1999年10月18日
東北大学総長 阿部 博之殿
東北大学職員組合
執行委員長 真壁 完一
9月20日の国立大学長等の会議で文部省は、国立大学の独立行政法人化案を明らかにしました。そして、10月25、26日に開催される東北地区学長会議で、「独立行政法人化案」の説明と意見交換の実施が予定されています。
独立行政法人は、「行政改革」の一環として法制化されたものであり、主務省による強い統制を受けながら、絶えざる効率化と予算・人事の減量を目的として設計された行政機関です。学問研究の発展や高等教育の充実とはいわば無縁の場で構想されたこの制度が、単に公務員定数削減の数あわせという理由で国立大学に適用された時、教育の機会均等保障の破壊、学問の自由に対する重大な制限、地味だが重要な研究分野の衰退、地域文化や政治経済に貢献してきた国立大の意義の否定、大学職員に対する現行以上の労働強化と給与抑制、等々の許されざる事態が発生するのは明らかです。
「文部省案」では、個別法等による各種特例措置でそのような問題を回避するとしています。しかし、大学の自治に対する実質的な保障の不在、曖昧な文言、そして多くの空白部に満ちた「文部省案」は、満足すべき特例措置と言うには余りに遠く、拒否せざるを得ないものと言う他ありません。
しかも、「文部省案」に定める特例措置が現実の政治力学の中でどの程度実現しうるのか、という点についてもその可能性は極めて低いものと判断されます。事実、9月21日に開かれた中央省庁等改革推進本部第15回顧問会議において、先行86国立機関の個別法案が示されましたが、それは極めて簡素なものであり、通則法を凌駕する特例措置を個別法に盛り込む余地などどこにも見出すことはできません。
また、その顧問会議のやり取りの中に、「独立行政法人の職員数についても純減を図るべき」という発言が記載されています。これは、独立行政法人化によって公務員定員削減の枠から外れる、したがって独立行政法人化を受け入れるべきだ、という論理が幻想にすぎないことを示す良い証左です。
このように幻想を前提にしたうえで、「文部省案」を叩き台にして「条件闘争」に移ることは、すなわち通則法全面貫徹の独立行政法人化に道を開くものに他なりません。9月13日の国大協総会でも確認した通り、断固として通則法による独立行政法人化に反対する姿勢を貫く必要があります。
この間、東北大学職員組合執行委員会では、9月8日付で緊急申し入れ「独立行政法人化に反対の姿勢を堅持し、東北大学として主体的な対応を!」を行い、9月22日には声明「国立大学の独立行政法人化に断固として反対する」を出しましたが、あらためて阿部総長に以下の点を申し入れ致します。
以上