第六編　激動へ（1970年～74年）（昭和45年～昭和49年）

　1970年6月23日をもって日米安保条約の固定期限が終了し、激動の時代に突入した。

　69年賃金闘争で、人事院勧告の完全実施に決着をつけた公務員労働者は、時間単位のストライキの反復から半日スト、1日ストへと、「本格的賃金闘争」を指向する闘いを積みあげていった。東北大職組も、日教組・公務員共闘に結集し、参加者1000名を越すストライキをも組織するに至った。一方、佐藤内閣に代わって登場した田中内閣は「日本列島改造論」をかかげ、インフレの激化と石油危機に便乗した異常物価への国民の怒りにも耳をかさず、力づく、金づくの金権政治を強引にすすめた。公務員労働者の闘いに対しても、一旦かちとったスト権の刑事罰・民事罰からの解放をも最高裁反動判決でくつがえし、大規模な弾圧に乗り出すにいたった。

　しかし、74年7月の参議院選挙は、「保革伯仲」を生み出すなど、深部では国政転換への躍動がはじまった。

　“激動の時代”に即応した組合運動にむかって、新しい前進が開始された。

第十九章　70年代幕明けのたたかい（1970年7月～1971年6月）

I　71年賃闘のとりくみ

70年安保予算

　前年11月に行われた日米首脳会談の結果だされた日米共同声明の具体化が日本の全ての諸政策に総合的に展開され、このことによって新たな矛盾を国内に激化させていった。70年度の国家予算は防衛費5,695億円（前年比17.7％増）を含む7兆9,497億円と大型化し物価上昇をまねくインフレ予算であると同時に70年安保予算といわれた。さらに、政府は健保、食管法の改悪を企図し、加えて独占資本のタレ流しによる産業公害が顕在化し、物価高騰の波とともに我々は広範にわたって生活防衛の闘いを強力に展開することを余儀なくさせられていた。

日米共同声明路線

　教育界において共同声明路線が着々と準備され、中教審は独占資本に奉仕する能力主義、思想統制を具体化し、中学、高校、大学の差別的再編成を行おうといっていた。

　さらに労働者は一層の人減らし「合理化」を押しつけられ、労働災害が激増し、大学においても定員削減による労働強化が着実に進行していた。そのために死亡を含む公務災害や様々な形で職業病が発生する状況さえ生じていた。このように労働組合が連帯して労働者の生命とくらしを守るために団結しなければならないとき、資本側からの労資協調路線の押しつけに屈した一部右翼的幹部は労働組合の正しい統一と団結を破壊する動きを強めてきていた。

国民的諸課題との結合

　1970年度は70年代の新たな出発点として、労働組合が労働者の諸権利の保持、拡大から一歩進んで物価、重税、公害など国民的諸課題と如何に結合して闘うかが問われている年であったといえる。そのためにも組合の組織強化、および様々な場面での革新統一戦線の結成に労働組合が先進的な役割を果さなければならない年であったといえる。

処分弾圧の強化

　過去10年間にわたる公務員労働者の統一闘争、とりわけ60年代後半の4年連続ストライキによる闘争によって政府から「昭和45年からはいかような困難があろうとも、人事院勧告は完全に実施する」という画期的な回答をとりつけ、ここにようやく「人事院勧告を値切らせない闘い」に終止符をうった。そこから我々の賃闘は新たな局面を迎え、人勧そのものに我々の要求を正しく反映させる闘いを組むことになった。しかし、政府は人勧完全実施と引きかえに定員削減などの一連の合理化、賃上げに伴う教官研究費の削減、および正当な組合活動に対して徹底した処分弾圧を加えることを公言し、新たな攻撃をしかけてきた。

本格賃闘の前進をめざして

　人勧完全実施に決着をつけた段階では、公務員労働者各自の要求する賃金それ自体が最も重視されなければならない。すなわち、その要求は決して一律のものではなく、かつ国民全体に理解され支持される理にかなった内容であることがこれまで以上に要求された。この立場は同じ公務員労働者であっても、その特性に応じた要求をすることこそが重要であることを示し、これによって1人ひとりの労働者の闘うエネルギーを結集する方向をとらない限り、本格的な賃金闘争は前進しないことを明らかにした。

半日・1日ストへの備蓄

　こうした賃金の流れの中で日教組は71年賃闘に対してこれまでの闘いを土台として、労働基本権確立を実践的な闘いの中で生み出すこととし、新たに半日、1日ストライキ闘争を実現するために必要な闘争資金の備蓄として、給与改訂の1ヵ月分を拠出することを提出した。同時に70年6月の大会で決定した「教職員の労働時間と賃金のあり方」にもとづいて教育労働の内容と責任にふさわしい賃金のあり方について明らかにした。

賃金アンケートの集約

　東北大職組は日教組の提起を積極的にうけとめて、71年賃闘討議資料による職場討議を進めるとともに職場からの要求づくりの活動を重視した。全学的な賃金アンケートの集約という形で取り組んだが、支部の実情にそった「賃金と人員」というまとめでアンケートを集約する支部もあり、この取り組みは成功した。

　一方、賃闘を如何に闘うかという問題が労働基本権の確立という観点で議論をよんだが組合員の80％がスト権は保障されるべきという意見をもち、ストライキを背景に今後も闘う気風にみなぎっていた。このような議論を通して70年代最初の賃闘は人勧体制を打破し、労使対等の関係で自らの賃金を決定していく方向性が指向されていったといえよう。

1,506名の上申署名

　71年春闘にはもう一つの特徴点があった。組合は独自の春闘統一要求をまとめると同時に、組合員の切実な要求を学長に示し、東北大学としてこれらの要求を1506名の署名を背景に政府、文部省、人事院にその実現を上申するように要求した。これがいわゆる「上申署名」活動であり、我々の要求が大学の教育、研究活動に大きく寄与することを大学当局に認めさせ、大学ぐるみの要求とさせるところに大きな特色があった。その内容は(1）賃金改善、(2)定員削減反対、教職員の大幅増員、(3)大学の民主化、自主的改革の推進であった。

7.15、1時間スト

　こうした活動の上に立って、5月20日、30分の統一ストライキを闘い、第二波として7月15日、1時間のストライキが闘われた。5.20ストが70年代の本格賃闘の幕開けともいうべき、第一波としては不十分なものであったという反省の上に立って、7.15ストは強力な職場討議と徹底した情宣活動に力を注ぎ中央交渉に呼応するハガキ要請活動、学長交渉が展開された。

学長「現認体制とらず」の回答

　なかでも学長交渉において、我々は7.15統一行動に不当な介入、干渉を絶対に行わないように要求し次ぎのような確認をとりつけた。(イ)7.15統一行動については違法の疑いが少ないので一方的に違法視するような学長告示は出さない。(ロ)当日、学長命令による集会参加者を確認するような、現認体制はとらない。(ハ)、(ニ)、(ホ)─省略─　この学長の言明は従来事務的、かつ行政的に通達として出されてきたストに対する文部大臣通達が殆どの部局で出されないという状況に波及し、これ以降の闘争にとって極めて有利な展望を示すことになった。さらにこの学長の言明は一昨年秋闘における、いわゆる11.13不当処分がいかに不当、不法なものであったかを全学的に明らかにしたことになった。

東北大職組宣伝カーの登場

　中央での交渉に呼応して、要求実現、反弾圧に対する対当局交渉ならびにそれに並行した初の宣伝車による情宣を含めた徹底した情宣活動など多様な取り組みを基礎に1時間のストライキが堂々と闘われた。参加者数では1昨年の11.13闘争と同程度であったが、批准率の低さ（51.8％）を短期間に本部闘争委員会を中心にして大きく克服した点で70年本格賃闘への教職員の期待の大きさを示したものといえる。

II　全学的「改革」への前進

4.2最高裁判決に依拠して

　賃闘、定員削減反対闘争などと同時に不当に権利をはく奪されている公務員労働者の労働基本権確立の闘いが、11.13処分撤回闘争を通じて協力にかつ極めてねばり強く闘われた。職組は1970年4月2日に最高裁が下した判決（4.2判決）がその争議行為を違法であるか否かを認定する場合には「争議行為を禁止することによって保護しようとする法益と、労働基本権を尊重し、保障することによって実現しようとする法益との比較考量により両者の要請を適切に調整する見地から判断することが必要である」と述べていることを指摘し強く学長の見解を示すように迫った。

くりかえす「ノーワーク・ノーペイ論」

　学長は組合の追及の前に矛盾した「論理」を展開しながらも執拗に処分是認にしがみつき、果ては「正規の勤務時間に正当な理由なしに勤務しなかったものは賃金カットすることが当然であるという、いわゆる「ノーワーク、ノーペイ論」を展開した。組合は11、13当日のみに限って、現認体制をとったことはストライキに対する報復的、処分措置であるとしてつよく反論を加えた。

本川学長の死去

　このようにして度重なる交渉の席での議論を通じて学長に公務員に労働基本権があるのは大原則であると言明させるまでに至り、11.13処分撤回に対して組合と大学当局との間に確認書を取り交わすまでになった。しかし、これまで交渉に当たってきた本川学長は病気で倒れ、しかも死去する事態の中で中断されたが加藤新学長との間に確認書が取り交わされた。

教養部教授会が定員で上申

　1969年から始まった第二次定員削減に対して反対する反合理化の闘いは全国的な闘いとともに進められた。特に教養部では学生の急増と相まって極めて深刻化し、組合支部が中心となり教養部教授会が評議会に上申するなどにまで大きな高まりをみせた。

「定員外は同待遇に」

　さらに定員削減とともに増加する定員外職員の劣悪な待遇を改善する闘いが並行して闘われ、故本川学長は大学最高責任者として初めて「現在、大学に働く定員外職員は定員削減によって生じた欠員を埋めたもので、必要な人員であり定員内と同じ待遇にすべきである」と言明し、画期的な前進をかちとった。しかしこの学長の精神は広く各部局で具体化されるには至らず、主として事務官僚の妨害などによって数部局にしか実現されなかった。大学における人減らしが如何に大学の教育研究を歪めているかを判り易いビラにして、3.26早朝ストに際して広く市民に訴える行動を独自に行い、市民の反響を少なからずよんだ。

公害絶滅への闘い

　70年代の労働運動は広く国民的諸課題との強固な連帯と結合が重視されるようになったが、その特色を現すものとして、組合の機関決定に基づく公害絶滅の闘いへの参加があげられる。公害絶滅への闘いへの参加に際して次の三つの基本線を明確にした。第一は最も悪質な公害源が無責任な大企業であること、第二は労働組合と市民、住民運動の結合であり、第三は科学者を多く組合員として擁する東北大職組の社会的責務であった。この闘いは公害の実態を知るという活動からはじまり、科学者会議の協力をえて組合独自の公害現地調査を行うまで発展した。

スライド「宮城の公害」

　さらに、中央委員会は具体的な科学調査に基づく活動を決定し、独自に調査団を矢本町に派遣し、農作物の被害実態調査を行った。一方、市民団体等との連絡会議への加盟、共闘組織結成への呼びかけなど対外的な活動を進めながら、学友会放送研究部の援助をえてスライド「宮城の公害」を独自製作し、多くの支部、高教組など各方面で活用された。こうした闘いは新たな労働組合運動の活動形態として今後に大きな教訓を残したといえよう。

「改革連絡会議」の提案

　前年「大学の運営に関する臨時措置法」が大学教職員を中心とした広範な反対運動の高揚の中で強行に国会で成立し、さらに1970年6月11日には中央教育審議会の最終答申が発表される状況下で、大学の民主化の課題は極めて緊急かつ重要なものとなってきた。東北大学においても評議会のもとに第一、第二改革委員会が設置された。組合は大学の全構成員による自治の確立という立場から学長に対して改革に関する全学的な連絡会議の設置を提案し、改革委員会の選出に当たっても各部局の全教官の中から選出するという態度で臨んだ。このような立場は危機に直面している大学の自治を真剣にとらえている人々の共感をえるに至り、実際にいくつかの部局で改革委員会に全教官から選出することがなされた。

学長選改革への着手

　具体的な大学改革の重要な問題として学長選挙規定を全構成員の意志が反映できるものに改訂させる闘いがあった。評議会のもとに設置された第二改革委員会が主としてこの問題を取扱うことになり作業を開始したが、突然の本川学長の死去を口実に作業を中止し、従来通りの選挙を強行しようとした。組合はこの策動に強く抗議するとともに、全教官以外の構成員の信任投票という暫定的な案を提示して強くその実現を迫った。結果的には全学集会を背景にして行った学長事務取扱との交渉において学長選挙改革を早急に行うことを確認させた上で、従来の方法によって加藤新学長が1971年4月に選出された。

加藤新学長の就任

　新学長は就任後、「大学改革が第一の課題である」と所信を表明するとともに、最初の学長交渉の席上、新しい学長選挙規定を早急に定めるよう努力し、それに基づく学長選挙を改めて行う用意があることを認めた。このような一連の学長表明が出される背景には組合を中心にした学内諸民主団体による大学民主化の闘いの高揚にあることはいうまでもない。

　一方、部局の民主化の波は全学に及ぼし、農、理学部に加えて工学部、通研、さらに組合支部がなかった法、文学部においても改革が具体的に進められた。それぞれの内容は部局の実情によって異なってはいるが、部局長選挙の改革問題はそれだけには決して終わらず、必ず全体的な改革につながっていくという特徴を示した。

「東北大自治侵害事件」控訴審の勝利

　6年間法廷で争われていた「東北大学自治侵害事件」の被告、佐藤栄司、薮田佳則、両氏に対して、5月28日、仙台高裁は「原判決を破棄する。被告人両名は無罪」の判決を下した。判決は「学生も大学における不可欠の構成員として、大学管理運営に主体的に参加する権利を有する」として、学生の行為は大学の自治の侵害から守ろうとした正当なものである、とする画期的な内容であった。検査側は、最高検と相談の上、直ちに最高裁に上告した。

大学の民主化運動

　以上が、70年代の幕開けの年にふさわしい特徴的な活動であったが、大学の教育、研究の自主的、民主的な発展に敵対し、政府自民党と財界の意のままになる大学改編の策動との闘いがますます重要となってきたといえる。これと最も効果的に闘える大学作り、すなわち大学の民主化を通して、労働者の待遇改善、反合理化闘争などが全学的な支持のもとに展開しうるところに大学における労働組合運動が他の労働運動にみられない特色をもつことを明らかにしたところに1970年の闘いの意義が存在するといえる。

革新統一勢力の前進

　同時に我々の諸要求実現は政治レベルにおける革新勢力の主体的な力量と密接不可分である。東京における民主都政の圧勝、大阪における革新府政の初の誕生など社共を中心にした革新統一勢力の大きな躍進が地方レベルで実現し、参院選挙でも革新勢力が躍進した年であることは将来への明るい展望を築いた。組合ではこうした選挙闘争の今後の重要性から選挙闘争方針を定式化している。

169名の組合員拡大

　70年代にふさわしい「2,000名組合づくり」をめざし、「500名の拡大と」「2人で1人の組合員を」をスローガンに10、11月の二ヶ月を組織拡大特別月間に設定し取りくまれた。病院での早朝ビラ、工学部への全学的オルグなどをおこない、理学部で49名を新たに迎えたのをはじめ、この月間で169名の新加入者を迎え、その結果、組織人員は1,600名を超えることになった。

文科系支部の誕生

　前々年の10月以来「準備会」活動がすすめられ、宿日直の事務員、用務員一本化を実現するなどの要求闘争の前進の中で、1971年2月6日に「文科系支部」が16番目の支部として誕生した。又、6月には法政大の田沼教授や畠山大学部長をむかえて、初の泊り込み学習会が63名の参加で開催された。

第二十章　「本格的賃金闘争」への積上げ（1971年7月～1973年6月）

I　闘争資金の備蓄

安保依存体制の強化

　ベトナムにおけるアメリカ帝国主義の侵略戦争は拡大し、ますますその残虐性をあらわしている中で、ニクソン米大統領の訪中・訪ソを礼賛するなどの、国内・外に振りまかれた国際情勢の「緊張緩和論」がいかに誤りであるかが明確になっていた。

　日本の平和と独立を踏みにじり、日本を汚名と屈辱の歴史で塗りつぶした日米安保条約は、日本政府の決意だけで一方的に廃棄できる段階に入ったにもかかわらず、自民党政府はこれを廃棄するどころか、逆に安保条約下での対米従属・依存の路線を歩み、軍国主義・帝国主義の復活強化の道を進み続けた。

欺瞞的「沖縄返還」

　そして沖縄特別国会では強行採決を行い、「沖縄返還協定」とそれによる「復帰」によって、本土の沖縄化とベトナム侵略への出撃基地としての役割が急速に増大していった。

　こうした中で、多くの国民は、日本の真の独立・平和。民主主義を求める立場から、欺瞞的沖縄返還に強く反対した。このような国民各層の強い批判の前に、佐藤首相はみじめな姿で引き下がらざるを得なかった。首相退陣、沖縄・埼玉などでの地方自治体における革新統一勢力の着実な勝利と前進に示されるように、国民の力は次第に大きくなっていった。

ドルショックを口実とした合理化攻撃

　インドシナ侵略戦争の拡大による膨大な軍事支出が大きな原因となっているアメリカのドル危機─いわゆるドル･ショック─と、それに続く円の大幅切り上げなどの事態の中で、政府自民党は大企業の利益を最大限に守る措置を次々と執りながら、一方で、その犠牲をもっぱら労働者・国民に押しつけてきた。また、ドル･ショックを口実として独占資本は強力な「合理化」攻撃をかけてきた。これに対して労働者は賃上げの闘いと一体になって闘争を進めていった。

事務機構の再編強化

　公務員に対しても新たな職務職階級の導入を計り、新たに第二次定員削減を行うという形で「合理化」が進められてきた。大学においては、中教審路線に沿って、第二次定員削減、労働強化、事務機構の再編・集中管理、現業部門の切り捨て・下請化といった形で進められ、東北大学においても、事務へのコンピュータの導入、現業切り捨て、病院職員の労働強化、教養部職員の定員不足の進行などの形で表れていった。

公務員共闘の本格的賃闘

　70年賃闘の人事院勧告完全実施という成果にもとづいて、この年は人勧作成時に当たる5月19日3時間カットと7月13日1時間カットの計2回にわたるストライキを闘い、政府・人事院に要求実現を強く迫った。このストライキは公務員共闘として初めて本格的に春闘を闘ったもので、賃闘に一つの大きな転機をもたらした。

71年人勧の分断と批判

　71年の人勧は5月にさか上って平均11.74％（8578円）引き上げるというものだった。これに対して組合は、72年以降の本格賃闘を展望しつつ、「71年人勧を分析・批判する─人勧に関する職場討議を深めるために─」と題する職場討議資料を作成し、全組合員に配布すると共に、全職場で討議を組織した。この討議資料では次の5つの問題点を指摘している。イ、人事院の給与改訂算定基礎が極めて不正確である。ロ、本俸1万5000円（最低1万円）引上げの要求とは程遠い。ハ、諸手当の改善では、扶養手当、夜間看護手当の若干の手直しを除き、全く考慮されていていない。ニ、一時金では一部特権官僚への手当を多くし、職務による差別支給への道を開いた。ホ、実施期日については従来通り全く理由らしいものを示さずに4月実施を見送った。

「全く不満」が80％

　以上の討議を行いつつ日教組大学部の賃金アンケートを集約した。東北大職組としては700名分が回収された。これを東北大の分についてまとめた結果、次の点が特徴的だった。イ、「全く不満である」とした人が80％近かった。ロ、これまでになく多くの意見が記入された要求の強さが示された。ハ、組織の整備・拡大・室の向上と強化の保障の上に立って強力なストを含む行動をとるべきとする意見が多かった（70％以上）。さらに、その後の闘いにおいて賃闘と深く結合されることが提起されていた中教審路線の内容と実施については50％以上が反対の意志を示し、部分的賛成を含めた賛成者はわずか6％だった。

改訂差額1ヶ月分の備蓄

　70年代の本格賃闘を闘う主体的な力を備えるために、当面不当処分撤回の闘いと共に財政的基礎の確立を図ることを目的とし、さらに5段階給与を中心にした中教審路線の実質化阻止をめざして、72年に半日規模のストライキを闘うことを展望して、給与改訂差額１ヵ月分の闘争資金備蓄を行うことが日教組から提示された。

大学部総会への修正提案

　これに対して東北大職組は、７月に臨時大会を開催し、日教組の方針を積極的に受け止めるとしながらも、方針全体として不明確な点が多く、この問題の討議は深められていない。従って７月の日教組大会では決定せずに大学教職員の要求も組み入れた討議案を作成し、全組合員の討議を踏まえて日教組臨時大会を開催し決定すること、という態度を決定した。この大会決定は大学部総会において修正案として提出され、この問題の討議に積極的な役割を果したが、全国連帯の立場から日教組大会方針原案通り可決された。

日教組大学部との1問1答

　これを受けて東北大職組は独自に日教組大学部との一問一答を行いながら執行委員会での備蓄方針原案作成、支部代表者会議での意見集約、中央委員会での備蓄法新案の決定（一部修正）を経て、2月の臨時大会で春闘、組織強化の討論と結合させながら決定された。

未組合員から21万円のカンパ

　これらの決定に至るまでの討議の中で、備蓄問題を単なるカンパニアとしてではなく、本格賃闘への重要な足掛りとなる重要な課題に位置づけた。さらに中教審路線に基づく五段階給与反対闘争との関連で、教育労働者の連帯した闘いの問題やスト権奪還をその過程に含みながら大学教職員の職務職階制に基づく賃金体系を打破する問題について活発な議論が行われた。

　組合は自ら闘争資金を備蓄するに留まらず、同時に大胆に未組合員の教職員に運動の意義を訴えてカンパを募り、21万円が集約された。これは職員組合の闘いが多くの教職員に支持されていることを示すものであった。

II　実力闘争の前進

高率でのスト権確立

　闘争資金備蓄の決定に引きつづき、4月に入って公務員共闘と日教組大学部から初の2時間ストである5.19闘争が提示され、中央委員会で全員一致で決定され、批准投票の結果61.1％（投票率90.2％）とかつてない高率でスト権が確立された。

　批准が成功したこと、しかもこれまでになく高率であったことは各支部に大きな励ましを与え、立ち遅れをみせていた支部においても急速なテンポで闘争体制が強化され、全学的に初の2時間ストを闘う気迫がみなぎっていた。

2時間から1時間ストへの変更

　一方、中央では粘り強い交渉が続き、スト2日前の文部大臣交渉で「教頭法」を廃案に追込む見通しを得、ストが2時間から1時間に変更された。

　組合は学長に対してスト通告を行ったのに対して、学長は「5.19ストは違法とは思わない。」と回答した。

「教特法」廃案に

　5.19ストの成果として、イ、賃上げ幅について抽象的にもせよその内容を示唆させた。ロ、4月実施の方向づけを引き出した。ハ、中教審路線の具体化である「教特法」を廃案に追込んだことが挙げられる。イ、ロについては人勧体制を打破する上での重要な足がかりとなるものであった。

　以上の成果は、イ、日教組が全組合員の団結のもとに、闘争資金の備蓄を行い、政府の財政破壊政策に強い打撃を加えたこと、ロ、5.19ストが全国的に強固なスト体制を確立していること、ハ、闘いの過程で、自民党内の動揺と教頭会との癒着が暴露されたことなどによるものであった。

7.13、1時間スト

　引続き7.13スト（1時間）が闘われた。これは人勧の内容の固まる最重要段階をねらったもので、5.19ストの成果を具体化させる闘いだった。ストを背景にした中央での交渉の結果、イ、賃上げ幅は公労協・国鉄の引上げ額（9000円前後）が見込まれることとなった。ロ、4月実施について政府の方針を固めさせることができた、の二点の確認がなされ、ストは中止された。このように直接政府と賃上げ交渉をすることによって人勧体制を打破する足がかりが得られることになった。

「賃金・時短」草案を発表

　日教組大学部賃金時短専門委員会は1月、「大学教職員の賃金と労働時間のありかた」の第一次草案を発表した。これを受けて東北大職組では事務系、技術系、教官系の3専門委員会を設けて草案の検討を行った。しかし結果的には一部の議論に止まり、専門委員会をフルに活用して組合員全体の議論の基礎を作ることにはならなかった。

両保育所・大学へ￥4I

　片平町と北四地区に在る保育所の充実の要求を大学当局に示して闘ってきた成果の一定の到達点として、両保育所の当局への移管およびそれに伴う保育所職員の待遇・労働条件の改善について当局と専門委員会形式の検討が続けられ、12月、事務局長との間に両保育所の大学移管に関する確認書が取り交わされた。

保育所支部の結成

　これは組合が一貫して「管理運営の責任を当局がもて」と要求してきた闘いの成果として評価されるものである。なお、これを機会に17番目の支部として保育所支部が結成された。また、保母の職務内容の特殊性を当局に認めさせ、当面保母手当（1200円）を支給させた。さらに、増員要求の結果パートタイマーながら、両保育所に各々一名ずつかちとる成果を挙げた。

194名の第2次定員削減

　文部省は10月、第二次定員削減計画について割当を各大学に通知した。これは全国大学教職員について3年間に4014名の定員を減らそうというものであった。11月の学長交渉の席で学長は東北大学分として行一、二関係186人、教務員2人、医ニが6人、計194人が削減数として文部省から指示があったことを明らかにした。

12.15、1時間30分スト

　このような削減が強行されようとしている中で、組合は定員外職員の待遇改善、看護婦の増員等を柱にして1時間半のストライキで決起した。すなわち12.15ストである。このストは批准率57％でスト権を確立し、寒気をついて大学病院玄関前で550名の参加を得て行われた。

文部省、定員増の回答

　この闘いの結果、イ、大学教職員の増員の必要性を認めさせ、増員要求するむねの文部省回答を引き出した。ロ、看護婦の増員については大蔵省の計画、1年延期の圧力に屈せず、文部省に計画を値切らせない態度をとらせた。ハ、定員削減については教員と看護婦の削減率を引下げさせた。ニ、定員外職員の多くの部分が教育、研究にとって必要な仕事をしていることを認めさせ、また、パートに切換える市道はしていない、と明言させた。ホ、学内保育所の必要性を認めさせた。などの成果をあげることができた。

定員外給与支給日問題

　定員外職員の待遇改善の闘いも多様に進められた。その一つに給与支給日問題がある。これは定員外職員が5日、定員内職員が17日とズレているのを改め、定員外職員の給与「後払い17日」とするとの案を、本部事務局が作り、アンケート調査を行った問題である。これに対して組合と定員外職員連絡会は、むしろ条件の後退であるとしてこれに反対するよう訴えた。結局、部局ごとに意見の集約を行うこととなり、従来通りの5日の部局と、「後払い17日」の部局の二通りになってしまった。

定員外職員の不当解雇

　定員外職員の問題でもう一つのふれておくべき問題に教育学部で起きた継続雇用拒否問題がある。これは研究費の不足を理由に突然3月で辞めるよう申し渡された事件だった。これに対して文科系支部は教室主任に会見を申入れたが拒否され、学部長との事情聴取という形で事実経過を明らかにし、解雇の不当性を確認した。雇用契約も形式上の期限を越えて更新されるのが通例であることは、すでに学長も認めていることだった。

解雇辞令の撤回

　学部長交渉の結果、「従来の慣行を踏みにじった形の今回の辞令はミスであるから、来年3月30日迄の辞令を出さざるをえない」との確認をとった。また、教室主任は独断的研究室運営の非を認め、反省の意を表した。

　医学部についても同様のケースがあったがこの場合は本人の意志に反して解雇されてしまった。このことはこの種の問題を一部局の問題とすることなく、定員外職員自らの権利意識の向上、定員外職員の正しい位置付けと結合させながら、身分保障について、常に各部局が取り組むことが必要であることを示している。

看護婦不採用問題

　一方、大学病院ではＴ看護婦が採用を拒否されるという事件が発生した。病院支部は、これは事件の根本が思想・信条の自由に抵触する怖れのある重大な問題であり、労働者全体への攻撃でもある、との観点で闘いを進めた。

百数十名の団交で白紙撤回

　11月12日、病院支部始まって以来の病院当局との団体交渉が、全学的な協力もとに行われた。参加者は百数十名に達した。この問題についての交渉はこの後も三回もたれた。その結果、「Ｔ看護婦の選考については選考委員会の構成に不適当な点があったと考えられるので、前回の選考を白紙に返し、改めて選考する」という回答を引き出し、さらに総婦長選改革について積極的姿勢を示し、定員外職員化の内規を改正することを約束させた。

総婦長、退陣へ

　しかし、病院長、選考委員長の責任は明確にされず、また不採用理由も明らかにはされなかった。総婦長の責任については進退伺いを出すことを約束させた。ここは教授会が責任をとらずに総婦長にツメ腹を切らせて逃げようとする問題があった。しかし、総婦長を退陣させたことは、病院民主化の障壁を一つ取り除いた点で大きな前進といえる。

病院看護部の民主化へ

　この闘いの成果として、Ｔ看護婦を採用させた、看護部民主化と病院民主化を前進させた、定員外職員13名を定員にさせ、「定員化の順序に関する内規」を改正させた。看護部の無権利状態を大きく転換させ、待遇改善と民主化の展望を与えたことなどが挙げられる。

　以上の経過に明らかなように、Ｔ看護婦の不採用事件をそれだけに留めずに、これをきっかけに病院の民主化への道に発展させていったことは、組合の力、病院支部の努力に依るものである。これはその後病院支部が着実に組合員を拡大していく重要な基礎となるものであり、組合本部は1月より、本部専従を病院支部に配置した。

1,500名の大量留年

　教養部では国立大学授業料値上に反対する学生の運動が高まったのに便乗して2月1日、一部の暴力学生集団が講義棟を封鎖占拠する暴挙に出た。それ以来、機動隊管理下での後期試験の強行、それに反発した学生の試験ボイコット、その結果発生した1500名に及ぶ大量留年、他方で暴力集団による教職員へのテロ、リンチなどが相次いで起こり、新学期になっても平静な授業が行われないという異常事態が続いた。これらの原因となっている暴力学生の妄動に組合は一貫して反対、糾弾し、事態解決の道は全学の一致した力で彼らを大学から一掃することであると主張し、組合はその先頭に立って奮闘し続けた。

学長選改革案を中央委で決定

　大学改革の取り組みの一つとして組合は学長選改革について検討を行い、全学討議を経て中央委員会で改革案を決定し、学長に提示した。これは全構成員の自治を基本にしたもので、その後も評議会案に一定の影響を与える対案としての役割を果した。

住居入居選考基準の改正案

　かねてより大きな問題となっていた「公務員宿舎入居選考基準」の改正案を組合はまとめ、住宅委員会を前にした2月7日に学長に提出。民主化への継続議題となっていった。

　又、本部事務局の問題で事務局長交渉を二回もち、宿日直体制の改善をかちとると共に、バス運転手等の定員化などの要求解決に前進をみることができた。

行政処分からの解放

　1957年の佐賀県教組休暇闘争に対する8.10佐賀地裁判決と、1958年の東京都教組全1日ストに対する10.15東京地裁判決が相次いで出され、どちらも行政処分の取り消しを命じた。69年の4.2歳高裁判決での刑事罰の解放にひきつづく大きな勝利であり、大量過酷な行政弾圧を行ってきた文部省に大きな打撃を与えるものとなった。

11.13処分で「確認書」で継続交渉

　11.13不当処分問題で加藤新学長と数度にわたる交渉をかさね、本川学長との合意に達した「確認書（案）」についての議論がおこなわれたが、結局具体化せず継続されていった。しかしこの間、12.15、5.19、などの統一ストに対する賃金カットは行わせない事態を作り出していった。

III　4.27半日ストライキ

田中内閣の発足

　ベトナム侵略戦争をはじめとする長年にわたるアメリカ帝国主義のドル垂れ流しにより、1971年来、国際通貨危機と国際的インフレーションが進行し、資本主義世界体制は深刻な動揺のもとにおかれた。この中でこれまで10年あまりにわたり日本独占資本と歴代自民党政府が推進してきた大企業本位の「高度成長」政策も深刻な危機にみまわれた。7年あまりの長期に続いた佐藤内閣は、1972年6月に崩壊し、新たに田中内閣が発足したが、田中内閣は「日本列島改造」をはじめとする大企業優先の政策、インフレ政策をおしすすめる中で、物価上昇、公共料金の引き下げ、高負担・低福祉政策など、大衆収奪を強め、「高度成長」政策破綻の犠牲を労働者、国民に押しつけてきた。

1972年度定期大会

　こうした状況の下、1972年7月に開かれた東北大職組1972年度定期大会は、72年度の基本方針とたたかいの重点として、70年代の本格的賃闘を実現するため73年賃闘を人勧体制打破の闘いとして位置づけ強力に取り組むこと、学習活動、組織、財政の強化をより促進させることに置き、日教組大学部が提起した「大学教職員の賃金と労働時間のあり方」を討議し、70年代に勝ち取るべき目標を明確にすること、ストライキ権奪還の展望を明らかにしていくこと、2000名規模の組合をめざすことを掲げた。

組合費値上げで紛糾

　また中教審路線に基づく五段階賃金や筑波大学などの大学の反動的再編成に反対するたたかいを強め、国民のための大学づくりをめざして教研活動などの理論活動を重視すること、73年2月に予定されている宮城県知事選挙に積極的にとりくむことを掲げている。72年度定期大会は組合費値上問題で紛糾し、72年度予算の決定が11月の臨時大会に持ちこまれる事態を生じた。日教組に対する政府の財政的報復措置や物価上昇などにより組合の財政支出の規模が大きくなっていた時期ではあったが、組合員討議期間の不足など組合民主主義の欠如が大会代議員から指摘された。

日教組委員長の来仙、11.20早朝デモ

　日教組は73年春闘構想を次のようにうちだした。中教審路線粉砕の中心的課題である「五段階賃金阻止・賃金大幅引上げ」「処分阻止・スト権奪還」の二大要求を目標に、人勧体制打破、本格賃闘の前進をはかるため、72年秋から諸行動を積みあげ、73年春闘で強力なストライキ行動を組織する。

　東北大職組では72年度人勧の分析を行い、要求との関連において人勧のもつ矛盾と欺瞞性を批判し、本格賃闘への基礎固めを全組合員に訴えた。また、9、10月の組織強化拡大月間のとりくみの中で10月21日に国立大学の組合としてはじめて、日教組槙枝委員長を講師に招き、「日本の労働運動の今日的課題と日教組」と題して労働運動講座を成功させた。11月20日には、年金・最低賃金制、スト権回復などを中心に統一ストが闘われ、早朝の町を約300人のデモにより市民へのアピールを行った。この日、総選挙戦の火ぶたが切られた。

臨時大会で春闘方針を決定

　2月10日、服部文男氏を講師として全学賃金討論集会が開かれ、73年春闘への実質的幕あけが決意された。この間、県労評や全国レベルでの討論集会、活動者学習会に参加し、学習と労働者の連帯が深められていった。2月23日の臨時大会において日教組73年春闘原案を支持して闘うことが決定され、3月の批准投票では、60.5％で批准が成功している。

半日ストへ1,030名参加

　4.27ストは、公労協・民間労組に加え、春闘史上はじめて公務員教頭が半日スト参加という成功をおさめ、4月28日の対政府交渉において実質的有額回答（「賃金引上げについては定昇ぬきで14.8％（平均14,000円）を期待する」）を引き出せる大きな力となった。半日ストライキには自宅待機を含めて1030名が参加し、東北大学の組合運動の中でかつてないとりくみとなった。

本部が賃金カット通告

　4.27ストに対し大学当局は、半日ストは異常事態なので、不就労の分の賃金は「ノーワーク･ノーペイの原則」でカットするという方針でのぞんできた。組合はノーワーク・ノーペイ論に反対するとともに1969年の11.13処分問題が原則論で未解決の状態であり、一方的な賃金カットは不当であることを通告した。5月30日、事務局、学生部、保育所の組合員に一方的なカット通告が強行された。

　組合は抗議行動に立ち上がり、定員外職員への給料に対する受領拒否闘争が組織された。

事務局の組合弾圧

　また学長交渉を要求したが、学長が拒否したため全学動員により評議会を包囲して闘い、その結果、部局長会議の代表3人の斡旋により交渉が実現した。１4日未明（3時）からの交渉の中で、定員外職員に行った賃金カットは労働の実態を故意に無視した一律4時間カットであり、学長の安易なノーワーク・ノーペイ論を悪用した事務当局の組合弾圧であることが明らかになった。午前9時、学長は今回の重大なミスを認め、勤勉手当ならびに給料カットは中止され、6月5日の定員外職員からのカットは復元され人事課長等への正式処分がおこなわれた。しかし7月には、20名以上の賃金カットが強行された。組合はこの闘いを通じて教育労働者への弾圧が労働運動への弾圧が労働運動への弾圧のみならず、大学自治の破壊としてあらゆることを理解し、とりくみを強化した。

IV　組織財政の強化をめざして

筑波大学法阻止闘争

　1973年2月、筑波大学法案が国会に上程された。筑波大学法案は管理体制の強化、教育と研究の分離、全構成員による自治の拒否、大企業本位の研究教育体制の確立をめざす中教審路線の具体化であった。東北大職組は民主教育を守る国民連合、県民連合などの動員や国会議員工作に代表を送るとともに、学習活動に積極的に取り組んだ。日教組は、「筑波大学法粉砕と大学民主化、大幅増員、定員外職員の定員化、教育予算の増額」を目標とするストライキを提起し、東北大学では54.7％で批准に成功した。ストライキは参議院審議の重要段階の7月19日に行使されたが、筑波法の成立を阻止することはできなかった。

　又、第二次定員削減反対闘争、医学部病理の定員外職員の解雇撤回闘争と待遇改善のたたかい、高齢者問題のとりくみなど、様々なたたかいが73年春闘の課題と結合してとりくまれている。

70年代を闘う組織力量を

　組織強化の面では、学習教研活動による理論面の強化、執行体制の強化と民主的運営、財政の確立など、組合の質的強化の課題ならびに2000名組合をめざす組合員の大幅拡大のとりくみが重視されている。1972年の組織率は23％（約1500名）となっており、70年代の課題をたたかう組織的力量としてはきわめて不十分なこと、70年代後半には50％を超えるよう意識的に拡大を行う必要があること、などを強調している。

事務局・歯学部・計算センター支部の発足

　9、10月には組織強化組合員拡大特別月間が設定され、約100名の新組合員を迎えている。未組織部局の組織化については、72年11月21日、同じ日に本部事務局支部、歯学部支部が設立された。又、翌年7月16日には長町分院に病院支部の分会が発足し、通研支部からわかれて計算センター支部が発足するなど親展がみられている。

組織・財政検討委員会の答申

　本部執行委員会の諮問機関として組織運営と財政強化のための検討委員会が発足し、詳細な検討が加えられている。組織運営の改善・強化については、全組合員の団結により要求の獲得、諸問題の解決をはかる、全組合員が組合活動に参加する、全組合員の総意に基づく組合運営を行う、という三つの柱をたて、職場会の確立について、政策活動の強化について、要求組織活動の強化について、組合活動の継続性をはかるために、本部と支部の有機的連関の強化について、専従書記のありかたについて、の6つの答申が出されている。同時に、財政の強化・確立のために、という職場討議資料が出されている。

宮城県知事選挙へのとりくみ

　1972年11月総選挙における社共の大きな前進、埼玉、名古屋などの一連の自治体選挙での革新の勝利などの情勢を背景に、宮城県知事選挙における社共の共闘が成立し、元東北農政局長の久我通武氏が革新統一候補として、山本自民党知事と真っ向からたち向かうことになった。1973年1月28日には県内の労働組合や民主団体を中心にして「明るい会」が結成され、この波は日に日に県内に広がっていった。東北大職組中央委員会は、組合員個々の思想信条、政党支持の自由を尊重しながら、要求実現の観点から組織として「明るい会」に加入し、久我氏の勝利のため最善をつくす、という方針を満場一致で採択し、組織戦、宣伝戦など組合史上最大の規模で選挙闘争にとりくんだ。本部と支持部に選対が作られ、選対ニュース、各種政策チラシ等が多量に発行されている。街頭チラシまき、全戸配布には多数の組合員が参加した。得票活動では目標の85％を集約し、財政も20万円の学内募金でまかなっている。この選挙闘争に参加した組合員は70％以上に達するものとみられ、県内の労働組合の選挙活動に大きな影響を与えると同時に全国の大学の今後の選挙活動に貴重な教訓を残した、と総括されている。

母親大会・仙台で開催

　田中内閣が1973年4月、突如として提案の意図を明らかにした小選挙区制については、全国的に急速に阻止運動が広まっていった。宮城県では「小選挙区制粉砕・国民生活擁護・田中内閣打倒県民会議」が社共両党、労働、民主団体で結成された。東北大職組も数度にわたる集会、デモ、中央動員行動への派遣、などにより法案提出を断念させるために奮闘している。

　第18回日本母親大会が1972年8月、仙台で開催された。東北大学では全学的に実行委員会が結成され、東北大職組もそのメンバーとして、大学に働き学ぶ婦人の要求獲得のたたかい、募金78万円やバザーなどの事業活動、会場設営などに力を尽くした。

第二十一章　「国民のための大学づくり」への前進

I　筑波法案反対と学長選改革闘争

相次ぐ強行採決

　1973年7月28日にひらかれた73年度定期大会の時期は筑波大学法案反対闘争の最中であった。

　政府文部省主導の「新構想大学」をつくりあげるため国会に提出された国立学校設置法の「改正」を、政府文部省は他の反動諸法案（国鉄運賃値上、健康保険法「改正」、防衛二法）と共に相次ぐ強行「採決」を繰返した。筑波大学法案については、6月22日衆院文教委強行「採決」、29日衆院通過、7月17日参院文教委強行「採決」、9月25日成立という経過をたどった。

2時間ストの決行

　組合は6月23日全学抗議集会をおこない、反動諸法案に反対する県民集会に合流。更に7月17日には東北大学平和と民主教育を守る連絡会議主催による「筑波大学法案、反動諸法案粉砕、学長選民主化7.17全学集会」が400名の参加でひらかれた。

　7月19日には、日教組指令にもとづき、「筑波大学法案粉砕と大学民主化、大幅増員、定員外職員の定員化、教育予算の増額」を￥I8$K2時間ストを決行。450名の組合員が参加して要求貫徹集会を行った。

　夏休み、自然休会後の9月1日と9月20日に中央動員がおこなわれ、同日には筑波法案に反対する午後勤務時間29分カットのストが350名の参加で組織された。

初の全学討議

　1972年10月に第二改革委員会から出された、学長選の改革に関する答申案にもとづき、評議会は「評議会の方針案」をまとめ、73年11月19日付広報で学内に公表され、全学的討議に付された。

　この「方針案」による具体的改革案は、「選挙有資格者の範囲を、講師および博士の学位を有し、本学における経験2年以上の助手で、部局教授会の認めたもの」に拡大すること、及び、学生に対して学長解職審議を請求する制度を別途検討すること、であった。

「6人委員会」と交渉

　組合は、初めて大学校成員の全学的討議に付された意義を評価するとともに、71年に発表している組合案にもとづく見解を「声明」としていち早く発表した。また中央委員会で「学長選挙の民主的改革のために」という職場討議資料を発表し、討議を起こすとともに、組合案支持の署名運動に取り組み、学長および、全学的意見聴取の窓口となった「6人委員会」との交渉を行うことを決定した。

職員参加の検討へ

　約1000名の組合案への賛同署名を背景に、組合は学長、及び6人委員会と交渉をもち、特に、実質的教員と判断される大部分の助手を除いたこと、又、5000名にのぼる職員に関して何らの論証もなく学長選参加から切りはなした点を強く指摘した。組合とは別に助手会・院生会等も数度にわたり話合いをかさねた。

　しかし、評議会は、74年3月、「意見聴取のまとめ」を発表すると共に、「方針案」通りの改革を決定し、改正規定を施行した。同時に、大学の管理運営への職員の意見反映の制度化を検討することも確認し、検討に付された。

II　病院総婦長公選制の実現

10年有余の総婦長専制体制

　大学病院看護部の管理運営は10年有余におよび、一総婦長専制のもとで行われてきた。婦長会議も総婦長を中心とする職制の上意下達の機関となり、現場看護婦の声は一向に反映されなかった。総婦長を中心とする職制は組合を徹底的に敵視し、不当労働行為が重ねられ、「国鉄マル生」の病院版といえる事態が生じていた。

2年越しの民主的検討

　1971年10月から12月の看護婦不採用事件をめぐる闘いの結果、不採用の撤回と総婦長退陣が実現し、非民主的、反組合的看護部支配体制が打破られ、看護部民主化を要求する声が病院全体に広がった。

　その組合の提案にもとづき、「看護部のあり方委員会」─科長会議代表と看護婦代表の協議機関─が設置され、総婦長選考方法についての検討が開始されることとなった。また星陵会の民主化推進のため「星陵会あり方委員会」が設置され、会の役員選出や運営に関する一定の改革も行われた。

病院組合、3ケタへ

　あり方委員会の委員を選ぶための選挙も民主的な手続で選出されるように努力した結果、多くの科で信頼を得ている組合員多数が選出された。

　以来、2年以上にわたる民主的討議の結果、不十分さを残しているとはいえ公選制が実現、初の総婦長選挙が3月15日公示され3月28、29日の両日、全看護部職員の一票投票でおこなわれた。病院民主化の新たな第一歩である。

　又、この間に設置された「あり方委員会」「看護部検討小委員会」「看護部検討小々委員会」はひきつづき存続され、新たな問題にとりくむこととなった。

　こうしたたたかいの中で、病院支部はこの一年間だけでも二倍以上の新組合員をむかえ、三桁の組合に大きく成長した。

　又、東北大学において初の「第15回医大懇」が1973年10月、成功裏に開催された。

公務員宿舎選考の改善

　組合は数年来、東北大学に割当てられている合同宿舎、省庁別宿舎への入居選考を明朗化するため、取り組みを強めてきた。とくに72年3月から、入居選考基準・委員会の構成について、イ、選考基準の高級者優先を改めること、ロ、選考委員会構成を全学の構成員の意見が反映されるよう改善すること、を中心とする組合の見解を学長交渉において示した。更に73年11月の学長交渉で再度具体案を提案し、評議会での検討を約束させた。

　その結果、翌年2月の評議会で、職員入居選考委員会内規の一部「改正」がなされ、助手代表参加につづいて、職員選考については従来の事務局長一任にかわって、事務長5名の他、一般事務職員、技官がそれぞれ一名よりなる選考委員会が設置されることになった。

　「組合推薦」が除外されているなど不十分さを残しているものの、組合のとりくみの一定程度の反映であった。

工場問題のとりくみの開始

　研究・教育の発展にともなう仕事量の増大の一方で、設備の老朽化や人員不足が進行し、「工場問題」は大学の教育・研究をすすめる上で大きな矛盾が顕在化してきている。工場職員の間には研究者との結びつきや信頼感をどのように確立するか、班長・掛長の指導性、工場長の役割、研修など、工場の管理運営のあり方をふくめ、「工場問題」はその部局、学科全体にかかわる問題になってきている。

　金研支部ではこのような問題点を整理し、改善していく運動がとりくまれ、工場職員全員に対するアンケートを集約。その結果にもとづいて所長・工場長との懇談会などをもち、安全靴や作業服の毎年更新など、すぐ実現できるものはかちとり、設備、専任工場長、働きがいのある職場づくり、定員増や所長選問題広く意見を交換し合った。その後も、班長会議・掛長会議などで項目別に蓄積され、工場民主化問題も具体的前進にむかい、教授会も「工場のあり方委員会」を設けるに至った。

　こうした金研での経験をふまえ、73年末には全学の工場実態調査に発展、今日の「工場問題対策委員会」設置にひきつがれていった。

III　図書館定員増のたたかい

定員増要求12.4スト

　1968年より3年間の第一次定員削減で3848名の国立大学教職員定員が削減されたのにひきつづいて、4014名の第二次削減が1974年度までの期限ですすめられた。東北大学には、一般職員194名、教官27名の第二次削減が強要され、大学当局は定員案分7.7％一律削減の指示を決定し、同年4月までにその作業をほぼ完了した。

　73年暮の日教組大学部の定員・予算増のたたかいは、インフレ手当要求と結合し、はじめて、公務員共闘、日教組統一の12.4早朝2時間ストとして組織された。このたたかいは、スト前夜の日教組に対する文部省回答「大学教職員増に努力する」という抽象的回答のまま中止となった。

　又、大学部は、12.4の継続発展として病院部門における「夜勤ぎれ」戦術闘争を組織し、「夜勤ぎれ」目前の12月17、18日の文部省交渉で積極的回答をひき出した。しかし、東北大学病院支部は、このたたかいに合流できなかった。

教養部・5名の欠員補充上申書

　定員削減強行以来、組合は学長交渉で一定の歯止めを確認すると共に、各部局・職場から定員削減をはねかえす闘いをすすめてきた。

　昭和34年以来、学生数が1.7倍に増え、全学ではそれに伴って471名増えているにもかかわらず、教養部では1名も増えないどころか、1次2次で17名削減が強要され、深刻な事態をむかえていた。

　教養部定員に関する5人委員会の議論も前進がない状況の中で、教養部支部は全学的アピールと部局長交渉をつみかさね、教養部長は74年3月に5名の欠員を充当する上申書を学長あて提出、定員削減に反対する具体的方向を示した。

　又、73年11月以来、片平、5名、北四、2名の保母に「職業病」が発生した保育所支部では、73年4月の各1名増員にひきつづき、各2名の増員要求をかかげ、とりくみをすすめた。

国会と結合し、図書館に4名の定員

　図書館では、昭和27年の文部省図書館改善要綱と比較してさえ、36名不足という極端な人員不足にともなう慢性的労働強化が強いられていた。更に川内への移転作業に伴う各業務の滞りと、新営図書館の機能の拡大などにより、誰がみても機能麻痺の状態の中で、何の見通しもないまま前面開館を強行しようとしたことに端を発して、図書館における定員増のたたかいが大きく組織された。

　図書館支部は最低11名の緊急人員要求をかかげて、11月6日より超勤拒否闘争をほぼ1ヵ月にわたって展開した。5000枚の全学への訴えや、庄司幸助代議士の事情聴取などが行われるなかで、学長・館長交渉がつみかさねられ、12月より共通経費による4名の定員外職員の緊急採用を評議会は決定した。

　又、国会での追及も相まって、74年4月より、参考業務要因として東北大図書館に4名の定員増（全国24名）が実現し、定員外職員の定員繰り入れが組合の要求を汲んでおこなわれた。

定員外職員に関する「緊急提案」

　73年秋闘に向けて、保育所、計セ、理、事務局、図、青年部、各支部1名、本部3名の構成による「定員外職員独自要求検討委員会」をもうけ、8頁にのぼる「定員外職員に関する緊急提案」を発表し、学長交渉をつみかさねた。この交渉の中で「定員外職員の待遇についての交渉確認事項（案）」を提出、75年7月に「共通理解」として実を結ぶに至っている。

　この間、部局でのとりくみも前進し、農学部で産休の全額保障を実現、又、5月4日支給された期末手当0.3ヵ月分が、定員外職員には70％支給されたことについて、工学部・農学部で穴うめ保障をさせることができた。こうしたとりくみの中で、37名の定員外職員を組合にむかえている。

IV　日教組の全1日ストと刑事弾圧

石油危機と狂乱物価

　田中内閣の「列島改造論」に加えた「石油危機」に便乗して、異常なインフレと狂乱物価が73年10月から74年にかけて国民を襲った。毎月の物価上昇率が20数％、公共料金も相次いで大幅にひきあげられ、国民生活は極度のパニック状況に陥れられた。国民の大きな怒りの中で、国会でも、悪徳商社の便乗値上げ、買占め、売りおしみが次々に暴露されていった。

73秋年闘争から74春闘へ

　こうした状況の下で、73春闘、筑波大学法反対闘争にひきついで、定員・賃金を柱とする73秋年闘争が狂乱物価に対置する第二春闘闘争として12月4日を山場に組織された。公労協はスト権奪還、処分阻止を結合して全1日のストを構え、日教組は「人確法」粉砕、賃金の5000円以上引上げ、大幅定員増を中心に早朝2時間ストを提起した。

　結局このたたかいは、「人確法に関する文部省の文書回答」「定員増と賃金改善」「年度末手当の0.3ヵ月支給」などの一定の前進をふまえて、スト中止となり、すべての力を74年春闘に結集することとなった。

　なお、10月に開かれた仙台地区労大会において、今日総選挙の結果、東北大学職組より議長を出すことになった（真壁完一）が、一部労組の事実上の引き上げや、県労評の妨害がはじまり、地域共闘に一定の困難を生じた。

全1日のストと臨時闘争資金

　春闘共闘は、74年春闘を「インフレから生活を守る国民春闘」と位置づけ、国民総ぐるみのゼネスト体制でたたかうことを確認した。日教組は2月の臨時大会で、「賃金の大幅引き上げ、五段階賃金阻止」、「スト権回復・処分阻止」「インフレ阻止・年金・最賃・教育などの国民的諸課題実現」の三大要求を目標に、春闘決戦段階に全1日と早朝2時間、国会審議の重要段階に早朝1時間の三波の統一ストを組織するため、3月中旬に全組合批准投票を行うことを確認した。同時に臨時闘争資金として1組合員あたり5500円と闘争基金1500円の計7000円を6月と12月にわけて徴収することを決定した。

1,000名をこす全1日スト

　仙台市長選挙勝利、学長選改革実現や組合員拡大月間（1～4月）のとりくみと結合しながら、アンケート、大学部長の講演会など、74年春闘のとりくみ準備が急速につよめられた。

　3月2日の東北大職組臨時大会をふまえておこなわれた批准投票は、66％以上の批准率でスト権を確立。4月11日、13日に設定された全1日・早朝2時間ストは、全国的な盛り上りの中、川渡支部の初参加をはじめ全学の教職員1000名以上が参加して整然とたたかわれた。

　日教組全体では、35都道府県教組・48大学4高専が足並みをそろえてストを決行した。

日教組への大規模な刑事弾圧

　こうした闘いを背景にした政府交渉では、かつてない大幅賃上げ（26％）や年金制度の改善をかちとり、新たに春闘第三波として設定された4月16日の1時間ストは中止されることになった。

　しかし、同時に政府・自民党は、全1日ストを闘った4月11日夕刻より、日教組への大規模な刑事弾圧にのりだした。槙枝委員長をはじめ、各都県教組の幹部20余名を逮捕するなど、その規模は、強制捜査、全国12都県８８１ヵ所、任意出頭者１万数千名に及んだ。

　これは、公務員労働者に対する８年ぶりの刑事弾圧の復活であり、同時に、参院選を前に、田中内閣の失政に対する国民の不満を教育問題にそらし、更に公労協・公務員労働者への分断をうちこまんとするクサビであった。事実、スト権については非現業官公労働者を見殺しにして妥結し、日教組への刑事弾圧の最中に春闘共闘委はストライキを収拾するという重大な汚点をのこすことになった。

V　激動期にむかって

　田中内閣の高飛車な姿勢にもかかわらず、国民生活をかえりみない金権・金脈政治にたいする追及の火は全国に大きくひろがった。

　74年7月の参院選挙で自民党は大敗北を喫し、参議院における与野党接近の事態を迎えた。長期にわたった自民党の単独支配の基盤は大きく揺らぎ、日本の政治・経済は文字通り激動期に突入したのである。そして田中内閣自身、秋には“のたれ死”の様相で三木内閣にひきつがれていった。

　高度経済成長の下、スト戦術の積み上げの中で全1日ストを敢然と打つに至った日教組運動と、大規模な刑事弾圧、そして、激動する情勢に対応し、不況とインフレの同時進行にあえぐ国民の総団結の緊要性─74年春闘の経験を経た日本の労働運動、日教組運動は新たな飛躍を求められた。

　74年秋闘争では、日教組本部が提起した午後半日山場ストは、全国的批准投票で軒並み否決の結果となった。東北大職組も批准率27.21％であった。同時に、大学部独自要求に関する署名は、過去最高の2,383名（全国大学26,254名）を集約し、大量の中央動員行動を通じて、教育・研究費46億の予算補正を実現した。

　「25年の貴重なあゆみを飛躍台に─未来にはばたけ東北大職組」をスローガンに、東北大職員組合創立25周年記念式典、レセプションが10月29日に盛大に開催されたのはこうした時期であった。

第六編 激動へ（1970年～74年）（昭和45年～昭和49年）

日教組教研

1963 第12次 大学管理運営における自主性について

1964 第13次 大学における科学技術政策

1966 第15次 「学園整備計画」と大学の自治─9月のたたかい

1967 第16次 教育予算増額と定員増をめぐる闘い

1968 第17次 「概算要求及び共通経費規程」案をめぐる諸問題

〃 〃 現在の大学における助手の諸問題

1969 第18次 東北大学における大学院制度の諸問題

〃 〃 同 ─補足報告─

1970 第19次 東北大学をめぐる二つの道

1971 第20次 東北大学における技術職員問題

1972 第21次 東北大工学部・理学部における系列別募集の問題点

〃 〃 准看護婦制度の問題点

1973 第22次 医学部卒後研修の改善

1974 第23次 大学入試と入試後の学生の実態

1975 第24次 東北大学の教育改革

1976 第25次 東北大学の教育改革─その後─

1977 第27次 大学財政危機と国民のための大学

大学部教研

1970 第一回 大学教員の身分差別問題

1971 第二回 東北大学における民主化の現状と問題点

1972 第三回 今日の教養部問題─特に慢性化している大量留年問題─

〃 〃 附属病院民主化闘争について

1973 第四回 図書館民主化問題について

〃 〃 4.27処分撤回闘争

1974 第五回 看護部の民主化闘争─総婦長公選制を実現するまで─

〃 〃 国民のための介護の確立─問題提起その（１）─

〃 〃 学長選挙改革の実現にいたる東北大学民主化のたたかい

〃 〃 「東北大学の編成および研究・教育体制の改革に関する答申」について

1975 第六回 職場の安全管理について─問題提起─

〃 〃 国民のための介護の確立─問題提起その（２）──短大移行を考える

1976 第七回 国民のための介護の確立─問題提起その（３）──臨床における介護内容の充実をめざして職場の民主化を─

1976 第七回 教養部改組を中心とする東北大学の改革

〃 〃 東北大学における学生処分について＝学生処分観とルールの考察＝

1977 第八回 東北大学第二次財政危機白書の分析─個々の研究者・研究室の現状および意識調査を中心として─

東北ブロック教研

1972 第二回 東北大学における事務職員の位置と役割

合同教研

1971 宮城の公害

第六編　激動へ（1970年～74年）（昭和45年～昭和49年）

1963　第12次　大学管理運営における自主性について

1964　第13次　大学における科学技術政策

1966　第15次　「学園整備計画」と大学の自治─9月のたたかい

1967　第16次　教育予算増額と定員増をめぐる闘い

1968　第17次　「概算要求及び共通経費規程」案をめぐる諸問題

　〃　　　〃　　現在の大学における助手の諸問題

1969　第18次　東北大学における大学院制度の諸問題

　〃　　　〃　　　　　　同　　　─補足報告─

1970　第19次　東北大学をめぐる二つの道

1971　第20次　東北大学における技術職員問題

1972　第21次　東北大工学部・理学部における系列別募集の問題点

　〃　　　〃　　准看護婦制度の問題点

1973　第22次　医学部卒後研修の改善

1974　第23次　大学入試と入試後の学生の実態

1975　第24次　東北大学の教育改革

1976　第25次　東北大学の教育改革─その後─

1977　第27次　大学財政危機と国民のための大学

1970　第一回　大学教員の身分差別問題

1971　第二回　東北大学における民主化の現状と問題点

1972　第三回　今日の教養部問題─特に慢性化している大量留年問題─

　〃　　〃　　附属病院民主化闘争について

1973　第四回　図書館民主化問題について

　〃　　〃　　4.27処分撤回闘争

1974　第五回　看護部の民主化闘争─総婦長公選制を実現するまで─

　〃　　〃　　国民のための介護の確立─問題提起その（１）─

　〃　　〃　　学長選挙改革の実現にいたる東北大学民主化のたたかい

　〃　　〃　　「東北大学の編成および研究・教育体制の改革に関する答申」について

1975　第六回　職場の安全管理について─問題提起─

　〃　　〃　　国民のための介護の確立─問題提起その（２）──短大移行を考える

1976　第七回　国民のための介護の確立─問題提起その（３）──臨床における介護内容の充実をめざして職場の民主化を─

1976　第七回　教養部改組を中心とする東北大学の改革

　〃　　〃　　東北大学における学生処分について＝学生処分観とルールの考察＝

1977　第八回　東北大学第二次財政危機白書の分析─個々の研究者・研究室の現状および意識調査を中心として─

1972　第二回　東北大学における事務職員の位置と役割

1971　宮城の公害