国立大学法人法案反対! 研究・教育の国家統制反対!
有事法制の発動反対! 労働者の権利と安全を守れ!
教職員の雇用を守り、労働条件の維持・向上を求めて
学内全教職員を代表できる組合へ 質的量的強化を
と き:2003年7月18日(金) 13:30〜17:30 ところ:片平市民センター3階 第1・第2会議室
この大会議案は、問題別、職種別に経過報告と今後の運動方針・課題を記載しています。仕事と生活環境・自己確立など私たちの要求に密着した領域で活動しあえる組合をめざし、職場討議をすすめ、すべての組合員から意見が反映されることを期待します。
小泉内閣の発足以来、私たち職員組合は小泉「改革」について批判的な検討を加えてきました。内閣発足当初の議案書では、次のように分析しています。すなわち、「小泉内閣の『改革』は、『改革』が『断行』されればされるほど、憲法の恒久平和・戦争放棄の理念と相容れず、ただでさえ厳しい状況下におかれている大多数の中小業者を倒産の危機に追いやり、失業者を増大させ、多数の国民の医療・福祉を切り下げる結果を導く可能性が濃厚であって、大多数の国民の要望とは対立せざるを得ないでしょう」、ととらえています。
その後の小泉内閣の政策は、この分析の正しさを示すものとなっています。第1に、「有事三法」や「イラク支援特別措置法案」などを提出してきました。これらは憲法の理念を踏みにじり、市民的権利を制限しつつアメリカの侵略的戦争を支援しようとするものです。さらに「イラク支援特別措置法案」が通れば、海外で自衛隊が武力行使をする道が開かれることになります。
第2に、歴代内閣の失政、そして小泉内閣の政策のもとで経済状況の悪化と失業が深刻化しています。大企業のリストラなどで失業者はこの5年間で110万人も増えています。それにもかかわらず、さらに小泉内閣は労働者の首切りや使い捨てを自由にする労働基準法・労働者派遣法改悪を断行しようとしています。これによって雇用の不安定がいっそう広がることが危惧されます。
第3に、健康保険の医療費本人3割負担、ワイン・発泡酒の増税の実施など、国民への負担を押しつける施策が次々にだされています。さらに経済界の要求を背景に消費税の大幅引き上げが検討されようとしています。
こうした悪政のもとで、私たちの雇用、暮らし、いのち、平和はかつてないほど脅かされ、展望が見えない状況の中で、国民の将来に対する不安が高まっていることが現段階の特徴の一つです。
そのためには、なによりも国民ひとりひとりが自らの力で、自らの行動によって、民主的な社会、平和な国を作るという強い意志を取り戻すことが大切です。大学は、文部科学省主導による大綱化や任期制の導入の事例からわかるように、次第次第に大学の自治・独立性を守るという精神を忘れつつあります。自主的・自立的精神を失いつつあるがゆえに、自ら大学の教育研究環境・条件の貧困化を招いているのです。大学本来の理念や使命をまっとうするには、まさにかの精神の重要性を改めて認識しなければなりません。東北大学職員組合は、国立大学の「法人化」、教職員の「非公務員化」、強権的・問答無用の「再編・統合」の方針に断固反対し、その撤回を強く求めるものです。しかし、この運動も自主性・自律性という大学精神の原則を失っている限り、決して実りある運動を展開することはできないでしょう。利潤・利益にとらわれず、国内外の環境アセスメントの問題に必死に取り組む大学研究者集団の最近の例を、わたしたちはよく知っているはずです。それに負けずに、大学にて働く人たちは、大学本来の、固有の力を取り戻しましょう。小泉内閣の無謀な政策への国民の反対運動もまた同じです。国民ひとりひとりの自主的・独立的精神とそれにもとづく行動がなければ、決して運動は成功しないのです。ひとりの力がいくつも集まればちょっとした力になります。それを大きな力強い声にしましょう。そして民主的な平和な社会を築くための大きな力に結集させましょう。
中央教育審議会は3月20日に答申「新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興計画の在り方について」を出しました。これにもとづき教育振興基本計画の策定と教育基本法改悪が策動されています。
第1に、「国家戦略としての人材養成計画・科学技術創造立国」をめざすため、「振興計画」には法人化を前提とした「大学改革」の目標がもられることになります。国レベルで大学改革の政策目標が数値的に設定され、これにもとづいて評価・財政措置がはかられます。こうした「振興計画」が法制化されることによって、国家による大学への直接的介入の法的根拠がつくられることになります。
第2に、教育基本法「改正」のための「最終答申」では、こうした「振興計画」を盛り込むことを求めるとともに、「国を愛する心」や「公共への参画」「道徳心の涵養」の精神が説かれています。これが教育基本法に位置づけられるならば、有事法制や憲法「改正」の動きと一体となって、再び戦争をする「国づくり」「人づくり」への道が開かれることになります。
国立大学法人法案の国会での審議は現在緊迫した情勢となっています。私たちがすでに指摘してきたように、法人化によって大学の自立性が深まるどころか、文部科学省による研究教育のコントロールが一段と強まる恐れがあることが国会審議でも明らかになっています。さらに、労働安全衛生法の適用対象となることによって、大学の施設の多くが安全対策の基準を満たさないために、大規模な改修工事が必要となることもあらためて問題となっています。
こうしたなかで法人法案を危惧する声が大きく広がっています。野党各党は国会で反対の論陣をはっています。また、全国的には、学長や学部長、学部教授会の反対意見や慎重審議を求める少なくない声がだされています。マスメディアも法人化の問題点を指摘する見解を載せるようになってきています。こうした運動の広がりは法案自体の欠陥が露呈した結果ともいえますが、同時に、これまでの法人化反対運動をすすめてきた全国の職員組合の主体的運動の成果だということに確信をもつ必要があります。さらに職員組合の枠を超えた幅広い反対運動のネットワークが形成されつつあります。私たちの運動しだいで、局面を打開できる可能性は、まだ残されているのです。
法人化をめぐる情勢は流動的です。しかし、いずれにしても、大学の自治と学問の自由を守るためには、国民との連帯をとおして大学の研究・教育のあり方を絶えず検討しながら真の改革をすすめることが大切です。残念ながら東北大学の現状を見ると、総長交渉でも明らかになったように、雇用を含めて東北大学としてのすすむべき理念や施策の方向は教職員に示されていません。文部科学省の指示まち、指示に追随するだけの大学当局の対応がつづいています。
この意味で、職員組合の役割は大きいものがあります。しかし、平和をめぐる状況にしても、雇用をめぐる状況にしても、そして国立大の法人化をめぐっても、大きな岐路にたたされていますが、その情勢にふさわしい運動を構築しえているといえない現状があります。いまこそ大学の自治と学問の自由、私たちの雇用を守るために大きな力を結集するべき時ではないでしょうか。
法人化によって私たちの次の世代の大学人や学生が大きな影響をうけるでしょう。さらに、いま法人化されて一番大きな打撃をうける恐れがあるのは非常勤職員の方たちです。これによって雇用不安が広がり、また、非常勤職員の多くが女性であるため、男女の差別・格差が固定化されることになります。こうした人たちの願いの実現を私たちの使命として引き受けることができるかどうか、職員組合と組合員の気概があらためて問われています。東北大学職員組合として、主体的力量を高めつつ、また、大学内外の人びとと共同しつつ、法人化反対、雇用の確保の課題にとりくんでいきます。
ページのトップに戻る組合はこの1年間、組合員と教職員の生活と権利を守るため、以下の取り組みに奮闘してきました。マイナス勧告とその遡及適用など人事院は2002年度も私たちの要求を踏みにじりました。国立大学法人法案をめぐっては依然緊迫した情勢のもとにありますが、今延長国会で法案が成立した場合、私たちは完全な労働基本権を回復し、雇用承継や解雇の防止、労働条件の維持・向上のために組合の果たす役割が大きくなります。他方で、組合の力量がこれまで以上に問われることになります。法人法案に反対するとともに、過半数組合、教職員の過半数に支持される組合をめざし、身近な要求も重視して交渉力を強めます。
1)人事院は、昨年8月8日、2.03%(7,770円)の官民逆較差を口実に史上初めて本俸の賃下げを勧告しました。しかも4月以降の賃下げ分を12月期の期末手当で調整(精算)し事実上不利益遡及する不当なものでした。また、一時金の0.05月削減(4年連続引下げ)や、3月期の期末手当を6月期・12月期に配分したうえで勤勉手当の割合を引き上げること、能力・業績主義強化などがうたわれました。なお、団体交渉をせず遡及して減額したことに対して、3月に139名の国家公務員が国に損害賠償を求めて東京地方裁判所に訴えました。
2)「地域における公務員給与の在り方の抜本的な見直し」も盛り込まれました。これは公務員の労働市場を分断し公務員同士の競争を余儀なくすることで賃金水準の引下げを招くことになるものです。組合は、地域給の見直しに反対する宮城県国家公務員労働組合共闘会議(県国公)の中央行動等に参加しました。
3)一方、勧告では、長時間・過密労働への民間並みの規制強化、男女共同参画にむけた実効性の確保などについては、問題意識を表明するにとどまっています。非常勤職員の常勤的実態が広く存在していることについて初めて公式に認めたことは重要ですが、今後の検討課題にとどめ現在の責任を不問に付す姿勢に立っていることは問題です。なお、昨秋以降国際労働機関(ILO)が日本政府に対して公務員の労働基本権にたいする制約を見直すべきだとする異例の勧告を出しています。
4)国立大学法人の人事制度が公務員制度改革に準拠して検討されています。組合は、この改革の問題点を指摘し民主的な公務員制度を求める日本国家公務員労働組合連合会(国公労連)のチラシの地域配布に各支部の協力で取り組みました。
1)今年の通常国会で国家公務員退職手当法が改悪され、調整率が100分の6引下げられました。組合はこの問題で、署名、打電、集会等に取り組みました。総務大臣は国会答弁の中で「勤続報償だが生活保障的な性格や賃金後払い的な性格もある」「職員団体の意見を聞く必要は十分ある」と回答し退職手当の勤務条件としての性格を否定できませんでした。
2)具体的な署名、アンケート等としては、全大教の秋季・年末闘争方針にもとづいて、「2003年賃金・労働条件要求調査」、「退職手当の引き下げに反対する要請署名」、「国民のための民主的な公務員制度改革を求める請願署名」、「高度な医療を安心して受けられるよう、国立大学にふさわしい医療職員の配置を要求する請願署名」等に各支部の協力で取り組みました。
春闘期には、人事院勧告が生計費原則を軽視して現実には民間調査に依拠していること、不況とリストラによる民間の賃下げと公務員の賃下げが悪循環となり、長期化する不況の一因ともなっていることから、民間賃金の引き上げを重視して、2003年宮城県春闘共闘会議に加盟し、宣伝行動、経営者団体との交渉、自治体要請、春闘討論集会、統一行動、総決起集会等に参加してきました。
また3月の国家公務員労働組合東北ブロック協議会の人事院東北事務局長交渉や6月の全大教東北地区協議会の人事院東北事務局長交渉に参加し、2003人事院勧告に向けた要求、教員賃金の改善、定員外職員の待遇切り下げの問題等について訴えました。
1)11月が総長の交代期でした。組合は、法人化に反対するとともに、新総長が法人化にあたって就業規則の制定や最初の中期目標期間に大きな影響力をもつことから、新総長と早期に交渉することを重視しました。10月に申し入れ、11月の吉本新総長就任を経て1月17日に実現しました。前回交渉が申入れから1年近く待たされたこととは異なり今回の交渉が比較的早く実現したことは評価できます。
2)しかし、総長の法人運営への具体的な姿勢を問う要求内容だったにも拘らず、総長の発言は少なく、ほとんど北村副総長や長谷川事務局長が質疑に応え、回答内容も「文科省・国大協の検討と法案の動向を見て検討する」というおよそ総長のリーダーシップのあり方の疑われるものでした。
3)組合の反省点としては、すべての要求について大学の最高責任者の総長と交渉を行うのは当然のことですが、年1回だけ、1時間〜1時間半の交渉となっているのは組合の力不足といえます。教職員の労働条件の改善や昇給・昇格等の問題については、事務局長(総務部長)交渉を設定することも必要です。
(詳細は、2003年2月18日発行の職員組合ニュース「総長交渉報告」参照)
1)雇用承継について
組合は、常勤職員の承継を明記した制度検討委員会中間報告をふまえて、さらに非常勤職員の雇用承継の明言を求めました。しかし、総長は常勤職員についてさえ承継を明言しませんでした。組合は、今後法的な制約が生じる可能性があるとしても、まず東北大学として雇用を保障する基本姿勢を示すことを求めましたが、真摯な回答はありませんでした。(「人事課長交渉報告」および第8章参照)
2)医学系研究科・医学部附属病院の任期制問題について
包括的導入が任期法の趣旨に反すること、遡及適用はそれ自体が違法の疑いがあることについて総長の見解を求めました。総長は、総長就任直前まで医学系研究科長だったにも拘らず、検討の事実も知らないという対応をしました。組合は事実と法的問題の調査を要求し、総長側は、任期制案をチェックし、組合にもその結果を知らせると約束しました。しかしその後、組合の再三の確認にも拘らず、2月19日の医学系研究科長会見にいたるまで当局は責任ある回答をしないという、不誠実な態度を取りました。 (第2章参照)
3)男女共同参画について
女性職員の掛長以上への登用を積極的にすすめる姿勢が示されました。しかし、これまでなぜ昇進に男女格差があったのか、また今後客観的な能力・業績指標に基づかない能力等級制度を導入すると民間の実情からも女性の登用促進に逆行するのではないか、といった問題について、「従来から適正に評価してきた」「適切な評価制度をつくりたい」との回答に留まり、従来の問題点の総括や今後の具体的な方策を欠くものでした。(第11章参照)
4)技術組織、技術職員について
法人化に向けての大学としての具体的な考えを問い、団塊の世代の大量退職に対応して技術の継承のための新たな採用を進めること、組織化についての各部局の議論を尊重すること、技術職員の業務がアウトソーシングになじまないこと等を訴えました。これに対して事務局長が、技術職員の重要な役割は認識しており組合の要求を踏まえて検討すること、技術室のような形での組織づくりについて検討を進めていくことなどを回答しました。(第3章参照)
5)病院について
組合は、非常勤看護師や看護助手について、定員化と法人の正規職員としての雇用を要求しましたが、総長の回答は、引き続き要望を続けるが実現は難しいというものに留まりました。さらに、非常勤職員の人件費が確保されなければ、病院の運営上も問題があることについて追及しましたが、北村副総長が、国大協の要望活動と学内検討を始めたことについて回答するに留まりました。(第7章参照)
6)教務職員問題について
中間報告にうたわれた助手あるいは専門職にするとの姿勢を堅持することを求めたことに対して、北村副総長が、総長が前総長の基本政策を継承していると回答し、また60歳自己都合退職問題の部局長会議や評議会での解決要求については、北村副総長が、定員との関係など各部局の具体的な人事の問題であり実態が知りたいと回答しました。(第4章参照)
(詳細は、「人事課長交渉報告」参照)
組合は、「長期にわたり定員職員同様に基幹的業務を担ってきている日々雇用職員の待遇切り下げをしないよう、人事課の指導と全学的に必要な措置をとること」「国立大学法人移行時に非常勤職員を雇用継続すること」を要求して、2月に人事課長補佐会見、5月に人事課長交渉を行ないました。
これらの交渉を通じて、人事課は、「法人化後の組織の検討が遅れており、大所高所の判断もないので非常勤職員の雇用承継の検討が進んでいない」「非常勤職員の雇用は長年部局の裁量と物件費の問題として処理してきており、これまでのところ慣例的に事務局や総長の権限はおよんでいない」という本部と部局の双方の責任を回避する態度をとっています。人事課長としての対応には限界があり、事務局長交渉を要求する必要があります。
教職員共済本部の申し入れを受け、昨年9月、組合は教職員共済生協本部との間で業務委託契約を締結しました。なお、2002年度定期大会は、教職員共済の生協としての運営に対応するため教職員共済大学支部宮城地区支部規約の改正を東北大職組として承認し(宮教大職組も大会で承認)、2002年度は新規約にもとづき教職員共済宮城地区支部の総会が開かれ新しい幹事会体制が発足しています。
文部科学省は、国立大学等の独立行政法人化に関する調査検討会議最終報告「新しい『国立大学法人』像について」(2002年3月26日。以下「調査検討会議最終報告」と略)以後、法人化を前提とした準備作業を大学に指示してきました。法案も法律もないうちに法人化スケジュール表や、中期目標・中期計画に含むべき内容も明示されるなど、立法府を軽視した明らかな越権行為でした。そして、国立大学法人法関連6法案(以下「法人法案」と略)が2月28日に閣議決定され、国会に提出されました。
「法人法案」は、調査検討会議「最終報告」をさらに改悪したものでした。その問題点は、おおむね三つにまとめられます。
第一に、政府が研究・教育の発展に責任を取らず、統制権限は保持する構造になっていることです。具体的には、大学の設置者が政府でなく法人となっていることです。このため、政府の財政責任があいまいになっています。そして、文部科学大臣が国立大学法人の「中期目標」を定め、「中期計画」を認可することになっています。
第二に、大学の運営が、構成員の自治でもなく、社会にも開かれていないトップダウン体制になることです。学長をはじめとする役員会が強力な権限を持ち、次期学長の選出にまで関与することが可能となっています。審議機関は経営協議会と研究教育評議会に分割され、経営協議会は学長が任命する上に、学外委員が半数以上を占めることとされています。ここには、学長による独裁体制が敷かれる危険と、経営優先の運営がなされて研究教育の長期的発展が軽視される危険があります。一方、研究教育評議会は組織の改廃や予算についての権限を縮小され、教授会にいたっては審議機関としての位置づけもありません。
第三に、大学運営において経営優先の運営を行うことが強制されるため、教育の機会均等が破壊される危険があることです。国立大学法人に十分な運営費交付金が交付される保証はなく、むしろ経費節減と収支バランスが厳しく要求されます。このため、授業料の大幅引き上げに動かざるを得なくなる危険があります。
しかも、法案審議の過程で、政府が法人移行に必要な人員・予算・時間を保証していないという拙速ぶりが明らかになりました。例えば、多くの国立大学法人は労働安全衛生法の基準を満たしておらず、これを是正する予算措置がなければ、法人化と同時に刑事罰をもって罰せられる違法状態になってしまいます。
これら「法人法案」の問題点は多くの議員の認識するところとなり、衆議院では全野党が法案に反対しましたが、法案は通過させられました。しかし、参議院では全大教や、「意見広告の会」など有志による反対運動がさらに強まり、マスコミなどの批判も高まる中で、法案は当初の会期末までに可決されず、現在(6月末)なお審議が続いています。
国立大学協会(国大協)は、調査検討会議最終報告を前提としながら、政府にいくつかの要求を行ってきました。その中心は国立大学法人の設置者を国とすることでした。「法人法案」ではこの要求が満たされなかったにもかかわらず、国大協は2月24日の理事会声明で法案概要に対し、基本的枠組みは「最終報告」を基調として立案されているなどと述べ、実際に提出された法案についても4月17日の法制化対応グループ見解で実質的に「最終報告」を踏まえているなどと評価しています。6月10日の総会でも法案の問題点を指摘する態度はとらず、まったく受け身の姿勢に終始しました。
その一方、国大協は労働基準法・労働安全衛生法の遵守が困難と見て、一時、その適用猶予を政府に要請しようとしました。脱法行為を大学の連合体が要求することは論外です。
東北大学では、2002年4月1日に設置された調査検討会議最終報告と並行して東北大学制度検討委員会が、「A組織業務・人事制度」と「B中期目標/中期計画・財務/会計」の二つの小委員会で制度改革の検討を行ってきました。その中間報告は2002年10月15日に出され、吉本高志新総長の就任後、一時期、検討・具体化のテンポが鈍ったものの、2003年4月15日には「中間報告以降の検討に関する報告」が提出されました。中間報告と「中間報告以降の検討に関する報告」の作成過程ではパブリック・コメントが募集され、これを通した内容の改定も見られましたが、募集期間が極めて短いなど審議が不十分でした。
また「中期目標・中期計画」案の作成が進められています。すでに2003年5月20日の評議会で全学の「中期目標・中期計画(骨子)」が承認され、各部局レベルのものをとりいれて仕上げる作業が進められています。この過程では、教授会で議論がなされた部局とそうでない部局があり、パブリック・コメントも募集されないなど、審議の公開性に問題があります。
法人化の動きと並行して、医学系研究科・医学部附属病院では、全教官職を対象とした任期制が導入されました。これは「大学の教員等の任期に関する法律」(以下「任期法」と略)の趣旨に反する運用です。後述する組合の取り組みもあって、一定の歯止めはかかったものの、今後、同様な任期制が拡大して教員の職が不安定化することが懸念されます。
2002年度、職員組合は法人化問題に多くの力を割いて活動しました。その際、執行委員会・教文部を中心に法人化反対運動を構築し、法人化された場合の制度設計に関わる問題は法人化対策特別委員会で検討を重ねました。
1)政策的解明と交渉、パブリック・コメント提出
まず、2002年8月には総長選挙候補者アンケートを行い、法人化に対する姿勢を質問しました(アンケートへの回答)。これによって、法人化を争点にすることに貢献しました。
以後、法人化の問題点を整理し、法人化された場合に備えた政策要求項目を具体化していきました。法人化対策特別委員会は、制度検討委員会B委員会中間報告に対して2002年8月30日にパブリック・コメントを提出し、「中期目標・中期計画」と財務・会計制度に関わる問題点を指摘しました。10月11日には「東北地区国立大学長会議にあたっての要望書」を総長に提出し、雇用や運営費交付金の問題を明確にしました。10月24日の宮城合同教育研究集会特別分科会では教文部が報告「法人化は東北大学をどう変えるか」を行い、論点の整理を行いました。また、法人化問題を組織拡大と結びつけるため、9月には前期からのとりくみを引き継いで全教員に組合加入を訴える手紙「『国立大学法人東北大学』で研究・教育はどうなる!?」を発送し、さらにこれを補完する「組合Q&A」を12月に発表して、法人化された場合の労働組合活動の重要性を訴えました。
1月の総長交渉には、比較的充実した情報と具体的な要求項目をもって臨むことができました。これに対し、総長は具体的な質問や要求にほとんど答えず、制度検討委員会中間報告で明言されていた常勤教職員の承継さえも明言しようとしませんでした。政府方針に従って法人化作業を進めることの正当性のなさが明らかになりました。
その後、制度検討委員会「中間報告以降の検討に関する報告」に対しては、法人化対策特別委員会が2003年3月31日にパブリック・コメントを提出し、総長選挙や任期制などに関して重要な指摘を行いました。この他、何人かの組合員がパブリック・コメント提出や部局内での審議に積極的に関わりました。これらの努力は報告内容の改善に貢献し、たとえば、任期制を高く評価するような記述が削られたり、現総長が総長選考会議に加わることへの批判的意見が明記されるなどの成果がありました。5月15日には、「中期目標・中期計画の骨子(案)の検討方法についての要求」および「5/7付国大協依頼書についての緊急要求」を総長に提出しました。
2)学習・調査活動
これらの政策的解明は、学習・調査活動によって支えられました。2003年9-10月には、教員評価や人事査定の問題について、野村正實氏(経済学研究科教授)、川端望氏(同研究科助教授)を講師とする学習会を2回にわたって開催しました。また、労働基準監督官や労働法研究者、弁護士、全大教役員との懇談を重ねたり、2002年11月16日に開催された全大教関東甲信越地区協議会の集中学習検討会「国立大学法人と労使関係・労働条件」に参加するなどして、非公務員型法人化のもとでの労使関係・人事制度についても学習と政策的解明を進めました。
法人化対策特別委員会は、発足以来 回の会合を持つとともに、独立行政法人国立花山少年自然の家を訪問しての労使関係調査、資料収集を行い、また教文部ともに上記の学習・調査活動、パブリック・コメント提出活動を進めました。そして、2003年4月23日には法人化に際しての教職員の各層の問題点、今後の活動の方向性などを整理した「中間報告」を提出しました。
この過程で、調査課題が膨大かつ専門的であり、他大学の組合や法律や労働行政に通じた専門家と協力しなければ不可能であることが明らかになりました。そこで東北地方の各大学と話し合い、全大教東北地区協議会法人化対策会議を設置しました。現在まで3回開催されており、就業規則に関する調査研究を分担して取り組んでいます。専門家との協力体制も前進してはいますが、まだ軌道に乗り切ってはいません。
3)法人法案反対活動
2003年の初頭以後は、「法人法案」に直接対応した法人化反対運動に重点を置きました。「大学改革を考えるアピールの会」の呼びかけに応じて賛同人を募り、また全大教・日本私大教連「国立大学・高専『法人法案』の廃案をめざす大学人共同アピール」に取り組みました。
法人化問題を地域に訴えるために、4月23日には、全大教東北地区協議会構成組合の共同声明「国立大学の法人化に反対します 法人化は地域社会の教育研究・文化を破壊するものです」を発表し、宮城教育大学職員組合とともに記者会見も行うとともに、文科大臣や衆参の文教科学委員、地元選出国会議員、自治体首長に送りました。
また5月21日には、「広範な社会にも、大学構成員にも開かれていない 無責任な法人制度--国立大学法人法案に関する東北大学職員組合の見解--」を発表し、法案の問題点を包括的に明らかにしました。この声明は、参議院の文教科学委員に送られました。
しかし、宣伝活動や教職員への具体的なはたらきかけは十分ではありません。とくに支部単位の動きが一部に限られていることは、組合が広範な基盤を構築する必要に迫られていることから見ると、深刻と言わねばなりません。
2002年12月、医学系研究科・医学部附属病院が、全教官職に任期制を導入し、現職教官を任期付任用に切り替える案を検討していること、しかも任期を遡及適用して法人化前に全教官の再任用を審査しようとしていることが明らかになりました。組合は、2003年1月17日の総長交渉で、この任期制案に違法の疑いがあることを提起し、調査を求めました。総長側は、任期制案をチェックし、組合にもその結果を知らせると約束しましたが、その後、任期制案が評議会に出されるまで責任ある回答をしないという、不誠実な態度を取りました。
組合はこの問題について、全教官を対象とした宣伝活動(1,2)、評議会構成員を対象とした要請活動を展開しました。また、組合本部として医学系研究科長に会見を申し入れ、2月19日にこれを実現しました。会見では、任期付任用への同意を強制しないことを確認するとともに、医学系研究科が教員の処遇について将来の見通しをもたないまま任期制を導入しようとしていることが明らかにされました。
全教官職への任期制導入は決定されてしまいましたが、任期の遡及適用は取り消され、法人化前に教員が失職させられることはなくなりました。この修正には組合のはたらきかけも効果があったと考えられます。また、重大問題について組合と部局長が会見するという前例をつくったことも重要です。
しかし一方で、支部単位での組合の動きの弱さ、国立大学附属病院のマネジメント改革についての認識の弱さといった弱点も浮かび上がりました。後者については、専門家の協力を得て早急に政策的解明を行っていきます。
6月末現在、法人法案は参議院で審議中であり、審議の結果によって方針と課題を変更せざるを得ません。ここでは、政府案通りに成立したケースと廃案になったケースを想定します。なお、法人化を想定した課題のうち(*)を記したものは、現制度が継続することになった場合も等しく重視する必要があります。
東北大学における技術職員の年齢構成は以下の図に見られるようにピークが53〜56歳代に集中しており、補充されず推移するなら5年後には現在の6割の人数になることが明らかとなっています。これまでの10次にわたる定員削減で組織を持たない技術系職員がターゲットになってきたことに他なりません。このことは、技術系職員の業務が法的にも学内的にも不明確な職務内容・位置づけとなっていることに起因しています。したがって、組合では全国の組合と連帯し大学の研究教育における技術業務、位置づけの明確化、いわゆる専門技術業務を法的にも学内合意的にも明確に位置づけることを目指して運動してきました。具体的には、専門技術集団の組織を確立することとあわせて、専門研修を充実させ大学特有の専門技術を向上させる運動を進めてきました。
国大協が進めてきた専門行政職(専行職)適用に向けた取り組みにおける基本的考え方である「大学の研究教育は教官、技術職員、事務職員の三者で運営する」との観点は、法人化にかかわらず今後とも重要な観点です。文科省(旧文部省)は専行職不適用のかわりとして1997年に訓令33号を発令し「技術専門官」(行(一)8級まで)、「技術専門職員」を配置し、専門官・専門職員研修を全国的に実施しています。専行職適用は実現しませんでしたが、専門職として訓令で認めさせ待遇改善させたことは我々の運動の成果です。しかし、当初一定数の専門官が発令されましたが、それ以降の定数増は不十分となっています。
一方、法人化の動きは非公務員化で推移し、各大学では2004年4月実施に向け中期目標、中期計画の策定となっています。東北大学の場合、部局によっては技術部、室が主体となって検討を行い上申した部分もありましたが、部局あるいは大学全体として技術職員を明確に位置づけるまでになっていません。したがって、今後部局等の対応が重要となっています。各部局では大幅な技術職員の減少から、法人化を機会に技術業務内容や配置の見直しが計画されています。自然消滅の一途をたどるのか、大学の中の専門技術組織としてどのような形で位置づけることができるのかの瀬戸際となっており、われわれの主体的運動如何にかかっています。
2002年度の主な研修は、次のものがあげられます。
東北大学教室系技術職員研修は、これまで3課題(情報、低温・真空、安全管理)でありましたが、昨年度は「安全管理」のみとなり縮小されました。全学的な専門研修の考え方については、技術職員の職務に求められるものが変わりつつあるなかで、内容や進め方の見直しの時期にきています。昨年、本部人事課より教室系技術職員研修の在り方について「技術職員と協議して計画していきたい」旨の提案があり、各部局(15部局)から代表委員を召集し今後の研修内容について検討されました。これまで、「教室系技術職員代表者連絡会」(仮称)として2回開催されています。この機会に職組本部技術職員部では、各支部技術職員に対して「技術職員の地位、位置づけの明確化、職群確立のための研修を目ざし、技術職員自身が運営に主体的に関わること」をよびかけました。その他に、工学研究科、理学研究科、金研、多元研などで各部局毎の専門研修・研究会がこれまでどおり技術部、室、運営委員会の計画のもとで実施されました。
昨年は、技術専門官定数を増やすことと、事務系職員との世代間の不公平を示しつつ団塊世代の待遇改善を訴えてきました。昨年10月に行われた人事院東北事務局長交渉や全大教の文科省・人事院交渉では、「団塊世代の処遇改善に理解を示しつつも事務系との職務内容に違いがある」という回答で前進がみられない状況でありました。定員削減による技術職員の減少や大学の組織改編に伴って業務が増加している現状を訴え続けていく必要があります。2002年10月現在の東北大学に在職する技術職員は、6級以上74名(19.47%),5級以下306名(80.57%)で合計380名となっています。級別定数、全国の高位級定数の推移は、以下のとおりです。
級 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
定数 | 5 | 19 | 80 | 55 | 147 | 61 | 11 | 2 |
率(%) | 1.32 | 5.0 | 21.05 | 14.47 | 38.68 | 16.05 | 2.89 | 0.53 |
技術専門官 | 技術専門職員 | |||||||
年度 | 8級 | 7級 | 6級 | 合計 | 6級 | 5級 | 4級 | 合計 |
2001 | 28 | 127(+17) | 160 | 315(+17) | 430(+73) | 1633(+49) | 2210(-56) | 4273(+66) |
2002 | 28 | 145(+18) | 161(+1) | 334(+19) | 498(+68) | 1679(+46) | 2100(-110) | 4277(+4) |
2003 | 350(+16) | 579(+81) | 1681(+2) | 1989(-111) | 4249(-28) | |||
職員組合としては、国立大学の法人化に対して一貫して反対してきました。他方では、法人化が実施された場合をにらみ、法人化対策特別委員会を立ち上げその対策や勉強会を行ってきました。技術職員部としてもそれらに参加してきました。東北大学制度検討委員会が昨年作成した中間報告には、専門職員のセンター化やアウトソーシングの記述があったため、パブリック・コメントや総長交渉において反対の意思表明を行ってきました。今年2月下旬に行われた全大教技術職員問題単組代表者会議では、各大学の中期目標・中期計画状況に関するアンケートが集約され、技術職員の今後の運動について意見交換が行われました。
東北大学の「中間報告以降の検討に関する報告」と「中期目標・中期計画(骨子)」によると、法人化後の技術職員の待遇に関しては依然として明確になっていません。「中間報告以降の検討に関する報告」のパブリック・コメントに対する回答においても明らかとなっていません。部局の中では、技術職員の業務の見直しが計画されています。さらに部局間を超えた技術組織の見直しも予想されます。法人化後に発生する安全管理業務・情報管理業務等の増大、工場系の技術業務の継承問題とともに労働強化が予想されることから、技術職員の緊急な増員を訴えていく必要があります。
今年度は、4回にわたる技術問題対策委員会を開催し以下のような取り組みをおこなってきました。1) 人事院東北事務局長交渉(2002,10.16)、2) 東北大学総長交渉(2003,1.17)、3)全大教技術職員問題単組代表者会議(2002,2.22-23)、4)人事院東北事務局長交渉(2003,6.13)、その他、技術職員研修への要望、組織業務・人事制度委員会へのパブリック・コメント提出、「中間報告以降の検討に関する報告」へのパブリック・コメント提出をおこなってきました。また、組合内部の法人化対策特別委員会活動に参加してきたことをふまえ、法人化対策特別委員会の「中間報告」に向けて技術職員の問題点について報告してきました。
教務職員問題は、「教育職でありながら教員ではない」という法的に整合性を欠くその位置づけにあり、これは制度上の問題です。
教務職員制度は、1949年6月の副手制度の廃止に際し、助手に移行できなかった人たちを一時的、緊急避難的に処遇する制度としてできた暫定的な制度です。暫定的制度にも拘らず、制度創設の際に副手以外の職種からも教務職員の中に統合した部分もあり、職種の多様性が出発点から存在していたことが処遇の改善を困難にしています。また運用面においても教育職の採用は大学(教授)が自由にできることから、「便利な職」として大学(教授)が便法的に使ってきたことが問題を一層複雑、深刻なものにしてきました。このように、教務職員問題の解決には、制度的な解決、即ち制度の廃止が必要です。
1988年の全大教(当時は日教組大学部)教職員研究集会の分科会において熱く議論され、文部省、国大協への教務職員制度廃止を求める「要望書」としてまとめられました。これを受けて1991年に国大協第4常置委員会が「報告書」をまとめて以降、解決に向けて大きく前進しました。東北大学においても「教務職員から昇任した助手が行(一)とのかねあいもあり60歳自己都合退職を余儀なくされる」などの問題点がありましたが、教務職員問題にとりくむ姿勢が見えたこと、60歳以前の2級昇任であり退職金も含めて待遇改善になる人がほとんどだったことなど一定の前進を見ました。
しかしその後国大協総会への制度廃止報告がされる見通しとなりながらも、法人化の問題が最重要課題となり、大きな進展はありません。この間全大教はこの問題解決に向けた「単組代表者会議」を持ち、各大学における取り組みの交流と今後の運動方針について議論を行っています。しかし法人化問題がさまざまな取り組みに影を落とし、その解決の糸口をみつけるのが難しくなっています。全国的に見ても運動が一定程度進んだことによる教務職員の減少が運動の核になる組合員の減少にもつながっており、取り組みをいっそう困難にしています。
東北大学には2003年4月1日現在、57名の教務職員が在職しています。20年前には150名の教務職員が在籍していましたから、その数は1/3近くになっています。
これはこの間の組合の取り組みによる昇任、昇格の成果でもありますが、加えて退職後の教務職員の定数が他の定員削減に用いられたことなども大きな要因と思われます。現在在籍している多くの教務職員は、その任用時期の関係から助手に昇格した際の「再計算」からも外れており、これまでのような「60歳定年」では待遇改善が望めません。また助手に昇格した際の教員の「任期制」などが、新たな問題となると思われます。当局は2003年1月17日に行われた総長交渉の席上で「教務職員の待遇改善については、研究科等の整備に際し助手に振替えるということで従来行なってきた。2003年度の概算要求で振替要求を出した結果、9名が予算措置される予定だ」と問題解決への取り組みが進んでいる旨の回答をしています。前総長が国大協の第4常置委員会副委員長の職にあった時に、東北大学におけるこの問題での取り組みの遅れを感じたことから、この問題解決に向けた運動に理解のある発言をしてきました。未だに教務職員から昇任した助手が「60歳自己都合退職」を余儀なくされ、退職金等で大きな不利益を被っている例があるなど問題は残っていますが、先の交渉の席上副総長が「総長は前総長の基本政策を継承し、課題として十分に認識している」と述べ、教務職員の待遇改善に努力していく旨の回答をしています。今後法人化の問題とあわせた取り組みが重要です。
年 | 工学 | 理学 | サイクロ | 農学 | 薬学 | 医学 | 文学 | 病院 | アジア | 金研 | 多元 | 生命 | 工分館 |
2001 | 23 | 4 | 3 | 14 | 14 | 3 | 0 | 1 | 1 | 4 | 2 | 2 | 1 |
2002 | 17 | 4 | 3 | 14 | 13 | 3 | 0 | 1 | 1 | 4 | 0 | 1 | 0 |
2003 | 16 | 4 | 2 | 13 | 11 | 3 | 1 | 1 | 1 | 4 | 0 | 1 | 0 |
男 | 16 | 2 | 2 | 4 | 6 | 1 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 1 | 0 |
女 | 0 | 2 | 0 | 9 | 5 | 2 | 1 | 1 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 |
15大学から19名が参加し、その主な討議内容は以下のようでした。
東大など一部大学で昇格があったものの全体的には進んでおらず、教務職のまま退職するケースも多々報告されました。教務職員の数が少ない上に教官側の認識が不十分なため、問題の実情が大学当局や組合に伝わらず、解決が困難な大学が多数ありました。また昇級に伴い任期制と助手の職務(研究者等)が条件となる場合が多く、問題解決を妨げています。
討論の主な内容は以下のものでした。1)現行制度の矛盾は現行制度内で解決すべきであり、制度廃止および制度の再生産を避ける必要がある。2)東大が昇格に積極的になった実例から「運営費交付金の算定基準は定員ではなく現員なので、空き定数を使って教務職員を昇格させておけば運営費交付金の算定に有利」という論理で大学の空きポストを最大限利用する解決方法の提案。3)各大学単位では教務職員の数が少なく問題解決が困難なため、各大学の上層部に問題解決のアピールを直接する手法の提案。
現行制度の場合:「教務職員制度を法人化前に廃止し、各大学は空きポストを使って全教務職員を助手に振替えるべきである」との要求を掲げ、各大学職組で実現に全力を尽くす。大学上層部への直接行動として全大教に各国立大学長宛の要望書の提出を依頼し、問題解決を上層部に直接訴える。
国立大学法人法が成立した場合:法人化後の職制変更により教務職員制度を廃止し、希望する職種に振替えることを求める。
*いずれの場合も制度上の問題解決なので、待遇改善の実を損ねないよう配慮を求めながら要求する必要があります。
事務職員を取り巻く状況は、第10次定員削減計画対応にむけた事務機構改革=その効果に疑問を抱かせる組織の集中化と、通常業務を行ないながら「法人化」を前提にした準備作業による多忙化が蔓延しています。
今期、事務職員部会として、会議を設定することができず、事務職員の諸要求の実現に足を踏み出すことができませんでした。
全大教事務職員交流会が、3月21日に東京で開催され、全大教事務職員部員が参加しました。「国立大学法人法案」が国会に提出されるという重大な情勢の中、今後の事務組織の役割と課題、採用・人事異動・研修のあり方、事務職員の組織化について議論し、各単組の取り組みを交流するなど意義ある会議となりました。
[1]大学図書館をめぐる環境は急激に変化しており、図書館の役割・機能の大きな転換が求められています。
これからの図書館には、これまで蓄積してきた情報・資料を学内の研究・教育に役立てるためのより高い専門性とともに、地域社会への貢献や国際化への対応を念頭に関連機関と連携しながら真に利用者の要求に応える図書館サービスを推進していくことが求められています。また、それにふさわしく図書館職員の専門職としての能力を高めることが必要です。
[2]インターネットの普及は、学術雑誌の電子ジャーナル化など出版形態にも変化をもたらし、それに伴って二次情報データベースの整備が不可欠となっています。また、図書館が所蔵する資料の電子化・データベース化は、資料の保存の観点からも急務となっています。
毎年予算が削減され続けてきましたが、これらの活動をささえるためには予算の大幅な増額を実現することが不可欠です。
[3]「本館と分館の組織・業務の一元化」「事務の効率化・合理化」が図書館の中期目標・中期計画案に盛り込まれ、職員は対応を迫られていますが、そのために検討しなければならない問題が山積しています。
[4]国立大学法人移行に際しての職員の承継・確保はいまだに不透明な要素があり、とくに定員外職員・パート職員については、まったく定員とかわらず各人が責任を持ち働いているにも拘らず、勤務実態とはかけ離れた劣悪な待遇におかれたまま、雇用承継に大きな不安を抱えているのが現状です。正規職員として働き続けることが出来るよう、組合の強固な取り組みが必要です。
今期、工学分館や農学分館において定員外職員・パート職員の組合加入が大きく前進したことは、法人化に際しての組合への大きな期待を示しています。
昨年の診療報酬マイナス改定や高齢者負担強化、今年4月以来の本人3割負担などによって、受診抑制の深刻化など国民の生活や健康が重大な影響を受けています。
国立大学の法人化は、国立病院の独立行政法人化、自治体病院の統廃合、労災病院や社会保険病院等の統廃合の進行とあいまって、国や自治体が担うべき本来の責任を投げ捨てるものです。こうした中、医療費3割負担実施の凍結を求めて医師会、歯科医師会、薬剤師会、看護協会が共同声明を出したり、野党が共同で法案を提出するなど、これまでにない状況も生まれています。まさに、現在の情勢は医療をめぐる重要局面と言えます。
(1)2003年度政府予算では看護体制に関して「臓器移植など高度先進医療の実施、医療事故への対応などのために定員外看護師等の増員により、その体制整備を行なう」として前年度比1億5700万円増の108億円を計上されました。しかしこれが保障する増員は40人程度分に過ぎず、各病院1人以下の配置にしかなりません。
(2)昨年3月に国立大学医学部附属病院長会議常置委員会が「国立大学附属病院の医療提供機能強化を目指したマネジメント改革について(提言)」(以下「マネジメント改革」)を出しました(九州大学医学部のリンク集よりPDFファイルで入手可能です.PDF 322K)。この「マネジメント改革」は「病院長の強力なリーダーシップ」を求め、それを支援する戦略企画部門の新設や薬剤師や臨床検査技師などの職種を一元的に管理し、薬剤部も含め業務のうち一部を外部委託する等「効率的」運営を図る組織再編を提言しています。
たとえば、外部委託の促進や検査・手術・放射線・材料・輸血・病理・薬剤の7部門についての改善策が提示されていますが、診療支援部から職員を配置すると記載されている業務は検査・放射線・材料・輸血・病理のみです。理学・作業療法士業務に関する記載はありません。共通性の乏しい部署が統合されることは、臓器別診療科に進化・細分化してきている診療体系に逆行していくものです。
恐ろしいことに、この「マネジメント改革」は各大学が考える暇もなく、すでに走り出している現状です。経営のためには在院日数の短縮とベッドの稼働率のアップ、各病棟に救急病床や共通病床を置くことなどが盛り込まれています。大学病院の中でも、それが生き残るために当然のこととして受けとめられています。
果てし無く続くサービス残業の中で、信頼された安全な大学病院(安心して診てもらえる病院)の姿はどうあるべきか、現場から大きな声を出していくことが求められています。今ほど組合の力が必要とされている時期はありません。
(3)2002年12月の国立大学病院長会議常置委員会は、「国立大学法人化後の国立大学附属病院の運営に関する要望について」「国立大学法人化後の人事制度について各大学に対する要望」「目標・評価制度についての参考事項」「診療科及び中央診療施設等の評価についての参考資料」からなる「国立大学法人化後の国立大学附属病院の運営について」を決定しました(上述の九大医リンク集よりPDFファイルが入手できます.PDF 289K)。
これらの要望は、文科省に対し医療事故の補償に対する経費(保険料相当額の措置を含む)を措置すること、看護部などの非常勤職員の人件費を運営費交付金として積算することなどを求め、各大学に対しては、診療報酬請求額の増額のための病床稼働率アップ、平均在院日数の短縮・外来患者数の増、紹介率アップ、診療報酬査定減の縮減など「効率化」に関して年度ごととあわせて期間中の合計目標を記載するように求めています。
(4)包括医療の導入
今年4月、大学病院、国立がんセンター、国立循環器病センター(計82病院)を対象として特定機能病院の入院医療の医療機関別包括評価が導入されました。この方式を20年余り前に導入したアメリカでは、否定的評価が多く提出され、少なくとも医療費抑制効果については疑問視されています。
包括評価は、現行の医療行為ごとの算定方式から、患者の疾病に応じて包括して算定する方式に改められるもので、算定は入院一人当りの一日の定額が原則となります。
包括医療には、医療サービス内容の細分化や専門化が進む一方で医療機能の分担や連携が十分でないことから医療体制に歪みが生じる、入院先や入院期間の違いにより異なる診療報酬が支払われる、入院期間が長引くと1日あたり報酬は相対的に下がり、しかも、診断群分類に各病院の平均在院日数などが公表される、事務量が増加するといった問題点が指摘されており、組合は導入に反対していました。
(5)病院支部は、病院2期工事建築に向けた要望書を提出し、12月9日に回答がありました。回答の内容は関係各方面と調整をはかりながらよりよい病棟の建設実施に向けて努力するというものでした。
9月24日、10月8日に法人化に関する学習会を行い、組合に入っていない職員にも参加を呼びかけました。
総長交渉では看護師の増員要求を盛り込みました。
(6)法人化と関連して新採用の看護師の組合加入が続いています。病院支部は本部と協力して4月のオリエンテーションで、組合の紹介と加入の訴えを行ないました。病院支部独自の訴えに添えて、組合や全大教、全大教病院協議会の資料を配り、法人化と組合加入の意義について訴えました。その結果、非常勤の看護師を中心に現在まで病院だけで5名の職員が加入しています。
(7)長年にわたり定員化を要求してきた組合員1名が、定員外職員のままで定年退職を迎えました。定員外職員のまま、定年などのため再雇用されないで退職した場合、国家公務員退職票(民間で失業手当を申請する際の離職票に相当)を職業安定所に提出して特別退職手当が請求できることがわかり、当該組合員のために国家公務員退職票の発行を要求しました。
(8)「パート職員の継続雇用」の取り組みのその後
2002年4月1日からメッセンジャー・医療機材部門の外部委託の方針が決定、それに伴い当該部署の現場職員が再雇用されない問題が生じました。非常勤職員を経て、パート職員になった人も含め、何度となく配置転換されながらも、雇用更新を繰り返し、定員内職員と変わらず長く病院に貢献してきた職員が、再雇用されないことになったのです。組合で、継続雇用を求める要求を重ねましたが、東北大学の職員としての雇用はならず、外部委託業者(派遣)Aにパートとして雇用されました。
しかし、その後、2003年4月からの業者にはAではなく外部委託業者(派遣)Bが落札し、外部委託業者が切り替えられました。新しい派遣会社への就職活動を行い、その組合員をふくむ8名が業者Aから業者Bにパート職員として採用され現在も働いています。
組合は、パート職員の雇用継続に当たり、大学職員としてではなくても同じ仕事場で働けることで外部委託業者への雇用を一定評価しました。しかし、パートという身分の不安定な雇用形態になることと外部委託業者による雇用には、今回のような問題が伴うということは大きな教訓です。今後の法人化と外部委託が進行する中で大きな課題となることが予測されます。
[1]2002年7月1日現在、東北大学には日々雇用職員275名、時間雇用職員723名が働いています。非常勤職員という名前ですが、その多くが恒常的な業務に継続して就き、東北大学の教育・研究・医療を支えています。東北大学の定員は1970年(5641名)から2002年(4971名)の間に670名減少しており、定員外職員が、歴史的にも実態としても、定員削減によって減らされてきた定員内職員の代わりに東北大学の基幹的業務を担っていることは明らかです。
[2]1979年には文科省(旧文部省)が「定員外職員問題の抜本的解決は定員化しかない」ことを言明し、当面の措置として2級4号俸での頭打ちを解消しましたが、その後の改善は遅々として進まず、今なお42年前の閣議決定「定員外職員の常勤化の防止について」や人事院規則に拘束され、定員内職員との格差は拡大しています。1980年以降は文人給109号により、日々雇用職員の長期化防止の措置がとられたため、日々雇用職員の新規採用は三年期限付きとされ、時間雇用職員が増大してきました。時間雇用職員は恒常的な業務を担い長期化しながらもボーナスがないなど待遇はさらに劣悪です。20〜30年の長期にわたって定員内職員と同様に従事している定員外職員でさえ、理不尽な「任用中断日」の繰り返しのもと劣悪な待遇に据え置かれています。
[3]人事院は2002年の「人事院勧告」別紙第3の報告(6-ウ(イ))において、「非常勤職員に関しては、現在まで十分な制度的整備がなされておらず非常勤職員が、常勤職員とほぼ同様の勤務実態を有しながら、定員等の都合で非常勤として採用されるといった運用がみられるところである。こうした現状を是正するため、非常勤職員の範囲の明確化や給与、勤務時間・休暇等の待遇や身分保障等について、関係府省が十分連携し、制度的な整備を検討する必要がある」と、非常勤職員の常勤的実態、定員内職員との不均衡について初めて公式に認め、制度の整備の必要性を指摘しています。組合の長年の主張がようやく認められたものであり組合は、人事院交渉や総長要請などに活用しました。
[4]国大協法人化特別委員会の第8回会議(2002.10.25)での配布資料4「非常勤職員関係」中に、「非常勤職員については、法人化の有無にかかわらず補助的業務・臨時的業務という労働の質に変化を来たすものではないと考えられる。従って、各大学の経営上、人的資源の効率的な展開を踏まえて、その在り方を検討していくこととなるのではないか」と記述されていることは、国立大学に勤務する定員外職員の実態を省みないものです。大学法人化後においても、なおかつそのような認識をもって処遇を考えていることに大きな不満と不安を感じています。
[5]1999年6月に成立した「男女共同参画社会基本法」にもとづき、具体的に男女共同参画基本計画作りが検討されていますが、男女共同参画審議会の答申「男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方−21世紀の最重要課題−」(2000年9月)では、基本的考えとして「通常の労働者との処遇・労働条件の均衡の確保」が必要であると指摘されています。非常勤職員の待遇は賃金・休暇・研修などあらゆる面で低く抑えられています。そして、そのほとんどが女性によって占められているというのが実態です。このことは、定員外職員という形で「女性差別がなされている」ということであり、男女共同参画社会基本法の精神からも雇用保障や待遇改善が必要です。
[6]組合は、定員外職員、パート職員がよってたつことのできる権利を学ぶために、8月30日、宮城一般労働組合の遠藤書記長を講師に、広く非常勤職員にも呼びかけてパートの権利学習会をおこないました。この学習会で民間についての判例や経験、組合や常勤職員が自分の問題としてとらえることの大切さを学びました。
[7]組合は、今期非常勤職員の雇用と待遇のために、「法人移行に際しての非常勤職員の雇用継承および待遇に関する要望書」,「日々雇用職員の待遇切下げ問題についての要請書」,「給与法の改定を理由とした非常勤職員の給与の引き下げに反対する要請書」を総長に提出しました。大学は1月17日の総長交渉において職員の承継については常勤職員についてさえ明言をさけるという姿勢をとりました。また、2月12日の人事課長補佐会見、5月15日の人事課長交渉においては、総長・事務局長レベルでいまだに雇用承継の姿勢を示すという判断すらされていないことと、日々雇用職員の雇用は部局の物件費によるという慣例があることを繰り返すのみで、大学の責任についてまともに回答せず不利益変更の重大さも認識しないという無責任な姿勢に終始しました。
[8]この間、サイクロトロンセンターで働く長期の日々雇用職員3名が4月1日にパート化されました。1名は組合員であり、組合は理学部支部と協力して本部、センターに定員外職員としての継続を異動も含めて要求してきましたが、センターは予算がない、本部は部局の予算の問題という姿勢に終始しました。組合も日々雇用職員自らの運動が不十分であり現時点でこの壁を突破できていません。
[9]4月、定員外職員が自発的に日々雇用職員連絡会を結成しました。執行委員会は、この取り組みを支援することを確認しました。
[10]非常勤職員の要求は切実であり、今期は10名を超える非常勤職員が組合に加入しました。組合は前期に引き続きパートのアンケート集計結果を返す活動を行いました。また、ホームページに非常勤職員への訴えを掲載し、そのポスター版を掲示し、学内便でも送りました。一人ひとりに時間をかけて声をかけた組合員の地道な努力もあって、ある職場ではほぼ100%の非常勤職員が組合員となりました。
[11]大学病院では、定員外職員のまま定年を迎えた人が、再雇用されないまま退職しました。組合では、国家公務員離職票の発行と職安への提出、特別退職手当金給付の手続きを支援しました。
厚生部活動は教職員共済宮城地区支部、労金対策委員会の活動を中心に行ってきました。 恒例の第23回厚生部学習交流集会は、2002年11月16-17日、「蔵王ハイツ」で、農学研究科の工藤昭彦教授による「現代における食の問題について」の講演と交流を行いました。偽装牛肉問題など「食」についての話題がマスコミを賑わしていた時期でもあり、参加者は熱心に聞いていました。その他この集会では、宮城労働金庫や教職員共済大学支部の各担当者から具体的な資料をもとに、現在の利用状況および取扱い商品の優位性などについて説明がありました。開催日を土・日曜日に変更したためか、参加者が17名と少なかったのは残念でした。今後は多くの組合員が参加できるように、開催日の設定を検討する必要があります。
(1)宮城労働金庫県推進委員会に推進員として代表1名を派遣し、労働金庫の事業推進等に取り組んできました。
(2)本部扱いの特融会員は、現在145名(金研、農学部、図書館支部は独自に取扱い)です。今期の各種借り入れの申請は、1件、100万円ありました。
「教職員生涯福祉財団」「教職員共済生協本部」との連携事業(自動車共済、火災共済)は2002年4月から実施されており、既にリーフレットが文部科学省共済組合を通じて全教職員に配布されています。今後、本部作成の宣伝物の活用や職組新聞「コア」を活用した宣伝および地区支部独自の宣伝行動などで、教職員共済組合員の加入促進にとりくむことが大切です。
この問題については、連携事業の推進、大学支部常任幹事の専任化を含めた幹事会、事務局の強化策、組合員拡大の進行状況及び税務当局の動きなどを見守りながら検討するとし、当面は従前通りとなりました。しかし、常任幹事の専任化については引き続き重点課題としており、その経費に充てるためとして業務委託費の削減提案が検討されていますが、これまでの経過を踏まえ十分な議論が必要です。
地区支部としては、独自の教職員共済運営体制の確立と、連携事業の推進等にむけ、その第一歩として新しい教職員共済宮城地区支部規約に基づき、9月25日に地区支部第1回総会を開催し新役員を選出し、幹事会体制をスタートさせました。
2002年度末に定年等で退職・転出される方には、長い間共に組合活動を行ってきたことに対して、本部組合から感謝状と記念品として七宝焼(男性にはタイピン、女性にはブローチ)を贈りました。
本年度定年退職された方は20名、自己都合退職者1名、転出者3名でした。
退職者の会は会員に定期的に会報と職組新聞コアを郵送し情報を伝えるとともに、喜寿祝いの記念品贈呈などを行ってきました。また、会員相互の親睦、婦人の交流をはじめとした諸企画の開催に努めてきています。
2002年度は、秋保温泉での「一泊交流会」(11月、9名)を行いました。
退職者の会婦人部も、「女性の憲法年」アピール賛同署名の取り組み(5月)、井上ひさし氏文化講演会参加(9月、6人)、国際婦人デー第43回宮城県集会へ参加(3月、8名)、有事法案に反対する市民集会(3月、4人)、「ストップ!イラク戦争3.30大集会」(3月、5人)等にとりくみました。
今期、文化部は、コア編集委員会と協力していくつかの活動に取り組んできました。
[1]1月24日(金)、金研二号館会議室にて「東北大学職員組合2003年旗びらき」を45名の参加で行ないました。歌や執行委員会のビンゴゲーム、青年部のジャンケンゲーム、婦人部のマジックショーなどで、楽しく交流が広がりました。
[2]1月25日(土)には、恒例の「新春囲碁大会」を金研職員集会室で行ないました。ビールを飲んだり弁当を食べたり、参加者の一人から組合に囲碁の本が寄贈されたりと、楽しい1日でした。
[3]隣の視聴覚室では、同時進行でコア編集委員会を中心に「カルタ大会」を行ないました。早くとるコツをみんなで学びながら、和気あいあいと楽しみました。囲碁とカルタ、あわせて16名の参加でした。
[4]3月2日(日)には、コア編集委員会主催による「陽だまりハイキング」が行なわれました。白髪山(しらひげやま)登山でしたが、当日は風が強く登山は中止となり、周辺の林道歩きを行ないました。お昼ご飯は山形そば街道で、板そばとニシンをみんなでおいしく食べました。(参加者7名)
[5]5月1日(木)は「第74回メーデー宮城県集会」がありました。組合からは42名参加しました。五月晴れのいい天気で歌声や仮装・デコレーション、大抽選会などがありました。組合員も元気よくプラカードとのぼり、法人法案反対の横断幕をもってシュプレヒコールをしながら、青葉通りをデモ行進しました。
[6]5月10日(土)には文化部とコア編集委員会の共催で「わらび採り」を川渡農場にて行ないました (参加者13名)。農場の先生に農場内を案内していただきました。今年は山の上の牧場は雪解けが遅くわらびはないということで、山の下の方で採らせてもらいました。わらびやタラノメなどがたくさん採れました。お昼にはセミナーハウスの芝生で弁当を食べました。その後川渡温泉に入って疲れをとりました。
(1)2002年9月28日、東北大学主催「第1回東北大学男女共同参画シンポジウム」に於いて阿部前総長および東北大学男女共同参画委員会名によって発表された「男女共同参画推進のための東北大学宣言」(PDFファイル 641K)は東北大学が全国の大学の先駆となるべく、率先して男女共同参画社会の実現のために積極的に取り組み、全構成員の共通目標として“教職員・大学院生等の人的構成における男女格差の是正、方針決定機関への男女共同参画の推進、研究・労働環境の改善、育児・介護における性別役割分業の改善と両立支援体制の確立等の効果的かつ具体的な措置を講じる”ことを宣言しています。
(2)しかしながら、その後の経過をみれば評議会、新総長は「東北大学宣言」の精神を尊重していないと言わざるを得ません。同委員会の “各部局は、数値目標を含めた中期的目標およびその目標達成のための具体的取り組み策を作成する。(男女共同参画の具体的推進策)”との提言にもかかわらず、大学は各部局の中期目標に数値目標を求めた形跡はありません。また大学自身の中期目標・中期計画の骨子(案)にも宣言の趣旨は反映されませんでした。当然、男女共同参画に一項を割き、数値目標にも言及するべきです。
(3)わたしたちは、シンポジウムに先立ち、東北大学における男女共同参画推進のために、人事院指針および文科省通知にそって「文部科学省女性職員の採用・登用拡大計画」を確実に実施することを要求し、その実施状況を検証してきました。
まず、比較の基礎となる2002年6月1日現在の部局・職種・年齢送別の男女教職員数を入手し、この詳細情報を基に「事務職員数の男女比グラフ」を作成しました。グラフは40歳以上の女性事務職員に対し差別が存在することを明らかにしています。これに基づき12月13日、上記のグラフを添えて、「東北大学における女性教職員の地位向上のために(質問)」を総長、男女共同参画委員会委員長、同各委員に提出・送付し、同時に組合ホームページにも掲載しました。また、2003年1月17日総長交渉において、「昇進昇格における男女差別の是正措置について」申し入れました。
その後1月20日に東北大学男女共同参画委員会が「学内保育園についての意見公募」を全学に呼びかけました。東北大学の保育所問題には歴史的な経緯があり、組合と大学との確認事項もあることから、委員長が要望と意見交換を行ないました。
わたしたちは、真の男女平等実現ため、「男女共同参画推進のための東北大学宣言」を単なるアドバルーンとさせないために、今後も粘り強い運動を続けます。
また、昨年14回を数えたミニコンサートを残念ながら今期は諸般の事情により実施できませんでしたが、これまで続けてきた文化的な活動の実績を財産にして、ミニ旅行、ミニコンサートなど、楽しい行事の取り組みを進めます。
第48回日本母親大会は2002年7月27-28日、福岡県小倉で開催され、1名が参加しました。また、今年6月29日、岩沼市の岩沼小学校で開かれた第43回宮城県母親大会への参加に取り組みました。これらの財政を支えるため、カンパ、物資販売、職員組合定期大会でのコーヒー販売に取り組みました。
アメリカのイラク攻撃に反対し、「女性のピースウォーク(3月8日)」、「ストップ!イラク戦争3.30大集会&アピール行進」などに多くの婦人部員が参加しました。また、日本を戦争に駆り立てる「有事法制」に反対し、署名活動に取り組みました。
職場の男女差別をなくし、真の男女共同参画社会実現のため、事務職員部会、定員外職員部会などと連携を深め、運動に取り組みます。
また、「個人として尊重され、生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」(憲法第13条)を行使するために、母親大会実行委員会、県労連女性部、国公女性協などと連帯し、運動を進めていきます。
[1]法人化への動きが強引にすすめられ、大学の研究・教育環境がますます悪化しつつある中で、そのしわ寄せがいたるところで将来を担うべき若手教職員 にまわってきています。青年の中には、法人化による適正な評価・競争の実現への淡い期待も少なからずあると思われますが、偏った「業績」主義や、現実を 無視した「効率化」「人員削減」の矛盾が若い世代へ集中することは明らかです。
今期青年部は、青年同士の交流を深め、その交流の中で、青年の周りで起こっている様々な問題に対応すべく活動を行ってきました。
[2]青年部独自の活動としてはボウリング大会と学習会に取り組みました。
[3]他の組織との交流としては、全大教青年部の総会や代表者会議に参加し、各地区の大学での多彩な交流活動や「役員のなり手に苦労している」といった共通する悩みなどについて情報の交換を行いました。
[4]青年部メイリングリストは、役員の情報交換を中心に活動の重要な手段として2002年度も活発に利用されました。
未来に希望をもつことは青年の権利であり、家庭をもち新しい世代を育んでいく土台を確保することは青年の基本的要求です。2003年度は、学習・交流を軸に、部局や職種を越え、非組合員も含めた青年の仲間作りを進めます。その中で我々青年に今後降りかかるであろう様々な 問題について認識し、青年層を取り巻く環境の悪化を自らの手で防ぎ、よりよい生活をめざします。
[1]昨年7月22日-31日の期間、王城寺原で米軍演習が行なわれ、組合は、これに反対して監視行動に参加しました。発射された砲弾の数は517発、そのうち夜間は72発と過去最高(最悪)となりました。
[2]2002年原水爆禁止世界大会に取り組みました(主会場の広島では8月3日〜6日)。大会では、「20世紀に世界諸国民がきずいてきた国連憲章にもとづく平和の国際秩序と核兵器廃絶を求める大きな流れを発展させるため行動を広げよう」と呼びかけられました。組合は、金研支部から1名を代表として派遣しました。財政面では、各支部からのカンパやりんごの販売などに取り組みました。
[3]原発問題全国交流集会は、9月8日石巻市の農協会館などで行われました。組合からは3人が参加しました。
[4]イラク戦争と有事法制に反対する取り組み
[5]2003年国民平和大行進は、6月22日宮城県内入りしました。組合は仙台市内行進を中心に参加しました。
[6]6月5日-6日の窒素酸化物及び酸性雨の全国一斉測定運動(アースデー)に組合も参加しました。
[7]全日本教職員組合が提起した『教育基本法「改正」の是非を問う全国教職員投票』に宮城県教職員組合協議会と共に東北大も取り組みました。
組合は、加盟団体として全大教の他に地域のローカルセンター「宮城県労働組合総連合」(県労連)に加盟し、また「宮城県国家公務員労働組合共闘会議」(県国公)とも密接な共闘関係をもってきました。50余年の歴史の中では、以下の通り、多くの組合、団体と協力共同して地域や平和・福祉等の要求課題に取り組んできました。なお、2002年度定期大会では、激動する情勢にともない様々な要求課題にもとづく共闘組織が生まれて来ている中で、全大教、県労連、県国公を除く諸団体の分担金については、総額を維持して柔軟に対応することを確認しています。
[1]「宮城県労働組合総連合」(県労連)は、解雇、リストラ、賃金不払い、サービス残業など地域の労働者の切実な問題、中小企業や地元商店街の営業を守る活動等に取り組み、3月には宮城県パート・臨時・派遣労働者連絡会の結成を実現するなど、その果たす役割はいっそう大きくなっています。
組合は、非公務員化された場合に労働委員会制度の活用が重要となることから、地方労働委員会労働者委員の公正任命を求める県労連の取り組みに参加してきました。12月、初の県労連推薦労働者委員、初の女性労働者委員として、本田永久子さんが任命されました。
県労連は、県内の諸団体のとりくみの要として奮闘するとともに、毎年、未加盟組織にも働きかけて宮城県春闘共闘会議を結成し、その取り組みに責任を果たしています。
[2]「2003宮城県春闘共闘会議」(県春闘)は、県労連加盟組合と高等学校や私立学校の組合等で10月に結成し活動を続けてきました。
「働くみんなの要求アンケート」や「最低賃金・標準生計費での生活体験」、「雇用と暮らしを守る労働相談110番」など、生活の実態や実感を大切にした具体的な要求運動や、労働基準法と労働者派遣法の改悪に反対する取り組み、健康保険本人三割負担の凍結、全国一律最低賃金制度の確立など全国的な課題にも取り組んでいます。
賃上げなど共通する要求や課題を練り上げ、自治体や政府出先機関、地元大企業等と交渉し、ストライキを含む統一行動に取り組んできました。春闘の結果は全国的にとして厳しいものですが、その中でも、加重平均で連合が5,204円(1.66%)、国民春闘共闘委員会が5,484円(1.78%)と春闘共闘の賃上げ実績が上回っています。
[3]「宮城県国家公務員労働組合共闘会議」(県国公)は、マイナス勧告の実施や不利益遡及、退職手当の切り下げ、地域に勤務する公務員給与の切り下げなどに反対し、人事院東北事務局との交渉(総務課長交渉)など公務員の切実な課題に取り組んできました。また、公務員が標準生計費での生活体験に取り組み、民間労働者の最低賃金生活体験とあわせ、賃金の最低保障の不十分さを浮き彫りにしました。
県労連の働くルールの確立と民主的公務員制度の確立を求める自治体キャラバンに中心的に取り組み、多くの自治体首長等と対話活動を進めました。
共済組合連合会が、KKRホテル仙台の経営改善努力を評価せず全面委託する方針をとっていることに反対し、労働者の雇用及び健全な労働条件を確保する経営改善策を要求しています。
[4]宮城県教職員組合協議会(宮教協)は、宮城県教職員組合、宮城県高等学校教職員組合、宮城県私立学校教職員組合連合、東北大学職員組合、宮城教育大学職員組合で構成しています。共同して教育研究集会や国立大学の法人化や教育基本法の改悪に反対する運動にとりくんできました。
[5]「宮城革新統一をすすめる会」は、学習会や毎月の「核兵器廃絶を求める市民行進」に取り組んでいます。思想・信条や政治的立場の違いをこえて、3つの共同目標、切実な要求で一致するすべての政党、団体、個人が力をあわせるために一致点での共同を広げています。
[6]「安保条約破棄諸要求貫徹宮城県実行委員会」は、3月に教育・医療・福祉に関わる県民の要求をとりまとめて県知事と交渉しました。また、7月16日から27日にかけて予定されている王城寺原での米海兵隊の実弾砲撃演習に反対して監視行動等を配置しています。
[7]「宮城地域自治研究所」は、地域住民の生活や自然環境、町村の内発的発展や広域合併をめぐる問題などについて研究と実践、行政のあり方の監視を行っています。また、「仙台市民オンブズマン」の事務局の中心として、地方行政への問題提起や住民運動への助言など積極的な役割を果たしています。
[8]「宮城憲法会議」は、憲法の改悪や憲法違反の法律に反対し、憲法を学び、憲法を生かす運動をすすめています。今年も、イラク戦争への支持・協力や、有事法制の成立や改憲への動きのなかで、憲法学校や、他の法律家団体との共催による有事法制・教育基本法反対デモなどに取り組んできました。実行委員会形式で企画している市民の憲法行事は、5月3日の憲法集会(記念講演:加藤周一氏「憲法か有事法制か」)を中心に様々な角度から日本国憲法の意義を浮き彫りにしています。
[9]「宮城県原水爆禁止協議会」は、2002年原水爆禁止世界大会とそれにむかう国民平和大行進に取り組みました。2003年原水爆禁止世界大会は「核兵器の使用、開発を許さず、すべての核兵器の廃絶を戦争と先制攻撃の政策反対、世界平和のルールをまもろう」をテーマに行なわれます。
[10]「日本国民救援会宮城県本部」は、選挙や刑事事件をめぐる不当な逮捕や勾留中の人権侵害、不当な解雇や配転、過労死や職業病といった職場での人権侵害などから労働者や市民を守るために活動しています。
[11]「宮城県未組織労働者対策連絡会」(宮城未組織センター)は、県労連と協力して宮城県内の未組織労働者の組合加入や組合結成を応援しています。
[12]「非核の政府を求める宮城の会」は、核戦争防止、核兵器廃絶、非核三原則厳守などに賛同する個人・団体の共同を広めています。
[13]「宮城県医療労働組合連合会」は、医療産業における最大の産業別組合である日本医労連に加盟しています。設置主体や企業規模の違いをこえて、医療や福祉の職場・関連する事業所ではたらく労働者・労働組合が加入し、「職場にはたらく労働者の生活と権利を守ることと、患者・国民のいのちを守ることを一体のものとしてたたかう」ことを運動の基本路線としています。職場の必要人員の確保や看護制度の一本化、夜勤体制・看護体制の改善を求める活動、患者や地域住民とのアンケートや懇談の活動、医療研究集会やナースウェーブなどに取り組んでいます。
[14]「宮城県社会保障推進協議会」は、「介護保険110番」、医療保険の本人3割負担の凍結を求める取り組みなどに取り組んできました。
2003年6月末現在、組合員数(組合費納入人員)は 名です。今期は、 名加入、 名の退会となっています。退会者のうち24名は定年退職・転出者となっています。今期は、さまざまな機会をとらえて組合加入の訴えを行ってきました。組合員増にはいたりませんでしたが、この数年に例のない多くの新入組合員を迎え、増員まであと数名というところまで迫りました。
組合加入の傾向を見ると、法人化による雇い止めや待遇切り下げの危機感から非常勤職員が組合に加入する例が目立ちました。また、病院のオリエンテーションの際におこなった組合の説明会をきっかけに、ひさびさに新採用の看護師数名が入会しました。その他、教員ビラや任期制問題での全学的な学内便発送活動をきっかけに加入を申し込んできた人もいました。このようにダイレクトメールや説明会による加入に今までにない反応がある一方、組合員や支部が一年を通じて地道に働きかけて加入を増やしてきた図書館や農学研究科のような例もあります。いずれも今後に生かすべき教訓です。まだ加入にはいたらなくても、組合の考えや学内の状況をメールで部局の教職員に積極的に発信するなどの活動もあり、今後に生かすことが大切です。
組合は、2002年4月の第1回組織拡大懇談会や5月の労働協約学習会の内容にもとづいた討議資料を作成し、執行委員会、支部代で討議するとともに、各支部での討議を呼びかけました。9月には、第2回組織拡大懇談会を開催し歴代役員を中心に組合の組織形態や課題について意見交換し、検討内容の取りまとめや教職員への宣伝を担当する組織拡大WG発足を確認しました。組織拡大WGは12月、過半数組合を目指すこととあわせて過半数代表を重視すること、組織原則を維持して教職員に組合の実績や方針の宣伝を図ること、組織原則の見直しについては支部からの積極提案をまった検討することを中心とした報告書をまとめ ました。執行委員会、支部代表者会議で当面この方向で取り組むことを確認しました。
支部代表者会議は、月はじめの第1水曜日を定例として計12回開催しました。少人数の支部や遠距離の支部の中には会議に出席できないところもあり、支部間の情報交換、討論は十分とはいえませんでした。
「職員組合ニュース」は2号までと号外を1号発行しました。「職員組合新聞コア」は年4回発行されており、好評を得ています。
教員ビラ「『国立大学法人東北大学』で研究・教育はどうなる!?」を、各支部の協力で全教員に学内便で配布しました。また、国立大学の法人化問題を扱ったそれぞれの職層を対象にした「かわら版」を各支部の協力で教職員へ配布しました。そのほか、パート職員への呼びかけ、非常勤職員への呼びかけ、医学系研究科・医学部附属病院の全教官職任期制導入問題での全学教官への呼びかけ等の宣伝物を送りました。
またこれらを補強する広報活動として、組合ホームページに加入コーナーを作成しました。この加入コーナーは組合の組織や目的、組合費等の簡明な説明、方針や歴史の紹介、加入申込書などを加えて、組合の説明に最小限必要なものをまとめており、これを活用した組合加入も生れています。このように、今年度は組合の取り組みがよくわかるようなホームページの更新にも取り組み、また、メイリングリスト「aoba」の活用も引き続きすすめました。