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 東北大学職員組合は、現在、東北大学の全教員に以下の手紙を配布し、組合への加入を訴えています。

「国立大学法人東北大学」で研究・教育はどうなる!?

発行:東北大学職員組合
TEL:022-227-8888 FAX:022-227-0671
〒980-8577 仙台市青葉区片平2丁目1-1
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 東北大学職員組合では、これまで国立大学の法人化に関わる問題点を調査研究し、意見表明の総長交渉をおこなってきました。法人化の最終的な是非や基本的制度は、「国立大学法人法」(仮称)の制定にかかっていますが、東北大学ではすでに、2004年4月の「国立大学法人東北大学」発足を念頭においた、具体的な制度検討が進められています。
 以下では、法人化に関する組合の考え方と取り組みをご紹介し、皆さんの加入を呼びかけます。

労働条件は組合と大学との交渉で決まる

 国立大学法人では、職員の身分が「非公務員型」となる可能性が高まっています。その場合、役員・部局長等は「使用者」、ほとんどの教員は「労働者」として労働契約関係を結ぶことになります。

 ですから、大学の「使用者」は企業経営者と同じように、労働組合(あるいは労働者の過半数を代表する者)と労使協定を締結し、就業規則作成・変更のために労働組合から意見を聴取することになります。

 たとえば、賃金も、人事院勧告にしたがって決まるのではなく、労働組合と大学との交渉によって決まるしくみに変わるのです。中央交渉と大学ごとの交渉の分担はまだ具体的には決まっていませんが、いずれにしても組合の交渉力が重要であることは間違いありません。また、不公平な教員評価がなされたり、雇用不安が広がったりしないようにするためにも、労働組合の力が不可欠です。

過剰な競争は研究教育を歪める

 国立大学が法人化されると、大学の研究教育活動において、競争原理が強化されることが予想できます。

 私たちは、この競争が本来の研究内容における競い合いや税金の有効な使用につながるのではなく、研究資金やポストをめぐる争いを激化させたり、教職員の身分と雇用を不安定化させたりする危険性が高いと考えています。また、大学の財務的事情から学費を高騰させ、教育の機会均等を損なうおそれもあります。

 組合では、これらの点について、総長選挙の候補者へのアンケート、東北大学制度検討委員会へのパブリック・コメント提出などの活動を行っています。

トップダウンは大学にふさわしくない

 法人化は、各大学の独立した個性のある活動実現を標榜しています。しかし私たちは、実際に準備されている制度設計は、政府と大学の関係について、また総長と大学構成員の関係について、トップダウン型の組織機構をめざすものと考えています。

 政府と大学の関係については、「中期目標」等を通じて時々の政府や文部科学省の方針に従属する結果に陥ることが懸念されます。

 総長と構成員の関係については、総長が役員や運営協議会委員の任免、次期総長推薦などにおいて強大な権限を持つ制度への変更がめざされています。学外者の運営参加も、総長が任命する委員が中心になります。

 私たちはこのような権限集中によって大学運営の民主的性格が損なわれること、また社会の声も適切には反映されないことを懸念して、改善策の検討を行っています。

公正な研究教育評価のために

 法人化によって、教育研究活動には様々なレベルでの評価が入ります。文部科学省による評価、大学レベルの評価、部局レベルの評価があり、また大学に対する評価、部局に対する評価、個々の教員に対する評価があります。

 しかし、教育・研究を評価することは簡単ではありません。私たちは、短期的な評価や実態にそぐわない評価には反対です。また評価の導入は公正さを保証する努力と一体でなければならないと考えています。

 教員個人への評価の例をあげると、東北大学制度検討委員会が作成した組織業務・人事制度案では、教員を部局別に一律に「特別優秀者:1割、優秀者:3割、通常:5割、通常未満:1割」と相対評価して、賞与や再任審査に反映させるシステムを提示しています。そして、教員を事実上、55歳から5年間の任期付きとすることも提案しています。教員は60歳の年度で教員評価を受け、その結果によっては、勧奨退職の対象となるのです。

 しかし、強引な順位付けは、研究・教育の実情と離れたものになるおそれがあります。そして、強引な評価の累積によって退職を勧奨されかねないしくみは、適当とは思えません。教員評価の理念や方法についていっそうの検討が必要です。組合ではこれらの点について改善策を申し入れていきます。

東北大学職員組合への加入を呼びかけます

 組合の基本的な目的は、大学の教育・研究の充実・発展と、それを支える教職員の生活向上をめざすことにあります。この目的を実現するには、東北大学に働く教職員ひとりひとりの声を組合に結集しなければなりません。現在の組合員は、約450名と小所帯です。しかし、その輪は確実に広がっています。

 私たちは、皆さんに東北大学職員組合への加入を呼びかけます。法人化したときに、ではなく、いま加入していただきたいのです。なぜならば、「国立大学法人法」(仮称)が制定される前に、法人化の是非とあり方について議論を最後まで尽くす必要があるからです。また、法人化される場合に備えた労働条件や制度設計の議論は、いましなければならないからです。研究・教育環境とよりよい東北大学のために、いっしょに話し合い、行動していきましょう。


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