ホームに戻る

教務職員制度廃止および教務職員の待遇改善に関する要望書

2004年11月19日

国立大学法人東北大学
総長 吉本 高志 殿
理事各位

国立大学法人東北大学職員組合
 執行委員長 吉田 正志

国立大学法人東北大学職員組合教務職員対策委員会
 委員長   阿部 幸勇

 教務職員制度は、1949年に副手制度が助手制度に統合された際、助手に任用されなかった人を暫定的に任用するために措置された制度です。教育職俸給表(一)1級(法人化後は、教育職本給表(一)1級)の適用を受けながら2級以上への昇格もありません。しかし暫定的趣旨に反してこの制度は長期化し、本学の歴代総長も、組合との交渉において、教務職員は職務に対して待遇が劣悪すぎる職種であると言明しています。後述の通り、本来法人化を機に本学の制度としても廃止し待遇改善を図ることを労使ともに追求してきましたが、残念ながら現在にいたるまで本学の教務職員制度は存続しています。本年4月1日現在の在職者56名という数字は大規模大学の中でも突出したものです。これまでも、本学および人事院・文科省・国大協において様々な努力や検討が行われてきました。役員会がイニシアチブを発揮して、法人化前の制度検討及び総長交渉で確認された法人化推進本部第一部会の方向性に則った教務職員制度廃止および待遇の抜本改善を早急に図るよう要望するものです。

 1991年に国大協第4常置委員会が出した「教務職員問題に関する検討結果報告」以降、人事院および文部省による特例措置「調整給実甲」の活用により、全国的に概算要求による教務職員の助手振替が大きく進みました。本学においても、それまで定数がなく概算要求による振替が不可能だった部局に対して学部間定数の再配分措置を行う等、画期的な努力がされました。

 法人化に向けた本学の制度検討の中ではさらに踏み込んだ方向性が示されてきました。2002年10月に出された「東北大学制度検討委員会組織業務・人事制度委員会及び目標評価・財務会計委員会の検討結果について(中間報告)」(PDFファイル,学内限定アクセス)においては、「「専門職員」は新しい職名の職員である」と謳った上で、「「教務職員」は移行措置として助手に準ずる職位とし、次第に廃止し、「助手」または「専門職員」の配置に切り替える」としました。これはその後の「中間報告以降の検討に関する報告」(学内限定アクセス)においても否定されることなく、さらに2004年初頭の法人化推進本部第一部会の検討は、具体的に助手や技術職員等への移行に一歩踏み込んだものでした。本年1月に行われた総長交渉において、早稲田副総長は「第一部会の座長として各部局長に、教務職員制度の廃止をベースに、助手にすることが適当な人数、技術職員にすることが適当な人数について調べてもらっている。その調査結果をふまえて第一部会、第二部会で検討する。一定程度解決したいと考えている」と発言しています。こうした大学本部のイニシアチブに教務職員は大きな期待を持っていました。

 しかしその後、法人化推進本部は、「法人化後の大学運営及び移行に関する基本的考え方(その2)」(PDFファイル,学内限定アクセス)において、「学位を持った教務職員を、部局の判断で「助手」に振り替えることも原理的には可能である。ただし、部局によって教務職員の採用・役割等が異なるので、画一的に措置することは適当でない」と述べ、これまでの指導性を投げ出してしまいました。教務職員問題は制度上の問題であり、この期に及んで、「各部局においての、その便宜性」を云々することは言語道断です。それまでせっかく優れたイニシアチブが発揮されてきたのに、法人化直前になって突然問題が先送りされ今日に至っているのです。

 3月30日、法人化推進本部第二部会(座長・北村副総長)は、「就業規則案・労使協定案等に関する主な論点と検討結果」において、教務職員への裁量労働制の適用の可能性について「宮城労働局に確認したところ実態が研究の業務であれば、適用可能とのことである。したがって、教務職員についても、業務内容により、適用できるものとする。実質的には、『専門業務型裁量労働制に関する協定届』の対象人員に加えるものとする」として各部局に通知しています。実態が研究の業務である教務職員への裁量労働制の適用について助手以上の教員と同じように扱い法人化を迎えたのです。それならば待遇もただちに改善すべきではないでしょうか。

 この夏、「教育職俸給表(一)は、1級を削除する」という内容の人事院勧告がなされています。人事院勧告や給与法の改正は非公務員型の国立大学法人にとって直接の関係はありませんが、それでも「教育職俸給表(一)1級」はもはや社会的に存在理由がないことがあらためて宣言されたものであり大きな意義があります。まして本学において「教育職本給表(一)1級」を存在させる意義がないことは法人化前に確認済みなのですから、長年の課題である教務職員問題を一刻も早く解決するべきです。在職する教務職員の高齢化も進んでおり、もはや先送りは許されません。私たちは、役員会がイニシアチブを発揮して早急に以下の措置を行うよう要望します。

要望事項

  1. 教育職本給表(一)1級を廃止すること。
  2. 本学に現に在職する教務職員を、原則として現在の教育職本給表(一)2級(助手)に昇格させること。
  3. 上記2級昇格にあたっては「再計算措置」(調整給実甲措置/1991年11月人事院・文部省)と同等の特別の待遇改善措置をとること。この場合、任期はつけないこと。
  4. 技術職員等他の職種への移行を希望する教務職員については、本人の意向を十分に尊重し、その移行を可能にすること。
  5. 上記技術職員等への移行にあたっては、同様の経歴をもつ技術職員等と待遇面で不利益が生じないようにすること。
  6. いずれの職に移行した場合にも、退職時期や職務等について不利益が生じないようにすること。

ホームに戻る