小泉内閣の発足以来、東北大学職員組合は政権が標榜する「改革」について、国民の願いや要求に反するものとして批判的な検討を加えてきました。最近においても、情報を隠蔽しつつ最後には採決を強行した年金法の「改正」や、アメリカに追随した自衛隊の海外派兵、多国籍軍への参加表明に見られるように、その本質はいささかも変わっていません。小泉内閣は、議会と国民を無視しながら国民に負担を押しつける一方、憲法の理念を空洞化させて平和を脅かすなど、かつてないほど危険な政権であるといえます。
昨年7月9日に国立大学法人法が強行採決の結果成立し、2004年4月1日をもって東北大学は国立大学から国立大学法人に移行しました。同時に東北大学職員組合も、職員団体から労働組合法上の労働組合となりました。私たちは、その過程で新しい職員組合のあるべき運動の方向を示すことができました。
第一に、正確ですばやい情報収集に基づき、「法人化に関する組合の基本要求」,「法人化にあたっての重点要求」などの諸政策、および「東北大学就業規則(組合案)」をタイムリーに提示しました。そして、これらをもとに、大学当局が示した就業規則案等を批判的に分析するとともに、運動の方向を的確に示すことができました。
第二に、これら基本要求等をもとに、粘り強く総長・副総長交渉を重ねてきました。とくに常勤・非常勤の差別なく雇用承継を確認し、日々雇用職員に対する差別的雇用形態の一部を改めることができたこと、就業規則の改善に貢献できたことは大きな成果といえます。
第三に、労働者過半数代表制の運用に関しては、組合員ではない過半数代表者の方々とも情報交換を行い、組合編の「労使協定のモデルとチェックポイント」などを通して過半数代表者の議論と活動をサポートしてきました。私たちの目標は、過半数組合を作ることに置かねばなりません。しかし現実には当面、労働者過半数代表制が機能します。そのあり方について一定の方向性を見出せたことは、大きな収穫でした。
今後、国立大学法人のもとでは、賃金を含めて労働条件の多くが大学当局と私たち組合との団体交渉に委ねられることになります。しかし運営費交付金や大学をめぐる状況からすれば、従来の労働条件の水準を切り下げる方向で諸制度の見直しが提案されるおそれが十分にあります。したがって、法人化のもとで私たちの労働条件を維持・向上させるにあたって、職員組合の役割は大きくかつ誰にでもわかりやすいものとなります。労働三権を回復し、名実ともに労働組合となったことを大いに活用しなければなりません。
今後は、組合としての主体的力量を高めることが決定的に重要な課題となります。まず、情報と政策能力をいかに蓄積するのかが問われます。また、強い交渉力をもつために組合員拡大の必要性が高まることはいうまでもないでしょう。拡大のために財政的な措置をとることも大切ですが、何よりも組合の活動が眼に見える形で展開され、それが教職員にとって魅力ある内容であることが求められます。
今期、法律事務所と顧問契約を結びました。これからは、組合が弁護士から労働問題に関する専門的知識の提供を受けることができます。組合員が比較的安く法律相談を受けることも可能となります。組合と組合員にとって大きな力となるでしょう。全大教や県労連を通して、他大学、民間企業、私学の労働組合などと交流することもこれまで以上に大切となります。
とはいえ、それだけでは十分ではありません。なによりも重要なのは、組合員の活動への主体的な参加であり、連帯の力です。生活と権利は、自らの足で立ち、手を携えてこそ守れるのです。支部・本部執行委員の奮闘だけで組合活動が支えられないことも言うまでもありません。法人化にともない教育・研究、職務の多忙化が進んでいます。このような時だからこそ一人ひとりの組合員が、できることから活動に参加して、組合を支え合おうではありませんか。
ページのトップに戻る2003年7月9日、国立大学法人法が成立しました。衆参両院での審議を通じて、中期目標・中期計画を通じた政府の統制強化、不透明な評価制度、学長・役員会のトップダウン体制、正当な根拠なき教職員の非公務員化といった国立大学法人制度の本質的な問題点が次々と浮きぼりになりました。また運営費交付金の算定基準や会計基準は不透明なままであり、法人移行に必要な措置についてさえ政府は十分に検討していないといった、ずさんな状態も明らかになりました。このような問題点について審議を尽くすことなく採決を強行した政府与党の責任は重大です。
「その後、移行準備作業の中で法人化の問題はいっそう具体的に明らかになりました。その最たるものが運営費交付金の算定基準問題でした。文科省は2003年夏の時点では国立大学法人の運営費交付金のうち、人件費分を義務的経費として予算請求を行ってきましたが、これを裁量的経費に変更するという方針を11月に打ち出しました。裁量的経費となることの意味は、国立大学協会(国大協)や全国大学高専教職員組合(全大教)が危惧したように、国家公務員時代と類似の人件費保障がなくなり、さらに政府財政の現状においてはマイナスシーリングや効率化係数がかかることを意味しました。衆参両院附帯決議の効力や国大協・全大教の運動もあって、2004年度予算は全体としてはマイナスシーリングをかけられることなく措置されましたが、今後はかけられるおそれがあり、また導入された効率化係数、経営改善係数が大学経営を圧迫するおそれがあります。
法人法の成立によって、国立大学は、教授会�評議会自治を中心とする管理運営制度、国家公務員法制のもとにある人事制度を、2004年4月1日までに改編するという困難な移行作業に取り組まざるを得なくなりました。それは、この移行作業を法人法の問題点をより増幅するような形で行うか、問題点を最小限にとどめ、労働基準法の適用や労働三権の回復といった積極的な面を活かす形で行うかが、短期間で集中的に問われることを意味していました。
東北大学の法人化準備作業は、2003年末までは異様に停滞し、その後は拙速に進むというものでした。少なからぬ国立大学では、法人法成立直後から就業規則、管理運営制度の骨子を発表して学内討議にかけていました。ところが東北大学法人化推進本部の作業は遅々として進まず、「法人化後の大学運営及び移行に関する基本的考え方について」が発表されたのが11月18日、人事制度案が発表されたのが1月22日、就業規則案がホームページに掲載されたのは2月17日、全学説明会が2月20日から3月2日(キャンパス毎の開催)という有様で、法人化後の経営能力を疑わせるような遅さでした。そのため、法人化寸前に多くのことが十分な学内討議なく決定されました。労基法に基づいて選出された労働者過半数代表者と総長・副総長との労使懇談は、当初実質1回しか予定されておらず、過半数代表者14名の申し入れによってようやく1回追加されました。
また、法人化準備作業においては、法人化推進本部の決定がそのまま最終案となる形が取られ、評議会には報告事項としてのみかけるという形が取られました。これは法人化前に法人法のもとでの体制を先取りしたものであり、不適切でした。また、仮に法人法のもとでの労使関係を先取りするならば、衆参両院の附帯決議に従って職員団体との交渉を重視すべきでしたが、当局は組合との関係を会見と懇談という形に制限したので、これも十分とは言えませんでした。
しかし、会見と懇談という範囲で言えば、11月後半以後、組合との頻繁な意見交換に応じるようになったことは、それなりに評価できるものでした。
1)法人への移行に向けた基本政策の確立
職員組合は、法人法成立の2日後に声明「東北大学にはたらく教職員の皆さんへ -国立大学法人法の成立にあたって-」を発表するとともに、2003年度定期大会決定をベースに、法人移行政策の策定に取り組みました。当時は当局の就業規則案がすぐに出されると予想していたので、それより先に出すことを目的として作業を急ぎました。そして法人法成立のわずか9日後である7月18日、「法人職員としての雇用、研究・教育重視の大学運営、現行水準以上の労働条件を確保するために -国立大学法人東北大学のあり方に関する職員組合の基本要求-」(以下「基本要求」)を発表し、8月までに全教職員に送付しました。「基本要求」は、雇用維持、移行準備作業の物的保障、管理運営制度、労働条件、労使関係の5つの領域にわたって包括的に組合の政策を述べたものであり、その後の運動の政策的基礎となりました。複雑な問題が次々と生じても組合の方針がぶれることなく適切に対処できたのは、「基本要求」が確立していたからでした。
11月4日には、現在と法人化後の労働条件の違いを項目毎にわかりやすく示す、「法人化されると労働条件はこう変わる!」(以下「労働条件マニュアル」)を全学配布しました。
これらの活動は教文部を中心にしていましたが、その一方で法人化対策特別委員会は就業規則の調査研究に集中的に取り組んでいました。そして当局の就業規則案に先行して、11月27日に「国立大学法人東北大学就業規則(案)」を発表し、さらにこれをわかりやすく解説するために、教文部と共同で12月5日に「就業規則組合案のポイントについて」を発表しました。
以上のように、大学当局の準備作業が停滞し、教職員に情報が伝わらない中で、組合は徹底した政策活動を行いました。法人化によって何が変化するのか、何が問題なのか、教職員と組合は過半数代表制をどう使えばよいのか、教職員の運動で変えられる余地はどこにあるのかを明確に示したのです。また、重要な問題のほとんどについて、反対するだけでなく積極的に国立大学法人東北大学のあるべき姿を示す、提案型の運動スタイルを確立できました。この活動は全大教から全国に紹介され、「基本要求」・「労働条件マニュアル」・「就業規則組合案」は多くの組合で参考資料として活用されました。
2)希望者全員の雇用承継をめざして ―日々雇用・時間雇用職員の承継をめぐる取り組み-
法人法の重大な問題の一つは、定員外の日々雇用・時間雇用職員の承継を定めていないことでした。組合は、日々雇用職員の承継と正職員化、脱法的雇用形態の改善、時間雇用職員の承継と待遇改善を求めて当局にはたらきかけました(詳細は定員外部会の章参照)。
特に1980年7月以前採用の、長期にわたってはたらいているフルタイムの日々雇用職員については、歴史的な課題である正職員化(国家公務員時代の定員化に相当)を前面に掲げるとともに、それが実現しない場合の次善策も定員外職員部会とともに練り上げて交渉に臨み、確実な前進を図りました。定員外部会が作成した「法人化に際しての日々雇用職員の承継を求める要望書」にはこのような努力が反映されています。
11月27日の副総長懇談、1月29日の吉本高志総長との交渉では、日々・時間雇用職員の雇用承継問題を冒頭で取り上げ、不退転の決意であることを強調しました。その結果、1980年7月以前採用の日々雇用職員について、従来通りの継続雇用が可能となりました。雇用形態は1年契約・更新限度なしとなり、差別的雇用の一つであった任用中断日が廃止されて2005年からの夏の一時金改善が実現しました。正職員化ができなかったのは残念ですが、雇い止めや時間雇用職員化という事態を回避し、実質的な待遇改善を実現できたことは歴史的な成果でした。
一方、時間雇用職員については、総長交渉の場で1年契約・継続限度3年という、業務の実態を無視した案が当局から提示されました。組合は、家計を支える長期勤続の時間雇用職員がいることを強調して修正を求め、後日、すでに雇用されている時間雇用職員には更新限度がつかないという修正方針が出されました。新規採用者については更新限度がつくことになってしまいましたが、重大な問題を含む当局原案を修正させたことは、雇用防衛の点から大きな意味がありました。
3)労働条件維持・改善をめざして ―就業規則・労使協定をめぐる取り組み―
労働条件の維持・改善を実現するには、これを就業規則に盛り込むことが必要でした。組合は、現行労働条件が優れているか容認しうるものである部分は、法的保障がなくなる部分も含めて就業規則でこれを維持すること、労基法の規定と理念に基づいて改善すべきものは改善することを基本的な考えとし、「基本要求」をベースとして政策を展開しました。
ここで問題だったのは、年に1回の総長交渉では当局と十分な話し合いが持てないということでした。組合は、正規の交渉が望ましいものの、多くの論点を含む就業規則について話し合い、改善するには柔軟な戦術が必要と考えて、副総長側から申し入れのあった11月27日の懇談に応じ、またその場で総務部人事課との懇談をこちらから申し入れました。当局はこれを受け入れ、以後、人事課と組合との定期的な懇談が行えるようになりました。人事課も組合文書を真剣に検討し、情報を出すようになりました。人事課が100ページ以上の就業規則たたき台を提示し、これに対して教文部が50ページ以上の「就業規則案についてのコメント・質問・提案集」を送付し、討論を重ねるという光景が繰り広げられました。組合は、総長交渉でも人事課との懇談でも、協力してよい制度ができるところは協力し、批判すべきことは批判する、批判の際は対案を、すぐ使える形で文章化して持っていくという姿勢で臨みました。1月22日の人事制度案発表を受けて、26日には「労働条件マニュアル第2版」を発表し、当局案への評価と組合の対案が項目毎に一目でわかるようにしました。
1月29日の総長交渉では、昨年度と異なり文書による回答を得て、労働条件、給与制度、退職手当、特別休暇、育児休業・介護休業などについて、基本的に現行制度を踏襲する方針を確認できました。その一方で、多くの問題点も明らかになりました。また、総長交渉後に突如として大学構内での選挙活動・政治的活動・宗教活動を禁止する条項が就業規則案に追加されるという不誠実な対応もありました。
総長交渉、人事課懇談、全学説明会、さらに3月15日の北村副総長懇談などを積み重ねることで、就業規則においていくつかの改善が実現しました。例えば、パート職員の休暇に関する規程の改善、シフト勤務の交代周期とスケジュール表作成手続の明示、裁量労働制に関する説明の具体化などです。
2月上旬からは、組合の懇談・交渉ルートを活用するだけではなく、過半数代表制を民主的に運用し、その中で組合員が教職員の要求を取り上げて運動するスタイルを重視しました。過半数代表制に関する提案はすでに11月10日に行っていましたが、1月29日に総長交渉の場で改めておこない、当局案に少なからず反映させました。そして、事業場毎に組合から制度設計に関する申し入れを行い、一部事業場では労使が協力して制度設計を行う方式を実現しました。選挙はおおむね民主的に行われ、過半数代表者やこれをサポートする職場委員等(名称は事業場毎に異なる)には、多くの組合員が選出されました。組合と組合員への信頼が広がっていたことの証でした。
組合は、過半数代表の活動をサポートするために、3月10日に「過半数代表者に関するQ&A」、「法人化にあたっての重点要求」を発表し、過半数代表者の活動の指針として提供しました。そして組合員は、事業場で教職員アンケートなどの要求集約に取り組み、全学労使懇談会で積極的に発言しました。全学労使懇談会での不十分な質疑に抗議して、臨時懇談会を実現する上でも重要な役割を果たしました。この結果、法人化寸前になって、年休の運用の改善と、昼休みの実質1時間化という改善を実現することができました。また、不払い残業があってはならないことを北村副総長に明言させることができました。
また、3月16日に「労使協定のモデルとチェックポイント ―時間外労働・休日労働と裁量労働制を中心に―」を発表しました。労使協定モデルは、過大な時間外労働を何の制約もなく命じることができるといった当局の労使協定の問題点を批判し、すぐに使える対案を提示したものでした。これは、実際にいくつかの事業場の労使協定に活用されました。
法人化後も、4月28日に北村副総長と懇談し、政治活動禁止条項の乱用に歯止めをかける運用ルールや、時間外労働を削減するアクション・プランの制定について、組合から提案を行っています。
「基本要求」、「重点要求」の観点から見ると、制定された就業規則は、なお多くの問題を残しています。しかし、組合員と広範な教職員の運動によって改善できた点も少なくありません。「自分たちで行動すれば制度は変えられる」という認識が、学内に急速に広まっています。このことは、法人化後の要求実現運動に大きな展望を与えてくれます。
4)研究・教育の自主性を活かす大学運営を -管理運営制度をめぐる取り組み-
管理運営制度については、「基本要求」発表以後、取り組みが遅れがちになっていましたが、12月25日に「『法人化後の大学運営及び移行に関する基本的考え方について』に対する意見表明」を、1月7日には「部局の運営に関する『法人化推進本部第一部会報告(案)』に対する意見表明」を発表しました。組合は、法人法によって管理運営の枠組みが変化せざるを得ないことを踏まえながら、各機関の公正で透明な運営、強大な学長権限に対するチェック体制の整備、研究・教育に関する部分の教育研究評議会・教授会権限の確保の観点から政策提言を行いました。そして、教育公務員特例法に定められていた評議会・教授会権限や教員の身分保障に関してある程度引き継がせることができました。また、各部局教授会や評議会での活発な議論もあって、総長選考会議には現職理事を加えるべきではないことが評議会からの申し送り事項になりました。
しかし、教育研究評議会の権限を、法人法が想定しているよりも後退させようという動きが全体として顕著でした。これは制度面でもそうであり、さらに法人化後の運営はいっそうその方向に進んでいます。来年度の予算配分の決定方法、教授会と部局運営会議の関係、総長選挙の方法など懸念される点は数多くあります。公正で透明な運営を確保するためには、組合のいっそうの努力が必要です。
5)政策活動を支えた学習・調査
法人化をめぐる今期の政策活動は、学習・調査活動を昨年度以上に活発に行うことによって、初めて成り立つものでした。その理由は、まず、法人化によって公務員労働関係から一般的な労働関係に移行するために、従来の運動の中では未知の問題が多く、しかも広範な分野にわたっていたからです。その上、批判と抵抗に加えて提案型の運動を行うこと、それも全体として不合理の多い法人化という枠組みの中で可能な措置を見出すこと、さらに4月までに実現可能な重点を定めること、譲れない一線と妥協してでも前進すべき点を見極めることなど、実践的かつ具体的要請に応えた政策を構築する必要がありました。
組合では、日々直面する問題については教文部を中心に、就業規則の案文づくりについては法人化対策特別委員会を中心にという分業を行いながら、学習・調査に取り組みました。なんといっても、国公法を中心とする公務員労働法と労基法を中心とする一般労働法を執行委員や特別委員が学習することが基本でした。例えば「就業規則組合案」は、法人化対策特別委員会の長期にわたるねばり強い学習・調査活動なしには、決してできなかったものです。
しかし、自学自習と内部の会議だけでは不十分であり、全国的な運動の経験に即したり、専門家と直接対話できるような学習も必要でした。これは、全大教労働問題検討会第2次報告(9月)の活用、全大教教職員研究集会での学習と交流(11月)、全大教関東甲信越地区学習会への参加(9月、11月、2月)、全大教東北地区法人化対策会議(6回開催)での学習を通して行われました。宮城県国家公務員労働組合共闘会議(県国公)から入手した先行独立行政法人の資料も役に立ちました。さらに、労働基準監督官、弁護士、労働法研究者との懇談を積み重ねました。今後も専門的な助言を得るために7月1日付けで一番町法律事務所と顧問契約を結びました。
複雑な法人化問題をわかりやすく伝えて支部活動を活性化し、部局・キャンパス毎に広範な議論を巻き起こすために、学習会活動も強化しました。まず11月に法人化の基本問題を学ぶ活動を行い、2月には当局案と組合案をつきあわせて検討する活動を行いました。2サイクルの合計で17回の学習会が各支部で開催されました。これによって、組合員の法人化に対する問題意識は高まり、過半数代表者選出運動での立ち上がりにつながりました。未加入教職員との対話も従来の枠を超えて広がりました。
これらの調査・学習活動は組合が連続的に繰り出す政策文書に反映され、教職員に組合の当事者能力への信頼を広げる力となりました。また大学当局との懇談・交渉において、法制や政策の細かな議論に至るまで批判と対抗提案を続けることができました。
ただし、政策づくりや学習会講師の負担が一部の役員や特別委員にかかりがちであったことは否定できません。本部役員・支部役員を初めとして、多くの組合員が学習・調査活動に日常的に取り組まなければ、政策活動をさらに発展させることは難しいでしょう。
今期、医学系研究科で発覚した「名義貸し」・「金銭提供」問題は、大学運営、医学の研究・教育体制、地域医療、など様々な角度から問題をはらむものでした。組合は、主として大学運営の公正さと透明性、リーダーの説明責任という観点から取り組みました。
まず10月11日に「東北大学医学部における『名義貸し』及び『金銭提供問題』について(声明)」を発表し、2つの問題によって問われているのは、不正を慣行として許してきた大学の管理、医学部の管理と組織のあり方、さらには東北大学医学部と地域の医療体制との関わり、そして社会への説明責任と自治・自浄能力であると指摘しました。そして、十分な権限と独立性・透明性をもった機関による調査を行うこと、公立病院からの金銭提供に深く関わってきた吉本総長が自らの責任を明らかにすること、関係者の開かれた議論を行うこと呼びかけました。また12月19日には「医学系研究科・附属病院における『金銭提供問題』および『名義貸し』問題の現状について(声明)」を出して、「金銭提供問題」に関する医学系研究科の内部調査の不十分性を指摘し、全学的調査委員会の設置を求めました。また「名義貸し問題」について、院生のみを処分して教員の責任をあいまいにすることに反対しました。年が明けてからは、評議会においても「金銭提供問題」が繰り返し取り上げられたことに対応して、1月19日に「緊急要請 評議会に『金銭提供問題』問題の全容解明を求める」を発表しました。さらに、組合自らも寄付金のルート別分析につとめ、その結果を2月2日に「医学系研究科・病院における会議費問題と金銭提供問題について」で発表しました。
これらの取り組みは新聞等のマスコミで大きく報道され、東北大学に適切な説明を求める学内外の世論を喚起することに貢献しました。「名義貸し」問題について3月16日に公表された処分では、院生だけでなく、吉本総長や玉井研究科長も訓告となり、組合の意見がある程度反映されたものとなりました。「金銭提供」問題についても、評議会内に医学部問題小委員会が設置されました。
しかし同委員会がまとめた最終報告書は、不透明性が問題となった医局による寄付金の受け取り支出について問題なしとする、不十分なものでした。また寄付金と医師派遣の関連性についても、納得のいく説明を与えるものではありませんでした。
吉本総長は、寄付金受け取りが収賄にあたるという刑事告発を受けたままであり(2004年7月5日現在)、「金銭提供」問題は終わっていません。また、大学運営におけるリーダーの説明責任とこれに対するチェック体制、医学系研究科・附属病院の組織の透明性、地域医療と東北大学の関わりについては、多くの問題が残されています。組合は、今後もこの問題を注視していかねばなりません。
2004年度以後の労働条件改善運動を進める上では、法人化によって生まれた新しい条件を踏まえる必要があります。
第一に、非公務員化によって労働三権が完全に回復したため、法人制度の下での労働条件改善運動は、労働法的には民間企業や私立大学と同じ条件になります。したがって、賃金・労働条件について、組合は毎年法人と団体交渉することができるし、しなければなりません。従来に比べると、交渉体制の飛躍が求められます。
第二に、国立大学が中期目標・中期計画と運営費交付金を通して政府の統制下にあるため、対政府運動によってしか解決しない問題もあります。しかも、労働条件に関わる重大な点について不明確さが残っていることに注意する必要があります。例えば運営費交付金における人件費は制度的には人事院勧告と連動しないことになっていますが、それではどのような方法で査定するのか明らかではありません。こうした点を明確にしながら、適切な対法人・対政府の政策と運動を構築する必要があります。
第三に、法人側から見ると法人化の際に積み残しになっており、中期目標・中期計画にも記されている課題については、早期に争点になると予想されるので取り組みを強める必要があります。具体的には、能力・業績に対する評価を反映した給与制度の改編です。教員については大学院手当(本給調整)を見直し、教育負担・教育活動を評価する給与体系にするとのことです。2004年度はこれらに関する基本方針の策定が予定されており、対策を早急に策定する必要があります。
第四に、組合側から見て積み残しになっている課題を積極的に提起する必要があります。教員の身分保障は後退したままです。男女の昇進・昇格格差は改善されていません。準職員の地位は改善されたとはいえ、均等処遇にも均衡処遇にもほど遠いものです。政治活動禁止条項の運用ルールも決まっていません。こうした課題を組合側から積極的に取り上げていきます。
以上の点を踏まえ、以下の方針で2004年度の運動を進めます。
給与改定や労働条件の変更は、中期目標・中期計画や年度のサイクルの中でどう位置づけられるかが不明確です。これらについて、法人側との交渉によって明らかにし、いつ頃、何をすべきかの運動サイクルのイメージを明確にします。
全大教を通した全国的な討議が必要ですが、当面、8月の人事院勧告を参考にしながら独自の立場で賃金要求を作成し、年度末までに団体交渉で法人との合意をつくり、翌年度から実行させるサイクルを試行します。これによって、次年度運営費交付金の確保をめざす対政府の運動を進めながら大学と交渉できるので、財政的裏づけをにらんだ戦術を展開しやすくなります。また、運営費交付金の確保をめざす運動では、独立した立場を守ることを前提としつつ、法人とも協力します。
賃金運動のあり方について検討を開始します。人事制度と賃金体系の深い学習・調査の上に立って、賃金要求の方式や水準設定に関する方針を確立します。宮城県労働組合総連合(県労連)を通して民間企業における賃金運動のノウハウを学びます。教職員の生活実態や法人の経営に関するデータを整備します。
能力主義や成果主義については、一律に賛成・反対するのではなく、評価の公正さを重視し、その基準とルールを重視する立場を取ること、給与体系の一方的改編や不公正な評価方法には反対することが基本的な観点です。この観点から政策開発を行っていきます。
管理運営制度については、当面、教育研究評議会の実質権限が弱められていることに注意が必要です。重要事項について、実質的に役員会の専決で決定される事項が増大しています。教員の身分保障に関する事項、例えば意に反する降任、配置転換、解雇については、教育研究評議会の議を経るか、教育研究評議会の定める基準によるという方針がありますが、具体的にはあいまいです。また、部局によっては運営会議の進め方が教授会権限を著しく弱めているという懸念があります。こうした動きが教育・研究に必要な自治を破壊するおそれがあり、厳しい監視が必要です。
一例として、昨年度の終盤には、2004年度運営費交付金の学内配分ルールが大きな問題となりましたが、予算審議権が評議会にあったために、適切な審議によって解決できました。法人化後は、役員会と経営協議会が予算審議権を持つために、学内配分ルールが公正に設定されるかどうかが危ぶまれています。これは教員人件費に直結するので、労働条件問題でもあります。
組合は管理運営事項についても、よりよい大学づくり、透明で公正な経営、労働条件の確保の見地から積極的に取り上げていきます。
労働条件と管理運営制度の両面に渉って、法人化後の広範な課題を整理し、順序や重点を明確にして取り組む必要があります。そのために、2004年度の基本要求を早期にとりまとめ、法人側との交渉や対政府運動を展開しながら、組合内外での対話集会やアンケート活動を通してブラッシュアップしていきます。
労働条件の変更が就業規則・労使協定の変更を通して行われる場合は、過半数代表からの意見聴取や労使協定の改廃が行われます。この場合、労働組合として前面に出て活動することと、過半数代表制を民主的に運用してその中で組合員が活動することを、適切に連動させる必要があります。日常の要求運動は組合の方が強力に進めることができますが、就業規則・労使協定の手続に絡むいくつかの点では、過半数代表制を活用した方が教職員の要求を実現しやすい場合もあり、研究が必要です。ただし、組合が強力で、教職員の信頼を得ていてこそ過半数代表制の中で積極的に活動できることは言うまでもありません。
労働三権を存分に駆使し、労働条件について全面的に団体交渉を行っていくためには、学習・調査活動を一部の役員に集中させず、より体系的・組織的に進める必要があります。法人化対策特別委員会は活動を休止しましたが、新たに賃金・人事制度について研究を行う委員会を設置します。この委員会は、執行委員会の下で、�人事制度とこれに関わる組合の政策に関する研究、�組合員・教職員を対象とした「組合セミナー(仮称)」の企画を担当します。前者については、特に給与制度と賃金運動のあり方について早急に調査を開始します。後者について、具体的な形態は今後開発することが必要ですが、組合役員を対象とした運動構築の観点からのセミナーと、組合員全般や教職員全般を対象とした、自分の労働条件・権利・ライフプランについて学ぶセミナーの二系統が必要と思われます。そのために、講師グループの養成、教材の取りそろえ、実施体制の整備を行います。
東北大学をはじめとする、国立大学の技術職員が抱える最大の課題は、いまだに明確化されない職務内容にあります。組合では、長い間、大学当局や文部科学省に対し、「職務が曖昧なために処遇も曖昧」というこの課題の解決を要求し、全国の組合とも連携しながら運動を続けてきました。しかし、残念なことに「大学における研究・教育を支援する技術業務とはいかなるものか、そしてそれはどうあるべきか。」という具体的な議論もなにもないまま、法人化という「リストラ」だけが実行されてしまいました。そんななか、法人化を目前とした混乱期には、技術職員組織の大学一本化案が出されるという情報が流れたかと思えば、いつの間にか従来どおり部局単位の運用に収まるなど、人件費や人事権を巡って二転三転するというようなドタバタ劇が繰り広げられただけでした。結局これは、単に法人化推進委員会と各部局との間で、「技術職員の在り方」ではなく既得権益を巡って折り合いがつかなかっただけではないでしょうか。一応、法人化と同時に急激な技術職員の処遇改編がなかったことは、喜ぶべきことではあります。しかし、今後いつどの様な改編が行われても不思議ではないと言えるでしょう。東北大学が中期目標・中期計画に「専門性の向上と役割分担」を掲げている以上、何かはあるはずです。ところが、この「専門性の向上と役割分担」が技術職員人事にどう関わってくるのか、まったく具体的な議論や提示がありません。これは、我々の将来展望を不明瞭にするだけでなく、現時点におけるモチベーションを下げる結果を生み出しかねません。「技術職員の職務を明確化せよ」という従来からの基本方針は、法人化となった今、より一層、重要な運動の礎となるでしょう。
法人化を見据えて、組合は「反対型」から「提案型」へと移行してきました。幸いなことに技術職員の処遇は現状維持で推移しました。しかし、同じ現状維持でも、消極的な現状維持に終始するだけでは、単なる「なし崩し」であり、無責任になる危険性があります。今年は何もなかったから来年も何もないだろうという保証がなくなった現在、技術職員部としても常に先を読み、いつでも我々に有利になるような「提案」を作っていかなければならないでしょう。この先、「大学における研究・教育を支援する技術業務とはこのように大変重要である。」という「提案」を用意しておく必要があると考えられます。
既に、技術職員数の激減は始まっています。それにもかかわらず、法人化後も定数の削減は継続されると明言されています。法人化となった今、「定員削減反対!」と叫んでばかりもいられませんが、よくよく考えてみれば、技術職員が減少することは技術職員だけの問題とも言い切れません。競争原理を導入され、誰よりも早く研究成果を挙げて、他人より優秀な評価を得なければならなくなった教員や研究者はむしろ、我々の力を欲しているのではないでしょうか。そしてそれは、東北大学自身にも言えることではないでしょうか。東北大学が中期目標・中期計画の冒頭に高らかに謳う「「研究第一主義」を維持・発展させるには我々技術職員の協力が不可欠である」ことを前提に運動を展開していきましょう。
法人化以前の技術職員研修は、各技術職員個人が上位級に昇格するための必要条件を満たすために行われてきました。これは連続する三日間の研修を受けなければ、研修をしたものと見なされないと言う基準があったためです。この基準をクリアするために、学内および東北地区で教室系技術職員の研修が実施され、技術職員のほぼ全員がこの数年間の間に、何れかの研修を受講しています。今年度も学内や東北地区または各部局単位での種々の研修が企画されているようです。しかし、現実に重要視すべきことはこのような形式的な研修ではありません。研究・教育を支援する技術職員が、実は、各部局の職場や研究室において、長期的に専門的な技術研修を積み重ねてきているという点にあるのです。大学における技術業務というものは、生産工場のラインの一つのように、単純な作業の繰り返しではなく、専門分野の最先端の研究者と共同で業務を遂行するものです。結果として「専門的な技術」または「特殊な技術」を習得することになります。もちろん科学技術における基礎的な知識を得るための研修も大切ではありますが、これからの研修は、これらの「専門的な技術」「特殊な技術」を持った技術職員が今まで以上に相互協力ができるように、各々の技術を教えあったり情報交換しあったりして、「技術の継承」や「余人をもって代えがたいスキル」を習得するものにしていかなければならないのではないでしょうか。組合は、このような技術職員が将来に渡り充分な評価を得られる存在になるための研修を、大学として責任を持って行うよう運動をしていかなければならないと考えています。
一方、研修によって技術者個人が万能になる訳ではありません。技術者個人に過大な負担を掛けるようなシステムにならないよう注意深く監視することもまた重要です。研修を通して技術職員個人のスキルを上げることだけに着目してはならないでしょう。仮に、技術職員個人では解決が困難な技術業務が発生した場合でも、所属する部局の技術職員のみならず、他の部局の技術職員とでさえ自由に協力し合えるような「技術職員のネットワーク」を構築することが理想的です。技術者個人の評価を上げることはもちろん、専門家集団としての技術職員組織の構築をめざした研修制度を確立させましょう。
歴史的に大学の技術職員は、文部省、文部科学省に属していた時代から、他省庁に比べ格下に位置づけられてきました。これは、大学の技官には主体的な能力は無く、教員から命令された技能的な業務や雑用ができる程度の人材、いわゆるブルーカラーと見なされていたからです。しかし、近年は研究の一翼を担う技術者も多く、法人化に際しては、安全管理面でその技量を買われる技術職員もおり、大学運営の根幹にさえ必要な存在となりつつあります。今後も続く定数削減を考えれば、少数精鋭となると言うことは疑いようがありません。このような状況で、旧態依然とした級別定数制の給与体系は現実にそぐわないと言えます。民間企業でも専門性の強い職種については、その専門職に適したポストを作って待遇するといったことが行われています。昇格改善要求の一つとして、技術職員の現状に合わせた新たな給与体系の構築を求めていくというのも必要なことだと思います。もし仮に、その実現が困難なものであったとしても、今以上の上位級の獲得を目指して要求していくことは、我々の当然の権利であるといえます。
また逆に、今後、文部科学省や大学経営者側は人件費削減とか年功序列廃止というような、一見もっともらしい言葉で待遇改悪を狙ってくるでしょう。しかし、それに対して組合は、断固とした姿勢で臨まなければなりません。公務員時代から劣悪な待遇を強いられていたにもかかわらず、身分保障という保険すら奪い去る法人化を行ったことは、まさに「弱いものいじめ」そのものだからです。これ以上妥協すべきものは何もありません。この点において、組合の存在意義は大きいと言えるでしょう。
また、年功序列廃止についても安易に妥協することは危険です。これは、他省庁より冷遇されながらも、自らの力で待遇改善に寄与してきた若年層が、いざ自分が昇格するという時期を迎えたときに不利益を被ってしまうからです。組合は、昇格改善に向けての運動だけでなく、昇格改悪はさせないという運動も頑張っていかなければならないかも知れません。
今年度、技術職員部会としては過度な運動は、避けたということがあります。これは手を抜いたのではなく、技術職員に対する法人化に向けた動向が不透明で相手の出方が曖昧だった、ということに由来します。就業規則や技術職員の格付けなど、技術職員に対する待遇や処遇に関しての大学の方針が出される前から、あまり極端な運動を展開して下手に相手を刺激するよりは、最低限、現状維持が保障されることを静観した方がむしろ得策であると、技術職員部として判断しました。結果的に、法人化を機に技術職員組織の大学一本化案などの激変は回避され、従来どおりの部局主体の運用ということに落ち着いたということになりました。
しかし、法人化は法人化したということだけでとどまらないと言う事が、最も注意すべき点です。法人化初年度は前年同様を保障された人件費も、今後減額されていくことになるでしょう。それに伴って、技術職員数が減少こそすれ増員されることは無いだろうと予想されます。団塊の世代が定年を迎えた後、「うわさ」としてささやかれた「技術職員組織の大学一本化」案も現実味を帯びる可能性もある訳です。いつか、何らかの形で技術職員に対する激変が襲い掛かってくる懸念はぬぐえないでしょう。我々はその時に、慌てないように、そしてその変化量を下げる準備をしておかなければならないでしょう。
技術職員のみなさん、労働組合運動を通し、自らも研究・教育を支援するための技術業務を明確化し、研修によってその技術業務の遂行能力を高めながら、昇格改善を実現し、確固たる地位を築いて行くよう頑張っていきましょう。
1)教務職員制度は、1949年6月の副手制度の廃止に際し、助手に移行できなかった人たちを一時的、緊急避難的に処遇する制度としてできた暫定的な制度です。それにも拘らず、制度創設の際に副手以外の職種からも教務職員の中に統合した部分もあり、職種の多様性が出発点から存在していたことが処遇の改善を困難にしています。また運用面においても教育職の採用は大学(教授)が自由にできることから、「便利な職」として大学(教授)が便法的に使ってきたことが問題を一層複雑、深刻なものにしてきました。
(2)2004年1月の総長交渉では、法人化推進本部第一部会が教務職員制度廃止の方向で、助手とすべき人数、技術職員とすべき人数について調査中であることが確認され、組合はこの方針に対して支持を表明しました。しかし大学は優れた改革に一歩踏み出しながら、その後方針転換し、教務職員問題の解決を先送りしたまま法人化しました。組合は第一部会方針の実施を重点要求の一つに位置づけて実現に努力しました。
(1)法人化への移行期、事務職員は、これまでにないほどのすさまじい仕事量に追われてきました。このような状況にも拘わらず定員削減は進められ、心身ともに健康が脅かされている職員も少なくありません。法人化後も変わらず長時間労働を強いられています。
今期、事務職員部会を定期化できず、12月、コア編集委員会と合同の懇親会で、職場の情報交換を行うにとどまりました。
サービス残業が増える一方、給料は目減り。不満がないはずはありません。組合へ迎え入れる絶好のチャンスといえる時期でしたが、事務職員の組織化と諸要求実現の運動への展開には至りませんでした。
(2)公務員時代は労働条件に不満があっても、民間労働者のように争議という力を背景にして不満をいうことはできませんでした。物言わぬ公務員にさせられてきました。しかしこれからは労働基準法が適用されます。憲法で詠われている健康で文化的な生活を築くためにも、人間らしく働きつづけられる職場、働きやすい職場をめざし、大きく声をあげていくことが必要です。
労働組合の存在意義を認識し始めた事務職員も多く見受けられます。期待に応えられる力を付け、多くの仲間を迎えることが必要です。
(1)地域社会への貢献や情報化・国際化への対応等、大学図書館に対する社会的な要請は急激に変化しています。
東北大学の中期目標・中期計画には図書館業務に関して、開館時間の延長、学生用図書の整備といった図書館サービスの強化、学術資料や研究成果の公開、情報検索システムの整備等といった情報化への対応、情報リテラシー教育の支援や学習支援情報のデジタル化といった教育活動、所蔵資料等の計画的な複製出版を図るといった積極的な収入増の位置付け等が盛り込まれています。
今後、法人化にともない社会への情報公開が一層推進される一方、リテラシー教育支援といった大学の学習・教育機能の一部を担うといった新たなサービスも求められ、しかも大学の収入増への貢献が強調される可能性があります。それが図書館職員の働きがいを促進するものとなるよう、十分な人的配置と専門職としての研修機会の保障が不可欠です。
(2)図書館業務を本館に集約して分館はサービス機能のみとする一元化構想が早ければ2006年度の実施をめざして本館主導で検討されているが、分館に働く職員の意見を十分にくみ上げずに本学の図書館業務のあり方が決められることには問題があります。また図書館業務の真の改革のため本館・分館両サイドから広く図書館職員の知恵を集約し検討することが必要です。
(3)図書館に働く准職員・時間雇用職員の組合加入の前進を大きな足場に、組合の運動の結果、准職員・時間雇用職員の承継は実現しました。しかし正規職員と全く変わらず各人が責任を持ち働いている准職員・時間雇用職員が均等待遇・均衡待遇とはほど遠い劣悪な労働条件におかれたままです。正規職員化、労働条件の抜本改善が課題です。(准職員等の待遇改善については第8章参照)
(4)業務の細分化、外注化が進められ、とりわけ外注化が経費の節約の観点からのみ推進されていることは重大です。たとえば図書目録の入力やカウンターの業務にあたっている時間雇用職員を外注化することによって安易な「賃下げ」が行われています。これは現に働く労働者の賃金切り下げとして重大であり、しかも仕事の質よりも納期が優先されざるを得ないことから求められる業務水準の向上とも矛盾しています。安易な外注化やいたずらに煩雑化を招くような無計画な改革から、職員の健康と労働条件を守ることが求められています。
大学病院では、マネジメント改革と法人化の流れの中で、病床稼働率アップ、入院日数短縮、運営費交付金の逓減と競争的環境のもとでも生き残れる、トップダウン、コスト最優先の経営体制づくりが推進されてきました。増収が追求されることによって、職場はますます多忙化しています。また、包括医療導入、診療支援部の再編、「病棟と外来の一元化」(プール化)など労働環境が大きく変化してきました。
大学病院では人員不足と現場の負担増が深刻化しており、本来大学病院の使命である「安全な医療」が損なわれかねない状況です。そのもとで今年4月法人化に移行しました。 組合は特定機能病院に相応しい人員配置を要求してきました。医療事故が頻発し職員個人が刑事罰に間われている現在、「安全で行き届いた医療」「安心して働ける大学病院」という基本的立場からあらためて、職場の実態や要求を拾い直すことが大事です。労働基本権を回復した労働組合の役割は大です。
1994年特定機能病院となった医学部附属病院は、2003年10月に歯学部附属病院を統合した東北大学病院(医療法上は引き続き医学部附属病院、歯学部附属病院)となりました。また同月、医学部に保健学科が設置(医療技術短期大学部改組)され、医学系研究科長の所管で東北大学先進医工学研究機構が発足しました。
2002年3月に出された「マネジメント改革」(九州大学医学部のリンク集よりPDFファイルで入手可能です.PDF 322K)は「病院長の強力なリーダーシップ」を求め、それを支援する戦略企画部門の新設や、薬剤師や臨床検査技師などの職種を一元的に管理し、薬剤部も含め業務のうち一部を外部委託すること等、大学病院の「効率的」運営を図る組織再編を提言しています。東北大学病院でも、これに沿って中期目標・中期計画が策定され、病院の基本理念・構想、経営体制の強化が進められています。病院長のリーダーシップをサポートするために総括副病院長、副病院長等「経営面で病院長を補佐する体制」が強化されました。こうして管理体制が強化される一方で、肝心の診療指導体制が手薄となっているという声もあります。中長期的な視野から事務職員を経営、医療事務、情報処理等の専門職として育成・登用していくことが望まれます。
全学の中期目標・中期計画では、大学病院の項で「経営の効率化」「自己収入の確保」を掲げ、「一部の医療業務等の外部委託、医療従事者等の適切な配置等により、経費削減及び収入増加につながる方策を推進する」「職員の業績評価体制の整備を推進」といった踏み込んだ内容が盛り込まれています。
それを受けて、病院の中期目標・中期計画では、明らかに独立行政法人通則法に則った視点から、「評価の実施、戦略的病院運営のための診療管理、事務会計システムなどの総合管理システムを構築する。評価を的確におこなうための体制を整備して、評価結果を事後の資源配分に反映させる過程を明確化して競争的環境の実現と効率的な資源配分を行う」とし、「外来患者数の増加、入院日数の短縮、病床稼働率向上のためにショートステイセンターの活用と診療科、外来の再編を行う」「人間ドックなど自由診療を拡大する」「成果が個人の業績に反映されるシステムを検討する」といった内容に具体化されています。
2005年度以降の運営費交付金について、附属病院の教育研究と一般診療とを区分した上で、教育研究費については特定運営費交付金で措置し、一般診療費と債務償還金については病院収入と診療分の運営費交付金(附属病院運営費交付金)で対応する仕組みがつくられました。しかも2005年度からは病院収入に対して2%の経営改善係数が課せられその分の自己収入増が強いられることとなっています(2008年度は10%)。これは教育・研究・医療を一体的に担う大学病院の特性を無視し、医療と研究の双方を損なうものです。
東北大学病院では、特定機能病院入院基本料における看護師配置基準である「2:1看護」(患者2人に対して看護師1人)の実施のため、看護師をプールした上で外来・病棟に配置する「病棟と外来の一元化」が実施されています。しかし、正職員看護師を異動させたことにより外来の体制が弱められ、また病棟看護も慣れない業務に追われることとなり、実質的には「2:1看護」とは言えない実態にあります。
また労基法のもとで看護師の三交代制を実施するために、準夜勤務の所定始業・終業時刻に大きな変更がありました(日勤8:00-16:30→8:00-16:45。準夜16:00-24:00→15:45-24:30。深夜0:00-8:30→0:00-8:45)。準夜勤は引き継ぎ前の準備作業や深夜への申し送りも含め所定労働時間が従来よりも45分長くなりました。また標準的な三交代制の下で遅出・早出などのシフトが従来以上に多様化しました。
入院日数短縮の推進によって入院患者に占める重症者の割合が高まっています。また病床稼働率アップの追求ともあいまって、入退院手続きが頻繁となり、それに伴う事務負担が増大しています。
この間の看護師増員は全大教に結集した運動の成果です。しかし継続雇用限度のある非常勤看護師として採用されたために後継者の育成が困難なことや不安定雇用が嫌われる、という新たな問題が生じています。こうした非常勤職員の正規職員化は法人化によって法的には可能になりましたが、そのための特別な予算措置はされていません。2004年度も看護師が准職員として採用されています。引き続き全大教に結集して、特定機能病院にふさわしい予算措置を求める運動を進めていく必要があります。
東北大学病院では、検査部、輸血部、薬剤部、放射線部で従来、業務当直がありましたが、業務当直は法人化によって労基法違反となるため放射線部で二交代制勤務が導入されました。しかし、本来労基法は労働者を保護するためにありますが、放射線技師、検査技師で二交代制となり負担が緩和されたところもある一方、十分な増員がないために昼間の人員が不足し過重負担が生じているところもあります。
全国の大学病院等で医療過誤が争われた裁判では、医師や看護師等の個人責任(刑事罰)も問われています。東北大学でも今後職員の個人責任が問われる場合がでてくる可能性があります。もちろん本当に重大な責任は問われるべきです。しかし、医療事故を引き起こす要因は多様かつ複雑です。細かいエラー追及に偏することなく、医療事故を防ぐシステムを構築することが必要です。個人責任を追及するあまり個々の職員が沈黙してしまい、大きな事故につながるといった事態は避けなければなりません。事故事例を分析し、システム要因を見つけ、システムの改革やプロセスの改善につなげる取り組みが重要です。
(1)2004年5月1日現在、東北大学には准職員(フルタイムで契約期間1年。法人化前の日々雇用職員)が285名、時間雇用職員(パートタイムで契約期間1年)が792名、その他研究機関の研究員と委任経理金で雇用されている非常勤職員が698名働いています。一方国家公務員の定員削減政策により東北大学では1970年~2003年の間に700名を超える定員が削減されました。准職員等が長年にわたる定員削減により減らされた定員内職員=正規常勤職員の代わりに基幹的業務を担っていることは明らかです。とりわけ1980年7月以前採用の准職員80数名は正規常勤職員と全く同等に知識や経験を積み重ねて、東北大学の業務を円滑・効率的に遂行する上で欠くことのできない存在です。早急に正規常勤職員にすべきです。
また、準職員等はそのほとんどが女性で占められており「女性を劣悪な待遇で働かせてもかまわない」という一昔前の価値観と呼応するものです。東北大学が推進している男女共同参画の課題として直視すべき問題です。
2)日々雇用職員の組合員拡大が進んだことをふまえて2003年7月25日に定員外職員部としての活動を再開しました。これにより職場の異なる日々雇用職員の間で密接な連絡をとり合い、団結することが出来ました。また2003年8月からは本部のサポートで時間雇用職員の茶話会を少人数ながら不定期に行ってきています。日々雇用職員の間では組合の枠を越えた連絡活動が進み、9月には1980年7月以前に採用された日々雇用職員34名が連名で雇用承継・待遇改善を求める要望書を総長に提出しました。
(3)こうした動きに励まされ、組合は2003年11月25日、「法人化に際しての日々雇用職員の承継を求める要望書」を総長に提出しました。この要望書は、評議員や法人化推進本部第2部会(人事・財務制度)の構成員へも送付しました。この時期第2部会は部局長も参加した議論をおこなっており、参加者から雇用承継を強く求める意見も出ました。その結果、12月11日の第2部会において「現在配置されている非常勤職員については、予算の制約の要請とともに既得労働条件維持の要請を考慮し、原則として現状のまま移行する(ただし実態にあわない契約期間の定め等は実態にあわせて修正する)」こと、日々雇用職員について「平成16年4月1日時点で1年の期間の定めのある労働契約に切り替え、さしあたりこれまで通りとする。なお、昭和55年7月以降採用者(3年で雇用終了)については、これまでの取り扱いを踏襲し、採用後3年で雇用が終了するものとする」ことが確認されました。
しかし同時に、時間雇用職員については、「継続任用期間を原則として3年とし、特に必要があると認める場合には、5年を限度とすることを明示する」として、長期に働いている時間雇用職員を含めて新たに継続雇用限度を導入する重大な検討がされていることがわかりました。
(4)組合は2003年11月27日の北村副総長との懇談、2004年1月29日の総長交渉で、非常勤職員の雇用承継問題を最優先に取り上げました。総長交渉では、長期に働いてきた日々雇用職員と時間雇用職員が直接自分の言葉で総長に訴えました。交渉の結果、非常勤職員を法人に承継することと、1980年7月以前に採用された日々雇用職員には継続雇用限度を設けないことが確認されました。また、時間雇用職員に新たに継続雇用限度を導入するものの、これまで更新限度のなかった人については引き続き更新限度なしとすることが、交渉の数日後明らかになりました。これらは組合の運動の重要な成果です。定員外職員部は総長交渉の速報として全学の日々雇用職員、時間雇用職員にそれぞれ広報しました。(定員外職員部会ニュース第1号、時間雇用職員への訴え)
(5)組合は非常勤職員の承継をめぐって専門家や弁護士との相談・懇談を繰り返してきました。2003年11月22日には定員外職員部からも参加して労働法専門家・弁護士と懇談しました。また12月20日には定員外職員部が主催して学習会「非常勤職員の雇用承継と待遇改善のために」を開催しました。一番町法律事務所の小野寺義象弁護士を迎えて行ったこの学習会には15名が参加し、活発な質疑応答が行われました。
(6)2004年2月23日には、東北大学の全ての時間雇用職員を対象としてアンケートを実施し、約10%にあたる103名の時間雇用職員から回答を得ました。その集計結果(2004年5月27日「定員外職員部ニュース第2号」)と加入の訴えを再び全ての時間雇用職員に発送しました。これら一連の取り組みにより時間雇用職員が6名加入しました。
(7)過半数代表者・職場委員の選出にあたっては、積極的に立候補するよう非常勤職員への働きかけを強めました。また、法人化対策特別委員会が作成した「准職員及び時間雇用職員に関する就業規則・関連諸規程に対する意見」(案)について検討し、各事業場で過半数代表者が提出する意見書の中に取り入れられるよう努力しました。多くの事業場で准職員である組合員が職場委員に選出され、組合員が代表者ではない事業場も含めて多くの事業場で准職員等の雇用と労働条件の改善をはかる意見が出されました。いくつかの事業場で意見書に加えて提出しました。「准職員及び時間雇用職員に関する就業規則・関連諸規程に対する意見」のほぼ全てが提出された事業場もありました。
(8)就業規則体系の中で、准職員や時間雇用職員の就業規則、給与規程、労働時間・休暇規程等は別建てで制定されました。これらの就業規則から准職員はフルタイムの有期雇用、時間雇用職員はパートタイムの有期雇用として明確になりました。准職員はいわゆる「日雇い」ではなく、また時間雇用職員という名称でも「時間雇い」ではありません。しかし依然として正規常勤職員との格差は解消されていません。とりわけフルタイムで「任用中断」も継続雇用限度もない労働者を正規職員から格段に低い労働条件にすることに合理性はなく、長期の准職員については一般の職員就業規則が適用されるべきでした。国家公務員法制の軛から解放された今、労働基準法、パート労働法、判例等を活用して、また他大学の先進事例にも学びながら取り組む必要があります。
厚生部は「教職員共済」と「労金」の取り組みを中心に活動してきました。
恒例の第24回厚生部学習交流会は、2003年11月14~15日に「茂庭荘」で開催し35名が参加しました。中高年の組合員が多くなり、ストレスや病気にどのように対応していったらいいのかなど、健康に関心があるのではと考え、「働き盛りを健やかに」というテーマで、刈田啓史郎元副委員長の講演を設定しました。その他に「教職員共済のはなし」と「もし、あなたが事故にあったら」の2つの共済の話を聞きました。いずれも日常的に役に立つ話として参加者に喜ばれました。
(1)教職員共済は、「職域共済生協」として年々様変わりしてきています。
この間、厚生労働省からの「費差損解消」(事業費が付加掛金費を上回っていること)改善指摘や、税務当局の動きなどによって、教職員共済本部から大学支部への交付金を含む事業経費の削減が実施されてきています。それに伴って、大学支部から各大学へ業務委託費の削減を行おうとしています。次年度の大学支部からの東北大職組への業務委託費は、前年比22%削減されます。
(2)今年度の給付状況は、団体生命・医療が65件、36,969,000円、自動車共済対物が39件、13,003,177円、対人が12,818,130円でした。また、その他の各種共済給付は、31件7,559,100円でした。
現在、教職員共済組合員は400名(うち出資金加入者6名)です。組合未加入者へ教職員共済加入を積極的に勧めるとともに、メリットのある共済事業となるよう取り組みます。
10月に東北六県の労働金庫が合併し、「東北労金」として生まれ変わりました。今期の各種借入申請は、4件390万円ありました。 本部書記局扱いの労金特融会員は、現在142名(金研、農学部、図書館支部は独自に取扱い)です。
今後も、「労金」が、労働者の金融機関としての役割を担い、教職員がメリットを感じられるよう労金対策委員会として取り組みます。
(1)2003年度定年等で退職・転出された方に感謝状と記念品を贈呈しました。(定年退職者18名、自己都合退職者2名、転出者5名)
(2)退職者の会は、現在約140名です。定期的に会報と「コア」を郵送し、情報を伝えるとともに、喜寿・米寿祝いの記念品贈呈などを行ってきました。また、会員相互の親睦を深めるため一泊旅行等の諸企画の開催に努めてきています。
「退職者の会」の方々の援助で、全教職員への組合加入訴えの送付作業を行いました。今後も「退職者の会」の活動のサポ-トをします。
組合員の訃報を受け、ご遺族の方へ香典を送りました。
教職員共済宮城地区支部、労金対策委員会を中心に組合員の福利厚生の充実に努めます。また退職者の会の活動の援助を行います。
ページのトップに戻る今期の文化部は、法人化の問題が山積している最中での活動でした。
(1)2004年1月23日(金)、恒例の東北大学職員組合旗開き(新年会)が片平市民センターにて参加者45名で行われました。委員長のあいさつで始まった旗開きは、来賓の紹介など終始なごやかな雰囲気で進んでいきました。支部の活動などが紹介された後、歌やマジックショーもあり楽しい旗開きでした。酒を酌み交わし、料理を食べ、1年間がんばることを確認したひと時でした。
(2)1月24日(土)、新春囲碁大会が金研の職員集会室にて行われました。みんな真剣に碁盤に向かい、ハイレベルの戦いになりました。組合未加入の教職員や退職者もまじえ、みかんを食べたり、お昼には用意した弁当などが配られたりと楽しい1日でした。
(3)5月1日、第75回メーデーがありました。天候にも恵まれ、宮城県中央集会には2100名が参加しました。組合からの参加は45名でした。大抽選会ではペア旅行券や自転車も登場し、何名かの組合員に米と漬け物が当たり贈呈されました。メーデーコンクールでは医療費問題の演劇や仮装デコレーションなどでアピールする組合もありました。また出店ではパンやコ-ヒーなどが販売され楽しいひと時でした。集会後、一番町のアーケード街を組合の旗やのぼりを掲げて元気いっぱいデモ行進しました。
(4)この他にも5月には職組新聞コア編集委員会主催の「たけのこ狩り」や婦人部主催の「春のミニコンサート」、青年部主催の「ボウリング大会」が行われました。
2002年に出された「男女共同参画推進のための東北大学宣言」は東北大学が全国の大学の前駆となるべく、率先して男女共同参画社会の実現のために積極的に取り組み、全構成員の共通目標として「教職員・大学院生等の人的構成における男女間格差の是正、方針決定機関への男女参画共同の推進、研究・労働環境の改善、育児・介護における性別役割分業の改善と両立支援体制の確立等の効果的かつ具体的な措置を講じる」ことを宣言しています。
しかし、その後の対応は期待はずれであり、今年1月の総長交渉でも「単なるアドバルーンではなく、実効性ある男女共同参画を推進して欲しい。全国に先駆けて推進するとの宣言の趣旨を大学当局が尊重しいっそう男女共同参画を進めて欲しい」と訴えました。
各部局で、男女共同参画ワーキンググループを立ち上げ、アンケートを取ったり、女子休憩室の問題などの議論がされ始めました。また、4月の人事異動で女性の管理職が誕生しましたが、全体的にはまだまだ遅れた状況です。
今回出された、東北大学の中期目標や中期計画は、「宣言」が出された大学とは思えない具体性に欠ける内容です。男女共同参画に一項を割き、数値目標にも言及すべきです。
私たちは、真の男女平等実現のため、「宣言」を単なるアドバルーンとさせないよう、今後もねばり強い運動を続けます。秋田で行われた第49回日本母親大会(2003.8.2~3)には、5名が参加しました。初参加のパート職員は、全国の仲間の多さに励まされ、総長交渉に出席して発言し、パート職員の更新限度を撤回させるのに大きな力になるなど,その後の組合活動に頑張っています。
財政活動として、カンパ、物資販売、定期大会でのコーヒー販売に取り組みました。
赤紙配り(2003.12.8)、ひなまつり行動(2004.3.3)、イラク戦争反対デモ(2004.3.20)に参加しました。
「女性の憲法年」みやぎ連絡会に参加する団体とともに、「公正で真実を伝える倫理基準に即した放送と報道の要請」をマスコミ各社に行いました。(2004.6.19)
青年の交流を深め、仲間づくりを進める視点から、狂言の鑑賞会(8月)と恒例の新歓期のボウリング大会(5月)を企画実施しました。参加者の充実には課題を残しましたが、発想を大切にし参加した組合員が楽しく交流する機会になりました。
また、全大教の教職員研究集会や青年部総会に参加し全国の仲間と学習・交流しました。県国公青年協には役員を派遣し青年部員への交流機会の情報提供等に努めました。役員間での連絡と情報交換の手段として青年部メイリングリストを活用しました。
(1)2003年7月16日から27日まで王城寺原演習場で米海兵隊の実弾砲撃演習が行なわれ、組合はこれに反対する集会に参加しました。(演習規模は人員220名、車両50両、砲門6門、実弾射撃494発(夜間は3日間63発))
(2)イラク戦争や自衛隊派遣に反対する集会、学習会、宣伝行動に参加しました。とくにイラク戦争開始1周年にあたる3月20日に党派や団体の枠を超えて行われた「イラク派兵反対・平和憲法擁護宮城集会」には約20名参加しました(集会規模は4,000名)。憲法や教育基本法の改悪、有事法制の発動と具体化に反対する取り組みは今後ますます重要になってきます。
(3)原水爆禁止2003年世界大会は参加者の組織に課題を残しました。2004年国民平和大行進は、6月20日宮城県内入りし、組合は仙台市内行進に参加しました。
(1)宮城県教職員組合協議会(宮教協)は、宮城県教職員組合、宮城県高等学校教職員組合、宮城県私立学校教職員組合連合、東北大学職員組合、宮城教育大学職員組合で構成されています。共同して教育研究集会に取り組み、学問の自由や教育基本法を守る運動を進めています。
(2)「宮城県労働組合総連合」(県労連)は「2004宮城県春闘共闘会議」(県春闘)の事務局団体として共同して賃金・労働条件改善に取り組み、また自治体や県内大企業への要請行動を行なっています。県労連が推薦する宮城県地方労働委員会労働者委員は、年度の相談件数の増大をほぼ一手に引き受け、再任が決定するという抜群の活動実績を示しています。県労連が事務局となっている宮城県パート・臨時・派遣労働者連絡会からは、准職員等の運動についてアドバイスや有益な情報の提供を得ています。
(3)「宮城県国家公務員労働組合共闘会議」(県国公)は、この間の組合活動にとって必須であった先行独立行政法人の就業規則、労働協約に関する情報の提供や、労働基準法に関する学習相談に親身に対応してくれました。教職員が公務員ではなくなったことをふまえ公務員労働者との協力関係のあり方について検討することが必要です。
(4)「宮城県医療労働組合連合会」(医労連)は、最大の医療産別である日本医労連に加盟しています。医療職員の増員や看護体制の改善等に取り組んでいます。組合の病院支部がオブザーバー加盟しています。
(5)その他、組合は「宮城憲法会議」「宮城革新統一をすすめる会」「安保条約破棄諸要求貫徹宮城県実行委員会」「宮城地域自治研究所」「宮城県原水爆禁止協議会」「日本国民救援会宮城県本部」「宮城県未組織労働者対策連絡会」「非核の政府を求める宮城の会」「宮城県社会保障推進協議会」等に参加しています。
前定期大会から本大会までに新規加入者を 名迎えることができました。職種別内訳は次の通りです。
教員 名 技術職員 名 職員 名 準職員 名 時間雇用職員 名
また、このうち本部書記局に直接申し込みがあったのは 名です。一方、退会者は 名で、その大半は退職・転勤に伴うものです。組合員増の状態で定期大会を開催できるのは近年なかったことです。まずはそのことを喜びたいと思います。
今期は、大学の法人化および組合の労働組合化にあたり組合員数が決定的な意味をもつとの認識に立ち、組合員拡大を重要課題として位置づけてきました。最も力を入れたのは宣伝活動で、具体的には次のことを行いました。
このほか、臨時大会で特別決議をあげる(3月)、中央委員会声明を発表する(4月)など組合員拡大の雰囲気作りにつとめました。例年通り、新職員の説明会・研修等での宣伝も行いました。
こうした結果、これまで組合と全くつながりのなかった方多数から直接本部書記局に加入申し込みがなされることになりました。また、支部単位で見ると文科系支部で前進がありました。同支部は、新入組合員に対する組合費の減額措置を行うなど、独自の工夫をした上で、未加入者への働きかけを行い、大きな成果を挙げました。
しかし、全体としてみると組合員数が本来求められている水準に達しているとは言えません。その原因は、宣伝には力を入れたものの、支部レベルでは加入促進の動きを作れなかったことにあります。本部執行委員会としては、支部代表者会議での提起、支部執行委員会へ出向いての訴えなどを行いましたが、十分なイニシャティヴを発揮できませんでした。一方、組合費の設定額が加入を躊躇させる原因になっているとの意見が臨時大会等で表明されました。これを受けて、本部では5月~7月の新入組合員分の組合費本部上納を免除するという措置を打ちだしました。ただ、これはもっと早く提起すべきでした。また、組合費自体を減額するための検討も行い、本大会に議案を提出しています。
来期は、大学構成員に対して組合の意義や役割を宣伝する活動と実際に加入を働きかける活動とをバランス良く行うための方策を十分に検討する必要があります。また、新規加入者の職種に偏りがあることをふまえ、職種別の対策も講じなければなりません。そのために専門的なワーキンググループを設置します。本部はそこでの検討結果をふまえ、支部が拡大活動に踏み出せるよう十分な援助を行います。
なお、新規加入者に組合員として定着してもらうためには、支部によるケアが必要です。困難がある場合には、本部も積極的にサポートします。
2001年に科研、素材研、反応研が多元物質研究所に改組されたことに伴い、支部の統合が議論されてきましたが、今期正式に多元物質研究所支部として発足しました(本大会で承認)。これで組合は、14支部・1直属部から構成されることになりました。
支部代表者会議は、毎月1回定期的に行いました。法人移行期ということもあり、情報交換の場として役割を果たしました。過半数代表者が活躍できた理由の一半が、ここにあるといってもまちがいはないでしょう。なお、従来、支部代表者会議は規約上の位置づけを欠いていましたが、改正の際に「各支部の連絡・調整のため、必要に応じて」行うと明記しました(第24条)。
今期の最大の特徴は、学内便を用いた全構成員向けの大量宣伝(組合の政策宣伝、組合加入の訴え)を3回にわたって行ったことです。これは組合への信頼を高め、組合員拡大にもつながりました。この作業にあたっては、各支部や定員外職員部会・退職者の会から多大な支援を得ることができました。
「職員組合新聞コア」は年4回発行されており、好評を得ています。
ホームページは、頻繁に更新が行われ、政策宣伝、情報発信に貢献しました。当ホームページは、全国的にもその充実ぶりを知られています。各種メーリングリスト(aoba、執行部、拡大教文部、定員外職員、法人化特別委、青年部)も大いに活用されました。一方、「職員組合ニュース」は、2号を出したのみで事実上休止状態になっています。今後一層の電子化・ネットワーク化が進む中で、紙媒体と電子媒体の適切な使い分けを考えていく必要があります。特に情報の浸透と運動の構築のために、全組合員へメールで連絡がとれるような態勢を整備することが急務です。また個人の組合員の善意に支えられているホームページの管理を、組織として支えていく方策を考える必要があります。
大学の法人化に合わせて、組合も職員団体から労働組合に移行しました。そのため規約をそれにふさわしいものに改正しました。主な改正点は次の通りです。
2月~3月末にかけて、多忙な時期でありましたが、執行委員会、支部代表者会議、支部討議(解説付き資料を作成)、臨時大会(3月19日)、批准投票と手続き的に瑕疵なく改正を行い、4月1日に施行することができました。この過程で、執行部が宮城県地方労働委員会を訪れ、有益なアドバイスを受けることができました。また、全大教等から発信される情報、他大学の事例が大変に役立ちました。
一方、地方労働委員会から労働組合としての資格認定を受け(5月20日)、あわせて本組合が有する法人格を継続させるための手続きも行いました(5月26日、地方法務局にて登記を完了)。規約の下に位置づけられる諸規定についても中央委員会で必要な改正を行いました。
2001年に素材工学研究所、科学計測研究所、反応化学研究所が多元物質科学研究所に改組されたことに伴い、素材工学研究所支部、科学計測研究所支部、反応化学研究所支部を多元物質科学研究所支部として統合改組します。