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1月29日 総長交渉報告

2004年1月29日 10:30〜12:00(11:30まで + 延長30分)
本部事務局2階第一会議室

出席
■大学側:吉本総長、北村副総長、早稲田副総長、長谷川事務局長、三浦総務部長、上田人事課長、他
■職員組合側:高橋委員長、片山副委員長、小野寺書記長、下山書記次長、川端教文部長、他

9/4に提出した総長交渉申入書・要求項目に基づいて、11/29午前10:30から12:00まで本部事務局2階の第一会議室にて総長交渉をおこないました。吉本総長は都合により予定終了時刻の11:30で退席し、その後、北村副総長、早稲田副総長の責任で交渉を継続しました。以下に報告します。

9/4総長交渉申入書・要求項目に対する回答

※三浦総務部長が代表して回答。交渉後、回答内容を文書で交付されたのでその文書による。

1.教職員の雇用を維持するための要求

(1)常勤・非常勤を問わず、本人の希望に反しない限り全教職員を国立大学法人東北大学職員として承継すること。

■三浦総務部長
  1. 常勤職員については、国立大学法人法附則第4条により、国立大学法人東北大学の職員となることになっている。

  2. 非常勤職員については、国立大学法人法では承継について触れてはいない。また、従来から年度を区切って必要に応じて雇用してきたものである。しかし、これまで長期にわたり業務遂行の一端を担ってきた経緯、又、各部局の予算の範囲内で採用してきた経緯を踏まえ、制度としては、基本的には現行制度を踏襲することとした。

    現行と異なる点は、(1)現行日々雇用職員を准職員と称すること、(2)雇用期間は、4月1日から3月31日までとし、従来のような3月31日 1日空白の日は設けない。(3)期間は、3年雇用制度を踏襲しつつ、継続雇用限度期間を5年とする特例を新設し、高度の技能・知識を必要とする場合に適用できるようにすることである。

    なお、昭和55年7月以前採用の日々雇用職員は、雇用期間の原則の特例とし、従来どおり継続雇用できるものとする。

    時間雇用職員についても、基本的に、現行制度を踏襲する。現行と異なる点は、(1)継続雇用限度期間は、原則は3年とし、職務の特殊性等により例外として3年を越えて雇用することもできるものとする。

    なお、運営費交付金により積算されている人件費相当額は、定員内職員に係る人件費、外国人教師、外国人研究員、非常勤講師(客員分9、医員、研修医、看護等体制改善要員(非常勤看護師・非常勤技師)、非常勤研究員、研究支援推進員に対する経費のみ積算されているものである。

    また、事務組織や業務内容についての全学的な、また、部局ごとの見直しの中で、これまで画一的に長期にわたり補助的な業務遂行のため雇用してきた非常勤職員に関する見直しが迫られていることも事実である。

(2)恒常的業務に長期にわたって就いている非常勤職員(定員外職員)を、法人の正規常勤職員として雇用すること。

■三浦総務部長
  1. 事務系職員の採用については、これまでの国家公務員採用試験実施の趣旨を踏襲し、法人化後も、採用にあたっての透明性、平等性を確保するため、国立大学法人等職員統一採用試験合格者のうちから職員を採用することとなっており、非常勤職員とは採用方法が異なっている。また、法人化後は従来の教職員の定員概念はなくなるものの、人件費相当額を適切に管理することが求められていることから、法人化になったからといって非常勤職員を正規職員にすることは考えていない。

2.法人化の準備と法人制度への移行に当然必要な予算・人員・時間を確保するための要求

(1)労働安全衛生法を遵守するために、各部局の実態調査を行い、必要にして十分な措置を政府に断固として要求すること。その際、学生の安全についても考慮すること。

■三浦総務部長
  1. 施設・設備などのハード面では実態調査をすでに終了し、昨年11月からドラフトチャンバーなどの新設、更新工事を行なっている。
  2. 作業環境測定のため、研究室における有機溶剤などの使用状況について、第一次調査を終了し、さらに詳細について第二次調査を実施する予定である。
  3. 衛生管理者、作業主任者などの資格を必要とする者については、学内研修を実施したり、講習会を受講するなどして、資格取得に向けて努力しているところである。

(2)移行準備のための作業について超過勤務としないように努め、現実に行なった超過勤務に対しては確実に超勤手当を支給すること。

■三浦総務部長
  1. 移行準備のための作業については、通常の業務を行いながらの業務になるが、できるだけ勤務時間内だけで収まるように努力したい。
  2. また、超過勤務手当については、ご存知のとおり予算があるのでその予算の範囲内でしか支給することができない。本省に対して超過勤務手当の追加配分について要求し、極力超過勤務手当の確保に努めているところである。

(3)運営交付金の算定基準につき、不合理なものとならないように政府に断固として要求すること。特に、2004(平成16)年度の標準教職員数が現在の教職員定員を大幅に下回るような算定基準をとらないように要求すること。

■三浦総務部長
  1. 平成16年度の教育職相当職員数については、「平成15年度末定員+新規要求事項等にかかる内定人員」で算定されており、現在の定員を下回るような算定にはならなかった。
  2. 各大学に対する運営費交付金は、予算配分における透明性の確保や各大学の自主性・自律性の向上の観点、及び特定の事業等の実施に適切に対応する観点から、(1)学生数等の客観的な指標に基づき各大学に共通の算定方式により算出される「標準運営費交付金」及び(2)客観的な指標によることが困難な特定の教育研究施設の運営や事業の実施に要する経費「特定運営費交付金」から積算されている。
  3. 本学としては、平成16年度の収入・支出概算要求において、平成14年度の実績及び平成16年度の所要額を調査のうえ、必要な経費「標準運営費交付金」、「特定運営費交付金」に盛り込み文部科学省へ要求した。
  4. うち、人件費(=教職員数)については、本省より示された「平成15年度末定員を上限とする」という条件の下、本学のこれまでの欠員状況を踏まえ、要求を行なった。

3.法人化に伴なう大学運営機構の再編を、大学の自治と教育・研究の自主性を尊重したものとするための要求

(1)自主性を守るために、文部官僚から役員を選ばないこと。

■三浦総務部長
  1. 国立大学法人法第13条では、理事は、人格高潔、学識に優れ、教育研究活動を適切かつ、効果的に運営する能力を有する者から選考することになっているので、これらを踏まえ適任者を選考することとしたい。
  2. 理事7名のうち5名については、現在の副総長をもって当てる予定としている。

(2)「中期目標・中期計画」の策定過程をより構成員に開かれたものにすること。

■三浦総務部長

 中期目標・中期計画に関しては、まず企画室、担当副総長、総長補佐会議において骨子原案を作成し、昨年3月18日の部局長会議に提示し、部局(学内共同教育研究施設を含む)に意見を求め、必要な修正を施した。その後もこの作業を繰り返し都合4回にわたり各部局に意見をもとめた、また、この間並行して東北大学法人化推進本部の各部会においても検討されてきた。その結果、7月15日開催の部局長会議、評議会に骨子修正案として報告した。さらに文言の推敲、適切な記載箇所となるように法人化推進本部幹事会で作業をし、9月16日開催の部局長会議、評議会に素案として報告した。このように素案作成に至るまで各部局、法人化推進本部各部会等の意見を聴きながらまとめたものである。なお、素案は9月に文部科学省に提出し、現在国立大学法人化評価委員会で予備的に審議されている。

(3)総長選挙における構成員の投票制度を維持し、拡大すること。

■三浦総務部長

 国立大学法人法第12条第6項では、学長選考会議の議事の手続きその他学長選考会議に関し必要な事項は、同会議の議長が同会議に諮って定めることになっており、これには学長の選考の基準や手続きも含まれるものと理解している。

(4)総長選考会議に現職の総長や理事を加えないこと。

■三浦総務部長
  1. 国立大学法人法第12条では、経営協議会から選出された者及び教育研究評議会から選出された者のほか、学長選考会議の定めるところにより、学長又は理事を学長選考会議の委員に加えることができるものとされ、その数は、学長選考会議の委員の総数の3分の1を越えてはならないこととすると定められている。
  2. このように、現職の総長や理事が総長選考会議に加わるかどうかは、総長選考会議が決定するものであると考えている。

(5)組織の改廃と予算の審議を経営協議会だけに委ねずに、研究教育評議会にも権限をもたせること。

■三浦総務部長
  1. 国立大学法人法第20条によれば、予算の作成・執行・決算に関する事項は、経営協議会での審議事項になっている。また、第21条で、教育研究評議会の審議事項として、学則その他の教育研究にかかる重要な規則の制定又は改廃に関する事項、教育課程の編成に関する方針にかかる事項、その他教育研究に関する重要事項が規定されている。予算事項などのうち、研究教育に密接に関連する事項の具体的審議の取り扱いについては、引き続き検討する予定である。

(6)教授会が、教員人事をはじめとする、研究・教育に関わる重要事項を審議する機関であることを明確にすること。これらの事項について、部局長や部局運営会議への権限集中を行なわないこと。

■三浦総務部長
  1. 学校教育法第59条で、「大学には、重要な事項を審議するため、教授会をおかなければならない」こととなっている。
  2. 「法人化後の大学運営及び移行に関する基本的考え方について」においては、各部局の運営の原則は、各部局教授会(あるいは教授会に相当する組織)の意向を尊重することとされており、各部局教授会等の運営、審議事項等についても各部局の意向によることとなると考えている。

4.非公務員型法人化のもとでの労働条件を悪化させず、維持・改善するための要求

(1)労働条件の不利益変更をしない方針を明確にすること。

■三浦総務部長
  1. 現在、労働条件等については、国家公務員法及び人事院規則等が適用されているが、法人化後は、労働基準法等が適用されることになる。基本的には、現状の制度を踏襲する方向で検討中であるが、事項によっては、例えば、(1)労働時間が6時間を超える場合には休憩時間を45分以上おかなければならないこと、(2)従って、終業時間が15分伸びること、(3)宿日直については、業務当直が認められないことなど、見直しを検討するものがあると考えている。

(2)大学と教職員の関係が対等な契約であることを踏まえた就業規則を作成すること。

■三浦総務部長
  1. 現在、就業規則等を作成中であり、2月初旬に開催予定の臨時評議会に就業規則等を提出し、その後職員への説明・周知を行う予定である。
  2. 法人化は、現行の公務員関係から労働契約に基づく権利義務関係へ転換するものであり、人事制度の構築や労働条件の決定に関する就業規則の内容についても、そのことを十分に反映したものとすることが求められており、このような考え方に基づき、就業規則の作成を進めているところである。

(3)教職員の解雇を行わない方針を明確にすること。

■三浦総務部長

民間企業の場合でも、一般的に解雇の規定は定めており、現在の国家公務員法で定める分限免職及び懲戒免職等の趣旨を解雇事由として、就業規則に規定する予定である。但し、昨年労基法が改定され、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効とする」ことが条文化されたことなど、運用に当たっては十分慎重に取り扱うべきであるとは認識はもっている。

(4)教員の身分と処遇を教育公務員特例法の水準で維持すること。

■三浦総務部長

現在、就業規則(案)を作成中であるが、教育公務員の職務とその責任の特殊性に基づき、教育公務員の任免、分限、懲戒、服務及び研修について教育公務員特例法が定められているが、法人化後についてもその趣旨を踏襲する方向も含めて検討中である。

(5) 教員の任期制について、「任期法」が定める要件とその選択時の「付帯決議」の精神に厳密にのっとって運用すること。部局教員全てを任期制とするような無限定な運用をしないこと。

■三浦総務部長

教員の任期制については、その導入については、学問分野の特性を考慮しつつ、各部局教授会の意向を原則として尊重する。例えば、教員の任期制については、画一的に扱わず、これまでと同様に例えば「教育研究評議会了承事項」扱いとして、各部局の判断で運用することを原則とする予定である。

(6) 全学的な議論を行なうことなく、給与制度の大幅改編を行なわないこと。以降の年度も従来の水準を下回らない昇給・昇格を保障すること。

■三浦総務部長

現在、就業規則(案)を作成中であるが、検討の時間も限られていること、スムーズな意向という観点から、給与制度についても、基本的には、現行制度を踏襲する予定であり、昇給・昇格についても予算の範囲内で実施する予定である。

但し、外部人材の確保、専門職の確保のため、特定の職員に年俸制が導入できる制度を検討している。

(7) 教員評価について。公正な評価方法の開発と透明性のある運用を行なうこと。評価方法と運用に関する議論を尽くすことなく、評価結果を処遇に結び付けないこと。

■三浦総務部長
  1. 教員の評価方法については、公正な評価方法と透明性の確保も念頭に入れて、検討中である。
  2. 教員の昇給については、教員の評価制度の確立とあわせて検討・見直しを行なう予定である。

(8) 女性の昇格・昇進に不利となっている人事査定を、構成で透明なものに改善すること。

■三浦総務部長

国家公務員法や人事院規則等制度面で考えれば、女性だからといって昇格・昇進が不利となるようなことはないと考えている。確かに掛長以上の役職中女性職員が少ないことは事実であるが、今後とも意欲と能力のある女性職員を積極的に登用していきたいと考えている。


質議

■組合

 9月の総長交渉申入れからだいぶ時間が経過したことは大変遺憾だ。今後速やかに交渉をすすめていきたい。組合は批判するだけでなく積極的に提案してきた。就業規則案についても組合の方が大学より先に出した。今日は改訂版の労働条件マニュアル、過半数代表制度についての要請書も提出した。ぜひ検討してほしい。

 11月の北村副総長、早稲田副総長との懇談、その後の人事課との意見交換などを通じ、大学と組合との間に多くの意見の違いはあるが、組合も大いに勉強になったし誠実に対応していただいている。組合としては、人事課の超過勤務は非常に多いのではないかと推測している。これまでのところ大学当局としての基本的考え方がまだ示されていない。さらに踏みこんだ回答を期待する。以下重点をしぼって議論したい。

非常勤職員の雇用承継について

■組合

 先ほどの三浦総務部長からの回答は、日々雇用職員、時間雇用職員について原則承継するということだと理解してよいか。11月の懇談で北村副総長は原則承継だが、部局の判断、部局の予算の問題があるといった。現時点では4/1承継を明言してほしい。

■北村副総長

 大学全体の制度としては雇用できる措置をする。一方、雇用の必要性は部局の判断だというのが、これまでの任用のあり方だ。基本的には前年同様の予算額が確保された。次は大学として部局にどのように配分するかだ。来週法人化推進本部第二部会で検討するが、執行部としては基本的にはスムーズに移行し、部局間の予算配分を大きくは変えない方針だ。つまり財政的には部局の予算が大幅に減らされ雇用が影響を受けるということはない。法人化にともない非常勤職員の雇用を一斉に見直し雇用を厳しくするということはない。必要だという実態があれば雇用が可能な制度設計をし、予算配分をしたい。

■組合

 回答のたびに前向きに変化していることは評価する。しかし、部局の予算の範囲内という考え方が依然として第二部会の文書にもでてくる。このままでは部局の判断によっては雇止めや大幅な見直しもありうるのか不安がある。週40時間フルタイムで定員職員と同じ業務をこなしてきたことをふまえて、本部の責任で集中的に対策をとり安定した雇用を保障すべきだ。40時間長期にわたって働いている実態に即した考え方をしてほしい。職場の実情について日々雇用職員から訴える。

■組合

 吉本総長に心から訴える。日々雇用職員は、部局によっては15%給与カットされたり、複数の研究所であの手この手でパートに引下げられた人もいる。20年、30年、中には38年にわたって、低い待遇に抑えられながら定員職員と同じ仕事をはたしてきた。3年あるいは5年後に部局によっては雇止めがあるかもしれないというのは私たちにとって暴力的な言葉だ。東北大学は真理を追求し高い倫理観をもって社会に貢献すると高らかに理念をうたっている。私たちに対する仕打ちは大学の使命に反する。予算がないというべきではない。予算がないという立場にたてばいくら予算が潤沢にあってもないと同然だ。同一労働同一賃金は世界の真理だ。吉本総長の決断一つで、いくらでも正しい方向が打ち出せる。そのもとで副総長や事務局の優秀なスタッフが必ず道をひらいてくれる。正直な気持ちは常勤職員にしてほしいが、最低でも3 - 5年で雇止めの項目をけずってほしい。部局の事情によっても雇止めはしないという方針を明確にしてほしい。総長に心から訴える。

■組合

 切実な訴えだ。部局の予算と裁量で雇止めされやすい形態を週40時間働いている人に適用してよいのだろうか。正職員と同じ雇用管理、いわば配置職員数に組込み、そして均等待遇をはかるべきだ。総務部長から任用中断日をなくすというよい回答があったが、更新限度3 - 5年の適用の例外についても英断をくだしてほしい。本部扱いとして承継をはかるべきだ。処遇についてもう一度回答してほしい

■北村副総長

 これまでは部局としての判断で大学として任用してきた。非常勤職員の全学的な管理の中で行うことはありうるかもしれないが、現状は部局の管理だ。他の人事との関連もあり、第二部会で検討する。検討課題が多いことも理解してほしい。東北大学全体の雇用管理ということでは同一労働ならば同じ処遇とすべきだ。種別化して、全く同じ仕事をしているということならば、適切に正規職員への道を開くべきだ。ただし予算管理、定員管理の問題がある。もちろん基本的な定員管理は大学の責任だ。運営費交付金の中の人件費積算は中期計画で示すので、評価制度との関係で説明責任をきちんと果たさなければならない。そのため制度の確定としては、正規職員、准職員というカテゴリーに区分し、日々雇用職員は公務員採用試験の問題もあり准職員と考えている。部局管理の問題については考えてみるが大学の努力も理解してほしい。

■組合

 1980年7月以前採用の日々雇用職員については更新限度3 - 5年の例外にするという総務部長回答に間違いはないか。

■北村副総長

 基本的に継続雇用したい。このことを部局長も集まった会議で提案したが異論はなかった。したがって大学としてはそういう対応でいく。

■組合

 時間雇用職員についてさらに厳しい、更新限度が原則3年、例外5年という方向が示されている。しかし、現に更新限度を告げられずに雇用されている時間雇用職員が多くいる。これらの職員については3年後の雇止め予告のようなものであり待遇の大きな改悪になってしまう。更新限度を告げずに雇用されている時間雇用職員についてはこの更新限度の例外とするべきだ。臨時でなく長年働いている時間雇用の組合員から訴える。

■組合

 1985年にパートとして採用され、今年で19年、来年で20年になる。子どもが4人おり、上の2人は来年高校生になる。3年、長くて5年で雇止めとなると、子どもの進学はできず夢をかなえることができず、勉強する権利を与えることもできない。総長、副総長、事務の人たちにお願いする。世界に名だたる東北大の優秀な人たちなのでできるはずだ。日本の未来を担う子どもたちの夢を切り捨てないでほしい。

■組合

 長期に働いて家計を支えているパート職員が大勢いる。あまりに厳しい制度変更だ。これまで更新限度のなかった職員については例外としてほしい。

■北村副総長

 日々雇用職員に厳しい任用期間を設けることにした。全体の財源との関係はあるが、継続的雇用の必要な人、恒常的に必要な人は基本的には正規職員にするべきだ。本来正規職員にすべき人を便宜的に非常勤職員にはすべきではない。長期に働いている日々雇用職員については大学として雇用に努力すべきだ。時間雇用職員は大きな戦力として東北大をささえている。従来なかった期限をつけることに対して厳しいとの声はあるが、制度の確定の問題として、勤務時間は一般の職員と大きく違う点で日々雇用職員の場合とは別にしてよい。時間雇用職員として時間雇用職員には従来なかった期限をつけることにした。東北大を支えている常勤職員とパート職員とで違う形態になる。今後雇用するパート職員については原則として期限をつける更新制度として確定したい。いま働いている人については、同じ原則で対応したいと思うが、第二部会でもう一度議論をする。

■組合

 大学予算が厳しいことはわかっておりその上で政策提案している。組合としても多くの妥協をしている。しかし、首がつながるかそうでないかの問題については組合は頑強に抵抗することを言っておく。時間がないので次の労働条件の問題に移る。

教員任期制について

■組合

 任期制の大きな問題点は他にもあるが、緊急の問題だけにしぼる。1月22日の人事制度案や文科省のQ&Aには、民法626条に基づき任期法に基づく任期は5年以内にしなければいけないと出ている。そうすると、医学研究科や金研などのように10年や7年の任期が現についている部局では任期の短縮が迫られてしまい、これらの教員はとても困るのではないか。本来大学も組合も全大教もこの点では法解釈は一致しており、雇用保障は5年を超えてもできるという見解のはずだ。文科省通知は理不尽であり抗議して撤回させてほしい。それには組合も協力する。もしそれが無理ならどうするか説明してほしい。

■北村副総長

 文科省は、民法の規定を任期5年以内を強行規定としてQ&Aに書いている。大学としてはこれを受けて実質的に今までと同じ制度運用が可能となるようにしたい。東北大全体としては5年をこえた運用を可能にしたい。その上で部局の判断はあろう。文科省によると法的な意味では、民法の規程は強行規程であるが、大学としては、5年経過後は被雇用者としてはいつでも退職の自由があることを明確にした上で各部局の対応を求めるつもりだ。

■早稲田副総長

 1月20日の部局長会議・評議会にも報告したが、これまでと同様に、教育研究評議会や、分野によって違いがあるので、そこの意思を尊重する。

■組合

 制度設計すれば実質的に現在と同じにできる見通しがあるのか。また、部局で4/1から任期制にするということになれば、承継のときに処遇が大幅変更されることになり非常によくない。部局の教育研究の判断とする第一部会の判断に賛成だ。

俸給調整、大学院担当手当の見直しについて

■組合

 俸給調整あるいは大学院担当手当の見直しが、1月22日の人事制度案に出ている。大学院大学だから大学院担当の本給調整は変だという理屈はわかる。しかしもしも調整をやめて賃下げするということならば教員にとってはたまらない。法人化時点で本給調整の仕方を変えるのか、それとも今後検討するのか。また賃下げになるような見直しなのか、それとも本給表に組み込むという見直しなのか。あるいは別の制度設計なのか説明してほしい。

■北村副総長

 大学院調整手当の見直しについては、中期目標・中期計画の段階から議論があり、中期計画上は見直すこととして提出した。それを踏まえて法人化制度理事会のワーキンググループで鋭意検討してきたが、制度設計、予算配分方法、関連する評価制度等を十分に検討・確定して4月にスタートすることは不可能だ。今後も継続して検討する。調整額は本給に連動する手当であり重みある。そのことは十分認識している。また、教官職のなかでの議論であり財源を他の職にまで広げていくことは考えていない。

■吉本総長

 所用で退出するが、大事なことは4/1にすべてが決まっているということではないことだ。第一期中期目標期間の運営費交付金も含めいまだに決まっていないことは多い。4/1に全てのことが決まってしまうということは考えていない。かなりいろんなことが4/1以降に検討・協議されるだろう。本日の議論も踏まえてさらに検討していきたい。

(ここで予定の1時間になり所用のため総長退席。北村副総長、早稲田副総長が委任をうけ交渉継続)

休息時間廃止と終業時刻の問題について

■組合

 職員全般については1点だけ聞きたい。法人化されると労働時間8時間を維持し休憩は45分にしなければならないから終業時刻が15分延びて17:15になるという。それにも言いたいことはあるが、今日は時間の関係で触れない。しかし、休息時間を廃止して昼休みを45分のみにするという案には本当に驚いた。終業時刻の延長と合わせて実質30分長く働き休み時間は15分減だ。どうみても納得できない。社会通念というが時短は世界の流れだ。なぜそこまでしなければいけないか。民間ではホットタイムを午前10分、午後10分設ける等の工夫がされている。合理的理由を説明してほしい。

■北村副総長

 検討が必要なことの一つだ。働きっぱなしで間に一切休みがないということではない。職場ごとになんらかの措置は当然のことだ。制度の確定としての休憩時間だ。国大協理事会の検討のなかで、一つの案として示された。総合的に判断して提案した。

■組合

 国大協の検討内容が一つの指針というのはわかる。しかし各大学で工夫して働きやすい労働時間を設定している。せめて休息15分だけでもなんとかできないのか。合理的事由はまだ説明されていない。組合として譲れない点だ。

教務職員制度の廃止について

■組合

 教務職員制度について、総務部長の回答では学位等のある人について部局で助手にすることが可能であるという説明だったが、部局の中では教務職員制度を全面的に廃止して、助手または行政職員にするという見識ある方針が出されており資料を入手している。この方針を支持する。ぜひその方向で実現してほしい。このような内容を部局にはかっているというのは事実か。

■早稲田副総長

 第一部会の座長として各部局長に、教務職員制度の廃止をベースに、助手にすることが適当な人数、技術職員にすることが適当な人数について調べてもらっている。その調査結果をふまえて第一部会、第二部会で検討する。一定程度解決したいと考えている。

■組合

 ぜひ前向きに検討してほしい。

 休息時間の廃止について、国大協の考え方に基づいているということだが、他大学では休息時間を残すところがあるのに、東北大学でなぜ休憩時間45分のみなのかあらためて説明してほしい。しかし時間がないので次の問題に移る。

男女共同参画の推進について

■組合

 男女共同参画について、昨年の宣言が出た時には感激にふるえる思いがした。大いに期待していたが、期待外れである。処遇面で差別されてきた女性の救済、女性事務職員全体の底上げをめざしている。昨年の宣言では全国にさきがけて男女共同参画を推進するとうたっている。単なるアドバルーンではなく、実効性ある男女共同参画を推進してほしい。具体的には、男女雇用機会均等法に基づく相談窓口の設置、苦情処理制度を要求する。またセクハラ相談窓口に学外者の相談員をおくということだが早急に実現してほしい。全国にさきがけて推進するとの宣言の趣旨を大学当局が尊重していっそう男女共同参画を進めてほしい。4月の人事異動を期待している。

■組合

 就業規則の細則として現行のセクハラ防止規程がそのまま位置づけられているが、まずこの規程には学生と教師が含まれており、学生間のセクハラへの対応はあるが労使間のセクハラへの対応はない。構成を考えてほしい。提案としては苦情処理委員会の設置とその他の委員会のなかに労働者代表を入れていただくことを要求したい。

■上田人事課長

 1/20に新しいガイドラインが出た。その中に、相談窓口に女性委員を入れる指針がある。そういう方向で検討している。従来の国の指針からすれがかなり改善されたものが整備された。

■組合

 法人化後は男女雇用機会均等法が全面的に適用されるので、教育訓練や昇進・昇格についての平等取扱いについても改善整備が求められる。この点はどうか。

■上田人事課長

 認識している。前向きに検討していきたい。

■組合

 労働局にも相談しながら検討するようお願いしたい。

就業規則・労使協定について

■組合

 就業規則の意見聴取と労使協定締結のイメージについて聞きたい。まず今後のスケジュールを示していただきたい。いつまでに過半数代表者を選出するのか、労使協定についても。

■上田人事課長

 2月早々に第二部会に組合案踏まえて人事課から提案したい。2月5日の評議会での就業規則案の確認を経て、キャンパス単位で説明会を行う。またそれと同時平行で過半数代表者を選出する。労使協定の内容についても組合と相談したい。

■組合

 組合は以前キャンパス単位を想定して過半数代表選出方法についての提案を出したが、今日提出した案では事業場を部局単位とすることに対応して練り直した。意見聴取と労使協定のための協議すべてが各事業場を単位として行うのか、それとも全学レベルでも行うのか。たとえば人事労務担当副総長と協議した上で各事業場ごとに調印されるのか。

■北村副総長

 まだ決まっていない。2/5の評議会に詳細な制度設計について提案する。評議会の了解を得たい。その後過半数代表者の選出をおこない、労使協定の案についても協議したい。歯切れのわるい発言だが、それは意見聴取前なので発言していいのかという問題があるからだ。組合からの意見を念頭において第二部会で検討する。基本的な骨格にしめしたように内部では一本とする。制度確定については本部の責任が大きい。本部サイドとして協議にあたりたい。部局長と相談することは必要だが、全学対応が基本だ。

■組合

 事業場単位で意見聴取等をおこなうことについて、組合は全学の協議会と人事担当副総長とで協議するという案で提案している。事業場単位で協議するにも、労働者側代表は過半数代表者として、使用者側は誰か。部局長だとすれば、当事者能力がなければいけない。労使協定について修正案を出したりする権限と能力が必要だ。労使協定の協議の場面で、私には、といった対応では悲惨なことになる。部局長への権限の移譲や管理者教育も含めてきちんとした当事者能力を確保するべきだ。それができないなら本部で責任をもって対応してほしい。

法人制度の下での労使関係について

■組合

 健全で良好な労使関係をつくっていきたい。第8回第二部会に提出された就業規則のたたき台案によると、政治活動禁止条項がないのは高く評価するが、文書配布の事前届出制、掲示物と集会の許可制が規定されている。これは好ましくない。そもそも表現の自由は憲法で保障された権利であり余程のことがなければ制限できないことを踏まえるべきだ。もちろん、組合は何でも好き放題に宣伝したいと考えているわけではない。業務の遂行を確保する必要性は理解する。しかし、提案されている集会や掲示物の規制はその域を大きくはみ出ている。このような厳しい規制がどうして必要なのか、ぜひ回答してほしい。

■北村副総長

 もとより表現の自由に踏み込んで規制するつもりは毛頭ない。必要な職場秩序を確保するためだ。そのために事前届出制とした。もちろん、本来正当な行動を制限するつもりはない。

■組合

 組合が出す普通のビラや本部の前での集会・宣伝は、届出制・許可制にかかってくるのか。

■北村副総長

 正当な組合活動に規制をかけるつもりはない。

■組合

 民間でこうした規制が紛争になるケースの多くは、労働組合員の宣伝活動に対する懲戒処分だ。裁判になると、ビラまきなどが形式上は就業規則に反していても、実質的に業務遂行を妨げていないから懲戒は無効で不当労働行為という判断が下されることも少なくない。これは長い紛争となり、しかも大学側敗訴ということを招きかねない。行き過ぎたトラブルをひきおこすだけの規制はするべきではないし、一人一人の教職員の宣伝活動に投網をかけるような規制はすべきでない。現在の執行部にそこまでの意図はないと思うが、就業規則に定めたことは今後の執行部の規制の根拠となる。たとえば業務の遂行を妨げないように等、表現を工夫する必要があるのではないか。今後の執行部の問題も含めて再考を要請する。

■北村副総長

 健全な労使関係を妨げるつもりは毛頭ない。また裁判で大学が負けるということがあってはならない。事前届出を求める場合の取扱い等については引続き第二部会で検討する。

教員の専門業務型裁量労働制について

■組合

 教員に専門業務型裁量労働制を導入する場合に無限に授業負担が増えて待遇は改善されないということは避けたい。そのために私立大学で実施されている増単手当を提案している。どういうものを担当した時にどのようなものをフェアかについて大学としての考えがあるようなので、裁量労働制が無限の負担増につながらないよう考えてほしい。

今後の労使関係について

■組合

 最後に、労使関係について。

 私たちは、大学と職員組合は緊張関係を保ちながらも、よい大学づくりのために協力しあっていくべきだと思っている。この間もできるだけ一方的に大学当局を批判したり、何でも反対したりする運動スタイルをとらず、よい大学を創る立場から様々な提案をし、当局案に反対する時でも対案を出してきた。就業規則案を大学よりも先に提案したことや今日配布したマニュアルで大学の案を是々非々で評価していることで組合のこうした姿勢を理解していただけると思う。これからもこのように組合は大学の批判的なパートナーになりたいと思っている。これが組合の思いだが、大学側は今後の職員組合との関係についてどう考えているか。聞かせてほしい。

■北村副総長

 大学としてもそういった健全な関係をつくっていきたい。積極的な提言に大いに期待している。したがって誠意をもって今後とも対応していきたい。宜しくお願いする。

■組合

 総務部長回答のなかに組合と協議していくことがあったが、労働協約、団体交渉、折衝や懇談等、法に基づいていずれのレベルのものについても誠実に答えをいただけると理解してよいか。

■北村副総長

 そのように努める。

■組合

 内容的に有意義な交渉になった。法人化の制度設計としては、それ以後もということもあった。法人化以後は労働組合としての団体交渉となるが、むしろそれ以前に、今日の経過を踏まえて意見交換を進めていく必要がある。3月までに労働協約を組合としても提案したい。大学当局として誠意ある対応をしてほしい。特に過半数代表の選出にあたって、組合の要求と提案について、より踏み込んで意見を交換しながら制度実施の進め方について考えてほしい。組合にとっても大学にとっても始めての経験、実験だ。スムーズに法人化できるようお互いに協力して進めたい。

以上


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