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給与法の改定を理由とした非常勤職員の給与の引き下げに反対する要請書

東北大学総長
吉本高志 殿

2002年12月5日
東北大学職員組合    
執行委員長 高橋 満

 11月15日付で、文部科学省人事課給与班主査が通知「給与法改正に伴う非常勤職員の給与について」を出している。また本学でも、12月1日付で「平成14年法律第106号の施行に伴い」日給を減額する旨の人事異動通知書が総長名で出されている。こうした動きには以下のように重大な問題があり、組合は、これに抗議するとともに、給与法改定を理由とした非常勤職員の給与の減額を行わないよう要請する。


 第一に、人事院勧告および給与法改定は非常勤職員の賃金引き下げの法的根拠とはなりえない。つまり、「非常勤職員の給与額の改定等については、常勤職員に準じて取り扱われる」ことには減額改定の場合には正当な理由がない。常勤職員の場合には、給与法の規制を受けて人事院勧告にもとづき各年度の給与水準が決定されるが、非常勤職員の勤務条件は法律によって決定されているわけではなく、大学の物件費などを運用して給与が支払われている。このような制度が不当であることはいうまでもないが、制度の外においておきながら、制度の変更を理由として労働条件の不利益変更をすることは許されない。非常勤職員の給与の決定権は国会にも文科省にもない。「平成14年法律第106号の施行に伴い」減額されてはならない。大学や部局が自主的に、同一労働同一賃金・均等待遇の要請をふくめ合法的な限度で判断すべき事柄である。

 なお、大学や部局の予算として決定されている事項を、事務当局が一方的に変更することは手続上できない。評議会や教授会を否定することになるからである。


 第二に、給与は待遇の要をなすものであり、その減額は勤務条件の重大な不利益変更である。労働条件の一方的な不利益変更はできない。とりわけ、賃金・労働時間などの中心的な労働条件については高度の必要性の存在という合理性がなければ例外的にも認められない。


 第三に、給与の減額が常勤職員同様に遡及してなされるならば二重に問題である。「調整」という言葉が使われたとしても、実質的に不利益遡及であるならば同様である。また、日々雇い入れられる形態の職員の賃金が遡及して減額されるなどということは本来ありえない。時間雇用職員についても同様である。


 第四に、多くの非常勤職員が定員と同様の業務をおこないながら差別的な待遇をしいられている。それを容認したまま、「常勤職員に準じて」待遇を引き下げるなどは言語道断である。これまで日々雇用職員の給与改定を4月に遡って実施してきていることなどではまったく合理化できない。


 組合は、給与法の改定を理由とした非常勤職員の給与の引下げに反対する。上記文科省通知に基づき、本部から各部局に対して通達が行われている場合、それはただちに撤回するよう求める。辞令(人事異動通知書)が交付されている場合、撤回し早急に回復の措置をとるよう求める。


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