あけましておめでとうございます。東北大学が法人化されて初めての新年を迎えました。法人化前と法人化後とで、皆さんご自身あるいは皆さんのまわりでどんな変化があったでしょうか。「メチャクチャ忙しいのは変わらないし、人事院勧告に準拠して寒冷地手当は減らされることになるし、とくに変わらないよ」とおっしゃるかもしれません。そうかもしれません。
しかし、はっきり変わったことがあります。それは、給与支給明細に「労働保険」という欄が設けられて、相当大きな金額が天引きされるようになったことです。これこそ私たちの身分が国家公務員でなくなり、場合によっては失業してハローワークに通い手当を受けることになるかもしれないことを象徴的に示すものです。
東北大学職員組合は、私たちの身分をこのように不安定にする国立大学の法人化に強く反対しました。しかし、その声は残念ながら受け入れられず、国立大学法人法が成立しました。法人化されて9カ月経った今、国立大学法人東北大学では私たちの指摘が決して杞憂ではなかったことを示す事態が進行しつつあります。
でも、よかったこともあります。それは、私たちが団結権、団体交渉権、争議権の労働3権を手に入れたことです。私たちの雇用や労働条件は、これまでは人事院次第という感じでしたが、これからは当事者能力をもつ国立大学法人東北大学職員組合として、使用者側と直接交渉して決めていけるのです。
そこで、職員組合は、法人化後初めての新年にあたって、私たちの雇用を守り労働条件を改善するための基本的な要求と提案を政府と使用者側に示すことにしました。内容としては、まず第1に政府に対する要求を掲げました。これは、事項によっては使用者側=法人と共同して運動できるものもあります。第2は法人に対する要求で、これがこの文書の中心となります。できるだけきめ細かく要求を掲げるとともに、必要に応じて対案を示しました。
ちょっと長めの文書ですが、ぜひともご一読下さい。
2005年1月 国立大学法人東北大学職員組合
非常勤講師と非正規職員(准職員・時間雇用職員等)の給与を運営費交付金の人件費算定基礎に加えること。
非常勤講師は、付加的な授業だけでなく、少人数教育や細分化した専門的教育の不可欠の担い手であり、なくすことのできない存在です。また、准職員や時間雇用職員は、正規職員の業務を単に補助するだけでなく、正規職員とともに大学の活動を実質的に担っている不可欠の存在です。これらは、民間企業の実態と何ら変わることはありません。
ところが、法人化に当たって、こうした非正規教職員の給与相当分が運営費交付金の人件費算定基礎に加えられませんでした。財務諸表では人件費と表示されるにも拘わらずです。これは業務の実態を見ない、不当な予算査定です。
業務の実態に見合った超過勤務手当財源を運営費交付金で保障すること。
国家公務員時代の超勤手当支給水準は、実態にまったく見合わず、広範なサービス残業を生み出していました。法人化によって社会への説明責任を果たすための業務が増大し、超勤の削減は容易ではありません。実態にふさわしく、超勤手当財源を保障するべきです。
運営費交付金を毎年自動的に削減する「効率化係数」や病院に儲けることを強制する「経営改善係数」をかけないこと。
GDPに占める高等教育への支出の低さからいっても、運営費交付金に毎年1%の自動的な削減を加えるのは不適当です。また、病院に毎年2%の増収を義務づける経営改善係数も、教育・研究・医療が不可分一体に行われている大学附属病院の性格からいって不適当です。
国立大学法人に対して労働条件の不利益変更となる人勧準拠を要請しないこと。
学生の入学金や授業料等の学生納付金の引き上げを行わず、むしろそれを引き下げること。
これまで政府は、私立大学との格差是正を口実に、国立大学の学生納付金を大幅に引き上げてきました。これがさらに逆に私立大学の学費高騰の口実ともなり、この結果、現在の高等教育に対する国民負担は世界的にみても異常に高く、一般の国民にとってはもはや負担の限界に達しています。国立大学法人は将来を担う有為な人材を育成することを使命としています。そのためには、これ以上の学生納付金の引き上げを行わず、むしろそれを引き下げることによって、優れた人材が経済的負担に耐えられないため大学進学をあきらめるようなことがないようにするべきです。
国立大学法人が新組織を設置する際は、大学設置審議会が認定した必要人員分の人件費を保障すること。
国立大学法人がその個性を輝かせるためには、将来的に一定の新組織を設置することが必ず必要になります。その際、単純にスクラップ・アンド・ビルドを求めるのではなく、積極的な拡大が必要と認められたものについては、その人件費を保障することが必要です。
運営費交付金の拡充について、前掲の組合要求を支持し、労使協力して政府に働きかけること。
欧米先進国における例からしても、大学の充実のためには、運営費交付金の削減などはもってのほかで、逆にその拡充がぜひとも必要です。この点では役員会も組合と同じ立場に立てるはずです。
総長選挙における構成員の投票制度を維持し、拡大すること。候補者間の政策的争点を明確にする措置を導入すること。
国立大学法人制度は、総長に強力な権限を与えていますが、そのチェック体制は不十分です。構成員によるチェックで健全な運営を行うために、構成員による投票制度を従来以上に拡大すべきです。また、政策的争点を明確にする選挙公報、立会演説会などのしくみが必要です。
今後とも、総長選考会議に現職の総長や理事を加えないこと。
法人法では、総長選考会議に現職の総長や理事を加えることが可能となっています。これでは現職者に批判的な者は総長になれない危険があります。東北大学では、現時点では総長選考会議に現職の総長や理事を加えないことが確認されていますが、これを総長選考規程で明示すべきです。
大学は、組織の改廃と予算の審議を役員会と経営協議会だけに委ねずに、教育研究評議会にも権限を持たせること。
法人法ではこれらの権限は役員会と経営協議会が持っています。しかし、政府は国会答弁で教育研究評議会も予算を審議できると述べており、また実際にそうすべきです。経営の論理が研究・教育の必要性を圧倒しないようにする必要があります。
役員の勤務原則や倫理規程を明確にすること。
職員の勤務などについては就業規則が定められていますが、役員についてはそのようなものはありません。しかし、たとえば利益相反などについては、職員よりも役員が関与する場合の方が深刻です。
総長補佐会議で不透明な意思決定を行うのではなく、役員会での実質的で透明な意思決定を行うこと。
役員会は、法人法で正式に定められた意思決定機関であり、議事録は公表されます。しかし、実際には、学外理事の存在などを口実に、議事録非公開の総長補佐会議で実質的な審議と決定がなされる傾向があります。これでは社会に対する説明責任は果たせません。
重要事項について、経営協議会・教育研究評議会・教授会等審議機関での情報開示と審議を徹底すること。
重要事項が総長補佐会議や理事のもとにある会議で審議され、教育研究評議会や教授会に情報が流されない傾向が強まっています。たとえ決定権を役員会や部局長が持つ事項であっても、十分な情報開示と審議機関での意見交換が必要です。そうしなければ経営の透明性は保てず、構成員の信頼の上に立ったリーダーシップは発揮できないでしょう。
教授会が設置されていないセンター等の組織においては、全学代表による運営委員会ないし教員会議での情報開示と審議を重視すること。
国立大学は、国民に開かれた組織であることを求められるのはいうまでもありませんが、国立大学内部についても開かれていなければなりません。しかし実際には、教授会がないため教育研究評議会等の情報入手に困難を来たし、また全学に向けて発言する機会のない教員が少なからず存在します。このような問題点を自覚して、センター等の組織については運営委員会方式を採用するか、教員会議での情報開示と審議を重視することが求められます。
財務状況について、教職員に定期的に説明する場を設けること。
財務・会計システムの不調について教職員に説明するとともに、システム稼働に当たっては、備品等の購買について選択肢が狭まるなどの不便が生じることがないようにすること。
人事院勧告による国家公務員の人件費削減政策、とくに2005年人事院勧告に向けた具体化が目論まれている地域別給与制に安易に準拠しないこと。
2004年度の人事院勧告(職員の給与に関する報告)では、民間賃金の低い地域における官民格差を考慮して、2005年度人事院勧告に全国共通俸給表を引き下げることが議論のたたき台として提示され、その後人事院は2005年人事院勧告に向けて具体化することを明言しています。これをそのまま認めれば、東北地方は4.77%の引き下げとなります。
もしもこの人事院勧告に準拠すれば、少なくとも賃金条件においては東北大学が優秀な人材を集めることは到底不可能となり、東北大学の自殺行為といってもよいものです。わが国、さらには世界屈指の大学になるために最も重要なのは人材です。このことを十分に踏まえて、早急に東北大学独自の給与体系を組合と協議しつつ策定すべきです。
寒冷地手当を、2003年度以前の状態に戻すこと。
多くの教職員、組合の反対の声にもかかわらず、東北大学は、2004年度の人事院勧告に準拠して、寒冷地手当の削減・廃止を強行しました。この措置は手続的にも問題をはらむものでしたが、私たちの冬場に必要な暖房費・家屋費等の生活実態をまったく無視した暴挙といわざるを得ません。
教職員の基本給について切り下げを行わないこと。
国家公務員時代から通算すると、教職員の賃金(基本給・一時金)は切り下げが続いています。これ以上の切り下げは教職員の労働意欲を喪失させ、組織の活力をそぐばかりです。
教職員の一時金を0.1カ月引き上げ、年4.5カ月とすること。
2003-4年度の法人移行作業のために、教職員はたいへんな過重労働を強いられました。その上、2003年度は一時金を0.25カ月分も切り下げられ、ライフプランに重大な支障を来し、この状態が2004年度も継続しました。この間の教職員の苦労に報いることは経営者の努めではないでしょうか。2004年3月の期末手当を復活して実施すべきです。たとえこれが不可能でも、2005年度にはぜひとも実現すべきです。
不払い残業をなくし、超勤手当を労基法と業務実態に基づいて全額支給すること。
労基法の下では、上司の業務命令が発せられているか否かにかかわらず、実態に即して割増賃金を受け取る権利が発生します。北村理事もこのことを繰り返し確認し、「サービス残業があってはならない」と言明しています。超過勤務手当を実態に基づいて支給すべきです。
役員会の責任において業務改善を行い、超過勤務を削減するためのアクションプランを、組合と協議しながら早急に策定すること。
現在の東北大学では、国家公務員時代の「なごり」という言葉では片付けられない深刻な超過勤務が蔓延し、それが実質的には「サービス残業」となっているという、ゆゆしい問題があります。これはぜひとも早急に役員会の責任で解決すべきです。中間管理職に責任を押しつけてはなりません。
懲戒処分に対する異議申立て制度を新設すること。
現在の懲戒規程では、懲戒委員会は管理職や経営側の選出した委員だけで構成されています。懲戒は、事前または事後に第三者が判断できるようにしなければ不公正です。
終業時刻を17時に戻し、労働時間を短縮すること。
いうまでもなく労働基準法は最低限の基準を示したものです。ヨーロッパの労働条件を目標にすれば、労働時間を現在よりも15分短縮することは決して不当な要求ではなく、また、すでにわが国の企業でも実施しているところがあります。
長期勤続者のリフレッシュ休暇を新設すること。
現在多くの企業や自治体で長期勤続者にリフレッシュ休暇を与えています。東北大学もこの制度をぜひとも取り入れるべきです。さしあたり25年勤続者が土曜、日曜の休日を含め連続7日間休めるよう、5日間の有給休暇を与えることを要求します。
施設内における政治・宗教活動を禁止している就業規則本則第36条を撤廃すること。
職場の秩序を維持することは必要ですが、過度の政治的、宗教的活動の抑止は、かえって基本的人権を抑圧する恐れがあります。現在の東北大学においては同条の必要性は認められません。
教職員の女性比率に関する男女共同参画の目標達成に努力すること。
東北大学は、全国の大学に先駆けて男女共同参画社会の実現に邁進しています。しかし、そのかけ声と裏腹に、教職員全体に占める女性教職員の比率は決して多くありません。これを是正するためのアクションプランの策定が必要です。
年金支給開始年齢にあわせた65歳定年制について検討を開始し、組合と協議して制度設計すること。
年金支給開始年齢が将来65歳になることは既定の事実です。しかし、現在教員は63歳、職員は60歳の定年となっており、年金支給開始までの期間を何らかの形で凌がなければなりません。この問題を解決することは、東北大学にとって避けて通れない課題です。
学会開催等に対して、大学施設利用につき使用料を要求せず、また一定の経費補助をすること。
学会開催は、当該学問研究の発展にとって重要な貢献をなすものであり、また、大学にとっても名誉あることです。東北大学での学会開催は今後とも増大することが必至ですが、これに対して施設使用料を取るなどというのはまったく言語道断であり、むしろ一定額の経費補助をして積極的に学会開催が行われるようにするべきです。
教員の身分保障について、教育公務員特例法の水準まで回復させること。
国立大学の法人化に際して教員も非公務員化されましたが、その身分保障については教育公務員特例法の水準を維持することがぜひとも必要です。とくに組織改編等に伴う職種転換や出向については、実際に大きな危惧が生じています。教育のもつ意義を踏まえ、教員の身分を変更する場合には教育研究評議会の議を経ることを要件とする等、少なくとも教育公務員特例法の水準にまで回復させるべきです。
大学院担当による基本給調整を「教育負担・教育活動の評価に応じた」給与に改定する場合は、客観的な指標に基づく納得性の高いものとすること。
中期目標・中期計画では、大学院担当による基本給調整分を原資として、「教育負担・教育活動の評価に応じた」給与を作るとしています。これが恣意的評価に基づくものになってはなりません。実際の教育負担と責任に連動した客観的・公平な評価に基づくものである必要があります。
部局の教員職すべてを任期制にしたり、現任教員に任期付き契約への変更を迫るなど、任期法の趣旨に反するような任期制は行わないこと。
大学教員に任期を付ける場合には、法の趣旨に則って慎重に取り扱うべきです。安易に身分を不安定にするような任期制の導入には反対です。また、何らかの形で任期制を採用する場合には、これに対応するいわゆる「テニュア制」の導入も検討されるべきです。
医師の超過勤務・深夜勤務・休日勤務について、労基法と就業規則を厳守して超勤手当・深夜給・休日給を支給すること。
診療に携わる医師については、裁量労働制が採用されていません。従って、労基法にきちんと基づいた措置がとられる必要があります。国家公務員時代のままのような勤務と手当を続けることは許されません。
従来、教員の超過勤務と認められて超勤手当が支給されてきた業務については、適切な措置によって報いること。
裁量労働制が採用されている教員についても、たとえばセンター入試業務、二次試験業務等については、適切な手当の支給等が継続されるべきです。
教務職員制度を廃止し、原則として助手(任期なし)に昇格させること。また、技術職員等他の職種への移行を希望する教務職員については、本人の意向を十分に尊重し、移行に当たって不利益が生じないようにすること。
早稲田理事は、法人化前の組合との交渉の席で教務職員制度廃止の方向で進めていると明言しています。この長年の懸案を先送りすることは許されません。一刻も早く解決すべきです。
いわゆるプロパー職員の昇進機会を拡大するとともに、文部科学省からの職員受入れを規制する明確なルールを設けること。
文部科学省から派遣される職員をはじめ、全国を渡り歩く職員が、国立大学時代の東北大学では上級ポストを独占していました。しかし、地元生え抜きのいわゆるプロパー職員の中にも大勢の優秀な職員がいます。彼らが希望をもって働ける、青空の見える人事制度とすべきです。
職員の出退勤時刻を正確に記録すること。超過勤務の申告を抑制する違法行為を行わないこと。
違法なサービス残業を根絶するためには、これは言うまでもないことです。
出向による人事交流は、本人の同意に基づき労働条件低下がないように行うこと。
現行就業規則は配転と出向を同列視し、大学が職員に無条件で出向命令を出せるようにしています。出向は、本人の個別同意に基づくことを明記すべきです。また、出向する職員の労働条件を低下させない保障を明記すべきです。
昇格における男女の格差を、数値目標を持って是正すること。
現在の職員における昇格については、男女間に差別が存在するといわざるを得ない状態です。とくに男女共同参画の推進を標榜する東北大学では許されるものではありません。明確な数値目標を掲げて改善すべきです。
組織改編に際しては、事務職員の業務負担を適切に考慮し、過大な負担がかからないようにすること。
法人化に伴う業務を始め、それ以降においても事務職員の仕事量の増大にもかかわらず職員数は増えず、きわめて深刻な超過勤務を続けざるを得ない状態が継続しています。適切に人員増を実現して、いつ過労死が発生しても不思議でない状態を解消する必要があります。
シフト勤務を行う職員について、引継業務の時間が休憩時間に食い込まないようにすること。
引継は勤務時間であり、休憩時間に食い込むことは違法です。いうまでもないことです。
研究・教育に直接かかわる業務をおこなう技術職員の標準職務表を作成すること。
専門的技術業務をおこなう技術職員の給与表を新設すること。
研究・教育を遂行するには、教員、技術職員、事務職員の3者の協力共同の関係でおこなうことを前提に、研究教育を進める上で教員の技術的要求に応える専門技術業務を標準職務表に位置づけることが必要です。
病院の稼働実態に見合った人員増および適切な人員配置をすること。
看護師等の病院職員の労働は、現在たいへん過酷な状態にあります。十分な看護ができないことはもちろん、いつ医療事故が起きても不思議でないとさえいえます。慢性的な人手不足が最大の原因です。適切な人員配置がぜひとも必要です。
年次有給休暇を消化できるようにすること。
現在の人手不足は、職員が年休を取ることさえままならない状態に追い込んでいます。労基法で認められた権利を行使できるよう、適切な対応をすべきです。
職員の産休、長期出張時等については、人員を補充すること。
看護師の産休や長期出張があった場合、現在はその代替人員が補充されないため、残った者に過度の負担がかかっています。このような状態は休暇を取りづらくもしており、職場環境の悪化をもたらします。適切な人員の補充が必要です。
業務に必要な研修のために時間と費用は大学が保障すること。
病院職員は常日頃から最新の技術等を身につける必要があり、多くの研修を受けています。しかし、そのための時間はたいてい休暇を利用しなければならず、またその費用も自費が多くなっています。大学病院の質を高めるために行われるこうした職員の研修は、その時間と費用を大学が保障すべきです。
更衣時間を勤務時間に含めること。
現在更衣時間は勤務時間外となっています。勤務に就くための更衣時間は勤務時間に含めるべきです。
医療事故を起こさないための環境整備を図ること。
今の大学病院はいつ医療事故が起きても不思議でない環境にあります。これを改善して、たとえば、危険な薬剤の使用を廃止すること、医師の指示について指示簿と入力されたデータとが異なることがないようにすること、二度手間がなく使い勝手のよいコンピュータシステムを構築すること、ヒューマンエラーを起こさないようなシステムの策定等が必要です。
准職員である看護師を正職員にすること。
大学病院では、看護師の定員が圧倒的に不足していたため、新規採用の看護師は准職員としての扱いを受けてきました。しかし、法人に移行した以上、このような定員管理は許されません。希望をもって看護師になった人の勤労意欲を高めるためにも、准職員をすべて正職員とするべきです。
1980年7月以前採用の准職員を正職員に転換すること。
准職員の勤務実態は、週40時間という点でも業務内容という点でも正職員とほとんど変わりません。総定員法の拘束がなくなったいま、これまで長年にわたって正職員と対等に東北大学を支えてきた人々を正職員とすべきです。
准職員の手当と休暇を正職員と同等にすること。日給月給制を月給制に転換すること。退職金を正職員と同等の基準で積み立て方式とすること。
1で指摘したように、准職員の勤務実態は、週40時間という点でも業務内容という点でも正職員とほとんど変わりません。したがって、処遇の決定基準を正職員とそろえるべきであり、そうしないことは説明のつかない差別としか言いようがありません。
公式文書および公的な場において准職員を「非常勤職員」と呼称しないこと。
週40時間はたらく職員を「非常勤」と呼ぶのは実態と異なり、均等処遇の必要性をあいまいにするものです。正規の呼称を用いるべきです。また、時間雇用職員の呼称は「パートタイム職員」等実態にあった呼称に見直すべきです。
准職員・時間雇用職員から正職員への転換制度を設けること。
正職員の採用は、採用試験に合格することが条件とされています。しかし、准職員・時間雇用職員には正職員に勝るとも劣らない能力を発揮している人もいます。法人化を機会に職員採用制度はもっと弾力的に運用されるべきです。
時間雇用職員に病気休暇と忌引き休暇を付与すること。
病気や忌引きは、出勤できない理由として社会で広く認められています。このことは、時間雇用職員と正職員でまったく異なりません。現に、これらを実現した国立大学法人もあります。東北大学ができないはずはありません。
時間雇用職員に勤務時間・勤続期間に応じた一時金・退職金制度を導入すること。
時間雇用職員の労働意欲を高めるために、一定の一時金(ボーナス)を出し、また勤続期間に見合った退職金を支給することは、一般企業でもしばしばみられることであり、むしろ必要なことです。
准職員・時間雇用職員等に、正職員と等しく、3日間の有給の夏期休暇を付与すること。
夏期休暇について、非正規職員にだけ与えないことを、合理的な格差として正当化する理由は何もありません。とくに、一部事業場における計画年休の導入により、非正規職員は自由に取得できる年休が著しく減少し、通院や忌引きにも不自由するという事態が生じており、放置できない問題です。計画年休を導入する場合は、准職員・時間雇用職員についても夏期休暇とすることはもちろん、計画年休をとらない事業場でも一般的に夏期休暇を付与すべきです。
育児休業・介護休業、子の看護休暇を法の趣旨に則って取りやすいよう措置すること。
少子高齢化社会を迎え、教職員にとって育児休業や介護休業の取得が重要な問題になりつつあります。これらを取ることがためらわれたり、また取ったことで不利益な取り扱いを受けることのないよう、法の趣旨に従って適切な措置を取ることを求めます。また、休業中に契約が修了し、かつ更新が行われないことが明らかな場合を除いて、採用されて1年以上継続して勤務している准職員・時間雇用職員にはすべて育児休業等を保障するよう就業規則を改正することを求めます。
組合と団体交渉を誠実に行い、交渉の場での発言について責任をもつこと。
このことはいうまでもありません。団体交渉に臨む役員はどのような権限があるかをはっきりさせる必要があります。
賃金・人事制度を改訂する場合の年次サイクルについて組合と早急に協議すること。
教職員が国家公務員でなくなったことにより、これまでの人事院頼りではなく、賃金や人事制度について労使の間で協議して決定できるようになりました。それぞれが当事者能力をもつ労使が、健全な関係を築くためにぜひとも必要です。
独立した法人にふさわしい人事政策をもち、人事院勧告に安易に準拠しないこと。
これまたいうまでもないことです。東北大学をよくするために労使がともに努力する必要がありますが、その際、東北大学に相応しい制度設計を自分たちの頭で考えていくことが重要です。
大学の経営状態についての重要事項を組合に開示し、説明すること。
大学経営の透明性を保ち、持続可能で合理的な労働条件を作るために、是非とも必要なことです。不都合なことを隠蔽することは決してよい結果をもたらしません。
管理職による組合脱退強要等の不当労働行為は絶対にしないこと。また、新規採用教職員の研修の場において、組合紹介の場を設けること。
組合は、必要な場合には大学に苦言を呈し、また改善を求めますが、健全な労使関係を築いて、場合によっては対政府交渉等で大学と共同歩調を取ることもあります。すばらしい東北大学を実現する上で、組合の存在は重要です。そのために、管理職が組合員に対して組合脱退を強要する等の不当労働行為をすることは、絶対に許されません。また、新規採用者に組合を紹介する機会をもつことを要求します。
東北大学職員組合は、一番町法律事務所と顧問契約を締結しています。
組合員は無料で法律相談が受けられます。※組合は、個々人の相談内容には一切関知しません。
国立大学法人東北大学職員組合
内線: 片平5029、3349 TEL: 022-227-8888 FAX:022-227-0671
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