雇い止めを前提とした後任人事募集を凍結すること(申入書)

この3月での雇い止めを既成事実化した後任人事募集がすでに一部の部局で行われていることに対して,組合は1月5日,下記のような申し入れを大学に対して行うとともに,各部局宛にも送付しました.

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国立大学法人東北大学
人事労務担当理事 大槻 達也 殿

国立大学法人東北大学職員組合
執行委員長 片山知史

 現在、複数の部局で准職員・時間雇用職員を2018年3月31日で雇い止めとすることを前提とした後任の人事募集が行われているようです。しかしこれは、下記に示すように労使間で合意に至っていない人事制度を、使用者側が一方的に既成事実化しようとしているものであり、不当労働行為です。また、2月1日付けで後任を採用し、引き継ぎ業務を行わせることを予定している部署もあるようですが、これは明らかに継続した職務があるにもかかわらず無期転換権の発生を阻止する目的で行われる雇い止めであることを示しており、労働契約法の潜脱行為であることは国会での厚労省担当者の答弁からも明らかです。雇い止めを前提とした人事募集を凍結し、さらに現在既に募集が行われているものについては、直ちにこれを取り下げるよう申し入れます。なお、ハローワークに対しても本学の准職員・時間雇用職員の人事募集についてはその内容を確認し、雇い止めの後任人事である場合にはこれを受け付けないよう要請を行う予定であることを付言します。

 まず、2016年2月18日付けの当組合と大学との確認書の存在です。この確認書の締結以降、就業規則は改定されていませんので、現在でも部局からの雇用契約の更新上限(5年)を超えた契約更新についての部局からの推薦が可能であることは明らかです。大学本部がこれを承認しないという道は残されてはいますが、部局が自らの財源で行う雇用を大学本部が承認しなかったことはこれまでなく、そのようなことを行えば部局と大学本部との関係に重大な軋轢をもたらすことは明らかです。この確認書は法的には労働協約であることは大学も認めており、その不履行は不当労働行為となります。
 次に、岐阜地方裁判所で2017年12月25日に、労働契約法第19条に基づいた雇い止め無効の判決がありました。NTT西の子会社が2015年9月末に契約社員を雇い止めしましたが、これら社員はその時点で5年から12年の契約更新を繰り返しており、合理的期待権があったと認定され雇い止めは無効とされたものです。すなわち、改正労働契約法施行以前の契約更新が合理的期待権の根拠として認められたものです。同条項が判例として既に存在していたものを明文化したものであることを考えれば当然の判断と言えます。本学においても、すでに複数の当事者が労働契約法第19条に基づく法的措置をとる準備をしており、これが認められる可能性は十分にあると考えられます。
 さらに、2017年1月17日の人事方針案によって更新上限を超えた契約更新ができなくなったというのであれば、これは実質的な就業規則の変更ですが、過半数代表者からの意見聴取は行われておらず無効です。もちろん組合に対する合理的説明も行われていません。上記確認書の存在をおいても、現在でも部局からの推薦による上限を超えた雇用更新は制度上可能でなければなりません。

 このように、該当者全員が雇い止めされることを前提にした後任人事は不適切であり、万一後任者に内定を出した後、該当者が引き続き雇用されることになった場合、内定取り消しなどによる損害賠償請求すら想定されます。
 このことを部局に通知し、雇い止めを前提とした後任人事募集を凍結することを求めます。


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