ホームに戻る

第三号議案

1999年度運動の基調と重点課題

[一]社会的情勢

  1. 通常国会は、自自公の連合により「学校教育法等一部改正法案」の成立、明らかに憲法に違反する戦争法(新ガイドライン法)の強行成立に続き、様々な悪法を、十分な論議もなく、国民には内容さえも明らかにされないまま強行するために、会期を8月13日まで大幅に延長することまで強行しました(資料「会期延長で政府・自民などが成立をねらう悪法」参照)。自自公による多数の暴挙に対して国民の間で良識ある批判が強まっています。
     国民が今、国会に切実に求めていることは、景気回復、充実した公的介護保障の実施、消費税引き下げ、医療費引き下げ等の生活改善です。国会にこの責務の実行をせまる取り組みが、民主主義の原則からも重要になっています。
     会期延長の理由とされた「産業競争力強化」法案についても、雇用の拡大策を口実としながらも実際には、企業の労働者首切りを促進支援し、リストラを推進するための法案であり、ますます不況を長期化するものに他なりません。
     また、金融不安の解消を口実とした公的支援についても、国民の厳しい批判を受けた長銀への血税投入が、三兆円を「どぶ」に捨てるに等しい全く無駄な結果に終わり、さらには、保険業界の連鎖倒産の不安が強まる等、金融政策においても無策ぶりを露呈しています。
     このように、内閣の最重要課題と言って強行採決した「財政構造改革」は、経済運営面における政府の見通しの甘さをいっそう明瞭にしています。

  2. 「橋本行革」を引き継いだ「小淵行革」の今後の道筋を示す中央省庁等改革関連法案の大綱が、1月26日、閣議決定され、文部省と科学技術庁は、2001年に「教育科学技術省」として統合することをにらみ、共同で事業や施策を予算化する等、再編に向けた合同検討チームの会合を開きその具体化を進めてきています。

  3. また、「学校教育法改正」により、運営諮問委員会の設置、総長権限の強化、評議会構成、総長選挙制度、教員選考・人事、大学の自治と行政指導等、大学の運営のあり方と法人化に重大な影響を与える論議の具体化がかなり早いテンポで強行されようとしています。

  4. 1999年6月17日に行われた国立大学学長会議において、有馬文部大臣は、国立大学の法人化に関して、「法人化を含む設置形態の在り方について、文部省としてできる限り速やかに検討したい」と早期の取り組みの必要性について見解を表明しました。有馬氏は、行革推進会議小委員当時、国立大学の独立法人化に強く反対していましたが前言を翻したことになります。このことは、2001年から10年間に公務員を25%(12万余の国立大学教職員に相当)削減しようとする「小渕行革」の計画にそって、大学教職員を積極的に削減しようとするものと言わざるを得ません。今後、本学の意思決定機関においてこの大臣発言がどのように具体化され、大学の設置形態の変更がどうなるのか、そして、それが教職員の身分、処遇、労働条件の改悪につながらないのかを明らかにし、もしこれらについて後退がある場合には機敏に反対していくことが重要になっています。また、改革がどのように具体化されようとも、構成員の合意を重視して取り組んでいくことが重要になっています。
     組合の取り組みの具体化にあたっても、高等教育は国が責任をもって整備すべきこと、世界一高い学費の改善、長期的な視野から個性的な教育と自由闊達な研究を展開すること等、国民のための大学づくりの観点に立って運動を展開する必要があります。

[二]教職員の生活と権利

     東北大学の改革に伴い予算は若干増えたものの、教職員の定数は第九次定員削減とこれに加えた事務職員の削減(17名)により多忙化は深刻さを増してきました。また、本年四月から始まった事務一元化によって、事務的業務についての教員の負担増が懸念され、庶務・施設・経理等の業務に新たな事態が持ちこまれようとしております。
     教員の任期制は、1999年度、医学系研究科において教授職にも導入する規則改定が行われ、新たな局面を迎えました。新たな導入に反対し、導入されたポストについて廃止を求める取り組みの強化が必要です。
     職員においても、改革による新規業務の拡大、外部資金の増大に伴う経理の「煩雑化」「多様化」などが定員削減とあいまって進行し、慢性的な超過勤務など、深刻な過重労働を生み出しています。一方、定員外職員・パート職員数は1,000名を越え、教職員の1/5に達しています。
     大学・高等教育に重大な変化をもたらす学校教育法「改正」等の改正を背景にした大学の民主的運営の後退には強く反対し、今後の動向を分析し、大学・高等教育を支える人材の確保や養成、学問の自由の擁護など、21世紀に向けた大学づくりの展望を示す運動が求めれています。また、大学に働く教職員の仕事を正しく評価させ、待遇改善・勤務時間短縮など、教職員の諸権利を保障させ拡大する取り組みが重要になっています。
     なお、今年の秋に実施される総長選挙においては、学校教育法後最初の選考として特別な意味を持つものとして重視した取り組みにする必要があります。

[三]たたかいの基調

  1. 組合の基本的な目的は、私たちの職場である大学の教育・研究の発展と、それを支える私たちの勤務条件や生活の改善・向上をめざすことにあります。この点では、賃金や労働条件の改善、地位確立等の条件整備を図ることを中心に、要求運動を多面的に発展させることが求められています。
  2. 同時に、大学らしい組合運動として「いかなる権威からも自由で創造的な大学、人間と地球の未来を創る大学」をめざします。私たちをとりまく逆流する情勢を阻止し、平和や民主主義の理念を共有する国民として多数者を形成する運動を進める必要があります。
  3. 組合は引き続き、国民のための大学づくりを進めるために、大学に働くすべての教職員とその要求に依拠してたたかいを進めます。その運動を進める上で、学内多数派の形成、とりわけ組合員の拡大という観点を重視し取り組みを進めます。

[四]重点課題

  1. これまで組合が勝ち取ってきた諸制度、培ってきた民主的精神を継承していく意味でも、50周年記念事業を成功させること。
  2. 全ての新入職員に対して組合加入を訴えきり、組合員を増加させること。
  3. 2000年秋までに意思決定される予定にある東北大学を含めた国立大学の独立行政法人化に反対する取り組みを学内外に広め、前進させること。
  4. 教務職員問題の抜本的解決を実現させること。
  5. 病院、看護職員問題を運動化させること。
  6. ユネスコの勧告「高等教育教職員の地位に関する勧告(1997・11)」「ユネスコ高等教育世界宣言 ─21世紀の高等教育 展望と行動─(1998・10)」を学習し普及させること。

[五]たたかいの目標

  1. 組織の強化・拡大、及びそれと連動した財政の確立という点から目を離さず、(1)教職員の生活と権利の擁護、(2)学術の中心としての大学の充実・改革・民主化、(3)各職種の地位確立と専門部・対策委員会等の運動の強化、(4)地球環境・平和・民主主義・文化の課題についての取り組みの強化、(5)地域共闘・他団体との共同等の取り組みを進めます。
  2. 要求実現をはかるため、交渉機能の充実強化をはかります。総長交渉などの議題については、そのたびに要求項目を支部代表者会議等で集約し、内容の充実をめざします。
  3. 組合員のための福利厚生活動の充実、領域の拡大をはかります。また、未組織職場へ異動した組合員に対して教職員共済の利用を可能にしたり、他大学への異動の際には単組間で連絡を取り合うなど、全体として組合員減にならないような体制づくりに取り組みます。
  4. 組織強化・拡大の大きな課題として、次代の組合の担い手づくりを強力に推進することが求められています。とりわけ、青年部・婦人部の活動の強化は大切です。また、引き続き事務職員、病院職員の組織拡大も重視して取り組みます。
  5. 具体的要求目標は「別紙」を基本とし、内容の変更については職場討議をへて決議機関で決定します。


ホームに戻る