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 国立大学法人東北大学の制度 中間報告以降の検討に関する報告(案)」に対するパブリック・コメント(3/31法人化対策特別委員会)の関連資料として、技術職員のパブリックコメントを掲載.個人として提出されたものですが、法人化対策特別委員会と技術職員部での検討をふまえていますので、本人の了解の上、法人化対策特別委員会のページにて公開します。


A組織業務・人事制度委員会及びB目標・評価・財務会計委員会の合同会議議長
早稲田 嘉夫 殿

2003年3月31日

多元物質科学研究所・技官
佐藤 二美

「国立大学法人東北大学の制度 中間報告以降の検討に関する報告(案)」に対するパブリック・コメント

A 「課題18 教員以外の職員の任期と定年について」について

  1. 「国立大学法人東北大学の事務系職員及び技術系職員の定年(現行:60歳)を定め」とあるが、定年の変更について検討しているのか。年金支給開始年齢の引き上げが進められている現状をふまえ、希望者には年金支給開始年齢に達するまでの雇用を保障することを明記すべきである。
  2. 事務系職員・技術系職員について、「教育研究活動に最適なサポート体制構築という視点から十分検討することが必要」と明記されている。これについて、
    1. 「中間報告」以降、技術職員の今後のあり方について、いかなる検討がされてきたのか明らかにすべきである。
    2. 制度検討委員会の下で技術職員について検討している委員会のようなものがあれば、その組織、メンバーを明らかにすべきである。
  3. 技術職員が「同一部局、同一職種で長年に渡って経験を積むことで、専門性を高めてきた」との本報告の視点を支持する。一方、「中間報告」には「専門職員を1つの組織(センター等)に属させ、学内派遣・請負制によって、効率化と能力向上を図ろうとする案がある。重要な検討課題として検討を開始する」ことが明記されている。これについて、
    1. 職務内容や規模等、中間報告以降に検討された内容を明らかにすべきである。
    2. 将来におけるアウトソーシングが懸念される。多くの技術職員の職務内容は、研究教育支援というものだけでなく、個々の技術の継承・発展はもとより、大学の独自性が期待される先端技術の取得や大学独自の技術開発等を教官と密接に連携しておこなわれてきた。技術の特殊性、様々な装置の維持管理、信頼性のあるデータ解析なども含め、技術職員のアウトソーシングはすべきではないことを明記すべきである。
    3. 技術職員の部局ごとの組織化が今後の支援体制の鍵を握ると考える。また、将来的に大学一本の技術組織を構築する必要があるとしても、現状では部局間あるいは教官の意見の違いによって部局を越えた組織化は困難である。当面、各部局での組織化を進めるべきである。

B その他、「中間報告」後、今日までに当然検討されるべき事項だが、本報告の記述からは不明である点が多々あり、それについて意見を述べる。

  1. 技術職員の地位について  法人化の機会に技術職員、技術組織の大学における意義・役割・職務内容を明確に位置づけるべきであり、本報告に明記すべきである。
  2. 技術職員の組織について
    1. 概念について
       教官との密接な連携による研究教育支援という技術職員の立場を考慮し、その発展のために寄与するための組織として概念を明記すべきである。
    2. 人員の確保について
       このまま無計画に推移すると技術職員の数は、今後数年で著しい減少がみこまれる。これまでの技術の継承、新たな技術開発、研究教育支援、法人化後に必要になる新たな職務などの仕事量を考慮し、各部局・事業場ごとに必要な職員数を確保することを明記すべきである。
    3. 組織のあり方について
       本来、技術組織は、研究教育支援体制(派遣・請負・プロジェクトへの参加等)の確立を目的とし、様々なニーズに対応しうるものでなければならず、また、研修・研究会・講習会の企画・運営への参加、報告書の発行、技術開発、評価等にかかわる。したがって、各技術職員の能力の把握、適正な職務への配置、人事管理などの人事権を有し、組織独自の運営体制を確立することを明記すべきである。
  3. 研修について
     これまでの研修は、技術職員それぞれの職場での技術向上にとって大まかで基本的なものであった。今後の研修に期待されることは、大学における管理運営に必要な研修はもちろんのこと、高度な研究・教育の発展のためにより専門的で充実したものでなくてはならない。例えば、内容面では、先端技術研修、専門的な知識を得るための研修、会社への派遣、公共機関主催の講習、学内外で行われる学会・研究会への参加、技術組織を管理していく上で必要な管理者養成講習などは保障すべきである。また、研修の規模としては、これまで行われてきたような全国・地区・学内・部局といった各レベルでの研修・研究会が保障されるべきである。その際、研修の一部は、技術組織自ら企画・運営することが重要な点と考える。
     これら研修・研究会のための予算配分は、あらかじめ講じなければならない。
  4. 評価について
     これまでの大学における技術職員の評価には、管理業務をともなう高い職階制が認められないこと、多様な職務内容を平準化することが困難であることから不透明感があり公平でないことなどの問題点がある。文部科学省が導入した訓令33号(八項目評価基準)は、大学の技術職員の評価基準としては不適切であると考える。一般的に大学における技術職員は、人事院からみると年功制の強い人事評価研修を含む任用制度の未整備・人事交流の停滞・職務内容の軽易さによって他省庁より総合的低くみられていることは周知の事実となっている。さらに昨今行われている外部評価においては、給与ベースに対する職務内容・仕事量に疑義をもたれていることも考慮しなければならない。
     上記の体制が整うなら技術職員の評価もその職務の遂行状況、達成度によってある程度可能であると思われる。評価基準を明確にすることが最も重要なことであるが、これまでの流れを考えると業績・能率・貢献・経験などを考慮した評価体系=制度を採用せざるをえない時期にきていると思われる。その場合、職務内容、あるいは管理者による私情のまじった評価等の不公平をきたしてはならない。そのためには、評価において公平性と透明性がチェックできる機能をもつことが望まれる。
     法人化にあっては、技術組織のあり方が評価の対象になるため組織の方針・形態・機能などについて、大学当局と技術職員相互に十分に検討していくことが肝要であると考える。

以上


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