1998/8/24(1998-1)
発行・東北大学職員組合教育宣伝部
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☆日時:7月24日(金) 13:07開会、17:15終了
☆会場:片平市民センター 3F 第1・2会議室
☆出席:代議員31/48名、執行委員14/17名、計45/65名の過半数で成立。
☆議長:金研支部・高田九二雄氏、工学部支部・金澤敏昭氏
☆議決:全議案とも全会一致可決。特別決議、大会宣言は拍手採択。
6/30に大学審議会が答申(中間まとめ)を出した。副題に「競争的な環境の中で個性が輝く」とうたっているが、個性が輝くかは大きな問題だ。文部省の方針が貫徹され、むしろ大学の個性が失われるのではないか。競争的環境についてはすでに大学の中に入ってきているが、今後さらに進むだろう。今朝の「朝日」に出ていた公務員制度調査会による一般公務員への任期制導入の提案を見ると、一般公務員に任期をつけることで人事を速く回転させようとしているようだ。一切の競争を排除すべきとする態度はとるべきでないが、これからはそのもとで労働環境が悪化していくだろう。古典的資本主義への逆戻りの方向だ。しかし他方、参議院選挙で出た国民の批判、民意の発現を見ると展望ある状況も生まれている。活発な討論で総括と方針を深めてほしい。
病院支部で新卒者が組合に加入したと聞きこの変化と前進に注目している。県労連も大きく前進している。参議院選挙で自民党が大敗したことが労働戦線にも大きく影響しているようで、直後に加盟申請が1件あった。取り組みを強めたい。自治労連より8/5から行われる大会で県内闘争を報告してくれるよう要請があった。全農協労連からも6,000字の寄稿要請があった。闘いが注目されている。ひきつづき中心的に奮闘してほしい。
長引く不況の中で生活が苦しくなっている。参議院選挙の結果はこれまでの自民党の政策への国民の審判だ。国公は橋本六大改革に反対して、国民と労働者が主人公とした行政改革を求めてきた。この闘いはこれからも重要だ。私は全司法の出身だが、以前から東北大に対しては平和と民主主義にしっかり取り組んでいるというイメージをもってきた。今の攻撃はまさにその問題であり労働者はこれとしっかり闘わなければならない。人勧は国公労働者の権利の前提であり県国公でもこの間何度か人事院東北事務局交渉に取り組んできた。今年は賃金と昇給の2つが主な課題だ。昇給問題では人事院に対して、民間でも係長クラスを賃下げしている事実はない等、改悪する理由がないことを主張してきた。東北事務局の課長は個人的にはそれを認めているし、標準生計費についても標準ではなく最低水準のものであることを認めている。追い込んでいるというのが実感だ。標準生計費と最低賃金の問題に引き続き取り組むとともに、間近に迫った問題として昇給問題に全力で取り組む。東北大は多くの支部と職種を抱えて大変だろう。裁判所も本来多様な職種を抱えむしろそれが差別の口実にされてきたのだが、今は廷吏の事務官への統合等、それを整理統合しようとしてきている。
この一年、任期制や勤勉手当等共通の課題でともに取り組んできた。これからは教育の反動的改革に反対して闘っていくことになるだろう。大学審議会の問題は中教審や教課審の問題と同じであり危険な内容をもっている。日本の過度に競争的な環境についてはむしろ是正を求める勧告が子どもの権利条約の関係で日本に対して出されている。過度に競争的な環境の中で、暴力やポルノなどが大量に入り込み人格の正常な発達を歪めている。大学も含め日本の教育が大変歪んだ状況におかれている。この問題については全ての教職員が一致してがんばるべきことであり、またそれができる課題だ。親の立場としてもお互いに子どもと教育の正常な発達のためにがんばろう。
間もなく自民党の次期総裁が決まるが、参議院選挙で下された明確な審判をまともに受け止めない自民党の在り方に対して世界中から批判が集中している。これは日本の悲劇とも言える実態だが、国民が立ち上がれば主人公であることができることも明確になった。自民党の逆立ち政治に対する疑問として現われたのがこの6年間の連立政治、今出ているのはその連立政治に対する疑問、この間を見ても歴史の歯車は大きく進んでいる。食料自給率が低いにもかかわらず減反を進め、任期付雇用や実利功利の追求に走る等今の政治の在り方には矛盾が多い。醜い総裁選びはさらに自民党の支持を減らし民主党と共産党の支持を伸ばしている。しっかりと将来を見据え国民が主人公となる政治を作り上げていく時だ。大学は新ガイドラインのような逆立ちした政治から新しい方向を提示できるような役割を果たしてほしい。この大会が将来の展望に確信を持ち新しい大学と社会の在り方の構築に向けた出発点となるように期待している。
◆(工):勤勉手当の差別支給について支部では実態が把握できていない。ローテーションとなっていることを期待しているのだが........。他支部に部局の実情について聞きたい。
◇(本):先月行われた金研所長交渉で明らかになったことは、評議会決定通りに支給し恣意的運用はしないこと、時期的には十分配慮すること等であり、それがローテーションを意味するかどうかは組合としても問わなかった。
◆(理):私は70/100だった。学部長交渉はできていないが人事院規則に沿って優秀な人に出したとのことであり数年かけて様子を見守りたい。組合で知らせた計算式があってもよくわからないという人が多い。
◆(科):事務長交渉では「優秀者の比率は25%とは限らず50%以上になるだろう。この中でローテーションを組むことになるだろうが、100%は考えられない」などの回答があった。選考基準は「ない」と明言しており、私達のローテーションなどの要求が今後どう反映されるのか12月期の支給に注目したい。
◇(本):今期人事課長との会見をかなり重ねてきたが、途中で人事課長が代わったという問題もある。ローテーションについては組合からもなかなか言い出せないことだ。東大の場合も組合も当局も言い出せず大変だったらしい。教官の役職別加算が示されないためにわからない人もいる。
◇(本):個々面談をしないと本人でもわかりにくい。当局はローテーションについては口にしないよう徹底しているようだ。
◆(理):重点化の数年前にマスターまでが学部だと考えるべきだと言う教官がいたが、去年の新聞には本当の年齢を知るためにはいわゆる年齢から8歳ひくべきだとの議論が掲載され、今朝の新聞には10歳引くべきだとの議論が登場した。小中高の先生も子どもたちのことがよくわからないことに悩んでいるが、大学の教官の多くも学生への接し方がわからないでいる。大学審議会の中間答申はそれに答えるものになっていない点で時代錯誤のものだ。我々の対応も的外れで、別な観点でシンポジウムが行われたり、責任ある地位にある人が行動の必要を感じてかえって青田刈りをしてしまったりしているのが現状だ。産官学連携協議会なるものが呼びかけられ理学部はこれへの参加を決めた。インターン制度は学生がアルバイトとして働きそれが単位として認定されるという本末転倒の制度だ。丁寧な選抜を行うという名目でクラブ活動を評価の対象とするというがこれでは私的なものを評価の対象とし大学が高校をコントロールすることにもなる。どの教官も大学で高校教育をやり直さなければならないことに悩んでいる。総合的な人間をつくらなければいけないと言っている一方で高校でも大学の1〜2年生でも物理を専攻しないまま物理に上がってくる例も生まれている。それぞれがんばっているがそのがんばりが個々バラバラのままなので数年後にはかえって大変なことになっているだろう。このままではダメだ。現場で悩んでいる40〜50歳程度の人が統治的な施策を練るようにしないと大学はつぶれるのではないか。教員の大衆闘争が必要だ。
◆(遺):大学の法人化・一部民営化・自治体化等の動きや奨学金によるポストドクターの2〜3年の雇用、他省庁の奨学制度を活用した4〜5年の雇用、卓越した能力を使い集中的に研究する(COE)という位置付けでの講師待遇程度の2〜3年の雇用等短期雇用の増大、また学生でさえ就職先は期限付雇用が当り前といった状況であり、大学は多様化してきている。重点化も生き残りのための手順となっている。重大なことは大学構成員全てにきちんと知らされていないことだ。利害の深刻な学生にさえ知らされていない。我々も院生や学生に大学の基本的な動きを知らせていない。学生院生の自治会等とはかつてはともにたたかったが今ではほとんど崩壊しており手近な院生等に知らせる運動も含めて取り組む必要があろう。自分の将来や明日の仕事の方を重視する彼等の中にはなかなか私の言葉は入っていかないようだが、私なりには各職層の役割と大学の構成、我々自身がなすべきことについて言っている。
◆(金):2001年には省庁再編が行われる。金研を科学技術庁の直轄研究所に併合しようという動きもある。技術職員問題は従来の運動の流れからみての記述となっているが設置基準との関係でどのように反映しているかが重要だろう。省庁再編の動きについて把握していることはあるか。
◇(本):情報として知っていることは、科学技術庁と文部省が予算問題で合同の会議をもったこと、技術専門官の選考基準のハードルが高いことには科学技術庁との関係もあること等がある。しかし全大教からはとくに情報は入っておらず組合としての検討はその後のことになるだろう。
◆(科):技術職員について従来の補助職規定からはずれ訓令による位置付けになったことは評価できるが、我々は省令で明確に位置付けすることを要求することが必要だ。また実質的な前進と評価する上で定数がまだまだ不十分なことも重大な問題だ。またこの機会に技術職員に何が求められているのかを技術職員自身が各部局で考えることが必要だ。技術室の現状について言えば、金研と科研は10人ユニットの体制であり流体研は5人ユニットの体制となっている。通研が平成11年度の概算要求を出したところユニットの人数を減らすように言われたという。文部省と科学技術庁の合併についてはよく言われるような産業界を主体とした動きではなく省庁自身の生き残り策でなないかと思う。
◆(歯):文部省は歯学部の学生定員を削減する方針だ。理由は受診抑制が起き患者が減ったことによる収入減をくいとめ採算をとるために、学生を減らすことによって歯科医師の数を減らすというものだ。受診抑制を招いたのは医療改悪であり、それを逆手にとって収入減をくいとめるために学生を減らすというのはおよそ許されない論拠だ。教員養成系大学での学生定員の3000人削減の動きや30人学級に対する消極的姿勢と同じ発想だ。文部省はこの方針で大学にのぞんでいる。歯学部はこの間重点化したいがために文部省と対決しようとしない傾向があり危惧している。
◆(病):医大懇への本部・各支部の協力に感謝している。自分達らしさをだそうとしてシンポジウム形式の市民が参加できる分科会を開催することができた。これまでの積み重ねが生き、今後の運動の方向性も生まれたと思う。今期は2名の新入看護婦を組合に迎えることができ私たち自身が変わる必要性と組合の重要性を感じた。ミニコンサートに参加した看護婦にも加入を呼びかけたい。
◆(反):昇格の配分数はいつの時点のものか。
◇(本):7/1の配分情報について人事課に要請してはいるが情報が完全には届いていない。6級配分は例年より早い。議案の数字の多くは支部からの報告で得た情報による。(後で得た情報によると工学部で6級4人、5級9人、4級0人、3級1人、流体研で6級4人)
◆(理):教職員共済の委託手数料は大きいが利用者数はどの位か。
◇(本):現在576名利用している。
◆(理):財政難の中で唯一大きいので多くの組合員に利用してもらい還元金を増やした方がよいのではないか。
◆(北):答申はどのように具体化あるいは検討されているのか。またそれに基づいて上部加盟費を同率納入することが提案されているが、前年度大会で全大教加盟費を減額する際に、同様に厳しい状況にある他大学との関係が問題となったように上部加盟費の減額は東北大学のみにとどまらない問題だ。県国公と県労連に対してどのような影響があるかについてきちんと考えたのか。
◆(科):組合結成50周年記念行事に50万円の予算をつける裏付けはあるのか。
◇(本):50周年記念行事の予算については前大会で当面の立ち上がり資金として確認されたが未執行となっている。県国公等加盟費の減額については当面2000年までの措置であり県国公と県労連へは一度話してある。決着はしていない。場合によっては臨時大会が必要かもしれない。
◇(本):県労連と県国公には大会での承認を得て正式に話すが根回しはしている。当面2年間だけの措置でありその後は正規の人数とする。東北大学だけの運動ではなく県労連や県国公へのダメージとなることも重々承知だが、組織財政問題検討委員会答申を執行委員会も妥当と判断した。苦渋の選択だ。
大会を無事終了することができ御礼申し上げる。委員長をつとめたのは2回めだが、前回との違いは大学構成員各層が皆多忙化していることであり、これは大学自体の存亡に関わる事態だ。また、組合は高齢化が進み言い換えれば若返りが遅れている。その点では今期もさらに組合員数の減少に歯止めがかからなかったことに執行委員会を代表して深くおわびするとともに、組合員全員の力で組合員を拡大することが必要であることを訴えたい。これまでの御協力に対して厚く御礼申し上げる。
旧執行部には心から御苦労様と言いたい。ぎりぎりの選択に対処することが多く大変だったことと思う。今期もまた厳しい状況と思われる中にありさらなる努力をしたい。官民トップのすることには目に余るものがあるが参議院選挙の結果はそれをサポートする自民党が大きく打撃を受けたということでもありその点では展望がある。皆さんの力を最大限くみ上げて取り組みを進め組合員拡大にも努力したい。
人事院は五月二七日、突然、高齢者の昇給制度について、「昇給延伸年齢を現在の五六歳から五三歳に、昇給停止年齢を現在の五八歳から五五歳とする。実施時期は平成十一年四月と考えている。今後、各省や職員団体の要望を受けながら、六月中には成案を得、人事院勧告で具体化したいと考えている。」ことを明らかにしました。
現在でも問題の多い「昇給延伸・停止」制度について、年齢をそれぞれ三歳引き上げることは、現実の生活設計にも重大な変更を強いるものであり、公務員の生活実態を全く無視するもので到底容認出来るものではありません。
特に、大学教員の場合は、入職年齢が高く、現行制度でも大きな矛盾を抱えており、国大協も「延伸制度について、教員への適用年齢の引き上げ」を強く要望しています。
今日の長期にわたる景気低迷の下で、この「昇給延伸・停止年齢の引き下げ」が強行されることになれば、「退職金」や「年金」に限らず、勤労意欲や士気にも大きな影響を及ぼしかねません。
私たちは、人事院が労働基本権の代償機関として国家公務員の生活を守るためにその職責を果たすべきであると考えます。今回の人事院の提案は、私たちの要求と大きくかけ離れており、極めて遺憾といわざるを得ません。
私たちは、昇給延伸・停止年齢の引き下げの「昇給制度の見直し」改悪に断固反対するとともに、即時白紙撤回することを強く要求します。
右、決議します。
現在、日本は深刻な不況が続き、倒産やリストラによる失業者の急増により、戦後最悪の失業率となっています。政府・与党は、この不況を打開するための有効な方策をとらず、逆に消費税率の引き上げや医療費の国民負担増を行い、不況をより一層深刻化させました。さらに、バブル経済時の乱脈経営により経営が悪化した銀行やゼネコン救済のために巨額の税金を投入し、あるいは、危機的状況に陥っている国家財政を、不要不急の公共事業の削減ではなく、福祉水準の切り下げなど、国民の犠牲で立て直そうとするなど、反国民的な政策を次々に打ち出しています。このように、政府・自民党は、腐敗した現在の政官財の利権構造には手を着けず、国民にのみ犠牲を強いる財政構造改革を、強引に押し進めています。しかし、このような自民党政治は、国民との間に鋭い矛盾を生み出し、国民各層に現状の変革を願う強い意識の変化を引き起こしています。7月12日に行われた参議院選挙での自民党への厳しい審判は、このような国民の意識の変化をものがたるものであり、私たちの今後の運動に展望を開くものといえます。
東北大学職員組合は、私たちの生活・勤務条件の改善に向けて闘うと共に、大学に働く労働者の組合として、学問研究の自由を守り、研究・教育条件の改善をめざす活動を組合運動の基本においています。私たちは、今大会の議論を通じて、このような立場から、政府に対し大学への予算や定員の削減措置を直ちにやめ、危機的状況にある大学の研究・教育環境の改善のために抜本的な財政措置を取ることを強く要望しました。また、昨年私たちの組合を母胎としてオープンした「東北オープンユニバーシティ」をさらに発展させるなど、国民に開かれた大学作りを通じて、日本の平和と民主主義の発展に寄与することを誓いました。さらに、私たちは、大学の教育・研究・医療・事務の各分野で、明るく民主的で生き甲斐をもてる職場を作るために、先頭に立って奮闘することを互いに決意しました。
昨年成立した「大学の教員等の任期に関する法律」に基づく任期制が東北大学にも導入されました。任期制は、教員の雇用の不安定化をもたらすばかりでなく、日本の高等教育や学術水準の低下をもたらす危険があることから、私たちは、大学当局の任期制導入に抗議しました。また、私たちは、勤勉手当の差別支給強行を批判し、昇給延伸・停止年齢の引き下げを阻止する闘いを強化することなどを決定しました。そして、二一世紀の大学が、大学審議会の中間報告「二一世紀の大学像」の描くような、大学の自治が否定され、国策の下請け機関化したものとなることなく、真に国民に開かれ、日本と世界の文化の向上と民主主義の発展に寄与するものになるよう、私たちの運動を発展させることを決意しました。
今、日本の社会は閉塞状況に陥っています。この状況を打開し、私たちの生活と権利を守り、真に豊かな社会を築くために、組合の果たす役割はますます大きくなっています。今こそ組合を拡大強化し、私たちの運動を大きく発展させようではありませんか。全学のみなさんにも、私たちの運動に加わり、共に闘うことを訴えます。
右、宣言します。
一九九八年七月二四日 東北大学職員組合一九九八年度定期大会