と き:2011年7月23日(土)13:15〜17:00
ところ:金 研 講堂( 2号館 1階 )
この大会議案には、課題別・職種別に経過と課題を記載しています。労働条件の改善、生活の充実をめざして、啓発・協力し合える組合をめざして、職場討議を進めましょう。定期大会に全ての組合員の意見が反映されることを望みます。
今期は東北大学にとっても職員組合にとっても大変な激動の時でありました。まず、人事院勧告の2年連続のボーナスおよび本給カットに対して、大学当局の無原則的に追随した教職員の給与の引き下げであります。これに関しては後に述べるように、粘り強く団体交渉を続けることにより、問題点は含むものの法人化後に初めて労働協約を締結しました。次に、東日本大震災です。マグニチュード9.0の地震、津波、福島原発事故のまさに三重苦であります。天災の側面と人災(政治悪)の側面の両方が絡み合い、世界的に見ても歴史的な課題を生じており、いまだに復興の目処さえついていません。最後に副学長の非常識な高給に見られるような大学当局による学内政治の私物化であります。その変革を求めて今、総長選挙が行なわれております。年々、ひどくなっていく大学当局の独裁的管理運営に対して、今が民主的で働きがいのある職場をつくり、研究・教育条件を改善する最大のチャンスでもあります。
人事院は厚労省による50名以上の製造業の平均賃金をベースにして、人事院勧告を行っています。国立大学法人の教職員は公務員ではないため、人事院勧告をそのまま適用できないので、国立大学協会(国大協)は人事院の天下り団体に依頼して国立大学法人の賃金に関する参考給与表を作成させ、それを各国立大学法人に通知しています。しかしながら、国大協は国立大学法人に通知する際に、「あくまでこれは参考資料であって、これに従うかどうかは各法人の判断に委ねる。」と言っています。にもかかわらず大学当局はこの資料に忠実に従い、すでに給与の引き下げを行っており、誠に不当と言わざるをえません。本来、国立大学法人の教員の賃金は同規模の私立大学の教員の賃金と比べて査定すべきであり、その結果、東北大学の教員の賃金はそれらより低いためにむしろ上げるべきであります。また、事務・技術職員の賃金は国家公務員の89.3%であり、これも賃上げをすべきであります。今年の交渉においては、平成17年12月7日に東北大学役員会が承認した「本学職員の給与の取り扱いに関する基本方針」の中の、「給与改定の実施時期については、人事院勧告に基づく給与法の改正、労使交渉に要する十分な期間の確保、人件費予算の計画性の確保などを考慮して、翌年4月から実施する。」と、「労使妥結案を書面として労使双方の調印によって認めること」、との2点の根拠をもとにして団体交渉を粘り強く行いました。その結果、法人化以降、初めて大学当局と労働協約を締結することができ、①勤勉手当優秀者の割合の増加(50%以上)、②入試手当の増額、③時間雇用職員から特定有期雇用職員への移行、④業務過多部署への有期雇用職員の配置、などを勝ち取ることができました。しかしながら、まだまだ不十分であります。また、菅内閣による公務員賃金10%カットの動きも注視する必要があります。
3月11日の東日本大震災は、地震、津波、福島原発事故の三重苦として、東北大学にも重くのしかかっており、いまだ工学部、理学部をはじめとして復興なかばであります。1次補正予算では全く不十分であり、2次補正予算の早期成立が待たれます。職員組合は震災後すぐに、大学当局に対して2回にわたって申し入れを行いました。その内容は以下のようなものです。(a)全教職員、学生・院生の安否確認、(b)学内の建物、施設、研究教育設備の被害状況の実地調査、(c)通勤時のタクシー使用代金などの代償、(d)全教職員、学生・院生のメンタルケア、(e)自宅などの被害に対する見舞い金と無利子融資制度、(f)毎日の放射能の測定とホームページ上への掲載、などです。これらのうちのいくつかについては大学当局に実施させることに成功しましたが、引き続き要求実現のために運動を続ける必要があります。全大教傘下の組合からの義援金を、被害にあった組合員に届けることも行いました。全国的な支援に感謝致します。
副学長の年俸は2200万円であり、北大の総長よりも高い実態を団体交渉の中で追及し、全学的に立看板や掲示板に掲示して大学構成員に不当性を訴えました。この宣伝活動の中で、片平キャンパスに掲示した立看板が大学当局により何度も撤去されるという不当労働行為が繰り返されました。この不当行為に対して徹底的に抗議し、副学長の年俸を実質的に引き下げることに成功しました。一方、駐車場問題やキャンパス全面禁煙などのトップダウン的な決定に対して、組合としては早急な全学的な意見の集約と対案の提示が求められています。総長のユニバーシティー・プロフェッサー問題については団体交渉で追及しましたが、来期の課題として残されています。
東北大学職員組合は東北大学で働く教職員で構成されている労働組合で、教職員の生活と権利を守るために運動をすると同時に、研究・教育条件の改善にも積極的に取り組んでおります。東北大学の中で大学当局と直接的にこれらの問題の解決や改善をするために、「交渉権を持った唯一の民主的団体」です。この趣旨に賛同できる方は誰でも加入ができます。要求を実現するためには如何に組合員を増やし、組織率を上げるかが最も重要です。今期は60名の組合員拡大の目標を立てて、7月12日現在50名の拡大を行っており、3月の定年退職や転出者を差し引いても純増となりました。組合員拡大は支部により偏りが顕著に見られます。「東北大学職員組合とは?」と「東北大学職員組合の各支部の活動の手引き!!」を活用した全学的な組合運動の構築と、それに連動した組合員拡大が今こそ求められています。その一つとして、各支部における要求実現運動や様々な催し(新年会、忘年会、ビール祭り、送別会、ハイキング、コンサート鑑賞、など)を開催し、目に見える活動を行うことが必須であります。また交渉権を持たない過半数代表者と、交渉権を持つ組合との連携と要求実現も大切な課題であります。過半数組合を目指して、運動を組み立てていく必要があります。
2011年5月に日本科学者会議などと共催した「福島原発事故の真実とエネルギー政策転換の展望」シンポジウムでは非常にタイムリーな企画であったために、金研講堂の収容人数が100人程度のところに300名以上の方々が集まって、活発な議論が行われました。このような非常に関心を集める企画が今後も引き続き開催されることが、今後の組合運動にとっても、また組合の存在意義を教職員に訴えるためにも重要であります。
さらには、2011年11月4日にノーベル物理学賞受賞者の益川英敏先生を招いての特別講演を含む「東北大学憲法九条を守る会発足記念講演会」の成功を目指し、さらに東北大学の「九条を守る会」の運動を展開することにより、平和を守る砦としての東北大学を築くため、学内の雰囲気をかえる運動が今強く求められています。
このような運動は、組合の要求実現運動と平和運動の2大運動として連携を取りながら進めていく必要があります。
組合の基本的な目的は、第1に、労働三権を全面的に行使し、教職員の賃金・労働条件と職場環境の改善、各職種の地位の向上を図ることです。第2に、国立大学法人東北大学における研究・教育を充実・発展させること、大学の自治を維持・発展させることです。組合は、学問の自由、学内民主主義、自律性原理を基本に真の大学改革を進めていきます。また、それを通じて、世界と地域の未来をつくる大学、いかなる権力からも自由で創造的な大学を目指します。第3に、広範な市民、団体とともに地球環境、平和・民主主義、文化等の取り組みを進めることです。第4に、それらを保障する強く大きく賢い組合づくりを進めることです。組合は、全大教に結集して、政府や国大協との交渉・会見など、全国の大学に共通する課題に取り組みます。
上記基調にもとづいて、2011年度は、以下の重点課題に取り組みます。
強固な人事評価制度の下で、待遇改善、絶対評価と相対評価による弊害と査定などの調査・分析・提案が組合活動にとってますます重要になっています。積極的な政策活動を行うための「賃金・人事制度検討委員会」を設置し、その提言に基づき当面の課題に対応します。また、次期に向けた政策の充実を図ります。
「団体交渉に関する協定」「組合活動に関する協定」に基づいて、適切な時期に適切な課題を提起し、労働協約の締結を常態化できるよう交渉能力を高めます。
支部活動の活性化、計画的な組織拡大を進めます。第二期中期目標・中期計画の問題点と課題を整理し、支部活動をサポートします。過半数組合をめざす目標と計画を作成し、本部と支部で協力して系統的に組合員拡大を進めます。
立看板や掲示板などで、未加入の教職員に組合の方針、実績、重要性をわかりやすく宣伝します。また、組合員へは、随時、ホームページや電子メールも利用して諸活動の広報に努めていきます。
組織・財政検討委員会を設置し、組合員拡大と財政健全化を図ります。次代の担い手を育てます。青年部の活動は自発性を尊重しながら応援します。若い世代の多い事務職員、看護師、技術職員、助教などへ積極的に働きかけをします。他大学への出向、転籍に際しては、全大教全体として組合員減とならないように単組間での連絡を密にします。
准職員、時間雇用職員の労働条件改善を進め、正規職員との格差是正に努めます。過半数代表者との効果的な連携をはかり、就業規則・労使協定等をより良いものにしていきます。団体交渉の重要性を過半数代表者と教職員に伝えていきます。過半数代表者の民主的な選出をサポートします。教職員共済生協との団体事務委託契約に基づいて、教職員の利用を促進します。
2011年度の政府および法人側に対する重点的な要求課題は、別紙「要求と提案(案)」を基本とし、柔軟かつ積極的に政策活動を行い、団体交渉や迅速な情宣活動等を通じてそれらを実現する存在感のある組合をつくります。なお、「要求と提案(案)」の実行にあたり、数字等細部の改訂が必要になった場合には、執行委員会が対応することとします。
「はじめに」で述べたように、2年連続での大幅な賃下げが教職員の生活を脅かしています。教員に関していえば、それはさまざまな副作用となって研究・教育の健全な発展を阻害しつつあるといえるのではないでしょうか。ただでさえ、運営費交付金の削減にともなって個人研究費が減額を余儀なくされています。研究活動への私費投入が常態化している研究者にとって、大幅な賃下げが駄目押しとなり、ますます個人的献身に依存する研究・教育体制が強化されつつあるようにみうけられます。
賃下げの副作用は、こればかりではありません。何より教員のやる気が削がれましたし、教員の一部には賃下げ分の補填のため非常勤講師の口など兼業を求める願望が強化された面も否めず、他方では個人研究費の減少により基礎研究部門の徹底的な遂行に難がではじめています。また後者の側面は、科学研究費補助金をはじめとする外部資金に依存することの限界を表現してもいます。一定の成果がでるまでに資金と時間のかかる基礎研究の停滞は、東北大学の掲げる世界リーディング・ユニバーシティという理念を幻想とするのに十分でしょう。
以上にみる状況は、けっして健全なありかたでないばかりか、後述する諸問題とあわせて、教員の疲弊を生むばかりです。研究・教育環境への弊害を改善すべく、組合としての活動をより強力に進めていく必要があります。
昨年度の議案「運動方針と課題」および「東北大職組の要求と提案」に掲げられた案件は、以下のとおりでした。
これらの要求のうち、1.については65歳定年制が実現しましたが、4.の課題が依然として残されており、その他の項目とともに精力的に取り組むこととしました。
今期執行委員会は賃下げ問題への対応に忙殺され、上記の諸課題への取り組みが不十分になってしまったことは率直に認めなければなりません。とはいえ、賃金が労働条件の要であり、この問題をおろそかにしては他の懸案さえままならないという信念のもと、最悪の場合でも賃下げの代償を勝ちとるべく、根気強く団体交渉にあたりました。その結果、「はじめに」に記したとおり、まったく不十分ではあるものの、勤勉手当にかかる勤務成績優秀者の割合を大きく増やすことや入試業務手当の額を同規模大学並みに増額することなどを含む代償措置を獲得することができました。とりわけ、労働条件の改善を労働協約という形で勝ちとったことは、法人化後の七大にとっておそらく前例のないことであり、その意義はきわめて大きいといえます。
次期執行委員会では、積み残された課題を着実にかつ大きく前進させることが求められます。震災復興に絡む国家公務員給与削減政策が東北大学にどのような影響を与えることになるのか予断を許しませんが、何よりもわれわれは3年連続となる賃金の大幅カットを阻止しなければなりません。その際、2年連続の賃下げで浮いたお金が研究・教育環境の改善に真に役立てられているのかどうか、その使途を粘り強く徹底的に追求しなければなりません。同時に、不十分な代償措置の不足分をカヴァーできるような実質的な成果を獲得できるよう、賃金闘争をさらに精力的に推進していかねばなりません。
くわえて、新たに生ずるであろう諸問題に対しても、敏感に反応し対処していかねばなりません。国立大学法人化から8年目を迎えますが、本学では第二期中期目標・中期計画にむけて井上プランが改定されました(2010年度改訂版)。いくらバラ色に見える絵図であっても、それがわれわれ教職員の労働条件を脅かすとなれば、問題点を洗いだすとともに、改善すべきは改善するよう、大学当局に対して積極的に意見する必要があります。
井上プランの中で教員の負担増を招来しうるものは多岐にわたりますが、たとえば教養教育院人事や英語教育強化策、定年65歳化にともない生ずる問題が考えられますし、事務合理化の功罪についてもチェックする必要が出てくることでしょう。また、このたびの震災に関連して、井上プランが地震対策の強化を謳いながら耐震改修のあまり進まない現状を指摘する必要もあるでしょう。復旧のため個人研究費を大きく削減して費用捻出することを強いられている部局もあり、現に研究・教育に大きな支障が生じつつあります。被災部局については、財政面で大学当局による特別の配慮を求めることも必要になることでしょう。
部局自治が弱体化し、教授会、教育研究評議会など「下から」の声が大学運営に反映しにくくなった組織のもとでは、それら大学の制度的ルートにかわりうる組合の役割がいよいよ重要になるでしょうし、また組合としても、少なくともその気概で活動すべきです。
世界リーディング・ユニバーシティの実現にむけて、多くの部面で環境整備が不可欠なのはいうまでもありませんが、優れた研究者の募集や定着のためには、働きやすい研究・教育環境をもっと整備していくことが不可欠です。大学当局には、現場で研究・教育にあたる教員のおかれた境遇を、もっと真剣に考えてもらわねばなりません。そのために、組合は今まで以上に、井上プラン実施が研究・教育環境の改善に寄与しているか否か、徹底的に点検し、大学当局に対して必要な改善策をよりいっそう強く要求していきます。
国立大学法人の労働組合は、公務員組合とは異なり、労働基準法に基づく労働三権(団結権、団体交渉権、団体行動権)を有しています。団体交渉権は、労働組合が雇用者側と労働条件などを交渉し協約を結ぶことのできる権利で、過半数代表者などが有しない最も重要な権利です。今期も前期と同様、根拠の希薄な人事院勧告とそれに盲従するしかできない大学当局の暴挙により、なし崩し的に我々の命の綱であるボーナス・給与がカットされました。執行委員会は断固たる姿勢で予備交渉、団体交渉を重ね、ボーナス・給与カットの代償措置として、大学当局との間に一定の約束を取り付けました。この約束は「確認書」として書面に認(したた)められました。「確認書」の内容にはまだまだ不満がありましたが、職員組合として初めて労働協約を締結できたことは、今後の組合活動の大きな礎になるとともに、労働条件の改善、大学における研究・教育環境の充実に我々職員組合が遺憾なく力を発揮できることの証左になったのではないかと考えます。総長選挙(意向投票)を迎え、東北大学はまたひとつの新しいページを開こうとしています。現総長の撒き散らした膿を一掃し、我々がよりよい環境で労働できるよう、皆で力を合わせていきましょう。
2010年8月10日、人事院は国家公務員の給与改定として(1)55歳を超える職員の俸給及び俸給の特別調整額の支給額の減額(△1.5%)、(2)中高齢層の俸給表引き下げ改定(△0.1〜0.2%)、(3)期末・勤勉手当(ボーナス)の支給割合の引き下げ(△0.1〜0.2ヶ月分)などを勧告しました。大学当局は9月21日の部局長連絡会議にて人事院勧告に追随する素案を提示し、10月5日付役員会にて素案と寸分たがわない「平成22年度人事院勧告に伴う本学職員の給与の取扱方針」(以後、H22取扱方針)を承認しました。このH22取扱方針は、人事院勧告を国立大学法人にわざわざ適用させるため国大協が100万円相当の費用を支払い、(財)日本人事行政研究所に作成させた「給与表作成の参考資料について」をそのまま流用した内容であり、東北大学の財務状況や東北地区の一般企業・公的機関の給与水準、すでに目標の△5%を大幅に上回る△9%超を達成見込みの人件費削減度などはまったく反映されていません。また、明らかな不利益変更であるにもかかわらず、職員組合をはじめいかなる一般教職員にも事前に開示・相談することなく、唐突かつ一方的に提示されたものです。職員組合はこれに対し11月1日に団体交渉を行い、11月4日には「2年連続の本給カット、ボーナスカットをやめよ!」など3種類のビラ・ポスターを出しました。続く11月25日、12月13日の団体交渉を経て、昨年度7億円もの給与カットを行っておきながら年度末には25億円もの余剰金を国庫返納した大学当局の計画性・経営戦略の無さ、また、カット分の使途や過剰な人件費削減計画、H22取扱方針と「本学職員の給与の取扱に関する基本方針(平成17年12月7日 役員会承認)」との矛盾について追及を重ねましたが、昨年度同様、数値の示されない「勤務成績優秀者の増員」程度の代案を示すに留まりました。
しかしながら年末から年始にかけた立看板問題の勃発から不当労働行為に対する労働委員会への救済申立の動き([2]参照)を経て、事態は思わぬ方向に展開しました。それは、大学当局からの代償措置に関する文書取り交わしの提案でした。
提案文書(確認書案)には、勤勉手当にかかる勤務成績優秀者の割合増加に加え、入試業務手当ての見直し、各種本部委員会委員長等への役割手当新設、時間雇用職員等から特定有期雇用職員への移行奨励、業務過多部署への本部経費配分、さらに代償措置以外に勤務時間管理徹底と病院の勤務実情の調査が記載されていました。
大学当局による当初案では発動時期が次年度以降、中には2年後のものもあったため、組合は妥結点を見出すため1月27日の四役会議、1月31日、3月2日に課長クラスとの予備折衝を行い、発動時期をそれぞれ約1年前倒しした形で最終的な確認書を整えました。そして3月7日、独法化以降、初めて労働条件に関する労働協約を締結するに至りました。
今後は協約の内容が確実に実施されるか注視し続けるとともに、昨年度給与カットの代償措置、ないしは、今後予想される賃金カットに対する戦略を練っていくことになるでしょう。
2010年7月14日、職員組合前委員長から労務担当前理事宛てに「副学長の給与に関する質問書」を提出しました。この質問書は一人の副学長(以後、X副学長)が他の理事・副学長(1500〜1700万円)と比較して異常に高額(約2200万円)の報酬を得ている根拠(給与規定・細則、算定の方法、高額の理由、社会的相当性など)を問いただすものです。団体交渉の場でも追及を重ねましたが、前理事は組合による(金額の)推計は間違っていないと認めていたものの、現理事は「公表されていない」「個人の給与」と年俸額そのものへの回答もまともに返さず、同席した課長が「(給与額を)知っている」と回答した次に現理事は「答えることはできない」と発言、この問題を避ける答弁に終始しました。
組合はこの問題を広く周知させるため、12月14日、片平キャンパス北門と生協前に「北村副学長、約2200万円 北海道大学学長の2060万より高給」と銘打った立看板を設置しました。立看板には他に団交での理事の発言、大学当局の説明責任、7月4日テレビ朝日で報道された本問題に関するニュースの起草原稿を列記し、広く一般の方へもアピールしました。
ところが翌15日朝、北門の立看板は大学当局により何の通告もなく窃取され、さらに翌16日には生協前の立看板が闇夜にまぎれて大学当局職員により撤去されました。
このような大学当局による支配介入という不当労働行為は前代未聞であり、執行委員会は北門にある組合掲示板に立看板と同様のポスターを掲示するとともに、12月17日に一番町法律事務所へ相談、2011年1月11日には中央委員会を開催し、一連の不当労働行為に対する労働委員会への救済申立の準備を進めました。
時を同じくして[1]に関する労働協約締結の動きが具体化してきたため、救済申立は一時棚上げとなり、また、3月、大学当局からの申し入れにより掲示板のポスターを撤去しました。この申し入れは「副学長の給与を引き下げるので(掲示板のポスターを)はずして欲しい」との趣旨でしたが、その金額はいまだに提示されてなく、また、窃取された立看板もまだ組合に戻ってきていません。
今後は再度、労働委員会への不当労働行為救済申立も視野に入れた形で大学当局の不法行為を糾弾していく必要があります。
2011年3月、『東北大総長 おやめください 研究不正と大学の私物化』と題する書籍が、上梓されました。著者には現役組合員が含まれていますが、この著者4名は昨年、東北大学総長他1名により名誉毀損で告発(同時に著者は原告者2名に反訴した)され、2011年7月現在も係争中です。同書には、東北大学総長による論文ねつ造などの研究不正疑惑やその告発に対する大学、関係学会、公的機関の対応などが克明に記されています。中でも第二章は「東北大学の私物化」に当てられ、「ユニバーシティー・プロフェッサー就任問題」や「北大総長を上回る高給の天下り副学長」に多くの紙面が割かれています。
職員組合は、論文ねつ造疑惑等の問題は学術的解決に委ねるべきと判断し、この問題が持ち上がった5年前から静観を続けていましたが、特定の定年教授に対する名誉教授称号授与拒否問題、組合員が総長から告発されるという異常事態、ならびに、明らかな違反が認められる総長のユニバーシティー・プロフェッサー(以下、UP)就任の経緯が明らかになった昨年、これらの問題を糾弾し、不適切で恣意的な大学運営を批判する立場を表明しました。
UPとはノーベル賞級もしくはそれに準ずる教授を招いて短期契約で本学の教授となってもらい、世界の第一線で活躍する研究者と接することで学生、若手研究者に刺激を与えることが目的として設置された、一般教授よりも上位のポストです。高額年俸、63歳定年制適用除外など待遇面でも際立って優遇されています。
UP問題の骨子は、本来UPに選ばれるべき立場(東北大学学外者)ではない総長が、その任命者である自分自身を任命するため、規則上設置不可能なUP選考委員会を立ち上げ自分を候補者として承認させ(2007年2月28日)、翌日(3月1日)に規則改正(東北大学役員も招聘範囲に加える)とUP就任の決定を新たに任命しなおした委員会で承認させた、というものであり、明らかに総長自らが自分に対して利益誘導するため、規則違反を犯したものです。
最終的なUP就任決定は2007年3月1日の役員会でなされましたが、その資料にある選考委員会名簿の署名ないし捺印は一部の委員について欠落しているなど、前述の理解不可能な選考委員会のプロセスもあわせてまったく議論されず、右から左へと承認手続きが進みました。
職員組合は団体交渉(12/13)においてUP問題を取り上げ、UP問題の骨子を説明し、資料の押印欠落(のちに当該委員は委員会に出席していなかったことが判明)について問いただしましたが、役員会に出席していたはずの理事の回答は「(役員会の)資料をコピーしていいか」とまるで他人事のような無責任な返答でこの問題への回答から逃げました。
UPに就いて以降の4年間(2007〜2010年度)、総長は年平均4.75回(23.75日)を海外出張で大学を不在にし、年平均約400万円の渡航費用(宿泊費、日当は除く)を特権的に費やしてきました(「東北大学総長 おやめください」より)。大学の長が、総長としての本来業務ではなく個人の研究業務で数か月分の日数、職場を離れることは、明らかな職務専念義務違反です。
現総長は、学内の意向投票が反映されて選出されたものの、ここまでふさわしくない人物であったことは不幸なことでした。
そしてひとりよがりな「井上プラン」という個人的・恣意的要望を、総長という立場を利用して強制的に実施させてきたことを忘れないでほしいと思います。
自分は高額な給与と自由気ままな立場を強引に身につけ、好きなときに職場を離れてあとは副学長らに運営を任せる。副学長にはそれ相応の年俸を与えて。
東北大学は独裁国家ですか?
現在も井上プラン実現のため、年間3000万円もの無用な費用を発生させる駐車制限や給与カット前提の箱物作り、外向けアピール,パフォーマンスの側面が強いだけのキャンパス敷地内全面禁煙の強行など学生・教職員の存在を無視した独裁的権力を振り回しています。7月に入ってからも、大震災後のピーク電力−15%を勝手に拡大解釈し、働く人たちのことを考えず、エアコン停止を半強要しています。
職員組合は今後も団体交渉をはじめあらゆる場において大学当局の暴挙に立ち向かっていくことが組合の使命であると再認識し、このような大学の私物化を許さず、正常な大学、法令・約束が守られる大学を目指して活動を展開していかなければなりません。
(1)組合員及び未組合員過半数代表との連携を重視して、相互の情報交換を密にしながら大学側との交渉を進めていきます。
(2)大学の運営が不透明になる傾向があり、また、十分な説明責任が果たされていないという状況があります。組合は、労働条件の改善に取り組むとともに、大学運営のチェック機能を果たしていきます。
(3)これまで同様、組合側の諸要求を法人側に出し続けます。要求が通らない場合でも、法人側の要求拒否の不当性を多くの教職員に知ってもらうように、情報を収集し、合理的な論陣を張って法人側に対峙します。
(4)全大教及び他大学との情報交換を密にし、全国的な連帯のもとで法人側に対抗します。
技術組織運営では、いくつかの中規模大学で運営機能の充実化が進んでいます。一方で全大教がまとめた今年度の各大学技術職員の待遇実態調査をみると、6級昇格を実現している技術部は全国でも2ケタにも満たない状況であり、総じて昇格がおさえられている状況にありますが、組織機能あるいは業務の改革によって昇格改善を模索しています。大学技術職員の給与は2年間の給与引き下げにより大きく目減りしています。高専や幾つかの大学では代償措置として昇格改善が図られるなど一定の前進をしています。東北大学でも今年度は労働協約によって数項目の代償措置を勝ち取っています。その一つとして勤勉手当優秀者数割合の大幅増を勝ち取ったことは技術職員では朗報です。また、全国的には安全衛生や放射線管理など資格を伴った業務手当支給の改善が見られます。また、5、6級以上の上位級獲得では、専門職制度だけではなく組織のあり方を含めた検討、見直しとともに新たな職務表やポスト配置などの動きも作りながら給与および昇給昇格改善を進める大学もあります。したがって処遇の改善を見据えた組織の見直しも必要になっています。技術組織は、団塊世代の退職が進み大きく世代交代が進んでいます。新規採用者の応募では、大規模大学への偏りがみられる傾向もあるようですが、いくつかの大学では魅力ある技術職員の業務や組織づくりを行いながら新規採用対策を進めています。再雇用者の採用状況をみると人件費抑制のために雇用時間のばらつきがあります。
2011年4月現在で東北大学全体の技術職員数は、453名(正規職員349名、再雇用者104名)、東大の490名(2009.4)に次いで2番目の規模となっています。今年度の総合技術部の動きと人事評価、昇給昇格改善について以下に述べます。
東北大学の技術職員は、2009年7月に全員総合技術部への配置換えとなりました。総合技術部には最高決議機関である運営委員会があり、技術部長に副学長(途中から理事に交代)がその職に就き、副技術部長には技術職員が就きました。今年の構成は理事および各部局代表教授、5部局の技術職員代表、計24名です。(1)配置等の人事方針、(2)研修、(3)その他、総合技術部の運営に関する重要事項について審議しています。また、委員会は、研修担当教授・技術職員からなる研修企画小委員会、10部局代表技術職員・事務職員からなる実務者会議、学内全部局(22)からなる連絡会、研修WG、キャリアパスWGなど各種委員会が作られています。
総合技術部ではこれまで行われてきた全学研修を見直すため「技術職員研修アンケート」結果から今年度は専門技術研修として「電子顕微鏡専門研修(SEM)」を開催しました(参加者20名)。これまでの一般業務研修から一歩進め、高度の専門技術習得と技術交流を模索して行われたものです。今後さらに内容を充実・発展させる一方、他の専門技術への拡大も望まれます。組合の立場からも具体的内容の検討を行い、実効のある研修となるよう提言していくことも重要です。
技術職員の業務評価については、事務系と比べ技術職員各自の専門領域の業務が多様であることから、一元的評価は困難であり何を評価の対象とするかは課題が残ります。給与・処遇・勤勉手当など個人の将来に直接関わる場合、評価者は当事者の仕事ぶりを十分観察・評価できる者でなければ不公平が生じます。人事評価制度に関しては、今後の大学の進め方を見ていく必要がありますが、個人の絶対評価を堅持しつつ、個人のモチベーションを高めていくような制度に変えていくことが重要であり、そのためには評価結果の開示、不服申し立てが守られなければなりません。今後、組合としても注視していきます。
2012年4月の技術職員の採用予定数は20名(17名試験採用、4名選考採用)となっています。
級 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
2011/4/1 現員数 | 2 | 13 | 64 | 107 | 86 | 78 |
2010/4/1 昇格数 | 2 | 10 | 10 | 5 | - | - |
☆「技術専門員」;昇任数(11人)、最低年齢42歳(4級43号俸) ☆技術専門職員(班長、係長);昇任数(8人)、最低年齢35歳(3級20号俸) |
今年度は、技術職員部会を開催し、主に技術職員部会の要求項目検討と今後の部会活動の在り方について議論し、大学交渉において以下の内容で取り組みました。
(1)技術職員の研究教育の中での位置づけを明確にし、標準職務表および本級表を新設すること。
(2)技術職員の級別昇格基準、級別定数(とくに5級6級)を明らかにすること。総合技術部副部長は7級に格付けし、以下順次、昇格改善を図ること。
(3)技術職員の人事評価は、評価者の選定・評価者訓練について専門性をふまえたものとし、評価結果は本人に文書でフィードバックすること。
(4)昨年度の人事院勧告(本給、期末手当の減額)に倣った大学に対して、技術職員部会では代償措置を検討すること。
その他、全国大学の技術組織の動きと状況把握のため2年に1回開催されている全大教技術職員交流集会は、今年は震災により6月4日に延期して開催され1名参加しています。
技術職員の待遇改善を進めつつ、専門技術業務を正当に評価させ、研究・教育の発展と技術的要求に応える技術組織構築のため以下の運動に取り組みます。また、総合技術部に対しては技術組織が発展・自律できるよう働きかけます。
(1)技術職員の地位・職群確立、自律した技術部の構築を目指します。そのため、技術職員の増員、専門技術の向上と技術継承可能な研修費増を要求します。
(2)公正・公明な人事評価基準を要求し、本人へのフィードバックは文書で求めます。技術職員の上位級拡大により、待遇改善・給与改善に取り組みます。また、10%給与削減に反対して取り組みます。
(3)「技術職員標準職務表」「研究技術専門職員給与表」(仮称)の新設を要求します。
(4)再雇用職員の待遇改善と雇用問題に取り組みます。
(5)他大学、部局間の運用と取り組みの交流を深めます。
(6)20年人事院勧告による公務員の定年延長にならって技術職員の定年延長を検討します。
(1)「井上プラン」では仕事の効率化と事務組織のスリム化をうたっていますが、容赦のない定員削減により事務職員の多くは不満・不安をかかえながら多忙な毎日を過ごしています。もともとぎりぎりの人数で業務を行っていたところに、今回の震災です。多忙を極め、健康を害する職員が増えています。また、メンタルヘルスに関する相談も深刻さを増していますが、兆候がでてきてからの相談窓口ではなく、健康で働きやすい職場環境の整備が緊急の課題です。病気休暇の取得者も多く、周りの職員の負担増になっており、職場の和もつくりにくくなっています。全学的な視点にたって一人ひとりが適正な業務量となるよう人員配置をしなければなりません。
(2)何度も労基署の指導を受けているにもかかわらず、相変わらず予算を理由に不払い残業をさせている部署も存在しています。今年度導入される勤務時間管理システムの導入で不払い残業や長時間労働がなくなることを望みますが、事前申告制による弊害も懸念されます。予算の問題や法律の問題でなく、健康やワークライフバランスの観点から業務管理をしていくべきです。
(3)散在する事務職員の情報交換はとても重要ですが、事務職員部会独自に会議は持てず、女性部の会議時に職場の状況や悩みなどを話し合ってきました。
(1)適正な人員配置をもとめる運動とサービス残業を根絶する運動を強めます。
(2)ハラスメントのない、健全で働きがいのある職場環境づくりを進めます。
(3)仕事の悩みだけでなく、プライベートなことでも相談できる職場環境づくりと、メンタルヘルスに関する相談がしやすい職場環境づくりを目指します。
(4)事務職員に組合加入を呼びかけます。また、事務職員部の会議を行い、散在する部員の情報交換と交流を深め、周りの事務職員の悩みを聞くなかで拡大につなげていきます。
(5)「次世代育成支援対策推進法に基づいた東北大学一般事業主行動計画」を実効あるものとするために、女性部と協力して当局に働きかけます。
(6)本部執行委員会や、他の専門部と共通のテーマについて学習会を行います。
(7)東北大学から、他大学や高専に出向している組合員の待遇改善のため取り組みます。
(1)2011年3月11日の東日本大震災により、図書館では本館・各分館ともに蔵書の大部分が落下するなど、甚大な損害を被りました。一部学生ボランティアの助力を得たものの、職員の献身的な復旧作業により、連休明けには開館することができました。しかし、表面的には通常の業務に回復したように見えるものの、建物の一部損壊や、空調設備やエレベーターの損壊など多くの問題を抱えたままになっています。特にエレベーターが使用できないことによる職員への負担は大変大きなものになっており、震災直後から2ヶ月にわたる連日の復旧作業を通常業務をこなしながら献身的に行った職員たちへの配慮が充分に為されているとは言い難い状況です。
(2)図書館では早朝開館の実施や電子化への対応、市民サービスの増大など労働強化が進んでいます。また、本来正規職員が果たすべき業務を多くの准職員・時間雇用職員が担うという、「同一労働同一賃金の達成」「格差の是正」からは程遠い労働環境が常態化しています。
(3)組合は、団体交渉を通じて職務内容にふさわしい待遇を求め、組合員・未組合員にかかわらず、准職員・時間雇用職員の正規化のための運動を続けています。その運動を更に広げるためには図書館における職務と職員の関係について議論を深め、意見交換するための風通しのいい大きな組織を作り上げる必要があります。
(4)図書館職員を含む事務系の正職員は東北大学内に相当数の欠員を抱えていると思われます。このような欠員分の業務はそのまま非正規職員を含む現職の職員にしわ寄せされますが、大学当局は正規職員と同等の能力を有する非正規職員に対し門戸を開くことなく、かつ、欠員補充もせず、現状を黙認しています。また時間雇用職員の3年期限付き雇用は、せっかく図書館の仕事に習熟した職員を失うことになり、職務に励み図書館に貢献しながら3年で職を失い、放り出されるという酷い扱いの状態が続いています。
大学図書館本来の役割を果たすため、専門職制度の確立、職員数の充実、准職員・時間雇用職員の待遇改善、図書館経費の増額を目指して運動していきます。
(1)震災被害による図書館の建物等の復旧には、充分な予算を充て、恒久的対応をとることを求めます。
(2)図書館職員の要求を把握し交渉を行います。
(3)組合員拡大を進めます。
(4)准職員、時間雇用職員の勤務実態にふさわしい待遇改善を求めます。
2011年3月11日、未曾有の大地震が起きました。「キャンパスの安全を守るには、防災と防犯のための適切な対策が必要である」として、災害に強いキャンパスを目指して自然災害に対処する「井上プラン」に基づく災害時訓練を東北大学病院においても実施してきました。病院では3.11大震災の直後、このプランにそって災害対策本部を立ち上げ、トリアージポスト(医師や看護師などが速やかに負傷者の重傷度・緊急度を判断する場所)を設置し活動を開始するなど、初動はスムーズであったと報告されています。
しかし震災直後の実際の現場では、初動時における「待機せよ」の指示以降、病院からの統一された指示はなく、入院・外来患者への避難誘導及び帰宅指示、帰宅困難者への対応、職員の残留指示など訓練で想定していないことがすべて現場の判断に委ねられました。度重なる余震やライフラインの障害のなか、患者・職員は震災による異常な心理状態下で大きな混乱に陥っており、現場はとてもスムーズな震災対応ができたとはいえない状況でした。
今回の大震災の経験により、病院は患者に対して安全・安心な医療・救護を発揮できることはもちろん、労働者に対して安全・安心な職場として体制を構築していくことが最重要課題であることを認識させられました。
単に言葉を並べた井上プランが机上の産物であり、労働者側の立場に立たず、現実に合わないものであったことは明らかです。本当の意味で、災害を防ぎ、災害後に対応できる備えと訓練が必要です。具体的には、入院患者や外来患者の安全確保・避難誘導の方法、他部署から応援に駆けつける職員の配置や役割、統一された院内の情報の共有の仕方、継続的な非常事態時における円滑な医療業務遂行の体制づくりや必要な職員(数)の確保方法など、災害を想定した緻密で具体的な対応の申し合わせが求められます。
2006年に診療報酬改訂で「7:1入院基本料」が新設され、看護師増員対策として東北大学病院においても「7:1看護体制」が導入されました。井上プランは(1)収入増と経費削減、(2)高度先進医療の促進、(3)医師と看護師を確保するための方策を講じ、7:1看護体制の確保により医療の質と患者サービスを向上させるとともに、診療報酬請求の増額を図る、としています。そこで7:1看護体制の実施により病院では約150人の看護師が増員され、一見すると以前のような厳しい看護師の勤務状況は改善されました。しかし、この増員の多くは新卒看護師により担われ、先輩看護師はこれまで以上に卒後教育にかける時間と労力、責任と負担が増えています。また、病院当局は7:1看護体制に必要な看護師数の算定にあたり最低限の条件である週休取得しか考慮していません。すべての看護師が充分な日数の年休、年末年始休暇、夏季特別休暇等を取得するためにはさらに数十名の看護師を充足する必要があります。井上プランは現場で働く労働者の立場からの計画ではなく、結果として職員の負担が増大しているのが現状といえます。
病院看護師の3分の1は、1年契約・5年限度で月給制の特定有期雇用職員(任期付看護職員)です。その後の引き続き雇用される場合は1年契約・更新限度なしで年俸制の特定有期雇用職員(年俸制職員)となります。任期を付与されている当事者は退職を迫られるのと同様の感情に陥り、勤労意欲や専門職としての研修を深める意識も稀薄になり、モチベーションの低下に結びつく可能性があり、医療の質と安全安心の医療、質の高い看護の提供や患者サービスの向上も期待できなくなってしまいます。このような状況が結果的に、看護師の定着率が上がらない原因の一部となっていると考えられます。
病院支部としては、労働条件の改善を通し、安心して働ける職場を作っていくためにも、真に安全で質の高い看護を提供していくためにも、雇用期限のない正規職員の増員を求めていきます。
東北大学病院では「7:1看護」が導入されてから2交替制勤務も実施されています。2交替制は勤務時間前後の休暇取得に配慮した労働形態ですが、17時間拘束の夜勤であり、長時間労働による体調の崩れ、集中力の途切れにつながり、サービスの低下、最悪の場合、医療事故を招きかねません。
今後、2交替制勤務部署は最低限に留め、不要な部署に拡大させないように大学及び病院当局を監視していく必要があります。
7:1看護、任期付雇用問題と同様に、2交替制問題も看護師増員により改善を図り、何よりも、労働者の希望に基づく勤務ができることが理想であり、安心して働ける職場であると考えその実現に向け努力していきます。
前期の団体交渉で、救急部の看護師に対して危険手当を出すように要請していました。病院支部でも看護部長や救急部師長に働きかけを行い、2010年7月から救急部と手術部の看護師に手当てがつくようになりました。今後は同様の手当てが必要な部署・職員にも相当の手当を支給させるよう大学当局に働きかけていきます。
毎年、病院支部では本部執行委員や青年部、他支部の応援を得て、病院企画での新入職員オリエンテーションに引き続き、組合の説明会を行っています。この取り組みは組合員拡大の成功のカギとなる重要な取り組みです。今年の説明会では、昨年の医大懇に参加した若い組合員が中心になって、組合の意義や歴史などを今期初めてパワーポイントを利用して組合の紹介を行い2桁の組合加入申込みがありました。組合員定着率の向上のためには、申込み者と現組合員とのつながりを密にしていくことが最も重要です。また、今期も病院支部では、定期的に執行委員会を開き、その時々の情勢や職場の現状を出し合い討議してきました。さらに、若い組合員のアイデアを取り入れて新入職員の歓迎会を始め、「ちび旅」や春や秋のつどい等を企画し楽しいひとときを過ごし親睦を深めました。また、若い組合員の育成のために意識的に学習会などにも取り組んできました。支部掲示板は行事や給与削減の問題などを随時、更新しています。今後は更に組合活動への理解を深めていくことや組合員間のつながりの強化に努め、3桁の組合員を持つ結束の強い支部建設を目指します。
(1)各職場の要求を掘り起こし、対話と共同の輪をつくり、仲間づくりに取り組みます。
(2)職場環境に必要な人員を正規職員として常時配置し、年間の休暇・休日を確保できるよう労働条件の改善を図り、安全・安心な病院を目指します。
(3)全大教に結集し、憲法と医療・福祉を守る課題に取り組みます。
(4)見える組合活動を追求し組合員の結集も強めます。
(5)災害に強い病院づくりを目指します。
(1)東北大学には、2011年5月1日現在、正規職員(特定有期雇用職員を含む):5,752名、准職員:1,184、時間雇用職員:3,944、再雇用職員:189名、合計11,069名が働いています。
(2)組合は、法人移行期から准職員、時間雇用職員の雇用確保と待遇改善を第一義的に重視して、交渉等でも取り上げてきています。法人化にあたって准職員の「任用中断日」を撤廃(夏のボーナス改善)し、法人移行に伴う雇止めを阻止し、その後も3年がかりの運動によって、2007年3月には准職員等に有給3日の夏季休暇を実現し、2007年4月には、政府管掌健康保険に加入する准職員、時間雇用職員について人間ドックの有給化を実現してきました。2011年3月には「時間雇用職員から特定有機雇用職員への移行を奨励する」との一文が明記された、東北大学職員組合と大学当局との実質的に初めての労働協約(確認書)が締結され、平成22年度就業規則の不利益変更に対する代償措置のひとつではあるものの、待遇改善につながる一歩を記すことができました。
(3)パート労働法は、正規職員同様の労働実態にあるパートタイム労働者への差別を禁じ、あるいは抜本的に是正し、正規職員化に努力することを求めています。何よりも准職員、時間雇用職員自らがより大きな声をあげ、仲間を増やし、団体交渉を通じて法人側の努力をチェックする運動の構築が求められます。
(4)准職員の勤務実態は、フルタイム(週38時間45分)という点でも業務内容という点でも正職員とほとんど変わりません。旧日々雇用職員時代の1980年5月、文科省通知(文人給109号)によって長期化防止が打ち出されて以降、雇用限度が3年とされています。とくに、1980年7月以前採用の准職員は「更新限度のない准職員」として整理され、パート労働法のもとで、正規職員にできない主な根拠は、正規職員のような配置転換がないことにあるにすぎません。しかしその「更新限度のない准職員」も多くが退職したり、60歳以降の雇用延長となり、人数も半減しています。准職員のほとんどは3年限度であり、「仕事に就けるだけで良い」「次の雇用先を紹介してもらえなくなる」など待遇改善を考える余地があまりなく、悪循環になっています。
(5)時間雇用職員への30時間分のボーナス支給は、2007年度に前向きに検討され、ほとんどの部局長も賛成を表明したにもかかわらず、総長・役員会は、「たいへんな不況なので世間の理解を得られないから」という理由で2008年度以来検討を「凍結」しています。再雇用職員にはフルタイムでない人にもボーナスが支給されており、役員会の「凍結」は理由になりません。
時間雇用職員の労働意欲を高めるために、一定の一時金(ボーナス)を出し、また、勤続期間に見合った退職金を支給することは、一般企業でもしばしばみられることであり、むしろ必要なことです。
(6)東北大学が2007年度から実施している正規職員登用試験制度は、長期勤続の准職員に正規職員への道を拓くよう求めた組合の要求に対して、法人側が導入したものですが、第一次試験として大卒新規採用者に課される公務員試験教養試験を受験するものであり、職務に熟練した年配者の正規職員化への道を険しくしています。
登用数という点では、毎年若干名の登用にすぎず、加えて第一次試験の合格者が第二次試験(面接等)で全員落とされることも少なくなく、ここ最近では、2008年度の登用試験において、50代の組合員(図書)がみごと合格しただけです。豊富な経験と正職員と同等以上の能力を有し、難関の第一次試験を突破した合格者(事務系)が2010年度は3名、2011年度は5名います。それにも関わらず、正職員として採用しないことは、大学当局は東北大学に対して極めて大きな損失を与えているといわざるを得ません。登用枠を拡大して、多くの准職員・時間雇用職員に正職員に採用すべきです。
(1)パート労働法の趣旨を活かして、准職員、時間雇用職員の待遇改善に取り組みます。
(2)役員会に対して、時間雇用職員のボーナス検討の「凍結」をやめ、時間雇用職員に対して、正規職員のボーナス支給日に少なくとも30時間分のボーナスを支給することを求めます。
(3)1980年7月以前採用の准職員の正規職員への転換、そのための中期的な計画をたてることを求めます。また、長期勤続の時間雇用職員の勤続実績を尊重した待遇の抜本改善を求めます。
(4)組合員の准職員、時間雇用職員が希望する場合、3年を超える更新の実現のために努力します。
(5)准職員を特定有期雇用職員として位置づけるよう求めます。准職員の日給月給制を月給制に転換すること、病気休暇の有給化、諸手当・昇給速度・退職手当等、処遇の決定基準を正職員とそろえるよう求めます。
(6)時間雇用職員への退職手当の新設を求めます。
(7)「定年」を迎える准職員が希望する場合、円滑に特定准職員に移行できるよう援助します。
(8)准職員、時間雇用職員へもメンタルヘルスプログラムを適用するよう求めます。
(9)准職員、時間雇用職員の組合員拡大を進めます。
定年退職者や早期退職者を対象にした教職員共済の説明会は開催できませんでした。
●総合共済;168名、火災共済;44名(44件)、自動車共済;75名(103台)、トリプルガード;79名、交通災害共済;20名、新・終身共済;6人、終身共済;1人、年金共済;15名
●総合共済:0名
●火災共済:0名
●自然災害共済:0名
●自動車共済:対物15名(1,915,248円)、対人22名(2,654,938円)
●団体生命共済:障害(4,403,000円)
●医療共済:入院32名(4,403,000円)、手術5名(380,000円)ガン1名(1,000,000円)
労金一斉積立特融会員は、2011年6月現在76名です(前年度84名。但し、金研・図書館・農学部は支部直接扱い)。現在、エース預金(特融積立)は、本部が一括して労金へ当月納入していますが、支部から本部への当月納入を引き続き推進します。
(1)定年退職された方々16名に感謝状と記念品を贈呈しました。
(2)退職者の会には現在128名加入し、幹事会を中心に活動しています。会員には会報「退職者の会ニュース」(通算47号)を年間約4回(総会案内を含む)送り、組合との絆を保つ『コア』を一緒に届けて来ました。また、喜寿の方1名に記念品を贈りました。一方、5名の方が亡くなり、香典を届けました。退職者は組合の良き先輩、良き理解者であり、互いの要求実現を目指しこれまで通りの連携を深めていきます。
(1)教職員共済活用を組合活動の一環と位置づけて取り組み、新入組合員に宣伝するとともに、未利用者には活用を訴えていきます。
(2)「労金」は、「労働者の銀行」という原点の立場から、我々の要望を取り入れた運営を堅持していくように働きかけていきます。また、組合員の生活支援活動の一環と位置づけて取り組み、新入組合員に宣伝するとともに利用を勧めていきます。
文化部では、職場の垣根にとらわれずに組合員相互のコミュニケーションを図るべく活動を行っています。
組合結成61周年を記念して、2010年10月29日夜、書記局にて、生ギターで歌って飲んで交流する企画をコア編集委員会との共催で行いました。20代の看護師を含む男女バランスのよい13名が書記局で生ギター演奏者3名をかこんで70年代フォークソングなどを爽やかに歌い、新旧組合員の懇親を深める楽しい集いとなりました。仕事の疲れも癒され、明日への活力を得ることができました。今後の継続開催が期待されます。
2011年1月15日に金研本多記念館の職員集合室で開催されました。まだまだ身が凍えるような気候でしたが10名の方が参加し、白熱した対局が繰り広げられました。囲碁の他にもオセロや五目並べを行うなど、とても楽しい会になりました。
2011年1月21日に金属材料研究所の講堂で開催されました。各支部の紹介、女性部、青年部からの楽しい出し物もあり非常に盛り上がった会となりました。普段接することがない他の支部の方との交流の場にもなったと思います。
2011年4月に予定していましたが、震災の影響で行えませんでした。次期の早い時季での実施を計画中です。
2011年5月1日に勾当台公園・市民の広場で行われました。東日本大震災の影響が残る中230団体、1800名もの人が集まりました。デモ行進の前には前回まで各労働組合の寸劇や、抽選会、合唱などが行われていましたが、震災の影響などにも考慮し今回は中止されました。東北大学からは32名が参加し、シュプレヒコールを行いながら行進しました。
(1) 組合員の親睦を深めるため、年齢に関係なく積極的に参加できる文化・レクリエーションを企画します。
(2)文化部単独ではなく、青年部や女性部、コア編集員会と協力してイベントを企画し、組合活動の活性化を図ります。
(3)組合員だけでなく、まだ組合に加入していない教職員も参加しやすいような企画を立てて参加を促し、活動を通して組合員拡大に繋がるように工夫します。
女性部では、これまで「男女が互いにその人権を尊重しつつ、責任を分かち合い性別に関わりなく、個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の実現」を大きな目標として運動してきました。制度などに一定の前進はみられますが、家事や育児は女性に大きな責任と負担がかかっているのが現実です。今期も、人事課長懇談会の申し入れを行っていましたが、実現しませんでした。
これからも、「一般事業主行動計画」に下記項目の具体的な数値目標を入れさせ、男女共同参画のための職場環境改善に積極的に取り組んでいく必要があります。
5月に予定していた「ミニ旅行」は震災の影響で取り組めませんでした。2011年9月11日に病院支部と合同で行う予定です。
ニュース発行はできませんでしたが、女性部メーリングリストを活用しながら各集会や物資活動の連絡を行ない、女性部の活動を知らせてきました。
母親大会・国際女性デー・宮城はたらく女性のつどいなどの各実行委員会に委員を送り、集会の成功に貢献しました。
近年、運動の核となっている女性部員の定年退職がつづき、日常的な女性部活動がなかなかできなくなってきました。しかし、様々な職種での女性職員は増えており、産休や育休をとって働き続ける職員が増えています。そのなかで保育所増設要求や、昇格差別など様々な要求が出ています。女性部の目標である「個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の実現」のために、男女ともに人間らしく働きやすい職場づくりを目指して運動して、男性職員とも協力して要求の掘り起こしと共に以下の活動に取り組みます。
(1)男女共同参画社会実現のために
次世代育成支援対策推進支援法に基づく「東北大学一般事業主行動計画」を実効あるものにし、男女とも人間らしく働きやすい職場づくり実現のため以下を要求していきます。
公的医療切り捨て、医師の養成数削減など自公政権時代の「構造改革」により、産科医不足などで病院や助産所の休診、閉鎖が相次いでいます。安心して出産できる医療を実現するための運動を他の女性団体と連携して進めます。
(2)元気になれる楽しい活動(ミニ旅行・学習会)を企画します。
(3)メール・紙媒体を併用して女性職員への情宣活動に取り組みます。
(4)連帯の活動
青年部は主に青年員(32歳以下の方)を対象に、次の二点を念頭に置いて活動しています。
2010年度は、青年部の活発な活動を復活させてから4年目になります。今年度の青年部主催企画は11月25日に行った青年部懇親会でした。多くの方が参加し、とても盛り上がった会となりました。ただ、参加者の部局に偏りがあるので、今後は多くの部局の方が参加出来るような企画も考えていきたいと思います。 また、去年大成功した、4月の青年部・文化部共催新歓ボウリング大会及び懇親会ですが、東日本大震災の影響で中止になってしまったので、来年度は是非成功させたいです。
2010年度活動報告
2011年度は、こつこつと青年組合員の輪を広げていきたいと考えます。部局内外の青年部との交流を深め、情報交換が出来るような学習会や懇親会を企画します。活動案内をこまめに出し、少しずつ活動していき、活動できる人材を育てていきたいと思います。青年部活動の継続化と組合の後継者育成に繋がるように活動していきたいです。
今期、2010年8月〜2011年7月、新たに50名の方を組合員として迎えることができました。職種別には、教員18名、技術職員6名、事務職員7名、図書1名、医療系18名、また、正職員19名、再雇用職員6名、准職員15名、時間雇用職員10名という内訳です。一方、退会者は40名で、うち19名は定年退職および退職、2名転出、その他19名は脱会に伴うものです。両者を合わせ12名増、現状で組合員納入人数 名、組織率約 %となりました。
かねてより、組織率を高め交渉力の高い組合、そして長期的には過半数組合の確立を志向し、運動を展開してきましたが、今期は(1)2010年12月までに+20名、(2)2011年4月までに+20名、(3)2011年7月定期大会までに+20名の計60名拡大を目標として掲げました。このうち(1)(2)は達成し、現在(3)に取り組んでいるところです。定期大会までに是非目標達成できるよう努めます。他方、退職・転勤に伴う組合員数減少は毎年避けることができず、組織と運動の一層の強化、健全な財政を維持する上でも、減少数を上回る拡大が求められます。今期2010年度の運動方針と課題に掲げられているように、再雇用の方には、引き続き組合活動を継続して頂けるような体制作りが必要です。また転勤される方には次の職場での組合加入をお願いし、全大教全体の基盤が強固になることを目指します。
同時に、新加入の組合員が組合活動の意義を継続的に実感できるよう、各種の親睦・文化行事、学習会等の開催を行っていくことは非常に重要といえます。
通年にわたり、各支部を通じて「拡大セット」を利用した勧誘活動を行いました。「拡大セット」には加入申込書以外に「東北大学職員組合の要求と提案(2010年度版)」や「国公労新聞2010年人勧特集号」、『コア231号、232号』など、また労金や共済のパンフレットなどを同封し、昨今の問題点や組合のメリットをアピールしました。また、組合のホームページから書記局に直接申し込みされたケースも2件ありました。Webによる入会勧誘は必ずしも積極的な方法とはいえませんが、対面による勧誘に躊躇を感じる未組合員に対しては有効であり、コンテンツを更に充実させていくことにより、組合の組織拡大と基盤強化に資することが期待されます。
2011年4月1日片平さくらホールにて行われた一般職員初任者研修中、昼休みに執行委員長、本部書記長、青年部3名、本部書記局2名で組合説明会を行い、拡大セットを配布しながら組合加入を呼びかけました。今年度の新規採用者は47名、当日は震災後ということで、昼食の入手が困難と考えられたため、組合側で弁当とお茶を準備しました(約30程度)。今回初めて執行委員長が挨拶を行い、その後、青年部長が青年部の活動を紹介し組合加入をアピールしました。その場での加入申込はありませんでしたが、組織拡大の機会を増やし後日の加入数増加につなげることが出来ました。
2011年4月4日の病院オリエンテーションでは、執行委員長、病院支部7名、理学部支部1、青年部1、本部書記局2名の計12名が、昼休みに組合説明会の案内チラシ(キャンディー付)配布、そして17時からの組合説明会ではパワーポイントを使って説明を行い、勧誘活動を行いました。その結果、病院支部で17名の加入がありました。
新加入の組合員に対しては、これまで同様、青年部・女性部などの企画参加を呼び掛けたりすることなどで、組合に触れる機会を広げ、また、組合員としての意識を高めることが大切です。
今期も、昨期に引き続き、過半数代表者との連携・情報交換の機会を増やしました。とくに、2010年人勧追随のボーナス・本給カットに関する大学当局の強行姿勢についての情報、職員組合と大学当局が締結した労働協約について、休日給・入試業務手当の支払いについての情報等、過半数代表者と緊密な連絡を取りながら各事業場教職員全員へ周知し、全教職員を取り巻く労働環境の現状を迅速的確に伝えることに努めました。このような過半数代表者との連携・情報交換は、大学当局の誤った方針に対抗するための大きな力になるだけでなく、また組合活動に対する理解者の拡大にもつながる利点があるといえます。
支部代表者会議は月1回定期開催し、本部・支部の活動の確認、交流の場としての役割を果たしました。
各支部における研究科長・所長との交渉・懇談など、組織の代表的立場の人との意見交換を積極的に行いました。また各支部では、交流会(病院、2010年9月)、芋煮会(工、10月)、秋のビールまつり(理、11月)、「博物館に行こう」(文、12月)、旗びらき(理、2011年1月)、新春の集い(病院、2月)、ボーリング大会(工、2月)、先輩看護師と語る会(病院、4月)、たこ焼きパーティー(病院、4月)などの行事が主催されました。また、農学カルチャー講座(農学研究科主催、2011年1月)、「3.11地震と放射性物質の拡散について」(理学研究科主催、5月)においても、農学部支部、理学部支部の積極的関与により盛会に終えることができました。これらの行事を通して、組合員同士あるいは未組合員との親睦を深めること、さらに組合活動の理解を広げ基盤強化に繋がる活動を行うことができました。
これらの活動は組合員拡大に一定の効果がありましたが、依然、過半数組合への道のりは遠いといわねばなりません。そこに至るためには、組合が果たすべき役割をこれまで以上にきちんと果たし、教職員の誰もがその意義を理解し、組合から得られる便益がその費用を上回っていることが誰の目にも明らかでなくてはなりません。
組合の果たすべき最も基本的な職能が「労働条件の改善」であることは贅言を要しません。今期もまたボーナス・給与カットが断行され、組合が数多くの交渉を行った結果、法人側と職員組合との間で、不利益変更にかかる4項目の代償措置、勤務時間管理の徹底などを盛り込んだ確認書を、初めて取り交わしました。また東日本大震災に関する一次要望書を提出し、准職員・時間雇用職員を含めた全教職員に震災見舞い一時金を支給することなどを要望しました。これらの成果・努力をさらに拡大・深化することによって、より魅力的な・必要とされる組合へと邁進する必要がありましょう。
現時点においても高い年齢の方たちは若い方たちよりも構成割合が高いため、定年退職等に伴う組合員数の減少は当面継続するトレンドにあります。そのため、職員組合全体の組織拡大を成功させるためには、オリエンテーション時の拡大行動は極めて重要であり、4月の病院オリエンテーション、一般職員初任者研修の際に組合説明会を開催し、できるだけ多くの新採用看護師・教職員にアピールするとともに組合加入への呼びかけが不可欠です。また、中間年齢層の方たちは任期による離籍・移籍、他大学への転出入がありますので、転入してきた方たちに対して、積極的にアピールと加入の呼びかけを展開することが非常に重要です。また、任期制教員や秘書・事務系の時間雇用職員の中には、短い期間の雇用に対して不安を抱いている方がたくさんいます。これらの方々にも拡大セットを渡すなどし、組合運動についての情報に触れてもらうことは、組合の土壌づくりに必要です。引き続き、広く加入を呼びかける活動を行います。
教職員の採用・転入があった際には、支部組合員が速やかに、挨拶を兼ねて加入を呼びかけます。本部だけでは採用・転入の情報収集や対応が十分すばやく行えません。支部に十分な数の拡大セットを用意し、採用・転入の情報を耳にした際にはいち早く訪問するように努めます。
新しく組合員に加入した方、定年退職で再雇用職員になる方、他大学への転出予定者に対し、当該支部だけでなくそれ以外の組合員も声掛けし、継続的な組合活動を呼びかけます。新加入者にとっては自分の職場だけでなく、広く大学内に仲間がいることを知ってもらい組合活動の意義を高めてもらう機会になります。再雇用の方にはこれまでの知見を引き続き組合活動に活かしていただき、組合の将来についてご意見をいただきます。転出する方には次の仕事場でもぜひ組合に加入していただくことで、結果として全大協全体の組合活動がますます強固になることを目指します。
これまでいくども人事院勧告に準拠する形で給与カットが行われてまいりました。それに加えて、今年度は、東日本大震災の復興資金捻出を理由に国家公務員給与削減法案の提出が予定されており、本法案が可決されれば、国立大学法人に対して、公務員人件費削減に相当する運営費交付金の削減が強行されること、運営費交付金削減分の多くは教職員給与の引き下げ(5〜10%、平均60万円程度、3年間)によって埋め合わされることが予想されています。いうまでもありませんが、東日本大震災により東北大学教職員の多くは甚大な被害を被っています。世帯員死傷や家財損壊などの直接的被害にあわなかった教職員であっても、震災対応のために様々な出費がかさみ、家計は大変な圧迫を受けているのが実情です。このような中で、東北大学教職員に対してかくも大きな給与引き下げを強行することは、あまりにも酷い仕打ちであり、なんの大義名分もありません。今後の情勢次第ではありますが、過半数代表者との連携を深めてその不当性を訴えながら、同時にこうした暴挙に対抗する根本手段は組合の過半数化を実現し、法人側との交渉力を強めるしかないことを全教職員にアピールし、新規加入を増やしていきます。
職員組合の運動は目に見えるものであることが基本です。職員組合は電子メール、ホームページ(以下HP)、ビラ、チラシ、ダイレクトメール、立看板などの伝達手段によりリアルできめ細かい情報を提供することで、情報の共有化を図るとともに、組合組織への帰属意識を高め、組合活動を通して自分が護られ仲間を護る活動に参加していることを訴えています。未組織の職員に対しては組合の考え方や運動の成果を広報し、組合活動への理解・加入を促進しています。また、組合の主張の正当性や意見などを適宜、必要な機関・組織・一般に対し速やかに表明することによって、大学当局側の教職員に対する不正や不誠実な動きを監視していることのアピールや、またそれらを「跳ね返す」力に供しています。
組合のHPは、組合の日々の活動や主張を広く広報する上で、最も重要なメディアになっています。過去にさかのぼって、組合の活動が記録されていることも大きな利点です。トップページには組合の紹介や新着情報などがまとめられ、組合の加入手段としてHPからファイルがダウンロードできるようになっていますが、 HPから直接加入申し込みができるフォームを設置するなど、加入希望者の手間を省く工夫も検討すべきでしょう。
近年、労務担当理事からの団体交渉議事録への注文や組合員が関与するHP記載内容に対する大学総長による名誉毀損訴訟(係争中)、大学本部事務機構人事課による労働協約文書の掲載待機要請など、大学当局による検閲まがいの行為が頻発しています。これらの越権性や違法性の議論はさておき、大学当局は相当にHPの公開性・周知力を認め、自分たちに影響を及ぼす記事などの拡散を恐れていると推察されます。逆説的にHPへの掲載を大学当局による横暴ともいえるファッショな活動を抑制するための新たなツールとして活用することは、今後の組合活動の戦略に大きく寄与するものと考えられます。
速報性を重視した組合員(執行委員会や各種部会などの組織を含む)に対する情報提供手段としてメーリングリスト(以下ML)を利用しています。2008年に組合独自ドメイン(tohokudai-kumiai.org)サーバを設置し、HPとともにMLを運用しています。2010年度には従来の「shikkoubu」ML(現執行委員と各部会の要職に加え一部の元職)とは別に「2010shikkoiinkai」ML(現執行委員)を設置しました。このような「20xxAAAA」MLはファイルのやり取りやメール会議などの情報交換・議論に満足できる効果が認められ、今後、部会や支部などのML運用法としても拡大していく予定です。
紙媒体の活用として、2010年度は11月〜12月に大学構成員全員を対象とした「要求アンケート」を実施しました。内容は職場環境の実態、家計状況や賃上げ希望額、時間外労働やサービス残業の実態、ハラスメントなどです。回答数は組合員63件、未組合員117件(2011.2.22時点:計180)でした。昨年度に引き続く大学当局による強引な賃金カットの時季でもありましたので、自由記載欄にはたくさんの不平、不満が記載されていました。アンケート調査など回収・集約が必要な場合には、回収率アップのため、支部との連携、リターンの方法などまだ議論しなければならないことが明らかとなりました。
組合の活動を広くアピールし、娯楽的要素や論理的内容をしっかり伝える要素を持つ印刷媒体として職組新聞『コア』を発行しています。例年、春夏秋冬の4号を発行していましたが、2010年度は震災の影響で春号が発行できず、夏秋冬の3号のみ発行しました。『コア』は一般職員に対しても組合の活動として「仲間とのつながりが楽しい」ことをアピールでき、新組合員を迎え入れるための重要なツールと考えています。『コア』の内容のwebへの掲載なども検討する必要があります。
2010年度に最もインパクトを与えた情宣活動は「副学長の給与2200万円」立看板だったのではないでしょうか。2010年12月、学内5ヶ所(片平生協前、工学部生協前、理学部生協前、医学部生協前、農学部)に設置した立看板は概ね2、3日のうちに大学当局により窃取されました(組合に対し事前通告することなく持ち去られました)が、例えば片平生協前では通る人のほとんどが立看板に目を向け、約半数の人は立ち止まって内容に目を通していました。片平北門前掲示板に貼られた立看板と同様のポスターは2011年3月まで掲示され続けましたが、掲示を取り下げた理由は大学当局からの「副学長の給与は次年度から下げるので」との申し入れに組合側が対応したからです。ただし、下がった給与がいくらになったかはまだ明確にされていませんので、その点を今後も追及していく必要があるでしょう。いずれにせよ立看板を発端として大学当局が動いたことは事実であり、組合の目に見える活動が効果を示した大きな成果であったことは間違いありません。
数年前から主に全学労使懇談会の前に組合の意見を各事業所(部局)の過半数代表者、および、部局長あてに送付しています。2010年度も人勧追従ボーナス・本給カット反対や休日給・入試業務手当て支払い要求について適時、PDFファイルを送り、意見徴収や部局判断の参考にしてもらいました。一部の資料は部局内での会議にも供され、組合活動が目に見える形で拡散し、広く未組合員にも理解を得ることができる基盤的行動へとつながりを見せています。
2011年5月、日本科学者会議宮城支部などとの共催で「福島原発事故の真実とエネルギー政策転換の展望」と題する市民シンポジウムを金研講堂で開催しました。新聞での広告やタイムリーな話題であったことも功を奏し、予想をはるかに超える方々が集まりました。このシンポジウムの成功は、大学当局の不正疑惑・独裁的横暴への追及や時事的な話題に取り組む組合活動について未組合員や一般市民の理解を得るための手段として、学習会などの開催、宣伝方法の検討が重要であると再認識させられる良い事例でした。
組合員拡大につなげる重要なツールとして封筒に入った「拡大セット」があります。2010年度は執行委員長はじめ各組合員の努力の結果、昨年度よりも純増が見込まれています。ただし、全国的には組合員拡大は順調とは言えず、今後も単組として拡大を続けていく必要があります。拡大セットには最近の組合の活動を記したビラが同封されています。病院オリエンテーションや新人研修での組合員の説明を伴う拡大セット配布では一定の効果が示されていますが、年度当初だけでなく、常に組合員は拡大セットを持ち歩き、仲間を増やす活動に供していきましょう。
(1)電子メールやホームページなどの電子媒体に加えて紙媒体や立看板、掲示物などによる情報提供を積極的に推し進めつつ、職場の環境に配慮しながら、より組合の団結を強め、組合の活動を効果的にアピールする広報のあり方を検討します。
(2)いろいろな状況下で孤立しやすい職場環境においては、組合の活動が「つながり」を生み出し、あなたの周囲の人たちが「あなたを護っていく」活動であることを積極的にアピールするため、『コア』とホームページのあり方を検討します。
(3)団体交渉において当局がお題目のように頻繁に使用する言葉、「社会通念」を味方にしていくため、職場や地域社会の中でのアピール、分野を超えた学習会や市民向けの学習会の開催、学生・院生の研究・教育環境にも目を向けた組合活動を展開します。
(1)2010年度決算と2011年度運動方針を基本に、より効果的な予算運用と節約に努めます。
(2)借り入れを抱えた予算から早く脱却をするために、今年度も経常予算の適正化を図ります。
(3)ここ3年ほど、書記局はフルタイム書記1名とアルバイト書記1名に加えて全大教東北地区拡大推進委員のサポートで運営されてきましたが、今年7月末に推進委員が離職されることになりました。組合の拡大・強化を推進している現在、種々の活動と書記局業務を維持するために、次期はフルタイム書記1名とアルバイト書記2名の体制で書記局を運営していくことにします。
(4)2011年度はフルタイム書記の昇給を+2号俸とします。
(1)組合の予算は前年度年間納入額の90%を基本としています。会計年度末に納入が間に合わなかった未納組合費はもとより、組合費を納めてない組合員からきちんと徴収することを重要課題とし、支部と協力して取り組みます。
(2)組合員の納入人員は正規職員 名、再雇用職員 名、准職員 名、時間雇用職員 名、合計 名とし予算編成の基礎数とします。
(3)チェックオフを目指しつつも、郵便局や銀行の自動払い込みによる体制を整え、組合費の確実な徴収に取り組みます。
(4)組合費の算出の一元化について引き続き検討します。
(1)厳しい財政状況ながらも、最低限必要な日常活動と組合員拡大活動には極力予算を確保するように努めます。
(2)支部の借入金については今期と来期で完済していきます。
(3)加盟組合費は全大教 名、県労連 名とします。
ここ数年、組合費納入人員数の大きな変動はありませんが、定年者(高額組合費)による収入減が大きくなっています。組合の活動費を維持するためには年間数十人規模の純増を実現しなければならない状況にあります。