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団体交渉報告

2007年10月22日(月)14:00 - 15:08
本部別館2f 第3会議室


■法人側 これから団体交渉をはじめる。組合から発言する。

※この間の交渉慣行の確認と出席者の自己紹介(略)。

□組合 それでは本題に入る。1時間の予定であり、私も短い交渉が良いと考えるので、できるだけ時間は遵守したい。今回の申入れは13項目あり、その内容は総花的だ。折原理事が着任したばかりであり、引き継ぎやレクチャーで一定の理解はされていることと思うが、法人側職員の説明と組合側の説明とでは違いもあるだろう。今日は、組合の立場からの説明をしたい。1回目の交渉なので、私たちの考えを忌憚なく話し、理事の理解を得たい。今後の交渉の中心は1項目‾3項目と考えている。つまり、期末・勤勉手当支給日の12月10日を期限として協議しなければならない事項だ。これについては、今後さらに時間をとって詳細な議論をしていきたい。まず総枠の説明を私からして、必要に応じて関係の組合員から補足することとしたい。その上で、大学として対応が可能な部分があれば、その点について指摘や意見を頂きたい。


各要求項目の趣旨説明

1.2007年度一時金について、現行支給月数4.45ヶ月を0.05ヶ月引上げて4.5ヶ月とし、2007年12月の期末・勤勉手当支給日に、引上げた0.05ヶ月分を加算して支給すること。

□組合 いわゆるボーナスの問題だ。今年度の人事院勧告を一応の目安にしている。すでに兵頭教授等から指摘があったと思うが、大学の賃金交渉をどうするかについては、明確な基準やルールはない。民間のように、前年末に、一般的には春闘という形で、次年度の賃金を決めるという方式は本学では採れない。運営費交付金の支給がどうなるか、人事院勧告を横にらみで進めなければいけないこと、地域経済の関係など様々な要因がある。そのため、民間的な要求はできない。だから人事院勧告が出た後に、いろいろな要素を加味しながら交渉する。しかし今の段階で交渉すると、その結果は、本来ならば次年度から適用されるのが素直だが、それでは公務員のように人事院勧告を4月にさかのぼって適用するということができなくなる。我々としては、人事院勧告があった段階で、あらためて補正予算的なものを組んでもらい、当該年度中に人事院勧告に見合ったような反映をすべきではないかと考えている。その意味では、今年はボーナスについては0.05カ月という引上げ勧告だ。ぜひ今年度に実施してほしい。つまり、公務員について人事院勧告が遡って適用され支給されるのと同じ措置をとってほしい。

期末・勤勉手当を0.05カ月分引上げることについては、仙台市の人事委員会も、宮城県の人事委員会も勧告している。このまま行けば、国家公務員も、仙台を中心とする地方公務員も、ボーナスについては0.05カ月分の引上げということになる。今後の状況を見ながら、大学職員についても0.05カ月分の引上げをすべきだ。人事院勧告で引下げがあった時には、人事院勧告で引下げだからということで我々も応じてきたが、引上げの時には人事院勧告を踏まえないというのでは困る。もっとも、人事院勧告を政府が認めるかどうかは予断を許さない状況なので、国や地方自治体の成り行きを横目で見ながら、ということになるだろうが、人事院勧告にある程度ならうようなボーナス引上げを要求する。要求内容としては複雑ではない。

2.時間雇用職員に対して、2007年12月の期末・勤勉手当支給日に、一時金として当該職員の時給の30時間分を支給すること。

□組合 大学職員には多様な雇用形態がある。一番重要なのは正職員と、准職員および時間雇用職員と呼ばれる非正職員との大きな格差だ。一時の小泉内閣のような、格差こそ社会の活力のもとだという動きは収まり、格差是正と底上げこそ活力を生むと言われてきている。ネットカフェの問題や、パート、派遣など非正職員の手当の重要性については認識を同じくしていると思う。大学における大きな問題の1つとして、時間雇用職員の待遇の問題がある。派遣職員の抱える問題もあるだろうが、さしあたり我々が組合員として組織できる時間雇用職員の待遇が問題だ。私たちとしては、将来的には正職員と非正職員との格差をなくすことを最後の目標としたいが、当面、時間雇用職員について、今度の12月10日の期末・勤勉手当支給日に一時金を支給するよう要求する。これは長い間の要求事項であり昨年度も要求したが、いろんな事情があり実現していない。私たちとしては、これまでは年1ヶ月分という要求だったが、今回は、時間雇用職員の理解を得て非常に内輪な数値を掲げた。当該職員の時給の30時間分の支給ができないかということだ。週30時間勤務の時間雇用職員なら1週間分だ。これをぜひお願いしたい。正職員と准職員にはボーナスがあり、12月10日には、その人たちは、額はともかくとしてほくほく顔になるが、それを横目で見ながら時間雇用職員には支給されない。この点での労働意欲の減退を少しでも緩和したい。そのためにぜひ実現したい。組合はこれを中心課題の大きな1つにしたい。時間雇用職員から発言する。

□組合 就職して長い間経つ。私自身、25年以上時間雇用職員として東北大に勤めている。その間、ボーナスは一度もない。今年なぜ執行委員になったかというと、パート職員として声を上げないと、認知してもらえないのではないかと思ったからだ。週30時間でも良いから、なんとかゼロから脱して、ボーナスを出してほしい。このことを大学当局の方に聞いていただきたいのでこの場に出席した。ぜひよろしくお願いする。

□組合 ボーナスの引上げについても、大学職員には法人化で公務員としての資格がなくなったというマイナス面もあり、また百周年まつり等で職員は大変な苦労している。本来なら0.1ヶ月くらいの引上げを要求したいところだが、それをあえて0.05ヶ月という要求をしている。時間雇用職員には週20時間勤務の人などもいる。そういう人について時給20時間にできないかといった逆提案があれば、話合いの余地はある。

3.2007年度人事院勧告を参考として、若手教職員を中心とした給与表改善を図ること。

□組合 これは今回の人事院勧告と同様に給与表の改善を行なうべきだということだ。扶養手当の改善も含めて、今回の人事院勧告を踏まえた給与表の改善が必要だ。今後、人事院がなくなるかもしれないとも言われており、大学職員の賃金交渉をどうするべきか、組合にとっても法人側にとっても一つの課題だ。それも含めた話合いを今後続けていきたい。

4.新教員制度における助教の処遇について、教育職本給表(一)の1級と2級の間に助教に適用する級を新設するなどして、その改善を図ること。

□組合 いわゆる助教問題と私たちは呼んでいる。学校教育法が改正され、教授、准教授、講師、助教、助手という職名になった。その中で、助教という職種については、単なる助手ではなく独立した教員という立場になり、それもあって助教には教育義務が発生している。何らかの形で授業を持たなければならない。その点で、助手とは異なる義務が発生し、その負担が増えている。この負担を反映した形の給与表にすべきだ。組合としても、助教に対するアンケート調査も行なっていきたいと思っているが、授業の負担について十分理解してほしい。私も教員だが、正直なところ、授業の準備は大変だ。私も、後期の授業については、火曜、水曜、木曜は授業に専念したいと思っている。交渉は月曜か金曜だけにしたいくらいだ。若い人が新しく授業をもつ場合、講義内容を新しくつくるので大変だ。年をとってからは同じノートを使い続ければ良いと思われるかもしれないが、そう簡単にはいかない。給与表自体を改善する、あるいは大学院手当等の手当で改善することが必要だ。このことについては、あらためて話したい。

5.1980年7月以前採用の准職員は、当然に正職員に転換すること。当面、今年度実施の正職員登用試験制度を、勤務実績を強く考慮した制度に改めること。

□組合 1980年以前採用の准職員については、先日理事が組合に挨拶に見えた際に「いずい」問題と表現したが、すでに30年近くの間、正職員と同じようにフルタイムで働いている人たちが准職員として存在する。事務補佐員とか技術補佐員と呼ばれているが、実際には補佐ではなく、明確に一部門を任せられている。場合によっては、新採用の正職員の指導をしている人もいる。しかし准職員には様々な待遇の不備がある。たとえば日給制であり、月給になっていない。その長年の労苦に報いて正職員にすべきだ。すでに退職年齢も近くなっている。今年度実施の登用制度について言えば、登用制度ができたことは良いことだとは思うが、そのやり方がちょっと人間的ではないと思う。20数年前に採用された人に対して、正職員になるのならこの試験に合格しなさいと、一般職の公務員試験と同じような試験が出された。文系の私に対して数学の問題を解けというようなものだ。これは辛い。我々としては、そうではなく、もし試験が必要ならば、長年つちかってきた職員としての力量をみるような試験制度にすべきだという意見だ。ぜひ早急に改善するよう強く要求したい。この問題について、准職員から補足的に発言する。

□組合 登用試験のことは聞いたと思う。今日はそういう場ではないと聞いているが、差支えない範囲で、長期勤続者が何人合格したか、そしてそれについてどう考えているか聞きたい。登用試験を受けて下さいと言われて受験したが、私たちは深く傷ついた。30年、40年働き、55歳も過ぎてこのような試験を受けさせられて、本当にみんな深く傷ついている。恥ずかしくてこういう場所には顔を出せないと言っている。そのくらい深く傷ついた。皆さんも、55歳を過ぎた方は皆同じ試験を受けて、落ちたら次の日から日給月給の非正職員に落ちてみてほしい。30年も40年も働いてきてなぜこういう仕打ちを受けるのかというのが実感だった。30年40年働いていれば、記憶は悪くても判断力はつく。こういう結果になるのがわかっていて、あのような試験を行なったのはなぜなのか。それが一番の疑問だ。こういう結果になることがわからなかったのなら判断の著しい誤りだ。わかっていたのなら嫌がらせではないか。30年40年働いた人には、人生の機微を問うような試験でも良かったのではないか。何度もお願いしたのに一顧だにされず傷ついた。毎年のことだが9月の給与は低い。再雇用の人が月給制だと聞いてびっくりした。40年働いても日給なのに。でも考えてみると、月給の方が当たり前で日給の方がおかしい。折原理事に深く期待している。よろしくお願いする。

□組合 この切実な声を頭の片隅にとどめてほしい。9月27日の朝日新聞に、仙台銀行がパート職員等の待遇を改善するという記事が載った。結婚、出産、育児、介護等で過去10年以内に退職した社員について、随時、フルタイムで再雇用するというものだ。フルタイムの人の場合、勤務時間が正社員と同じで月給制にするという。非正職員の待遇を改善し、スキルを活かしていくということが、おそらく大学にとっても重要になってくるだろう。少なくとも、働く意欲を減退させるような、もしくは、私はこれが一番重要だと思うが、プライドを傷つけることは働く意欲をなくすと思うので、この点は重々注意してほしい。

6.法人化以前より長期にわたって勤続している時間雇用職員について、勤務実績を強く考慮した正職員登用制度を設けること。

□組合 前の項目と関連する。准職員と時間雇用職員の差はあるが、これを一本化するような形でも良い。時間雇用職員である人を正職員に採用するような場合、勤務実績を考慮するようなものにしてほしい。

7.大学病院における「7:1看護」体制採用後の看護師等の勤務実態を調査し、超過勤務の縮減と年次有給休暇完全消化が可能となるよう、看護師等の増員を図ること。

□組合 東北大学病院では今年度7:1看護が実現した。それによって患者の看護については良くなったと言われるかもしれないが、実態としては、看護師の勤務はむしろ厳しくなっているようだ。とくに、今年大量に新看護師が採用されて、その人たちを一人前に指導するのが大変だという。一人前になるには2年から3年の経験が必要だが、そのための指導が非常に大変で、そのために既存の看護師の勤務が厳しくなっている。超過勤務が増え、また、年次有給休暇が消化できないなどだ。場合によっては、年休をとろうとすると、あなたのところは暇だと言われるような状況だ。さらに病院には三交代勤務体制から二交代勤務体制への移行の問題もあり、試行が行なわれている科もいくつかあるという。二交代というのは12時間と12時間で分けるのかと思ったら、そうではなく、日勤は8時間、もう一方の方は16時間ということのようだ。2交代で夜の方の仕事は、子どものいる人には到底できない。ある程度年齢が高くなった看護師にとっても疲れてしまう。医療事故等々が起こる恐れがある。それを心配してやめていく看護師もでてくるかもしれない。それが大学病院当局の狙いかと勘ぐる動きもある。いずれにせよ、大学病院については大変な労働状況だ。効率化係数2%もある。大学病院における労働条件の改善は、非常に喫緊の課題だ。看護師等の増員がまずは必要だ。看護師から補足的に説明する。

□組合 病院は大学における現業部門で独立採算制であり、あまり大学に相応しくないという面もあると思うが、大学病院は医療等を通して医師を育て、患者を治し、社会貢献や次世代育成に貢献している。なぜか大学病院は複雑でわかりにくい。生まれてから死ぬまでを扱うし、まして独立採算だ。経費を帰せ、人を帰せということで、病院はスタッフまで号令がかけられている。在院日数を短くせよ、社会的入院をなくせということで、入院したとたんに退院支援をしている。在院日数が2年か3年で、病院全体で30日から20数日に減っている。自分のところは婦人科だが10日だ。大学病院特有の疾患も多いが、がんとか、帰れないような人も帰している状況だ。幸い、7:1看護になり診療報酬上の優遇があって、1日患者1人当たりの入院費が従来13,000円くらいだったところ15,500円になった。年間8億円の利益、看護師経費を引くと1億円くらいが純益ということだ。おかげさまで看護師が増やしていただいた。手の届く、ゆきとどいた看護をしたいという私たちの長年の願いがかなったので、現場では頑張っている。新人の看護師の育成と早期離職防止を毎日考えて働いている。中年期以後の人は若い人たちを教えながら、サポートしながら、なるべく素敵な仕事を伝えたいと頑張っている。しかし早期退職は、私立大もぼろぼろだが、東北大もなんとか押しとどめている現状だ。医師不足が20年来の政策的な一番の問題であり、また、事務業務の多さ、医師の新人育成などの弊害が大きく、それをカバーするために看護師が頑張っている。今まではICUとかお産のところに4人に1人、5人に1人、常時2:1といった配置をしたことはあったが、7:1看護は一般病棟に常時患者7人に看護師1人を配置するという非常によい政策だ。今後も7:1看護を続けられるだけの人員を保障してほしい。市中病院や地域の訪問看護ステーション等も大学病院が7:1看護をとったので、全部大学病院にとられてしまって良くないというが、それは、政策上7:1看護をするだけのケアを市町村等に対してしなかったことが問題だ。二交代制については、8:00‾16:45、16:00から翌日の8:30ということで、経営的にははっきりとメリットがない。16階病棟と14階病棟で試行している。外科の病棟では試行されていない。試行している科には小さい子どものいる人はいない。高齢者を抱えている人や小さい子どものいる人はそんなところでは働けないとはっきり言っている。伝え聞くところでは、本部が病院をいじめているようだ。いじめないでほしい。長時間労働という点では、3年前に救急部で二交代制をしていて一人の患者が死亡していることもある。設備的な問題もあるが、緊張をともなう長時間労働は危険がある。今さらやる必要はない。長時間労働はやめてほしい。

□組合 病院には様々な問題がある。折原理事は施設の問題でも、病院については頭が痛いだろうと思う。病院については、今後、折に触れて改善の要求をしていかなければならない。差し当たり、今の話を念頭においていただきたい。

8.東北大学全体の教職員の超過勤務の実態を把握し、不払い労働が生じないよう措置すること。

□組合 この問題については、給与未払い問題についての最近の折原理事ご自身のコメントがあるので、これ以上言う必要はないだろう。理事着任前の問題でこうしたコメントを出すのもつらいだろう。本来ならば、超勤の実態については、組合が労基署に言わなければいけない義務があると私は思う。現実には組合が労基署に言ったのではなく、他のルートから労基署が知ったのだろう。こうした自体は、組合にとっては、何をやっていたのかと言われても仕方がない。我々は、当面、法人側とぎくしゃくした関係をつくりたくない。以前から言っていたように、かなり超勤をしていることは薄々感じていながらも、労基署に言うという行動はとらなかった。この点については、折原理事のコメントにあるように、時間外労働の縮減、時間管理の適正化などについて周知して取り組みを強めてほしい。おそらく一定のとりくみの具体化や、あるいは案があると思うので、早めに紹介してほしい。

9.高齢者雇用安定法施行に伴う教員の定年制変更等についての方針を早急に呈示すること。

□組合 東北大の教員の定年は63歳だが、65歳までは一定の働く場所を提供しなければいけないという法の趣旨に則った形で、教員はどうするか。事務職員、技術職員については再雇用制度ができている。教員の中でこの問題は話題になっている。東京大学ではすでに60歳から65歳へかなり大幅な定年延長がされている。東北大ではまだそれがよくわからない。早めに提示した方が良い。最近教授会で配られた教養教育プロジェクトチーム報告書の資料の中に、検討中の通常教員の再雇用制度という表現がでているので、それを考えていることはわかるが、教員にとっては講座や学問の継承という問題があり、教室の運営からしても、再雇用というものがどういう形態になるのかイメージできない。それよりも63歳でやめて新しい職場を探した方が良いという思いもある。私自身は必ずしも再雇用に応募したいとは思わない。できることなら早期退職制度の方がほしい。それも含めて、教員の中には、定年延長が認められないのなら次の職場を探したいとの希望もあるので、早めに提示してほしい。いずれ教授会等で問題になると思うので、組合としてもその際に考えたい。

10.長期勤続者のリフレッシュ、教職員の修学や国際貢献活動のための休暇制度改善を図ること。

□組合 教職員ができるだけリフレッシュできるような休暇制度のあり方を考えてほしい。あるいはボランティアの休暇制度を考えたい。これまでは、硬直的というか、あまり特別な休暇というものを考えず、有給休暇を使えということだった。これらについても、これから働き甲斐ある職場をつくるためにどうしたら良いか考えていきたい。

11.年次有給休暇を使わない形での夏季一斉休業を実施すること。

□組合 これも同様だ。夏季一斉休暇という形で一斉に休む部局もある。これには良いところがある。大きな理科系の研究所等でこれをすると、3日間なり4日間なり電気を使わなくなり少しは倹約になる。ただ、夏季一斉休暇については、特別休暇3日間の他に年休を利用しての3日間という取扱いになっている。年休というものは、本来、労働者自身が自由に使うというものなので、それを一斉に強制的に使うということにどうしても不満がでてくる。准職員や時間雇用職員にとっては、貴重な年休を強制的に使わせられることが問題だ。3日間の夏季有給休暇は実現したが、年末年始の休暇と同じように、新たに夏季の休暇を東北大独自に設定することも考えられるのではないか。検討してほしい。

12.教員の任期制導入を安易に行わないよう全学に周知すること。

□組合 いわゆる博士浪人問題、ポスドク問題など、非常に高い教育を受けた人たちが働けないでフリーターになっている。結局、安定したポストがない。競争させた方がより良い仕事ができるという考えで、3年や5年の任期を付けた形で雇うことが流行っている。それで良くなったかというと、むしろ社会的には問題が大きくなっている。ご存知の通りだ。安定した長期的視野に立ったスケールの大きな研究をいかに保障するか。その視点が少なくとも東北大学の一部の部局では欠けてきていると思う。任期制は教員任期法を厳格に適用すれば簡単は導入してはいけないのに、安易に導入されているように思う。

13.初任者研修の場において、職員組合が説明をするための時間を設けること。

□組合 これは、大学病院ではすでに行なわれている。看護師への説明会の際に組合加入を勧める時には時間をとってもらっている。事務職員の方々の説明会の時にも組合の話をさせてほしい。最近は川渡に行って研修するようで、その時間もとれないようだが、必要なら私たちが川渡に行って説明する。ぜひ考えてほしい。


質疑

□組合 以上全体的に説明した。組合側で補足的に発言する人がいれば、その上で、理事から見解を伺いたい。とくに補足がないようなので、私からの大枠の説明は終わる。可能な範囲で折原理事から、コメントや一定の方向性の話があれば伺いたい。

■法人側 発言したそれぞれの人にお礼を言う。いろんな状況がわかった。今日は各項目について考え方を組合に伺う場だと聞いている。あらためてそれぞれについて回答する。今この時点で、これについてはこういう方向だというものを持ち合わせてはいない。聞いた範囲で認識が違うといったことがあれば、法人側の出席者から発言させてほしい。

■法人側 先程の病院の話の中で、本部が事務をいじめているという話があった。たぶんそんなことがないと私は思うが、具体的事例を話していただけないか。

□組合 経費率については全部同じか。定員削減について、看護師も含めて削減するということはいじめだと思う。独立採算制を強要していることもいじめだと思う。儲かるかどうかは見ればわかるが、医学的な可能性があれば大学に引き取っている。生活保護や浮浪者なども含めて救急車は運んでくる。救命してもどこも引き受けない。その日の飛び込みでの分娩もある。難問奇問を抱えて払わずに帰る人もいる。大動脈、心臓関係は絶対に儲からない。やればやるほど赤字になる。そういう病院で、赤字じゃなくて黒字を出しなさいということは医学や医療の可能性を打ち消すものだ。これはおかしな発想だろうか。

■法人側 本部の事務職員が具体的に何かしているという部分ではない。

□組合 政策そのものではないかと思う。ぜひ温かい目で、定員を返せと言わないでほしい。

□組合 10月11日付の朝日によると、国立大付属病院4割が実質赤字、という記事が有る。東北大学病院には12億7000万円の赤字がある。建物とかだろう。赤字の病院は他の学部等からやり繰りされているということで、病院のために法学部が泣いている。それはともかく、儲けを出せないのに儲けを出せと言われることがつらい。知っている人の例だが、実際に手術が行なわれる相当前から、入院してほしい、病室から勤務してもいいから、入院だけはしてほしいと、露骨に入院費を稼ぎたいということが言われたということだ。医は算術という対応はやめた方が良いし、そのあおりで看護師が大変だというのは問題だ。

■法人側 教員の任期制、ポスドク問題の件についてだが、具体的には任期法の趣旨に則った任期制でないものがあるという指摘か。

□組合 理屈はつけられるものだが、任期制というものはごくごく限られた先進的なもの等にしか付けられない。ところが実際には、部局全体に任期を付けるというようなことが行なわれている。そうしないとどこかの覚えが悪いとか、なかなか予算がつかないとか、それではだめだ。派遣と同じだ。派遣というものはごくごく限られた職種だけだったのに、広がってきた。任期を付けなくてもよいものに任期が付いているのが非常に多いのではないか。

■法人側 拡大解釈し過ぎということか。わかった。

■法人側 まだわからないことだらけだ。お金がないのがいちばんの原因で一番つらい。助教と助手で差を設けることについてだが、今年4月1日から制度が変わって、それぞれ振り分けた。その時に、職務内容は違うが給与は同じという認識のもとで、国大協での給与表モデル等をもとにして、同じところに位置づけたと理解している。今日の話だと助教の方が大変な仕事だということで、3段階の新たな級あるいは別の手当で改善すべきだという話だが、私はどちらが上ということではなく、職務の重要性については同じだということで措置したと考えた。助教の方が大変だというふうに考えた方が良いということか。

□組合 そうだ。昔はたとえば大学院のドクターを出た人を1年任期で講師ポストを利用して授業を持たせていた。助手は持たせられない。昔だったら講師にしても良いような人たちが助教になった。その意味では、1級と2級の間に級を設けるよりも2級にしても良いが、そうすると講師とのバランスの問題がある。国大協の認識は相当誤っていると思う。仕事はいずれも尊敬すべきものだが、負担の問題からすると、授業負担は十分にカウントされるべきだ。

■法人側 正規登用試験のことだが、4月採用予定者との懇談会が、私が着任して1週間以内にあった。エールも送り、ちゃんと来るようにいった。いろんなことに関心をもつように勉強するようにも話した。そのとき、その試験は良い試験だと思った。それまではそんな道筋はなかったのだから。その際に、別枠の試験なのか、最初は同じ試験でその後にいろいろ加味した選考をするのかということで、今回は入口としては同じものを受け、その後の選考でいろんなことを考えようということだったのだろう。私も担当者ならおそらくそうしただろうと思う。最初から別枠の試験で、まるきり別なものとして、正職員として採用するということにしても、なんとなく違うという感じは残るだろう。この試験でこれまで経験したことや勉強したことが生きないということが、プライドを傷つけられることだろうかと正直思った。個人的な感想だ。

□組合 それは間違いだ。私も同じ試験を受けた。私も55歳を過ぎている。はっきりいってこの試験は私たちを馬鹿にしているのかと、受けた人はみんな思った。落とすためにやっているのではないかと。たしかに最初の採用予定人数は若干名だということだったので、若干名が1‾2名かと思えば、合格した人が事務6、図書1なので多少上積みがあったようだが、この試験を受けたことで私もすごく傷ついた。私たちが何十年も仕事をしてきたことに対して、これは何だろうと。試験問題も難しかった。国家公務員の問題集を解いていたができなかった。これで今の仕事やこれからの仕事とどうつながるのか。受けた私たちにとっては非常に屈辱的だと思った。

□組合 合格した人の中で55歳とか56歳の人はいたか。30年、40年働いた人たちは合格したか。私はそういう広報が一切もらえないのでわからない。みなさんどう思ったのか。あら馬鹿だから落ちたのねと、それで30年40年働いたことが。30年40年働いた人に道を開いていただく制度だと最初は思った。実際には30歳から35、36歳くらいまでの優秀な人で、普通の採用試験を受けても合格するような人しか受からないような試験だったのではないか。私たちに道を開くものでは一切なかったということではないか。あなたがわからなかっただけだと言われればそれまでだし、恥ずかしい点数をとったのでこの場に来られないと思った人が多い。最初からあんな試験は受けないという人もいる。受けないのは個人の自由でもあるが。あれで何を見ようとしたのか。

■法人側 准職員だけが対象ではなく、准職員、時間雇用職員で1年以上勤務している人を対象とした試験なので。

□組合 私たちは、分けてほしいとお願いしたのだが、そういう制度になった。

■法人側 長期勤続の人だけを対象にしたものではないので、その点で細かい配慮をしてこなかった。

□組合 分けてくれとお願いしたが、時間切れだからそれでやらせてくれ、ということだった。みなさん、まずは受けてくださいという話だった。

■法人側 受けられる道が一つできたということだ。結果としては高年齢の方にも一次試験の合格者がいた。参考のために報告した。

□組合 差支えなければ教えてほしい。その方は何歳くらいの方か。

■法人側 あまり具体的には言えない。高齢の方で一次合格した方がいた。

□組合 問題点はわかってもらえただろう。要するに長年東北大学に寄与してきた准職員、時間雇用職員については、別枠で正職員への道を開けという要求だ。他のいくつかの大学でもやっている。そういう方々に対して、公務員試験と同じような試験をして点数を取れというのは酷だ。これは人間味の問題かと思う。これについては、これからやっていきたい。非正職員の正職員化への道を開いたこと自体は良いことだ。これは間違いなく良いことだが、それでは救えない部分をどうするのか。救った方が大学にとって有効だと私は思う。この人たちは一生懸命働くに違いない。

□組合 それでは、1時間ということだったが、8分程経過した。私たちの説明は以上だ。明日あたり役員会があると聞いている。何らかの形で、大学側の一定の方針等が伝えられる状況になったら、あらためて継続して交渉の場を持ちたい。その日時については、私たちとしては12月10日のボーナス支給日を一つの大きな限度と考えているので、それに踏まえた上で、次回の日時については、理事からあらためて組合に申し入れてほしい。

■法人側 連絡できるような条件ができたら連絡する。火曜、水曜、木曜を避けて。


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