2002.7.9発行
東北大学職員組合教文部 発行
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東北大学職員組合では、急展開する「国立大学法人化」問題に対し、今年2月から 3月にかけて学内アンケートを実施しました。本号では、その集計結果を報告します。
目 次
1.教文部からのコメント
2.アンケート内容と全体集計
3.各意見ごとの集計
3-a.「法人化」大賛成
3-b.まあ仕方がない
3-c.わからない
3-d.多少不安がある
3-e.絶対反対
3-f.それ以外など
645名の教職員の方からアンケートの回答を頂戴しました。全教職員数の半数にも満たないとはいえ、多くの皆様の御協力を得られたことに感謝いたします。組合員の3倍近くの非組合員の方から回答を頂いたことで、集計結果が全学の声を反映したものに近づいたことと思われます。設問の内容や、配布体制に関して、組合側にも反省すべき点がありますが、今後の活動を通じてお寄せ頂いた声に応えていきたいと思います。
意見別の集計では、「法人化」に対し大賛成7.6%、まあ仕方がない21.9%、わからない17.5%、多少不安がある30.1%、絶対反対19.2%、という結果が出ました。非組合員に限定しても、「大賛成」44:「絶対反対」56と、「法人化」賛成は決して多数派ではありません。ただし反対派(消極的30.1+積極的19.2)も全体の半数程度です。むしろ注目すべきは、この期に及んで「わからない」がかなりの割合存在していることかと思われます。どのような方向に進むにせよ、東北大学全体としての意思統一なしで乗りきれるほど状況は甘いものとは思われません。組合は大学当局に対し、全構成員に対するきちんとした状況や方針・将来像に対する説明、広く学内の意思を集める議論の場を設けることなどを提起していきたいと思います。
アンケート回答の中には、今後の組合活動に対する提言も見られ、真摯に受けとめていきたいと思います。一覧すると分かる通り、「法人化」賛成派にしても研究の近視眼的矮小化を招きかねない側面には警戒感を持っており、反対派も現状に満足しているわけではありません。「安定した保証の中で努力が報われる職場づくり」を追求していくことに対し、大きな反対意見は見られないように思われます。そのための具体的な方策について、今後の活動を通じて検討し提案していきたいと考えています。
「国立大学法人化に関するアンケート」最終集計
(2002年2-3月実施)
(趣旨)
いま国立大学は、2004年4月からの「国立大学法人化」に向けて動いており、東北大学でも様々な準備が進められています。しかしながら、教職員には「大学がどう変わろうとしているのか」「待遇や職場環境はどうなるのか」などの情報がほとんど提供されず、方針だけが「もう決まったこと」のように一人歩きしています。
「国立大学法人化」を検討している文部科学省の調査検討会議は、成果・業績主義の賃金制度の導入や教職員の身分を「非公務員型」とすることも検討しており、このまま「国立大学法人」になれば、私たちの労働条件や研究環境は現在とは大きくかけ離れたものとなることも予想されます。昨年「独立行政法人」に移行した国立研究所には、新法人移行に際して寒冷地手当、調整手当、期末手当等のカットが当局から提案された例もあります。
状況は非常に厳しいものがありますが、学費や奨学金制度、大学の統廃合などをめぐって国民の関心が高まってきてもおり、私たちの声を寄せあい大学から発言するまさに正念場でもあります。このアンケートは、教職員の皆様の考えを広く集約し、大学人の立場から「真の大学改革」を行うために活用します。宜しくご協力をお願いいたします。
所属 | 事務局 | 文学部 | 教育学部 | 法学部 | 経済学部 | 理学部 | 工学部 | 農学部 | 医学部 | 歯学部 | 薬学部 | 病院 | 図書館 | 研究所 | 他・文系 | 他・理系 | 不明 |
37 | 5 | 1 | 1 | 4 | 44 | 64 | 41 | 83 | 45 | 7 | 128 | 11 | 114 | 11 | 32 | 17 |
職種 | 教員 | 事務 | 技術 | 教務 | 看護 | 図書 | 非常勤 | 他 | 不明 |
231 | 72 | 96 | 19 | 95 | 4 | 104 | 2 | 22 | |
% | 35.8 | 11.2 | 14.9 | 2.9 | 14.7 | 0.6 | 16.1 | 0.3 | 3.5 |
組合加入の有無 | 加入 | 未加入 | 不明 |
156 | 449 | 40 | |
% | 24.2 | 69.6 | 6.2 |
項目 | 人数 | % |
a. 業績の多い人が優遇される | 260 | 40.3% |
b. 優秀な人材を集めやすくなる | 162 | 25.1% |
c. 研究費が調達しやすくなる | 65 | 10.0% |
d. 会議などの「雑用」が減る | 50 | 7.8% |
e. 働きによって教職員を評価しやすくなる | 239 | 37.1% |
f. 条件の良い職場に動きやすくなる | 62 | 9.6% |
g. 評価の基準が明確化する | 183 | 28.4% |
h. その他 | 111 | 17.2% |
※「hその他」への回答の例としては、「メリットは無い」(多数)、「わからない」(多数)、「予算・会計の弾力化」、「外部資金の活用が容易になる」、「各部門・分野の独自性発揮、兼業が容易になる」、「国家予算が改善される」、「規制緩和、教育評価の導入」、など。
※無回答 59(9.2%)
項目 | 人数 | % |
a. 短期的に「成果」の挙がる研究が優先され、 長期的な研究課題が軽視される | 384 | 59.5% |
b. 恣意的な「評価」にさらされる | 236 | 36.6% |
c. 教育活動に精力を割けなくなる | 150 | 23.3% |
d. 学部などの運営が非民主的になる | 119 | 18.4% |
e. 一人あたりの仕事量が増加する | 192 | 29.8% |
f. 身分保障がなくなる | 321 | 49.8% |
g. 手当が減り、賃金が低く押さえられる | 223 | 34.6% |
h. 余計な会議が増える | 77 | 11.9% |
h. その他 | 59 | 9.1% |
※「i その他」への回答の例としては、「わからない」(多数)、「デメリットは無い」、「学問の自由がなくなる」、「外部資金獲得のため活動が圧迫される」、「職場内競争激化によるストレス増大」、「大学統廃合による地域学生への不利益」、「文科省の支配強化」、など
※無回答 23(3.6%)
項目 | 人数 | % |
a. 法的保障がなくても個人として当局と交渉する | 48 | 7.4% |
b. 法的に交渉権を保障された労働組合に加入する | 318 | 49.3% |
c. 自分は能力があるので、それに見合った条件の職場に移る | 66 | 10.2% |
d. どのような労働条件を提示されても、ひたすら耐える | 56 | 8.7% |
e. その他 | 101 | 15.7% |
※無回答・無効 56(8.7%)
項目 | 人数 | % |
a. 大賛成 | 49 | 7.6% |
b. まあ仕方がない | 141 | 21.9% |
c. わからない | 113 | 17.5% |
d. 多少不安がある | 56 | 8.7% |
e. 絶対反対 | 194 | 30.1% |
f. それ以外 | 124 | 19.2% |
※無回答 7(1.1%)