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大会宣言

 この1年、与党3党は、数を笠に着た乱暴な国会運営によって、盗聴法、国歌国旗法などをあいついで強行採決し、憲法改悪をにらんだ憲法調査会を発足させました。森首相の相次ぐ問題発言からも、この政府の悪しきナショナリズムへの傾きがはっきりと見てとれます。引き続く不況の中で、「規制緩和」による大企業の野放しと、金融機関への湯水のような公的資金投入が行われ、相も変わらぬ巨大公共事業が乱発されています。大企業が救済される一方で、生活者だけは「自己責任」の名の下にリストラ、年金・医療保険の破産、生保の破綻にさらされています。リクルート事件を発端としたはずの「行政改革」はいつの間にか国家公務員の大幅削減にすり替えられ、一方で建設・運輸の2大利権官庁を統合した巨大な国土交通省が作られようとしています。このように、新自由主義と新国家主義の結合、加えて政官財の利権構造の温存という最悪の組み合わせが現在の政府の姿であると言わざるを得ません。 
 そしてこの1年、大学は独立行政法人化問題に揺れ動きました。当初、行革人減らしのために企図された独法化は、現在「大学改革」の名の下に強行されようとしています。しかし、その「改革」なるものは、大学自治を否定し、国策に従う大学を作ろうとするものであり、わが国の学問文化を根底から崩すことになりかねない、きわめて歪んだ高等教育政策に基づいたものです。

 私たちは、今大会の議論のなかで、あらためて独立行政法人化が大学における自由な学問と民主的な運営を阻害することを明らかにしました。そして、大学の役割は、新技術の開発や人材養成だけに矮小化されてはならず、現代社会が抱える諸問題の解決に向けて学問的立場から分析と情報提供を行っていくこと、人類の英知を積み上げていくことであり、また、専門的知識に加えて広い視野と批判力を備えた、自立した個人を育て送り出すことであって、そのためには時の権力に対しても批判的立場を保っていくことこそが、大学の存在価値であり、真の大学改革の目指すべき方向であることを確認しました。
 さらに、このような改革のためには、大学の教育・研究・医療・事務などすべての職場において、基本的人権を守り、民主的で開かれた運営を貫くことが必要であることを確認し、そのために私たちは先頭に立って奮闘していかなければならないと決意しました。

 私たちは、昨年10月に迎えた職員組合結成50周年にあたって、記念式典を初めとする数々の記念事業を成功させてきました。また、独法化反対の署名活動のなかでは、学内外諸団体との共同によって過去の実績を大きく上回る成果を得ることができました。新たな半世紀へ踏み出す今年、私たちは独法化反対を運動の大きな柱としつつ、定員削減によって悪化する一方の労働条件を改善し、教務職員を始めとする職員の待遇改善を求め、トップダウン方式が浸透しつつある大学運営に対して、情報の公開と民主的議論を徹底させていく運動を、粘り強く進めていくことを決定しました。

 私たちは、私たち一人一人の生活と権利のために、そしていかなる権威からも自由で創造的な大学、人間と地球の未来を創る大学をめざして、組合の組織と運動を大きく盛り上げていくことを決意します。そして全学のみなさんにも、私たちの運動に加わり、ともに闘うことを呼びかけます。

右、宣言します。

2000年7月14日 東北大学職員組合2000年度定期大会


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