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東北大学職員組合ニュース
1999年8月5日号 目 次
総長交渉報告
【1、教職員の待遇改善について】
【2、キャンパス整備計画について】
【3、大学運営および独立行政法人化について】
【4、その他】
日時 1999/7/22(木)10:33〜12:03
場所 本部第一会議室
当局 総長、事務局長、総務部長、人事課長、他
組合 真壁、田嶋、平賀、左近、他
□組合 (委員長から新三役を紹介した後、)組合結成50周年のレセプションへの参加・挨拶をあらためて要請する。
■総長 今聞いた。スケジュールを確認する。
□組合 事前に要望書を提出してあるので、待遇改善についてはじめに総務部長から回答いただきたい。
(1)「教職員の待遇改善を文部大臣に上申すること」について
■総務部長 待遇改善については毎年要望して来ているが、今年は7/7〜8の概算要求ヒアリングなどで要望してきている。国大協は7/15付で各大学の要求を取りまとめて文部省、人事院、大蔵省に要求した。文部省は人事院に対して7/8付で要望を出した。
(2)「教務職員問題の根本的解決を図ること」について
■総務部長 東北大には現在89人の教務職員がいる。第四常置委員会は検討結果をまとめ6月15日の国大協総会で報告した。
大学院重点化での助手振替をすすめ、部局長会議でも要望してきた。基本的には部局の問題で人事権は教授会にある。部局から概算要求が出れば、大学として最大限努力する。
(3)「技術職員の上位級定数の20%確保をめざすこと」について
■総務部長 人事院ヒアリングで定数増を要求している。国大協も要望を出した。現在の行(一)の6級以上のシェアは17.2%、技術職員の6級以上は4/1付昇格分を含めて14.8%だ。
(4)「看護婦の複数夜勤・6日以内実現のため定員増に努力すること」について
■総務部長 平成12年度の概算要求で37人の増員を要求した。夜勤は月8日という人事院判定の2-8(ニッパチ)体制でやっている。
(5)「調整手当の改悪を行わせないこと」について
■総務部長 4/22に全大教が文部省交渉を行い、文部省は処遇の低下につながらないよう努力すると回答した。
(6)「長期的定員外職員を早急に定員化すること」について
■総務部長 試験制度なので難しい。資格取得者(看護婦含む)で欠員が生じたときは具体化できる。
(7)「パート職員へ期末手当(相当額)を支給すること」について
■総務部長 実情はわかるが制度上できない。
(8)「事務一元化にともなって予想される問題の解決の場を設けること」について
■総務部長 平成11〜13年の年次計画で進めている。人事と契約を集中する。事前に事務レベルで数回説明会を行った。また、パネルを作成した。混乱を生じることなく進行していくだろう。今後もコンセンサスをとりながら進めていく。
(1)(文部大臣への上申)について
□組合 国大協も要求していることを知っており、その上で質問している。機関の長が文部大臣に要求して(文部大臣が)責任ある回答をすることに意義がある。東大と京大しかやっていない。東北大もすべき。
(2)(教務職員問題)について
□組合 総長の並々ならぬ決意もわかるし、事務方の努力もわかるが、きわだった解決がされていない。今年どうするのか。部局の対応や事務レベルでの部局への指導が重要だと考えるが。
■総長 東北大に固有の問題(行(二)もだが)が多い。工学部長の時、随分振替した。しかし、定員にもなっていない教務職員が多い。本部に聞いてもわからなかった。大学の外に関係している例もあった。部局で努力してもできない、きわめて複雑な問題だ。細かく調べているとキリがない。
そこで、この間は、部局が概算要求を出しやすいように整理した。そのことを部局にも伝えた。平成12年度の概算要求に間に合うようにした。部局長にお願いしつつある。率直なところ、なぜそれを今までやってこなかったのかと思う。事務の知恵を出してもらい、各部局で概算要求できるデータを5月に整理できた。平成12年度に努力し、それでだめなら13〜14年度にも努力する。大学としての累積損傷のようなもので、見えるところまではきていないが(見えないところで大きな努力をしたと思う)。組合で部局長とコンタクトできるのなら聞いてほしい。
■課長 6月初めに事務長があつまる会議があった。今総長から話されたことと全国情勢等を伝え、部局から数字も出させて協力を要請した。
■総長 部局で概算要求を工夫してもらわないと。
□組合 組合と当局でニュースのやりとりをしたい。
■課長 各学部で話をしてほしい。要望としてはわかった。
■総長 部局と本部と両方必要だが、まず部局から上がって来ることだ。
(3)(技術職員問題)について
□組合 今年度から技術職員の昇格選考(5、6級)が変更になり、機関の長としての総長の権限で運用出来るようになったが具体的にはどう選考したのか。
■総長 総長の権限は実感としてはゼロ。評議会や教授会でもこれまで総長権限を強める必要を感じたことはない。(評議会の審議を尊重するようにとの、学校教育法等一部改正法の)附帯決議もある。大蔵省や人事院の権限がもらえるのならばほしいが。
■課長 7/1発令で、4/1にさかのぼって、6級に15名、5級に5名の発令があった。以前は文部省が配布していたが、(技術専門職導入で)大学が選考できるようになった。選考は各学部から順位をつけて提出してもらった名簿をもとに技術専門職選考委員会で選考した。委員長は小山副総長。
□組合 今年度からの技術専門職研修についての参加者選考はどうか。
■課長 東北大担当でブロックの研修が行われる。コース人数は30人に制限されている。東北6県から出されたものを基に母数を割りながら(何年かかけて全員が受けられるよう検討している)割り当てた。
(4)(看護婦の定員増)について
□組合 大学病院は、特定機能病院として在院日数36日以内となっており、それをクリアしないとペナルティーがある。脳出血後に在宅ケアにされて、寝たきりの状態で退院させられた人がいる。内科から外科への手術待ちの時に一旦退院という扱いを
された人もいる。入院日数の制限は、医療費削減が目的だろうが、長い目で見れば病状が悪化するケースもあって結局その目的も達していないのが現実だ。
稼働率の問題がある。ベッドをフル回転させるために、土日の入退院や2〜3日の検査入院等が多く処理が煩雑になっている。毎日事故と隣合わせだ。
夜勤は月平均7〜8回程度だろう。全国平均は8.4日だ。妊婦など夜勤制限者がいる職場では10日以上になるところもある。看護婦が少ない。アメリカの半分、ヨーロッパの3分の1だ。病棟にクラークをおく等の配慮をしてほしい。
看護部長のとったアンケート等で、事務業務が多すぎることや、看護婦を減らさないでほしい等の声が出ている。
■総長 病院長からも聞いているが大問題だ。日本の公務員を減らせばますます欧米との差が広がる。私自身不満であり、機会あるごとに訴えていきたい。根幹的な問題もある。病院長には話をしたのか。私からも話す。
(7)(パート職員の期末手当)について
□組合 人事院はダメとは言っていない。文部省に概算で要望する等追求してほしい。
■課長 人事院は将来を見据えてと言っている。支給できるともできないとも言っていないと思う。検討事項としたいとのことだ。全大教と人事院との会見でも話しがあることは知っている。人事院は市場調査を始めたということだ。
□組合 大学院重点化が進み、研究室や院生・学生が増えた。建物の狭隘化、老朽化が大変な状況だ。雨宮と片平は概算要求も出せない。平成8年度のキャンパス整備計画案から3年がたった。その後の状況は?また、計画は今どうなっているのか?
■局長 本学評議会で移転すること、雨宮と片平を対象とすることが決まっている。当初、話し合いで収まるかにみえたゴルフ場問題は、民事調停から平成9年には裁判になり、現在証拠調べが終えて証人の選定に入った。プロセスとして和解提示もあろうが決着の見とおしはついていない。移転整備調査委員会を設置し、工学部の大村教授が責任者となり、大綱を作る予定だ。移転に向けて着々と検討を進めている。
□組合 裁判の決着までには時間がかかるだろう。その間雨宮や片平は概算要求が出せず、学生・院生は不遇を強いられることになる。教職員も同様だ。それを放置していいのか。
■総長 片平・雨宮には迷惑をかけている。いい方法がない。裁判はいつ終わると言えないので、文部省に要求することができない。抜本的な解決策はない。営繕的なところからやっていくとか、正規な建物ではないものを使うとか、便法しかない。毎日忸怩たる思いで過ごしている。とにかく申し訳ない。
施設充実については、今は川内、青葉山、星陵を先行させて、その後(裁判が終わったあかつきには)片平・雨宮を優先させる、という考え方で進めている。
文部省は予算が少なすぎて、補正がないとほとんどだめだ。各省庁間に不平等あるいは悪平等がある。その中でも他大学と競争して予算をとってこなければいけない。だから、せめて学内事情で予算がつかないようなことにだけはしないでほしいと言っ
てきた。実際、かなり遅れている。学内でお互いに融通し合うような道をとらなければ。しかし、やっと川内・青葉山・星陵がかなりまとまって文部省に長期計画を持ち込めるようになった。
片平・雨宮についてはオーソドックスな形では新築もできないし大型改修もできない。営繕とか流動的な組織とかでないと。
□組合 移転計画は基本的に片平キャンパスの売却資金で青葉山の土地を買い建物を作るというバブル期のプランではないか。バブルがはじけ、現状では県・市ですら購入出来ないのではないか、はたして財源になるのだろうか。また、青葉山の交通機関は今でも不便だが移転すればなおさら不便になるのではないか。
■総長 私も不安だ。地価の目減りが続いている。バブル期だったら片平を売っただけで土地を買い建物が建てられたが、今は難しい。しかし、建物については、文部省には建てる義務がある。どれだけの予算を文部省が出すかという問題もある。
交通システムについては、市長はやると言っているそうだ。(新交通システムのプロジェクトに)東北大の土木・建築関係者や運輸省関係者も入っており、知恵や情報は東北大に入りやすいので、なるべく損をしないようにしたい。
心配はある。しかし、評議会で決めたことであり、今のところ変更する考えはない。また、学内でムードを盛り上げたいと思っているのだが、裁判中なので話せないことが多い。
□組合 生命科学研究所概算要求は移転問題と関係あるのか。
■総長 全く関係ない。リンクしない。裁判が長引く場合には農学部(や片平)のケアを川内、青葉山、星陵で考えなければならないという趣旨だ。
□組合 学校教育法等一部改正法が成立し、内規の見直しを行っていると思うが、まず3点聞きたい。(1)総長選挙のやり方は変わるのか。(2)評議会構成員について、学長指名の教員を加える考えはあるか。(3)運営諮問会議のメンバーの検討に入っていると思われるが、選定の方針など、差し支えない範囲で教えてほしい。
■部長 昨年3月に東北大学の在り方に関する検討委員会が発足し、その下に研究教育小委員会、組織運営小委員会をおいた。さらに、組織運営小委員会で、(1)総長の任務と権限および運営諮問会議に関する委員会、(2)評議会の審議事項に関する委員会、(3)部局長会議・学内各種委員会に関する委員会、という3つのワーキンググループを作り検討中だ。
■総長 これから文部省令が出てくる。国大協で検討することになるが、私の委員会で議論するので大学に不利なものが出されたら反対していく。努力すればかなりいけるのではないか。学長選挙については変えるつもりの人はいないだろう。たぶん変わ
らないだろう。
■部長 評議会の構成員については、東北大の場合、法律に載っていないセンター長など大学のフリーハンドで加えている。
■総長 私は何も変更する必要はないと考えている。法律は九九の国立大学が対象であり、東北大には必要でないものも含まれている。運営諮問会議は作らなくてはいけなくなった。メンバーについては、東北大学の在り方に関する検討委員会で議論して決めてもらう。評議会で決めたことが運営諮問会議で否決されるようなことはない。東北大学の慣行を変える必要はないと思っている。
□組合 独立行政法人化には問題が多い。(1)教育や学問から出てきた構想ではなく、公務員削減から出てきたものだということ。(2)効率を追求する大学にならざるをえないこと、(3)年を追うごとに財政のしめつけが厳しくなると予想されること等。なんとか東北大学や国大協として反対を貫いてほしい。
■総長 その考えは大体当たっていると思う。私も藤田先生の論文について勉強した。国大協はまだ反対している。しかし、平成15年までに結論を出さなければならない。文部大臣が閣議統一のために折れた。どんどん法人化の方向に動いている。国立大学を敵視する人ばかりでなく、味方であった人にも、法人化に賛成する議員は多い。難しいのは、通則法には大学に合わないことがたくさん入っていることだ。反対を貫くと25%の削減を確実にかぶる。公務員の中で大学教職員の人数は突出している。ポリティカルな条件が関係している。簡単に言うと、25%をのんで国立のまま残るか、ある程度のんで法人になるかだ。
対応としては、個別法がどれだけ大学について通則法を凌駕することができるかと言う視点と、通則法自体を大学向きに直すかという視点がある。前者は、文部省にとってはやりやすいだろう。後者は議員が賛成しないだろう。しかし、前者ではきちんとしたものができるかどうかわからない。総長としては、賛成とか反対とか1か0かという対応はできない。
英米は教育にすごく力を入れている。そのことはどんなににぶい政治家でもわかるはずだ。文部省だけで国立大学を守ることはできない。他省庁の(大学の法人化への)圧力がものすごく大きい。反対の旗はおろさずに条件をつけていくしかない。
□組合 どんな条件をつけても、25%が先のばしになるだけではないか。
■総長 そのことは言わないでほしい。私も実は心配しているが、それが本当になると困る。
(1)通勤・通学の安全確保について
□組合 青葉山の工学部、理学部に通勤・通学する際、いつ事故が起きてもおかしくないくらいの危険性がある。学生の自己責任に任されているのが実態だ。
■総長 私は学部長時代に随分そのことについて主張した。今、なぜ学部長は言わないのか。バスを1分おきに出したとしても乗るのは授業の前の時間帯に集中する。大量輸送手段、新交通システムが抜本的解決になる。
当面の対策としては、部局で努力してほしい。その上で運輸交通専門委員会、地区協、全学的予算措置等上にあげてきてほしい。学生の自己責任だけでは困る。同じ自己責任にしても、学科長などがきめ細かく配慮することが必要だ。部局長会議で組合
からこういう話があったということを言っておく。
(2)全学的な教職員の福利厚生施設の充実について
□組合 全学的にも福利厚生施設が貧弱で、とくに青葉山キャンパス周辺には食堂・商店などがなく、生協食堂の充実・改善を求める。
■総長 かなりのことが学部でできる。学部長時代、生協理事長から感謝されたことがある。とにかくきめ細かくやり、大きいことは概算要求をすることだ。
(3)セクハラ問題について
□組合 セクハラ防止についての指針以後の大学の対応について説明を求める。
■総務部長 全学の相談窓口として対策委員会を設置し、川内には専任の教官を相談員として配置した。部局の相談窓口についても、あと2部局の承認を待つばかりだ。9月には体制がとれる。学生向けのパンフレットは17,000部作成し、すでに周知した。セクハラ防止と啓発についても講演会・研修会など周知できる方法をとる。留学生向けにもパンフレットを作った。英語の他、中国語や韓国語などにも対応できる。相談しやすいように相談員の指名一覧をつくり周知する。
■総長 セクハラはあってはいけないし、起きた場合には厳正に対応すべきだ。対策は防止と処分の大きく二つに分けられる。
防止のためには、セクハラ問題がこの数年で社会問題、人権問題としてクローズアップされてきたことだけに、時々刻々変わっており、完全な指針を作成することよりも、とにかくスタートされるべきと考えた。今後時代の要請に応えられるように時折見直しながら対応していく。なるべく早く見直していく必要がある。
処分については難しい問題がある。総長が介入することはできない。教授会がきちんとしないとできないルールになっている。教授会を飛び越えて評議会が処分するのはルール違反だ。ましてや文部省や総長がするのはもってのほかだ。逆に言えば、教授会にそれができなければ、教授会自治を放棄せざるを得ないほどのものだ。自治の学内からの瓦解になるようなことは出来ない。
今回の(大学審答申の)「法制化」については、(自治の破壊に)なんとか歯止めをかけたものと思っている。それを学内から投げ捨てることになってはならない。
(4)「大学教官の勤務の在り方に関する研究会」について
□組合 人事院は「大学教官の勤務の在り方に関する研究会」を設置して、総長がその委員となっているが、どのような話し合いがされたのか。
■総長 まだよくわからない。日程の問題があり1回目は出られなかったが、なるべく出るようにする。
発行:東北大学職員組合教育宣伝部
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