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総長交渉報告

2003年1月17日(金)10:30〜12:00
事務局第一会議室

出席
■大学側:吉本総長、北村財務担当副総長、長谷川事務局長、三浦総務部長、上田人事課長、白鳥大学制度改革推進室長、人事課スタッフ他
■職員組合側:高橋委員長、関本副委員長、坂田副委員長、小野寺書記長、下山書記次長、川端教文部長他、執行委員、専門部長、支部長他計18名

※慣例に従い、冒頭、総務部長から一通りの回答があった後、質疑応答を行いました。

■<組合>側 ■大学側


1、法人化問題と東北大学の将来像について

(1)合理的な理由を欠く非公務員型の選択に反対の立場から対応をとること。

■<三浦総務部長> 法案は今度の通常国会に出るということだが、全体として端切れの悪い回答にならざるをえないということは容赦いただきたい。
 組合からは、「教職員を非公務員とすることは大学改革にとってどのような意義があるのか。公務員の人減らし以上にほとんど意味がないのではないか。制度検討委員会の議論でも、弾力的で多様な人事制度や流動性につながるというよりも、公務員制度改革に連動した検討がされている」という質問だったが、それについて三点回答する。一つは、現在、公務員制度改革が提案されているが、当然それを考慮した上での公務員型と非公務員型の案だろう。いわゆる非公務員型になった場合に弾力的な人事制度を構築することができると理解している。二つ目に、文科省の調査検討会議の中でも、雇用形態、給与形態、勤務時間の体系などを、現行の国公法にとらわれないで自由に自主的に決めることができるというメリットが指摘されているし、外国人教員任用法の枠にとらわれないことも多様化の一つだと思う。
 現在行われているが、営利企業の兼職兼業等についてもさらに法人独自に弾力的な運用ができるだろう。
 教員以外の採用等についても、現在は国家公務員法上の試験制度に基づいて採用されるが、それについても自主、自律、自由な形で制度が設計できるのだろうと、調査検討会議でも指摘されている。したがって、東北大学においても関係委員会で自主、自律、自由な制度設計ができるということをふまえて、検討している。
 四番目に、非公務員型について、反対する立場から対応をとることということだが、現在、非公務員型について反対するということは考えていない。

(2)仮に非公務員型で法人化される場合でも、常勤の教職員は本人の意思に反しない限り雇用継承すること。恒常的な業務に継続して就いている非常勤職員についても同様とすること。また、公務員時と同等の雇用保障を学内規則に明記すること。

■<三浦総務部長> 仮の話だが、非公務員型の法人化がされた場合の常勤職員のこと、恒常的な非常勤職員の身分保障について、組合から日々雇用職員の雇用形態を労基法に反しないものにしてほしいということ等何点かあるが(「日々雇用職員、時間雇用職員の雇用の承継が国立大学法人法案に明記されるよう努力すること」「日々雇用職員の雇用形態を労働基準法に反しないものとすること」「現に恒常的業務に就いている職員は、本人の意思に反しない限り原則として次年度も雇用し、法人化前に雇用を打ち切ったりしないこと」「所定労働時間の短い職員については、労基法の均等待遇原則・同一労働同一賃金原則に基づいて差別のない雇用をすること」「恒常的な業務に継続して就いている非常勤職員を法人の必要人員とみなして、外注や業務委託をするのではなく、雇用のために必要な財源を確保すること」)、法人法が通れば、職員の任命等については人事権が総長に移る。しかし、国立大学の法人化特別委員会で国大協全体として検討しているので、それもふまえて、学内の制度設計について今後十分に検討していきたい。

(3)待遇については現状の水準の維持・向上という立場に立つこと。教員に関しては、教育公務員特例法の水準で労働条件を維持すること。

■<三浦総務部長> 待遇について、現状の維持・向上、教員については教育公務員特例法の水準維持という趣旨の質問だ。さらには学内規則ではっきり明記してほしいということだ。
 法人化の移行にあたっての待遇問題は非常に重要な問題だろうと認識している。したがって、現在、とくに教員の職務の特殊性に鑑みて、選考、任免、給与、服務等について学内の委員会で検討している。

(4)大学の教育・研究に関わる本来業務についてはアウトソーシングしないという立場を明確にすること。

■<三浦総務部長> 具体的に今何がアウトソーシングできるかについては研究しているところだが、アウトソーシングそのものは、効率的な運営、弾力的な運営を考えれば、当然大学の管理運営にとっては、とくに運営にとっては重視すべきことだろうと考えている。したがって、どのような中身についてアウトソーシングするか、現在検討しているところだ。

(5)事務職員が本来大学運営にどう関わるべきか位置づけを明確にすること。また、法人内と法人間を問わず、異動は本人との合意に基づくものにすること。

■<三浦総務部長> 事務職員の大学運営への関わり方、位置づけの話、それから法人内、法人間の異動の話だが、事務職員の関わりについては、調査検討会議では教員等と連携しつつ、大学運営の企画立案に参画すること、これは積極的に参加することという意味だと聞いている。これをふまえて東北大学でも制度検討委員会、A委員会、B委員会でも検討されて、中間報告を出しているが、ここでも必要に応じて、たとえば全学委員会への委員としての参画等を検討するということも考えられている。
 当然、人事の活性化、人事異動の重要性については十分認識しているので、法人内、法人間をまたいでの異動については、その重要性を十分認識してするべきだろうと考えている。

(6)退職金および、法人化後採用の常勤新規職員の人件費について、運営費交付金として財源措置がとられるように要求すること。

■<三浦総務部長> これは非常に重要な問題でもある。したがって、退職金については運営費交付金に算定されることになっていると我々は承知している。法人化後の採用、常勤新規職員についても、運営費交付金の中に算定されるルールに基づいて所要の人が当然再任されるのだろうと感じている。

(7)運営協議会を、教学の立場からのチェックが抜本的に働くものとすること。そのために、諮問機関的なものにとどめるか、教学代表を参加させること。 学外委員の指名を総長専権とせずに、社会のより広範な意見が反映されるように工夫すること。

■<三浦総務部長> この運営協議会については、社会に開かれた大学という観点から、とくに経営について運営協議会という、仕組みが考えられているわけだが、これも具体的には、法人化法案の法制化作業の中で、進められているのだろうと思うので、その骨格がはっきりした段階で学内の制度設計をしたいと考えている。

(8)総長選挙制度は、現職総長の意向が入り込むしくみにはせず、公正な選考を保障すること。また、教官による直接投票制度を維持すること。

■<三浦総務部長> これについては四点ほどある。総長候補の選考基準・手続き等の策定、具体的な選考過程について学外の意見を反映させるものとして運営協議会というものが提案されている。一方で経営に責任を持つ法人の長としての役割、一方で教学の長としての総長の役割という観点から、運営協議会と評議会の双方から選ばれて構成される予定である合同委員会、これを総長選考委員会と読み替えてもいいが、という形で選考することが大枠の仕組みとなっている。そういう仕組みの中で当然、公平な選考がされなければならない。それぞれの総長選考委員会の基本的な枠組みについては当然法律で明記されるということになると思うが、それがはっきりした時点でさらに検討を進め、東北大にとって一番ふさわしい総長選挙のあり方について、投票の扱いを含め、検討を進めていく。

(9)教員評価の拙速な導入はしないこと。特に単純なポイント制を業績給や勧奨退職の判断基準とする等、実態にあわない評価制度にはしないこと。

■<三浦総務部長> 東北大学が法人化になった場合には、自主、自律、自己責任という体制に移行するわけだが、そういう中で、当然組織、教職員について評価が求められることになるだろうと考えている。本学の検討状況は、中間報告でも触れているが、各教員の研究教育の事情に応じた公平性を図るとともに、これらの評価活動によって全学的な評価を最大にするという効果を期待している。こういうことから、教員の研究、教育等の活動を評価することを検討しているところだ。ただし、その評価制度導入にあたっては実態に即したものになるようにしなければならない。慎重に今後検討する必要があるだろうと考えている。

(10)評価・査定のルールとその公平性について検討を尽くすことなく、能力等級による人事管理を拙速に導入しないこと。

■<三浦総務部長> 前項で回答したことの中に含まれていると思うので回答を省略する。

(11)運営費交付金の算定方法につき、十分な水準の確保、一律切り下げの防止、評価結果の反映方法の公正さの確保という立場から、東北大学の見地を表明すること。

■<三浦総務部長> 運営費交付金には標準運営費交付金、特定運営費交付金の二種類ある。学生数、客観的な指標等に基づく算定方法に基づく標準的な標準的な収入と支出の差を標準的な運営費交付金と称している。それ以外のもの、つまり特別な教育研究施設の運営、事業実施にあたっての収穫等を特定運営費交付金と称している。その二種類で算定されることになっている。算定された運営費交付金については中期計画が終了した段階で、各大学に対する評価結果が反映されるという仕組みになっている。ただし、評価の具体的な方法、手続き、算定にあたっての細かい事項については、現在文科省で検討が進められているので、それらの情報をもとに、十分に検討していきたい。

2、教職員の待遇改善について

(1)教務職員問題の抜本的解決を図ること。

■<三浦総務部長> 教務職員問題の抜本的解決を図ることということで、あわせて具体的な要求も出ているが(「1991年11月の国大協総会で承認された第4常置委員会「教務職員問題に関する検討結果報告」を東北大学としてどのように受け止め実行するのか、明らかにすること」「概算要求に教務職員の上位級への定数振替を盛り込むこと」「全学で空き定数を活用して2級への昇任をはかること」「教務職員制度の議論を行うための全学的なワーキンググループを設置すること」「教務職員制度の廃止を関係機関に働きかけること」「新たに教務職員として任用しないこと」「待遇改善で昇格した教務職員にたいして、退職時期などの差別を行わないこと」「法人化にあたっては助手または技術系専門職員への振替姿勢(制度検討委員会中間報告)を堅持すること」)、これについては研究科等の整備に際して助手に振替えるということでこれまでも行なってきたし、15年度の予算でも予算査定がされている。今度の予算の政府原案について言えば、15年度の概算要求で振替要求を出した結果、9名の人数が予算措置される予定だ。ちなみに14年度は5名だったので4名増えている。

(2)技術職員の上位級定数の20%確保をめざすこと。

■<三浦総務部長> これは文科省との関係もあるので、定数確保、上位定数増については機会ある毎に文科省にお願いしている。これも例年ベースだが、文科省も人事院に対して教員等の給与改正に関する要望書を出している。たしかに本学の技術職員の5級以上の数は、残念ながら、平均値より低いことは承知している。これも引き続き努力していかなければならない事項のひとつだと考えている。

(3)団塊世代の実態を把握して上位級を確保すること。世代間の不公平を解消すること。

(4)事務職員の業務内容の大幅な変化に即して定員、経費の増、昇給・昇格、待遇改善を図ること。

■<三浦総務部長> (3)(4)あわせて回答する。これも大学独自で決めることではなく文科省にお願いする仕組みになっている。引き続き、国大協等を通じて文科省、人事院等関係機関に働きかけたいと考えている。

(5)サービス残業を解消すること。長時間労働を縮減すること。水曜ノー残業デーを徹底すること。

■<三浦総務部長> サービス残業といわれる実態があるということは承知している。事務量の増大が続くためだろうが、そのためには、事務機器、仕事の内容そのものをどうするかという努力は当然しなければならないと思っている。さらに今後とも、たとえば法人化に向けて事務組織をどうするかを検討しているが、業務方法、人員配置の内容等、十分に考えて検討していきたいと思っている。超過勤務費の支給については、文部科学省から通知が来ているので、もちろん部局にはその趣旨を伝えているが、また機会をみつけて徹底していきたいと考えている。

(6)医療事故防止のため、看護師など医療職員の定員増に努力すること。また、年次有給休暇を取得しても医療業務に差し支えないだけの常勤看護師数を確保すること。

■<三浦総務部長> これについては非常に具体的な話が組合からあり、欠員の速やかな補充、定員外の看護師の定員化、看護師の人数の配置等々いろいろ話がある(「少なくとも複数で月8日以内の夜勤人員を確保するための増員を概算要求すること」「不安定な身分の定員外看護師を定員化すること」「1日当りの入院患者数(あるいは1ヶ月当りの退院患者数)1人に対して1人の、1日あたりの外来患者数15人に対して1人の看護師を配置すること」「ICUなどの重症病床については、患者1人に対して1人の看護師を常時配置すること」「夜勤帯については、入院患者10人に対して1人の看護師を病棟に配置すること」「各病棟に看護助手及びクラークをそれぞれ少なくとも1名配置すること」「ケースワーカーを配置すること」「各病棟に少なくとも1名の薬剤師を配置すること」「勤務時間の弾力化・自由化を理由とした二交替制勤務の導入はしないこと」)。当然、東北大学の病院において、高度な手術、高密度治療等、専門的な高度医療が増加しているし、当然それが求められているので、その需要に十分こたえなければならないという責務もあると思う。
 看護師の具体的な定員増については、今年は残念ながら、概算要求で定員増が認められなかった。15年度は0だ。この要求はとても難しい。たとえば昨年は1人という状況だ。しかし現状をふまえて概算要求等おこなっていかなければならないと考えている。
 給与水準、勤務形態の話については、これも文科省から人事院に出された要望書の中に、当然組み込まれているし、今年も同様に要望されている。

(7)東北大学における男女共同参画の推進のために、人事院指針および文科省通知にそって女性職員の採用・登用拡大計画を具体的に示すこと。

■<三浦総務部長> 東北大においては、男女共同参画委員会を13年の4月に設置した。そこで月1回ぐらい鋭意検討しているが、最近非常に具体的な動きがでており、ワーキンググループを6つほど立ち上げている。その中身は実態調査、広報活動、相談窓口、両立支援、奨励制度、報告書作成等々だ。昨年シンポジウムをおこなった後、たとえば奨励制度であれば、他の省庁の場合を参考にして制度を措置する等、具体的な動きが進んでいる。まだ新しい委員会ではあるが、アンケートをとる等非常に活発な動きをしている。
 女性の登用問題については当然あるので、とくに掛長以上の処遇については、これからも十分に適性をあげながら登用したいと考えている。具体的な数の問題だが、たとえば今年15年度の掛長以上については、合わせて7名だ。内訳は5名が学内、他機関に2名だ。現状認識としては、たとえば掛長以上がどれくらいいるかというと1桁なので、そういう問題があるということを当然承知している。ただし主任クラスについては、結構男女比が近い率になってきているので、その次のステップをどうするかということだと思う。当然、適任者は、全員主任にするところまではできているが、その次の時にどうするか、十分勘案して積極的に必要ならば、適任者ならば登用したいと考えている。当然、文科省からの指導もあるので、東北大学としてもやらなければならないと考えている。

3、その他

■<三浦総務部長> 法人化について、要望書には入っていないが、事前の話し合いのなかで三点(「組合からの学内LANへの接続、東北大学ホームページの法人化関連ページへのアクセスについて前回総長交渉に基づいて早急にすすめること」「事業場の確定、就業規則、労使協定に関する日程について」「法人化に関して、全構成員による討論の場を設けること」)要求があった。
 情報提供については、国大協、文科省等で検討しており、大学にはいった情報については当然、部局長会議、評議会、事務長の会議である事務連絡会議等で配布可能な資料については各部局にすべて周知をはかっている。また、個別に推進室があるが、事務職員を対象にした法人化に関する説明会をこれまでに何度か開き、研修等もしている。要望をふまえて今後も公開できる情報についてはホームページ、ペーパー等で教職員に周知を図っていきたいと考えている。
 法人化について全職員を対象にした説明会を開催してほしいという要望については、そういう話があったということを聞いておく。
 就業規則等の策定、今後の日程については、来週20日から通常国会が始まるが、そこに法案が提出されるとのことだ。文科省サイド情報によれば、国会に提出されるのは2月末か3月になるだろうということだ。それから具体的に就業規則、協定の話になるが、それらは法人化法案の制定を踏まえる等して、今後職員団体と日程等については、具体的な対応について相談していきたいと考えている。よろしくお願いする。


質疑応答

1(2)法人への雇用の継承に関連して

■<組合> 前回の交渉については4月に申入れて、12月に実現したということで、組合としては遺憾と考えている。今回については申入れに基づいて速やかに実現していただき非常にありがたいと思っているし、組合自身は法人化に反対しているが、今後準備が進む中で協議をしていくことがこれから大事になってくるので、こうした場を速やかにもつことを継続していただきたいと考えている。よろしくお願いする。
 ただ、今回の要求項目について丁寧に答えていただいたが、大きな印象としては非常に残念だと思う。つまり法人化について、東北大学の将来像について今後具体的に検討していくということで、つまり東北大学としての姿勢、考え方がまったく組合に知らされなかったということではないかと思う。組合としては非常に残念だ。とくに今回の項目でいうと、たとえば(2)のところで、組合は法人化に対しては反対の立場をとっているが、仮に法人化される場合でも、あるいは非公務員化される場合でも、雇用を継承するのかどうか、まずそこのところを答えていただけないか。それから、常勤職員、非常勤職員について、雇用を継承するということについて、あるいは待遇、条件について継承するという基本的な考え方について、あるいは原則にたって東北大学としては検討していくということを、組合としては確認していただきたい。
 つまり、法律ができる、あるいはその内容という問題があるので、そこで実現するかどうかは法定の問題なので、仮には、可能性としては実現しないということはありうるかもしれない。しかし、東北大学としてどういう基本的な立場に立つのかということについては、組合員だけでなく、全教職員が関心をもっているし、望んでいることだと思うので、その点はぜひ明言してほしい。この点はどうか。

■<北村副総長> 大学の方に人事権がくる、そして経営責任が大学にくるということだ。その中で大きく制度が変わるということだ。大きく対置されてくるのは、雇用の確保は当然しなければならないと基本的に思っているが、ただ問題は、大きく大学の改編がもくろまれているということだ。人事もひとつだ。様々な弾力的な人事をしてほしい、様々な弾力的な人事によって教育研究の成果をあげてほしい、といろんな角度から注文がきている。大きな社会あるいは政治レベルでの要請の中においてどのような予算措置がなされるかということがまだファジーなところがある。運営費交付金についても、文科省から考え方は明らかにされたが、それを具体的に適用した場合に東北大学の予算がどうなるかということは、見えて来ない。もちろん、標準運営費交付金、特定運営費交付金があるが、場合によっては具体的な指数によってはドラスティックに財の配分方法が変わるかもしれない。本部決定等によって今までの予算が、基本的には委譲するという。ただし、だいたいの法人はその分野でひとつだが、国立大学の場合は多数存在するといったときに、今の政策では、競争的環境ということだ。政策レベルとしては財の配分が一番大きな刺激になる。そういうところが見えてこない。一番心配なところだ。私も国大協では特別委員会の専門委員をしているのでわかるが、文科省から幹部がくると当然質問がでる、雇用の問題もそうだがドラスティックにいろいろな観点、財の配分の意見が出る。様々な不安定な状況という点でも、原則的な雇用をするべきだという意見も出る。そういう中でなかなか確定して来ない。先行の独立行政法人との関係でも、教育研究の特性を配慮すれば、独立行政法人通則法をストレートに適用した法人であってはならないということは言われており。その線で大学もお願いしている。ただし、先行独立行政法人においても、承継ということでは常勤職員の承継ということだ。もう一つは承継した場合の退職金の期間通算の問題だ。先行法人では新しい法人でも措置をしている。したがって定員外職員にしてもそういう状態だ。予算の問題については、大学としても検討中だ。それが具体的に大学としてどのような人事制度をとるかにも関わってくる。大きな雇用不安はおこらないというのが基本だと思うので、それをふまえた上で検討しなければいけないと思う。抽象的で申し訳ないが。

■<組合> 組合が聞いているのは、法律で最終的に決められてしまうことは仕方がないとして、できるまでに東北大としてどのような考えで働きかけるか、あるいは法には定められていない自由度のある問題について、どういう姿勢で臨むかということだ。すでに東北大学制度検討委員会の中間報告で常勤職員の継承については、方針上うたっている。組合は非常勤のうち業務に絶対不可欠な業務をしている非常勤については絶対継承するべきだと思うが、少なくとも常勤職員については継承するという方針がおろされているのではないかという危惧をおこしている。この中間報告の考え方は堅持されているのかについて答えてほしい。

■<北村副総長> 基本的には中間報告の考え方は、それを基本として検討を続けている。あと、制度がどうなるか、予算がどうなるかということは、いろいろお願いしているが、その結果をふまえてどうするかということだ。基本的には、中間報告はそれを基本線として検討がすすめられているということだ。その中で、常勤職員について、中間報告のその部分について、基本から議論しろという話ではない。

■<組合> 不確定要素が法人化に伴ってあるということは、東北大に特殊な事情ではないだろうと思う。全ての国立大学が不確定の中で今後のことを考えているのだろうと思う。知っていると思うが、東大や名古屋大学のなかでは組合と総長との交渉の中で、常勤職員の継承について、それは当然だと、あるいはこれは東京大学も名古屋大学もそうだが、日々雇用職員についても雇用を継続するのは基本的な原則だと確認している。つまり不確定要素だったら継承について確定できないということではない。その意味では、冒頭にいった通り、東北大学、総長をはじめとした当局の姿勢の問題、そこを組合としては確認したい。そこがぐらついているのではないか。それが東北大学の教職員の雇用不安を深めているのではないかと思うのだが。

■<北村副総長> 現在の職員の方も、大学の教育研究の必要上必要なものとして雇われているわけだ。当然、アクティビティを遂行しようとするときに、そこに間違いのない限りは、当然大学としては、必要なものとして認定されるのではないかというのが基本だが、それを全部いまの時点で言い切って、正式に全員保障するというのは慎重にしたい。当然、大学としてそこに働く人たちの不安がおこらないようにすることは当然のことだと思っているが、それを全部保障しますと今の段階でいうことは無責任だと思う。たとえば中間報告でも、かなり意欲的に能力等級制をしようということも言っている。そうなれば、制度設計の仕方、人件費の配分のしかた、当然ドラスティックな線を考えていかなければならないということだと思うが、基本は先ほどいった通りだと思う。

医学系研究科の任期制導入問題について

■<組合> 必ずしも十分な答えがされていないように思うが、時間もないので具体的なことに即して質問する。
 本日の河北新報で、医学系研究科の教員任期制を検討中という項目が出されているが、本来、教官任期制というのは大学法人化とは一応別に考えられるものだが、組合が調査したところによると、この医学系研究科で検討されている任期制については、適用時点、平成15年の4月1日からできれば適用したいと。適用時点で既任の教官は任用された時点よりの任期として評価を受けると。つまり平成15年度中に、たとえば任期が7年と助教授については提案されているようだが、平成15年時点ですでに7年間勤務している助教授については、任期が平成15年度で終わるものと仮定して教員評価をおこない、平成16年度の4月1日から再任するかどうかを審査するというふうに、医学系研究科は当初教官に提案してアンケートをとった聞いている。これは、今言った法人化時点での雇用の継承という点からみても不適切ではないか、法人化の時点で教員をふるいわけしようとしているのではないかという点、考え方の問題として。それからこれははたして法的に適法なのかどうかという点について、ぜひ見解をうかがいたいのだが。できれば総長の。

■<吉本総長> 私は医学部出身だが、今日の河北新報で初めて知ったので、私としては今の組合の質問に明確に答える資料をもっていない。だから、いま、組合がかなり詳しく話した。遡ってという話は、少なくとも私が医学部長の頃にはなかった。それは、はっきりそうなったのかどうか、私には全く情報がない。

■<組合> にわかには信じがたいことだが、現在の研究科長である玉井先生と学部の自己評価専門委員会委員長の佐々木先生の名前で医学系研究科の教官各位に任期制の導入について文書でアンケートを依頼し、その時に、今言ったような案を提示していると思う。それについて教員以外の病院の人の話では、忘年会の時に教員、医師の間で相当話題になっていると聞いている。だから文書できちんと全教官に提示されているのではないかと思うのだが。

■<北村副総長> 具体的な事情をしらず申し訳ないが、今現在検討は医学研究科の中でされている。おそらくまだアンケートだから、制度の検討にあたって様々な意見等が問われていると思う。具体の点については詳細分からないから、コメントのしようがない。それから基本的に、法人の話と、いろんな思いで、それにからんだ背景はあるかもしれないが、基本的には、従来から、組織において任期制を全面的に導入している研究所もあるし、そういことだと思う。おそらく医学研究科の中で任期制の導入について、執行部が意欲的に検討している状態だということだと思う。

■<組合> 事実と確認も含めてお願いしたい。その上でだが、組合としては、一つには全部局に、検討の案としてはすでに新聞に報道されているので、そのことに基づいて言うと、任期制を部局全体で導入するということは、そもそも法の趣旨、任期制が入ってきた時の、付帯決議の中でもうたわれているが、法の趣旨に反する。そういう運用を国立大学がしていいのかどうか。組合はそれはまずいだろうと、問題があるだろうと考えている。
 二点目に、結局雇用形態の変更ができるということになる、つまり遡って、任期がなくて雇用された教員についても新たな形態で任用するということになるので、それも遡るということの問題があるだろうと思う。その上で、具体的に検討してほしいと思うが、法に触れるというような、そういう運用を検討しているとすれば、チェックをきちんとしてほしいと思う。

■<北村副総長> 当然、現在もそうだし、法人化になってからも法令違反の制度、運用がされることは断じてあってはならない。当然そういうことは許されないことは基本だ。現時点で、任期制の問題は、各部局の判断にゆだねられている。しかし当然各部局の判断が現行の任期制に、法令違反があってはならない。今は検討段階なので少しそれを見守る。決まる前に話はあるから、当然その段階で指摘されたような法令違反ということが断じて許すということはおこらないと言っておきたい。

■<組合> 時間もないので、部局の検討にゆだねると、それは枠組みとして法律、法律の趣旨に則って運用することの確認を再度お願いしたい。4月に実施するということなので、かなり具体化が進んでいると思う。

■<北村副総長> 4月とはこの4月か、16年4月か。

■<組合> 15年だ。
■<組合> 2003年導入と報道されているし、組合が入手した情報によっても平成15年4月1日より実施するということで準備されている。
■<組合> そういう検討がされている中で、総長を含めて知らないということにむしろ意外という印象を強くうける。

■<組合> 時間もないので次の問題にうつる。法人化に関わって雇用の問題、雇用の継承が致命的に重要なのだが、雇用とも関わって、運営費交付金についていろいろ分からない問題がある。各大学からの質問に対して文部科学省が回答した資料がある。総長も知っていると思う。それにいくつか具体的な問題点がある。これについて考え方を聞きたい。私たちの印象では、かなりの費用負担を国立大学法人に強いるものにならないかどうか。またそもそもそれがよくわからないままに決められるのではないか。また、直接に費用となってこなくても、たとえば、損害賠償について何か裁判をして敗訴した時には、基本的にはこの点とこの点が国立大学法人の負担だという非常なリスクを国立大学法人におわせるものでなかなか納得できない。

■<長谷川事務局長> 精査しているところ、損害賠償の取扱いについて質問があったが、具体的に組合の問題意識をもらえらばそれをふまえてやりたい。

2(6)医療職員の待遇改善に関連して

■<組合> 雇用継承の話とも関連するが、病院の看護師が数年前大幅な増員になった。そのときの看護師増員は定員で増員されたのではなく、非常勤職員で増員された。それによって看護師の基準看護が2.5:1から2:1になって病院の収入増につながった。そのときに大量に非常勤職員で増員されたので、そのまま常に新入職員が80人100人入ってくる時に、ほとんどが非常勤職員だ。通年だとほとんどの看護師が定員になっていたのだが、それがなされなくなっている。仮に今後法人化された時にも、常勤職員はそのまま継続されてということがあったとしても、非常勤職員、定員外職員がこれだけ大量にいると、その定員外職員を確実に定員にして、正規職員として予算を要求しておかないと困るのではないかと、日々働いている私たちは非常に不安をもっている。その辺がきちんと要求されているのかどうかの確認がしたい。
 それから、看護師は暫定定数でまかなわれている部分がある。しかし、70人80人が50人30人というふうに暫定定数そのものも減ってきている。その部分がきちんと正規職員としての予算措置としてとられていないと、その分も人員として予算がないということになるのではないか。今回も含め今まで定員増といっていた中にはそのことも含めていたので、お願いする。

■<長谷川事務局長> 最初の総務部長からの要求書にもとづく事項別の回答の中で回答したことの繰り返しになるかもしれないが、従来から看護師の定員増については、相当規模の定員増をしてきている。残念ながら大変厳しい定員事情ということで15年度は認められなかったが、病院の実態等を十分ふまえながら引き続き処遇改善等を含め、定員増についての要望は今後も引き続きやっていく必要がある。

■<組合> 今現在80名の看護師と56名の看護助手が非常勤でいる。この人達は常勤の私たちとなんら変わりない仕事をしている。この人達は病院にとって必要な人員であると総長が考えているのか。そこを一番確かめたい。ぜひ答えて頂きたい。正規職員として雇う気持ちがあるかどうか。

■<吉本総長> 現在のことについては、よく状況を把握しているつもりだし、また病院長からもかなり我々に対する働きかけがある。組織的には、国立大学附属病院の病院長会議がかなり強く今のようなことを働きかけているが、現実はこのようだということだと思う。

■<組合> もしこのまま法人化されて、非常勤の人たちについて人件費が確保されないということになった時に、病院の運営診療等について重大な危惧を組合はもっているのだが、その点について総長、ぜひもう一言考えを聞かせてほしい。このままいけばそれは非常に危ないのではないかと。その点について、大学独自でも何か考え方をもっているかということなのだが。

■<北村副総長> 総長が今端的に言った通り必要だからお願いしている、ただ、現実問題として、いろいろな公務員定員削減等大変厳しい方針があり、今の数を縮小しろというのが政府の基本的な方針だ。したがって、予算等いろいろ工夫して頑張っているが、最近のことを見ても非常に厳しい状況だ。むしろ事務系職員の方がもっと減っているという現実の中で対応しなければならない。
 積算の仕方が人件費、物件費のどちらがいいか、これは 様々になるかもしれない。法人化にともなって、今まで大学が関知しなくてよかった仕事もあるし、逆に合理化できる部分もある。たとえば雇用保険等、公務員体制から労基法体制になった時にあらたに必要になる費用もある。訴訟の問題もそうだと思うが、そういうものについてかなり議論している。統一的にはそれらはしようがない。お金を確保してもらわないと、大学に権限がきてもそれを十分に確保できなくなってしまう。その費用も含めて要求しお願いもしているという状況だ。そういうお願いをすると文科省の方も、確保したいという。そういう意味では、文科省と国立大学は、ある意味で利害が非常に一致している。大学も国大協を中心にしながら、それの確保についてはお互い努力すべきではないか。文科省も問題にしたいということだ。
 別問題は今の行財政の問題だ。定員の状況も大変厳しい。そういう状況の中で当然我々としては、そういう費用の必要な措置がなされることについてはお願いし努力を続けている。国大協でも第一常置委員会、会長・執行部等を中心にして様々な要望活動をおこなっている。
 具体的に、病院の方の決裁だが、そういった中できちんと確保し、先程収入問題もあったが、病院経営にもからむ問題であり、そういうところもきちんと考えながら、今度はその点の判断、責任というものを検討していきたい。危険、リスクがあると組合の言う通りだ。権限がきたら、責任、リスクというものが裏腹の問題だから、よく実態をみながら最大限、総長のもとに努力していきたい。総長の指示で、私の方で病院の実態を把握し、室を設けて問題点について議論を始めている。

2(1)教務職員問題の抜本的解決に関連して

■<組合> 先程、先程総務部長から次年度9名が振替になるとの話をきいた。事務当局はじめこのことに努力した人達に敬意を表する。ただし、東北大学における教務職員の数は東大を抜いてだんとつのはずだ。阿部前総長が第4常置の副委員長だったということもあり、阿部前総長が就任して以降、東北大学でもこの教務職員の問題が大きく進展した。総長の姿勢、リーダーシップが問題解決に大きな役を果たすと思っているので、吉本新総長にもこの問題を勉強して努力をお願いしたい。その上で二点お願いしたい。一つは、教務職員の在職者の高齢化が進んでいることから、解決が急がれている。法人化の検討委員会の中間報告の中にも教務職員の処遇、対処の問題についてうたってある。この姿勢を堅持して待遇改善に努力してほしい。
 二つ目は、現在、教務職員から助手に昇任した人、あるいはその上の人もいるかもしれないが、その人達の処遇の問題だ。それ以前の技術職員と同じように、60歳で定年退職しなさいと口約束をさせられて助手になった人達がいると聞く。その人達にたいして、そういう約束をしたのだがら60歳でやめなさいと強いているという話があると聞く。全国的にまれだ。というよりも東北大学でしか聞かない。他の大学の教職員ともよく話をするが、例をきかない。ぜひ部局長会議や評議会でそのことを取り上げて、そう言うことをしないように話してほしい。時間がないのでこの二点にしておく。

■<北村副総長> 一部の評価をもらったが、頑張ってきた。今までは国にお願いして、これからは法人の時代だから、総長のもとで様々な要求、要望が来るという形だ。一番いいのは大学の中の調整ではなくて、いろんな新たな財の投入があれば、それによって希望に応えるということがあるが、現実問題としてはなかなか厳しさもある。そうなれば、既存の予算の中でのやりくりの問題ということなので、場合によってはあるところの処遇をあげれば、あるところは下がるという関係も生じる。大変大学にとっては厳しいことになる。吉本総長も阿部総長の時の基本政策を継承すると言っているので課題としては十分に認識していると思う。学内の予算配分の問題は、学内でも総長の下で議論していかなければならない。大きく今、吉本総長の時代においても処遇改善について努力していることは理解してほしい。
 二点目の60歳の問題だが、具体的にどういう話の中でのことなのか、つまり、いろいろな実際の人事において部局の中で、いわば定員の使い方についていろいろ都合がある中で、こうするがこうしてほしいという実態はあるかと思うが、基本的には、個別の人事の話だが、処遇改善等の中において一律にリンクさせるということは、基本的にはあるべきではない。個別の人事の中で、あるいは実際の定員の使い方の中で、別の要素もあるのではないか。各部局の実態を聞きたい。

2(7)男女共同参画の推進に関連して

■<組合> 男女共同参画についてはこの交渉以外でも男女共同参画の委員会に対しても組合としての質問を渡している。それについてまだ回答がないので、あらためて会見を申し入れたい。その中にも書いたが、組合としては近年の東北大学の男女共同参画についての取り組みについては、非常に積極的だし、具体的に進んでもいるということで、姿勢についても、具体的な取り組みについても評価はしている。それにもかかわらず、組合の立場からすると、男女の性に基づく不平等がまだ存在しつづけている。差別が依然として続いていると考える。依然として差別は残っているし続いている。これについて今後も進めていくということではなく、もっと具体的な踏み込んだ、昇進昇格の是正措置についての具体的な提案を組合としてはしてほしい。それが一つだ。それから、とくに若い世代の昇進昇格については均衡化というか、是正が進んでいるということだが、40歳以上の女性の場合には、ほとんど、掛長あるいは専門職、補佐以上の職についていない。つまり差別が残った中で退職していくということに結果的にはなる。非常に大きな問題だと思う。具体的なとりくみについては、どのようにすすめていく考えか、聞きたい。

■<長谷川事務局長> 冒頭のところで、大学としての男女共同参画の取り組みについて評価してもらった。中身が抽象的で、具体的にどう言ったらいいか。昇進というものは一定の機械的におこなうものではなく、適材適所、一定のルールに基づいておこなうものなので、現在までも適任者については、職員の積極的な登用をすすめてきたし、今後もそのように図っていきたいという基本姿勢を言うことはできる。具体的なことがあればまた出してほしい。

■<組合> 二点について聞く。一点目は、実際に国として、男女共同参画という理念にあわない現状があると指摘する時代になってきている。そうなっているとすれば、そこにはちゃんと原因があるからこうなっている。今まで厳正に能力適正を審査してその結果はこうだと胸をはっていえる状況でないから国を上げての指摘がなされている。もちろん個々の人にはいろいろ事情があり、昇進を自分はしたくないという人もいるかもしれない。にもかかわらずそれではすまされない問題がある。それでは何が原因で昇進昇格の不平等があると考えるのか。その見解を聞きたい。
 もう一点。法人化との関係で危惧していることを聞くと、人事制度に公務員制度改革を参照しているので民間の職能資格制度にも似た職能等級制度になるのではないかと思う。等級を上げていくのを機械的に、いわゆる年功というのがダメだと言っているのは、かなり人事査定というものが入ってくるのではないか。やや類推の域をでないことを承知でいうが、日本の民間企業の人事査定制度の中では、情意考課とよばれる、客観的な能力業績指標にもとづかない部分があり、それが大きな男女の差別・格差につながっていることは、先日の芝信用金庫の訴訟などいろいろな訴訟で現在指摘されている。だから、査定の公平さについてきちんと議論をつくすことなく能力等級を入れることは、男女共同参画に逆行する結果を生むのではないかと危惧している。この二点について見解を聞きたい。

■<長谷川事務局長> 全体的な危惧という趣旨で理解した。まず一点目の昇進昇格の不平等があったのではないかということだが、それについては、その時点その時点での的確な人事評価にもとづいて生じてきたということで、男女共同参画の動向も十分ふまえてすすめていきたい。それから、年功序列等の問題にからんで指摘の話もあるが、法人化になると、今ももちろんそうだが、男女問わずしっかりした契約システム、あるいはしっかりした研修のシステムを十分構築していき、法人化になったら適正な評価、大学全体の評価ということもあるが、個々の職務内容についてもそうしたシステムを導入していくということが、全体のなかで今の意見も十分念頭において、今後の様々な政策あるいは運用のいっそうの充実に努力していきたい。

■<吉本総長> この問題は我々も非常に重要に受け止めている。知っていると思うが、今度の執行部体制の中で、とくに男女共同参画の担当として理学研究科の鈴木先生に責任としてお願いしている。今度はもっと明解になると思う。その辺も見てほしい。

2(2)技術職員の待遇改善に関連して

■<組合> 技術職員の上位級定数の20%確保の努力については感謝する。これからもなおいっそうよろしくお願いしたい。独立行政法人化される際の技術職員の取扱いについて聞きたいことが二点程ある。先日の中間報告の中には、技術職員について、あるいは組織等について、具体的にどのようにするか、詳しく書かれていなかったので、今後どういうふうにしたいと大学は考えているか聞きたい。
 それから、これまで国大協等で十分議論されてきている通り、これまで大学の教育研究に教官、事務官、技官が三位一体的にかかわってきていることはだれしも認めるところだが、制度検討委員会の中間報告では教育研究にたいする技術職員の関わり方が見えてこない。要望だが、今後5年間に段階の世代の大量退職がある。それで人数が激減するが、当然、技術職員のある程度の一定の核はこれからも必要なので、新たな採用を要求したい。これから組織化を具体的に考えていかなければいけないのだろうと思うが、これまでも各部局で組織化について十分議論されてきている。これから何十年の間、技術職員の組織化はどういうものがいいのか、将来像、理想像というものを議論している。大学からの一方的な指示で組織を勝手に作るのではなく、そういうことを踏まえて、十分参考にして、立派な組織をこれからお互いに構築していきたいと考えているので、よろしくお願いしたい。技術職員のアウトソーシングはやはりなじまない。教官と事務官もそうだが、技術職員も装置といろいろと関わってそれを十分に保守管理しているのでそれをアウトソーシングで外部から、維持管理するということは非常に考えにくい、そういう考え方では装置の維持管理はなかなか難しい。

■<長谷川事務局長> 技術職員がその大学の研究教育において大変重要な役割を果たしていることは十分認識している。中間報告の時点では、かならずしも十分な分析検討あるいは方向性を出すというところまでいたっていなかったという面もあると思うが、関係のところで進めていくなかで、こうした点についても踏まえていきたい。とくに片平の各研究所の技術室のような形でしっかりした組織づくり、十分そうした関係の部局とも相談しながら、この問題について検討を進めていくということをいっておきたい。



■<組合> 最後、今日の交渉を簡単にまとめておきたい。今日は総長はじめ当局にこの場をもってもらったことに、また努力していることに感謝する。しかし、正直にいって、交渉ということになっているが、具体的な回答はほとんど得ることができなかった。簡単にいうと当局は依然として文科省へのお願いというスタンスにとどまっている。ある意味では文科省の意向次第だし財政の問題は一番大きいのだと思うが、そういう意向次第という回答が多かった。総務部長が最初にいったように、大学はこれから自由な制度設計ができる、個性、自律性が発揮できるのだと。今日の回答には、どこにもそれを感じることができなかった。組合は法人化反対だが、法人化における最終報告には、法人化の最大のメリットの一つは、総長がイニシアチブを発揮して東北大学はこんなふうなすばらしい大学になる、こんなふうに個性が発揮できる、自律性というのはこういうふうに展開していくのだ、そういうことを具体的に実践できるような制度設計というものを打ち出してくるのだろう、と考えていた。そうだとすれば、今日の具体的な問題について、たとえば男女共同参画に対して総長が具体的な提案、政策を打ち出しているのと同じように、雇用継承についても、医療職員の問題についても、東北大学はこういうふうに具体的ないろいろな問題を抱えている以上、総長としては東北大学はこんなにすばらしい大学にするのだという中で、こういう問題をどう解決していくか、具体的な解決策、ビジョンを本当に示してほしかった。全国に横並びする必要はない。東大に並ぶ必要はない。東北大学のビジョンを出してほしい。競争的環境というが、他の人達のみんなの支えの中でしか展開できないはずだ。医療を担当している人達、教務職員の人達、先生だけでなく職員の人達と一体となって作っていかないと東北大学であれ、だんだん色褪せていくことになるのだろう。だから総長が、具体的な提案等のリーダーシップを発揮して、こうやろうということをいろいろ提示してもらえれば、おそらく今総長に就任したばかりなので、勉強中だろうと思うが、本当に具体的に我々が教育研究というものを推進できるだけの具体的なビジョンをできるだけ早く東北大学全体に見せてほしい。組合にとって非常に不十分なのでできるだけはやく交渉に臨んでほしいと思う。


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