2003年7月18日
2003年8月18日(一部改訂)
2003年12月2日(改訂)
東北大学職員組合
国立大学は来年の4月1日に法人化されます。東北大学職員組合は、「国立大学法人東北大学」を少しでも研究・教育がしやすく、はたらきやすい場にするために、法人法成立直後の7月18日に「国立大学法人東北大学のあり方に関する職員組合の基本要求」を発表し、9月4日には総長交渉を申し入れました。
ところが、大学当局による法人化準備作業は、おそろしいほど遅れています。多くの国立大学では管理運営規程、学長選挙規程、就業規則などの詳細な案が発表されており、組合との間で真剣な交渉が行われているところもあります。しかし、東北大学では就業規則案も公表されておらず、説明会も一部の部局でしか開かれていません。組合は教職員の情報不足を補うために、法人化前後の労働条件比較マニュアル「法人化で労働条件はこう変わる!」を独自に作成し、さらに就業規則の独自試案も公表しましたが、本来、こうしたことは当局が責任を持ってなすべきです。
このままでは準備がきわめて不十分なままに4月1日を迎えてしまうかもしれません。当局が就業規則や諸規程の案をぎりぎりになってから発表し、十分な学内論議も せずに押し通すといった事態は、絶対に避けるべきです。そうした場合、研究・教育の長期展望や教職員の労働条件はなおざりにされ、見かけ上の能率と経費節約、不公正な競争だけがまかりとおるでしょう。
しかし、あきらめる必要はありません。「基本要求」の発表以来、組合には様々な意見と質問が寄せられ、多くの職場で議論がなされました。ここに発表するのは、その結果を踏まえて改訂した「基本要求」です 。ここには、東北大学ではたらき、研究・教育をおこなっていくために最小限必要なルールがまとめられています。組合はこのルールを実現するために、各レベルの交渉・会見を要求していきます。
法人化は大学と教職員の関係を民間企業や私学と基本的に同じものとします。役員会の権限は企業経営者のように強くなりますが、教職員は団結権・団体交渉権・争議権を認められ、労働組合の権利も強まります。法人法案採択時の附帯決議によって、大学当局は職員団体と誠実に交渉・協議する義務が発生していますし、法人化後は、 大学は組合の申し入れる団体交渉を断ることができません。就業規則は法人が定めるものですが、過半数組合または労働者の過半数代表の意見を聴取しなければなりません。また、給与の口座引き落とし、時間外労働、フレックスタイム制、裁量労働制などを実施するためには、過半数組合または労働者の過半数代表との合意による労使協定が必要なのです。
要するに、教職員が発言するかどうかで、大学は変わるのです。そして発言力を強めるためには、強い交渉力と賢い政策能力を持った組合が必要です。私たちは、多くの教職員の皆さんが職員組合に加入してくださることを、心から訴えます。一人一人の知恵と力を結集して、雇用を守り、研究・教育・労働条件を充実させていきましょう。
大学は、常勤・非常勤を問わず、本人の希望に反しない限り全教職員を国立大学法人東北大学職員として承継すること。政府は、非常勤職員を承継すべきことを明確にし、その人件費を運営費交付金によって保証すること。
法人法では職員の承継を定めていますが、非常勤職員は2004年3月末に雇い止めされる危険があります。承継について、吉本総長は明言を避けてきました。しかし、法人化を理由に雇い止めにすることは許されません。また、政府が、現在の非常勤職員給与相当分を運営費交付金の人件費算定基礎に加えない方針をとっていることは不当です。
大学は、非常勤職員のなかでも恒常的業務に長期にわたって就いている日々雇用職員を、法人の正職員(期間の定めのないフルタイム職員)として雇用すること。仮に別の形で承継する場合でも、脱法的雇用形態を確実になくし、法人化後も一方的雇い止めをしないこと。正規職員との均等待遇を実現すること。政府は、このような職員の人件費を運営費交付金によって保証すること。
東北大学では、定員削減を補うために、日々雇用職員が定員内の職員と変わらない仕事にフルタイムでついています。しかし扱いは「非常勤」とされて給与などの処遇は劣悪であり、また1年限りの任用と定められているために、毎年3月30日に雇い止めされ、4月1日から再任用されるという異常な任用形態となっています。こうした職員は、非公務員型法人化を機会に正職員として承継すべきです。また、仮に別の形で承継する場合でも、従来の形態は労働基準法(労基法)違反となることを踏まえて、仕事内容にふさわしい均等待遇を実現すべきです。雇い止めはもちろん、時間雇用職員への転換といった待遇改悪を行うべきではありません。
大学は、時間雇用職員(パートタイマー)を確実に承継するとともに、法人化後も一方的雇い止めをせず、その待遇を仕事内容にふさわしいものに改善すること。さしあたりボーナスと退職金を支給し、忌引き休暇と病気休暇を認めること。
時間雇用職員(パートタイマー)については、確実に承継を行うとともに、労基法・パート労働法・判例に照らした処遇改善を行うべきです。
政府は、労働安全衛生法の基準を満たすために、予算・人員の裏付けある措置をただちに実施すること。大学は、各部局の実態調査を行い、十分な措置を断固として要求すること。その際、学生の安全についても考慮すること。
職場の安全や健康に関する基準は、非公務員化されると人事院規則10-4(職員の保健及び安全の保持)から労働安全衛生法にかわりますが、労働安全衛生法違反は刑事罰に処せられます。しかし、法人法案審議過程で、政府の予算措置がきわめて不十分であることが明確になりました。労働安全衛生法の基準を満たさずに法人化を実施することは大学を無法状態に置くものです。また、労働安全衛生法は労働者を対象にしたものなので、学生が保護の対象から外れています。しかし、大学は学生の安全と健康もあわせて考慮すべきです。
政府は、国会の附帯決議にしたがって運営費交付金の算定基準を明らかにすること。これを研究・教育活動にとって合理的なものとするために大学の意見を聞くこと。特に、2004(平成16)年度の標準教職員数が現行の教職員定員を大幅に下回るような算定基準案を撤回すること。運営費交付金について、「裁量的経費」としてマイナスシーリングの対象としたり、効率化係数による毎年の経費削減を強制したりし ないこと。大学は、研究・教育に必要な運営費交付金保障のために政府に働きかけること。
独立行政法人の多くは、年に1%予算削減などといった形での「効率化係数」を強制されています。また、財務省は運営費交付金を、マイナスシーリングの対象になる「裁量的経費」に分類替えしようとしています。これらは、所要額の確保をうたった衆議院・参議院の附帯決議に反し、研究・教育を危機に陥れるものです。
政府は、各種の補償金など、国立大学法人が背負うことが不適当な費用については、国の責任で措置する制度を整備すること。
労災保険事業者負担分、雇用保険事業者負担分、法定監査人費用などは運営費交付金に含まれる見込みです。しかし、国家賠償法に基づく損害賠償費用、損害保険料などは明確ではありません。各法人が個別に背負いきれないリスクは国の責任でカバーすべきです。
政府は、移行作業に必要な費用を保証すること。大学は、移行準備のための作業について超過勤務としないように努め、現実におこなった超過勤務に対しては確実に超勤手当を支給すること。
政府は、国立大学法人の役員に文部官僚を天下りさせない方針を明確にすること。大学は、自主性を守るために、文部官僚から役員を選ばないこと。
政府は、「中期目標・中期計画」を通した研究・教育内容の統制を行わないこと。
法人法案審議の過程で、文部科学省が「中期目標・中期計画」の内容を事細かに統制しようとしていたことが暴露され、大臣が陳謝するに至りました。今後とも、このような統制がなされないようにしなければなりません。
政府と大学は、「中期目標・中期計画」の策定過程をより構成員に開かれたものにすること。
大学は、総長選挙における構成員の投票制度を維持し、拡大すること。政府は、これを妨害しないこと。
法人法では、教育研究評議会と経営協議会の代表が総長選考会議をつくると定めています。しかし、この会議だけで総長を選ぶべきではありません。大学の自主性を守るためにも、構成員による投票制度を維持し、拡大すべきです。 その際、政策的争点を明確にする選挙公報、立会演説会などのしくみが必要です。
大学は、総長選考会議に現職の総長や理事を加えないこと。
法人法では、総長選考会議に現職の総長や理事を加えることが可能となっています。これでは現職者に批判的な者は総長になれない危険があります。
大学は、組織の改廃と予算の審議を役員会と経営協議会だけに委ねずに、教育研究評議会にも権限を持たせること。
法人法ではこれらの権限は役員会と経営協議会が持っています。しかし、これでは経営の論理が研究・教育の必要性を圧倒する危険があります。政府は国会答弁で教育研究評議会も予算を審議できると述べており、また東北大学制度検討委員会中間報告もそうすべきだと述べています。
大学は、教授会が、教員人事をはじめとする、研究・教育に関わる重要事項を審議する機関であることを明確にすること。これらの事項について、部局長や部局運営会議への権限集中を行わないこと。
現在は、教育公務員特例法(教特法)により、教員の採用や昇任は教授会の議に基づくことが規定されています。非公務員化によって同法の対象外となっても、教員人事等について、教授会は重要な審議機関として位置づけられるべきです。
政府は、法人化に際しての労働条件の不利益変更が許されないことを明確にすること。大学は、労働条件の不利益変更をしない方針を明確にすること。
大学は、大学と教職員の関係が対等な契約であることを踏まえた就業規則を作成すること。均等待遇、旧姓の使用、知的財産権、内部告発者の保護などについての原則を明確にすること。
就業規則は、使用者が労働者を管理する「べからず集」ではありません。労働者保護の要件を満たす労働条件を保障するために、労基法で制定が義務づけられているのです。教職員の義務ばかりではなく、使用者の義務、教職員の権利も明記すべきです。
大学は、教職員の整理解雇を行わない方針を明確にし、就業規則において、解雇の条件に整理解雇を含めないこと。
国家公務員である教職員は、懲戒や組織改廃などの特別な場合を除いて職を失うことはありませんでした。組織改廃で非公務員化された上に、さらに身分保障を失わねばならない理由はどこにもありません。また、解雇権濫用が労基法によって禁じられていることを就業規則で再確認すべきです。
大学は、教員の身分と処遇を教育公務員特例法の水準で維持すること。
同法では、国立大学教員は評議会の審査の結果によるのでなければ、その意に反して転任・免職・降任されたり、懲戒処分を受けたりすることはありません。また、勤務場所を離れた研修の権利が保障されています。非公務員化によって同法適用外となりますが、これらの条件は就業規則によって維持されるべきです。
政府と大学は、教員の任期制について、「任期法」が定める要件とその採択時の「附帯決議」の精神に厳密にのっとって運用すること。部局教員すべてを任期制としたり、現任教員を任期付きに変更するような無限定な運用をしないこと。
「任期法」が定めるように、教員の任期制の目的は雇用流動化ではなく、学問的交流の活発化です。任期制は、(1)先端研究・学際的研究など特に多様な人材が必要とされるとき、(2)自ら研究目標を定めて研究を行う助手の職務、(3)期限付きプロジェクトの職務、に限られるべきです。なお、万が一にも、法人化に際して現任教員を任期つきにするようなことはあってはなりません。重大な不利益変更であり、承継を損なうもので違法です。
大学は、全学的な議論を行うことなく、給与制度の大幅改編を行わないこと。諸手当を削減しないこと。移行の年度も現行の水準を下回らない昇給・昇格を保証し、処遇の改悪がないようにすること。政府は、これらに必要な人件費を運営費交付金で措置すること。春闘における労使交渉に誠実に応じること。
「中期目標・中期計画」案には「全学共通の人事制度を整備する」こと、「能力・業績主義を適切に運用する」ことが記されていますが、具体的なことは何一つ議論されていません。拙速な改編を行うべきではありません。
大学は、教員評価について、公正な評価方法の開発と透明性のある運用を行うこと。評価方法と運用に関する議論を尽くすことなく、評価結果を処遇に結びつけないこと。
「中期目標・中期計画」案には、評価結果を処遇に結びつける方針が記されていますが、評価の公正さについてはほとんど議論されていません。不透明で恣意的な評価は研究・教育をかえって停滞させます。
大学は、女性の昇格・昇進に不利となっている人事査定を、公正で透明なものに改善すること。
現在、女性の事務職員は係長以上にはほとんどなれないという実態があり、事実上の差別待遇とみなさざるを得ません。人事査定を公正なものに改善することが必要です。
大学は公正な評価方法と透明性のある運用について議論を尽くすことなく、人事制度における能力主義・成果主義を強化しないこと。
査定が不公正なままで能力主義・成果主義管理が強化されれば、いっそうの男女差別や他の形での差別が生じるおそれがあります。
大学は、始業・終業時刻と労働時間・休み時間について、現行よりも教職員の負担が大きくならないようにすること。労働時間短縮の計画を立てること。
国家公務員である現在は、8時30分始業、17時終業で拘束8時間30分、勤務8時間、休憩30分です。休憩の他に、勤務時間内に30分の休息時間をとれるので、実質的には労働7時間30分、休み時間1時間となっています。
8:30-12:00:労働 12:00-13:00:休み 13:00-17:00:労働 法人化されると労基法が適用され、休憩が45分以上になる一方で休息時間の法的保障がなくなります。多くの先行独立行政法人では、勤務8時間として拘束時間を8時間45分に延ばし、休憩45分、休息15分としています。すると、実質労働時間は15分延びて7時間45分となり、終業時刻は17時15分になってしまいます。
8:30-12:00:労働 12:00-13:00:休み 13:00-17:15:労働 しかし時短が世界の流れです。実質的な現状維持(形式的には15分の時短)とすることを検討すべきです。
大学は、超過勤務を極力行わず、教職員の健康と私生活を守る方針を明確にすること。不払い残業がないようにすること。
超過勤務については、極力行わないようにすることが使用者の責任です。行う場合には労使協定が必要であり、誠実に協議をおこなうとともに、教職員の健康と私生活を守る方針を明記すべきです(旧労働省労働基準局による三六協定モデル)。いわゆるサービス残業を行わせることは、法人化後は6ヶ月以下の懲役か30万円以下の罰金に相当する犯罪であり、確実になくすべきです。大学が厳しい予算制約におかれていることは確かですが、それについては、まずは超勤の実態を調査し、業務のあり方を見直すことによって、また情報公開を前提に勤務形態について労使でよく話しあうことによって解決すべきです。
大学は、専門業務型裁量労働制の導入を図る場合は、十分な労使協議を行うこと。授業等の負担増には適切な手当で報いること。
これまで大学教員には裁量労働制が適用されませんでしたが、厚生労働省の方針により、専門業務型裁量労働制が適用可能となる見通しです。導入の際には、労使協定を結ぶことが必要なので、教員にとってのデメリットがないようによく協議する必要があります。この問題の背景には、教員の負担増に報いる適切なしくみがないことがあります。裁量労働制だけを検討するのではなく、多くの私立大学のように、授業等の負担増には持ちコマなどを基準とした手当で報いるしくみをつくるべきです。
大学は、病気休暇や、出産などに関する有給の特別休暇について、現行水準を下回らないように保障することを就業規則に明記すること。長期勤続者のリフレッシュ休暇を新設すること。
公務員の出産休暇は有給であり、また選挙権の行使、結婚などについても有給の特別休暇が法律で規定されています。しかし非公務員化されると法的には出産休暇と選挙権行使しか保障されず、それも有給であるという保障はなくなってしまいます。就業規則に、少なくとも現行水準の特別休暇を明記すべきです。また、民間で定着しつつあるリフレッシュ休暇の新設を求めます。
大学は、育児休業・介護休業について、現行水準を下回らないように保障すること。
国家公務員は子どもが3歳になるまでの育児休業を保証されていますが、非公務員化されると法的保証は1年になってしまいます。少なくとも現行水準を守ることを就業規則に明記すべきです。
政府は、「育児・介護休業法」を任期付き教員にも適用すること。大学は、仮に同法が適用されない場合でも、就業規則によって、任期付き教員に育児・介護休業を保障すること。
現在は、任期付き教官も育児休業と介護休暇をとることができます。しかし非公務員化された場合に適用される「育児・介護休業法」は、期限付き雇用の労働者には適用されません。法の運用の改善か、大学の就業規則による保障が必要です。
大学は、教職員の研修計画を持つとともに、研修を受ける権利を保障すること。教員については、教特法の水準で勤務地を離れた研修や長期の研修の機会を保障すること。
大学は、教職員の配置転換について、仕事能力や家事責任などについて、当人の希望と事情を踏まえるべきことを、就業規則に明記すること。転居を伴う配転はその都度本人の同意を条件とすること。教員の配置転換は教授会・教育研究評議会の議に基づき、また他職種への転換を行わないこと。その他、異なる職種への配置転換は、その都度本人の同意を条件とすること。
配置転換は、労働者の仕事能力を無視したり、家庭生活を破壊することがないように実施すべきです。教員については、教特法の精神を守るべきです。
大学は、教職員の出向についてその都度当人の同意が必要であることを、就業規則に明記すること。出向した場合でも、労働条件を後退させない措置をとること。裁量的な転籍命令権を就業規則に記さないこと。
法人化後は法人の職員となりますから、これまで人事交流として行われていた別の大学や国・自治体の機関への移動は、国立大学法人東北大学に籍を置いたまま出向するか、いったん退職して労働契約を結びなおさなければできません。法律上、転籍に関しては当人の同意がその都度必要です。転籍命令は退職命令と同等のものですから労基法上認められず、したがって就業規則に規定すべきではありません。また、出向に関しても当人のその都度の同意を前提とすべきです。
政府と大学は、労災補償について、補償水準が切り下がらないようにすること。
非公務員化に伴い、労災補償の枠組みは国家公務員災害補償法から労働者災害補償保険法に変わります。補償水準が切り下がらないようにすることは、政府と大学の責任です。
大学は、労使の適切な代表による苦情処理制度を整備すること。
国家公務員は、懲戒をはじめとする不利益処分に対しては、人事院に不服を申し立てることができます。非公務員化によってこの制度はなくなりますので、別途、苦情を申し立てる制度を設けなければ、使用者の裁量だけが拡大して不公平です。苦情処理機関は当局側の代表ではなく第三者機関となるように、適切な構成を取る必要があります。
大学は、定年年齢を短縮しないこと。年金支給開始年齢にあわせた65歳定年制について検討を開始すること。
東北大学制度検討委員会報告は、教員定年を短縮して、その後は任期付き雇用に切り替える案を検討すると記しています。処遇の改悪につながる定年短縮には反対します。むしろ年金支給開始年齢が引き上げられていることに対処するため、65歳定年制についての検討を始めるべきです。
大学は、退職金の支給水準を現行以上となるように保証すること。政府は運営費交付金によってこれを保証すること。
非公務員化されると国家公務員退職手当法が適用されなくなり、退職金支払いは法人にとって法的義務ではなくなります。公務員時代からの通算を確実なものとし、支給水準が切り下げられないようにするため、大学の支給基準をきちんと制定させ、政府に必要な運営費交付金を交付させることが必要です。
大学は、雇用保険加入による教職員の実質的負担増を避ける努力をすること。政府は、雇用保険の事業主負担分について運営費交付金で確実に措置すること。
非公務員化されると、雇用保険に加入することになる見通しです。事業主負担分は運営費交付金で措置される見込みですが、教職員には保険料負担が新たに発生してしまいます。大学は負担軽減に努力すべきです。
大学は、法人化を機会に技術職員の位置づけ・あり方を明確にすること。
技術職員の仕事の位置づけや組織のあり方について、学内には十分な合意がありません。しかし、専門性の高い職種として尊重する見地から、十分な検討を加えるべきです。そのことなしに経費節減の見地だけから組織再編成・アウトソーシングなどを一方的に行えば、研究・教育活動を妨げることになります。
大学は、法人化を機会に教務職員制度を廃止し、現在の教務職員全員の速やかな待遇改善を実現すること。
教務職員は、もともと臨時措置でつくられた制度が固定化されたものであるため、職務内容に対して不当に劣悪な処遇を受けています。制度の廃止と待遇改善が必要です。
大学は、法人化の前も法人化後も、法にのっとり、組合と誠実な交渉を行うこと。
職員組合は現在は「職員団体」ですが、法人化時点で「労働組合」に転換します。法人法が施行された10月1日以後、大学は法人法の附帯決議に則り、組合と誠実に交渉・協議する義務があります。労働組合との団交を拒否することや、「聞くだけ聞くが方針は変えない」という態度を取ることは、労働組合法によって禁止された不当労働行為です。
大学は、教職員の組合加入を妨害しないこと。
組合加入を妨害したり、組合員を差別したりすることは、国家公務員法のもとでも禁止されています。また法人化後は、不当労働行為として労働組合法で禁止されています。
大学は、就業規則への意見反映、労使協定締結のための過半数代表制を公正に運用すること。
使用者は就業規則を定めることができますが、過半数組合か労働者の過半数代表の意見を聞かなければなりません。また、時間外労働や休日労働、フレックスタイム制や裁量労働制を導入するには過半数代表と労使協定を締結しなければなりません。労使協定なしには1分の残業もできないのです。この制度を公正に運用することが重要です。職員組合はすでに過半数代表制の運用について提案を行っています。
大学は、労働組合の正当な活動を制限するような内容を就業規則に盛り込まないこと。
たとえば学内での政治活動を一般的に禁止したり、集会や宣伝に過度な制限を加えたりするべきではありません。
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