2002.1.30発行
東北大学職員組合教文部 発行
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国立大学の「独立行政法人化」への動きが、2004年4月の発足に向けて進められています。本号では、第23号に続いて情勢を概観するとともに、東北大学各部局の動きにも目を向けていきたいと思います。 |
今後の教養教育のあり方を検討してきた中央教育審議会は16日までに、大学の教養教育を再構築するため「教養教育重点大学」を指定し、国が支援することなどを求める最終答申案をまとめた。専門教育を重視してきた学部に、幅広い教養教育を施すよう転換を促す内容だ。答申案は「教養教育の充実は不可避で、質の高い教育ができない大学は淘汰(とうた)される」と厳しい文言で警告しており、各大学は教育内容の見直しを迫られそうだ。91年に大学設置基準が緩和され、授業科目の区分や単位数が大学の自主性に委ねられた。専門教育を重視してきた各大学はこれに伴い、教養カリキュラムを削減したり、教養部を廃止したため、教養教育が衰退したとされる。答申案は急激な社会変化に対応できる人材を育成するため、理系・文系といった「縦割り」を排し、教養教育で専門分野の枠を超えて共通に求められる知識や思考法を構築するよう求めた。そのために他校の模範になるような大学を「教養教育重点大学」として選び、思い切った支援を行うよう提言。教養教育の授業内容や指導方法を研究する教員グループには「科学研究費補助金」を支給する一方、学生に和漢洋の古典の読破を奨励したり、緊張感を保つため高校のように授業を50分間にすることも求めている。入試では、受験生が高校までに培った体験や大学で学ぶ目的意識を評価するよう要請。事前に指定した課題図書を読ませて論文試験を行ったり、討論させることなども有効だとしている。実質的には、「教養教育重点大学」推進政策の提言でしょう。国立大学が独立行政法人化した場合には、文部科学省はこれに従い教育重点大学と研究重点大学とを計画配備することになることが予想されます。研究志向の者を教育から絶縁し、教育志向の者から研究を絶縁する。この動きが大学全体を変質させることは確実です。文科省からは、1月16日締切で一般の意見が募集されました。今後の動きに注目していきたいと思います。
(http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe3080.htm)
......去る6月に唐突に出されたいわゆる遠山プランで,国立大学再編統合やトップ30大学,産業界へ協力する大学といった施策が鮮明に打ち出された。このプランは,文部科学省としてはこれからの日本の高等教育・研究政策の方向を示したつもりのものなのであろうが,これはあまりにもお粗末なものでありすぎた。しかもこれが公の議論のたたき台として出されたものであればよかったのであるが,文部科学省の決定事項として出されているところに問題があるといえるだろう。また政策としてはあまりにも短期的な施策になり下がっており,しっかりとした長期的ビジョンに欠けるものであり,これでは日本の将来が危ぶまれると言わざるをえない。日本の将来を支える高等教育・研究政策をこれから真剣に検討する場がもうけられるべきであろう。「中間報告」案に添付された「中期目標・中期計画記載例」に目だった反論もでき なかった時点で実質的に敗北した国大協(教文部ニュース24号参照)としては、アリバイ作りに入ったとも言えるのでしょうか。ちなみに前会長の蓮見重彦氏は、在任中に個人の信念とは異なる行動をしたことについて、後悔の文章を表明しています。
(http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/wr/wr-78.html#[78-6-1])
基礎研究の重要性について話をしたい。昨年の私に続き、今年も野依先生がノーベル化学賞を受賞され、日本の科学技術が世界に認められたことは大変うれしいニュースであった。この受賞のきっかけとなった研究は、私は31歳の時、野依先生は28歳の時で、いずれも大学院を終えて助手になって間もなくのことであり、当時の教官当積算校費、現在の教育研究基盤校費による研究である。これは、プロジェクト研究でも、競争的な資金による研究でもなく、自由な発想の下に自発的に使えるお金であり、非常に重要であるので、今後も教育研究基盤校費については、十分に配慮していただきたい。また、同時に、若い人に『金も出すが、責任も持たす』ことが大切である。
「民営化とは一体どういうことを指すのか?設置者を学校法人にすることなのか、それとも営利法人のようなものにすることなのか?経費に占める公財政の比率を減らし、それぞれの大学が大幅に自己資金を調達して運営することを指すのか?教職員の身分を公務員でなくすることを指すのか?教授会―評議会の意思決定ルートを原則として否定し、「経営」のプロを中心とする寡頭制を採用することを指すのか?さっぱり分からない。何を指しているのか分からない「民営化」を国立大学長の約3割が、「何らかの形で」「支持している」のだそうだ。一体この記事にどんな意味があるというのか、これまた分からない。こんな曖昧模糊とした「アンケート」の結果を記事にして、恥ずかしげもなく1面に載せるのだから、『日経』はよほど国立大学を「民営化」したいらしい。そうであるなら、こんな姑息な「アンケート」など使わずに、自身の考える「民営化」の中身をきちんと明らかにした上で、社説にでも堂々と主張を展開すべきである。
(http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=ED&action=m&board=1086166&tid=9qna9bga4nfhna99tc0afka1bfm2bda1aa&sid=1086166&mid=4398)
(追記)
調査検討会議の中間報告に寄せられた意見(パブリックコメント)は、昨年12月6日に調査検討会議委員に配布されましたが、その扱いは不明であるとのことでした。なお、東北大からは8個人、東北大学職員組合、東北大学の法人化に関する検討委員会、の計10の意見が出されています。全文は、文科省は公表しないそうですが、全大教で入手済で単組には配布する予定です。閲覧希望者は書記局に問い合わせて下さい。