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団体交渉報告「平成21年6月期(ボーナス)における特例措置について」(法人側提案)についての継続交渉

※文責は組合にあります。見出しも組合にてつけました。

2009年6月4日(木)15:00 - 16:20
本部第1会議室

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■補佐 これから交渉を始める。今回の交渉事項は法人側からの申入れであり、折原理事から発言する。

■理事 6月期のボーナスについて特例措置を提案している。前回、さらに詳しい説明が必要だという清水委員長の発言があり、説明するといったので説明する。労働契約法についての説明を本日言いたい。

******<以下、理事の説明内容>******

※ 見出しは、組合がつけました。
※ 組合は、交渉までに文書で交付するよう求めましたが、断られ、交渉時にも交付されず口頭による説明でした。

「不利益の程度」「必要性」「相当性」「交渉の状況」は、総合的に考慮すればよい?

 労働契約法は昨年3/1に施行された。所管の厚生労働省の労働基準局長から「労働契約法の施行について」という通知が発出されている。10条について前回交渉で指摘された。通知によると、10条の本文には、1)労働者の受ける不利益の程度、2)労働条件の変更の必要性、3)変更後の就業規則の内容の相当性、4)労働組合等との交渉の状況、5)就業規則の変更に係る事情、とあるが、1)〜4)は、就業規則の変更が合理的なものであるか否かを判断するに当たっての考慮要素として例示したものであり、個別具体的な事案に応じて、これらの考慮要素に該当する事実を含め就業規則の変更に係る諸事情が総合的に考慮され、合理性判断が行われることとなるものである、とされている。

 前回交渉でも、今回の提案は、総合的に考慮して合理的な判断だということで話したが、それが不十分だということで、それに即してこれから説明する。

1)労働者の受ける不利益の程度

平均9.3%の減;教員▲10.7万、職員▲5.7万、再雇用▲2万

 教育職、一般職・医療職、再雇用職員にわけて説明する(口頭説明。下表は組合にて整理したもの)。平均的に9.3%の減となる。

 現行変更案
教育職1,133,0001,026,000107,000
一般職・医療職603,000546,00057,000
再雇用職員222,000202,00020,000

2)労働条件の変更の必要性
3)変更後の就業規則の内容の相当性

「業務の実績を考慮」「社会一般の情勢に適合」「国民一般の理解と納得」が基本方針

 国立大学法人には、国立大学法人法の第35条により、独立行政法人通則法の第63条が準用されている。その第3項で、給与の支給基準は、業務の実績を考慮し、かつ、社会一般の情勢に適合したものとなるように定められなければならない、と規定されている。支給水準は国民一般の理解と納得を得るべきものであることが求められている。これをうけて、本学では平成17年に「本学職員の給与の取扱いに関する基本方針」を定めた。基本的な考え方のところに、給与改定について、それらを盛り込んでいる。

5/8内閣官房長官談話で要請

 とくに、今回のことについては、前回も話したが、国において、5/8に給与関係閣僚会議の決定、その際の内閣官房長官談話を前回の資料として配付した。そこでも、「独立行政法人、特殊法人等においても、今回の措置を踏まえ、期末手当・勤勉手当等について、社会一般の情勢に適合したものとなるよう適切な措置を講ずることを要請」とされている。

旧七帝大等との均衡

 さらに、本学の運営費は国民の税金で賄われている。公の性格、使命、役割が期待されていることの裏返しで、国民の税金で賄われているところが多い。賃金をふくめ、社会への説明責任を負っている。それをふまえると、本学の立場として、同じような性格である他の大学法人との均衡も考えなければならない。たとえば、他の旧七帝大の状況なども説明してきた通りだ。

 それらをふまえて、この6月期における期末手当・勤勉手当については、社会一般の情勢に適合した適切な措置を講じるよう提案した。

本体でなく「附則」での改正

 就業規則の改正についても、前回も言ったが、こうした要請を受けた内容提案となっている。実際の就業規則の改正も、本体の改正ではなく附則での改正にしている。

「夏の勧告」+「政府等」+「他大学」→「12月に精算」

 本学でも「凍結」という言葉を使っているが、この「凍結」の取扱いは、国と同じように、夏の勧告を受けて、政府の決定等を受けて、他大学の状況を見て、本学としてどうするか、12月に精算する。

4)労働組合等との交渉の状況

 職員組合とは6/1と本日、申入れ交渉している。明日、全学労使懇談会で特例措置の内容を説明し、過半数代表者からの意見を聞く。

5)その他の就業規則の変更に係る事情

旧七帝大等の使用者側方針は同様

 北海道大学、東京大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学、九州大学は、こちらで承知している限りでは、今回の東北大での提案と同じような内容で実施する方針だと承知している。

36都道府県、仙台市等で「臨時減額」勧告

 また、内閣官房長官談話の中で、地方公共団体にも同じように要請するというくだりがある。こちらで承知している限りでは、宮城県は見送るが、36都道府県、仙台市等で、臨時減額という内容の勧告が、県等の人事委員会から出されている。

情勢にもかかわらず、本学独自の措置をとるならば、合理性がない?

 以上のことを総合的に考慮した結果、以上のような情勢にもかかわらず、本学が独自の措置をとるということではなく、今回同じような措置をとることには合理性があると判断し、6月期の今回のボーナスについては、本学では、「期末手当、勤勉手当及び期末特別手当支給細則」の本則ではなく附則の改正で、「特例の措置」「今回の6月期に限り」、ということで対応したい。

 説明は以上だ。

******<理事の説明内容、以上>******

文書でほしいと言った

□組合 我々はこれに関しては、文書でほしいと言った。口頭だとそれに対する理由の検討がなかなか正確に行えないからだ。文書で出す予定はないか。

文書で出さないと答えた

■理事 交渉では、いつもこういった形でしている。今回も事前に相談されたが、これまでと同じように説明したいと答えた。

□組合 こういう場合には文書で説明してほしい。内容が不明な点がいくつかあったので確認したい。 まず、准職員や役員報酬については、どのように適用されるということか。

准職員は0.2月「凍結」、指定職は0.15月「凍結」

■理事 准職員については、これまでも一般の職員と同じように行っているので、0.2月分凍結する。指定職の適用について、国については法律ができた。本学でも指定職適用職員については、割合を同じくすれば0.15月分となるので0.15月分凍結する。

「暫定的に凍結」とは?いつまで「凍結」するのか?「凍結」は、今後も使われるのか?

□組合 人勧でも、暫定的に凍結する、という言い方をしていると思うが、暫定的に凍結するということの具体的な意味は何か。そのことのもっとはっきりした内容と、いつまで凍結するのかについて、説明してほしい。また、この凍結という方法が、今後も労使の協議の場で使われるのか。曖昧な言葉で協議がされることを危惧する。その内容をはっきりさせて、今後恒久的にこの言葉が使われるのか、説明してほしい。

臨時の調査による暫定的な特例措置。 凍結分は、夏の給与勧告の際に合わせて措置する。精算はその後に。

■理事 本学では人事院勧告を給与改定にあたっての重要な参考資料として取り扱っている。今回も、国の人勧の取扱いが重要な参考資料であり、国が「凍結」という言葉を使っている。暫定的に凍結、ということだが、正式に、きちんとした調査に基づいた勧告をまてば、あまりに大きな官民格差が生じるのではないかと考え、臨時に調査をして、その結果を受けて、とりあえず暫定的な特例措置をしいた、その意味で、暫定的な特例措置という言葉を使ったと理解している。こういった考え方については、重要な参考資料とするが、そのような調査結果に基づくという点は変わらないので、本学でも同じように「凍結」という言葉を使う。国の方では、凍結分はきちんと実態調査の結果で、夏の給与勧告の際にあわせて措置するとしているので、東北大でもそれを踏まえて同じようにする、と考えた。本当に、暫定的でかつ特例の措置ということだと思う。精算は、夏の勧告を受けて、その後ということだ。

労働条件変更の必要性は、情勢や他大学との均衡か?

□組合(顧問弁護士) 労働契約法10条によると、今説明があったように、労働条件変更の必要性というものがある。必要性の判断については、国の情勢とか、他の国立大学法人の均衡とかを、「必要性」と考えているのか。

社会一般の情勢に適合した水準が一番の大原則

■理事 本学の給与については、社会一般の情勢に適合した水準ということが本学の基本方針であり、また法律でも大原則だ。法でも準用されているので一番の大原則だ。社会一般の情勢に適合するように定めなければならない。社会一般の情勢の中に、他の大学のことや、本学では国の給与体系に準じていることなどがある。

東北大独自で、凍結案の必要性を検討したことはないのか?

□組合(顧問弁護士) 労働契約法10条は、もともとは最高裁判例の第四銀行事件を条文化したものだ。判例によると、「同種事項に関する我が国社会における一般的状況」が一つの要件になっている。それとは独立した要件として、あえて「使用者側の変更の必要性」が「社会一般の状況」とは別個の要件として検討され、判断されてきた経緯がある。そう考えると、当大学独自で、今回の凍結という案をする必要性を検討したということはないのか。

凍結措置をとらないと、説明できない。 本学独自に他大学等に反する行動をとるのは合理的か?

■理事 本学の存在理由というべきか、そもそもの使命、役割を考えたら、今までいってきたことを十分考慮する必要がある。税金で運営していることも踏まえて、社会にもきちんと説明しなければならないということだから、それらを総合的に判断すると、このような措置をとることが合理的だと判断した。逆に言うと、こうした措置をとらないと、なかなか説明できないと思う。また逆に言うと、労働契約法で、使用者側が不合理な行動をとらないように、ということだと思うが、こういった状況で、他の大学、地方公共団体の中で、本学独自にそれに反する行動をとることが、どちらが合理的か、不合理か、という判断になるかもしれない。

他の大学の動きなど=「必要性」?

□組合(顧問弁護士) そうすると、法人側は、「必要性」については、他の大学の動きなどを「必要性」だと判断したということですね。

■理事 言葉だけで(言われても困る―※組合にて補筆)。私は、何が大事か、ということを言っている。

財政的な必要性などを考慮したのか?

□組合(顧問弁護士) 総合判断ということはわかる。総合判断の前提として、それぞれの考慮要素を一つ一つ考えて、その一つ一つの要素がどうなのかを判断していくのが本来の筋であり、その要素を一つ一つ判断した上で総合考慮するならわかる。しかし、他の社会の動きは、今までの裁判例からすれば、「必要性」とは別個独立の要件として判断されてきた経緯があるので、他の大学、国民一般への説明責任というものは、むしろ、同種事項に関する我が国社会における一般的な状況」ということで判断されると思うので、それとは別個に、当大学として必要性、たとえば財政的な必要性などを考慮したのか、ということを確認したい。

総合的に判断した

■理事 いろんなことを考慮しなければいけない。給与については、大学の基本方針があり、これは法律に基づいて定めている。社会一般の情勢に適合したものとなるように定められなければならない。その中で、先ほど言ったような一連の流れ、一連の状況の中で、本学として総合的にこれを判断した。

□組合(顧問弁護士) 他の大学法人の方針は、実際にはどれくらい調べたのか。

■課長 調べたのは、旧七帝大、筑波大、広島大だ。また調べなくてもいろんな情報がはいってくるのでその他にもいくつかわかる。

□組合(顧問弁護士) これらはみんな本学と同じような方針でやっているのか。何か違う方針はあるのか。

■課長 率の引下げについては同じだ。

□組合 0.2ヶ月分の引下げは教職員と准職員か。

■理事 部局長も0.2ヶ月だ。

□組合 指定職が0.15ヶ月分しか削減されないのはなぜか。

■理事 もともと月数が違う。指定職の方が大きな額だが、割合でこれまで支給してきた月数に対して民間調査と比べて、国と同じように割合をかけるとそうなる。どちらが重くて、どちらが軽いということではない。

0.2月引下げをしない予算を立てたのではないか?

□組合 4月当初は、0.2か月引下げをしないという予算をたてたのではないか。それに対して、何億か人件費が浮くのではないか。人件費に使えということを前回も主張したが、社会的云々ということからすると、一般の県民から見れば、余ったものは国に返せということかと思うが、どうする。

実際の支給は、情勢によりその都度調整

■理事 今回は「凍結」なので、その取扱いについては、夏の人勧が出ないとわからない。その精算は年末になる。人件費分がこれくらいと国から来ている訳ではない。もちろん大学として予算を建てているが、実際の支給は、その時の情勢で、給与改定はそのためにあるのだと思うが、その都度調整になる。

凍結分を人勧が出るまでストック?

□組合 法人化後は、東北大独自に決定して良い。今回6月に支給を一部凍結した分を、とりあえず人勧が出るまではストックしておくということか。

正式な勧告、その時の状況により措置。余った場合の取扱いは、大学の判断。

■理事 払うことになっているところ、凍結した月数分を払わないということだから、使われないで置かれる。これは全体の袋の中なので、これについてどうするかという時には、人件費で見た時には冬にきちんと措置する。正式な勧告を見て、その取扱いを見て、その時の状況で、措置する。大学全体のお金をどうするかは、人件費も含めて、約束ごとは約束ごととして払わなければならないが、それを踏まえて、余った場合の取扱いをどうするかは、大学全体の判断になる。

0.2ヶ月分の支給を留保し→人勧で、年間4.5月に対するプラス・マイナスを見て→12月に精算する。民間の状況をみれば、減額がきまったと想定できる。

■副学長 今回はあくまで「凍結」だ。「凍結」ということは、今回の6月分については、0.2ヶ月分だけは留保して、今回はその分だけは支給しないということだ。夏の人勧で正式な結果として数字が出るだろう。その結果を見た上で、年間の支給月数は、今4.5月だが、その4.5月から見て、たとえば0.2月を上回る0.3月分の引下げならば、残りの0.1月について下げるという形で精算をする。一方で、もし夏の人勧で0.1月分だけの引下げしかないということならば、逆に、12月期には0.1月をプラスして戻すという形で精算をする。だから、現段階で減額が決まったと(言うわけではない-※組合補筆)。民間の状況を見れば(減額が決まったと-※組合補筆)想定はできるが。

今回は「0.2月を引き下げる」と言うべきではないか?

□組合 そうすると、要するに、今回は0.2月を引き下げる、という言い方が正しいのではないか。

■副学長 下げるのではなく、現段階では(支給しないということだ-※組合補筆)。

□組合 6月に下げた上で、その後、景気がいいという場合、12月にはその分引上げる、という言い方が正しいのではないか。

■副学長 12月期は、あくまで過去1年間の状況をみた上で。

□組合 もし12月がそのままだったとすると、トータルとして0.2月は下がったままということになるのではないか。

年間のマイナスが0.2月より少なければ、12月に上乗せする

■副学長 あくまで年間の支給月数を見る。年間の支給月数を見て、昨年から比べてプラスかマイナスかを見る。マイナスが今回の0.2月より少なければ、あるいはプラスならば上乗せする。

■理事 技術的な話なので、たしかにわかりにくい部分があるだろうと思う。6月期に限っての暫定的な特例措置だ。就業規則本体ではなく附則での改正をする、というのはそういう意味だ。今回限りということだ。

□組合 就業規則の変更をしないで下げたい、ということか。

■理事 6月期において、こういう特例措置をとりたいということだ。

8月の「参考資料」についての方針がすでに出ている?! 人勧をどのように参照して、独自の判断をしていくのか?

□組合 法人側は人勧が出ると必ずそれに追随していく。参考資料という形でやっているのだと思うが、すでに8月の人勧については、法人としてのその参考資料についての方針が出ている。我々としては、大学が法人化して、独自の予算をたてて活動できるという建前なので、それなら行けそうだと思ったところもある。しかし、このように常に人事院勧告を参考にして、それが出る前からそれに従う、そのことを前提として予算が執行されていくということになると、法人化とはなんだったのか、法人化とはどういうことだったのか、ということになる。法人側は、そういう人事院勧告を、今後、今回も含めて、どのように参照して、独自の判断をしていくのか、それが不明確だ。いつも横並びで判断している。それについて聞きたい。それが今回の法人側提案の、非常に大きな、メインの理由になっている。

人勧は、給与改定にあたっての重要な参考資料

■理事 法人化によって、自分でやれる部分が増えたのは事実だし、やらなければならないことだ。自由にやれるからといって、説明をしなくていいとか、評価を受けなくていいということではない。本学の財務的な仕組みや役割や使命がある。本学が、法人化してどのように発展していくのか、その全体像を示したのが井上プランだ。また国との約束事が、中期目標・中期計画だ。これが本学が発展していく柱だ。井上プランでも斬新なできる範囲でのプランが示されている。教職員もその中で頑張っている。

 人勧の取扱いについては、本学では基本方針を設けており、給与改定にあたっての重要な参考資料とするという位置づけだ。

意欲がなければ、机上の空論に終わる。井上プランは、横並びだったのか?

□組合 教職員が意欲をもって計画を成し遂げていくために、仕事に対する意欲をもたなければならない。それがなければ、プランも机上の空論に終わってしまう。その意欲を、ここでボーナスが、たとえば教育職の場合には10万円、一般職員の場合には57,000も引かれて削がれる。そういう形で、4月当初にこういう予算でこういう仕事をしてくれという額があったのに、ボーナスが、一般的な状況を顧みてということで下げられるということは、意欲も下がり、生活も打撃をうける。政府が定額給付金を出したが、それもすっかり消えてしまう。東北大学独自でどのように判断してこういう提案をしたのか。井上プランは、横並びだったのか。独自のプランで良い大学をつくる。みんなが意欲をもって仕事をやろうとしてプランができているのではないか。これは他の大学よりも進めているのではないかと思うが、それをすすめるためには意欲をもって働けるために大学独自に判断しても良いのではないか。自分のところでは下げないという自治体もある。

やむを得ない、合理的だという判断だ

■理事 宮城県は今回人事委員会勧告を見送ったが、12月にきちんとやるということだ。それを見ないとわからない。国の方は、夏の調査に基づいてやると、たぶんたいへんな結果になるから、調整的な措置として、今回調査をして、勧告した。勧告としては同じ重みがある。それを職員に強いるかどうかは使用者としての判断の結果だ。その判断について私はどうこういう立場にはない。それぞれの事情で総合的に判断された。

 人の意欲は大事だが、そのためには、みんながいろんな苦労をしている。今回このような提案をしているのは、こういった状況下でそれをマイナスに働かせるためではない。やむを得ない、合理的だという判断だ。

代償措置は考えたのか?

□組合(顧問弁護士) こういった措置をとるに際して、職員に対する代償措置のようなものは考えたのか。

あくまで凍結だ

■理事 あくまで凍結であり、国の方で、12月まで見ると、夏の勧告で官民格差がますます大きくなるだろうということも含めて、この措置をとった。

代償措置はとらなかったということか?

□組合(顧問弁護士) 代償措置はとらなかったということか。社会情勢から、国に追随する形をとるということ。

■理事 追随というと。

□組合(顧問弁護士) 結果的に。

■理事 そういう言い方をされると、気になって、何も言えなくなるが。

□組合(顧問弁護士) 追随という言い方はどうかと思うが、同じようなことだ。

何が大事か必要かを考え、今回の措置?!

■理事 重要な参考資料として、その上で、今話してきたようなことを材料として考えると、本学のために何が大事か、必要か、ということで今回の措置をとった。

負担を和らげるための措置は考慮していないのか?

□組合(顧問弁護士) これに代わる措置、職員に対する別個の措置、これに対する負担を和らげるための措置というものは、今回は考慮していないということか。

■理事 いろんなことを考えるが、直接これに対してどうこうということ、この時点でやるのがいいか、あるいは、今後正式なものが出てきた時に考えるのか、それを含めて一生懸命働いてもらうことは必要なので、いつも考えなければいけないことだと思っている。

現段階では、代償措置について具体化していないのか?

□組合(顧問弁護士) そうすると、現段階では、代償措置について具体化していないということで良いか。

暫定的な特例措置なので

■理事 暫定的な特例措置ということなので。

不利益の程度が大きいと見ているのか、小さいと見ているのか

□組合(顧問弁護士) 先ほど、教育職については107,000円の減ということだった。今回の措置について、法人側としては「労働者の受ける不利益の程度」が大きいと見ているのか、小さいと見ているのか。総合考慮して、ということなのだろうが、この額自体は、法人側としては不利益の程度が大きいものと見ているのか、小さいものと見ているのか、そのあたりはどうか。

責任をもって答えられない

■理事 暫定的な措置としてそういう額になる。9.3%だ。それがどうなるかは、年末までいかないとわからない。大きいかどうかは人によって違うだろう。責任をもってどうかというと答えられない。

判断できないということか

□組合(顧問弁護士) 不利益が大きいか、小さいかはなかなか判断できないということか。

■理事 それはそれだけ減るということだ。事実としてそういうことだ。

凍結しなくても条文に反することはない

□組合(顧問弁護士) たとえば、法律の条文などを引用して、社会一般の情勢に適合するように、ということだが、それは法人化したことに基づいて、お手盛りのような形で、不当にお金を職員に配るようなことがあれば問題だということだろう。

■理事 そういうことは許されない。

□組合(顧問弁護士) そうすると、条文の趣旨からも、今回の凍結については、凍結しなくても、条文に反するということはない。

■理事 組合に説明しているのと同じように、他の職員にも説明しなければならない。それは使用者側の責任だ。今回のことは、説明できるという総合的な判断をしてしたことだ。

□組合 今の回答は、凍結しなくても条文に反しないのではないかという質問に対する答えになっていない。

■理事 質問を取り違えたかもしれないので、もう一度質問してほしい。

□組合(顧問弁護士) 国の政策などを参考にした、ということだが、それに従わないことが、社会に対する説明責任を果たしていないということではないだろう。独立行政法人通則法には「社会一般の情勢に適合したものとなるように」と書いてあるが、この条文はそもそもお手盛り防止などにある。仮に凍結のような措置をしなくても、その説明責任を果たさないとか、社会一般の情勢に適合しないとは言えない。

■理事 お手盛りだけではなく、不当に、大学で他のことをやりたいから、職員については人数を減らしたり、給与をすごく高くあげたりするとか、両方だ。プラスの話だけ言っているような条文ではない。

□組合 国立大学法人法ができたときの、国会の議論か政府答弁かで今弁護士が言ったような話があったと思うが。

■理事 社会一般の情勢に適合しなければいけない、というのは、両方だと思う。それまでの国立大学という仕組みの中で、国立大学はどう見られていたかというと、質問も指摘もあった。答弁はそうなるかと思う。見ていないからはっきりしたことは言えないが。

本学の業績・実績も考慮して、本学独自の必要性を示してほしい

□組合(顧問弁護士) なぜこれを言っているかと言うと、先ほどの説明の中で、条文が引用されていたので、その条文からすると凍結をする必要はないのではないかと思ったからだ。あくまで、法人側でその条文に適合するように、その一つの要素として考えたということなので、そういう質問をした。もう一つは、同じように、その条文の中に「国立大学法人等の業務の実績を考慮し」という文言もある。だから、各国立大学法人の業績、実績も今回の凍結をするかどうかを判断する上で、それも考慮してほしい。その意味で、大学独自の必要性というものを示してほしい。

大学の評価も材料の一つ

■理事 大学の評価もこれだけ行われてきている。先日も国立大学法人評価委員会から評価結果も出たが。同じ評価を受けている、その意味ではライバル関係にあるのだが、北大にしろ、東大にしろ、名大にしろ、京大にしろ、阪大にしろ、九大にしろ、同じように頑張って同じような業績を上げている大学との評価の問題もある。業務実績も、自己評価もするし、第三者機関の評価も参考にしなければいけない。同じように材料の一つとして大事な話だ。

□組合 大学独自の判断というものが説明されていない。他大学のことや、人勧にそっていくという発言しかない。他大学でやろうとしていることは例を出してもらったが、実際にそう決まったという大学はいくつぐらいあるか。今回はやらないとか、実際に結論が出た大学はあるか。

■課長 率の引下げをしないという大学の話は聞こえない。実際の手続きが決定したのは北海道、名古屋、京都、九州、筑波は決定している、と調査では回答を得ている。

□組合 他は、まだ交渉中ということか。

■課長 役員会まではまだだということだ。

□組合 今あげた大学については、代償措置についての情報はあるか。

■課長 そういう調査はしていない。

□組合 全くわからない状況か。

不利益変更の合理的な判断への説明、不十分

□組合 そのことも含めて、我々が不利益変更の合理的な判断を求めたことに対する説明としては、不十分な説明だ。金額でいくらということは説明されたが、「凍結」するということについて、8月に勧告が出たら実施するということだが、たとえば、支払日が2ヶ月遅れるということは、生活全般にも大きな影響を与える。労働者が不利益をこうむることに関する認識、算定が明確でない。代償措置についても、まったく曖昧であり、8月の人勧待ちということだ。そのことの予測も含めた案が示されていない。合理的な判断に関する説明に関しては、納得できない。なかなか合理的だと判断できない。このことについて、説明することはあるか。

今説明できることを最大限話した。大学としての独自判断だ。

■理事 具体的な要望に応じて、説明できることは、説明する用意はある。同じように、今後、過半数代表者からの意見聴取の手続きがある。組合とは約束で30分ということだが、できるだけ時間を守ってほしい。今の段階で、交渉で予測も含めて、どうかというのは、責任をもって話せることではない。夏の勧告についてはわからないからだ。今説明できる材料としては、最大限話した。こういった状況を踏まえて、総合的に大学として独自に判断した。大学としての独自判断だ。材料がそういうことだとしても。今の状況を踏まえて独自の判断だ。そうではないと言われると困るが、結論としては独自の判断だ。

□組合 時間のことは気になっている。この協議をどういう形にするか。継続か。

□組合 少なくとも、組合が引き延ばした交渉ではない。今、組合が長くしたというような印象を受けたが、別に組合が長くしたから今この時間になっているのではない。さらに交渉を継続するのはやぶさかではないと思うが。今日ではなくて。

■理事 材料としては、これですべてだ。包み隠さず、ありのままに話してきた。時間のことは、傍聴者のことが気になって話しているだけだ。

トータルの減は何億か?

□組合 確認だが、一人当たりいくらということは聞いたが、トータルでは何億ぐらいか。

全体で4億円くらい

■理事 全体で4億円くらいだろう。

□組合 それは8月の人勧が出て、12月頃までストックして手を付けないといことか。

■理事 それは、留保だ。

本当に合理的な判断なのか検討し、もう一度協議したい。

□組合 もちかえって判断して、本当に合理的な判断なのかどうかについて検討する。その上でもう一度協議したい。

■理事 検討して具体的に提示してもらえればよい。

労働基準法90条の手続きに入るべきではない

□組合 その間、当然、過半数代表者との関係では、労働基準法90条の手続きに入るべきではない。

■理事 組合としてそう思うということか。

□組合 使用者側の案がコンクリートになるかどうかは、組合との団体交渉が一つの要素となるだろう、その途中だと、言っている。

■理事 話し合いはするが。

□組合 労働契約法にもとづいて、合理的な説明をしたと理事が言っているので、それが合理的な説明だったか、組合は持ち帰って検討すると言った。

■理事 合理性があるということで、総合的に判断した。

評価がなければ、そもそも総合判断などは下しようがない

□組合(顧問弁護士) 労働契約法10条でも組合との交渉経緯が要件になっているし、その中でも今聞いて組合としてもなかなかその評価はできない。実際に従業員が受けた不利益の程度といっても、事実は聞いたけれども、評価はしていないようなので、たとえばそのあたりなどは、それが高いか低いかといった評価がなければ、そもそも総合判断などは下しようがない。その意味で、組合としても、今回の大学側の意見をきちんと協議する。あるいはすぐにこの場で即答するのは難しいので、組合側としてもちかえり、協議を続けてほしいと言っている。

国で民間と比べて調査した結果だ

■理事 検討をして、申し入れをしてほしい。評価をしていないということだが、先ほどからいっているが、人勧というものは、国できちんと調査をしてそういう結果を出してきている。民間と比べて。

□組合(顧問弁護士) あまりやると長くなってしまうが、要するに。

■理事 だからそういうことだと思っている。別に不当なこととは思っていない。そういう意味で、取扱いもふくめて、重要な一つの要素として、本学の置かれている位置などを踏まえて総合的に判断して、合理的だというので提案している。

4月に立てた計画が変更されたということか?

□組合 4月で一度計画を立てている。それが変更されたということか。0.2月減は4月段階では考えていなかったのだから。

待っていて良いのかという判断でやった

■理事 勧告が出なければなかったことだ。普通ならば夏の勧告があるだろうと。そこでいろんな調整措置をやらなければならない。それは毎年のことだ。今回は、国が言っている通り、民間がああいう状況だから、待っていて良いのかという判断でやったことだ。こんなことは、その時点で予測はしていなかった。

上げるとき、途中でどうやって財源を持ってくるのか

□組合 今回は下がる話だが、1ヶ月分上げるというときに、途中でどうやって財源を持ってくるのか。最初から決まっていないとできない。

■理事 従来通りなら使ってしまってなくなっているものが、使わないから、余っているという言い方がされているが、余っている、なくなっているというよりは、留保しているということだ。

運営費交付金が財政基盤なので、基本に据えるのは社会的相場?!逆に、大きく上がる場合、財源がない。

■副学長 本学の給与水準、賞与はあくまで社会的な相場が基本だ。これが第一だ。国立大学法人は、公務員でもなく、民間でもない中途半端な存在だが、基本にあるのは運営費交付金が財政基盤になっているということだ。そういう中で相場をどうするかは、こういう話し合いの中で決めていくということだが、その中で基本に据えるのは社会的相場だ。今回のように民間の状況が急激に悪くなるということは、滅多に起こらないことだ。滅多に起こらないことだからこそ、こういう形で説明をし、納得はしてもらえないだろうが、理解いただきたいということだ。逆にインフレになって、大きく上がる場合、社会全体がそう動くならば、本学としても、組合からそういう要求があれば、それを踏まえた上で、交渉をして、必要な改正を考える。その時の財源をどうするかといえば、ないものはないので、財源がないので、智慧を出し合って考えることになる。理解してほしい。

理解できない。今回の「凍結」は何かのごまかしではないか。

□組合 理解できない。

□組合 凍結という言葉自体、理解できない。82年に4.5くらいあげろというのを政府が実施しなかったのが最初だ。上げろといったのに上げないのを、そのとき、23年ぶりに勧告が「凍結」された。そのような「凍結」ならわかるが、今回の「凍結」は何かのごまかしではないかと。就業規則を変更せずに下げようとしているのか。

■副学長 通常では考えられない事態だ。こちらも国でもなく、一方で民間でもなくというところで判断している。

□組合 法律違反すれすれだ。法律に違反しない範囲で知恵はないのか。組合がOKしたら、組合も多少の法律違反はするのか、と思われる。上がるか下がるかは、また別問題だが。

精算については、12月前にもう一度しっかり協議しよう

■副学長 精算については、12月なら12月前にもう一度しっかり協議しよう。法律違反はやっていけない。だからこそ労働契約法10条も、最高裁の判例も調べてきた。基本にあるのは社会的な相場をつくっていくこと。その中で国立大学法人としてはこういう判断があるということだ。「同種」の要件、判断については、他の大学でどうやっているのか、ということだろうが、他の大学でもおそらく苦渋の選択でやっているのだろう。

6月に0.2月引き下げる必要はない

□組合 結局、6月に0.2月引き下げる必要はないということではないか。

■副学長 社会の相場に合わせた形でやっていくということだ。

財務状況から言えば、下げなければいけない状況か?

□組合 東北大の財務状況から言えば、下げなければいけないという状況ではないということではないか。

すべてを判断して提案している?!

■副学長 すべてを判断して提案している。理解してほしい。

きちんとした代償措置として

□組合 凍結というが、引下げは引下げだ。引下げときちんと言ってほしい。凍結としてプールされたお金が、8月の人勧で、おおかたの予想ではマイナスの勧告が出るということだから、その分マイナスになる。凍結というと、凍結を解除して何かに使うのかということになる。きちんとした代償措置として考えるべきだ。

合理的、適切に大学運営の中でもっとも良いように使う

■副学長 代償措置というか、あくまで大学の考え方としては、そういった財源がある場合に、いかに合理的、適切に大学運営の中でもっとも良いように使うことを考えていく中で判断する。

公務員の給与水準より低い中で

□組合 公務員時代もそうだが、大学職員の給与は、ラスパイレス指数が低い。公務員の給与水準より低い中で、そういう措置がされるのは納得できない。

それは毎年の交渉の中で

■副学長 ラスパイレスはラスパイレスの話だ。法人化前の評価が低すぎてそれをひきずったという経緯がある。それは毎年の交渉の中で解決していくべきこと。

井上プランでやるのならば、0.2月カットしないで

□組合 それを言うと、毎年の人勧の判断でと言われる。ベースアップ要求をしてもなかなか難しい。京大に追いつけ追い越せといっても、横並びでは追い越すものも追い越せない。井上プランでやるのならば、0.2月カットしないでボーナスを出すべきだ。そうすると職員のモチベーションを一気に上げるだろう。

独自色を出すかどうかは経営側の判断

■理事 結果的に横並びになったが、この問題については、同じような組織という性格からそうなるのだと思う。独自色をこの面で出すかどうかは、まさしく経営側の大学発展のための判断だ。

□下げることの必要性についての議論 ■下げるのではない

□組合 東北大学が0.2ヶ月下げることの必要性についての議論だ。

■理事 下げるのではない。

□持ち帰り、継続交渉をおこなう ■材料はこれだけしかない

□組合 東北大学が0.2ヶ月下げることについて、人事院勧告が参考資料だと言うのならば、やはり独自の判断の個々の内容について納得したい。その意味で、提案されたこの懸案について持ち帰って、具体的に我々の疑義、質問、意見を出していきたい。

■理事 案を出してもらい、それに答えたい。

□組合 この交渉の継続としてか。

□組合 そうだ。この話の流れの中で

■理事 材料はこれだけしかない。何も隠していない。ぜひ検討して、本学の職員として理解してほしい。

□組合 そういう形で協議をするということだ。具体的に協議の日取りについてはこちらから申し入れたい。

■理事 他の職員全体に関わることなので、手続きとしては大学としてきちんと進めさせていただく。

□組合 協議は続けるということで時期はつめさせていただく。

■理事 明日、全学労使懇談会もあるし、意見ももらわなければいけない。手続きは進めさせていただく。

□組合 手続きとは、就業規則を確定する手続きということか。

■理事 意見を聞いて、それを踏まえて判断するということだ。

□組合 組合の交渉は、意見を聞く場だということか。説明をして意見を聞く場だから、一旦これはこれで済んで、全学労使懇談会でも懇談して意見を聞いて、粛々と就業規則の変更をする、ということを今言ったのか。

■理事 そう言うことを私は言ったか。

□組合 そう聞こえた。

いくらでも答える。但し材料はこれだけ?

■理事 疑問があれば、いくらでも答えるから、具体的にほしい、但し材料としてはすべて、こういうことで総合的に判断した、といった。

□組合 それは理解しているが、全部説明してもらったことについて、我々としては、合理的な判断とする上で、足りないのではないかということで、協議を続けたいと言った。何か隠しているのではないかということではない。

■理事 他の職員もいっぱいいるので、必要な手続きをすすめることについて、理解してほしい。

□労使で納得した上で就業が成り立つ。 ■そのつもりで交渉してきた。

□組合 他の職員についても、不利益を被るのだから、労使で納得した上で就業というものが成り立つのだから、その意味では、今我々が協議をしていることは重要な位置をもっているということを考えてほしい。

■理事 これまでもそのつもりで交渉してきたと思っている。

■補佐 それではこれで交渉を終了する。