学の目的積立金としてどう執行するかが大事だ。担当理事、総長が苦労してやっている。
□組合 (執行すると言っても来年)3月までではないか。今計画がないと、消化するといっても難しいのではないか。
■折原理事 大学として執行計画はある。それを公表できるかどうかは、担当理事でないのでこの場で答えられない。
□組合 積み立てられたものは今年度内にすべて使い切るつもりだということか。その中には人件費として節約されたものがかなりあるはずだ。やはり建物か。
■折原理事 いろいろな計画がある。教育研究の発展のためというのは同じだ。それについて私が話せるか、という問題はある。
□組合 それはそうだろう。
■折原理事 (目的積立金の原資は)人件費だけではない。人件費も運営費交付金(の一部)だし、実員と定員の乖離のようなものもある。
□組合 私の見るところ、経常的経費で取り崩しているのはごくわずかだ。昨年度だったか、建物整備等というので20億円というのがあった。これは相当大きな建物を作るのでない限り消化できないだろう。(これまでの積み立て分と今年度の分とで)100億円以上になると思うが、これを今年度中に執行する予定だということか。内容については言えないようだが、きちんと執行計画をたてて使うということか。
■折原理事 そうだ。
□組合 教員人件費は渡しきりなので、部局に任せているということでよいか。
■折原理事 渡しきりはそうだ。
□組合 職員の場合は2.4億円くらいか。
■折原理事 そうだ。
□組合 これは本部管理か。
■折原理事 本部管理だ。
□組合 これはどうするつもりか。
■折原理事 職員のために使うように考えて働きかけていきたい。いろんな意見がほしい。給与でくれというのは難しい。
□組合 組合の要求ははっきりしている。人件費で使ってほしい。たとえば昇給も考えられるだろう。
■折原理事 後年度にひきずる。
□組合 これだけたまるのだから大丈夫だ。
■折原理事 それはわからない。
□組合 ボーナスなら今回限りだ。
■折原理事 ボーナスならそうなる。
□組合 どうしても引き下げ改定を行うというのなら、一律に昇給させたら良いのではないか。あとに引きずるのでやれないというが、剰余金の積立具合をみれば、建物を建てることさえやめれば次期の6年間できると思う。
■折原理事 難しい。建物は不要だと思うか。
□組合 建て過ぎだと思う。
■折原理事 (大学創立後)100年経ったが、これからの100年を考える必要がある。施設補助金をもらって耐震をすすめてきたが、まだまだ古いところはいっぱいある。
□組合 それでは計算してみるか。たとえば職員の給与を1つ上げたら、年間どれだけ使うのか。そんなにいかないだろう。おそらく毎年本学が出している利益剰余金の1割になるかどうかだ。
■折原理事 人事担当理事だから職員のことを考えなければいけない。しかし大学の計画がある。
□組合 教員のみなし労働時間を8時間にしたらどうかという案も我々にはある。これは実質的に15分の給与引き上げと同じ効果がある。教員の労働時間が7時間45分ということはほとんどありえない。実際にはもっとたくさん教育や研究に時間を割いているはずなので、せめて15分ということだ。これも検討してほしい。教員のみなし労働時間を7時間45分からたとえば8時間にするということも考えられるのではないか。
■折原理事 教員の裁量労働制のことか。本学の勤務時間は決まっている。教員は専門的な教育や研究できまった時間に収まらない部分があるだろうが、事務職員と同じように働いたことにしようという話だ。どの教員にも一律に15分の超勤手当を払うと、事務職員の超勤手当を減らさなければいけなくなる。今度国の定年延長もあり人件費が必要だ。教員も職員も関係なく考えなければいけなくなると思っている。教員だけ超勤手当を払うことはできない。
□組合 私の方からは最後の質問になる。他の人からはさらにあるかもしれないが。
■折原理事 私はもう時間がない。次の大事な用事に間に合わなくなる。
□組合 人勧にともなう給与問題に関する第1回の交渉が始まったばかりだ。互いにかなり離れていることがわかったところだ。できれば互いに歩み寄って落としどころを探りたい。そのためには、労使交渉に要する十分な時間の確保が必要だ。これは役員会の基本方針に書いている。アンダーラインも引いてある。理事も言ったと思う。これをぜひ守っていただきたい。今回まだ1回しかやっていない。組合と十分な交渉もしないで全学労使懇談会を開くということはしないでほしい。組合と十分話し合ってある程度の方針が出たところで、全学労使懇談会をしてほしい。今は方針も出ていないし、我々も納得していない。もう少し組合との交渉を積み重ねた上でしてほしい。
■折原理事 開いている時間だったら、いくらでも交渉する。組合も大事だが、別な担当もある。土曜日でも日曜日でも良い。
□組合 こちらが今言っていることは、法人側が書いていることだ。十分な時間を確保する、と。実施するのは翌年4月からにする、ということも書いてある。
■折原理事 基本方針だ。
□組合 給与規程の改定をそんなに急がないということになるだろう。たとえば12月のボーナスを一挙に下げるということならば、12月1日の改定をあるいは念頭においているのかもしれないが。これは役員会の基本方針にも反するのではないか。組合との十分な交渉を重ねた上で、改定するなら改定してほしい。
□組合 人勧を重要な参考資料としてということだが、人勧以外に考慮した内容を聞きたい。いろいろ考慮した結果、なぜ人勧といっしょの数字になるのか。
■折原理事 人勧は重要な参考資料だ。閣議決定で要請されている。一方で本学の基本方針がある。そのバランスでどうするかということだ。
□組合 今日は時間が足りないが、やはり11月4日前に早急に継続交渉をしないと、提示された理由については、まだまだ説明が足りず、納得もできない。
□組合(顧問弁護士) 今話があったように、委員長としても、組合としてもできる限り折り合いをつけたいと考えている。今日の説明では人勧というものがどうしても大きいということで、また改善の代償措置という話も抽象的で、その辺の先がまったく見えない。そういう状況で人勧をまるで金科玉条のように使って、結局、当法人の必要性の吟味がなされず、結論ありきで、単に組合の意見を聞いて交渉をしたというのでは、労働契約法第10条にもとづく交渉の経緯の要件を満たさない。不誠実団交として場合によっては労働委員会による救済という形をとらざるを得ないということも考えられる。11月4日という後ろがふさがった状態でどんどん進められることをこちらは危惧している。ぜひ必要性をしっかり吟味して、今後も団体交渉をきちんと続けていってほしい。よろしくお願いする。
■折原理事 そのつもりだ。当然、過半数代表者への説明があっても、場合によっては引き続きということはある。当日この状況も説明しながら、ということになる。
□組合(顧問弁護士) ぜひとも折り合いをきちんとつけてほしい。
■折原理事 わかった。
□組合 給与を減らすという話だから、浮いた分は何に使うか、使途を明確にしてほしい。建物を建てるということは、みんなのポケットからお金を集めて建物を建てるのと同じことだ。寄付の強制に近い。人件費を浮かせた分は人件費で返してほしい。何に使うかわからないということでは困る。
■折原理事 わからないのではなく、言えないということだ。
□組合 言えないなら言える人を。うやむやは困る。
■折原理事 今度言えるなら伝える。
□組合 理事の口から言えないのならば、言える人を呼んでほしい。要求の2番について。たとえば、人勧にしたがって6月・12月で0.35減らして、3月に0.35出すということもできるのではないか。折り合いの一つだ。
■折原理事 なかなか説明が難しいのではないか。
□組合 6月の交渉では凍結といい、引き下げではないと言っていたが、いつの間にか引き下げだと言っている。交渉の場を公にしておかなければいけないのはそういうところだ。
■課長補佐 今日の交渉はこれで終了する。