とき 10月12日(水)午後6時‐7時
ところ 科学計測棟S棟2階中会議室
講師 川端 望 氏
東北大学大学院経済学研究科助教授
人事院は、8月15日、地域給導入等「給与構造の基本的見直し」等の勧告を国会と政府に対して行いました。地域給は、地域ごとの公務員と民間給与の比較に基づき、その較差が最も大きい地域を基準に4.8%減の公務員俸給表とした上で、地域手当で調整をはかるというものです。これは、多くの非合理性・問題点を持っています。
2004年4月に国立大学等の教職員は、法人化により非公務員となりました。これによって教職員の賃金・労働条件は、国家公務員法による勤務条件法定主義から、労働基本権が完全に保障され、国立大学法人・機構ごとに労使が共同決定する事項となりました。したがって、人事院勧告を適用する法的な根拠はもちろん合理的な理由はありません。
財源の視点からも、国立大学等への運営費交付金は人事院勧告を反映する仕組みではなく、文部科学省は今回の人事院勧告で運営費交付金を減額しないことを明言しており、財源がないのを理由に人事院勧告にあわせて給与をさげることはできません。
さらに、文部科学省の「文部科学省所管独立行政法人及び国立大学法人等の役員の報酬等及び職員の給与(平成16年度)」において、国立大学法人・共同利用機関法人・高専機構職員の給与は、国家公務員の平均より低いことが公表され、むしろ職員の処遇改善が求められなければなりません(表参照)。
また、大学の教員は、地域別の賃金格差が大きくなれば、地方の大学で人材確保が困難になることは必死です。職員についても同様な問題が生じるでしょう。
比較対象 | 平均年齢 | 16年度年間給与額(平均) | 対国家公務員ラスパイレス指数 |
国立大学法人 事務・技術職員 |
43.8歳 | 6,000千円 | 86.6 |
東北大学職員組合多元支部主催