PDF版はこちら.印刷して掲示,配布にご利用ください.
労働契約法改正に伴う無期契約への転換について,本学経営側はこれまで,5年での契約打ち切りを基本とし,無期転換のためには
10月18日,組合に対しこの方針を見直すとの連絡がありました.
「諸般の事情の変化によって,方針を原点に立ち返って見直し,年内には新たな方針を示したい」 とのことです.
「見直し」がどのレベルのものなのか,どの程度無期転換への道を広げるものなのかは,現時点では明らかになっていませんが,少なくとも10月中に事務補佐員を対象とした無期転換者の候補を部局で選考するという手続きは延期されるとのことです.
組合への連絡の中で「諸般の事情の変化」の一例として人事給与課が挙げたのは,以下の日本経済新聞10月17日夕刊の記事でした.
5年で正社員に? 契約社員やパート、心の準備を
この中では,
労働政策研究・研修機構の調査では「契約が5年を超えないようにする」と答えた企業は6%,逆に「5年を超える前に無期化する」とした企業が19.6%だった。との記述も見られ,社会的には雇い止めしない対応が多数派であることが推測されます.企業の対応についての同様の見通しは,たとえばプレジデントオンライン9月14日の記事
企業がこのような対応をとる理由として,日経記事では以下のように解説しています.
この2社が法の規定よりハードルが高い限定正社員化や前倒しでの無期化に動いた背景には、人手不足と労働市場での競争がある。<中略>人材流出による質の低下を避けたかった」と話す。
多くの企業は,有能な働き手を企業間で奪い合う時代が来ると考えているわけです.一方,大学のこれまでの方針は,5年で雇い止めしても,次々と有能な求職者が現れるはず,という極めて甘い見通しに立ったものであり,労働者の権利を守る面で問題であるだけではなく,大学経営という面でも遅れた認識に立っていたと言わざるをえません.今回,大学が認識を改め,労働者を守り,有能な働き手を確保するという方向へ方針を転換するのであれば,大いに歓迎します.
労働契約法改正の精神は「雇用の安定化」です.5年以上継続して働いた人は,何の条件も必要とせずに無期契約に転換する権利を持っています.「希望する人全員を無期契約に!」という組合の主張は,この精神をそのまま表現したものです.
今回の「方針見直し」が,この精神に立ち返り,無期転換への道を大きく広げるものとなることを,改めて要求します. 当事者である准職員・時間雇用職員の皆さん,そして安定した職場環境を求める正規の教職員の皆さんにも,組合に加入して,無期契約転換への道を大きく広げるよう,ともに働きかけることを呼びかけます.