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本学の経営上、ボーナス・本給等引き下げの必要性はない!
─「平成21年人事院勧告に伴う本学職員の給与の取扱方針(案)」についての職員組合の見解─

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2009年10月1日:東北大学職員組合執行委員会

本学役員会は9月15日の部局長連絡会議で「平成21年人事院勧告に伴う本学職員の給与の取扱方針(案)」(pdf)(以下「法人案」)を明らかにし、組合にもこれを提供しました。「法人案」の要点は以下の通りです。

本給月額の引き下げ等の給与改定については、本学の基本方針等を踏まえ、実施時期について検討。ただし、平成21年12月期のボーナスについては、これまでの社会一般の情勢および本学を取り巻く情勢等を考慮し、支給割合の引き下げ改定を行う。

 具体的には、2009人勧と同様に、(1)12月にボーナスを0.15月引き下げる、(2)6月ボーナスの「0.2月凍結」は「0.2月引き下げ」として確定する、(3)本給および「現給保障」(註)を平均0.2%引き下げる(実施時期は未定)、(4)自宅に係る月額2,500円の住居手当を廃止する(実施時期は未定)、というものです。これらの改定は、今年度限りのものではなく恒久的なものとなります。これらによる教職員の不利益は相当に大きくなります(資料1)。また、本給の引き下げは退職手当の減額を意味します。

(註)2006年4月の本給5.1%引き下げの際に、それまでの本給との差額を当分の間支給するとした経過措置


 2009人勧および本部役員会の人勧追随姿勢に対する組合の基本的立場については、9月15日付け組合声明「東北大学役員会は、人勧追随をやめ、教職員の奮闘に報いる賃金政策を持て!」においてすでに表明していますが、今回はこの「法人案」に関する組合の見解を述べます。

法人案に関する組合の見解

 役員会は、法人案を提示するに際して、重要なことを3つ述べています。第1に、「本学職員の給与の取扱いに関する基本方針」(資料2)の基本的な考え方に基づき給与改定を行う必要がある。第2に、8月25日の閣議決定や本学を取り巻く情勢等を十分に勘案する。第3に、給与改定に伴って生じる財源の使途についての検討が必要である、と。これらについて、私たちは以下のように考えます。

閣議決定を勘案するなら引き下げの必要はなく、そのことは対外的にも十分に説明できます

 閣議決定は、独立行政法人等に対し「国家公務員の給与水準を十分考慮して国民の理解が得られる適正な給与水準」とするよう要請しています。給与増減の動向ではなく給与水準です。ところで、東北大の給与水準は、事務職員等でみて、国や民間よりもほぼ11%低い水準にあります。また、文科省は、8月26日の全大教との会見で、国立大学法人の「賃金・労働条件は労使の交渉で決めるものである」と言っています。閣議決定や文科省見解を勘案するならば、いま賃金引き下げの必要はありません。ボーナスや本給を引き下げずとも国民の理解は得られます。総長・理事がきちんと説明すればよいのです。

今年度中の給与削減があり得るかのような方針は、自ら定めた基本方針に反します

 「本学職員の給与の取扱いに関する基本方針」は、給与改定の時期について「給与法の改正、労使交渉に要する十分な期間の確保、人件費予算の計画性の確保等を考慮して、翌年4月から実施する」としています。これにしたがうならば、何よりもまず十分な労使交渉をすべきです(資料3)。今年度からの給与削減もあり得るような方針は、自ら定めた基本方針にも反します。

給与削減に固執するなら、それによって生じた余剰財源は人件費で使用すべきです

 本部役員会は、給与引き下げに伴って大幅な余剰財源が発生することを認め、その使途について、教員とそれ以外の職員とに分けていくつかの案を提示しています。前者では、研究費の増額・教育の環境整備・勤勉手当における優秀者選考の増員等であり、後者では、休憩室等の整備・研修経費の充実・業務改革推進関連経費・勤勉手当における優秀者選考の増員等というものです。組合は、給与削減にはもとより反対ですが、どうしても引き下げるというのであれば、それによって浮いた財源は人件費に充てるべきです。たとえば、国家公務員との給与格差を是正するために、教職員の昇格・昇給を大幅に改善できるはずです。

東北大学職員組合は、本学役員会が人勧追随の事なかれ主義を改め、教職員の努力に報いる賃金政策を採ることを求めます。ボーナス・本給等の引き下げは必要ありません。


資料1:法人案の要点と、法人案が実施された場合に発生する不利益

 法人案によると、本給月額(「現給保障」を含む)の引き下げ額は、平均で、教員が919円、事務・技術・医療職が585円です。また6月4日の団体交渉で法人側は、ボーナスの0.2月「凍結」による「不利益の程度」(教員、事務・技術・医療職、再雇用職員別の平均値)を示しています。これらをもとに、ボーナス・本給等の引き下げ額を推計しました。なお、本給の減額は、退職手当の減額につながります

法人案の要点(文責・組合)       法人案の実施による「不利益」(平均額)
実施時期給与引き下げの内容教員一般職・医療職再雇用職員
今年の12月ボーナスの大幅な引き下げ(恒久的に)6月期の「△0.2月凍結」教職員に返さず!△107,000円△57,000円△20,000円
(△0.1月)
12月期にも、「△0.15月の引き下げ」!△80,250円△42,750円△10,000円
(△0.05月)
年間△0.35月の不利益!△187,250円△99,750円△30,000円
(△0.15月)
来年の4月?本給・手当の引き下げ(恒久的に)本給・「現給保障」の引き下げ、「平均△0.2%」月△919円
年間△11,028円
月△585円
年間△7,020円
法人案に記載なし
自宅に係る住居手当(新築・購入後5年間)の廃止該当者は、年間△30,000円(月額△2,500円)現行制度にも住宅手当なし


正職員のボーナスが4.5月→4.15月! 過去最大の引き下げ幅!(参考;1964年で4.2月)
区分6月期(「凍結部分措置済み」?)12月期年間計
 引き下げ従来改定後引き下げ従来改定後引き下げ従来改定後
期末△0.15月1.40月1.25月△0.10月1.60月1.50月△0.25月3.00月2.75月
勤勉△0.05月0.75月0.70月△0.05月0.75月0.70月△0.10月1.50月1.40月
△0.20月2.15月1.95月△0.15月2.35月2.20月△0.35月4.50月4.15月
※ 「凍結部分措置済み」;6月期における期末・勤勉手当等の特例措置により凍結した支給月数分(職員0.20月分、指定職0.15月分、再雇用職員0.10月分)は年間引き下げ分の一部に充当。(法人案より)


資料2:「本学職員の給与の取扱いに関する基本方針」(抜粋)

2005年12月7日 役員会承認

【基本的な考え方】

(1)給与改定について

  1. 国立大学法人には、独立行政法人通則法第63条が準用されており(国立大学法人法第35条)、同条第3項は「給与の支給の基準は、業務の実績を考慮し、かつ、社会一般の情勢に適合したものとなるように定められなければならない」と規定し、その支給水準が国民一般の理解と納得を得るべきものであることを求めている。
  2. 本学の職員の給与改定については、民間企業の従業員の給与の動向、生計費等の諸要素が盛り込まれた人事院勧告を有力な参考資料として基本におきながら決定する。
  3. 給与改定の実施時期については、人事院勧告に基づく給与法の改正、労使交渉に要する十分な期間の確保、人件費予算の計画性の確保などを考慮して、翌年4月から実施する。

資料3:法人側の就業規則改定スケジュール

 法人側が示した就業規則改定スケジュールは下記のようなものですが、「労使交渉に要する十分な期間の確保」をまじめに考えているとはとても思えません。


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