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東北大学
 総長 吉本高志殿

2003年9月4日
東北大学職員組合
   執行委員長 高橋 満 

総長交渉申入書

貴職にはますますご清栄のことと存じます。
 さて、2004年4月からの東北大学の法人化にともなって、私たちは「非公務員」化されることになります。この結果、国家公務員法と人事院規則などによる規制から、労働基準法法制に移行することになり、私たちの雇用と労働条件が大きな変化をうけることが危惧されます。しかし、雇用の継承と労働条件をめぐって、依然として大学としての明確な方針・考え方が示されていないために、教職員の不安も高まっております。
 私ども職員組合は、先に「国立大学法人東北大学のあり方に関する職員組合の基本要求」をだしておりますが、東北大学と貴職が雇用と労働条件のあり方についてどのような方針をもっているのか、改めて見解を確認し、意見の交換をいたしたく交渉を申し入れます。

要求項目

1.教職員の雇用を維持するための要求

  1. 常勤・非常勤を問わず、本人の希望に反しない限り全教職員を国立大学法人東北大学職員として承継すること。
  2. 恒常的業務に長期にわたって就いている非常勤職員(定員外職員)を、法人の正規常勤職員として雇用すること。

2.法人化の準備と法人制度への移行に当然必要な予算・人員・時間を確保するための要求

  1. 労働安全衛生法を遵守するために、各部局の実態調査を行い、必要にして十分な措置を政府に断固として要求すること。その際、学生の安全についても考慮すること。
  2. 移行準備のための作業について超過勤務としないように努め、現実におこなった超過勤務に対しては確実に超勤手当を支給すること。
  3. 運営費交付金の算定基準につき、不合理なものとならないように政府に断固として要求すること。特に、2004(平成16)年度の標準教職員数が現在の教職員定員を大幅に下回るような算定基準をとらないように要求すること。

3.法人化に伴う大学運営機構の再編を、大学の自治と教育・研究の自主性を尊重したものとするための要求

  1. 自主性を守るために、文部官僚から役員を選ばないこと。
  2. 「中期目標・中期計画」の策定過程をより構成員に開かれたものにすること。
  3. 総長選挙における構成員の投票制度を維持し、拡大すること。
  4. 総長選考会議に現職の総長や理事を加えないこと。
  5. 組織の改廃と予算の審議を経営協議会だけに委ねずに、研究教育評議会にも権限を持たせること。
  6. 教授会が、教員人事をはじめとする、研究・教育に関わる重要事項を審議する機関であることを明確にすること。これらの事項について、部局長や部局運営会議への権限集中を行わないこと。

4、非公務員型法人化のもとで労働条件を悪化させず、維持・改善するための要求

  1. 労働条件の不利益変更をしない方針を明確にすること。
  2. 大学と教職員の関係が対等な契約であることを踏まえた就業規則を作成すること。
  3. 教職員の解雇を行わない方針を明確にすること。
  4. 教員の身分と処遇を教育公務員特例法の水準で維持すること。
  5. 教員の任期制について、「任期法」が定める要件とその採択時の「附帯決議」の精神に厳密にのっとって運用すること。部局教員すべてを任期制とするような無限定な運用をしないこと。
  6. 全学的な議論を行うことなく、給与制度の大幅改編を行わないこと。移行の年度も従来の水準を下回らない昇給・昇格を保証すること。
  7. 教員評価について、公正な評価方法の開発と透明性のある運用を行うこと。評価方法と運用に関する議論を尽くすことなく、評価結果を処遇に結びつけないこと。
  8. 女性の昇格・昇進に不利となっている人事査定を、公正で透明なものに改善すること。
  9. 公正な評価方法と透明性のある運用について議論を尽くすことなく、人事制度における能力主義・成果主義を強化しないこと。
  10. 定年年齢を短縮しないこと。
  11. 退職金の支給水準を現行以上となるように保証すること。
  12. 休憩・休息時間について、現行水準を実質的に下回らないように就業規則によって保障すること。
  13. 出産などに関する有給の特別休暇について、現行水準を下回らないように就業規則によって保障すること。
  14. 育児休業・介護休業について、現行水準を下回らないように保障すること。
  15. 任期付き教員について、仮に「育児・介護休業法」が適用されない場合でも、就業規則によって育児・介護休業を保障すること。
  16. 教職員の配置転換について当人の事情を踏まえるべきことを、就業規則に明記すること。
  17. 教職員の出向・転籍について当人の同意が必要であることを、就業規則に明記すること。出向・転籍する教職員について、労働条件を後退させない措置をとること。
  18. 法人化を機会に技術職員の位置づけ・あり方を明確にすること。
  19. 法人化を機会に教務職員制度を廃止し、現在の教務職員全員の速やかな待遇改善を実現すること。

5、非公務員型法人化のもとで、教職員の生活と権利を守る労使関係を構築するための要求

  1. 法人化の前も法人化後も、法にのっとり、組合と誠実な交渉を行うこと。
  2. 教職員の組合加入を妨害しないこと。
  3. 就業規則への意見反映、労使協定締結のための過半数代表制を公正に運用すること。
  4. 労働組合の正当な活動を制限するような内容を就業規則に盛り込まないこと。

以上


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