■石井補佐(職員課) これから団体交渉を始める。今回は組合の申入れによる交渉なので、吉田委員長から発言をお願いする。
要求項目の説明(1.を中心に)
□組合 5/2付で要求項目を提出して団体交渉を申し入れたのでこちらから発言する。既に手元に要求項目があると思うが、要求は5点ある。まずそれについて説明する。第一に「准職員、時間雇用職員の待遇改善について」だ。法人化以前からの要求とも重複するが、また昨年の今頃も交渉した問題だ(上記、要求項目参照)。この他に2点ほど問題点があらたにわかったのでこの点について議論したい。まず第1点は、「准職員等が人間ドックを受ける際の時間が有給かどうか」についてだ。これについて後で具体的に説明したい。第2点は、時間雇用職員の労働条件通知書について、すでに昨年度の交渉で決着済みだが、更新限度なしと記載されるべきところ、更新予定が未定とされている部局があるので、是正してほしいということだ(大きな2項目以下について読み上げて説明。要求項目参照)。その他については時間があったら議論したい。おそらく本日の時間内に議論できるのは1の待遇改善が中心になるだろう。
「1(1)准職員・時間雇用職員等に、正規職員と等しく、3日間の有給の夏期休暇を付与すること」について
□組合 去年は大きな理由として、計画年休によって、有給休暇日数が十分でない人に特別な有給休暇を与えるから、それ以上に夏期休暇を与える必要はないという返事だったと思う。しかし、すでに指摘したが、それは辻褄が合わない理屈だ。年次有給休暇制度については、正規職員も日数が少なければ特別な有給休暇を与えられる。准職員等に限った問題ではない。事務方に調べていただいたところでは、正規職員でありながら特別な休暇をもらっている人もいる。むしろ正規職員と准職員等との格差是正が重要だ。むしろ、ご存知の通り、現状では、非正社員の労働条件をいかに正社員に近付けるかが社会的な動きだ。朝日新聞の5/31付によると、「分裂にっぽん 『雇用回復』の足元」と、連載している。この中で、非正社員が662万人増、雇用者のうち3人に1人は非正社員、15歳から24歳までの若年層では2人に1人だと指摘されている。このような非正社員の増加が将来の日本の姿をいかに歪めているか。理事や特任教授がよくご存知の通りだ。このような非正規職員の増加は東北大でも非常に顕著だ。具体的には、法人側資料によると昨年度で正規の職員2284名に対して准職員等は1858名だ。ほとんど半分ずつだ。この間の定員削減で正規職員が減った分が准職員等になり、あるいはそれ以上に准職員等が増えている。これが東北大の将来にどんな影を落とすか、よくご存知のことと思う。たとえば政府の少子化社会対策推進会議では、非正規雇用の正規雇用への転換促進を第一に掲げている。以上の点から、現在の社会では、正社員と非正社員、あるいは正規職員と非正規職員の格差をいかに是正するかが重要な問題だ。東北大は、男女共同参画社会を標榜している大学であり、もっと積極的に、准職員、時間雇用職員の労働条件改善に積極的に取り組むべきだ。ところが実態としてはどうか。昨年は夏期休暇については、ゼロ回答だった。私たちの入手している他大学の例では、相当の大学がすでに実施している。具体的には、弘前、岩手、秋田、山形、福島、つまり東北地方では宮城県以外の旧国立大学ではすべて実現している。東京大学、北海道大学、京都大学、大阪大学、九州大学等大きな大学も軒並み導入している。このことは大学側も十分に掌握しているだろう。にも拘らず、なぜ、東北大がこのことに消極的なのか、しかも男女共同参画社会を標榜しているのに、非常に疑問だ。この問題を実現していただきたい。
「1(4)1980年7月以前採用の准職員について、正規職員への登用の道をつくること」について
□組合 ここでは「1980年7月以前採用の准職員」と限定して言っているが、それ以外について不必要だと言っているのではない。基本的には、正職員への道を全ての准職員、時間雇用職員に認めるべきだが、少なくとも1980年7月以前採用の准職員は二十数年間働き、それなりの専門性を身につけている。一般の国家公務員採用試験といった一般的な常識を問うようなものではなく、身につけた専門性を考慮した採用方法を考えるべきだ。九州大学などでは、私たちの把握した情報では、そのような長期にわたる人については、適性検査と事前レポートという形で実施していると聞いている。一定の配慮をしながら、長期にわたって准職員等に従事している人に適正な形で正規職員への道を実現してほしい。
「1(2)准職員・時間雇用職員の病気休暇を有給にし、就業規則に明記すること」「1(3)時間雇用職員の忌引き休暇(有給)について就業規則に明記すること」について
□組合 (2)の病気休暇については、就業規則なり労使協定なりによって保障されているが無給だ。これを有給にしてほしい。時間雇用職員について労使協定による試行ではなく就業規則にも明記してほしい。(3)の時間雇用職員の忌引き休暇についても就業規則に明示すべきだ。
「1(5)准職員について、給与を月給方式とし、昇給速度を正規職員と同等にすること。退職手当を正規職員と同等の基準で支給すること」「(6)時間雇用職員に対して、勤務時間・勤続期間に応じたボーナス・退職手当を支給すること」について
□組合 (5)については、正規職員と基本的には格差がないものにすること、(6)については、勤務時間や勤続期間に応じた形でその労に報いるということでボーナス、退職手当を支給してほしい。
その他のところで、労働条件通知書の問題は基本的にはもう良いはずなので、人間ドックを受ける際には有給なのかの件について説明させてほしい。東北大の「准職員等の労働時間及び休暇等に関する規程」第9条1項5号によると「労働時間内に総合的な健康診査を受けるため、1日の範囲内で必要と認められる時間、勤務しない」場合については「勤務しないことの承認」を受けることができ、その時間については「有給とする」とある。このことによって、総合的な健康審査、つまり人間ドックを受けることが、「勤務しないことの承認」という形で有給の労働時間とみなされる。しかし、実際の取扱いは、一般的な人間ドック受診ではなく、共済組合が主催する人間ドックのみが対象だと言われている。准職員が入っているのは政府管掌の社会保険だ。だから共済組合主催の人間ドックは受けられない。そのために一般の准職員は、人間ドックは自分で受けてその時間は有給休暇を使えという主張がされているところがある。一定の部局では、有給の時間を措置している。書記局と事務レベルで一定のやりとりをしている。この点について、正規職員と准職員等の格差是正という点で人間ドックは大変重要なので、この点についても正規職員に準じた取扱いをお願いしたい。以上が「1.准職員、時間雇用職員の待遇改善について」についての問題だ。2から5も説明すると時間がなくなるので、いったん発言をきる。以上の点について、徳重理事から回答、意見、今後の対応等について意見がほしい。
法人側の回答
■徳重理事 交渉で初めて聞いた点もあるので、十分に回答できないかもしれないが意見を述べる。
「1(1)准職員・時間雇用職員等に、正規職員と等しく、3日間の有給の夏期休暇を付与すること」について
■徳重理事 昨年は、2日間無給の夏期休暇を提案し、継続の課題になっている。昨年の提案は、計画年休との関係もあるが、新たに夏期休暇を導入した場合に、休んだことによる仕事をどうするか、代替要員の補充、財政の問題もあるので、無給で試行して課題を整理して次のステップに進みたいという考え方だった。このような考え方は今も持っている。一方、「心身の健康の維持及び増進」などの点で夏期休暇は大事な課題だと認識している。その意味で本日の交渉での意見交換、職場での実態・意見も聞きながら検討したい。民間等でも夏期休暇はあること、本学において計画年休がすべての職場にあるわけではないことも承知している。民間でも必ずしも特別休暇としての措置だけでなく、半々くらいが年休を活用した休暇になっている。
「1(2)准職員・時間雇用職員の病気休暇を有給にし、就業規則に明記すること」について
■徳重理事 有給にということだが、昨年度、そして今年度も労使協定によって無給の病気休暇を試行実施している。今年の試行状況を踏まえて就業規則に明記するかの結論を出す。有給にということについては、格差是正という主張は理解できるが、正規職員と准職員では雇用形態、業務内容における責任の度合いの違いがあるので、有給にすることは現時点ではできないと考えている。他大学や国家公務員の状況を見ても、現時点では有給にしていないということも踏まえる。
「1(3)時間雇用職員の忌引き休暇(有給)について就業規則に明記すること」について
■徳重理事 今年度の実施状況を踏まえて就業規則に明記するかどうか検討する。
「1(4)1980年7月以前採用の准職員について、正規職員への登用の道をつくること」について
■徳重理事 必ずしも1980年7月以前採用の准職員に限った話ではないが、1980年7月以前採用の准職員については長期に勤務しているのでそれも踏まえるべきだという説明だった。とくに、1980年7月以前ということで年数の限定をするということは考えていないが、准職員等を正規職員に登用する方策を検討したい。対象者や、どういう方向にするかはこれから検討する。
「(5)准職員について、給与を月給方式とし、昇給速度を正規職員と同等にすること。退職手当を正規職員と同等の基準で支給すること」について
■徳重理事 月給方式、退職手当という給与の関係での要求だ。昨年も提案があった。月給方式について、やはり正規職員と准職員の雇用形態や職務内容における責任の度合いの違いから、異なる取扱いをしている。従来から日額による実績払いということにしてきた。毎年、経験年数に基づいて計算し直すので昇給という概念が正しいかというのがあるが、正規職員と同等の基準でということについては、教育研究費から出しているということもあるので、それに影響するので考えていない。准職員の労働条件について、他大学、民間の動向を踏まえる必要がある。どのような点が問題なのか具体的に話をきいて協議を続けて行きたい。
「(6)時間雇用職員に対して、勤務時間・勤続期間に応じたボーナス・退職手当を支給すること」について
■徳重理事 現時点ではこれらの支給対象になっていない。昨年も一定額でもよいから支給してほしいということがあった。雇用形態等の違いからそういう制度にしているのだが、新たに支給することには教育研究費への影響がある。全学的な課題だ。これについても民間、他大学の状況も踏まえながら検討が必要な課題だ。今すぐに実施することは考えていない。
「法人化前からの時間雇用職員の労働条件通知書への更新予定の記載」について
■徳重理事 労働条件通知書の話については、去年も話し合ったことなので、個別の部局の例があれば指摘してほしい。
「准職員等の人間ドックの有給取扱い」について
■徳重理事 従来から共済組合主催の人間ドックについて認めてきた。検討課題とさせてほしい。課題の整理をしてあらためて回答したい。
准職員等の待遇改善に関する質疑
全体として
□組合 今の理事の発言については、全体として、検討するという部分、これはできないという部分があったが、去年と比べれば待遇改善をしようとする可能性を感じた。期待して交渉したい。今日の時間としては限られているが、いろいろ話し合いたい。基本的なスタンスとして、雇用形態が違う、業務内容が違う、職務の責任が違うといったことが言われ、格差はやむを得ないという認識だと思う。全く理解しないわけではないが、現実問題として、長期にわたって勤務している准職員は、一定の職域においては正規職員よりも余程仕事ができる。新しい正規職員を指導するという状況にもなっている。もし能力給や成果主義賃金を入れようというのならば、むしろ正規職員よりも准職員の方が余程高い給与をもらってもよいくらいだ。民間ではその例もある。つまりパートから出発しても、能力さえあれば、支店長や役員にもなる。それはそれで、能力給等を全面的に導入することへの疑問はあるが、その方にとっては良いことだろうと思う。採用の際の出発点が違っていたということから、10数年経っても格差是正されないというのは望ましいものなのか。根本的な問題として、正規職員と准職員等との関係、あるいは格差をいかにして縮めていくかという観点から検討してほしい。そういった意味から、准職員等を正規職員に登用するためのあり方を検討してもらうことは重要だ。その際には組合も意見を言いたい。ぜひお願いしたい。
夏期休暇等について
□組合 「3日間の有給の夏期休暇」については、繰り返しては言わないが、他の大学の状況を見ると、東北大の状況は寂しくなる。どこの大学がどの程度導入しているかというのはむしろ、大学側の方が十分に掌握できると思うのでぜひお願いしたい。「就業規則への明記」については、病気休暇や忌引き休暇は取らないですむならばそれにこしたことはない。つまり病気にならなければ、親族が亡くならなければ、それはむしろいいことだ。しかし、病気や親族の不幸がいつ起こるか分からない。そのための一つの保障だ。どのくらいの人が試行期間中にこの制度を利用したかで量られるべき問題ではない。この点も検討する際に考慮に入れてほしい。「給与の問題」は悩ましい問題だ。准職員、時間雇用職員の給与をどう位置付けるか。長年勤めても一定の部分で頭打ち的な状況だ。それでいいのか。何かできないか。工夫は必要ではないか。その際に、理事の話だと、教育研究費を使うという意味で全学的な理解が必要だ。その通りだが、理事の立場としてはそうだろうが、働く者の立場から言えば、研究費を削ったとしても労働条件を良くすべきだ。徳重理事は研究教育担当理事ではなく人事担当の理事なので、労働者の立場に立ってノーベル賞級の理事ともわたりあっていただきたい。「研究のために労働者に苦労させてもしかたない」では困る。ぜひ検討してほしい。ボーナス、退職手当についても同様だ。
人間ドックについて
□組合 「人間ドック」については、もう少しこちらとしても話をしたい。そもそも准職員、時間雇用職員が共済組合に入れないという問題も根本的な問題としてあるのかもしれない。准職員にとってどちらがいいか。その立場に立つことが、人事担当理事としては必要だ。
■徳重理事 自費で人間ドックにいった場合にも、勤務を命じない時間として認めてもいいのではないかということか。
□組合 厚生病院や公済病院で人間ドック受けたとしても、共済組合主催ではない、自分の休暇をとって受診しなさいということになっている。しかし、就業規則には「総合的な健康診断」とだけ書いてあって、共済組合主催とは書いていない。個人的に受けても取れるくらいの非常に幅広い言葉だ。正規職員が共済主催の人間ドックを受けるのと同じような形で、措置してほしい。
正規職員への登用制度について
□組合 毎年ここで精一杯の話をしている。夏期休暇については、毎年砂を噛むような気持ちでいる。計画年休と夏休みは実感としてまったく違う。同じ部屋で同じ仕事をしているのに、正規職員には認められて私たちが認められない。私たちも気持ちよく働きたい。弱い立場の者に、さらに正規職員よりも余分に働けというのは大げさに言えば正義に反するのではないか。准職員の正規化について10数年とか20年といった説明だったが、私の周りは30年、40年の人が多い。かつては政府が認めていないので定員化できないという話だったが、それでも正規職員になった人が周りに何人もいた。やればできるんだなと思っていた。今法人になって、外部からも人が入ってきて、上位の席も占めている。有能な方ではあろうが、30年、40年働いた者にも正規化の道を開いてほしい。切実な思いだ。
□組合 関連して、5/25付で「時間外労働の縮減及び年次有給休暇の計画的使用の促進について」という徳重理事の名前で通達が出ている。「年次有給休暇の計画的使用及び連続休暇等の取得促進のための環境整備に取り組むこと」という中で、特に留意することとして、「年間を通じた年次有給休暇等の計画的使用」「夏期、ゴールデンウィーク期間等における連続休暇の取得」「月曜日・金曜日と休日を組み合わせた連続休暇の取得」と出ている。体を休ませられるように連続して休暇を取れるように配慮せよということは理解するが、今言ったように非正規職員の人達は夏休みもゴールデンウィークも、計画年休を実施された時に、自分の年休を使うしかない。夏期と言う言葉で計画年休を実施された場合に、夏休みがないということで自分の年休が否応なく使われてしまうのが現実だ。文学部等の事業場では、1年目は計画年休を実施したが、2年目は評判が悪くて実施しなかった。精神は良いが条件がないとできない。法人側でこうせよと言って実施しても、かえって現場の准職員等に不満が起こってしまうことがある。その辺を夏休み3日間のことについても考慮に入れてほしい。通知の精神は大いに結構だが、それを裏打ちするものが必要だと私たちは考えている。
□組合 非正規職員について、全国的にも35%くらいある中で、東北大でもそれに近い状態で非正規職員がいる。定員削減で削減した分だけ補充する、あるいはそれ以上の数が必要だということがなぜ起きるのか、仕事の量が増えたのか。仕事の効率がまったく向上しないのか。いろんな原因が考えられるが、どう考えているか。
■徳重理事 直接的には、国立大学時代から第十次にわたる定員削減の結果だ。仕事の見直しもしただろうが、仕事が残るので、准職員等にやってもらった。もう一つは、法人化以降について、事務タスクの作業が遅れていて申し訳ないと思っているが、新しい仕事もできた。法人化を前提として訓練されてきた職員ではないところに、外部資金がたくさん入ってきている。准職員、時間雇用職員が。まさに事務の削減、効率化を徹底してやらなければいけない。分析の結果を踏まえて、取り組んでいこうということで、仕事の仕方の意識改革も必要だが、仕事の中身、組織の検討も必要だ。全部なくなるわけではないので、これから准職員等について、どんな役割を果たしていくかについて、長い目で見て検討していく。
□組合 定員削減はそもそも間違っていたのではないか。それに見合う分だけ大学で効率化に努力しながらも補充しなければいけないということは、削減できないのに削減させられたということだ。法人化して仕事が変わったから人員を増やさなければいけないならば、正規職員として雇うべきだ。今回出されているような差が生まれているのは矛盾だ。雇われた方に正規職員と比べて厳然たる差が生じているのは大きな矛盾だ。その差をなくしていかなければ。これから、非正規職員が増えてくると考えるか、減ると考えるか。
■徳重理事 これから高年齢者雇用も入ってくる。効率化係数の問題もある。国に準じてやらなければいけない5年間で10%の総人件費改革もある。そういう状況を見れば、准職員等の役割は大事だ。仕事のあり方も考えなければいけない。
□組合 正規職員とはしにくいが、役割は与えなければということか。
■徳重理事 どういう仕組みにするか。正規職員に採用する道も検討していきたい。全ての人ではなく。
□組合 正規職員とするか、非正規職員とするか。いろんな計算があると思うが、最近の経験だと、病院の看護師のことがある。1年任期付だが正規職員として採用され、これによって夏期休暇やボーナス等の改善があった。病院の新人の研修にいく時には組合も組合の成果として宣伝するが、実際には診療報酬制度という面も大きいだろう。7:1看護という基準をクリアしなければ大変な損害が出るということだ。現在大学病院では看護師をいかに確保するかということで、200人や300人必要だということのようだ。つまり必要に応じて正規職員とした方が大学として得な場面もある。ところが一緒に研修に出ていた放射線技師等は相変わらず准職員のようだ。大学としては診療報酬の増にカウントされる看護師は正規職員にして、診療報酬の増にカウントされないところは准職員でということでは、働く方としては寂しい。もしそれが事実とすれば。やはり、働く意欲を十分に考慮しないといけない状況がこれから出てくるだろう。社会全体の動きを見ても、正規職員の数をどんどん増やしていかないと、団塊の世代の退職に到底追いつかない。現実問題として東北大学はそうだと思う。技術職員や看護師で大量の退職が出た場合に技術が継承できるのか、大学の将来を見据えて戦略を練っていかないといけないのではないか。いま副委員長が言った通り、大学としての人事戦略を考えた場合に正規職員はどういう位置づけになるのかは十分に検討に値するだろう。
「3.超過勤務の実態を把握して、不払い労働を根絶すること」「4.事務職員、技術職員、看護師等の年休消化率の実態について早急に調査しその結果を示すこと」について
超勤問題について
□組合 予定の終了時刻が迫ってきたので、3、4についても話したい。理事の名前で、これらに関連して「時間外労働の縮減、年休の計画的使用の促進」という文書が出ている。私のところへは今日の午前中に届いたので、文書を出した意図は交渉のためかとも思ったが。このような文書を出した意図は何か。
■徳重理事 正直に言ってもっと早く出したかった。年度始めくらいに。毎回この問題は、超過勤務の問題、年休消化の問題、いろんな会議の場でその都度問題にしているが、正式には文書の形で出すことが必要だということで出した。今回とくに、交渉との関係で出したのではない。
□組合 超勤は九州大学か、労基署が2回入っている。最近では名工大にも入っている。あちこちの労基署が大学はずさんだと見ている。規模も大きい。東北大学に入ってもおかしくない。実際問題として、超勤の実態を把握するとあるが、「管理職員による各部局、部、課、室ごとの時間外労働の状況把握、認識の徹底」がある。問題はこれが実施されるかどうか。組合は法人化される際に、この問題は大学と組合と協力してやろうと提案したがすげなく断られたという経緯がある。つまり人事関係の職員によって、超勤の実態はそもそも把握されているのか。
■徳重理事 各職場において把握されている。
□組合 それは本部に集約されているか。
■職員課長 オープンにはできないが、各部局でたとえば同じ文科系でも実態に格差がかなりある。事務の効率化や簡素化の問題もあるのか、部局の歴史的背景なのかわからないが、超勤の実態、どれくらい超勤手当を支給しているのかは把握している。ただ、オープンにすることで、どうしてこんなに部局に格差があるのかという問題になると大変なので、具体的な数値は示せない。通知を出したのは、委員長も言ったように、法人化後のとくに忙しい時期になって、相当の残業をしているところもある。16年、17年に続き、本年度で3回目で、毎回同じような文書を流している。部局によってはきちんと対応している部局もあれば、対応があまりないところもあるときいている。基本的な指針としては実績に基づいた賃金を支払えと言っていた。今回の交渉のために通知を出したというものではない。
□組合 実態としては超勤がかなり行われていて、サービス残業もかなりあるだろうと思う。組合としては、法人側とことを構えるということで労基署に言うということはしていないが、ある意味で、サービス残業問題に組合が何も言わないということは組合の存在意義に関わる。状況によっては、一定のアクションを起こさなければいけないこともありうるだろう。大学側が労働実態を把握して是正する、サービス残業をなくす、ということが、実態として実現することが必要だ。この点はともに検討したい。
年休消化率の問題について
□組合 看護師はほとんど年休が取れないという実態がある。年休をとると、あなたの病棟は人が余っていると言われる。休暇をとること自体をためらうという実態があるようだ。実態を把握することを大学としてもやってほしい。ごく最近の新聞では、超勤が100時間を超えた職員については、企業から労働組合にその旨通知する。組合は組合員を医者にかけさせることとしている。つまり使用者側と労働組合がいっしょになって、超勤の縮減に努めているという例がある。ごく最近の例だ。この問題については、大学当局と組合がタイアップして、問題の解決に当たることが必要だ。場合によってはそうした意見交換もしていきたい。
■徳重理事 年休の取得状況については、休暇制度検討の基礎資料でもあるので、昨年1年間の調査をしたので、後ほど情報を提供する。
□組合 どんな感じか。
■徳重理事 正規職員で年間の平均で、年度中との利用者は含めない。繰越日数を含めずに、正規職員であれば20日ということで、平均消化率は全体で42.7%。事務職員は57.6%。教員は29.2%。看護師は59.1%。数字は後であらためて提供する。先程勤務時間が100時間を超えた場合についての話があったが、労働安全衛生法の改正もありその点についても検討している。
□組合 理事の文章の中で、「水曜日は定時退庁」「金曜日は早期退庁」といった記述があるが、水曜日はよく組合の執行委員会がある。それが終っても21:00くらいになることがあるが、煌煌と明かりがついていることが多い。超勤、年休消化について、労働者の健康維持からも重要だ。ぜひよろしく対策をお願いしたい。
□組合 法人化後、超勤手当を実績通りに出すのは理想だと言われて、それでも上司に何度も言って、実動分を出してもらえるようになった経緯がある。その後、高専に出向したところ、超勤を何十時間やっても超勤手当は少ないという状況だった。ところが10月くらいから実働分を出すということになった。後で知ったのだが、機構本部に労基署が入って、それでおそらく実動分を出すということになったのだろう。法人化3年もたったのだから、通知を出しているからいいということではなく、職場の実態をつかまなければいけない。何十時間働いてもなぜか手当は少なく出ているとか、夜中に若い人が働いている、というような実態をつかんでほしい。東北大にいた時は、1年ちょっと前に人事の人とそういう話をしたが、1年経っても2年経っても変わらない。通知を出しているが各部局の実態はわからないということではなく、なくすよう真剣に取り組んでほしい。仕事がなく17:15になるのを待っているところもあるし、夜中まで働いているところもある。超勤が恒常化しているのなら、部局のエゴを取り払って、人員の配置も考えるべきだ。実際に労基署が入ればパソコンのON、OFFも調査される。真剣に実態をつかんでほしい。年休については、出向者の人事交流の際に次世代育成支援対策の関係で人事課長に取得率を聞いたのが半年くらい前だ。把握しているか。
■鈴木人事課長 調査していない。出向者の人事交流はこうした会議ではなく、その後、具体的に質問が来るものと思い、それを待っていた。担当が男女共同参画か、人事課か分からないが、質問には対応する。
□組合 質問書はまもなく出る予定だ。
□組合 さきほど理事が、准職員の月給方式等について、研究費から支給されるため、即答することはできない、と言ったが、それでは困る。我々はみんな、研究と教育のために雇われている。准職員も研究と教育のために雇われている。研究費の中からという理由では困る。理由を挙げるなら別の理由を挙げてほしい。
■徳重理事 具体的にどういうところに問題があるか、言ってほしい。ただ単に、正規職員と同じにようにするということだと、どうかなと思う。
□組合 研究費が減ってしまって研究に使うお金が少なくなってしまうと言われると、かちんときた。
■徳重理事 財源についての問題だ。
□組合 法人側の役員は、私たちに対しては、金がなければ外部から取ってこいと言う。時間だがもう少し良いか。その他のところで2点ほどある。
教員の個人評価検討の資料について
□組合 大学の一定の部会等で教員の個人評価について検討が進んでおり、ある程度、文書がかたまっているという話をきいている。書記局を通じて事務的にその文書を教えてほしいと聞いてみたが、公開段階ではないということだ。事務職員の評価システムについては、早い段階で案として出て議論している。それは良いことだと思う。むしろ、今、教員の関係では案の段階では何も意見を聞かず、決まったら出すというのはまずいことだ。理事が担当ではないのかもしれないが、案の段階でちゃんと出して職員の意見を聞けと言ってほしい。この団交の席上、資料を出すよう要求するので、検討してほしい。
■徳重理事 今、中身を検討している段階だ。しかも関連あるだろうが、教員の個人評価のあり方については、教育面、研究面、管理運営、社会的評価等、項目の整理をしている。部局に示す案だ。部局の方には部局長連絡会の際に出す。今の段階では、意見の調整をしている段階なので、まだ動く可能性もある。部局から意見を聞く際に、意見を述べることはできると思う。
□組合 部局教授会のルートと組合とのルートは違う。私たちとしては、事務職員の評価の案と同じような取扱いをすべきだ。
■徳重理事 人事評価というよりはその前の段階での評価のあり方の案だ。
□組合 給与システムの改定は、評価に伴って何号俸上がるかが決まってくる。まったく人事の問題だ。しかもほとんど上がらない人の方が多い。評価の問題は昇給に直結する人事問題だと思う。労働組合の意見を十分に吸い上げるのは役員会として当然だ。
■徳重理事 考え方を整理する。
□組合 部局によっては、助教授以下がいっぱいいるが、教員会議は審議の場ではなく伝達の場となっており、それすら半年間一回も開かれていないところもある。その部局では教授懇談会もあるそうだが、真面目にやってくれない。部局教授会におろして部局の意見を聞いてというのは法人化前ならば、全教員にゆきわたるのが原則だったと思うが、最近はそうではない。しかも、給与に直結する問題だ。組合を通してしか知ることもできない教員も結構いる。昔と制度が変わっているということを考えに入れてほしい。
□組合 検討してほしい。
東北大ホームページの学内限定ページの閲覧について
□組合 時間の関係もあり、これで最後にするが、東北大のホームページの学内限定ページについて、「学外への公表はできない」と言われている。東北大学職員組合が学外ということか。
■徳重理事 検討してもらったが、組合ということで、組合という人格、もしくは主体が大学とは別だと考えなければいけない。ホームページに情報を掲載する際には、学内という前提で各部局からもらってつくっている。そうは言っても、良好な労使関係を維持するために必要ならば、なるべく提供する。ぜひ理解してほしい。
□組合 本当にそれでいいのか。良好な労使関係というのはそういうことではないだろう。むしろ大学の情報をできるだけ組合に示すべきだし、もちろん組合のホームページで我々の情報を見ることができる。組合と学外とを同列に論じること自体に問題がある。私が組合に全部教えることも可能なので、分けることは実質意味がない。そこで分けるということは組合を敵視しているのと同じだ。
□組合 組合に知らせることは公表とは違う。組合は外に出すわけではない。事務LANの閲覧を求めているのでもない。学内LANと事務LANの他にもLANがあるのか。学生が入る研究室でも学内LANがつながっている。学生も就業規則を見られるのではないか。学生は見られるのに組合が見られないのは矛盾しているのではないか。
■徳重理事 組合を信用するかどうかではない。情報の管理について色々言われる中で、システムの維持として大学と組合を区別しなければいけない。提供サービスは検討していきたい。
□組合 では、それに代わるサービスとしてはどのようなものがあるのか。徳重理事の承認を受けて、いつでも書記局に情報を提供してもらうようにするのか。
□組合 職員録がでていない。大学の中にどういった部署があって、どのような連絡方法があるのかわからない。それを検索できないのであれば、それに代わるものをほしいということを話した。しかし、それは難しいという話を受けた。では、それに代わってどのような方法で提供してくれるのか。
□組合 事務LANと学内LANがある中で、学内LANは組合でも見られるようにしてほしい。情報を外にもらすようなことをしているわけではない。
■徳重理事 労使関係だけではなく、システム全体の観点からも検討したい。リストの問題についても今すぐに直すことは難しいことについて、理解してほしい。
□組合 この点について理解できないので、検討してほしい。
■徳重理事 一般的にはどうしているのか。
□組合 民間企業に聞いてみればよい。
■徳重理事 民間でも法人と組合は別人格だろう。
□組合 法人格が違うのは当たり前だ。
■徳重理事 別法人だとすると、むしろ公表するのはどうかな、という意見もある。
□組合 問題は、大学と組合との関係をどう考えるか、ということだ。職員録がないため、新しく入ってきた人がどこにいるのかもわからない。工夫しないといけないのではないか。
■徳重理事 またさらに検討できないか考えてみたい。