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1月20日 団体交渉報告−組合12項目要求の趣旨説明−

※文責は組合にあります。見出しも組合にてつけました。

2010年1月20日(水)14:00 - 15:15
本部第1会議室

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■課長補佐 これから団体交渉を始める。組合申入れの交渉なので組合から発言する。

■理事 その前に、今日の交渉は、組合の要求項目についての趣旨説明だが、新年第1回の交渉なので最初に若干挨拶をしたい。
 ひきつづき国立大学法人をめぐる環境には厳しいものがある。今年が本学にとっても職員一人ひとりにとっても良い年になるように頑張りたい。よろしくお願いする。
 2010年度政府予算案が発表されている。現政権下で個別の事業がどうなるかという問題もあったが、とくに運営費交付金がどうなるかという問題が大きかった。結果的に、効率化係数1%減、病院にかかる経営改善係数2%減がなくなった。合計で、本学の場合これまでは毎年約9億円ずつ機械的に減ってきたが、それがなくなる。その代わり、臨時的減額として、2010年度は1.8%減、本学では約7億円の減となる。1%減、2%減と比べて機械的に減らされる分は少なくなったので、2010年度政府案については良かったと思う。但し、この1.8%減については、病院をもっている大学かなど、ジャンルによって異なった%があり、臨時的に係数をかけたということなので、次の年度以降どうなるかはこれからの問題だ。これについても今後注視していかなければならない。このように、機械的に減る分としては昨年よりも約2億円が助かった。しかし総額では、2009年度にはじめて総額500億をきって496億円になったが、2010年度予算案では496億円から484億円へと12億円の減だ。
 経営的にも厳しい状況が続くが、経営陣一丸となって対応していきたい。本学の教育研究が発展するように、互いに協力し合い、できるところは一緒にやっていきたい。教職員にとってもきちんと働けるような環境整備につとめていきたい。理解と協力をお願いしたい。

□組合 今回の交渉は今年度通算で4回目だ。組合から12項目の要求項目で申し入れている。今回は各項目の趣旨説明をしたい。

要求項目1. 期末・勤勉手当および本給を引き下げる労働条件の不利益変更を行わないこと。

要求項目2. 教職員の一時金を0.1ヶ月引き上げること。

□組合 最初の2項目については、10/21、10/28、11/11の3回の交渉の中で議論してきているので、内容については承知していることと思う。

関連;「折原守理事及び東北大学役員会に対する抗議文」について

□組合 この2項目に関連して、昨年12月15日付で、月例給の引き下げに関して組合としては「折原守理事及び東北大学役員会に対する抗議文」を出した。その中にあるように、1月実施は突然のことで予想していなかった。2010年4月1日からの実施だと予想していた。たしかに理事は2010年4月1日実施と明言していたわけではないが、さほど急いでいるようには見えなかった。しかし12/1の経営協議会・役員会後、すぐに12/8全学労使懇談会が設定された。開催の仕方も非常に慌ただしかった。我々には納得できない。なぜこうなったのか説明してほしい。理事としては、当初からの計画通りのことなのか。もしそうだとしたならば、もっと早くから言明してしかるべきだが、それはなかった。この辺の経緯を聞きたい。要求の趣旨説明とは異なるが、関連して説明してほしい。3以下の要求項目については、その説明を聞いた後で趣旨説明したい。

■理事 そのような印象を与えたのならば、こちらの対応の仕方に、あるいはまずいところがあったのかもしれないが、2009年度の給与改定については、当初から、本学の基本方針や人勧の状況など諸要素がある中で総合的に判断する、と説明してきた。月例給の改定についても、ボーナス引き下げの提案時からその背景を説明し、全学労使懇談会でも団体交渉でも、実施時期について意見を聞きたい、とお願いしてきた。
 給与改定の時期については、それまでに出てきた意見をふまえて対応することを基本にしていた。本学の基本方針では「翌年度実施」となっており、私もそれについて言及してきたが、今年度の人勧や他大学の状況など諸要素を総合的に判断して、今年1月1日実施ということになった。それに合わせて、意見を聞く会議を設定した。理解してほしい。

【組合注】
 役員会の「平成21年人事院勧告に伴う本学職員の給与の取り扱い方針(案)」は、2009年9月の部局長連絡会議に提案された中間案でも、10月2日の役員会決定でも、「本給月額の引き下げ等の給与改定については、本学の基本方針等を踏まえ、実施時期について検討」「ただし、ボーナス(期末・勤勉手当等)については、これまでの社会一般の情勢及び本学を取り巻く情勢等を考慮し、12月期に支給割合の引き下げ改定を行う。」というものであった。

□組合 それは12月1日の役員会、経営協議会で決まったことか。その前には、1月1日に実施するという言明はなかったので、その前の役員会では決まっていなかったと思う。12月1日になって突然出てきたものだという印象を我々はもっている。

■理事 当然、給与改定は経営側にとって一番大きな事項の一つだ。団体交渉のことも含め、その都度、総長はじめ関係者に相談してきた。役員会や学内の会議の状況は、議事録を大学hpにアップしているので見てほしい。今回の月例給改定の1月1日実施については、12月の役員会に最終的に諮って手続きに入った。

【組合注】
 12/1役員会議事要録によると、「その他」の議題の中のさらに「その他」の項目として「平成21年度給与改定について」があり、折原理事が『平成21年度給与改定について』を提案・説明し、審議の結果、教職員については平成22年1月から実施し、役員については平成21年4月から調整して実施することが決定された。

□組合 2005年12月17日の役員会で承認された「本学職員の給与の取扱いに関する基本方針」のなかで、「給与改定の実施時期については、翌年4 月から実施する」という項目があるが、これは完全に撤回され、反故になったのか。

■理事 「本学職員の給与の取扱いに関する基本方針」という役員会決定は、前提条件の一つだ。

□組合 3項目ある。

■理事 そうだ。

□組合 その3番目が、実施時期について述べている。

■理事 「給与改定の実施時期については、翌年4月から実施する」と書いてある。

□組合 この規定はまだ生きているのか。

■理事 生きている。総合的に判断する上での一つの大きな材料だ。単独にこれだけで判断するものではない。人勧や閣議決定の要請など本学をとりまく情勢が変わる中での、その全部を含めての総合的な判断として決定した。

【組合注】
これまでの交渉では、判断材料は基本方針と閣議決定であり、他は人勧を含めて参考資料という回答だった。今回は、すべてを材料として、その上に役員会の総合判断をおいたことになる。

□組合 基本方針が3項目ある中で実施時期について書いてあるのはこの3番目の項目だけだ。「翌年4月から実施」というのが、この項目の一番大事なところだ。先日の説明では、ボーナスについては12月実施でやらせてほしいということだった。だから、これは例外的なことであり、月例給については、原則通り2010年4月だと解釈した。その月例給も1月実施ということになると、基本方針は完全に反故になったと思いたくなる。反故にはなっていないということか。

■理事 基本方針はそのまま生きている。基本方針に照らせば、ボーナス改定時期を12月にしたことは、例外という表現は使わなかったかもしれないが、基本方針に従えなかったということだ。しかし、基本方針だけで給与改定をしているわけではない。理解してほしい。その時々に判断する材料がたくさんあり、法人として判断した結果だ。

□組合 関連して、過半数代表者に対しては、12/8全学労使懇談会で1月実施を説明したが、組合には一言も説明がなかった。組合は完全に無視されたと考えている。これについてはどうか。

■理事 意見をふまえて実施する、ということはずっと言ってきた。それまでにもらっている意見・内容は十分理解している。ボーナスの交渉の中でも、本給部分についてずいぶん考えや要望を聞いている。それらはすべて踏まえている。選択肢もすべて示してきた。交渉の中で一つ一つ回答している。実施時期についても選択肢の説明をしてきた。組合の意見は、実施すべきではない、もし実施するのならば、実施時期は基本方針にしたがって翌年度にすべきだ、というものだった。それも十分理解した上での決定だ。

□組合 12/1経営協議会、役員会で実施時期を協議したと思う。その資料に「2010年4月から実施」「2010年1月または2月から実施」「2009年4月から実施」という案が平行して出されていた。12/1までの段階では決まっていなかったということではないか。資料を見る限りでは「2010年1月1日にしたい」という案ではなかったということではないか。

【組合注】
 12/1経営協議会、役員会で検討された3つの選択肢のうち、「2009年4月から実施」(不利益遡及)は、それまでの団体交渉では、選択肢にない、と説明されていた。

■理事 それはhp掲載資料(「役員会等会議資料・議事要録(メモ)」学内アクセス限定)のことか。

□組合 そうだ。

■理事 それを材料として意見をたたかわせて、大学として決定した。

□組合 「1月にしなさい」という意見が多かったということか。

■理事 決定としてはそうなった、ということだ。

□組合 それは経営協議会の方か。

■理事 経営協議会は決定に至る判断をする上で、様々な立場からの意見を聞く機関だ。公表できるのはhpに載っている範囲だ。

□組合 経営協議会の議事録がまだ出ていないので確認できない。

■理事 いずれにせよ、経営協議会でも十分意見を聞き、その後の役員会で大学として決定した。

□組合 今回の交渉は組合要求の趣旨説明の場なので、これについてはここまでとする。抗議文で述べた通り、我々は今回の措置について全く納得していない。このことは心にとどめてほしい。

要求項目3. 昇給・昇格を前倒しし、昇給枠・昇格枠を拡大すること。

□組合 理事は、本学のラスパイレス指数が上がり、100に近づくように、これまでも努力しており、これからも努力すると言った。本学の給与制度は、国家公務員の給与体系とほとんど変わらないので、その中でラスパイレスを100に近づけていく方法は限られている。昇給・昇格を国家公務員の場合よりも多くしていかないとラスパイレスは上がっていかない。これ以外の方法は思いつかない。給与体系を変えるなら別だが、それは法人側も考えていないだろう。せめてこのくらいはしてほしいという要求だ。

■理事 「昇給・昇格を前倒しし」というが、この「前倒し」の趣旨がわからない。

□組合 人事課で、毎年、昇格・昇給の枠というものがあると思う。たとえば100人のうち20人について4号俸ずつ上げるとか、30人を3号俸ずつ上げるといった枠があるのではないか。

■理事 法人化前は定数のようなものがあったが、法人化後は人件費で管理している。人件費については、総人件費改革によって、毎年1%削減というルールがある。基本的には在職者がもとになる。技術職員を例としていえば、補佐級に何人、課長級に何人在職しているということが前提となって、これを翌年度にどうするかという話になる。概ねポストに見合った給与になるので、それを一つの目安としてポストや人員を減らして、人件費を管理していく。目安としては、減ポスト数と減員数とがあるだろう。むやみにポストや人員を増やすと人件費管理ができなくなる。もちろん仕事の増減との見合いによる。ルールは毎年1%の減ではなく、2010年度までに5%減だから、その枠内にあるなら良い。

□組合 「前倒し」について具体例で言う。たとえば、今年2号俸上がり来年また2号俸上がる、というケースがあるとする。つまり2年間に4号俸だ。「前倒し」というのは、これを最初の年に4号俸上げたらよいということだ。次の年には、余裕があれば上げてほしいが、余裕がなければ据え置くという可能性もある。そうすると、本来ならば来年上がる2号俸が、今年上げるために、来年は上がらない。しかし、前倒しした分だけ実質的に給与増になる。

■理事 来年度の増になる分を、今年度、増にしてしまうということか。

□組合 そうだ。給与引き下げによって浮いた財源がいっぱいあるので、たとえばそのようにして、職員の実質的な給与増につなげることができるのではないか。これが「前倒し」という意味だ。

■理事 わかる。

□組合 2年間に4号俸上げるという点では同じなので、理事がいつもいう「後年度負担」という問題はない。前倒しした期間について、職員は実質的な給与増、収入増になる。そういう方法があるのではないか。今回のように、運営費交付金は減らされていないのに給与が減らされている場合、人件費としてこのように還元できるということだ。前倒しと拡大とは違う。

■理事 わかった。

□組合 何かないかと思い、考えた。ぜひ検討してほしい。

■副学長 昇給は毎年1回だ。2年分を前倒しして、1年分は昇給なしでよいということか。

■理事 前倒しということは、そういう場合もあるということだと理解している。

□組合 そうだ。

■副学長 ということは、2年経過した時点で見れば、本来予定していた通りのカーブを描くのではないか。

□組合 いろんな方法があり得る中で、これは一つの方法だと思う。一旦上げたらそのまま未来永劫ずっと上げっぱなしということではなく、法人側が「後年度負担」を強調するので、もう少し現実的に考えた。この方法ならば、前倒ししている期間だけ法人の負担が大きくなる。

■理事 上がることは変わりない。後年度負担は出てくる話だ。回答の時に話す。

□組合 職員だけで2億4,000万円毎年浮く。それを還元することを考えてほしい。教員人件費については部局渡し切りの予算なので別問題だ。

■理事 まさしく経営の問題だ。余ったからその時に使えば良いという話ではない。大学の将来や、人勧が上がった場合のことも考える必要がある。

□組合 上がったら、その時に考えれば良い。

■理事 それでは責任をもった経営判断とはならない。

□組合 現状では上がらない。上がる前に人勧が廃止される。

■理事 そういったことを踏まえて、いかにすべきか考えなければいけない。

要求項目4. 不払い残業をなくすため、管理監督者の責任で、所定終業時刻に業務を一旦中止し、必ず超勤命令を出した上で残業させること。

□組合 これはそのまま本来あるべき姿を言っている。上司が知っていて、残業しなさいと命令して、残業させる。上司の命令による残業だから、当然、超過勤務手当を出すことになる。こうした形をとらずに残業をしているとサービス残業になってしまう。サービス残業を減らすためにきちんとやってほしい。本部はこのようにやっているか。

■理事 いろいろな選択肢があるだろう。このようなことをしないとサービス残業になりがちだという要求趣旨だろう。サービス残業をなくすのは当然だ。その場合に、仕事の能率等も考えて、実際にどのような形態が良いか工夫すべきだ。

□組合 本部は定時退勤日を設けているか。全学共通か。

■理事 全学共通ではない。全学で部局の実態をふまえて設定するよう推奨している。本部のノー残業デーは水曜日だ。

□組合 本部はいつでも夜中まで電気がついているという話もある。

■理事 大きな課題だ。

□組合 他部局には定時退勤日を設けなさい、といっているのに、本部がしないのはけしからんという話もある。

■理事 設けていても仕事の性質上、やむを得ないという場合もある。その結果として電気がついているということだろう。

□組合 趣旨説明なので、次回交渉で回答をもらうための例、ヒントとして述べた。以下は職種ごとに要求項目を挙げている。

要求項目5. 教員
(1) 助教の待遇を改善すること。

□組合 どういう形でも良いので、助教の待遇改善をしてほしい。一例として、本給の調整額を使うという方法もある。現在、助教には調整数1が適用されている。修士課程の指導をするということだろう。就業規則では、博士課程を担当する人には調整数2を適用できる。これを適用すれば待遇改善になるので、適用できるようにしたら良いだろう、という提案だ。たとえば、私がいる経済学研究科では助教がゼロなので実態が良くわからない。理工系や研究所で助教がたくさんいるところでは、助教は、名目上、博士課程の学生の指導教員にはなれないが、実験指導等を通じて、実質的な指導をしていると言われている。理事も文系なのでわかりにくいかと思うが、理系の助教はそのように思っている。むしろ名目上の指導教員よりも指導していると考えている人も多い。実質的に指導しているのに調整数1では不満だ。待遇改善の一環として調整数2が適用できるように考えられないか。厳密に、就業規則等にあるものを当てはめて考えようとすると難しいと思う。助教は指導教員になれないし、講義のコマ数という点でも現在の条件を満たすことは難しい。むしろ調整数2を与える条件を緩和して、現在の実態に合わせて調整数2を適用してほしい。その方法を考えてほしい。同じ文系でも文学研究科や法学研究科には助教はいる。助教の業務実態は部局によって違う可能性があるのではないか。ある部局で、助教に調整数2を与えても良い、というところがあれば、その部局の助教については調整数2を与えられないかどうか、考えてほしい。就業規則の解釈を柔軟にしたり、条件を緩和したりして、助教について、たとえば調整数2をつけるという方策を考えてほしい。もちろん、これは一例であり、他に改善する方策があればそれでも良い。

(2) 教員の定年を65歳まで延長すること。また給与水準の維持に努めること。

□組合 「教員の定年を65歳まで延長すること」はすでに12月の役員会で決まったことか。12/1役員会の議事録に書いてある内容で間違いないか。経営協議会は、前回は定年延長を承認しなかったが、今回は承認したのか。

■理事 議事録を見てほしい。当然、経営的な観点から様々な注文はある。大きな方向性は決まった。

【組合注】
 12/1役員会資料・議事要録によると、「教員の63歳継続雇用について(案)」が提案・承認されている。主な内容は、(1)65歳定年への段階的引上げ、(2)全学にかかわる管理運営業務には携わらないが、他の職務は従来同様、(3)給与水準3割引下げ方向、(4)退職手当は国から措置される金額を支給、(5)2010年4月1日実施、等。
 これを整理したものが、1/19部局長連絡会議の資料となっている。
・12/1役員会「教員の63歳定年後の継続雇用について(案)」(PDF file, 学内アクセス限定)
・1/19部局長連絡会議「教員の定年年齢の引上げについて(案)」(PDF file, 学内アクセス限定)

□組合 結論は定年延長で決まったということか。

■理事 これについては、就業規則の改正として、年度末に一括して承認をはかりたい。

□組合 「給与水準の維持に努めること」について、本学役員会の案では給与3割減だが、東大では給与減はないのではないか。

■理事 わからない。

□組合 少なくとも現時点では給与減の方針ではないと聞いている。

■理事 わからない。

□組合 京大も給与減の方針ではないのではないか。また、多くの地方国立大学はもともと65歳定年だ。東北大との間で64歳から逆転現象が起きてしまう。旧帝大系では博士課程をもっているところが多いので、調整数2がつく分、63歳までは他の国立大よりも少し多くなる。64歳、65歳と逆転現象が起きるだろう。働きが鈍る訳ではないので、給与を維持してほしい。3割減の方向は決まったのか。

■理事 方向性はすでに決めた。

□組合 3割カットか。

■理事 そうだ。その中でも、単に逆転が起きるからということではなく、また他の国立大学ということではなく、本学が、他の大学・機関との競争力をいかに確保するか、あるいは若手に影響が出ないようにするにはどうすべきか、財源を学内の調整の中で賄わなければいけない、という観点の中で、これから細部の制度設計をしていかなければいけない。方向としては、定年延長をする、給与については3割程度引き下げる、ということを大きな土台として進めている。

(3) 教員に適用している専門業務型裁量労働制のみなし労働時間を8時間とすること。

□組合 これまでの交渉の中でも触れてきたが、みなし労働時間を15分延ばして8時間とすること、ということだ。代償措置というわけではないが、今回の給与カットの分がカバーできるのが15分程度だと考えている。実際の勤務時間についても、ほとんどの教員が8時間以上働いていると考える。

■理事 これまでも聞いている。

要求項目6. 事務職員
(1) 業務に必要な人員を配置し、長時間労働を縮減すること。

□組合 とくに法人化以降、業務が多忙になっている。しかし職員の数は増えていない。再雇用職員やパート職員、臨時的職員は増えているだろうが、正規の人員が減少しているのは確かだ。必要な人員を配置して長時間労働を縮減してほしい。本部でなかなか定時に帰れないという実態があるのは、業務が多過ぎ、所定の労働時間では完了できず、結果として残業になるということだと考える。必要な人員を配置してほしい。

(2) 昇進における男女の格差を、数値目標をもって是正すること。

□組合 統計的、データ的にはかなりの男女格差がある。これを改善してほしい。東北大は、男女共同参画をうたい文句にしているのだから、率先して実践してほしい。努力している、というだけでは、その努力が見えてこないので、結果で判断したい。数値目標をはっきりと掲げて取り組んでほしい。女性教員については雇用の数値目標があり、その目標をきちんと出すよう本部は部局を指導していると思う。女性事務職員の昇進についても、抽象的にではなく、数値目標を掲げて是正するよう努力してほしい。

要求項目7. 技術職員
(1)総合技術部として専門技術修得のための研修費を確保すること。

□組合 理事は、昨年の途中から総合技術部長ですね。

■理事 そうだ。私の前は、橋本副学長だった。来年度以降のことはわからないが。要望についてはよくわかる部分がある。

□組合 研修は重要だ。昨年の交渉の中でも、今回浮いた職員人件費のかなりの部分を研修経費に充てると言っていた。この要求についても具体的にやってほしい。

■理事 これまでもいくつか研修をやっていた。「研修費を確保すること」というのは、具体的にしてほしい研修があり、それは既存の研修ではなく、あらたな研修をしたいから、その分の研修費がほしいということか。研修が部局ごとにそれぞれ行われていることや、また流動性がないといったことが大きな課題となって、それを打破するために総合技術部ができた。それで当面共通の研修を実施した。それではだめだということか。どの部分の研修で何をすべきだということか、何が不足しているのか、言ってほしい。一般的に研修費用を増やしてほしい、とだけ言われても難しい。

□組合 これまで全学的に行われていた研修は、専門的なものと謳われてきたが、しだいに参加者が減ってきている。それは今働いている技術職員にとって現在の研修内容に魅力がないからだ。もっと高度で専門的な技術を身につけたい、習得したいという希望があるようだ。個々の具体的な様子を見ると、もっと高度な技術を習得するためには、企業研修、あるいはより専門的な技術を必要とする研修。費用の問題もある。本学で学内の先生にお願いして行う場合、企業に行って行う場合、これから必要とされる技術、教員の研究内容に応じて我々の技術もアップしていかなければならないので、そのために学会等に出席するための費用。この要求項目には謳っていないが、遠隔地に配置されている技術職員には、部局で費用が出せないのでその人達は参加できない、という不均衡もある。こういうケースが結構ある。こうした人たちのモチベーションをこれから上げていくためにも、参加するための費用が必要だ。法人化後は高学歴の人がたくさん入ってきている。その人達のモチベーション維持のためにも様々な機会を設けることが必要だ。

■理事 理解した。

(2)技術職員の級別昇格基準、級別定数(とくに5級・6級)を明らかにすること。総合技術部副部長は7級以上に格付けし、以下順次、昇格改善を図ること。

(3)技術職員の研究教育の中での位置付けを明確にし、標準職務表および本給表を新設すること。

□組合 (2)と(3)は技術職員の待遇改善要求なので合わせて説明する。国立大学の時代から、国家公務員の定員削減があり、とくに助手や技術職員の定員が多く削減された。そのため技術職員については、現在非常に待遇が悪くなっている。給与表については、一般職の本給表が適用されている。専門技術職の本給表とはなっていない。もっと待遇を良くすべきだ。現在の給与表を前提とするのならば、昇給・昇格を増やしてほしい。それができないならば、技術職員の職務に見合った本給表を新設してほしい。

(4)技術職員の人事評価は、評価者の選定・評価者訓練について専門性をふまえたものとし、評価結果は本人に文書でフィードバックすること。

□組合 この通りであり、趣旨説明は要らないと思う。

■理事 私は人事評価の責任者であり制度設計に関わった。教員と職員が違うように、職員の中でも技術職員、事務職員、医療職員はカテゴリーが違う。共通する部分についてはこちらで設計したが、その他の部分は、それぞれの分野の職員に制度設計してもらった。その際に専門性を踏まえたことは当然であり、専門性はそれで反映していると思う。人事評価は、試行を経て実施に入っている。改善すべきことは改善すべきだが。そもそも皆の総意が反映していないということなのか。それとも、でき上がったものについて、みんなの総意として、この部分はおかしい、改善を要望しているがなかなか改善してくれないので、組合が交渉として取り上げる、ということなのか。

□組合 総合技術部の実務者会議があり、各部局代表の技術職員が集まって話し合っている。部局によりばらつきがあり、まったくやっていないところもある。そうしたところの指導が必要だ。副部長が実務者会議等で、検討しなければいけないとして、少しずつ行動に移しているようだが、実態はそうだ。現制度のもとでも、理事の趣旨としては、きちんとやっているということかと思うが。

■理事 組合交渉で、他の項目と並んでこういう項目が出てくる意味がわからない。

□組合 要望、要求とはなりにくい事項だと思う。一つは各部局を指導してほしいということだ。理事が考えている評価制度が、きちんと末端まで実施されていない。評価者、管理者の認識、意識がゆきわたっていないという状況が多分にある。

要求項目8. 病院職員
(1) 病院の稼働実態にみあった人員増および適切な人員配置を実現すること。
   ◇年次有給休暇を20日消化できる要員を確保すること。
   ◇育児短時間勤務の保障に必要な夜勤要員を確保するための手だてを講ずること。
   ◇三交代制勤務を自由に選択できることを徹底すること。

□組合 人数を増やしてほしいということだ。看護師に聞くと、形式的には「7:1」看護の要件を満たしているが、病棟によってばらつきがある。きついところがある。ぎりぎりなので、休みを取ったりすると7:1に達しないところがある。余裕をもって増員しないと十分な看護活動はできない。

(2) 看護師等の有期雇用をやめて正職員にすること。有期雇用をする場合にも本人の同意なく雇止めしないこと。

□組合 新採用の看護師は有期雇用で採用されている。看護師は本来そのような職ではない。責任をもって仕事をしてもらうためにも、できるだけ正職員で採用すべきだ。

(3) 救急部の看護師に危険手当を措置すること。

□組合 昨年12/24付で病院支部が看護部に質問状を出した。危険手当と言っているのは、いわゆる調整額のことだ。看護師の中では危険手当と呼ばれている。現在救急部にいる看護師には調整数がついていない。たとえば、「本給の調整額支給細則」では、「精神病棟又は集中的な監視及び治療を要する患者を専ら入院させるための病棟」には、これは集中治療室に勤務する看護師のことだが、調整数1がついている。また事務職員も、「受付その他の窓口業務を外来患者及び入院患者に直接接して行うことを常態とする患者係事務職員」には調整数1がついている。

■理事 そこに救急部の看護師を加えてほしいということか。

□組合 そうだ。救急部は、今示したような例に相当するのではないか。いつ何時どういう人が運ばれてくるかわからない部署だ。そういうところにいる看護師に調整数がつかないのはおかしい。ぜひ検討してほしい。

(4) 時間外におこなわれる日常の看護業務に必要な研修や学習について、割増賃金の対象とすること。

□組合 研修や学会への出席等は現在、個人の自由時間でせよという取り扱いになっている。学会での発表については出張となるようだが、単に学会に出席して学習してくるような場合については出張にはならない。休みをとって行ってきなさい、ということのようだ。しかし、看護師にとっては重要な研修の機会なので、自由時間に受けなさいとか、休みをとって行ってきなさいとか、ということではなく、勤務時間として取り扱ってほしい。

要求項目9. 准職員・時間雇用職員
(1)時間雇用職員の3年を超える更新申請について部局の意向を尊重すること。時間雇用職員の通算雇用期間を3年から5年に延長すること。

□組合 現在、時間雇用職員については、毎年1年契約で雇用し、それを3回まで繰り返すことができる制度になっている。つまり更新限度が3年ということだと思う。この更新限度を3年から、5年に延長してほしい。もちろん、組合の立場としては正規雇用に切り替えてほしいが、それをいっぺんに言っても難しいだろうから、3年を5年に延長してほしい。これは組合の要求というよりも、部局の要求でもあると考えている。たとえば、経済学研究科でも何人かの時間雇用職員を1年契約の更新で雇用しているが、3年経つと自動的にやめていただくことになる。3年の間に仕事を覚えてくれる。せっかく覚えていただいたのに、これ以上ここでは雇えないからということで、新しい人を雇うことになる。大学にとっても5年にした方が良いのではないか。各部局の長はその方がいいと賛成してくれると思う。聞くところによると、3年という制約があるので、部局同士で交換しながらやりくりしている、という声も聞く。それならば、もう少し延長して5年とするくらいは可能なのではないか。

(2) 准職員・時間雇用職員に有給10日の病気休暇を与えること。

□組合 准職員、時間雇用職員が病気休暇をとれば、無給で休まざるを得ないのが現状だ。たとえばインフルエンザに罹患したら、出てこないでくれ、となる。これが正規の職員ならば有給の病気休暇をとる。准職員、時間雇用職員といっても、本学では、長い間働いている人が多い。半ば正規職員と同じように仕事を覚え、同じように仕事をしている人が多い。その人たちのことを思えば、有給10日くらいは認めてしかるべきだ。

(3) 准職員を特定有期雇用職員に位置付けること。

□組合 准職員は週40時間働いており、正規の職員とそれほど変わらない。しかし待遇は正規職員に比べて格段に悪い。現在の就業規則には「特定有期雇用職員」というものがある。それに位置づけると待遇改善になるので、そうしてほしい。

(4) メンタルヘルスプログラムを准職員・時間雇用職員にも適用すること。

□組合 とくに説明の必要はないだろう。

(5) 1980年7月以前採用の准職員を正職員にすること。

□組合 ほとんど定年間近の人達だと思う。この人達は非正規職員のまま何十年も働いているのだから、せめて退職前に正職員にすることができないか。

(6) 正規登用試験の登用枠を拡大すること。

□組合 枠を大幅に増やすことはできないか。

(7) 時間雇用職員の待遇を改善すること。
   ◇時間単価を改善すること。
   ◇退職金制度を導入すること。
   ◇経済・雇用情勢を理由とした不当な検討「凍結」をやめ、時間雇用職員に対してボーナス支給日に30時間分の一時金を支給すること。

要求項目10. 2010年4月1日からの次期「一般事業主行動計画」において、下記項目に数値目標を入れること。
・ 育児休業の取得率(男女別)
・ 職員の妻が出産する際の特別休暇の取得率または件数
・ 所定外労働の削減率
・ 年次有給休暇の取得率

□組合 一般事業主行動計画は、今年度で第一期が終わり、2010年4月から第二期が始まると思う。

■理事 次世代育成支援対策推進法は10年間の時限立法だ。一般事業主行動計画の期間は第一期が5年間、第二期が5年間だ。

□組合 事業主行動計画の第二期が2010年4月から始まるという認識でよいか。

■理事 よい。

□組合 その中で、この4つの項目について数値目標を具体的に入れてほしいということだ。

要求項目11. 健全な労使関係の趣旨から、教職員の初任者研修の場において職員組合の説明の機会を設けること。

□組合 毎年要求しているが、法人側の回答は、趣旨にそぐわないということで、断られているようだ。しかし、堅いことを言わずに、組合と法人側が理解し合うという意味もあるのでぜひ実現してほしい。

要求項目12. 組合費のチェックオフを行うこと。

□組合 もちろん、希望者については、という限定付きだ。希望者について実施してもらえれば組合として大いに助かる。実施してほしい。

□組合 以上がこちらからの趣旨説明だ。ぜひ前向きに検討してほしい。

■理事 法人側参加者で何か確認しておきたいことはありませんね。それでは、またこちらから、交渉に臨む準備ができ次第、日程の相談をしたい。

■課長補佐 これで交渉を終了する。


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