2008年6月24日(火)14:00 - 14:48
本部別館2f第3会議室
■佐々木補佐 これから団体交渉を始める。
□組合 今回は法人側回答をもらうだけなので理事から発言してほしい。
■折原理事 前回1/11交渉からかなり時間が経ったことは申し訳ない。法人側としても将来に禍根を残したくないと考え種々検討してきたが、現時点での結論としては、組合の要望に応えるところまではいたらない。事務的にも検討しているが、私自身もまだ材料がそろっていないと思う。日程を合意した5/27の正式交渉ができなかったのはそのためだが、今回も正式な交渉ではなく状況報告の会にしたいくらいだ。検討状況を課長から説明する。
■寺中課長 経過を含めて説明する。
この間アンケート調査をした。時間雇用職員の人件費は各部局の予算から出ている。また、教員の研究費や教員個人から出ている場合もある。最初のアンケートでは部局長の意向を聞いた。その結果、ほとんどの部局長が支給した方が良いと回答したが、財源問題等から支給できないという部局があり、一律に支給できる状況ではないことがわかった。それで、具体的な人数や支給できる場合、支給できない場合の状況について事務的に照会した。
時間雇用職員は1373人おり、そのうち1000人強は支給できるが、300人強は支給できない。その理由は、ほぼ財源がないことだった。他に、外部資金や受託研究による研究費の性格上、ボーナスなどの手当は出せないといった問題や、扶養に入っているといった個人的事情もあった。それをふまえて検討した内容を説明する。
人件費増をともなう制度改正には合理的な理由が必要なので、人件費増にならないような支給方法、つまり、正職員の人件費を回す場合について計算をした。
一つは、勤勉手当の成績率を引き下げて全学一律に時間雇用職員にまわすという計算だ。時間雇用職員のうち869人が運営費交付金による雇用だ。この869人を週30時間平均で計算すると、ボーナス1回分が3000万円、年2回で6000万円になる。これは現行の標準者の成績率72/100の3ポイント分に相当し、成績率は72/100→69/100に減る。しかし、標準の成績率を引き下げることは不利益変更になるのでかなり問題があり厳しい。
次に、成績優秀者の人数を減らすことを考えた。これは不利益変更にはならない。優秀者分から6000万円を減らすとすると、経費が4割程度になる。優秀者が1000人ならば600人に減らすことになる。しかし、これでは大学のモチベーションが下がることになる。
制度改正には合理的な理由が必要なので、時間雇用職員の位置づけを見直そうという検討もしている。従来の給与決定方法を単純化して、それぞれの職務内容から時間給を決め、一時金も決めるという方法があるのではないかと検討している。
したがって、現時点では結論は言えない。
□組合 きわめて遺憾だ。この一言に尽きる。徳重理事の段階でも世の中の趨勢から時間雇用職員にボーナスを支給した方が良いという回答だった。それから1年以上経っている。組合は相当早くから要求しており、昨年12月ボーナスとしての支給要求は実現できなかったが、この6月をめざしてきた。29部局中25部局の長が賛成し、3部局が反対、1部局が保留ということだから絶対的多数の賛成があったということだ。わずかな反対や保留で先送りするのは法人化のあるべき姿ではない。大学のトップがしっかり決意すればできたはずのことだ。具体的にいかなる反対があったかというと財源の問題だという。しかし、もともと財源を増やさないでやることが問題だ。財源をどこから回すかということこそ経営側が考えるべきことだ。どの部局が反対しているのか。部局長の言うことは聞かなくていいということか。部局長の考えは甘い考えだということか。部局長はそんな判断ができない存在であって、無視しても良いということか。
■折原理事 東北大の部局長で無能な人はいない。重い責任を遂行していると思う。時間雇用職員へのボーナス支給は徳重理事の時から大きな項目だった。私自身、徳重理事から聞いた。12/7交渉で協議した際にも問題意識として共有できると感じた。問題の一つは、正職員と准職員にはボーナス制度があるが、時間雇用職員についてはないから制度が必要だということだ。また、時間雇用職員はどの部局でも雇用されているので大学共通事項として本部で検討できる。他方、時間雇用職員の人件費は部局予算から出ているので、部局長の理解を得ながら全学共通の制度をつくる必要がある。以前も部局長に聞いたことがあるが、現在の部局長がどう考えているかも確認した。その結果、ほとんどの部局長は時間雇用職員にボーナスを出して良いということだった。制度としてつくるとなると片付けなければならない問題があった。扶養に入っているといった個人的事情は、制度があっても配慮すれば良い。外部資金、補助金等の性格から無理だということならばやむを得ないと整理できる。したがって、今回の検討では、人件費が運営費交付金から出ている人を対象としたらよいと考えた。この人たちは、勤務時間など働き方が多様だが、ほとんど正職員と遜色なく働いている。意識的にも、モチベーションの上からもボーナスを出してほしいということはわかる。
しかし運営費交付金は1%ずつ減っている。教育費や研究費は削れない。教員の給与と事務職員、技術職員の給与を比べると教員の方が減らせない。技術職員と事務職員を比べても技術職員の方が減らせない。だから経費削減のしわ寄せは事務職員のところでかぶっているのが実態だ。時間雇用職員へのボーナスを制度としてしっかりとつくり、全学一律で支給しなければいけないとすると、3部局については人件費そのものが赤字であり、それを解消しないと時間雇用職員のボーナスまで回らない。全学としてプロジェクトをつくってそれをどうするかを議論しなければいけない。
他から財源をもってくるといっても、それぞれ使途が決まっておりなかなか回せない。私自身、正直なところ、正職員も含めて全体の仕事の役割、見通し、人数等を考えないともたないだろうと認識している。
□組合 組合は、違法行為をして支給せよといっているのではなく、法にのっとった支給を念頭においている。しかし、法人側としては、どうしても財源がなくて支給できない部局があるから、それらの部局で財源問題が解決しない限り、全学で時間雇用職員にボーナスを支給することはできないということか。
■折原理事 准職員のボーナス相当給与も、部局の予算の範囲で支給できるという制度だ。時間雇用職員についても支給できるという制度ならばつくれるだろう。3部局は出したくても出せない。本体の人件費そのものが深刻だからだ。今年度これを検討しないと部局の見通しが出ない。
□組合 この3部局が良いと言わなければ一歩も進まない、いわば拒否権をもっているということだ。3部局とはどこか。個別に支部として交渉する。
■折原理事 予算がないのだから、交渉にならない。
□組合 この3部局については研究費を減らすということもありうるのだから交渉になる。
■折原理事 人件費が赤字だという実態を正直に話した。
□組合 実態はわかる。
■折原理事 ボールは部局長ではなく本部にある。
□組合 本部のどこにあるのか。ボールが本部にあるとはどういうことか。
■折原理事 実態として赤字でありとても出せる状況にはないという回答だ。
□組合 本部が特別にその部局に対して、時間雇用職員にボーナスを支給するための予算を支給すれば解決するということか。
■折原理事 それを当然考えなければいけないが、それよりも先に赤字の問題を解決しなければならない。
□組合 それは時間雇用職員とは関係がない。
■折原理事 関係ないが全部連動している。
□組合 連動するのはわかるが。
■折原理事 そういうスタンスには法人側として立てないということだ。
□組合 理解できない。いずれにせよ、東北大はディスティングイッシュトプロフェッサーには一人10万円や20万円のお金を出した。一人10万円として年間120万円、最終的に約25名ではなかったか。その経費はどうやって捻出したのか。
■折原理事 10万×12月×25人で約3000万円の予算を総長裁量経費から支出することになった。ディスティングイッシュトプロフェッサーは今年4月から実施した。
□組合 総長裁量経費から3部局には出せないのか。
■折原理事 それはこれから私がいかに説明できるかによる。
□組合 東北大が時間雇用職員への一時金を夏に支給すれば、非常に大きな名誉になり、折原理事は東北大の歴史に名を残しただろう。また、全国の大学に大きな影響を与えただろう。残念だ。しかし遅くない。全国の大学に先駆けて積極的に時間雇用職員にボーナスを支給することを進めてほしい。
先程、事務職員がいろんなしわ寄せを受けているという話があったが、時間雇用職員へのボーナス支給に反対しているのは事務職員か。
■折原理事 運営費交付金の削減をどこで受け止めているかといえば事務系職員だ。実態がそうだということだ。お金も減り、新しい仕事も出ている。メンタル等いろんな課題が出ている。本学全体の人件費は正職員、准職員、時間雇用職員、派遣職員を含めて全体としては増えている。准職員や時間雇用職員や派遣職員の分の経費を増やしているからだ。ディスティングイッシュトプロフェッサーは本学全体の発展のために優秀な教員の確保が必要だという総合判断から出てきた。その総合判断に時間雇用職員へのボーナス支給はあがっていない。優秀な教員の確保という観点と同様に、優秀な事務職員、准職員、時間雇用職員をいかに確保するかという観点もありうると私は思う。今はこういう形で検討しているとしか言えない。
財源の問題と言ったが、時間雇用職員のボーナス1回6000万円は大丈夫じゃないかとも思っていた。しかし、今大丈夫だからといって出していいのか、一度全体を整理して考えないと後々後悔することになるのではないか、と悩んでいる。
□組合 話にならない。
□組合 ここは経営側と労働側の正式な交渉の場だ。経営側の発言が無回答では交渉として成立していない。経営側としてのスタンスで動いてほしい。
□組合(時間雇用職員) 去年初めて交渉に参加した当時、パートのボーナスを1ヶ月分要求しており、無理ではないかと思っていたところ、新しく30時間分の要求になった。交渉するということは互いに歩み寄ってその時のベスト、ベターを求めていくということだ。せめてゼロ回答から脱出して1週間分くらいを目安にしていいのではないかと思って発言した。なんとかゼロでない金額をと思って交渉しているのに、未だにこういうことでは納得がいかない。今言っているようなことは、もっと前に大学として下準備しているべきではないか。退職時期が迫ってきている。在職中に少しでもボーナスがほしい。
□組合(時間雇用職員) 正職員は制度に守られている。それなのに中にはきちんと働かない人がいる。私たちは短い時間で仕事を終わらせているし、残業もするなと言われている。不平等感だけが生じてしまう。カースト制度があるという人もいる。私たちはスードラだということだ。ボーナスがもらえるようにしてほしい。
■折原理事 本学が発展するためには、正職員にも准職員にも時間雇用職員にも頑張ってもらいたい。その環境整備が必要だ。正職員の勤務が法人化前と同じようだとすれば、管理職がしっかりしなければならない。管理職がしっかりしていなければその上がしっかりしていなければならない。新しい人事評価制度をいれたのはその趣旨だ。准職員、時間雇用職員のこれまでの制度をこのまま維持すれば良いとは思っていない。正職員の既得権を准職員、時間雇用職員に回すような形にもあり得るかもしれない。回答にならないことは申し訳ない。
□組合 世の中の流れはいかに非正職員の待遇を良くするかということだ。それは正職員の労働条件を引き下げることを主張しているのではない。正職員と非正職員との対立をあおる形になっては働く意欲が上に向かない。東北大学でなんとか工夫してボーナス支給をして働く意欲を高めようとしてくれると思っていた。非常に悲しい。理事はどこから財源をもってくるかを考えるのが仕事だ。かたや、TAINSの改修のために各部局に7億円の拠出を求めているが、経営側は時間雇用職員のボーナスについてはこうした努力をしていない。どこに財源があるかという知恵は、労働者側に求めてはいけない。
■折原理事 誤解を招いたかもしれないが、正職員、准職員、時間雇用職員をセットで考えなければならないという考えは、待遇引下げを前提として考えるということではない。
□組合 今後はいつまでに検討して、いつ支給するつもりか。
■折原理事 なかなか難しい。しかし、ここまで検討した経緯もある。部局のあり方についての検討でもある。いろんな課題があるが、そのなかで精一杯頑張りたい。
□組合 徳重理事よりも後退した回答だ。
■折原理事 前向きにやりたい。問題は材料だけだ。得心がいかない部分がある。財源に限った話ではなく、准職員、時間雇用職員の実態についても、本学の事務職員、技術職員のあり方についても意見が聞きたい。
□組合 教員の定年延長や助教の待遇改善についても話し合いたいと思っていたが、今日はこれ以上話し合う気力がない。今期のすべての交渉はこれで打ち切る。新しい執行部のもとであらためて交渉することになる。