7月9日、国立大学法人法案が様々な反対の声をよそに、十分に審議が尽くされることなく国会で可決されました。また有事法制法案も可決されるなど、私達を取り巻く状況は、これまでにない異常な状態を迎えています。日本の将来を大きく左右すると考えられるこれらの法案を、断じて許すことはできません。私達にはこれらの法案の危険性を広く社会にアピールし、小泉内閣の横暴をストップさせる運動をこれまで以上に強めることが求められています。
国立大学の「法人化」は、周知の通り数多くの問題点を抱えています。その筆頭に大学運営の体制が、総長に権限が集中するトップダウン方式になることが挙げられます。文部科学省による大学の中期目標の策定や総長権限の大幅な増大は、自由な研究・教育活動の場である大学を戦前の状態に戻そうとする行為以外のなにものでもありません。また現状のスケジュールでは、労働基準法や労働安全衛生法を遵守するための組織や施設の改革に要する時間も経費もないまま、法人に移行されようとしています。私達の労働条件や安全をないがしろにするこのような脱法行為は、断じて許されるものではありません。さらに教職員の雇用の維持についても、常勤・非常勤を問わず職員は大きな不安にさらされています。特に常勤職員と同等の職務をこなし職場の中核を担ってもいる非常勤職員の雇用が、法人に承継されるかは不透明のままです。国立大学の授業料が大きく引き上げられる可能性も危惧されています。もし国民の大学教育を受ける機会が大きく制約されることになれば、私達は歴史的にも大きな責任を負うことになるでしょう。
私達は今大会の議論の中で、このような状況に対し敢然と立ち向かってゆくことを確認しました。同時に私達は、研究と教育を通じ人類の幸福に資するという大学の原点に立ちかえり、全ての大学人との連帯を通じて開かれた自由な大学の存続および教職員の生活の向上を勝ち取っていくことを誓いました。
法人化を目前に国立大学の意義が真に問われている現在、全教職員の皆様に私達の運動に加わり共に闘うことを訴えます。今こそ一人ひとりの英知と力を結集し教職員としての雇用を守り、研究・教育・労働条件を充実させていきましょう。
2003年7月18日
東北大学職員組合2003年度定期大会