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教務職員の皆さんへの手紙

1998.10.22発送
東北大学職員組合教務職員対策委員会
Tel:022-227-8888 Fax:227-0671
 E-mail:ma53625s@ma5.seikyou.ne.jp

 大学に様々な職種がある中で、教務職員は、俸給表は教育職の適用を受けており、職務内容は教員に準じていながら、運用上は技術職員と同じ扱いを受けています。そして、教員としても技術職員としても待遇の改善を受ける道がありません。
 教務職員数は、全国には868名(1998/4/1現在)いますが、東北大学にはその1割を超える91名が在職しています。
 東北大学職員組合教務職員対策委員会は、10月22日、問題の本質をあらためて浮き彫りにしその解決に向けて団結できるよう、学内の全ての教務職員に「手紙」を送りました。以下にその全文を紹介します。


  

教務職員各位

 東北大学に働く教務職員の皆さん。
 私たち東北大学職員組合は教職員の生活と権利の向上、大学の教育研究の真の発展をめざしこれまで取り組みを進めてきました。なかでも待遇の改善は大きな課題であり、とりわけ劣悪な条件におかれ高齢化が進んでいる教務職員の待遇改善は急務となっております。
 最近、全国の大学の教職員組合の運動の取り組みにより教務職員の待遇改善が前進してきており、現在、国大協(国立大学協会)においてもこの問題に対する解決方策が検討されております。
 つきましては、以下にこれまでの取り組みの概略をご紹介して皆さまにも教務職員問題について再度認識を新たにしていただき、この待遇改善の運動にご理解、ご支持をお願い致したいと考えます。

 ご存知のように、教務職員制度は1949年6月、新制大学の発足時に副手制度を助手制度に統合した際、助手に任用洩れとなった人を任用しておくための暫定的処置として生まれたもので、その発足当初から矛盾をもった曖昧な制度でした。
 このような制度上の問題から、教務職員は学校教育法に規定されておらず、教育公務員特例法の適用あるいは準用もされておりません。しかも教育職俸給表の適用を受け、官名は「技官」となっており「教育職であって教官ではない」という矛盾をもっています。このことは、教務職員の処遇に、給与のみならず様々な面で問題を生じさせております。例えば、3級職(平職員)相当であるため宿舎の入居基準が低く(宿舎面積の制限及び入居順位)、出張手当についても学生と同様の扱いとなっております。また、教育現場に働きながら教育公務員特例法の適用を受けていないため奨学金の返済免除がされておりません。更に深刻な事は給与の問題です。教育職としての位置づけがなく、俸給表上の建前に反して待遇改善(昇任)は予定されていません。事実上、給料の頭打ちが生じる28号俸以上の人々は全国的にみて35%以上、東北大学に於いては半数を越えており、このような制度の持つ本質的な矛盾のため、長期在職者は必然的に不公正な処遇に苦しんでおります。
 教務職員にたいする待遇改善の運動は、1988年5月に大学の教職員組合の全国組織である全大教(当時日教組大学部)が「教務職員問題の解決のために」を提案して以降大きく進展をしました。このような運動の高まりから、1991年の国大協総会において「教務職員問題に関する検討結果報告」が報告・承認され、さらに、同年、文部省より「教務職員から助手に移動した場合の俸給月額の決定について(通知)」が出されて、全国的に空き定数の運用や概算要求などにより、待遇改善が進められてきました。
 東北大学においても、学内各層の努力により1992年からの退職者に対する一定期間の待遇改善(2級昇格)が行われてきました。しかし、退職時期などにおいて多くの問題を残しております。教務職員を含めた学内における教官定数運用が明確となっておらず、概算要求による上位級への振替も全国的な規模に達しておりません。また、定数振替が教務職員の待遇改善には使われず他の教員定数の増加に充てられた例もあり、私たちの運動の弱さを感じております。
 昨年9月の総長会見で阿部新総長は「教務職員は仙台弁で言うといずい存在だ」「方針として助手にするのでよいと思う」と、これまでの総長に比べ一歩踏み込んだ発言を行っており、今年7月の会見に於いても他大学の待遇改善の進展状況を「見習わなければならない」「部局長会議にも話し」「努力する」と話しております。
 全国的にも国大協が、第1常置委(制度問題)、第4常置委(待遇問題)、第7常置委(若手研究者)の各委員会に於いて、この教務職員問題についての議論を行っており、「教務職という袋小路の職種を設けているのを改善する必要がある」「教務職については、その職務は助手の職務に包含されること、および将来の制度において助手と教務職員を区分する必要がないことを既に(平成6年)指摘している」「基本的には、教務職員は廃止の方向で引続き努力する必要があろう」、と見解を述べております。
 東北大学職員組合はこの矛盾に満ちた教務職員制度を早急に廃止し、在籍者については、(1)助手、講師などの教員定数に振り替えることを基本とし(2)本人の希望によって行(一)技術職員定数等に振り替え処遇を改善することを求めております。
 私たちは、国大協副会長で第1常置委の委員長でもある阿部総長が指導的な役割を果たし、教務職員の待遇改善に向けた以下の事項についての議論を一刻も早く行い、待遇改善に努力をしていただきたいと考えております。

  1. 概算要求に、教務職員の上位級への定数振り替えを盛り込む。
  2. その際、予算定数のない部局については全学的な援助を行う。
  3. 全学で、空き定数を積極的に活用し教務職員の待遇改善を行なう。
  4. 待遇改善で昇格をした教務職員に対し、退職時期などの差別を行わない。
  5. 行政職への移行を希望する教務職員には、移行により不利益にならぬよう努める。
  6. 教務職員制度の廃止を関係機関に働きかける。
 皆さまのご理解ご支持を重ねてお願いいたします。


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