昨年7月9日、幾多の問題を指摘されつつ国立大学法人法が国会を通過しました。これによって国立大学は、2004年4月1日までに管理運営制度、人事制度を一挙に転換させるという困難な作業に取り組まざるを得なくなりました。同時に職員組合には、法人化の問題点を最小限度にとどめ、教職員の身分や労働条件を確保するという重い課題が課せられることとなりました。
職員組合は7月18日に「国立大学法人東北大学のあり方に関する職員組合の基本要求」を発表、それを皮切りとして、法人化後の大学運営や労働条件について数多くの政策的提言を行いました。また、全教職員を対象としてこれまでになく大規模な宣伝・学習会活動を行い、組合の影響力を浸透させるために努力しました。
このように政策面で学内の議論をリードする一方で、職員組合は年明け以降、総長・副総長をはじめとする大学側と頻繁に交渉を行いました。3月後半期には、労働者過半数代表とも連携して、よりよい就業規則や労使協定作りに取り組みました。その結果、日々・時間雇用職員の雇用継承、昼休みの1時間確保など、労働条件の切り下げに歯止めをかけた形で法人化を迎えることができました。職員組合としての責任を果たしたと評価してさしつかえないものと考えます。
一方、4月1日の国立大学法人化と同時に、職員組合も労働組合法上の労働組合となり、労働三権(団結権・団体交渉権・争議権)を回復しました。これにより組合の権限は格段に強化されることになりました。労働条件が大学と教職員との交渉で決まっていくという新しい制度のなかで、職員組合の果たすべき役割はますます大きくなっています。本大会を組合員増の状態で迎えられたことは、その期待のあらわれといえましょう。
本大会では、このような歴史的転換点に際会した2003年度における職員組合の活動を点検して、その到達点をあきらかにするとともに、2004年度の活動方針を確立しました。
法人化にともなう制度改変は、いまだその全貌をあらわしてはいません。研究・教育に必要な運営費交付金の保障をはじめとして、新たな問題が次々と生じています。その一方で、准職員や時間雇用職員の処遇改善の問題、サービス残業問題など、国立大学時代から積み残された課題も未解決のままです。まさに問題が山積しているといえます。私たち職員組合は、こうした諸課題に対して、確固とした政策をもち、労働三権を駆使して、その解決につとめます。また、全大教をはじめとする全国の労働組合・諸団体と協同し、健全で充実した大学政策・労働政策の実現をもとめて政府・文部科学省および社会へのはたらきかけを強めます。
職員組合が再三指摘してきたように、法人化された大学には、効率化の名の下に研究・教育および労働条件が切り下げられていく危険、自治・自立性が奪われていく危険が常にはらまれています。それらを阻み、自由で働きやすい大学を作っていくためには格別な努力と運動が必要です。私たち職員組合はその一翼を担っていくことを宣言します。全学の教職員の皆さんも、職員組合に加入し、ともに希望のもてる大学=職場を作っていきましょう。
2004年7月23日
国立大学法人東北大学職員組合2004年度定期大会