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冬のボーナスや給与について

9日にボーナスの明細が配られました.「公務員のボーナスは大幅アップ」などと報道されていますが,実感ありますか?実は何のことはない,夏冬の配分が変わっただけなんです.ボーナスの中身について簡単にご説明します.また,今後私たちの給与がどう変わっていきそうか,状況と組合の取り組みをご紹介します.

この冬のボーナス

 今年度から法人化のために,ボーナスは東北大学が独自に決定することになりました.しかし,さしあたり国家公務員時代の給与体系をそのまま就業規則としたので,昨年度の人事院勧告・給与法改正の結果がそのまま今年度のボーナスに横滑りしています.

この3年間のボーナスの推移は下表のとおりです.

年度 6月 12月 3月
  期末手当 勤勉手当 期末手当 勤勉手当    
2002年度 1.45 0.6 2.05 1.85 0.55 2.4 0.2 4.65
2003年度 1.55 0.7 2.25 1.45 0.7 2.15 廃止 4.4
2004年度 1.4 0.7 2.1 1.6 0.7 2.3 廃止 4.4

※参照:学内アクセスのみ
 国立大学法人東北大学職員給与規程第35条,第36条
http://www.bureau.tohoku.ac.jp/jinji/kitei/01-02.pdf
 国立大学法人東北大学期末手当,
勤勉手当及び期末特別手当支給細則第3条,第14条
http://www.bureau.tohoku.ac.jp/jinji/kitei/01-02-17.pdf

期末手当={(本給)+(扶養手当)+(調整手当)+(役職加算)+(管理職加算)}×(基準日別支給割合)×(在職期間別の割合)
勤勉手当={(本給)+(調整手当)+(役職加算)+(管理職加算)}×(期間率)×(成績率)

 各数値は,何ヶ月分支給されるかを表します.倍率の基礎には本給調整や一部手当が含まれるので,本給表のとおりではなく,少し複雑な計算が必要です.また,勤勉手当は「優秀者」だと0.8-0.95未満になるなど,査定により変動します(上記「期末勤勉手当等細則」第14条参照).

下がり続けてきた給与

 このほか,昨年度は,社会保険料の総報酬制が導入されたために手取りが大きく減少しました.また,今年度は非公務員化に伴って雇用保険に加入したために,その保険料が新たに差し引かれるようになりました.
 (社会保険料の総報酬制とは,従来月給と賞与とでは保険料の徴収割合が異なっていたのを,同一にしたことをいいます.0.3%だったボーナスからの保険料徴収が,月給と同じ4.1%に引き上げられましたので,手取りは激減しました.)
 (雇用保険は失業保険をもらうための掛け金と考えてよいでしょう.公務員でなくなり身分保障がなくなったことを反映しています.くわしくは宮城労働局のページ内の雇用保険の解説を参照下さい.)

 2002年度,2003年度と,私たちの月給・ボーナスは2年連続で引き下げられました(2003年人事院勧告にあたって:全大教委員長の声明).2004年度は,寒冷地手当の廃止・減額が決定されました(寒冷地手当の取扱いの変更概要(学内アクセスのみ)).仙台市内の事業場の場合,暫定措置でまだ影響は出ていないとはいえ数年後にはゼロになります.川渡,浅虫などの事業場では,寒冷地手当自体はなくならないものの,額が大幅に引き下げられ,今年度から減額が始まっています.それぞれのライフ・プランに与えた影響は小さくありません.では,今後はどうなるでしょう.

さらに5%の賃下げ?!

人事院による地域別官民較差(2004年人勧資料より)
地域 官民給与の較差
北海道・東北 △4.77%
関東甲信越 2.00%
  東京都 3.72%
中部 △1.86%
近畿 △0.17%
中国・四国 △2.23%
九州・沖縄 △2.60%

 人事院は国家公務員の給与の地域間格差を拡大することを提案しています(現在も,調整手当というかたちで都市部の給与は高くなっています).その根拠として,官民較差が地域によって異なることをあげ,東北・北海道では民間より4.77%高いとしています.つまり,国家公務員の俸給を,東北・北海道では4.77%下げるべきだというのです.そこで,俸給を全体として引き下げた上で,それぞれの地域での官民較差に対応した手当を支給するという案が検討されています.(人事院勧告から「地域に勤務する公務員の給与に関する研究会」をクリックすると,委員名簿,検討の経過,基本報告などがPDFファイルで入手できます.)
 俸給引き下げがどの程度のものか,現在の調整手当てに代わるあらたな地域手当てが仙台市に付くのかなどは,現時点では不明です.しかし,少なくとも東北・北海道地方においては,実質賃下げになることは必至です.

 これは国家公務員の話であり,私たちには適用はされません.しかし,寒冷地手当の時の対応からすると,総長・役員会は,そのまま自主性なく本法人にもとりいれようとするかもしれません.(就業規則の変更に当たって 財務・人事担当 北村理事による説明(学内アクセスのみ))

 この他,共済年金掛金率の引き上げと雇用保険本人負担分の引き上げが予定されており,定率減税の廃止が検討されていましたが(政府税制調査会平成17年度の税制改正に関する答申),与党内で合意されたようです.家族構成によっては配偶者特別控除の縮小・廃止の影響などが出てきます(平成15年度税制改正のページから「個人所得課税」をクリック).手取りが増える展望がなかなか持ちにくい情勢です.

組合は給与の問題に取り組んでいます

 組合では給与問題について,実態研究と政策研究をすすめようとしています.まだ十分詰めていませんが,実質的賃下げによって給与の地域間較差を拡大することに反対し,対抗政策を立案することになるでしょう.同一価値労働同一賃金というのは広く認められた考え方ですし,東北大学の競争力を増すためにもよい待遇によってよい人材を確保していくことが必要であるという主張には説得力があります.あるいは民間と公務員の給与が互いを見合って下がっていくことで,さらに地域格差を広げてしまうのではないかという懸念もあります.幸い労働協約を締結したので,法人と交渉する権利は完全に確保されています.

 寒冷地手当についてのとりくみの報告も兼ねて,教職員の皆さんに手紙を差し上げています.この問題にも触れていますので,どうぞご覧下さい.ほぼ同じ内容はwebでもご覧頂けます.
 国立大学法人東北大学職員組合は 寒冷地手当の削減・廃止に反対してこのように行動しました

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