リストラにつながる「東北大学における早期退職募集制度」の拙速な導入に反対し、徹底した団体交渉と全学的議論を要求します!
大学当局は、「東北大学における早期退職募集制度」の導入を前提として、それに伴う「退職手当規程」変更の手続きを、組合に団体交渉を申し入れることもせず、1月17日に着任したばかりの人事担当理事のもとで、1月中に提案・決定・導入のすべてをするというきわめて拙速な日程で進めています。組合はこの新制度には重大な問題があると考えます。
この制度は、「年齢別構成の適正化を通じた組織活力の維持」をうたい、[1]高齢層の職員の比率を引き下げるために45歳以上(教員は48歳以上)の早期退職を募集する、[2]組織の改廃や移転にあたって、そこで働いている職員の早期退職を募集する、というものです。しかし、現在および将来の本学にとって「不可欠な人材」については早期退職が認められず、引き続き他の国立大で働く場合にも認められないことが明記されています。すなわち、上記[1]については、期待される人材や、他の国立大で活躍したい人にとっては使えない制度であることを意味します。また、高齢層を活力阻害要因として、その比率引下げを本学の目的とすること自体が問題です。
上記[2]についてはさらに重大です。本学ではセンター等の改廃が頻繁におこなわれていますが、そこで働いている職員を「余剰人員」として、希望退職を募って辞めてもらうという方向で、リストラの道具として使われるおそれがあります。
整理解雇は、「使用者が、不況や経営不振などの理由により、解雇せざるを得ない場合に人員削減のために行う解雇」であり、判例で確立した4要件、①人員削減の必要性(人員削減措置の実施が不況、経営不振などによる企業経営上の十分な必要性に基づいていること)、②解雇回避の努力(配置転換、希望退職者の募集など他の手段によって解雇回避のために努力したこと)、③人選の合理性(整理解雇の対象者を決める基準が客観的、合理的で、その運用も公正であること)、④解雇手続の妥当性(労働組合または労働者に対して、解雇の必要性とその時期、規模・方法について納得を得るために説明を行うこと)、を満たさなければなりません。
本学の就業規則でも、組織の改廃等による整理解雇は、大学運営上のやむを得ない事情や天災事変などがなければできません。しかしこの新制度では、大学役員会が組織の改廃等を決め、それを「円滑に実施する」ためだと言えば、そこで働く職員を対象として早期退職者の募集ができるのですから、大学当局にとって都合の良い基準で整理解雇を進めることができます。その際、「不可欠な人材」については早期退職を認めないのですから、募集対象者は「不可欠な人材」ではないと言われているのと同じです。
仮に、百歩譲って、対文科省との関係で、この新制度の導入が不可避であるとしても、この制度が「退職強要」や「リストラの道具」とならないための保証は、方針でも述べているように、「応募や応募の取下げは職員の自発的な意思に委ねられるもので、これらを強制してはならない」ことにあります。しかるに、「退職手当規程改正案」では、「応募又は応募の取下げは職員の自発的な意思に委ねられるものであって、総長は職員に対しこれらを強制してはならない」とあり、禁止されているのは、総長の直接的な強制のみです。これでは、総長以外の職員による有形無形の圧力等を容認し、「リストラの道具」として使われる道を開くものであると思わざるを得ません。
1月21日に行われた全学労使懇談会の参加者によると、着任5日目の明野人事担当理事は、「枠組みをつくることを急ぐ」という発言をしたそうです。今年度は、事務職員2名だけを対象としていますが、制度としては、有期雇用者や懲戒処分を受けた人などを除く全教職員を対象とした制度です。教員、医療技術職員、技術職員等への運用拡大は大学当局のフリーハンドとなります。
今回の「東北大学における早期退職募集制度」には、たいへんな雇用不安を招くおそれがあります。組合は大学当局に対して、拙速な導入をとりやめ、団体交渉で十分な期間をもって誠実に協議すること、および、全学的議論をつくし職員にとって有益であり、かつ組織として意味のある制度となるよう抜本的に見直すよう要求します。
2014年1月28日
東北大学職員組合