東北大学総長
吉本 高志 殿
東北大学男女共同参画委員会委員長
鈴木 厚人 殿
東北大学男女共同参画委員会委員各位
2002年12月13日
東北大学職員組合
執行委員長 高橋 満
東北大学は、2001年4月に「男女共同参画委員会」を設置し、学内における男女参画を推進するため「現状を分析し、必要な措置を考え、これを働きかける」ための施策を検討してきました。この間、委員会では部局長や教職員個人へのアンケートなども実施し、現状を正しく把握する活動を基礎に数値目標もかかげながら具体的な取り組みを進めようとしています。さらには「男女共同参画推進のための東北大学宣言」をまとめ、「男女共同参画を阻害する要因によって部局員の人権が侵害された場合には、積極的に救済措置を講じる」ことを確認しています。私たち職員組合は、これまでも総長交渉などをつうじて大学における男女にもとづく不平等を是正するように要求してきました。こうした立場から大学の積極的な取り組みに対して、まずは敬意を表したいと思います。
しかしながら、私たちの認識では、依然として東北大学の教職員の採用・昇進・昇格について性にもとづく不平等が存在しております。まず、非常勤職員は賃金・休暇・研修などあらゆる面で低く抑えられていますが、そのほとんどが女性によって占められているという実態があります。さらに正規職員についても大きな格差があります。別添のグラフは東北大学における男女別の職員の職階を示したものです。みるように、採用及び昇任・昇格に男女間で大きな格差があります。とくに40歳以上の女性職員の場合には「係長」、「専門職員」、「補佐」以上の職につくことはほとんどできていません。こうした格差が男女間であることは性にもとづく差別があるということ以外合理的説明がつかないと私たちは考えます。
また、法人化に関わって、本学制度検討委員会が、民間企業の職能資格制度に似た能力等級による給与制度を提案していることは重大だと考えています。これまでの民間の例を見ると、職能資格制度のもとでの人事査定による昇格・昇給、これと連動した昇進の決定は、男女差別を生み出す温床でした。実際、いくつかの裁判の判決においては、企業において人事査定を通して男女差別が行われていたと認められています。人事制度の設計にあたっては、男女差別を誘発する余地がないような人事査定のあり方について、特別な注意が払われねばなりません。そうした注意を払うことなく能力等級制度を導入することは、男女共同参画に逆行するものであると私たちは考えます。
こうした認識から、以下の事項について貴職及び委員会としての見解をお聞きいたします。
東北大学はその理念として「研究第一主義」と「門戸開放主義」をうたっています。さらにいえば男女共同参画による教育研究の実践をできうるかどうかが、21世紀における本学の命運を決定するといっても過言ではありません。学生の受け入れだけではなく、教員や職員の採用及び昇進・昇格について男女の性にもとづく差別があるとすれば、大きな問題があるといわざるをえません。問題点を率直に認め、積極的かつ具体的な是正済措置をとるよう強く要望いたします。