ホームに戻る
2000年定期大会議案書
(2000年7月14日開催)
国立大学の独立行政法人化反対!第九次定員削減反対!
昇給停止反対!調整手当改悪反対!消費税大増税反対!
憲法改悪反対!戦争法の発動阻止!
高等教育の市場主義的再編を許さず
教育研究基盤の充実と
教職員の生活改善をめざして
大学人らしい知的創造活動を!
<目 次>
第一号および三号議案(経過報告と運動方針)
はじめに
一 生活改善のとりくみ
二 教文部のとりくみ
三 大学改革について
四 技術系職員の運動
五 教務職員の運動
六 事務職員の運動
七 図書館職員の運動
八 医療部門の運動
九 定員外職員の運動
十 昇給・昇格運動
十一 福利厚生活動
十二 文化・レクリェーション
十三 婦人の運動
十四 青年の運動
十五 平和と民主主義を守るたたかい
十六 地域共闘のとりくみ
十七 組織強化・拡大について
十八 五○周年記念行事
第三号議案の基調
二○○○年度の運動の基調と重点課題
第四号議案I
二○○○年度会計予算編成方針
第二号議案
一九九九年度会計決算報告
第四号議案II
二○○○年度会計予算案
教職員共済会計報告
労金会計報告
大会宣言
特別決議
当日の挨拶
執行委員長開会挨拶
来賓挨拶
新執行委員長挨拶
当日の討議を職組ニュース2000年1号に掲載しました.
(1)東北大学職員組合は、多くの先輩の運動と闘いの成果のもとに、一九九九年一○月二九日結成満五○周年を迎えました。多くの組合員の参加で様々な記念行事に取り組みつつ、一一月六日、記念式典を盛大に行い、二一世紀にむけてさらに奮闘する決意を新たにしました。
(2)新しい世紀を目前にして、二○○○年六月一三日、南北朝鮮首脳による歴史的な会談が行われ、アジアの平和に新たな局面が切り開かれました。一方、日本においては、永年にわたり政治経済を支配して来た自民党と、それを支える勢力に対する国民的審判を下すべき総選挙が、六月二五日投票で行われました。
アメリカに追随した「規制緩和」路線や外交・軍事政策、および、大企業・銀行とゼネコンを最優先にした財政政策によって、国民生活が危機的状況にあるにもかかわらず、依然として自民党政治は、利用されない空港や港湾施設などの浪費型の大型公共施設建設を続け、途方もない財政赤字を作り出しています。財政赤字の規模はすでに六四五兆円にのぼり、それは国民一人当り五一○万円もの借金に相当します。
自・公・保の三党連立政権は、二○年前には二九%あった社会保障・医療・教育の国家財政に占める割合を当面一九%と三分の一削減し、将来それを更に引き下げる計画をもっており、これは、自らの失政が招いた借金のツケを、「小さな政府」「構造改革」の美名のもとに国民に転嫁することによって切り抜けようとするものです。
また、国民の負託を受けた科学技術・歴史文化に関る研究機関や博物館などを「独立行政法人化」することを決め、国家予算の軽減や国家公務員定員の二五%削減をはかる一方で、国民には、消費税率を五%から一○%へと大幅に引き上げる大増税を押し付けようとしています。
(3)こうした一連の国民生活犠牲の「構造改革・行革路線」が強まる中で、一九九九年九月二○日、それまで独立行政法人通則法の国立大学への適用に反対して来た文部省が突然態度を変え、独立法人化問題が急浮上してきました。それに対して全大教、科学者会議など多くの団体や個人が、秋から年末にかけて大きな反対運動を展開しました。全大教に結集し全国的にかつてない規模で署名運動が取り組まれ、二五万筆余を文部大臣に提出しました。反対運動が高揚し、全国四四大学共同声明や理学部長会議声明などによって相次いで反対の態度が明らかになる中で、文部省も慎重に対応せざるを得ない状況に追い込まれました。
しかし,自民党は、五月九日、独法化を「大学改革の一環として推進すべき」と強弁する「文教部会提言」を発表し、これを受けて、五月二九日文部大臣が国立大学学長に説明を行いました。一方、国大協は六月一三日から一四日にかけて行われた総会において、文部省の「調査検討会議」に参加することを決めました。独立行政法人化に反対する闘いは、新たな段階に入っています。
今、私たちには、「国民のための大学づくり」の観点から、九次にわたる定員削減や校費削減などによる国立大学の深刻な現状とともに、自ら改革・改善すべき点を明らかにし、広く国民的な理解を得ながら運動を構築していくことが求められています。
(4)あいつぐ教職員定員や大学予算の削減は、教育・研究からゆとりを奪い、事務の繁忙化を加速し、労働条件の悪化をもたらしています。全国の大学病院では医療事故が多発しており、多くの職場で労働者の人権が侵害され、精神的なストレスから自殺に追い込まれた人も少なくありません。
効率化を最優先する風潮が強まる中で、科学技術への過信と無知による歪みもまた明らかになって来ています。その典型が東海村核燃料製造工場(JCO)における臨海事故やイギリスのMOX燃料製造データ改竄事件に見られます。そうした中、ドイツにおいて三○年後に原子力発電所を廃棄すると決定されたことは、教訓的・先駆的なものです。二一世紀を来年に控えて改めて、今日の科学・技術のあるべき姿や東北大学がその中で果すべき役割について真剣に検討することが求められております。
(5)昨年成立した学校教育法等一部「改正」法により、東北大学においても二○○○年四月から「運営諮問会議」が設置されるなど運営体制が改められ、すでに一回目の「諮問会議」が行われています。今後も動向に注視する必要があります。
こうしたなかで、「第三者評価」の導入や全学教育の体制整備など、大学と自治にとって重大な問題がトップダウン的に決定される傾向が強まっています。この間の独立行政法人化問題をめぐる学内論議の進め方は全構成員の合意形成をはかるものとはなっていません。
また、キャンパス移転問題が、東北大学自身が抱える大きな問題であるにも拘わらず、先行きが必ずしも明確になっていないために、大学の将来計画と当面の施設整備・改善との間の矛盾をいっそう深刻にしていることは、全構成員の合意を重視する立場からも重大な問題です。
昨年七月二二日の総長交渉で阿部総長が「本学の運営のしかたを基本的に変えるものではない」と言明しましたが、本学における運営の基本である部局自治の原則に基づいた自主的・民主的な討議の保証が重要です。
(6)真に自主的・民主的な討議の保証は、今日の大学を取り巻く諸問題を解決するための不可欠の土台であり、それに果たす組合の役割は極めて重要です。その責任を主体的に担うことができるよう組織の抜本的な強化・拡大に全力を挙げて取り組むことが最も重要な課題です。
[1]1999年人事院勧告
(1)人事院は一九九九年八月一一日に、給与改定について賃上げ率平均○・二八%(一○五四円)と史上最低の昨年をさらに下回る勧告を行いました。これに加えて期末手当の○・三ケ月分の大幅削減を勧告しました。国公の組合の強い反対もあり、調整手当の見直しは仙台市については見送られた(来年度に再度検討)ものの、初めて年収ベースで前年を下回る勧告となりました。
(2)人事院の年収減勧告は民間調査を口実にしていますが、一方、人事院勧告を口実として民間の賃金も抑制されているのが現実です。また、民間賃金の低迷は不況を背景としており、不況の最大の原因は、国民の消費購買力の低下にあります。
公務員のリストラが国民サービスを低下させるのと同様に、公務員給与の引き下げ・抑制もまた、不況をさらに長期化させる要因となり、国民生活を圧迫することを、人事院もまた認識すべきです。
しかも、人事院は労働基本権制約の代償機関として公務員の生活改善に責任を負っており、生計費原則をないがしろにして民間賃金調査に傾斜し続けることは人事院本来の設立趣旨に反するものです。人事院交渉等にあたっては人事院の役割の再確認も重視すべきです。
[2]総長交渉
(1)総長交渉は七月二二日に行われました。最近は年一回しか行っていませんが、これを慣習化させないことが必要です。(会見ではなく交渉であり応諾義務があること、年一回に限られないことについては一九九八年七月二七日に行われた総長交渉にて組合の意思を示しています。)
(2)冒頭に総務部長より、あらかじめ質問していた待遇改善に関する実務的項目について主に以下のような回答がありました。
- 教務職員の在職数について(八九名)
- 技術職員全体の中に占める六級以上の人の割合について(一四・八%)
- 看護婦の複数夜勤・月八日以内の実現のための努力について(概算要求で37人増員要求)
- 事務一元化の年次計画について
(一九九九〜二○○一年の年次計画。人事と契約を集中)
(3)各項目について総長からの回答は以下の通りです。
- 教務職員について
- 平成一二年度概算要求に間に合うように実務的な指導を含めて各部局に要請している。
- 技術職員について
- 五、六級昇格が総長権限になったことを受けて、各部局からの申請をもとに「技術専門職選考委員会」に諮って選考している。
- 看護婦の定員増について
- キャンパス移転計画について
(事務局長による裁判の状況説明のあと)
- 評議会の決定を変えるつもりはない。
- 移転対象部局の施設整備については、計画中は我慢してもらい、その後で重点的に整備する。
- 交通問題(主に青葉山)について
- 仙台市側に具体化の要請もしていく
- 新交通システムのプロジェクトに本学関係者も参加している。
なお、現状を打開し通勤・通学の安全を確保する上での展望は示されませんでした。
- 学校教育法の「改正」にともなう大学運営方法の見直しについて
- 「本学のあり方に関する検討委員会・組織運営検討小委員会」で検討中。
- 運営諮問会議は置かなければならないが本学の慣行を変える必要はない。
- 独立行政法人化について
- 二五%の定員削減か、法人化かの選択の中で、反対の旗を降ろさずに条件をつけていく道しかない。
- (独立行政法人化されてもその後大幅に定員削減される可能性があるとの組合の指摘に対して)心配しているが本当になると困るのでそのことは言わないでほしい。
(詳細は、一九九九年八月五日付「職員組合ニュース」一号参照)
[3]秋期年末・春闘のとりくみ
(1)政府は、年収が初めて前年比マイナスとなる人事院勧告であるにもかかわらず、九月の段階で早々と完全実施を決めました。
(2)独立行政法人化をめぐる緊迫する情勢の中、全大教は、七月の第二○回定期大会、九月の教研集会(岩手大)、臨時中央執行委員会を通じて、独立行政法人化に反対する取り組みを、秋期年末・春闘期の最重要課題とすることを決めました。
取り組みの具体的な柱として一○○万人署名運動と意見広告運動を位置付けました。署名は、二五万八一九一筆の集約となり、1月二八日、文部大臣に提出しました。意見広告運動は、朝日新聞、ニューヨークタイムズへの掲載が実現しました(一○五人、二○万四○○○円のカンパ)。
(3)組合は全大教に結集して署名、意見広告、学習等に取り組みました。キャンパス一斉署名行動、街頭署名宣伝行動、他団体への要請などを通じて、署名数は組合としは過去最高の三八二二筆に達しました。街頭署名宣伝行動は河北新報にも報道されました。
また、教文部や各支部を中心にした討論会・学習会の開催、教文部ニュースやパンフレットの作成・配布等に取り組むとともに、総長・評議員・学部長へは繰り返し申し入れを行いました。しかし、学内の議論は依然として低調にとどまっています。
(4)春闘期も引き続き、独立行政法人化反対を最重要課題としつつ、春闘共闘会議に結集して、二・二五日本列島怒りの総行動等の春闘課題への取り組みを強化しました。
調整手当の仙台市適用解除等の改悪に反対して署名や国公東北ブロック人事院東北事務局交渉にとりくみました。
教育研究調整手当の新設等の春闘要求をかかげて全大教東北地区協議会人事院東北事務局交渉に参加しました。
春闘期のアンケートについては従来の反省にたって内容と集約方法について検討し、独自のアンケートを作成して取り組みました。結果としては一一六名の集約にとどまり、引き続き改善すべき課題です。
二○○○年運動方針と課題
(1)独立行政法人化の動きに対して組合は、教職員の待遇の重大な改悪と身分の不安定化が起こることのないよう、交渉等を通じて大学当局に対して、検討内容を早期に明らかにさせること、教職員の合意を基に進めることを強く求めます。
(2)教職員の要求運動を強化することを基本にしつつ、全大教の方針提起に応えて統一要求、統一行動を重視して取り組みます。全大教の文部大臣交渉の実現を目指します。
(3)賃金改善については、人事院勧告に向けて官民一体の運動を強めます。教員賃金をはじめ各職種の賃金要求については、支部代表者会議、職場討議、学習会等の取り組みを強化し人事院交渉等に生かします。また、勤勉手当等の差別主義強化問題、調整手当の引き下げ等の改悪に反対し、宣伝・学習・対話行動などの運動を強め、生活を守るたたかいを進めます。
(4)教員の任期制導入問題、キャンパス移転問題、事務の統廃合、技術職員問題、教務職員問題、病院看護職員の増員と待遇改善などの面で、総長の果たす管理・運営上の責務は重要になってきています。必要に応じて総長交渉を申し入れ、学内の諸要求の解決及び文部省への上申を求めます。また、部局長交渉など各支部での独自要求の取り組みを強めます。
今期教文部の活動は主として、国立大学の独立行政法人化問題への取り組みでした。この問題は大学の存立そのものに関わる重大問題であり、別に一項を設け、[国立大学の独立行政法人化問題]としてまとめました(第三章)。
本章ではこれ以外の主要な問題についてまとめます。この中には組合として十分に取り上げることができなかった問題も含まれますが、これらも私達にとって重要な課題であり、今後の取り組みのためにも、可能な限り論点を整理して述べることとします。
(1)第三者評価機関と大学評価
二○○○年三月の国会において、国立学校設置法一部改正法が成立し、従来の学位授与機構が大学評価・学位授与機構とされ、いわゆる第三者評価機関としてこの4月から業務を開始しました。これは、昨年の教授会権限の縮小や運営諮問会議の設置などを盛り込んだ学校教育法等一部改正法に続く、大学審議会答申の具体化の流れのなかに位置付けられるものですが、昨年のような反対運動は全国的にも起こらず、また東北大職組としても具体的な運動は提起できませんでした。
大学を評価すること自体についても、そもそもこれが可能なのか、大学の序列の固定化を招くのではないかなどの議論はありますが、取り合えずこれを置くとしても、評価を資源配分や組織の改廃に直接つなげることについては、安易な競争主義を招くものとして、私達はこれを厳しく批判してきています。現在、学位授与・大学評価機関の評価を直ちに資源配分などに用いるとはされていませんが、独立行政法人化の動きと連動して、その方向へ向かうことは確実です。今後、私達としても大学評価をめぐる論点を整理し、“アカウンタビリティ”、“社会のニーズ”といった流行語に惑わされず、本来の高等教育の社会的な責任を全うする立場で方針を立て、運動を進めていく必要があります。
(2)運営諮問会議と大学運営
学校教育法等一部改正法の施行により、学外者からなる運営諮問会議が設けられ、五月に第一回の会議が行われました.この会議は大学の運営に対して「勧告」を行うことのできる強力な権限をもっており、その会議の内容は私達にとっても重要な意味を持っています.運営諮問会議の議事録の扱いについては現在のところ不明ですが、是非ともこれを公開させるよう総長交渉などで要求していく必要があります.また同時に、総長裁量経費の使途などについても公開させ、トップダウンの運営が強まるなかで、民主的運営を実質的に確保していく努力を行っていく必要があります.
(3)教員任期制問題
本学における教員任期制は、新たに二○○○年三月から加齢研付属医用細胞資源センター助手職に三年の任期制が導入され、従来の三ポストと合わせ四ポストとなりました。また、片平地区三研究所統合案の中では、新設部門に包括的に任期制ポストを導入することが盛り込まれています。全国的に見ると、三五国立大学、四公立大学、四大学共同利用機関等が、教員の任期に関する規則を定めており、昨年に比べ特に国立大学における導入が進んだことが指摘されます(昨年同時期では二三国立大学、三公立大学、三大学共同利用機関)。教員全体から見れば、依然としてわずかな数ではありますが、国立大学の約三分の一に任期制のポストが設けられたことになります。
全国の大学の中で、任期制に対する批判的空気は依然として強いと思われますが、一方で、文部省はこの間、組織再編の際に任期制ポストを導入する、あるいは新設ポストを任期制とするといった、“飴と鞭”によって任期制の導入を進めており、これが上記のような数字となって現われたと考えられます。また、独立行政法人化の動きの中で、自民党からは任期制の大幅な導入が提言されるなど、こうした圧力は今後ますます大きくなることが危惧されます。当初、独法化を避けるためには任期制を受け入れるべきだとした国大協の判断の甘さは、改めて指摘されるべきです。私達としては、任期制が研究教育活力を阻害することを広く訴え、新たな任期制の導入を許さない粘り強い運動を継続していく必要があります。
(4)積算校費の配分方式変更に伴う諸問題
文部省は昨夏、突如「教官当積算校費の改善について」なる通達を出し、積算校費の算出基準を変更しました。これによると、従来博士講座、修士講座などと実験講座、非実験講座の組み合わせで算出されていた教官当積算校費単価を、非実験修士に統一し、また学生当積算校費についても文科に統一する、などとされています。この通達に従えば、確約される校費は、単価で博士実験講座の三分の一、東北大学全体で見るとおよそ五分の一に減ることになります。文部省では、「大学分」なる新区分を設け、二○○○年度については従来との差額分相当の額をこれに充てるとしており、事実二○○○年度については総額はほとんど変更されなかったようです。しかし、この「大学分」の算出基準は明らかにされておらず、来年度以降、同等額が確保される保証はまったくありません。
この「改善」は、文部省から大蔵省への概算要求の基準の変更であり、大学間、大学内での配分に変更を迫るものではないとされてはいますが、その真の目的は、将来における資金の競争的配分を目的としたものであることは明らかです。
職員組合では、一一月に学長宛に、大学および国大協として文部省からの説明を求めること、学内配分について学長裁量経費の拡大を行わないことなどを骨子とした申し入れを行おうとしましたが、人事課長のかたくなな拒絶により実現しませんでした。この点については教文部の取り組みの、詰めの甘さを反省せざるを得ません。
積算校費は大学運営の基礎的資金としてきわめて重要であり、これを安易に競争的に配分すれば、運営そのものが立ち行かなくなり、非常勤職員については身分問題が生じないとも限りません。今後、あいまいにされたままの「大学分」の算出基準を明らかにするよう求めるとともに、基礎的資金の拡充を求める運動を進めて行く必要があります。
(5)大学院重点化に伴う諸問題
東北大学のほぼ全部局で大学院重点化が完了し、最後まで残された言語文化部についても国際文化研究科の新専攻という方向が確定しました。全国的にも重点化はこれで終わりとされたようです。重点化による校費の25%増加、基準面積の五○%増加といった面で、私達の研究環境の改善というメリットは確かにあるものの、重点化によって生じる問題点もまた見過ごすことはできません。
全国的に見たとき、重点化された大学とされなかった地方国立大との格差は一層広がり、かつ固定化され、政府・財界の目指す大学の種別化への第1歩となっていることは、否めない事実です。また学内を見ても、基準面積こそ増加したものの、実際に建物の目処がついたのは工学部のごく一部にとどまっており、ほぼ倍加した大学院学生定員と相俟って、各研究室は挟隘化が著しく、購入した機器の置場所がない、院生の机がない、といった事態が多く見られます。また、重点化に伴う助手の助教授、教授への振替で、助手定員がきわめて少なくなり、研究室運営に支障をきたしている状況も見られます。さらに、定量的把握は困難ながら、院生に対する教育が希薄になっているという指摘もなされています。
加えて、増加した院生の修了後の進路に関しても問題は深刻化しつつあります。研究者を目指す院生にとっては、修了後の就職先としてポスドクだけは増えたもののパーマネントのアカデミックポストはほとんどなく、数回ポスドクを継続しても教育・研究職につけない、オーバー「ポスドク」問題が生じ始めています。こうしたなかで政府・財界は若手研究者を中心に任期制の大幅導入を目指しており、院生の間の不安感に拍車がかかっています。また、企業への就職も、折からの不況と相俟って、特に文科系で深刻です。
このように、大学院重点化は、研究環境、教育環境、若手研究者問題といった多方面で問題を生じつつあり、これら諸問題の実態把握と分析、それに基づく抜本的対策の要求が、職員組合にとってもこれからの大きな課題であるといえます。
(6)全学教育に関わる諸問題
この三月に、評議会の下におかれた全学教育改革検討委員会の報告案がまとめられ、評議会で了承されました。全学教育審議会の新設、全学教育担当の副総長の設置などの組織面での改革、科目新設を含むカリキュラム改革、さらに全学教育の部局における担当原則までを含む包括的なものですが、従来の全学教育への評価、全学教育の理念と目標、新設科目の内容、流用定員の取り扱いなど問題も多く、また各部局においても十分な理解の上に受け止められているわけはありません。
この問題に関しては、場合によっては部局の利害が対立する面もあり、職員組合として統一した方針を見い出すことには困難もあると思われます。
しかし、特に、流用定員助手の扱いをめぐっては、今後処遇の問題が生じかねない要素を含んでおり、職員組合としてもこの問題を軽視せず、問題点の共有に努める必要があります。
(7)キャンパス移転問題
青葉山県有地の民事調停が結論を得るに至らず、また調停内容も非公開のため、この一年間は片平・雨宮地区の青葉山移転問題にも大きな進展はみられませんでした。(ただし、キャンパス移転と直接の関係はありませんが、一九九九年一○月の評議会で、仙台市の示した地下鉄東西線構想、川内北キャンパスグラウンド西端ルートと川内駅・青葉山駅の二駅設置案を受け入れることが決定されました。着工は二○○四年度とされています。)
一方で片平キャンパスの各施設の老朽化は深刻であり、雨宮キャンパスも大学院重点化に伴い狭隘化が重大な問題となっております。組合は、各部局の自主的決定を尊重する立場から、この問題に対しては積極的な賛否を明らかにしてきませんでした。しかし、解決の展望も見えぬまま問題を先送りするのにも限界があります。総長交渉等で情報を収集するとともに、再度、当該部局の意向を踏まえて問題を捉え直す必要があります。
(8)東北オープンユニバーシティ(TOU)
東北オープンユニバーシティ(TOU)は、引き続き塩竃市教育委員会(「子供の心と人権」「外国人支援市民活動実践講座」)、岩手県湯田町教育委員会(二一世紀の社会的課題と住民参加)との共催講座を開催しています。さらに福島県大玉村教育委員会(二一世紀を楽しもう)が加わりました.市町村自治体と「大学」の連携が広がっています。
塩竃市では、「外国人支援市民活動実践講座」(塩竃水産加工業に従事する日系ブラジル・中国人研修生との交流と支援)の終了後市民の自主的活動が継続して取り組まれています。くわえて、塩竃市長期総合計画の策定にかかわる市民運動をコーディネイトする役割をはたし、大きな成果をあげています。この活動については、マスコミでも大きく取り上げられ注目を集めています。このほか、井上ひさし氏、樋口陽一氏を迎えての50周年記念ビッグ対談のコーディネイトの役割を果たしています。
こうした活発な活動の反面、依然として活動が一部組合員の献身的な努力に依存していることは否めません。また、活動状況が組合員にもあまり伝わっておらず、執行委員会として活動を支える体制も充分とはいえません。活動の成果を広く知らせるとともに、さらに多くの組合員の力の結集を目指していく必要があります。
二○○○年度運動方針と課題
(1)大学評価問題に関しては、論点整理と分析に努めるとともに、安易な競争主義の導入には機敏に批判を加えていきます。
(2)運営諮問会議の議事録、総長裁量経費の使途などの公開を求め、開かれた民主的大学運営の維持発展に努力します.
(3)教員任期制を導入させない取り組みを粘り強く続けるとともに、既に導入された加齢研、科研、医学部でのポストの扱いを監視し、その廃止を求めていきます。
(4)積算校費問題については今後の動向を注視するとともに、基盤経費の充実を訴えていきます。
(5)大学院重点化に伴って生じている諸問題を分析し、教職員の増員など本質的な問題点については、政策的解決を要求していきます。
(6)キャンパス移転問題については、総長交渉等で情報を収集するとともに、当該部局の意向を踏まえ問題を捉え直す作業を進めます。
(7)教員の組合員の拡大に、引き続き努力します。
(8)教員部会を充実させ、多くの教員組合員の力を結集した運動を構築します。
(9)東北オープンユニバーシティの成果を公開し、さらに運動を広げ強化します。
【1】 経過
独立行政法人は、橋本元総理による「行政改革」の一環として法制化、制度化された組織です。民営化とは異なり、事業の減量化・効率化を国の強い管理・統制の下に行う点に特徴があります。具体的には主務大臣による中期目標の指示、主務大臣による法人の長の任命・罷免、主務省の評価委員会と総務省の審議会による評価とそれに基づく組織の見直し等が挙げられ、大学に適合的な制度とは到底言い難いものです。
当初、文部省は国立大学の独立行政法人化には消極的な姿勢を示していましたが、一九九九年六月の国立大学長会議で「できる限り速やかに検討を行いたい」と一転して積極姿勢に転じ、さらに九月の国立大学長・大学共同利用機関所長等会議で、国立大学の独立行政法人化の方針を正式に表明しました。
しかし、文部省案「検討の方向」の中に示されていた通則法特例措置が極めて不十分かつ不明瞭であったこと、独法化を大学の一般的な法人格取得と同視する大臣挨拶の論理が著しく説得性を欠いていたこと、「国家公務員の定員削減問題とは切り離して検討を進める必要がある」と形式的には述べながらも、実質的には公務員定員削減問題と表裏一体であり「一二年度の早い時期に結論を出したい」という拙速な態度を示したこと、等々が大学、大学人の強い反発を呼び起こすこととなりました。全国の大学、部局教授会、大学教官有志、学術団体、教職員組合、学生院生団体で多数の反対声明が決議され、活発な反対運動が展開されました。また国立大学協会も、通則法による独立行政法人化には反対、という当初からの姿勢を維持していました。
文部省は行き詰まった事態を打開するため、自民党文教族によって構成された自民党高等教育研究グループと協調します。その結果「提言 これからの国立大学の在り方について」が三月三○日に公表されました。それを下敷きにし、さらに政府行革推進本部とのすりあわせの上で、自民党政務調査会・文教部会は「提言 これからの国立大学の在り方について」を五月九日に公表します。既に教文部ニュース一九号で指摘した通り、自民党提言は通則法の枠内での独法化に固執する一方で、大学の自治に対する根拠無き非難と倒錯した提案に満ちており、重大な問題を孕んでいます。
そして、自民党提言を一種の脅しと使うがごとく、文部省は矢継ぎ早に「五・二六 文部大臣説明」を国立大学学長に対して行います。独法化推進の立場を再度示したものですが、その内容は具体性に欠しく、種々の特例措置については国立大学の関係者を交えた「調査検討会議」による議論をふまえ、平成一三年度中に結論を得るとしております。一方で、そもそも問題の出発点であったはずの公務員削減計画との関連は、そこでは全く触れられておりません。
それを受け、六月一三、一四日に国立大学協会総会が開催され、国大協の方針が決定、公表されました。国大協としては『通則法を国立大学にそのままの形で適用することに強く反対するという姿勢は維持され、今後も堅持されるだろう』としておりますが、他方で『文部省に設置される予定の「国立大学の独立行政法人化に関する調査検討会議」に積極的に参加』するとしています。まず独法化ありき、という方針の文部省が主管する「調査検討会議」の中で、国大協自身の主張がどの程度通るのか、危惧されるところです。
【2】 東北大学の動き
問題が国立大学の存亡と全教職員の身分保障に関わっており、従って全学的な情報開示と意見表明、議論が必須であるにもかかわらず、大学としてのこの問題に関する検討は、評議会の下に設けられた「独立行政法人化問題に関する検討委員会」に事実上一任されており、またその検討内容についても十分に構成員に伝わっていないのが実情です。
また、昨秋の評議会にて総長が、「この問題について意見を積極的に表明して欲しいが、部局単位での意見集約は行わないで欲しい」旨の発言を行いました。結果としてこの発言が、部局レベルでの議論の低調に拍車をかけております。
さらに、四月の評議会において、自民党高等教育研究グループ「三・九提言」を紹介し、その後多くの部局において各研究室に何の注釈もなく配布しております。一政党の「たたき台」である「提言」を何の注釈もなく配布したことは極めて不見識な行為であり、執行部でも「声明 自民党文教部会提言(五月九日)には大学の未来は託せない」で厳重に抗議したところです。
以上、この問題は討議が不十分なままトップダウン的に取り扱われており、民主的大学運営という観点からは極めて問題を残す状態となっております。引き続き情報の開示や意見公表の機会の確保を進める必要があります。
【3】 組合の取り組み
昨年九月の文部省による独法化受入表明以来、執行部では独法化反対運動を今期の主要課題と位置づけ、取り組みを行ってきました。
まず、九月と五月の二回にわたり反対声明を公表するとともに、国大協総会等の時期にあわせ、独法化反対姿勢の堅持と情報開示・交渉を要求する三回の申し入れを総長に行いました。三月には評議員への申し入れも行っております。
学内では、一二〜二月にかけて情宣行動と反対署名活動を行いました。また、平行して全大協意見広告の賛同人・カンパ募集にも取り組みました。東北大職組単独としてははじめて、市民に対する情宣行動と反対署名活動も、二度にわたり一番町で行っております。署名は、東京での中央行動時に文部省に提出し(三八二二筆。全大教二五万八一九一筆)、また意見広告は朝日新聞とニューヨークタイムスに掲載されました(賛同人一○五人、金額二○万四○○○円)。
そして、教文部学習会(九・二九)及び、日本科学者会議宮城支部との共催による学習決起集会(六・七)を開催しました。後者では、東北大職組、宮教大職組、日本科学者会議宮城支部、宮城一般労働組合大学生協支部の四者連名による特別決議が採択され、「その根拠さえ曖昧な国家公務員削減のつじつま合わせに端を発し、「大学改革」の名のもとに強行されようとしている国立大学の独立行政法人化にあらためて反対の意思を表明しています。そして、すべての大学関係者に対して,各々の場でこの問題に関する開かれた討議を行い,各々の意思を明確にすることを呼びかけるとともに,国大協,文部省はそれらの声に真摯に耳を傾けるべきことを強く要望する」ことが確認されております。
さらに、支部討議資料として、教文部ニュースを三号作成、発行しました。
東北大職組としては過去最高の署名数を集めたことにみられるとおり、問題の深刻性に応じて反対運動はそれなりの支持を得るに至りましたが、いまだ労働・研究条件が改善されるという幻想や、大枠は既に決まってしまったので条件闘争に入らざるを得ないといった致命的な誤解を、学内から払拭するまでに至っていないのが現状です。また、独立行政法人というなじみの無い制度のためもあり、広範な支持を国民から得るまでにも至っておりません。引き続き全力をもって反対運動に取り組んでいく必要があります。
二○○○年度運動方針と課題
(1) 学内に対しては、独立行政法人化で教育・研究環境は改善されないことを、引き続き訴えていきます。
(2) 学外に対しては、国立大学の独立行政法人化が「教育の機会均等」や「学問の自由」といった国民の人権の根幹に関わる問題であることを、街頭宣伝活動等を通じて訴えていきます。
(3) 大学当局に対しては適宜交渉を行い、通則法に基づく独法化反対姿勢の堅持を確認していくとともに、構成員への情報開示と全学的な意思決定を引き続き求めていきます。
(4) 学習会等の開催を通じ、会計制度や教職員の法的地位・待遇問題といった、明確になっていない問題点の分析をさらに進めます。
[1]この間の経過
(1)昇格
一九九七年一一月一七日教室系技術職員(行(一))を対象に訓令三三号に基づく専門官制度が試行されてから二年半が経過しました。訓令では、行(一)の教室系技術職員の職務を「技術開発・技術指導・技術の継承・保存、技術研修の企画調整を行う職」と位置づけ、東北大学では一九九八年四月一日付けで(行(一))職を対象に「技術専門官」(六級〜八級)、技術専門職員(四級〜六級)が総長発令されています。
しかし、金研、科研、流体研では、国立学校設置法一一条の二項(ライン制の技術室)により、「技術専門官」は適用されていません。
また、専門官任用の選考基準には、修士・博士の取得、学会発表など技術系織員には業務上において時間的・予算的保証のない事項が含まれ問題があります。これは、技術業務を正当に専門的業務として評価されないのではないかとの危惧があります。
一九九九年一○月現在の東北大学技術職員の級別は八級二名、七級九名、六級四七名、五級一九六名、四級四五名、三級七四名、二級二六名、一級八名の合計四○七名で、六級以上は五八名八・三%となっています。事務の場合、六級以上が一五%以上いることから技術系でも同程度まで引き上げる方策が必要となっています。
昨年度から五、六級昇格者の決定は各大学の任命権者ができることになったため、各組合の取り組みが一層重要となっています。二○○○年度級別定数では、技術専門官の七級について全国的に九名増となり、六級は五八名増となりました。
(2)専門官制度に基づく組織の改編
いくつかの大学ではこれまでの国大協提案に基づくライン制の組織を改め、専門官を中軸にした業務別に実質的に稼動する技術組織への改編が検討されています。
このような動きは、既に熊本大学工学部では一九九八年一二月に発足し、また、岩手大学工学部でも、技術職員を含めた検討委員会の討議のもとに、二○○○年四月よりスタートしました。さらに、電通大、静岡大、山口大では、具体的な検討が行われています。
組織改編に関しては、国大協・文部省から組織モデルが出されていないことから各大学が独自に動ける状態にあるのが特徴です。
文部省・人事院では各大学で発令した技術専門官の職務動向を見ているとしており、組織改編にともなう専門官定数増も考えられます。今のところ東北大学内では部局でこのような組織改編の動きはありません。
(3)技術研修
技術専門職制度に基づく文部省研修は、技術専門官と技術専門職員研修が一九九九年から実施されています。この研修は、技術専門官研修が全国一本で年一回、定員約八○名で三日間行われ、技術専門職員研修では全国を七地区ごとに定員九○名で、三つの専門コースに分かれて、各地区内の大学持ち回り開催されました。二○○○年度の技術専門官研修は東工大主催で八月に、東北地区の技術専門職員研修は山形大学が当番校で八月に四日間の開催されることになっています。
学内の各種技術研修または研究会は次のようになっています。
二○○○年度本学人事課主催の専門研修は、真空低温技術、安全管理、コンピュータの三分科会により九月に開催されます。
また、工学部、理学部、金研等を中心に部局の技術研究会(発表形式)、専門技術毎の研修(工)など各部局特色のある研修が活発に行われています。
さらに、二○○一年三月一〜二日には、川内キャンパスを会場に工学部、理学部、金研、科研の技術組織で構成する実行委員会の主催で「技術研究会」が開催されます。特別講演、七〜八分科会が計画されており、全国から五○○人が参加する予定です。全国規模で総合的な研究会が国立大学で実施されるのは東北大学が最初のことになります。
これらの研修・研究会の実施は、技術系職員自らが運営することによって技術専門組織の確立、技術職員の技術レベルアップ、学内外における地位向上にとっても大変重要となっています。
[2]技術職員部の取り組みの総括
(1)技術職員部は専門官制度導入問題を中心に対応してきました。しかし、三回のみの開催となっており東北大学職組として十分な対応はできておりません。他大学では既に専門官制度発令に伴う組織改編が実施、あるいは具体的検討が議論されております。東北大学では当局も含め検討がほとんど進んでいないのが現状です。
専門部としての対応が不十分であったことを反省しなければなりません。今後の組織改編案の是非、専門官・専門職員の職務のあり方の検討と適用拡大、技術職員の評価、部局間を含む人事交流なども視野に入れた全学的な検討と提案が必要となっており、こうしたことが論議できる部会充実にむけた努力が必要となっています。
(2)また、今年度は一九九九年九月一七〜一八日の全大教教研集会や東北地区職種別懇談会において全国大学および東北地区各大学の技術職員と交流を深めました。特に集会では訓令三三号発令以後の昇格、組織の改編について論議が集中しています。そして全大教組織のあり方検討小委員会の「組織のあり方について」の検討と具体化が求めれています。
二○○○年度運動方針と課題
(1)今日の研究教育の発展に対応できる職務と組織の構築、技術の向上、育成、継承などの具体的方策について討議を行う。
(2)一五人ユニットのライン組織を改め、専門職制により技術業務のあり方、技術向上・継承が可能な組織の構築、実質運用可能な組織の検討を進める。
(3)技術専門官選考八項目基準を改め、技術業務で正当に評価する基準作りを大学当局、文部省、人事院に働きかける。
(4)団塊の世代対策として、六級以上の専門官定数の大幅拡大の取り組みが重要となっています。六級以上、七級、八級定数の大幅な増を目指して定数確保できるよう組合員の昇格運動に取り組む。
(5)東北大学全国技術研究会の成功と専門技術研修の充実に取り組む。
(6)共同利用研への「技術専門官」の導入について検討する。
(7)技術業務を行う行(二)、教務織員の取り扱いについて検討する。
(1) 教務職員制度は、一九四九年六月、新制大学の発足時に副手制度を助手制度に統合した際、助手に任用もれとなった人を任用しておくための暫定的処置として生まれたもので、その発足当初から、教育職でありながら教員組織に位置づけられていないという、根本的な問題をもった制度でした。
このような制度上の問題から、職務規定は助手と「同じ」であるにも関わらず、学校教育法に規定されておらず、教育公務員特例法の適用・準用もされておりません。
官名は「技官」であり、教育職俸給表の適用を受けながら教育職としての位置づけがなく、俸給表上の建前に反して待遇改善(昇任)は予定されていません。東北大学においては、給与の頭打ちが生じる28号俸以上の人々がその多くであり、このような制度のもつ本質的な矛盾のため、必然的に不公正な処遇に苦しんでおります。
(2)このような教務職員にたいする待遇改善の運動は、一九八八年に全大教(当時は日教組大学部)がこの問題の抜本的解決に向け取り組みを始めたことから、一九九○年、国大協の第四常置委員会において議論が行われ、一九九一年に「教務職員問題に関する検討結果報告」が報告・承認され、さらに同年、文部省より「教務職員から助手に移動した場合の俸給月額の決定について(通知)」が出されました。このことが引き金となって全国的に空き定数の運用や概算要求などにより、待遇改善は大きく前進をしました。
東北大学においても、学内各層の努力により一定の改善がなされましたが、退職時期を行政職員と同じ六○歳にするなど、いまだに多くの問題を残しております。今後、六○歳退職を前提とした2級への昇格では待遇改善が望めず、この問題への取り組みが急務となっております。
(3)全大教は「教務職員制度の廃止に関する要望書」への署名を全国的に呼びかけ、国大協および文部省へ提出してきておりますが、当初の期待通りには進展をしておりません。
とくに私達は、一九九八年一一月の国大協総会において、第四常置委員会が一九九九年六月総会までに「教務職員問題の抜本的解決について検討し、その結論を出す」との報告がされたことから、期待をもって結論を待ちました。しかし、この総会では制度廃止の決定には至らず、「一九九一年国大協報告書の指針に沿って各大学が最大限努力する」ことと「教務職員問題は、助手も含めて大学の教員構成、教育研究支援職員の在り方に関わる制度問題であり、第一常置委員会,第七常置委員会での検討を要請する」という、これまでも話されていたことが承認されただけにとどまりました。
しかし、東北大学においては、この一九九一年国大協報告書の「指針」すらきちんと議論されておらず、一九九九年六月総会における報告の文書などの情宣と、各部局長との会見を行うことが重要です。
(4)東北大学には、二○○○年四月一日現在八二名の教務職員が在職しております。全国でおおよそ九○○名といわれている教務職員の1割を占め、大規模大学のなかでもその数は抜き出ております(東京大学五九名,大阪大学二八名,九州大学一一名)。このことは、東北大学におけるこの問題での取り組みの弱さの現われといえます。
阿部総長は総長就任後の交渉の席で、これまでの総長に比べ一歩踏み込んだ発言を行い、東北大学における教務職員問題の取り組みに明るい兆しをつくりました。とくに、一九九九年の交渉では予算定数の再配分を行い、これまで定数がなく概算要求による振替の不可能な部局に対し「待遇改善が進展するよう」措置しました。しかし、各部局における取り組みは遅れており、今後、具体的な作業のやり方などについて部局ごとの取り組みが必要です。
組合は、これまで対策委員会を中心に各支部の状況の把握を行い、総長、学部長交渉などに取り組んできました。しかし、運動の中心となってくれる教務職員の組合員が少なく、大きな運動を起こせないのが実情となっております。委員の選任や部局長会見の設定など、各支部執行委員会の特段の援助が必要です。
二○○○年度運動方針と課題
(1)教務職員問題の抜本解決をめざします。今後、国大協において制度問題として議論される可能性を踏まえて、さらに運動を強めます。そのため、対策委員会の確立と定期化を重視します。
(2)以下の点について総長、部局長等に要求します。
- 一九九九年六月の国大協総会の報告を東北大学としてどのように受け止めているのか明らかにすること
- 概算要求に教務職員の上位級への定数振り替えを盛り込むために具体的作業をすること
- 全学で空き定数を活用した場合のシミュレーションをすること
- 行政職上位級への移行の可能性も含めて検討すること
- これらについて具体的な作業を行う全学的なワーキンググループを設置すること
- 教務職員制度の廃止を関係機関に働きかけること
(1)第九次定員削減に、国立大学の事務合理化による事務職員の削減上乗せで東北大学では、事務処理体制として人事・会計事務業務の一部を事務局に集中する方策をとり、キャンパス単位に順次移行しています。
(2)体制は事務部の統合及び事務局への集中方向に向かっていますが、業務の簡素化は目に見える進展がなく、法規適用の簡素化を求める声が、大学を法人化することにより簡素化されるとの幻想から、独立行政法人化を求める声に連動する危険性があります。
(3)事務職員の年齢構成が、三○・四○歳代が少ないために、世代間格差が大きく、意思疎通に欠かせない日常会話に苦慮している部分もあります。
(4)部会では、昨年の九・一○月に「人事異動」に限ったアンケートを実施し、関心の高さを反映してか一二九名(一六・九%)からの回答を得ることができています。集計報告書は全事務職員に配付しています。
アンケートでは、問いに対する選択回答のみならず、各項目に自分の意見を表明しているのが多く、今後の事務政策に生かす必要があります。
(5)事務職員の待遇改善要求は「三級退職の解消」をスローガンとして行われた主任ポスト要求で主任ポストが大幅に増加され三級退職を解消することができています。
その後、待遇改善要求は、「専門職員」要求に発展し、専門職員は着実に増員されています。最近では「専門員」の増員顕著になっています。
しかし、退職年度やっと五級という職員がまだまだ多いのが現状です。今後専門職員(専門員)の増員要求とともに事務職員全体の適用標準職務を高める要求を強める必要があります。
二○○○年度運動方針と課題
(1)教員部会や技術職員部会と連携し、組合員の英知を集めた自主研究会等も企画し、組合としても仕事の見直し等の具体的提案ができるようめざします。
(2)引き続き主任および専門職員の発令実態を調査(他大学・他省庁も含め)し、男女差別の是正、団塊世代の昇任等について、運動の発展をめざします。
(3)昇給・昇格、人事異動、業務改善等について学習会等を実施し、理解を深め、具体的な要求運動に結びつけます。
(4)昇給改善、超過勤務規制、定員確保と事務機構の改革、人事異動、業務の簡素化等に関する事務職員の要求が全組合員の共通理解にとなるよう、事務職員部会の活動を強化するとともに、事務職員の組織拡大にとりくみます。
(1)IT革命によるインターネットの急速な普及と相まって大学図書館の「電子図書館化」が進められ、「独立行政法人化」「情報基盤整備」の動きも強まる中で、大学図書館は今大きな転換期を迎えております。
東北大学図書館においても、既に学科の図書室は廃止され、研究所の図書室でも統廃合の動きが出てきております。更に全学図書業務の集約化、一元化、組織の改編が進められてきており、これに伴う定員削減、経費節減などにより、利用者へのサービス低下につながるような問題も出てきております。
「電子図書館化」が時代の流れであるとしても、それが軌道にのるようになるのはまだまだ先のことです。学習環境の改善、蔵書の充実、休日開館、あふれる資料の収納スペースの確保など現時点での利用者の要求にも充分応えていかなければなりませんし、何よりも、図書館職員にとって働きやすい職場環境を作って行かなければならないことはいうまでもありません。
(2)出版社の電子ジャーナル推進による学術雑誌価格の高騰、厳しい予算の中での図書資料費の大幅な削減、検索システムの普及などにより、図書館間の相互利用業務は急激に変化し仕事量も急増しておりますが、これについて十分な対策はとられてきておりません。この業務の体制を強化することは急務の課題となってきております。
(3)「電子化」の波の中で、次期システム開発に関わる各種ワーキンググループメンバーには若手定員のみが起用され、長年の経験を持つ定員職員や定員外職員は研修の機会もなく、意見も反映されにくい状況があり、新たな矛盾を生みだす一因となっております。
(4)図書館には大学全体の四八%を占める定員外職員が働いておりますが、定員外職員でも四○時間勤務と三○時間勤務では待遇条件に大きな違いがありにも拘わらず、勤務年数が長くなればなるほど仕事の内容では同じ質のものを要求されるようになり、定員内職員と定員外職員の間の矛盾に加えて、定員外間での矛盾も大きな問題となってきております。
(5)定員外職員を含む職員の人事異動は本館主導で進められ、本人の意思はもちろん当該掛の職務内容や職場環境にも配慮がなされているとは言えず、全く不透明なものと言わざるを得ない状況が続いております。
二○○○年度運動方針と課題
(1)図書館職員の昇給・昇格、待遇改善を要求します。
(2)従来の枠組みにとらわれず、仕事の変化に対応した係員の配置などを適切に行うことを要求します。
(3)人事異動においては、差別をなくし、本人の意志と現場の状況を十分考慮した慎重な配慮を要望します。
(4)電子図書館化のためのシステム開発にあたって以下の点に留意するよう要求します。
- 図書館職員の創意と自発性を尊重すること
- 本館、分館、部局図書室を含め現場の意見を聞き反映させること
- 十分な研修を実施し、図書館職員が誰でもシステムを使いこなせるようにすること
- 健康、安全管理に万全の配慮をすること
(5)休日開館にあたっては利用者や図書館職員の意見を十分尊重するよう要求します。
(6)全学の図書館職員交流会の実現に向けて積極的に取り組みます。
(1)昨年来、医療事故が多発し、連日のように報道されています。医療事故の約一割が特定機能病院で発生していると言われております。臓器移植をはじめ高度先進医療を担う国立大学病院では、生命の危機を伴う病状の重症患者の割合が高くなっております。しかも、看護婦一人当たりの入院患者数は、私立大学の一・八三人より多い二・一五人になっております。月平均夜勤回数も八・三日となっており、三五年前に人事院が出した月八日以内がいまだに実現しておりません。
「効率的経営」の名の下、病床稼働率の引き上げや在院日数の短縮が強力に推し進められており、看護労働の密度と緊張はますます高まってきております。
(2)昨年盛り上がりを見せた、看護婦増員運動の結果、文部省は、「看護業務改善費」「院長裁量経費」を有効に活用することを指導してきました。東北大病院においても、組合の長年の要求であった病棟事務員一三名の採用が実現されました。しかし、それは九月までの期限付きで待遇が悪いため、今後、改善の要求をしていかなければなりません。
今年も看護婦増員の署名活動に取り組みました(四○○筆)。全大教では、現行の配置基準を「入院患者二・五人に対して看護婦一人」から「一・五人に一人」を求めております。今後、医療事故をなくすためにも、全国の取り組みと合わせて看護婦増員の運動を強めていかなければなりません。
(3)病院支部では、「夜間看護助手の継続雇用」と「救急部の体制」に取り組みました。
- 一九九九年一二月九名の夜間看護助手に対して、新病棟移転に伴い、二○○○年一○月から辞める様に通告がありました。支部では学習会を開き、要望書を提出、看護部長会見を行いました。その結果、不充分ながら年度途中の解雇を許さず、新病棟の物流部門に残れる見通しがつきました。
- 救急部の体制については、公開質問状と要望書を提出して取り組みました。その結果、全体説明会のほかに、土・日曜日直接携わる外来看護婦と当局との話し合いがもたれました。外来看護婦の要望通り、救急部は外来患者のみ担当することになりましたが、救急部に二交代制が本院においてはじめて導入されてしまいました。
二○○○年度運動方針と課題
(1)医療職員の賃金改善、労働条件の改善をめざしわかりやすく具体的に運動をすすめます。
(2)医療事故をなくす視点を重視して、看護職員の増員運動を引き続き行います。全大教病院協議会の資料をもとに、看護体制の実態を調査し自らの労働条件をよく把握して交渉していきます。
(3)国の低医療費政策に反対していくために、大学病院のあり方を職員の待遇改善と患者さんの立場の両方の観点から追求し、国民と連帯して取り組んでいきます。
(1)「行革」による教職員の定員削減は第九次(一九九七〜二○○一・教員一二名、看護婦五名、その他の職員一五一名。+事務職員一七名)におよび、教職員は長時間労働や過密労働を余儀なくされています。このような状況のもとで、定員削減を補完するために定員外職員・パート職員が採用され、東北大学の教育・研究・医療をささえる、なくてはならない職員となっており、待遇改善は切実な要求となっています。職員の三分の一が定員外職員・パート職員という職場状況を改善するためにも定員化の「政治的解決」が求められています。
(2)パート職員へのボーナス支給問題については、人事院東北事務局交渉や総長交渉で取り組み、民間の支給状況を反映させることを要求しました。 全国的に人事院各地方事務局交渉において「(各大学での)予算の範囲内であれば支給してならないとは(関係する法令及び給与局長通知からは)読み取れない」という回答を得ています。パート職員にボーナスを支給することは違反ではないことを各大学の共通認識として活かしていく取り組みが求められています。
(3)大学病院では、一○月の新病棟運用に伴い、夜間看護助手(九名)の整理が提起されました。病院支部では、組合員の勤務の継続と再就職の斡旋など一人一人の希望を尊重した措置を講ずるよう協議し解決に努めました。
(4)パート職員の配置換えの例が支部代表者会議で報告されており、増える傾向にあります。「いやがらせ」、退職強要に当たるようなケースについては、このような「指導」を行わず、本人の希望を尊重する措置を取るよう、当局と協議していく必要があります。
(5)長期的定員外職員の高位号俸者(行(一)二級一九号俸に達する人)について、枠外適用を勝ち取っている京大の取り組みが、他大学にも波及しはじめています。
国立大学の独法化強行の動き、事務の再編等によって、大きな影響を受ける定員外職員の動向は重要です。全大教に定員外専門部をつくることがのぞまれます。全大教の単組代表者会議(四月一五日)に参加できなかった今期の反省にたち部会運営の活性化をはかる必要があります。
二○○○年度運動方針と課題
(1)大学当局(総長等)の使用者責任を明確にするとともに、定員外職員問題解決についての学内合意づくりを重視して取り組みを進めます。
当面、一九八○年の頭打ち解消以前に採用された長期の定員外職員を定員化する措置を取らせるなどの「政治的解決」を大学当局に対しても強く働きかけます。
(2)パート職員については、ILOの検討結果や民間の動向をもとに、ボーナス支給等の待遇改善要求を重視して、組織化をすすめ、定員外職員部会の活性化を図ります。
(3)任用中断日には、全国と連帯した創意ある取り組みを行います。これらの取り組みの中で要求を前進させる運動を強めます。
(4)定員外職員部会運営の活性化をはかるために、構成員の組織を含めて検討します。
賃金対策部では、県国公および全大教東北地区協議会(略称・地区協)が行った春と秋の人事院東北事務局(略称・人事院)交渉に参加し、大学教職員の労働条件改善にとりくみました。
春闘期には「わたしの要求アンケ−ト」を独自に作成し、全組合員からの要求集約を目指しましたが、約二五%の集約にとどまりました。
また、人事院の一○年毎の「調整手当見直し改悪」の攻撃に対し、全大教の改悪反対署名のとりくみや、人事院交渉などで、仙台の地域指定解除を阻止しました。
(1)一○月二五日に行われた地区協の人事院交渉では、他省庁並みの昇格改善を、また、団塊の世代対策やパ−ト職員へのボ−ナス支給などを要求しました。
(2)六月一四日の人事院交渉では、人事院勧告を前にして、「教育研究調整額」の新設や五五歳昇給停止の廃止、さらに、教員賃金を私立大教員並みに引き上げることなどを要求しました。
(3)一○月二三日の全大教昇格問題単組代表者会議に出席し、他大学の昇格問題のとりくみなどを学んできました。
東北大学の一九九九年七月現在の行政職(一)の在員数は一四四五名で、そのうち六級以上が二四六名(二○・五%)、五級以下は一一九九名(八二・九%)で、前年との比較で六級以上が四・七%増え少し改善されています。
なお、技術職員の二○○○年四月一日付け昇格は、七級技術専門官一名、六級技術専門官三名、六級技術専門職員一三名、六級技術係長二名、五級技術専門職員五名でした。
二○○○年度運動方針と課題
他省庁と比較した大学職員の昇格の遅れ、他大学と比較した東北大学の昇格実態を調査するとともに、学内の各部局ごとの昇格実態の現状を把握し、昇格改善にとりくみます。
[1]厚生部活動
厚生部活動は労金対策委員会、教職員共済専門委員会、退職者会の活動を中心に行なっています。
(1)恒例の厚生部学習交流集会は、一一月二六日(金)〜二七日(土)、白石市「やくせん」で、工学部助教授の岩崎信氏による「東海村の臨海事故はなぜ起きたのか」、宮城労金の担当者による「退職後の生活設計」の講演と、交流を行いました。参加者は退職者の会も含め二一名でした。
(2)年度末で定年退職される方には、長い間共に組合活動を行ってきたことに対して、本部組合から感謝状と、記念品(七宝焼き。男性にはタイピン、女性にはブローチ)を贈呈しました。本年度定年退職された方は一九名でした。
(3)在職中の訃報を受け、次の三名のご遺族の方へ香典を送りました。心から御冥福をお祈り致します。
工学部 勝畑 信様
金 研 佐藤多作様
農学部 杉山長美様
[2]労金対策委員会
財形貯蓄募集では、例年通り宮城労金に依頼し、新規加入や金額変更などに関する説明会を開きました。
また、各種借り入れの申請は五件四二四○万円ありました。低金利の住宅ローンの借換、住宅・教育・自動車ローンなど各種借り入れについては随時受け付けておりますのでご相談下さい。
[3]教職員共済専門委員会
(1)交付金減額問題
- 教職員共済本部に対する国税庁の調査があり、大学支部から一二月二四日付で「支払加入促進費」、いわゆる"事務委託手数料"の減額の通知がきました。それによると、当面二○○○年度については地区支部への交付を一五%減とする方向での基準改訂を検討中であり、それ以降については「後日提案・決定」とあり、不透明なものでした。執行委員会では、経過の説明や減額には納得できないとして、教職員共済専門委員会にはかり、二○○○年一月一一日に専門委員長名で意見書を送りました。
- その後、税務調査では加入促進費への直接の言及はなかったことがわかりました。しかし、加入促進費の性格にそった執行を徹底すべきであること等から、二○○○年から二○○三年まで毎年五%(現在八○%→六○%)減額し、使途についても、共済事務経費(人件費等)に徹底すること、減額分は会議等を工夫して実質的に還元したいこと、等の説明がされています。
- 発端は税金問題でしたが、大学支部の全大教からの分離、運営委員会を設置し組合員拡大とは別に加入者拡大を推進してきているこの間の動きを全体として見れば、職域共済としての実態の徹底を図ってきており、組合への事務委託手数料としての問題、説明不足等の問題について、今後も機会あるごとに追及していく必要があります。
- 同時に、共済事務の急激な変化と個別対応の増加によって専門委員会の役割が不明確になってきており、あらためて、教職員共済の位置付け、専門委員会の性格、構成、運営等について検討する必要があります。
(2)東邦生命破綻後約一年を経て受け皿会社が決まり、事後処理の結果、終身共済、特定疾病共済、子ども養育共済について、現加入者の契約内容について、継続する場合には満額、教職員共済が保障することが決まりました。
(3)この間、火災共済の補償額の増加にともない、商法で禁止されている利得にあたるとの他保険会社による圧力、文部省による指導が強まりました。
それを受けて、教職員共済は按分調整に応じるよう火災共済の運用を変更しました(規約上は従来から按分調整に応じることになっています)。つまり、これまでは、火災共済と他の火災保険に重複して契約している場合、他保険から満額給付された上に、教職員共済からも満額給付されていましたが、今後は、他保険会社から要請があった場合には、損害額に合わせた減額調整に応じることになりました。按分調整がないことが長い間の火災共済の有利な特徴であり、それを大きく宣伝してきた経緯もあるので、組合員に注意を喚起するため、独自チラシを作成・配布しました。具体的な契約内容の変更等については個別に対応する必要があります。
(4)規制緩和の一環として、損保業界が、官公署を対象とした団体扱いの損害保険について口座振替により保険料を徴収することの認可を得、それを受けて、文部省共済組合は、二○○○年四月から福祉事業として「団体扱自動車保険」の取り扱いを開始しました。一般契約に比べて20%の割引が適用されると宣伝されています。教職員共済と競合する可能性もあります。教職員共済も加入する(財)教職員生涯福祉財団が集金機関となっていますが、教職員共済の自動車共済についての宣伝は現在までのところ行われていません。
(5)今年度の各種給付は八三件、約二六三七万円でした。
[4]退職者の会
(1)会員には年三回定期的に会報を郵送し情報を伝えるとともに、茶屋での談話会や、喜寿祝いの記念品贈呈などを行っています。また、旗開き、厚生部学習交流集会等の組合行事にも参加し懇親も深めながら、退職者の会らしい活動を目指しています。
(2)今年度は退職者の会婦人部が、一○月には韓国への平和の旅、二○○○年世界女性行進への参加、ベトナム平和の旅の企画(一一月予定。すでにほぼ満席)等、活発に活動しました。
(3)五月の総会では、整体療術院の雫石五郎先生を講師に招き、「心と体のリフレッシュ」をテーマに講演と実技をしていただき、参加者は、肩こりも忘れ、心も体もいっそう若返りました。また、総会終了後には懇親会も行いました。
(4)今後も、役員会は毎月定期的に行い、会員が気楽に集まれるような退職者の会にしたいと思います。
二○○○年度運動方針と課題
(1)教職員共済専門委員会、労金対策委員会を中心に組合員の福利厚生の充実に努めます。
(2)退職者の会へは事務局に担当者を派遣し活動の支援を行っていきます。
(1)今期は、運動方針案に従い、より多くの組合員が参加できるよう企画をたてました。
組合創立五○周年記念行事も盛大に無事終わり、囲碁大会ができなかったことは残念でしたが、十分な体制のもとで創意を発揮して、旗開き、ハイキング、歓送会と盛りだくさんの行事を企画し参加を広げる活動が出来ました。
(2)旗びらき
一月二一日(金)
片平市民センター
各支部より四九名の参加がありました。青年部よりユニークな賞品付きのビンゴゲームや婦人部の多彩なショー、そしてギターとボーカルによる即席フォークバンドの演奏などで今年の幕開けとなりました。談笑のなかで決意を新たにガンバローとこぶしを挙げ団結を固め合いました。
(3)ハイキング
初心者ではなかなか足が向かない「冬の日の陽だまりハイキング」(二月二七日、一一名参加)と新緑が眩しい「縄文の森ハイキング」(五月七日、七名参加)をコアの仲間と共に企画しました。いずれも少数の参加者ではありましたが、中身の充実した好評の企画となりました。
(4)フェアウェルパーティ
書記の佐藤美代子さんとの別れを惜しんだ大パーティとなりました。一一九名の参加者がありその中には毎年でも企画して欲しいとの声がありました。懐かしい写真で綴るお話や、尺八の音色に驚き、歌声あふれる大好評のパーティとなりました。
(5)メーデー
東北大六九名、全体三七八六名の参加で行われた第七一回メーデー宮城県集会は仙台市市民の広場にて好天の下で行われました。横断幕を掲げて元気良く一番町を行進し、「独立行政法人化反対」を強くアピールしました。ラップ調シュプレヒコールで特別賞を受賞しました。
二○○○年度運動方針と課題
(1)組合員相互の親睦を深め交流をはかるため、各支部・婦人部・青年部・コア等と協力しあいながら文化・レクリェーション活動に取り組みます。
(2)全支部、専門部等の創意を発揮して東北大学職員組合にふさわしい様々な文化行事を企画・実施出来るよう検討し取り組みます。
「行政改革」「規制緩和」「独法化」の名のもとに労働者の賃金・権利のみならず、雇用の安定までもが脅かされるような厳しい情勢の中で、女性にとっては働き続けることがますます困難な状況になってきています。更に学内では事務系職員、図書系職員がほとんど機械的に三年ごとに異動することになり、婦人部委員の連絡さえも難しくなってきています。
このような中で、婦人部では今年度も、安心して働き続けられる明るい職場づくりを目指して、広範囲の人々との連携を強め、楽しく実りのある活動を目標に取り組みを進めてきました。
(1)学習会
「介護保険について」
- 講師 ケアマネジャー
萱場康子さん(元病院支部)
- 一九九九年九月三日(金)午後六時
- 金研視聴覚室
- 参加者 二○名
(2)第一二回 春のミニコンサート
「稲垣達也グループδ デルタ PIANOの風景」
- 二○○○年六月五日(月)午後六時
- 戦災復興記念館
- 参加者 一六四名
(3)連帯の運動
- 第一○回全大教女性集会
- 宮城県はたらく女性の集い
- 二○○○年二月五日(土)午後一時三○分
- エルパーク仙台
- 講演 「手をつなごう働く女性達」
- 講師 田中洋子さん
- 参加者六名
- 国際婦人デー 第四○回宮城県集会
- 二○○○年三月八日(水)午後六時
- エルパーク仙台
- 講演「ゆるぎない平和を二一世紀につなぐために」
- 講師 増田れい子さん
- 参加者 八名
- 二○○○年世界女性行進
- 二○○○年五月一三日(土)午後一時三○分
- 勾当台公園野外音楽堂
- 参加者 六名
- 国公女性協交流集会
- 二○○○年六月二日(金)〜三日(土)
- 山形県天童市
- メインテーマ=「戦争の世紀から、変えよう平和な世界へ」
- 記念講演(講師:辛 淑玉さん)及び分科会
- 参加者 八名
(4)母親大会実行委員会の取り組み
- 第四五回日本母親大会は一九九九年七月三一日〜八月一日松山で開催され、二名が参加しました。
第四○回宮城県母親大会は二○○○年五月二五日仙台市太白区の富沢中学校で開かれる予定で準備も進んでいるところでしたが、総選挙投票日と重なり急遽一○月一五日(日)に延期されました。関係者の努力により会場、記念講演(川端先生)等に変更はありません。
- これらの財政を支えるため、バザーやカンパ、職員組合定期大会でのコーヒー販売に取り組みました。
- 全国母親大会連絡会は一二月八日の太平洋戦争開戦記念日に赤紙(召集令状)を配布して戦争について考えてもらう取り組みを行っています。仙台では勧銀前で実施され実行委員会から一○名余が参加しました。
二○○○年度運動方針と課題
(1)婦人部独自の課題の前進のため、事務職員部会、定員外職員部会、母親大会実行委員会、県労連女性協、県国公女性協などと協力して、女性が働きやすい職場にするために運動を広げていきます。
(2)誰でもが参加したくなるような楽しい活動をします。
行事予定:
- 七月一八日(火) 学習会(定年を楽しく迎えるために(仮題))
- 八月二九日(火) ミニ旅行(井上ひさしのふるさと山形県川西町)
(3)全大教東北地区協議会第一一回婦人集会(九月九日〜一○日)の成功に向け取り組みます。
(4)第四六回日本母親大会(七月二九日〜三○日 東京)の成功に向け取り組みます。
(1)現在、国立大学の存亡を左右する大問題である独立行政法人化の論議がなされています。このような中で、将来の大学を担う青年教職員が不安を隠し切れない現状となっています。しかし、全国の大学単組の中には新しく青年部を立ち上げたり、組織の拡大を精力的に行っている所も多々あり青年層が活発に活動しはじめてきています。
東北大の青年部としては、活発な単組に負けないように組織率を向上させ、今まで以上に交流を深めることが大事です。その交流の中で、我々青年が持つ不安や悩みを話し合いながら情報を共有していけば、よりよい生活が出来るのではないでしょうか。そのため、青年部では組合員同士の交流を活動の軸にし、部局や地域を越えた青年教職員の仲間作りを進める必要があります。
(2)今期青年部は毎月一回の青年部会を開き、青年組合員同士の交流を深めるべく様々な活動を行ってきました。また、電子メールを活用して、他大学の青年組合員との交流にも積極的に参加しました。
- 一二月一七日には、毎年恒例となっていた「スキー」を取りやめ、より気軽に参加できるようにボウリング大会と忘年会を実施しました。(参加者八名)
- 三月一〇日には、「地ビール&ベルギービールをたしなむ会」と銘打って、懇親会を実施しました。麦だけで作ったおいしいビールを味わいながら、青年の交流を深めました。(参加者九名)
- 五月一日のメーデーには、仮装コンテストに参加し特別賞を頂きました。
- 五月一九日には、恒例の新入教職員歓迎ボウリング大会を実施しました。新入教職員を二名迎え、楽しい一時を過しました。(参加者一九名)
- 五月二八日には、青年部の新しい試みとして、「太白山ハイキング」を実施しました。美しい自然に囲まれながら環境問題について語り合いました。(参加者一一名)
- 七月一日〜二日には、全大教第二回全国青年交流集会が小樽にて開催され全国の青年組合員と交流を深めました。(参加者三名)
- そのほか五○周年記念で開催されたレセプションにてにわか太鼓を披露、旗開きでは名前ビンゴのアトラクションを企画・実施し好評を博しました。
(3)機関紙の発行と情報交換
機関紙NOVA(ノバ)を隔月で発行しました。活動報告や青年組合員からの投稿を数多く掲載し、一人でも多くの組合員に読んで頂けるようにデザインを見やすく工夫しました。
青年部役員の情報交換と青年教職員からの意見集約を目的に開設しているメーリングリストは一九九九年度も活発に利用されました。また全大教青年部のメーリングリストを利用して、全国規模での情報交換も行いました。
(4)組織拡大活動
四月一二日に行われた行政職員の初任者研修において、参加者五七名全員に組合紹介パンフ資料を配布しました。今期新しく青年組合員になられた方は三名でした。
二○○○年度運動方針と課題
(1)青年のニーズに合った楽しい交流の場や情勢に応えた学習会を企画・実施し青年が自ら参加したくなるような仲間作りに積極的に取り組みます。
(2)青年組合員の要求・実態を把握するためのアンケート集約の取り組みや青年組合員が積極的に意見を投稿できるように機関紙NOVAを充実させます。また、東北地区をはじめ他の青年組合員との交流を進めるため、幅広い活動を行っていきます。
(3)最近の大学を取り巻く情勢の変化に応じた情報収集を積極的に行い、情報の共有を推進します。また他大学の青年組合員等と連絡を密に行い、情勢の現状把握に努めます。
(1)一九九九年一一月、前年に引き続き王城寺原演習場で一五五ミリ留弾砲の実弾演習が実施され、夜間訓練も強行されました。王城寺原における演習のために宮城県内の港湾や空港が恒常的に利用されており、また、県内各地で米軍の低空飛行訓練が繰り返されています。これらは、県民と郷土の平和と安全を脅かす重大な問題であるとともに、昨年強行された新ガイドライン法=戦争法の実績作りです。組合は、戦争法の発動に反対し廃止を求める諸団体とともに「一一・二一王城寺原現地団結集会」(三名)、米軍の演習の監視行動(二名)等の行動に参加しました。
(2)一九九九年八月、国旗国歌法が強行され、国会答弁や附帯決議に反して文部省による学校現場への日の丸、君が代の強制が本格化しています。組合は、七月一八日の「日の丸・君が代の法制化に反対する県民集会」(宮城県教職員組合協議会(宮教協)の主催)と集会決議への賛同署名運動に取り組みました。また、一一月の「天皇在位十年式典」や、二○○○年六月の「小渕前首相合同葬」にあたって国旗・半旗が掲揚されたことに対して反対声明の発表及び当局への申し入れを行いました。
(3)一九九九年原水爆禁止世界大会に一名を代表派遣しました。世界大会は、核兵器廃絶を求める世界の世論と運動の前進を確認するとともに、アメリカなど核兵器保有国が核兵器に固執し、紛争の平和解決に逆行した動きを強めていることを軽視せず、諸国民の共同を一層大きく進めることを確認しました。
核兵器廃絶をめざす二○○○年国民平和大行進は、六月一八日から二五日まで宮城県内を通り、組合からは一○名参加しました。
(4)青年部の主催で三月に「麦をたしなむ会」(酵母入りのビールを飲む会。九名参加)、五月に「太白山の自然を観察する会」(一一名参加)にとりくみ、自然食品の大切さや身近な仙台の豊かな自然を守る重要さを学ぶ機会となりました。
また、六月一日〜二日、窒素酸化物及び酸性雨の全国一斉測定運動(アースデー)が行われ、組合から二名参加しました。
二○○○年度運動方針と課題
(1)憲法の範囲を完全に逸脱した戦争法の発動阻止・廃止、有事立法の制定阻止のために諸団体と協力して取り組みます。また、日米安保条約の廃棄を求めます。
国会に設置された憲法調査会が、調査の範囲を逸脱して憲法改悪策動の場とされることに反対するとともに、平和憲法の先駆性・重要性ついての学習を強めます。
(2)米軍基地の撤去・整理縮小、地位協定の見直し等を求める沖縄県民のたたかいに連帯し、侵略の部隊である米海兵隊については速やかな撤退を求めます。
日米共同演習に反対し、王城寺原演習場における再度の米軍実弾演習に反対する取り組みを強化します。
(3)憲法・国旗国家法に反した日の丸・君が代の強制に反対します。首相による「神の国」発言等、国民主権を無視した動きに対しては、理性と自由を尊ぶ大学人として毅然とした批判を行います。
(4)憲法違反の盗聴法の速やかな廃止を求めます。
(5)核兵器の一日も早い全面禁止・廃絶のため、県原水協に結集して運動します。「ヒロシマ.ナガサキからのアピール」署名の県民過半数達成を目指す運動に連帯するとともに学内過半数をめざします。原水爆禁止世界大会、三・一ビキニデー、平和行進等の成功のために取り組みます。あらゆる形態の核実験に反対し、非核三原則の法制化、被爆者への国家補償等を求めて運動します。
(6)「軍事費を削ってくらしと福祉、教育の充実を求める大運動」のに結集して、米軍への「思いやり」予算等の廃止、消費税や社会保障制度の改悪を強行し続ける政治の抜本的を求めて諸団体とともにて取り組みます。
(7)組合員の思想、信条、政党支持の自由を保障します。各選挙にあたっては、争点を明らかにし組合員の政治的自覚の向上を図ります。政党とは、一致する要求、政策での共同を進めます。
(8)体験学習会等、きれいな水・緑・空気を守る運動を進めます。大学の英知が地球環境を守る運動に反映されるように取り組みます。
(9)各支部から平和問題対策委員を募り、日常的な取り組みの強化を図ります。
(1)宮城県労働組合総連合(略称・県労連)は、一九九九年一一月に、結成満一○周年をむかえ盛大に記念行事を行いました。
この間県労連は、労働組合運動の原点立って賃金引き上げ・労働条件の改善・首切り「合理化」反対・年金改悪阻止などと共に、県民・国民の要求実現のために闘うローカルセンターとして、文字通り中心的な役割を果たしてきています。
特に、政府・財界が一体となってすすめる大企業の大儲けが確保できるように、労働基準法の抜本改悪を始めとする労働法制の改悪や「規制緩和」や「リストラ・合理化」に名を借りた首切り反対の取り組みをはじめ、又、大幅な賃金の引き上げ・地方労働委員会の民主化・医療健保改悪阻止・消費税廃止など、労働者・県民の要求実現の先頭に立って奮闘しています。
更に、「蓄積された大儲けを賃金引き上げ・下請け単価の引き上げにまわせ」などの要求を掲げて県内の東北電力や七十七銀行・ダイエー等大企業の大もうけの実態や横暴を追及し、運動を一段と強化してきています。
このような闘いに、賛同し宮城県教職員組合が二○○○年四月からオブザーバー加盟し組織的にも大きな前進を遂げています。
(2)宮城県国家公務員労働組合共闘会議(略称県国公)は、「国民本位の行財政の確立」を基本に、国民犠牲の「省庁別再編法」反対の闘いや公務員の待遇改善・組合差別反対。調整手当改悪阻止などの運動を繰り広げてきています。
また、県国公、高教組、宮教組、宮城一般、医労連の五団体で、宮城の最低賃金の劣悪さを体験を通して実証する「最賃・標準生計費」体験闘争には、三四名の労働者が参加して取り組みました。国公からは一四名が参加しました。
(3)二○○○年宮城県春闘共闘会議は、県労連傘下の組合と高教組・宮教組・農協連労組等の組合によって結成され、労働者の諸要求の実現を目指し闘いをすすめています。一○月に結成されてからただちに大型店の仙台元旦初売り問題、仙台サテイー出店阻止の取り組み、又、二○○○年春闘要求大規模アンケート活動などに取り組みました。
更に二月二五日には、日本列島騒然大行動として、各地で創意ある行動が取り組まれ、早朝大量宣伝・主な企業や自治体・関係省庁への申入れ総行動、昼の決起集会とデモなどに取り組みました。
又、三月一六日ストライキを含む統一行動や五月一日の第七一回メーデーを成功させてきました。又、一九九○年四月から行われている毎月一日を国鉄闘争統一行動とする活動に取り組み大きな役割を果たしています。この間、県春闘共闘が支援している県内の不当労働行為や解雇問題の争議件数は、一四件にのぼり一日も早い解決が望まれています。
今年の賃金引き上げ闘争は、今日の厳しい政策的な不況の中、厳しい賃金引き上げの闘いを余儀なくされ、定期昇給のみという回答も少なからずありました。
(4)「宮城革新統一をすすめる会」は、小渕自民党中心の連立政権の悪政に代わる、国民本位の政治の革新を求めて運動を広げる事をめざして、二ヶ月に一回の学習会や、毎月最終日曜日の「核兵器廃絶を求める市民行進」を続けています。特に政治反動の動きや、改憲策動が強まる中、平和憲法を擁護し、核兵器の廃絶と革新統一の実現を目指して取り組んでいます。
(5)安保破棄諸要求貫徹宮城県実行委員会と「軍事費を削ってくらしと福祉・教育の充実を求める国民大運動」宮城県実行委員会は共同して、宮城県に対し、県民生活を守る上で重要な教育・医療・福祉に関わる様々な要求を掲げて、要求行動を行いました。
一月二○日には浅野知事交渉を行い、対県要求の実現・特に県職員の賃金切り下げ反対を強く主張しました。
両実行委員会は「安保条約廃棄」「米軍機の低空飛行阻止」「軍事費を削れ」「戦争法発動」阻止などを前面にかかげ共同して運動に取り組んでいます。
(6)宮城地域自治研究所は、地域住民の生活本位のあるべき行政の姿について日常的に検証し、自然環境を守る、町・村起こし、合併問題などについて研究実践活動を行っています。
特に県庁・議会・警察のカラ出張、食糧費問題に見られるように「市民オンブズマン」の事務局の中心となり、積極的に問題提起し、県政・市政の問題点を浮き彫りにし更に市民・住民運動に対する適切な助言を行なうなど、その活動の広がりに期待が高まっています。
(7)宮城憲法会議は、安保再定義、オウムへの破防法適用問題等、国民の権利無視に反対して、平和憲法を市民のなかに定着させ、生活の中で憲法を考えることを基本に「市民の憲法行事」を行なってきています。憲法を原点に立って考えることを主題として、五月三日の憲法記念日の講演会を皮切りに、平和憲法の尊さを市民の中に広げるために奮闘しています。
二○○○年度運動方針と課題
(1)大企業による横暴な労働者の首切りを規制し、労働者の基本的権利が保障される解雇規制・労働者保護法の制定を求めて行きます。
(2) 日米安保・大企業優先・国民不在の政治が横行する中で、憲法を守り、労働者・国民の生活と権利・平和を守るために、安保廃棄・大企業の横暴を許さない政治を目指して運動を強めます。
(3)「国鉄・JR」から二回の首切りを受けた一○四七名の労働者の闘いは、一三年目を迎えています。私達は、JR各社と政府に対して、ILOの勧告を受け入れ解決をはかるよう、統一行動に引き続き取り組みます。
(4)宮城地方労働委員会の労働者委員五名全員が「連合」推薦者で占められている不公平な労働行政を改めさせるために、県知事に労働者委員の公平・公正な任命を求める要請行動に積極的に参加します。
(1) 組合員拡大運動
今期は新組合員八名の加入がありましたが、退職者が多かったため四二名の退会があり、組合員数はかなり減少しました。
組織部としては例年通り、青年部や病院支部の協力の下に組合員拡大活動を四月に行った他、新しい加入促進パンフレットを五月に作成しました。各支部と連携しながら、新入職員・転入者への全員配布、及びこれまでの勧誘から漏れていた未加入者へのパンフレット配布による組合員拡大運動を現在すすめています。
今後、毎年組合員が数十人退職します。財政的見地からみても、また交渉団体としての力量を向上させる意味からも組合員拡大は是非とも必要となります。全大教も本年より組合員拡大運動に本格的に取り組んでおり、全国的な取り組みを参考にしながら、きめの細かい対応が一層求められます。
(2) 支部代表者会議
毎月一回開催し、組合全体の取り組みに関する討議と情報交換を行いました。
(3) 教宣活動
今期も引き続きホームページを一層充実させました。特に独立行政法人化問題の資料集は全国的にも高い評価を得ています。今後、さらに情報量が多くなるものと予想され、サーバーや管理体制をどう整備していくか検討する必要がありますが、様々な情報や資料を迅速に掲載することによって、支部や専門部の活動をさらにバックアップしていくことが期待されます。
メーリングリスト「AOBA」については、現在活動があまり活発ではありません。組合の情宣専用メーリングリストとの関係をはっきりさせ、広く発展させることが必要です。
「CORE」は計画通り発行され好評を得ております。
「東北大学職組ニュース」は今期に入り、執行委員の分担体制の拙さから発行が停止する状況に陥っております。今後、再建・再発行に取り組む必要があります。
立看板は、独法化反対署名に取り組んでいた期間中、週単位での更新を行いました。
二○○○年度運動方針と課題
(1) 新入職員、転入者、未加入者に対する組合員拡大運動に積極的に取り組みます。
(2) 支部と本部との連携を密にし、組合一丸となった運動を一層すすめます。
(3) 教宣活動を一層充実させ、組合員間の迅速かつ広い情報提供を目指します。
(1)一九九八年度から始まった結成五○周年記念行事は、一九九九年 二月二○日の青年部「スキー」以降、五月八日の退職者の会「渓流釣堀大会」、五月一四日の青年部「ボウリング大会」、五月二○日の青年部「ダイオキシン学習会」、五月二八日の婦人部「八嶋博人ヴァイオリンリサイタル」、六月一二日の退職者の会婦人部講演会「いつまでも輝いて生きるために-聞いておきたい脳の生理の話-」講師・刈田啓史郎氏(歯学部教授)など連続した取り組みが行われました。
これらの取り組みの成功を土台に、一一月に予定された記念式典・レセプションのための実行委員会と企画委員会を八月三日以降、八月二五日、八月三○日、九月一三日、九月二○日、一○月一二日、一○月一九日、一○月二五日と連続して開催するとともに、取り組み成功と企画内容などを適宜知らせるために実行委員会ニュースを発行するなど準備を重ねました。
この間も一○月六日から九日までの四日間にわたる退職者の会婦人部「韓国 平和の旅」を成功させ、一○月七日から一一日までの五日間開催された戦没画学生 「祈りの絵」展にも協力しました。
一○月二九日は、東北大学職員組合結成五○周年記念日「誕生会」を書記局にて開催しました。
(2)記念式典は一一月六日に川内の仙台国際センターを会場として行われました。小山副総長が総長代理として出席し来賓挨拶を行い、中心企画であるビッグ対談では、作家の井上ひさし氏と憲法学者で東北大学名誉教授・上智大学教授の樋口陽一氏に「憲法、自由、大学を語る」をテーマに縦横に語り合っていただきました。
この式典には、学内外から一九九名の方が参加し、含蓄とユーモアのある対談に感動を新たにしました。
会場を北川内生協食堂に移しての記念レセプションには、井上・樋口両先生も参加して下さり、遠路はるばるの方も含めて一三三名が参加し、五○年間の思い出や今後の期待などに話が弾みました。
(3)記念事業のもう一つの柱である「東北大学職員組合五○年史」は、五○年史編さん委員会にて、執筆担当の鈴木楫吉氏の草稿をもとにして原稿を作成中です。
年内に刊行できるよう全力を尽くしています。なお、「写真で綴る東北大職組の歴史」については、準備が遅れており、早急に作業の再開が必要です。
ホームに戻る