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1/31北村理事と職員組合との懇談の報告

■北村理事 大学の基本スタンスは12/16の財務・人事戦略企画会議に出した案の通りだ。これを1/24の役員会懇談会で確認したので、それをもとに折衝・相談したい。またこの案に対しては1/19に組合から意見が出ており、この間組合と人事課とで予備的な話に入っていると聞いている。

 教務職員制度を廃止したい。全国的にも廃止の方向であり、本学でも特に阿部前総長などが努力した。しかし他大学と比べてまだ相当数が多い。総論的には組合とも、部局とも一致しているだろう。法人化して国との間で定員・ポストの問題がなくなり、財源の制約はあるが制度廃止が可能になった。基本は次の通りだ。

  1. 教務職員を助手あるいは技術系職員に振り替える。
  2. 本学の就業規則では、国の制度を引き継いだので職種転換の際には再計算することになっている。全体的には振替で不利益にはならない。今の給与をベースに直近上位に移行する。これなら全体の人件費の枠の中で可能だ。
  3. 助手になる場合、63歳定年制なのだが、個別的にはこれまで一部に紳士協定で60歳退職の例があった。その問題をどのように考えるか。基本は63歳だと思うが、個別の話としてどうするか。助手の取扱いについては本部としては部局の人事権を尊重している。この点について組合の意見を聞きたい。

大きな論点は、給与の改善と助手になった場合の定年の2点だろう。

□組合 今日は執行委員の他に教務職員対策委員会からも参加している。早く解決したいという基本的立場としては大学と共通の思いがあるが、個々具体的な問題については相違するところがあると思うので、できるだけすり合わせていきたい。まず前提として、現在この文書はどういった地点に到達しているのかを確認したい。1/24の役員会懇談会でオーソライズされたということか。

■北村理事 そうだ。

□組合 それ以前には案の段階だったということか。

■北村理事 企画会議での議論をふまえて役員会、役員会懇談会、総長補佐会議で方針を確認してきている。しかし方針の確定は一方的にはできない。方針をもった上で組合、関係者と折衝しなければいけない。1/24の役員会懇談会で組合との折衝に入る案として確認した。これが執行部の立場だ。

□組合 私もそのように考えているが、12/16案で確定したものと考えて突っ走っている部局がある。生命科学研究科などはそうだが、聞くところによるとほかにもあるようだ。たとえば東北アジア研究センターでは役員会懇談会と同じ1/24に行われた教授会で当該の教務職員についてこうするということが正式に報告されたようだ。おかしな動きだ。

■北村理事 就業規則改正など、企画会議でもそういった説明はしたつもりだが。

□組合 大学の方針にもとづいて予備的に動くということはありうるだろうが、それにしても不正確な説明がされていることは問題だ。たとえば助手になった場合には任期がつき、技術職員になった場合には定員削減の対象となるといった、まるで教務職員から技術職員になれば自分が定員削減されるかのように説明されているという。これでは定員削減されるくらいならば任期制でも助手の方がよいといった話になるのではないか。

■北村理事 定員削減の問題はあるが、個別の人の削減は別問題だ。

□組合 1/24に最終的なオーソライズ、それ以前は予備的なものだと押さえておきたい。

■北村理事 この後行われる財務・人事戦略企画会議でも話す。

□組合 助手または技術職員への振替には賛成だ。しかし私たちは助手に振り替えた人に任期を付けることには賛成できない。新規採用ではなく、本来ならば既に解決しているべき問題が今まで続いているのだからだ。したがって案にある括弧書「なお、その者の同意を得て、任期を付すことができる」は削除すべきだ。

 次に、助手振替の場合に、資格の基準となっている学位とは何か。博士か、修士か、学士か、確認したい。

 2種類の助手をつくるべきではないので、助手になった人の定年は63歳とすべきだ。かつては教務職員で技術職員的な人について紳士協定の例があったが、今の若い教務職員は助手待ちという人が多い。最近の仕事実態をみれば紳士協定はやめて63歳1本でいくべきだろう。直近上位という意味ではたしかに増えるのだろう。しかしこの問題についてはいろいろな側面がある。残業手当や年齢での昇給カーブ等の問題を考慮しないと改善にならない。

□組合 60歳定年問題についてだが、文部省で教務職員問題解決の気運が盛り上がった当時、ちょうど技術職員の専門行政職移行の問題が持ち上がっていた。本学では3部局長で構成される「検討委員会」が、助手に移行させた場合にどうするかの案を検討した。この時、技術職員との間に差が生じないようにということから60歳定年で助手に昇任させることを申し合わせた。こうした申し合わせは他大学に例がない。これが今まで続いている。今回の基本方針をみると大学自身が教務職員について教員としての位置付けを持たせているのに、一方でそれを自ら覆すのはナンセンスだ。

 次に配分の問題だ。人事課との協議でも言ったが、調整給実甲について当時文部省と人事院が協議した際、人事院はこう発言している。「再計算方式には戻せない。しかし1962年以前の採用者、つまり再計算される人と再計算されない人が生じてしまう問題がある。部内の均衡ということを考えれば期待権がある。この期待する権利を考えて、10年間遡及させる。」これが調整給実甲が実施された背景だ。10年の期間内に解決してくれということだ。それでも東北大では他大学から遅れてしまった。これを考えればこれと同様の措置を考えるべきだ。

 また、今技術職員扱いをされている人が助手に振り替えられた場合、残業手当が出なくなる。これまでの経緯をみれば10時間程度出ている。また今在職している教務職員の3分の1はすでに昇給停止年齢の55歳以上だ。これでは直近上位に行っただけで昇給もない。行政職に異動した場合も同じだ。5級への移行ということならば、今の、ほとんどの技術職員がおかれている待遇と比べて大きく違う。技術職員は6級退職が普通であり7〜8級もいる。5級と6級の間には大きな昇給カーブの違いがある。遡及措置をとってほしいという根拠はここにある。

■北村理事 基本は悪くなることはない。指摘されたのは超勤手当が出ない問題だ。本学の制度では基本的に助手以上には裁量労働制が適用されているから超勤手当は出ない。助手にしたいがなおかつ超勤手当をというのは難しい。制度的には裁量労働制からはずせばよい。制度は直近上位で、確かに5級でも不利益ではない。問題は超勤等全体を通して見た時に待遇改善になっていないという問題だ。

□組合 同じような職場で同じような仕事なので期待権が発生するという話を当時人事院が言っていた。

■北村理事 中教審で助手自体の勤務条件についてもいろいろな議論がある。実態を見て助手に相応しい人を個別に本人の意向を聞きながら確定する時に、任期も含めて個別に話をしなければいけない。個別の同意が必要だ。その時にどれだけ個別に不利益が出ないようにするか。画一的に裁量労働制の世界に入っているので、どれだけ余地があるか、部局長と相談しなければならない。

□組合 助手振替の場合、定年63歳となるかどうかがバランス上重要だ。昇給停止年齢になっている人の問題は特別昇給をかけるしかないのではないか。個別具体的な問題だ。

■北村理事 今回は不利益にするつもりはない。一部部局では、本人と相談もなく、これで決まったとしてどんどん進めているということか。

□組合 私の持っている情報ではそういうところがある。

□組合 12/16案は当初まだオーソライズされていないので取扱注意の文書であるとして人事課より渡された。しかし工学部では12/16案が年明けすぐに教員を集めたFD会議の中で確定したもののように話されている。中には初めてそのことを聞く教員もおり、受け取った教員によってはそれでフィックスされる。今は直属の上司のところまで下りてきている。

■北村理事 私は直近上位方式も残した方が個別の話も進みやすいと思っている。再計算方式も。選択肢は多い方がよい。この方針によってすべてこれに合わせろというものではなく、当該部局と個別の教務職員との間で個別に話し合うべきだ。任期制は本人の了解が法的にも求められる。一方的にこうだということはありえないことだ。

□組合 そうすると、直近上位は一つの方式であり再計算でもよいということか。

■北村理事 当局としてはどういった基準か説明ができるようにしなければいけない。全体の人件費配分の範囲という問題もある。本人の意向との調整もある。

□組合 若い人で、助手待ちという人については直近上位でいいと思うが、年配の人はどうか、かなり個別具体的な問題だ。

■北村理事 組合との間で話をつけてしまい、それ以外はあり得ないとするわけにもいかない。もう少し本人の意向を聞いた方がよい。

□組合 われわれとしては組合員については組合として対応するが、組合員でない人については関与できない。

■北村理事 先に当該本人との話をした方がよいのだろうか。12/16会議では資料として出したつもりだった。もちろん、これで行こうという方向が確認されたことには間違いないが。新しい給与のあり方は労働者側と協議しなければいけない。

□組合 ただ、危惧しているのは、たとえば任期を付ける話が個別具体的に研究科長からあれば、かなりの圧力になる。断れる人もいれば断りにくい人もいる。任期を付けないとすることや、定年は63歳とすることについては、基本線として大学の姿勢として決めるべきだ。個別具体的な問題はあるだろうから、それは当人との間で。助手に任期を付けようとしている部局は多いのか。私が見ている限りはあまり多くない、1、2ではないか。

■北村理事 こちらから求めるということはない。明確に任期をつけない方を原則とした方がよいのか、任期をつけるには特別な措置と同意が必要だ。だから一般論は、任期を付けないことだと思う。人件費負担は直近上位方式ならばそれほどすごい財政負担ではない。全部の定年をのばすという話ではないので。制度的に特別の措置がなければ任期を付けられないということと、個別の人事についても事実上の一方的強制があってはならないということを、こちらから確認することはできる。部局長ともう一度よく確認することはできる。

□組合 わざわざ任期を付けることができると書いてあるので、任期を付けることができると理解している部局がある。理事の返答からすれば、そういう意味ではなく、わざわざそれを付ける必要はないということではないか。

■北村理事 実態を見た上で、こういう記載があったほうが一気に解決できると思った。

□組合 おそらく医学部などは助手にみんな任期をつけているから、その人たちを助手にして任期をつけることを想定したのではないか。しかしこのままだと任期制がないのにできると思われる部局があるのではないか。理科系の先生の中には、じゃあできるのか、と思う先生もいる。

■北村理事 任期法による任期も、労基法の任期も、任期を付けるには同意が必要だ。事実上の強制とならないように、という確認をする。任期を付けなければいけないと理解されては困るということと、話し合いにあたっては対等な関係で話し合うということを。

□組合 むしろ、私たちの立場からすると括弧書を削除した上で、口頭でもってできる場合があることを説明した方がよいのではないか。非常に危険だ。

■北村理事 そこは説明をする。

□組合 すでにオーソライズされた文書だから、表現の変更はできないということか。

■北村理事 私から口頭で説明し、人事部から誤解のないように文書で部局長に出すことにする。

□組合 助手になった場合の定年の問題はどうか。

■北村理事 超勤の問題については、総合的な処遇ということになると、定年の延長問題とリンクする。

□組合 定年の延長問題とは違う。教員として在る者が教員の職に就くという話だ。待遇が遅れていることについて人事院、文部省も認識してこれまでの措置をとったにも拘らず、それに東北大学が遅れたことによる問題だ。それを認識しているのならば遡及措置をとるべきだ。これは高齢者の問題でもある。悪くはならないというのはわかるが、元のところまでたどってほしい。

■北村理事 企画会議でも、待遇が遅れた問題として説明した上で議論したつもりだ。今日の話をふまえて部局長と相談する。異論が出ないと思うが、もし異論があれば組合に伝える。

□組合 今後のスケジュールについてだが、部局長に話を伝えて、その後、いつ頃までにどのように処理しないと4/1の発令に間に合わないと考えているか。

■人事課 これをもって全学的に調整がつきそうなら、各部局で助手と技術職員のどちらにするかという判断になる。これから部局への照会をかけるので、2月の中・下旬までには各部局教授会等で確定してもらわないといけない。スケジュールとしてはなるべく早く教授会等で判断するようお願いする。各部局の事情もあるだろうから。

■北村理事 2月中に話がつかないといけない。給与のシステムで入力等の事務がある。

■人事課 どこで部局から上がったものがオーソライズされるのか。役員会で審議、承認する取扱いになっているので。

■北村理事 持ち回りも含めて役員会で対処できる。新しい給与制度なので各事業場で就業規則の手続きが必要だ。関係者の話はついているのであまり時間がかからないだろうから、問題は説明文書作成にどれだけ時間がかかるかだろう。実質的には2月中に話をつけてもらって。

■石川人事部長 就業規則の手続きには2週間必要だ。

■北村理事 2月中にある程度話がまとまっていればよい。かなり対立があるようではいけない。今そんなに大きな異論はないのではないか。

□組合 問題は、個別問題となったときにはどうやって話を決着させるかだ。

■北村理事 そこも部局長と相談する。2月中に話がつくようにそれについても部局長に話す。

□組合 どうしても納得できない場合がでた時が難しい。

■北村理事 やってみてから、どうしても話がつかない場合には…。今は教務職員制度が4/1になくなるということで考えている。

□組合 私たちもそれを望んでいるわけではない。万一の話は今は想定せず、4/1移行に努力するということで了解した。私たちの希望をできるだけかなえてほしい。

□組合 学位とは何か、まだ回答を受けていない。

■人事課 学士だ。

■北村理事 本学の教員任用基準でよいのか。

■人事課 それでよい。

□組合 部局によって対応がかなり違ってしまうのは困る。そういう時には部局に全部任せるのではなく本部としてのリーダーシップを発揮すべきだ。

□組合 今日の戦略企画会議の結果を部局に正式に連絡するのは明日か。

■北村理事 話し合いの正式なスタートを要請する。その前に今日の話をつたえる。誤解のないように制度論のことも。明日には間に合うか。事実上進んでいる話をストップさせることはない。対等の原則、個別的に例外の話を今日する。

□組合 任期制規程の改正は教育研究評議会の審議事項ではないか。

■北村理事 旧国立大時代も審議事項ではなく、各部局で決めたことの報告が出ていた。今回の問題を発端にして任期制が進むということはありえなくはないが、基本的には違うだろう。それは本来の任期論の話で、すでに任期制を導入した所で、任期制との関連がでてくるのかもしれない。

□組合 いままで任期制のないところでわざわざ教務職員から助手への振替を機に任期制を適用されることはないと理解してよいか。

■北村理事 一般論はそうだ。これを機にはない。

■兵頭戦略スタッフ 常識的につくったものだ。あくまで切り替えは雇用契約の変更なので同意が必要だ。今回は常識的にやろうとしている。これまで任期の手続きがないところで、急にというのは難しいだろう。

(以下略)


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