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要請書
評議会は「遡及適用つき全教官職任期制」を承認しないで下さい

東北大学職員組合は2月13日、総長、部局長、評議員等に要請書「評議会は「遡及適用つき全教官職任期制」を承認しないで下さい」を送付しました。同文を医学系研究科、医学部附属病院の教官にも送付しました。


2003年2月13日

要請書
評議会は「遡及適用つき全教官職任期制」を承認しないで下さい

東北大学職員組合
執行委員長 高橋  満

 日ごろより、本学の研究・教育体制の充実のために奮闘されていることに心より敬意を表します。

 さて、2月5日に、医学系研究科教授会は、医学系研究科・医学部付属病院の教官職を対象とした任期制導入に関する決定を行いました。これを受けて、2月18日の評議会に「東北大学教員の任期に関する規程」の一部改正が提案されると聞いています。私たちは、医学系研究科に教授会決定内容の開示を求めましたが、2月13日時点では拒否されていますので、独自に入手した情報に基づいて以下の見解表明と要請を行います。

 医学系研究科教授会が導入を議決した任期制は、私たちが1月30日付の文書(資料1)で批判した「12・11提案」と類似の、「現職教官を含む遡及適用つき全教官職任期制」です。すなわち、現職教官を含む全教官職任期制であり、任期をさかのぼった適用によって多くの教官を2003年度末もしくは2004年度末で任期切れとし、2004年度中に再任審査を行おうというものです。

 この任期制には以下のような重大な問題があります(論点1、2、4に関しては、詳細を資料1で説明しています)。

  1. 任期をさかのぼった任用は本来違法であり、不可能なはずです。仮に医学系研究科の内規や「東北大学教員の任期に関する規程」(以下「任期規程」)の付則で「最初の任期は2005年3月31日まで」などとしても、再任のための業績審査を過去にさかのぼって行うならば、実質的に任期をさかのぼった運用であり、法的に疑義があります。
  2. 全教官職に無差別に任期制を適用することは、研究・教育体制を歪めるもので、「大学の教員等の任期に関する法律」(以下「任期」法)の趣旨にも反しています。教官の任期は「任期」法第四条第1項(資料2)が定めた三つの条件にあてはまる場合にのみ、つけられるものです。
  3. 任期つきポストへの任用には当人の同意が個々に必要です(「任期」法第四条第2項)。しかし、医学系研究科は研究科の方針としてすべての職を任期制にすることをめざしており、その日程も、3月上旬までに同意書を集めるというきわめて性急なものです。事実上、「任期」法に違反して、現職教官に配置換えが強制されるおそれがあります。
  4. 2003年度末もしくは2004年度末で任期切れの教官を多数つくりだすことは、実質的には、政府が予定している国立大学法人化の前後に教官をふるいわけしようとするものです。これは任期制の趣旨を逸脱した乱用であり、また法人化後の東北大学のあり方を検討してきた学内論議の裏をかく不誠実なやり方です。教官職のあり方については、法人化後の制度設計問題として正面から議論すべきです。

 このように、「遡及適用つき全教官職任期制」は、法的にいくつもの疑義があり、任期制を乱用するものであり、大学運営上も不誠実な制度です。評議会がこのような制度の実施を承認するのか、歯止めをかけて再考を促すのか、その責任は重大です。

 私たちは、以下のことを要請し、評議会の賢明な判断を求めます。

同封資料

  1. 「全教官職への任期制の導入,しかも任期をさかのぼった適用がなされようとしています」2003年1月30日、東北大学職員組合。
  2. 大学の教員等の任期に関する法律。(文部科学省ウェブサイト)
  3. 大学の教員等の任期に関する法律案採択に際しての衆議院・参議院の付帯決議。(全大教ウェブサイト)

参考.「任期制の導入問題に関する緊急要望書」2002年12月24日、全国大学高専教職員組合。(全大教ウェブサイト)


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