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井上明久総長のユニバーシティプロフェッサー就任および北村副学長高額給与についての公開質問状

2011年11月28日

〒980-8577
仙台市青葉区片平2−1−1
国立大学法人東北大学
総長 井上 明久 殿

〒980-8577
仙台市青葉区片平2−1−1
東北大学職員組合
執行委員長 駒井 三千夫

 本年2011年3月、『東北大総長 おやめください 研究不正と大学の私物化』(著:日野秀逸ほか)が、社会評論社より公刊されました。同書は、いわゆる研究不正疑惑に多くのページを割いていますが、この件については本組合は学問的に解決がなされるべきものとして、これまでも、また現在も組織としては関与しない方針をとっております。しかし同書ではこれとは別に、本組合がこれまでに団体交渉などで取り上げた問題を含め、大学運営の手続き上、看過し難い問題が扱われています。これらの問題について事実経緯をご説明願いたく、下記の質問にご回答いただけますようお願いいたします。
 なお、この問題は東北大学の全構成員に関わり、さらには国立大学法人の運営の根幹に関わって社会的にも大きな重みを持つものと考えられますので、公開質問状とさせて頂きます。したがいまして、貴職からの御回答を公開することをあらかじめご了承ください。また、期日までに御回答が無い場合には、「回答が無かった」旨を公表させていただくことを申し添えます。

貴職のユニバーシティプロフェッサー就任および北村副総長高額給与に関し、本組合として学内規則に違反している可能性が高いと考え、問題視していることは以下の3点です。

1.被選考資格の無い者をユニバーシティプロフェッサーとして選考した疑いについて

 ユニバーシティプロフェッサー制度は、国内外から卓越した研究者及び教育者を招へいし、東北大学の教育研究の活性化を図ることを目的として独立法人化後に設置された新しい制度で、招へいされる有資格者は学術文化の発展に特に顕著な功績があった者、その称号は総長が授与するものと定められました(「国立大学法人東北大学ユニバーシティプロフェッサー制度に関する要項(平成17年7月26日 総長裁定)」(以下、旧要項))。その後、新しい要項が制定されました(「国立大学法人東北大学ユニバーシティプロフェッサー制度に関する要項(平成20年7月22日 総長裁定)」(以下、新要項))が、新要項においてもユニバーシティプロフェッサー制度は、世界的に極めて高い評価を受ける研究者又は教育者を教育研究活動に従事させることにより、東北大学の教育研究の活性化を図り、もって本学の価値向上に寄与することを目的とし、ノーベル賞、フィールズ賞、文化勲章の受章者又は文化功労者、日本学士院会員、日本芸術院会員又はこれに相当する海外アカデミー会員である者その他学術文化の発展に特に顕著な功績があった者を資格者と定めています。旧要項、新要項のいずれもユニバーシティプロフェッサーの対象者は卓抜した教育者・研究者であり、東北大学において一定期間、学生・院生の指導や東北大学の教育研究の活性化を図るために活動することをその業務と設定しています。
 一方、要項とは別に役員会においてユニバーシティプロフェッサー制度の取り扱いについての申合せが決定されています。一つは旧要項の期間中に決定され(「ユニバーシティプロフェッサー制度の取扱いに関する申合せ(平成19年3月1日 役員会決定)」(以下、平成19年3月1日付け役員会申合せ))、もう一つは新要項と同日に決定されました(「ユニバーシティプロフェッサー制度の取扱いに関する申合せ(平成20年7月22日 役員会決定)」(以下、平成20年7月22日付け役員会申合せ))。これらの申合せに共通する文言としてユニバーシティプロフェッサー(平成20年7月22日付け役員会申合せでは「短期ユニバーシティプロフェッサー」に限る)となることができる者の範囲に「本学の役員をこれに含めるもの」と記載されています。

質問1. 貴職のユニバーシティプロフェッサー就任は平成19(2007)年3月1日で間違いないでしょうか。

 平成19年2月~3月期において、旧要項によれば、ユニバーシティプロフェッサーの選考にあたっては、理事、副学長及び部局の長による推薦を経て、適時開催されるユニバーシティプロフェッサー選考委員会による事前選考の結果に基づき役員会が決定する手順が記されています。貴職ご自身のユニバーシティプロフェッサー選考に先立ち、経歴、業績などの提出に関する事務連絡が選考委員会などから届き、ご自身が被選考者になったことを事前に知ることになったはずです。

質問2. 貴職ご自身がユニバーシティプロフェッサーの被選考者になることを知ったのはいつですか。また、それはどのような経路で貴職に伝達されましたか。

 平成19(2007)年3月1日の役員会において、平成19年3月1日付け役員会申合せにより同日以降、学内役員がユニバーシティプロフェッサーの被選考者に加えられることになり、また、役員会議事録に「選考委員会を設置することとし」た旨の記載があります。ところがその平成19(2007)年3月1日以降にはユニバーシティプロフェッサー選考委員会が開かれた形跡はありません。上掲書によれば、貴職の選考に関しては委員長名の異なる2つの選考委員会文書が存在するようですが、いずれも日付は「平成19年2月28日」付けです。もし貴職が上出の選考委員会文書に基づきユニバーシティプロフェッサーに選考されたとすると、選考委員会は平成19年3月1日付け役員会申合せが存在しない平成19(2007)年2月28日以前、すなわち学外者をユニバーシティプロフェッサーの選考対象とするはずだった時期に学内役員を対象に選考を行ったことになります。また、「平成19年2月28日」付け選考委員会文書は平成19年3月1日付け役員会にて資料として配布されています。

質問3. 貴職がユニバーシティプロフェッサーに選考された役員会はいつ開催されましたか。また、貴職ご自身がユニバーシティプロフェッサーに決定された経緯について、ユニバーシティプロフェッサーの授与者であり、かつ役員会の長である総長としての立場から、ご説明くださるようお願いいたします。

2.総長のユニバーシティプロフェッサー就任による職務専念義務違反の疑いについて

 東北大学総長選考会議は、平成17(2005)年3月14日付けで「国立大学法人東北大学の総長選考等に関する規程が制定されました。」という文書を公表しました。ここでは、法人化後、新たに制定された総長選考規程について、4つの「要点」が示されていますが、その第4項では、それまで4年+再選考(+2年)であった総長の任期を、再選考無しの6年に限った理由として、「一定の期間全力を傾注してその職責を果たしてもらうため」だと明記されています。なお、総長は行政職の長、ユニバーシティプロフェッサーは特別な業務を目的とした上位の教授職である教育研究職です。

質問4. 貴職は行政職のトップと教育研究に従事するユニバーシティプロフェッサーが併任できる職種だとお考えですか。

 貴職は、ユニバーシティプロフェッサーに就任以降、2008年(平成20年)度は52日(12回)、2009年(平成21年)度は40日(16回)と、総勤務日数の5分の1強もユニバーシティプロフェッサーとして東北大学を留守にしています。

質問5. 上述のように年間数十日にわたって教育研究活動に費やした事実を鑑みてもなお、貴職は、自らが行政職のトップである総長の職務に専念していたとお考えですか。

3.一副学長に対する異常な高給付与の疑いについて

 昨2010年7月4日にテレビ朝日が北村副学長の2009年の年収は約2200万円だと報じました。この報道以前にも、学内外で、北村副学長の高給がしばしば話題になっており、東北大学職員組合にも事実関係を精査する要望がよせられていました。東北大学職員組合はテレビ朝日の報道に先立ち、東北大学の公表資料に基づいて北村副学長の年収を推算し、折原守労務担当理事(当時。2010年7月末退任、現 独立行政法人国立科学博物館理事)を代表者とする団体交渉の席上、事実関係の確認を迫り、必要な是正を行うことを要求しました。団体交渉の席上、東北大学職員組合が行った北村副学長の給与推算の方法について、折原理事はそれが正しいことを認めました。折原理事後任(労務担当理事)の甲野正道理事も、団体交渉の席上、この北村副学長の高給問題についてテレビ朝日の報道や、東北大学職員組合の試算結果を否定するわけではなく、金額そのものは井上総長の専決事項であり、規則に従っていることを再三言明してきました。

質問6. 貴職は北村副学長の2009年度の給与が2000万円を超えたことをお認めになりますか。また、同2010年度の給与が2000万円を超えたことをお認めになりますか。

 東北大学が公表している「国立大学法人東北大学の役職員の報酬・給与等について」によると、平成19(2007)年度の理事の年間報酬等の額は最高1651.2万円(法人の長は2190.8万円)、平成20(2008)年度は1680.4万円(同2376.5万円)です。一方、副学長は大学職員であり、理事と同等かそれ以下の給与であるのが社会通念上妥当と考えられます。ところが上記報道のように、2009年の北村副学長の給与は、理事どころか総長に匹敵する、異常に高いといわざるを得ない金額に達しています。

質問7. 貴職が、理事や他の副学長と比べて明らかに高い給与を法人の被用者であるにすぎない一人の副学長に対して支給した理由及びその法的ないし学内規則上の根拠をご説明ください。

 東北大学職員組合は上記テレビ朝日の報道内容を文字起こしし、複数のキャンパス内に立看板とポスターを展示しました。立看板は大学当局により無断撤去されましたが、組合掲示板に貼られたポスターはそのまま掲示され続けました。2011年3月、甲野理事からの、「北村副学長の給与を下げる」との非公式の通知により、組合掲示板のポスターを自主的にはずしました。しかしながら、その後の団体交渉の席上などで大学当局にいくら下げたのか尋ねても回答が無く、通知の真偽がはっきりしない状況にあります。

質問8.貴職は北村副学長の2011(平成23)年度の給与を2010(平成22)年度の給与と比べて、人事院勧告のレベルよりも更に下げましたか。

 なお、回答は2011年12月8日までに文書等でお送りくださいますようお願いいたします。

以上


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