1998/8/25(1998-2)
発行・東北大学職員組合教育宣伝部
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日時:998/7/27(月)11:00〜12:43
場所:第一会議室
当局:総長、事務局長、企画調整官、総務部長、人事課長、他
組合:吉田、真壁、平賀、赤間、近藤、他
◆課長 平成10年度の総長と組合との会見を始める。(当局側代表の紹介)
◇組合 会見と言われたが組合は国公法108条の5第1項の団体交渉と考えている。会見というからには法的根拠を示してほしい。
◆課長 慣例として。
◇組合 法規上の根拠を示してほしいと言っている。
◆課長 明文化された根拠はない。東北大学ではこれまで慣例として会見と言ってきた。
◇組合 慣例を変えるよう求める。国公法108条の5弟1項によれば当局は組合から交渉の申し入れがあれば応ずべき地位にある。つまり義務である。会見ならば義務は生じない。私たちとしては明らかな団体交渉を申し入れている。当局には応諾すべき義務がある。また、課長は平成10年度のと言ったが年に1回と我々が言ったことはない。
◆総長 その件は別途きちんとしてほしい。
◆事務局長 国公法通りの申し入れがあったらその通り行う。
◇組合 (組合側代表の紹介)
◆総長 国立大学の独立法人化はとりあえず今回は採用されなかったが、近く選択肢となりうることも明記されている。国立の機関でも、私立のもので同じ目的を達せられるものは極力民営化するという意見が強い。戦後国立大学の民営化が強く言われたがそれと同じ延長線上の話だ。現在、永田町と産業界は国立大学に厳しい状況だ。大学審議会委員も私立大学出身者が多くを占め、文教族の国立大学への反応は厳しいと文部省も言っている。私も反論するようにしているが、国立大学に対する逆風は、私立大学の役割との関係もあるが、国立大学が社会の変化についていっていないことにもよる。私はむしろ社会に迎合しすぎたことが国立大学の停滞の原因だと反論しているが、文部省のバックにある意見は違っており財政削減等が厳しく行われている。大学内部の努力が見えないと言われ、見えるようにできなければ独立法人化すると脅されている。この2〜3年は我慢の時だ。私はへこたれはしないし、概算要求も続けていく。困難な時だからこそ国立大学の役割をきちんとしていかないと子孫に大きな問題を残すことになる。組合もそいういう状況であることをぜひ認識してほしい。はねとばすべきことははねとばすとしてもぜひ協力をお願いする。
◇組合 総長の情報提供に対して組合からも意見を述べる。大学審議会が「中間まとめ」を出した。8/20までに意見を集約することになっている。組合としては全大教を通じても意見を反映するが、大学当局から意見を述べるにあたって組合の意見を聞く機会を設けてほしい。
◆総長 手続問題として、大学から大学審議会に意見を集約するというルートはない。国大協として意見を述べる機会はあるだろうが個々の大学にはない。文部省ですら3年は必要な議論を何ヵ月かで済ませようというのだからひどい話だ。過去にもそんなことをした例はない。
◇組合 もちろん国大協を通じて意見表明するということでよい。
◇組合 組合は任期制の導入に反対だったが残念ながら導入された。要求書を出した時点では加齢研だけだったが、その後科研も導入した。なぜ助手だけに導入されたのか、なぜ任期は3年なのか、なぜ再任不可とされたのか等について総長としての見解を明らかにしてほしい。
◆総長 昨年8月の交渉でも同じことを述べたが、大学としては特定の方法を確定的に決めることを議論するつもりはなく、導入する部局が出てきたら評議会としては事務的に対応するという方針だ。同じことを評議会でも話した。
◇組合 導入の理由について評議会では議論しなかったのか。
◆総長 当該部局から若干説明があったかという程度だ。
◇組合 組合はそのように回答されることを予想していた。だからこそなぜ導入したかについて知るべく加齢研所長の出席を求めたのだが、それに対して総長が責任をもつからということでその出席を拒否された経緯がある。総長としては回答する義務がある。
◆総長 導入については部局教授会が判断し、評議会では議論しないことになっている。
◇組合 だからこそ同席を求めた。
◆総長 同席の必要はない。加齢研所長についても科研所長についても。
◇組合 この場で回答を求めることになっていた。
◆総長 その要求はもともと趣旨に反することだ。
◇組合 評議会には最終的に決断した責任がある。総長には部局が導入した理由を明確に把握する責任がある。部局長には全学に向かって説明する責任がある。陪席を求めた趣旨はここにある。
◆総長 見解の相違だ。もちろん最終的に私に責任はある。しかし教授会の決定について評議会で細かく聞くというプロセスをとらないことにしている。
◇組合 見解の相違があることを確認したい。組合としては総長が全学的な責任を放棄したと判断する。また、加齢研と科研での導入は文部省の方針に迎合し財政誘導に乗ったものと言える。
◆総長 国大協第一常置委員長として財政誘導は絶対に困ると学際局長や高等教育長等に言った。法律ができ付帯事項として明文化された。会長とともに文部省に対して話し文部省は了解した。加齢研の任期制導入が財政誘導的だったとは思わない。これ以上疑えばかんぐることになる。
◇組合 任期制はすでに学部自治の範囲を越えた問題だ。労働法制の改悪や公務員制度調査会が一般公務員への任期制導入を提案するなどの動きがある。大学は労働法制改悪のいわば水先案内人として国民に対して言葉は悪いかも知れないが犯罪的役割を果たしていると思う。組合は以下の2点について要求する。(1)総長交渉の場で組合から任期制の導入に対して強い抗議があったことを各部局長に伝えること。(2)総長として評議会に任期制導入規程の廃止を提案すること。
◆総長 (1)は事実だから伝える。(2)についてはできない。現在の東北大学では教員の任用は著しく部局長の判断によっている。現状では実情に合った方法をとる。
◇組合 組合は今後とも任期制に反対であるとの立場を表明する。
◇組合 突然、人事院から昇給延伸・停止年齢の引き下げが出されてきたが、このことに対して総長はどう考えているか。
◆総長 個人としては大学になじまないと思う。国大協では第四常置委員会の管轄だが、6/16に行われた国大協総会において第四常置委員長は厳しく、今までは人勧の完全実施を求めてきたがそれをやめることを検討せざるをえない旨の発言をしていた。会長と第四常置委員長は人事院の説明を受けた際に口頭で慎重な対応を強く求めたという。文部省も人事院に対してこんなことでは困ると言ったという。個人として言うと問題かもしれないが、私は常々人事院はもう少し大学本来の役割に理解をもってほしいと思っている。国大協副会長としていろいろ相談されてもいる。機会があれば自分なりにお願いしたい。
◇組合 第四常置委員長が完全実施を認めないとは昇給制度改悪に反対するという意見ととっていいか。
◆総長 必ず反対すると言っているのではないが、私はそう理解している。
◇組合 国大協は7/6付で人事院に対して文書を出したが、それによると現行でも昇給延伸制度には問題があるとしてむしろ昇給延伸年齢の引き上げを要望している。
◆総長 国立大学に対してすさまじい逆風が吹いている。人事院がそれを踏まえてやっているのではないかと思うほどだ。各大学としてきちんとやらなければいけない。人事院の誤解もあるがただ反対するだけでは誤解はとけない。前向きで説得力のある提案が必要だ。
◇組合 それはもちろんやるべきことだ。組合も当局も。
◆総長 任期制の問題も同様だ。
◇組合 国大協は意見を表明している。建て前だけでなくそれに基づいて行動すると理解していいか。
◆総長 そうだ。
◇組合 国大協あるいは総長の考えと組合の考えとはこの点では同じだ。人勧が出る前に反対の意思を国大協を通すなどして表明してほしい。もし人勧に盛り込まれた場合には、9月あるいはそれ以降の評議会で議論して国大協の意見の方向で見解を表明してほしい。
◆総長 手続きとしては難しい。どういう方向が有効か考えてみる。趣旨はほとんど一致している。
◇組合 総長は教務職員について昨年の交渉で「仙台弁で言うといずい存在だ」と言ったが、組合は前総長に比べて一歩踏み込んだ発言と評価している。人道上の問題、教育職(一)表の問題、助手振替等の問題、組合の要求との関係等を総合判断していずいと表現したのだと思う。各大学で努力している中、東北大には全国の約1割にあたる91名も教務職員がいる。かつては東北大以上の教務職員がいた上位5校がここまで減らしてきている。
◆総長 見習わなければいけない。
◇組合 事務長にもお願いしたい。部局の実態等もあり事務方としてもサポートしてほしい。残念ながら組合は全部局で交渉できるような状況ではない。助手ポストが増えても教務職員の方が放置される例もある。組合は人道上、人権上の問題として位置付けている。60歳自己都合退職は長年勤めた教務職員に対して非礼な問題だ。
◆総長 大学院重点化と連動して進めるのがやりやすい。昨年も交渉を受けて部局長会議にも協力を要請したが、なお一層がんばる。教務職員は問題ある制度で私が委員長となる以前に国大協第一常置委員会では助手とすべきとされていた。ところが助手の方が多様化している。助手の位置付けを明確にするために第一常置委員会と第四常置委員会で合同会議が開催された。現在それをもとに第七常置委員会が助手の明確化をはかろうとしている段階だ。それを踏まえて教務職員から助手への振替を進めようと考えている。重点化はチャンスであり部局長に私からお願いしていきたい。
◇組合 組合は前総長より認識が格段にまさっていると認識している。ぜひ任期中に解決をはかってほしい。
◆総長 部局長の問題であり、部局長に対して極力要請するのが私の役割だ。私流にさせてほしい。
◇組合 優れて事務方の肩にかかっているので、サポートをしてほしい。
◆総長 後は部局が動き概算要求の案を出してこなければ進まない。私から部局長会議に話す。
◇組合 事務方はわかっても部局長がわからないとたいへんなので総長からも働きかけてほしい。
◆事務局長 総長の言った通り。
◇組合 あまりに長期間懸案になっている問題だ。
◆総長 本質的に大学だけでは解決できない。できるところでがんばりたい。
◇組合 組合は1968年の確認書の精神は生きていると認識している。人事院規則が改正されたという現実はあるがそれでも勤務評定を行うことは難しいと認識している。両者の兼ね合いとして今後いかに運用を工夫していくか、すでに6月の勤勉手当は支給されたが、それを踏まえて総長の見解を聞きたい。まず、勤勉手当の差別支給が導入されたことについてはどうか。
◆総長 意見を言っても仕方のないことだ。審議中は言うが決まったことについては言わない。
◇組合 80/100以上の特に優秀な者については総長の裁量であり、その評価基準を明らかにするべきだ。
◆総長 明らかにできない。部局長の裁量で選考する場合については私から部局長に対して聞かないことにしているが、それと同様に私の裁量で選考する場合についても聞かないでほしいという立場だ。
◇組合 今は総長交渉中であり総長は答えるべきだ。
◆総長 勘弁してほしい。
◇組合 評価をする以上、それには明確な基準があるべきだ。
◆総長 今回はそういうやり方をとっていない。私がピックアップしたのはごく少数で、全学的に特段の犠牲を払ってくれた人だ。あとは部局長に任せてある。
◇組合 評価に基準がなければ、恣意的に判断されたと思われても仕方ない。
◆総長 基準を示せば誰に与えたかまでわかってしまう。
◇組合 今後とも評価基準をはっきりさせる方向で進めてほしい。
◇組合 今でも管理職などには役職手当がついているが、勤勉手当でさらに差をつけるのか。
◆総長 誤解があるようなので再度説明するが、私がピックアップしたのはごくごく少数で、全学の仕事を教育研究を犠牲にしてまでやっていただいた人にやった。組合の論理に筋があると思う。
◇組合 教育研究以外で評価したということか。
◆事務局長 法規的に言うと、総長は部局長に枠を配り、選考については部局長の見識と判断に任せたということになる。見識と判断において選考したということで、規範的なものとしての基準はない。
◇組合 組合は差別支給に反対である。人事院規則の現実はあるにしても、今後実質的な差別支給にならないよう要求する。
◇組合 定員外職員は1000人以上いる。定員削減の中で定員化を行うことは難しいとは思うが、これもまた人権問題に近い問題だ。大学として積極的に動いてほしい。
◆総長 困った問題だ。人事院が教育公務員も大学教職員も同様に扱っているという矛盾もある。いいアイディアがない。昔は常勤に移るという例もあったが今はそれも厳しくなった。今、大学はきちんとした教育研究を行い停滞を招くわけにはいかない。常勤に移るチャンスはほとんどない。定員外職員には申し訳ないと思うが特効薬はない。趣旨については全く同じ考えだ。
◇組合 問題点の認識は共有している。当局に努力してもらうしかない。放置できない問題だ。
◆総長 大学の責任で何とかすると言うと嘘になる。
◇組合 部局長に大問題としての認識をもってもらう必要がある。
◇組合 定員外職員の7〜8割をパート職員が占める。身分証交付の実現はいい方向だが、パート職員を使いきるためのものでもある。身分証は職員と同様に10年保証のものであり、大学がパート職員の存在を無視できないという現実を示している。待遇が悪いのに職員並の仕事をしてもらっているという問題だ。ボーナスをもらう人ももらわない人も気分が悪い。
◆総長 工学部にいた時ボーナス期にはパート職員の前でボーナスの話はしないようにしてきた。制度上できないことになっている。文部省というよりも代議士の問題だ。文部省は自信喪失状態にあるので、パートの問題を言うと、それではなぜ独立行政法人化に反対したのかと言われる。いいアイディアがない。
◇組合 人事院は組合との交渉でパートにボーナスを支給してはいけないとは言っていないと回答している。また餅代等の名目でボーナスを出しているところもある。
◆総長 教授のポケットマネーからの支給では一般化は難しい。
◇組合 見るに見かねてのことだと思う。
◆総長 餅代では一般化は難しい。趣旨は言われる通りだ。
◇組合 さらに努力してほしい。
◆総長 これもまた部局長会議で話題にする。
◆総長 民事調停から裁判に移った。なぜ日本の裁判はこんなに遅いのか。弁護士の都合が悪いとどんどん先延ばしになる。県側は所有権を主張し仙台カントリークラブ側は実質的所有権を主張している。県知事は所有権の争いならばやりやすいと言っている。この間の経緯については企画調整官から説明させる。
◆企画調整官 これまで口頭弁論は4回行われた。第一回口頭弁論は2/23に行われ原告宮城県側は出廷したが被告仙台カントリークラブ側は出廷せず書面により請求の棄却を求めた。第二回口頭弁論は3/30に行われ双方とも出廷した。第三回口頭弁論は5/25に行われ裁判長から被告側に対して実質的所有権があると主張するのならばなぜ賃貸借契約を締結し賃料を支払ってきたのかについて質問があった。それに対して被告側は賃料は固定資産税として納入してきたと答えた。第四回口頭弁論は7/22に行われ、もともと国の土地だったものがいつ被告のものになったのかについて問われた被告がそれについては検討中である旨を答えた。なお、被告側は反訴の提起を検討している。
◆総長 長期化が心配だ。一日も早く終わってほしい。東北大学としてはこの裁判に一切関わっていない。
◇組合 この問題を担当している小山副総長とも相談しながら対応してほしい。組合は裁判が長引く間にも片平キャンパスや雨宮キャンパスの老朽化を放置することはできないと考えている。これは前回交渉でもお願いしたことだ。
◆総長 私も同じ心配をしている。係争中のために大型でない修理ならできるが大きい建物を建てることはできない。目標がわからない中で10年以上ももつ建物を建てることは、税金の無駄遣いになるとの判断だろうが、文部省においても話にならない。青葉山移転ができるようになれば逆に川内や青葉山の整備に費用をかけられなくなるので、その前にこれらキャンパスの整備を進めておかなければならない。文部省が平成6年度に出した試算では国立大学の老朽化や狭あい化に対応するには3兆円必要だ。現在の予算はその1/9しかないので10年かかる。たとえば本州四国間の架橋などを一つやめるだけでも大学の老朽化等には十分対応できるのだが、こうした財政構造の問題は文部省だけではどうにもならない。全体として予算が少ない中で予算をとってくることはたいへん厳しいこともあり、せめて東北大学の事情で予算がとれないということのないようにしたい。厚生施設などはさらにランクの低い問題なので実現は難しい。もっとも北海道大学では立派な施設を建てることができた。これはある時の補正で要求を出していたのが当たったのだが、その時東北大学では出していなかった。そういう問題もある。キャンパス移転問題にしても各部局の教授会で十分に議論してほしいが、議論している間に大学として意見がばらばらではないかと話がダメになるという心配もある。各部局長の手腕にかかっている。
◇組合 大学院生が増えて狭あい化が進み、事故の確率も高くなっている。また、移転問題については前総長の時代に石井元仙台市長や本間元宮城県知事等との間で進めてきたバブル期の計画だったという問題もある。全面的な見直しはしないのか。
◆総長 平成7年に決めた計画でありバブル期の計画ではない。
◆総長 6/16の評議会でも話題になった。学生についてはこれまでも学生相談所に女性の相談員を配置するなどの措置をとっていたが、この間は教職員を含んだ全学的対応について検討してきた。評議会は5/19に評議員及び総務部長等9名で構成されるセクハラ防止対策検討委員会を設置し、これまでに2〜3回開催されている。教員については慣行としてこれまで各部局教授会が取り扱ってきたが、教授会と全学的な業務との交通整理が必要であり教授会だけでは対応できないことがあると全部局長の意見が一致した。
◇組合 当局が誠実な対応をしてきたと評価する。早急にガイドラインを示すことが必要だ。教授会との関係で微妙な問題のあることも言い添えておく。さて、これは組合からの情報提供だが、今年度から非常勤講師の手当が削減されているとの情報が組合に入った。しかも事前の説明がほとんどされていないということだ。
◆総長 その件については私も知らないので後で勉強しておく。
◇組合 今日は時間がないが、組合が事務職員削減・事務機構再編の問題で交渉を申し入れたいと考えていることを言っておく。
◆総長 日本は「私」に甘く「官」に厳しい国だ。私大のように(事務や技官の人数が少ない中での高等教育に)日本全体がなればいいと言われるが、そうなればむしろ日本の教育・研究のレベルは下がることになろう。悪いほうに合わせるのではなく良いほうに合わせるべきだと私は常に言っている。私大教授等が常々言っていることは代議士にも影響を与えているようだ。国立大学をおかしくしたら日本の将来は危うい。