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人事給与関連施策(継続交渉)団体交渉報告2006年3月16日

 組合は、3/16、人事給与関連施策(新人事システム)について、継続して以下のような団体交渉を行いました。翌3/17、法人側は経営協議会と役員会を行い、「改正案のとおり承認」した旨を学内に通知しています。組合は、3/31、このことについて法人側の説明を求め、団体交渉を行います。

2006年3月16日(木)10:00 - 11:00
本部別館第3会議室

■石井補佐(職員課) これから「人事給与関連施策について」ということで団体交渉を始める。継続交渉だ。まず吉田委員長から発言をお願いする。

□組合 まず冒頭に徳重理事の御身内に不幸があったことについて心からお悼み申し上げる。このことに関連して感じたことがある。理事に忌引き休暇という制度があるかどうか知らないが、時間雇用職員の忌引き休暇について、全学労使懇談会あるいは団体交渉で、今年と同じように来年度も労使協定という形で試行的に続けていきたいという発言があり、その際に、今年の利用率が1〜2%しかないからという説明があった。考えてみると、試行ということについて必ずしも詰めた議論をしなかった。忌引き休暇は、利用されなければされないほど良いという面がある。本学の職員にとって不幸がなかったということだから、むしろ経営側としては良かったと言うべき筋合いのものだ。逆に利用率が高いとすれば、それは職員に不幸が多かったということなのであまり望ましくないことなのではないか。忌引き休暇の試行が、「利用率が少なければ不必要な制度だ」という根拠として使われるのでは問題だ。准職員や時間雇用職員の問題については、今後あらためて休暇制度等の問題の中で話すが、来年度も時間雇用職員の忌引き休暇を労使協定という形で試行するという方向で考えているのならば、こうした忌引き休暇の性格について十分考えてほしい。これは単なる私の感想だ。本日の交渉とは関係がないが、こんな印象をもったことを伝えておく。

給与改定問題について

□組合 今日の交渉は、これまでの継続ということで、人事評価システム、能力開発システムの問題について私たちの考えを述べる。その問題に入る前に、明日、経営協議会と役員会があると聞いている。おそらく、その場で法人側として給与や継続雇用の問題について、最終的決定かどうかは別として、かなりの意思決定がされるのだろう。もう一度、この問題について、こちらの考えを伝える。ぜひ理事には私たちの考えを経営協議会等に伝えてほしい。

 これまでの交渉では、組合は、むしろ現在の大学職員の給与水準、あるいは教員の給与水準は、一般の国家公務員や私立大学教員の給与と比べて低水準にあり、むしろ引き上げるべきだと言ってきた。法人側としては、人勧も考えると最終的には5.1%の引下げと地域手当の新設でいくしかないという立場であり、この間ずっと平行線をたどってきた。この点について、これ以上両者の歩み寄りがあるかどうか分からないと思っている。ぜひ考えてほしいのは、現在の春闘のあり方を見ることも賃金の決定にとっては重要なのではないかということだ。人勧は1年前の情勢に基づいて決められるものだ。他方、社会で行われている春闘は、これから1年間の給与を検討する上で重要な要素として考えていかなければならないものだ。その点からは、報道によると、民間の大企業レベルでは、どちらかというと給与の改善が図られているのが事実だろう。昨日、大手民間企業で一斉回答が行われている。とくにトヨタなどでも、新聞報道によると、1,000円のベースアップを回答したという記事が出ている。トヨタがなぜこのような1,000円のベースアップを回答したかと言うと、昨日の「朝日」の記事によると、従業員の士気向上を重視して歩み寄ったということだ。1,000円が十分かどうかは別として、少なくとも働く者にも少しもうけを配分しようという考えがあって、それに対して従業員がある程度働こうという気になるということは事実として認められるだろう。このような大企業の現在の動きに対して、5.1%の賃金を切り下げるのは、新聞記事の言い方に従えば、従業員の士気を沈滞させる結果をもたらす可能性があると考えられる。これが東北大学全体として望ましいことかどうかを考えてほしい。「一般の国家公務員が皆下がっているのだから国立大も下がっていいのではないか」ということでいいのか。それぞれの大学が個性を発揮しなければいけない時にそのような形での横並びが東北大学に相応しいのかどうか、よく考えてほしい。しかも、昨日の「朝日新聞」によると、宮城県では、公務員給与の改革を先送りしたという記事が出ていた。つまり、宮城県の人事委員会は、昨年の10月の勧告で、給与改革について判断を先送りした。これまでと変えないということだ。宮城県人事委員会は、実施には多くの課題があり、今後さらに検討するとして判断を見送った。理由は、宮城県では官民の賃金格差があまりなく、給与を平均4.8%引き下げると、民間の方が高くなり、逆の格差を生むからということだ。地域手当の導入については、宮城県人事委員会は、県内は仙台の通勤圏であるところが多いので、地域差をつけにくいという判断だ。こういう理由で判断を先送りしている。このような事実をご存知か。また、宮城県の人事委員会の判断、つまり平均4.8%引下げると民間の方が高くなり逆の格差を生むという問題等について考えを伺いたい。もし、宮城県が判断を先送りした中で東北大学が給与制度を変えると、宮城県内の大学なのに、宮城県職員よりもまた一層給与が悪くなる。しかも、4.8%といった官民格差について、宮城県の担当者と東北大の人事担当理事との間にまったく違った判断があることになる。それは埋めていかなければならないだろう。この点について考えを聞きたい。まず、このような宮城県の人事委員会の方針は知っているか。

■徳重理事 こうした情報は新聞報道で知るのみだ。随時機関間で連絡をとっている訳でもない。その意味では、今聞いて初めて知った。

□組合 知っていると思うが、宮城県は2、3年前に財政再建をめざして宮城県職員の給与を2%切下げている。以前、浅野知事と宮城県の労働3団体が激しく交渉した経緯がある。民間と宮城県職員との賃金格差については、むしろ4.8%引下げは逆格差を生むという判断は、踏まえなければいけないだろう。法人側としては5.1%下げてもしかたないという判断だが、宮城県の人事委員会は、おそらく、一口に東北・北海道といっても、宮城県はここが違うというスタンスに立ったのだと思うが、宮城県という地域におかれた大学としては、宮城県内の賃金格差について一定の目配りをしなければいけないのではないか。

■徳重理事 おそらく、これまでの経緯や背景について分析しなければいけない。それはする。それをした段階でないと見解は言えない。一方、地場の賃金の動向は資料になる。人勧全体の各地域の比較も資料になる。それらを踏まえる。

□組合 各大学が個性を発揮しなければならない。宮城県にある東北大学ということも考えなければならない。他の県の大学と同じで良いのではなく、単に地域手当の問題に限らず、給与システムなり給与表が違ってきても良い。宮城県の職員の給与がどうなるかは強い関心を持って見なければいけない。大学として給与をどう決めていくのか考えてほしい。

■徳重理事 給与システムのあり方については引き続き検討する。運営費交付金の動向や人件費削減の動向を見ていく。平成18年4月に向けた判断としてはこれまでに言った通りにやりたい。

□組合 このような状況のもとで、明日の会議等で考えていただきたいが、18年4月1日から制度を変えるのは拙速だろう。ぜひ宮城県のようにしばらく実施を見送り、もう少し検討を加える期間を設けるという判断をぜひしてもらいたい。17年度の問題について、東北大は賢明に対処した経緯もある。同じような意味で東北大の見識を発揮して、即施行ではなく、いろんな問題点があることが話し合いで出てきているので、しばらく宮城県の動向等も踏まえて現行のシステムをしばらくつづけつつ検討を深める。必要なら6月とか9月とかから始めるということもあって良いだろう。横並びですることについては再検討してほしい。

■徳重理事 12月の経営協議会や役員会で、18年4月から実施することについて使用者側の基本方針を確認した経緯がある。18年4月については基本的な方針として実施し、春闘の状況、給与、一時金の状況については注目して見守っていきたい。給与改定のルールはこれまでの交渉の中でも話題になったが、これをどうするかの議論にもつながる。当面は人勧を有力な参考資料とせざるを得ないが、その年度に遡及してやるのか、4月から一定の検討期間をもってするのか、話し合っていきたい。

□組合 話はだいたいわかった。あくまで私たちの立場としては、人事担当の理事としては、民間で言うと労務担当の役員としては、法人側の立場だけに立つのではなく、従業員の立場に立って他の役員とやり合うという姿勢に立ってほしい。教職員のやる気をいかに起こさせるかが一番大事な仕事だ。

■徳重理事 財源の問題もあるが、士気を高めることが必要だ。できるだけ実績等に応じて対応していきたい。給与改定の議論を通じて積極的な意見をいただき、役員会にも反映していきたい。

□組合 ない袖を振れというのではない。希望を率直に話した上で、時間の余裕をもって検討してほしいというのが提案の趣旨だ。どうしてもそれが不可能だということなら、そのような回答を将来的にもらうのだろう。やる気をどう引き出すかという点では、地域手当も6%でいいのかという問題もある。宮城県の見解からも、4/1で実施しなければいけないというのならば、それをもう少し上積みできないのかということもある。それについてどう個性を発揮するか考えてほしい。ぜひ明日の経営協議会と役員会での奮闘を期待する。

人事評価システムについて

□組合 継続雇用システムとも関連する。法人側提案に対しては、大学という場での人事評価システムに相応しいのかという疑問を呈する声が多い。これは、民間企業、つまり教育に携わっていない企業での評価システムではないかという意見や、評価方法についてもいろんな意見が出ている。とくに、試行する課長クラス等、事務の人の意見を聞きたいところだ。組合でつかんでいる事務系の意見もある。もっとしっかりした評価をしてほしいという意見もある。試行について絶対的にダメだというつもりはない。評価疲れにならないように、また、職場の人間関係がぎくしゃくしないように、あくまで、評価は欠点を見つけるためでなく、能力を発揮するためという視点で、少なくとも試行は進めてほしい。確認したい点がある。提案文書の7ページの表(下記参照)を見ると、昇給について、例だが、CやDについては絶対評価ということになっている。これは絶対評価で良いか。

※上記の表(例)は下記を参照

勤務成績SABCD
昇給号俸数8号俸以上6号俸4号俸
(管理職層は3号俸)
2号俸昇給なし
初任層20%(Sは5%以内) (絶対評価)(絶対評価)
中間層5%20% (絶対評価)(絶対評価)
管理職層10%30% (絶対評価)(絶対評価)

■徳重理事 良い。相対評価も例としてはあると聞いているが、当面は絶対評価だ。

□組合 相対評価もありうるということになると、話は違ってくる。

■徳重理事 強制的にC、Dをつくることはしない。

□組合 財政的に余裕がなくなってきた時には、相対評価を設定するということもあり得ると考えているのか。

■徳重理事 あくまで、当面の制度として、絶対評価を考えているということだ。

□組合 絶対評価なら基本的にはC、Dにはならないのだろう。この問題が65歳までの継続雇用システムと関連するという意見がある。今回修正して出していただいた資料の基準の(e)には、「監督する地位にある者から注意、指導等を受けたにもかかわらず、勤務成績が良好でないことを示す明白な事実が見られたとして昇給が行われなかったこと」とある。当然、継続雇用システムは平成18年度からだが、評価の実施は20年度からということなので、すぐに直結するのではないが、相対評価が導入され、強制的に、例えば5%はDをつけろということになると、継続雇用システムの(e)に評価されて、そのために継続雇用されないことになるのを懸念する意見がある。

※参考 再雇用制度の対象者に係る基準(中略)
 直近3年間において、以下の事項に該当する事実がないこと。

(a)停職の処分を受けたこと。
(b)1年間につき5日以上の日数を正当な理由なく勤務を欠いたこと
(c)懲戒処分を2回以上受けたこと(停職を除く)
(d)1年間につき3日以上の日数を正当な理由なく勤務を欠いたことが2回以上あること。
(e)監督する地位にある者から注意、指導等を受けたにもかかわらず、勤務成績が良好でないことを示す明白な事実が見られたとして昇給が行われなかったこと

□組合 もう1つの見方として、2、3回前の交渉の際、Dは懲戒処分を受けたような場合だと説明された(※組合註、2/15交渉の際、徳重理事は「「直近3年間において、昇給及び勤勉手当に係る勤務成績の判定基準に照らし、「良好(標準)」を下回る場合に該当する事実がないこと」というのは厳しすぎるのではないか、という指摘があった。実質的には、「良好(標準)」を下回る場合に該当するのは、懲戒処分を受けた者のみが対象だと考えているが、具体的に示す必要はあるので、検討する。」と発言。)。継続雇用システム案の改定版の基準によると、懲戒処分を受けた場合というのは、まず(a)「停職の処分を受けたこと」の場合は1回でも再雇用の対象外になる。これは理解できる。また、(c)「懲戒処分を2回以上受けたこと(停職を除く)」という基準もある。そこで確認したいが、停職以外の懲戒処分とは、解雇は論外として、あとは何か。

■徳重理事 減給と戒告だ。

□組合 それは私たちの理解と同じだ。それが2回以上あれば対象外ということだ。一方で、(e)では昇給が行われなかったことが1回でもあると対象外となり、他方で、新しい人事評価システムの説明では、昇給なしは懲戒処分を受けた場合だということだ。この2つの文書の間に矛盾がある。戒告が1回でもあると、これでいうと(e)に引っ掛かることになる。懲戒処分以外でも「監督する地位にある者から注意、指導等を受けたにもかかわらず、勤務成績が良好でないことを示す明白な事実が見られたとして昇給が行われなかったこと」という枠で、昇給なしということがありうることになってしまうのではないかと懸念している。

■徳重理事 CやDにあたるものについて、これから昇給の基準を検討していく。当初の提案が昇給にからめて勤勉や昇給で優秀でないという評価をしたケースを紹介したので誤解が生まれたと思う。それは脇において、あくまで「監督的地位にある者から注意・指導が行われたこと」、そして、「それにも拘らず勤務成績が良好でなく、それで昇給しなかった」、という2つの事実があった場合には、該当しないということを言っている。

□組合 懲戒処分にいたらなくてもか。

■徳重理事 今の運用では戒告ということだろう。将来的には、今基準を検討中だ。それと切り離して、再雇用の基準としてはという話だ。

□組合 懲戒処分を受けた場合には、2回受けなければ不採用の理由にならない。昇給が行われなかった場合には、1回でも該当する。これでは、恣意的運用が可能になってしまうのではないか。注意・指導を受けたにも拘らず重大な怠慢があったということで昇給が行われないということもないとは言えないが、何らかの名前がついてされなければならない。単に昇給なしということが一人歩きしてしまうことを懸念する。危険性を孕んでいるので慎重に再検討してほしい。

■徳重理事 基準は、できるだけ具体的に明示しようとした。戒告2回や欠勤5日との関連で言うと、「監督する地位にある者から注意、指導等を受けたにもかかわらず、勤務成績が良好でないことを示す明白な事実が見られたとして昇給が行われなかったこと」という基準は、より抽象的ではなく明確な基準だ。

□組合 それならば、むしろ、CとDをいっしょにしていろんな解釈ができないようにしてほしい。

■徳重理事 余程のことがない限り、使う項目ではないだろう。苦情処理の話や評価の研修で対応を重ねるが、そういう問題がないようにする。基準として明示されていれば、再雇用に該当しないという覚悟で、昇給をきめる側も責任を持って決めなければならない。

□組合 恣意的な運用に道を開くような言葉遣いがあることを気にしているのだろう。恣意的な運用をする上司がいたら問題だ。それがないようにするにはどうするか。苦情処理の仕方が重要だろう。私たちは組合員の苦情は組合として受け止めて苦情処理の機関に持っていく。組合に入っていない人達はどうなるかわからないが、大学の姿勢として、評価にあたっては恣意的な、あるいは個人の好みによる昇給の停止などがないように周知してほしい。

■兵頭特任教授 今回の提案に示した例は、あくまでどう活用するかイメージするためのものだ。昇給については、昇給制度の運用そのものの話だ。その部分については、むしろ昇給制度としてどのように適切な運用をするかということで議論、意見交換してほしい。昇給というのは、ある意味で客観的な行為だ。そうではなく、非違行為がこれだけあったという時の方が恣意性からは問題だ。この基準によって、具体的に昇給するか否かがより明確になる。限定をかけたのではない。客観性を高めたものだ。

□組合 理由があって昇給が行われなかったということが明示されるということか。

■兵頭特任教授 昇給をさせなかったということが、明示されたということだ。

□組合 今回提案されている就業規則の中に、むしろ昇給させる場合に上司が証明するのであって、そうでなければ昇給させないような記述がされていないか。人事課の人が詳しいと思う。昇給するにあたって、昇給する場合には上司が文面で推薦書、証明書といったものを出し、その時に限って昇給させる、といった記述があったと思うが。

※「初任給、昇格、昇給等基準細則」改定案第30条に、昇給は「当該職員の勤務成績について、その者の職務について監督する地位にある者の証明を得て行わなければならない。この場合において、当該証明が得られない職員は、昇給しない。」とある。

■鈴木人事課長 ある。

□組合 今の議論との関係で齟齬はないか。

■兵頭特任教授 齟齬はない。あくまで手順としての話だ。

□組合 上司が恣意的に認めないということは困る。それはないというのが兵頭さんの答だと思う。昇給システムの問題と再雇用システムの問題はあくまで切り離すということか。

■兵頭特任教授 そうだ。

□組合 昇給システムについては、評価システムとして検討しなければならない。差し当たりは再雇用ということだ。本来ならば定年延長だろうと組合は思う。全面的に賛成ではないが、法人側が財政の許す範囲内で提案してきたことは受け止めたい。今後検討の余地が沢山あると思う。4月から再雇用を望む人については、基準にあてはまる人は全員再雇用されるようにしてほしい。仕事と職場、本人の能力とのミスマッチが起こらないようにすることだ。男女差別のないようにしてほしい。給与の適正額は幾らかということについては検討の余地が沢山あると思う。4/1以降どのように進むのか注視していきたい。

□組合 人事評価システムについて傍聴の事務の人たちからは何か意見はないか。

■(出ない)

□組合 まさに上司の前では言いたいことが言えないということだ。

□組合 匿名でよいので何かあったら組合のほうに言ってきてほしい。

能力開発システムについて

□組合 次に、能力開発についてだが、研修制度の充実はぜひ進めてほしい。ただ、問題になるとしたら、職場が要求する能力と研修との間に齟齬が生じるという問題を、できるだけ改善する必要があるだろう。第2点としては、あくまで業務に必要な研修については、時間と費用は大学が負担して研修を受けさせるべきだということだ。総論としては、法人側の返事としても異論はなかったと思う。問題は各論だ。この研修が本当に必要なのか、単に個人の能力向上を目指したものなのかの住み分けの判断が難しい。この点、いろんな職場で具体的な事例があると思うので、ぜひ点検しながら適切な判断をしてほしい。現在我々がつかんでいるところでは、やはり病院の問題が大きい。とくに、新採用の看護師の研修について、そもそも病院では退勤処理が、コンピュータで何時に終ったというやり方だと思うが、そのような処理を新しく入った看護師についてはするなということを言っているということがあった。本来、上司としては、勤務時間を把握しなければならないにも拘らず、かえって勤務時間を曖昧にするという措置がとられた。時間外に様々な病棟での研修が行われて、研修の名の下に、まさに自己の能力を高めるという位置付けになってしまうのだろうが、一切超勤がつかないということがある、という情報を得ている。たとえ技術的に未熟でも、勤務時間はしっかりと確認して、必要な場合に勤務時間外に研修を行うのならば、超勤手当を出すべきだというのが、一般的な労働法の常識だ。その辺が曖昧になっている。問題は上層部の意識だろう。研修の充実が加重労働を強いることになると問題だ。病院のあり方については、何度も、また以前からいろんな形で行っているが、その後何か理事として、病院の実態について理解するところがあったら話してほしい。

■徳重理事 事務長には、交渉の結果も踏まえて話し、メモも渡した。伺った点については、勤務時間を明確にすること、自主研修かどうか、これが大原則だと思う。その点については、師長会には2月段階で周知を図っている。病院の組合支部との間で充分話し合うことと、その方法については検討してほしいと投げかけてある。その後の報告はまだ受けていない。

□組合 どんな結果が出るかは、この4月に行われる新人看護師の研修がどう行われるかというところを注意してみてほしい。私たちも注視する。新人看護師の他にも、すでに経験を積んだ看護師の研修も、自分の時間とお金で行うという事例が多々あるようだ。自分自身の能力を高めるだけの個人的な研修なら、負担はやぶさかでないだろうが、業務との関係を念頭におかねばならないところでは、この点での指導を徹底してほしい。個々人の能力が高まれば東北大全体の利益にもなる。

□組合 この4月採用の看護師について、准職員ではなく正職員で採用するという方向で話が進んでいると聞いているが。

■徳重理事 人材確保の観点から任期付正規職員で採用することにした。

□組合 正職員だと、夏期休暇等の問題も解決されるので良いのだが、気になるのは任期付きという部分だ。しかも1年契約の更新だから、これまでの准職員は、基本的には3年雇用なので、1年ごとになると、1年めで要らないと言われるのかということが気になる。任期付正規職員は、今度初めて、看護師については導入される。教員のレベルでも同じだが、任期制を導入することによって、助手が助教授になる際に任期を付けるといったことがある。新人の看護師に任期を付けることが、現職の看護師への任期制導入に道を開くのではないか懸念している。

■鈴木人事課長 病院ではそのような考えはない。看護師の確保の際に条件が厳しくなってきたことを踏まえて、対応していきたいということだ。准職員でも3年が限度だが契約そのものは年度ごとだ。それを踏まえながら、任期付きで1年ごとということだ。全員かどうかは分からないが、大体2年位で正職員に切り替えるという流れがある。この点は、これまでの考え方を踏襲する。

□組合 知ったのがつい最近のことだ。病院の看護師の確保という点からは、准職員よりも正職員が望ましいが、任期が付いていること自体が、任期の付いていない他の病院から比べれば不利な条件だ。その意味からすると、いかに優秀な看護師を確保するかという点からは、任期がない正職員として採用するのが一番良い。募集要項を見ると、勤務実績を考慮して正職員に採用されることがある。あの人が正職員になってなぜ私がならないのか、といった不満もあるだろう。そういったところが評価の問題になってくるのだろう。注目していきたい。

給与支給日問題、事務機構の整備等について

□組合 給与支給日の問題について。細かいことについては、いただいた資料でだいぶ理解もしたのだが、組合の内部では賛成する意見は全くなかった。率直に言うと、忙しいのは給与担当者だけではないという意見だった。それが偽らざるところかと思う。学部の現場を見るとそれなりにたいへんなところもある。給与担当者が過労になったり、サービス残業になったりすることがやむを得ないというのではないが、大学として工夫する余地がないか検討してほしい。それでもだめということならば、事務機構全体の問題として再度提起してほしい。今のままだと、おそらく、組合員でない人もそれほど理解してくれるとは思えない。以上、率直な意見を述べた。

■徳重理事 事務の見直しの一環としても話題になっている。それだけではない、というのはその通りだろう。全般の事務の見直しもいろんな分野でやっていく必要がある。全てについて、これまでのことを洗いざらい見直す必要もある。あらためて提起して協議したい。

□組合 話をすることは良い。事務機構の整備や待遇改善には協力したい。

■徳重理事 これについては遅れている。

□組合 会計関係のコンピュータはどうなったのか。

■徳重理事 部局をピックアップして調査している。遅れていることについては責任を感じている。

□組合 病院の退勤処理についてはどうか。

■徳重理事 今日の指摘を受けてあらためて病院に話す。

□組合 法人側の提起について、組合の意見を大体述べた。とくに重要な給与問題については、合意が成立しそうにないが、経営協議会や役員会の結果をあらためて知らせてほしい。組合側としては、今後、4月以降の労使協定の問題等があると思うので、あらためて議論すべき問題については団体交渉を行いたい。中心の問題は、准職員や時間雇用職員の待遇改善だろう。春闘の中でも大きく取り上げられている問題だ。私たちとしても正規職員だけの組合ではない。その辺も話していきたい。

□組合 給与問題で。物価が安いので東京に比べて率が低くてよいという感覚は妥当だろうか。私たちとしてはそんな感覚を持っていない。

□組合 看護師の採用について、准職員から任期付正規職員にするということだが、もともと定員で採用されてきたのがある時期から定員外で採用されてきた経緯がある。他の部局で、ある職種が集団としてそのように採用されているところはない。正規職員化という立場に立って努力してほしい。

□組合 今日はこれで終わります。


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