朝日新聞社発行の『論座』編集部は、2006年3月から4月にかけて、全国87の国立大学法人の学長に、3年目を迎える法人化についてアンケートをし、その結果の「東日本編」が同誌6月号に掲載されています。東北大学については、総長・吉本高志名で次のような回答が寄せられています(70頁)。
【全体評価】どちらかといえばプラスになった。
【プラス面】(1)組織改編の自由度の向上、予算執行の弾力化……自己決定できる範囲が広がり、時代や社会のニーズへ迅速に対応したり、大学独自の理念・目標に向けて改革を進めたりする点で有利(2)中期目標・計画及び評価システムの導入……着実な大学改革の実施及び教育研究の活性化に資する。
【マイナス面】運営費交付金、評価など法人化に伴う新たな制度において、政府の方針やルールが頻繁に変更され、また、なかなか定まらないこと……法人としての中長期的な見通しが立てにくく、ルール改定や新たな方針への日々の対応に追われることとなり、教育研究の継続性が損なわれたり、大学経営の方向を見失ったりする恐れがある。
【悩み、国への要望】効率化係数・経営改善係数により運営費交付金が削減される中、国立大学法人の使命である教育研究等が確実に実施されるよう、基盤的経費の充実及び競争的資金の一層の拡充をお願いしたい。
自己決定できる範囲が広がったという一方、政府のルール改定や新たな方針への対応に日々追われているともいっています。これは一体どういうことでしょうか。何とも矛盾した話のように思われます。
しかし、この法人当局の評価は、矛盾でも何でもないかもしれません。なぜなら、法人当局が自由になったのは政府からではなくて、大学構成員からと考えればいいのですから。つまり、総長をはじめとする管理者層は、政府の意を受けてトップダウン的に方針を下に流す一方、大学構成員の声を聞いてボトムアップ的に方針を決めることはしない、これこそが自己決定できる範囲の広がりという言葉に込められている内容ではないでしょうか。
実際、法人化に際して聴取されたパブリック・コメントは棚ざらしにされ、また過半数代表者は就業規則改正に当たって寄せた意見はほとんど無視されています。それどころか、大学のことを外部に伝える窓口は一本化し、教職員は勝手に外部に意見を発表するなとおどしをかけてさえいます。
法人化がトップダウン的体質を大学にもたらすであろうことは、私たちが法人化前に危惧したことでした。それが現実になっていることは、この大会議案の各所、とくに2章や3章で詳しく触れられるので、そちらを参照して下さい。
法人化がもたらしたマイナスはこれだけではありません。法人当局は、中期目標・計画及び評価システムの導入は教育研究の活性化に資するといいます。しかし、教員が競争的資金の獲得や評価を上げるために汲々としている中で、いったい教育のどこが活性化すると言うのでしょうか。すぐに役に立ちそうもない基礎研究も大学の果たすべき研究の重要な1つの筈ですが、その基礎研究のどこが活性化したのでしょうか。
効率化係数や経営改善係数による運営費交付金の削減はまったく事実です。しかし、法人当局はこの削減に一体どのような抗議の声を上げたでしょうか。教職員は非公務員化された上に、減員もされています。教職員数削減を防ぐためという法人化の謳い文句は一体どこに行ったのでしょうか。また給与体系の改悪も進められましたが、これについても法人当局はほとんど政府の言いなりであって、どこを自己決定したといえるのでしょうか。
要するに、組合が法人化を評価するならば、これはまったくマイナス面の多い制度だというほかありません。
しかし、組合の立場でもプラス面がまったくないわけではありません。それは、非公務員化されたことにより、団結権、団体交渉権、争議権の労働3権が手に入ったことです。この間、私たちは積極的に団体交渉を要求しました。法人当局はこれに誠実に対応することを義務化されました。
こうした中で、たとえば時間雇用職員の忌引き休暇の制度化(当面労使協定という形ですが)や地域手当支給地の拡大といった成果を勝ち取ってきました。公務員のときには、人事院や国会の動きが決定的に重要であり、私たちも法人当局も当事者として何かを決定をする能力をもっていなかったことと比べると、事情は大きく変わりました。
もっとも、団体交渉が大きな力になることは明らかでも、それが実際に有効なものとなるためには、現在の私たちには克服しなければならない課題があることが痛感されます。それは、組合員数を大きく拡大して、せめて教職員の過半数を組織するような組合にならないと、法人当局を揺り動かして要求を実現するような運動を作ることが困難だということです。
そもそも、私たちが手に入れた労働3権は、たとえば団結してストライキを行うという力を背景にして交渉することで、労働者の要求を実現するものです。でも、現在の私たちには、ストライキを打つことはおろか、団体交渉の出席者さえ十分に確保できていません。これでは、法人当局に対して私たちの要求の声に真剣に耳を傾けるようにさせることはできないでしょう。
私たちの組合を大きく、力強いものにするためにはどうしたらいいか。この点を、本大会ではぜひとも積極的に議論していただきたいと思います。
組合員を大きく拡大することは、要求実現のためということのほかに、もう1つ重要な意義をもちます。それは組合財政の健全化をもたらすということです。現在の組合財政は、第2号・第3号議案に表れているように、たいへん危機的な状態にあります。
しかし、私たちの組合が東北地方の諸大学との関係で担っている役割や、宮城県における労働運動の中で歴史的に築かれてきた役割を考えますと、書記2名制は堅持する必要があり、また所属団体との関係についても、一定の見直しを行いつつも、大きな変更は困難な状態にあります。
それゆえ、このままだと遠からずいわば「組合債」を発行するなどして、借金に頼らざるを得なくなるおそれすらあります。これを回避するためには、組合費の値上げという方向もあり得ますが、それでなくても高いという印象を持たれている組合費の値上げは、現実的には困難でしょう。
そうなりますと、残る道はやはり組合員数を大きくするほかありません。この点からもぜひとも組合員の拡大を実現することが求められています。
組合員の拡大には、さらに別の効果があります。それは、本部・支部を通して、役員の負担軽減につながるということです。
現在、書記局員以外の組合の役員は、すべてボランティアでまかなわれています。自分の仕事をこなした上で、勤務時間外に組合の活動を行っています。しかし、法人化されて以降とくにその傾向が強まっているようですが、自分の仕事だけで手一杯で、とても組合のことまでも手が回らない、いわんや役員になるなどとんでもない、と訴えられることが多くなっています。
そのような事情は役員になっている者もよく理解できます。なにしろ自分自身がそうなのですから。でも、団結とか連帯という言葉がほとんど死語に近くなっている今だからこそ、大学という職場の教職員はお互いに助け合って、教育・研究の場としての大学を維持・発展させていくことが必要です。それを可能とする場の1つが組合ですが、その組合のボランティアの人数を増やして、1人にかかる負担を少なくすること、これが組合役員になることの敷居を低くすることにつながります。
組合の将来及び活性化にとって、役員の引継ぎを順調に行っていくことがぜひとも必要です。組合員拡大が望まれることはここからも明らかでしょう。
(1)組合の基本的な目的は、
(2)世界と地域の未来をつくる大学、いかなる権力からも自由で創造的な大学をめざします。大学の自治を維持・発展させ、学問の自由、学内民主主義、自律性原理を基本に真の大学改革を進めていきます。
(3)教職員の生活と労働条件、職場環境をより良くしていくために、労働3権を全面的に行使していきます。
(4)全大教に結集して政府や「社団法人国立大学協会」との交渉、全国の大学に共通する課題に取り組みます。
(5)情勢を正しく把握し、地球環境、平和・民主主義、文化の各課題について、広範な市民、団体とともに運動を進めます。
(1)基本要求と政策策定活動にもとづいて、団体交渉等を通じてそれらを実現する存在感のある組合をつくります。
(2)支部活動の活性化、計画的な組織拡大を進めます。
(3)組合に加入していないすべての教職員を視野に入れ、組合の方針、実績、重要性をわかりやすく広報します。また、多様な宣伝方法を適切に活用し、加入しやすい組合づくりを進めます。
(4)次代の組合の担い手の育成に努めます。若い世代の多い事務職員、看護師、助手層へのアプローチの仕方を工夫します。
(5)准職員、時間雇用職員の労働条件改善を進め、正規職員との格差是正に努めます。
(6)組合員拡大を大きく前進させる中で、財政の健全化をはかります。組合費負担を少なくするための工夫を引き続き検討します。
(7)過半数代表者の民主的な選出と適切なサポート活動を通じて、就業規則・労使協定をより良いものにしていきます。またその活動を通じて、組合の団体交渉の重要性を教職員に伝えていきます。
(8)教職員共済生協大学支部宮城地区支部と協力して、教職員の教職員共済生協への加入を促進します。
(9)他大学への出向・転籍に際しては、全大教全体として組合員減とならないように単組間での連絡を密にします。
(10)憲法・教育基本法の改悪に反対し、戦争のない平和な日本と世界の実現に向けて努力します。
2004年4月から国立大学法人となった東北大学は、これまでの体制から法人化体制に移行する過程で、全国にその名を轟かせました。国立大学法人法によって設置が義務づけられている「学長選考会議」が「総長選考会議」の名で設置され、これまでのような広範な大学構成員による「投票」を一切排除して、次期総長選考は総長選考会議のみによって行われるとしたことが、全国の大学関係者を驚かせたのです。さらに、このような重大事項が、ある日突然大学外部の報道機関から聞こえて来たということも、大学構成員にとってはショッキングなことでした。爾来、大学の重大発表は、大学外部の報道機関から得るのが普通になってしまいました。
各大学では、法人化の枠の下でも以前のよいところをどのように温存してゆくかという運用論を議論している矢先でしたので、東北大学の総長選考に関する措置は、「法人化とはかくあるべし」という「お手本」を示したような形になってしまいました。その後、法人化における諸々の施策が一々文部科学省の想定通りに行われ、今や東北大学は法人化を文字通りに進める、法人化最先端の大学として全国に知れ渡ってしまいました。
そもそも国立大学の法人化は多分に政治的なものであり、これを行うことによって国立大学の教職員を非公務員化し、以って数字の上での公務員の数を減らすという、パーフォーマンス的効果をねらう目的で導入されたことは周知の事実です。ところが、そこにはこの機に乗じて教授会の権限を剥奪し、大学運営をトップダウン方式に変えるという明確な企図がありました。しかし、曲がりなりにも国家が行う施策であるわけですから、ただ単に「各教授会が権限を持っているので大学としてなにも決められない。従って、トップダウンがよい。」というだけでは、これまたパーフォーマンス的十把一絡げの言い方にすぎず、何ら法人化の説明になっていないと言わざるをえません。 私たち職員組合は、国立大学が法人化されること自体が問題であると指摘してきました。しかし、法人化が法律で決定された今、役員を含む大学関係者がとるべきことは、大学らしく、まずこれまでの問題点と継承すべき点をきちっと分析し、これに基づいた改善策をつくることでしょう。そして、法人化の枠組みの中でいかにそれを発現していくかに腐心すべきではないでしょうか。ただ単に我先にと法人化に突っ走ればいいというものでは決してない筈です。法人化された組織下にあっても、国立大学法人法の運用を工夫することによって、これまでの大学の優れた点を継承する大学運営が可能であり、そこに大学人の英知を結集することが重要ではないでしょうか。
大学運営においては、東北大学ではすでにあらゆる重要事項は上意下達となっており、部局によっては部局長の下に運営会議などが設けられ、教授会がまったく形骸化されてしまったところもあります。いずれにしても運営に関する重要事項は報告事項であり、これに対して教授会がものをいうような道は閉ざされています。「このようにした方がいいのではないか」などの提案を法人当局にすることすら教授会はできなくなっています。そのようなパスがないのです。これでは、よりよい大学を創ろうとする構成員の求心力は喪失してしまいます。
予算構成では、法人化以前からすでに始まっていたCOEなどの重点的予算導入があり、それと対をなす定常的研究費の大幅削減が行われてきました。いまや主研究費の財源は、競争的資金ということになり、ほとんどすべての教員がその獲得に翻弄される事態に立ち至っています。その上に、法人化によって大学中央枠の人員・予算を確保するために、研究・教育のための本来の人材や定常的研究費が更に減少するという事態が生じました。競争的資金の獲得に当たっては、その資金の額によって研究環境に大きな格差が生じ、持てる者と持たざる者の違いを際だたせています。このことは、「どれだけ多額の資金を獲得したか」という指標を各教員の評価に陰に持ち込むことにつながり、その反映として効率主義・成果主義・金権主義による大学運営が当たり前のものとなってきています。その結果、多額の資金を獲得した者のみによって運営される大学ができつつあります。こうして、大学にとって最も重要なものの一つである「大学構成員の多様性」が失われると大学に魅力がなくなり、ひいては優れた学生や研究者を惹きつけることができなくなるのではないかと懸念されます。
一方で、人員・予算の中央枠を大きくとっている法人当局は、各部局に対してより多くの外部資金獲得を煽り、その一部を吸い上げる予算構造を作り上げました。下部組織から運営資金を搾り取るだけなら、世の中にこんな楽な職はありません。しかし、これまでに法人経営者が、多額の外部資金を自ら獲得したという話を聞いたことがありません。それどころか、経営者の何たるかを問いただしたくなるようなことがいくつもありました。
高年齢者雇用安定法改正に伴い、2007年度より新たに高齢者を継続雇用する必要が生じますが、そのための運営費交付金の増額はされません。これに対して、組合は、「新たに作られた法律に従って行う措置なので、新たな予算が必要である」というごく当たり前の主張をし、「そのことを大学経営者は文部科学省に申し入れすべきである」と主張しました。これに対して、経営側は、「この法律は一般企業にも及んでおり、各企業に対して、そのための予算措置を国はしていないのであるから、国立大学の運営費交付金の増額などは論外である」と文部科学省から一喝されたと後日答えました。
企業が高齢者を新たに雇用すれば、当然そのための人件費がかかりますが(儲かるかどうかは分からないけれども)、人を増やした分、収入は増える可能性もあります。これに対して、大学は営利企業ではないので、新たに高齢者を雇用した場合、そのことによる金銭的収入は0なのです。従って、どうしてもその人件費を運営費交付金の増額で補わなければなりません。結局、法人当局は、この法律に沿った出費を大学の内部でやりくりするという手法をとりました。つまり、本来別の用途に利用できる予算をこれに投入したのです。文部科学省の役人を説得する努力もせず、経営者として自らこのための外部資金を調達する努力もせず、大学内部にしわ寄せすることで解決を図りました。これで経営者たり得るのでしょうか?
給与問題では、大学教職員はもはや公務員ではないのに、ただ単に人事院勧告にほとんど従うという道をとりました。大学経営者として、人事院勧告以外のいろいろな可能性を検討したのでしょうか?
全国的に見ても、法人下の大学経営者が文部科学省に言うべきことを言えないとすれば、これはそういう大学経営者の決め方に問題があると言わざるを得ません。法人当局との団体交渉における組合のスタンスは、労働組合としてのものだけではなく、できれば大学人の英知を結集してよりよいものにしようというものでした。私たちは、給与問題に限らず法人側の諸提案に対して、専門的知識を持つ組合員を交えて事前に何度も議論し、何が問題であるかを指摘してきました。しかし、当局との交渉で私たちが見たものは、本来独立であるべき法人としての姿ではなく、変えようのない回答を携えてどこからか派遣されてきた者(そして、またどこか別の所へ移ってゆく者)の姿でした。
法人化後の大学運営の重要部分はすべて法人当局が握っており、これに対する大学構成員の法人当局に対する意思表示の場は、大学の組織図上もはや存在していません。このことは、根本的に大きな問題を孕んでいます。法人当局は、絶大な権限を持っていて、役員会で決めたことを大学構成員の意向とは無関係に実行に移すことができます。例えば、人員や予算の中央枠は当局が自由に決め、各部局から吸いあげます。しかし、各部局の教授会はそれに異議を申し立て、修正することはできません。
法人当局は会社の取締役会のようなものですが、それとは決定的な違いがあります。それは、株主総会に当たるものが大学法人にはないということです。即ち、法人当局が行うなんらかの施策に対して、たかだか法人当局の内輪の範囲でしか検証がなされないのです。これでは法人当局は圧倒的に特権的な階層となり、大学の健全な発展を阻害することになりかねません。これは、法人当局のあり方に関して、改善すべき大きな問題点であるといえます。また、大学構成員にとっては、法人当局に対して経営者と労働者という関係でしかものが言えないようになってしまったことになり、まことに残念なことです。
さらに残念なことは、法人化の下であれ、大学構成員の英知を結集することによって、より優れた研究・教育環境を創っていこうとする姿勢が見られないことです。これは、法人当局が法人化の形を整えることに汲々とし、何が大学にとって最も必要かという問題設定が誤っているからに他ならないのではないでしょうか。このような状況下で、職員組合の果たすべき役割は、本来の労働組合の役割以上のものを含み、ますます大学の発展にとって必要な存在になってきているといえます。
前年度に引き続き、専門的知識を持つ組合員の強力なサポートを得て、職員組合のシンクタンクとして、賃金・人事制度検討委員会が活動しました。とくに今期は、給与改定問題や継続雇用問題、及び新教員組織問題など、差し迫った重要問題が山積しており、これらの問題に精力的に取り組みました。いずれの問題に対しても、法人当局の対応は遅く、この検討委員会が常に先んじていました。論拠のない人事院勧告重視に見られるように、法人当局はその主張を組合に論破されても、その基本方針を変えることはしませんでしたが、賃金・人事制度検討委員会の強力な支えの下で、地域手当の支給地域拡大を勝ち取ることができました。
賃金・人事制度検討委員会は、2004年10月下旬に立ち上がり、2006年4月までの間に10回開催され、その他に拡大賃金・人事制度検討委員会や人事課との懇談会なども行われました。また、教職員組合賃金・人事制度検討委員会名で、給与改定に関する法人側提案に対する職員組合の意見を提出しました。
賃金・人事制度検討委員会が、今期に発表した政策文書は、次の4つです。これらは、当局との交渉に当たりその威力を発揮しました。また、組合員をはじめとする大学構成員に大学の現状を示す資料として大いに活用されました。
学校教育法が一部改正され、2007年度から新教員組織が導入されることになりました。従来の「助教授、助手」を廃止し、「教授、准教授、助教、助手」という教員組織に移行することになります。これに対して、職員組合では拡大教文部会を開催し、任期制の導入も絡むこの問題を学内の様々な立場から検討しました。全学から約20名の参加を得ました。
この拡大教文部会が開催されたのは、2005年11月1日のことで、その時点では法人当局の方針はまだ決まっていませんでしたが、現助手の助教への移行に伴う任期制の導入が最も大きな問題として議論されました。その半年後にようやく法人当局からの方針が発表され、教授会レベルでその運用形態について議論が始まりました。当局が示した基本方針は、テニュア・トラック制の導入を原則とするというもので、助教の任期制を伴うものです。基本方針に抵触しないような部局毎の経過措置が問題となっています。
拡大教文部会での議論を活かし、現助手の助教に移行する過程での任期制の導入は、組合として阻止せねばならない重大な問題です。
これは、2007年度から導入される新教員組織に伴って発生する問題で、とくに現助手については職務上の大きな変更を余儀なくされるものです。
新制度では、現行の「助手」が廃止され、「助教」と新「助手」が新たに導入されます。このとき、新助手はキャリア・パスのない教育の補助、研究の補助であり、現行の助手とは異なるものです。助教は、これまでの助手とは異なり、独立した研究・教育者として位置づけられています。テニュア・トラック制が導入されれば、助教には任期がつき、現行の任期なしの助手から移行するとき、問題が生じます。
新教員組織に関する法人当局の方針は、第6次案として2006年5月24日に発表されました。これに先だって、3月23日に法人当局主導の「教員組織新制度に関するWG」第1回目が開催され、担当理事、財務課長、人事課長及び全学から9名の委員が出席しました。その後、当局の案に何度か修正が加えられ、第6次案に至りました。法人当局は、各部局に対して、この第6次案をベースにした各部局の教員組織新制度を立案するように要請しています。
その後のスケジュールとしては、6月〜7月の部局長会議または教育研究評議会で、各部局から出される第6次案に対する問題点を議論し、これらの議論を踏まえて、法人当局は9月の教育研究評議会に最終案を提示することになっています。第6次案の主な内容は、「テニュア・トラック制度の活用を図ることを原則とする」というもので、新教員組織の具体的制度はほとんど各部局に任されています。
最大の問題点は、2007年度から現行の「助手」という職が無くなってしまうことです。従って、現職の助手を続けることが制度上できなくなることです。現行の研究教育を進めてきた助手は、助教へ移行すべきなのですが、助教に任期がつくことになると問題が生じます。
この問題とは独立に、学内では金研や医学系の教員にすでに一律任期制を採用しています。任期制の根拠法は、1997年6月13日に公布された「大学の教員等の任期に関する法律」ですが、その第4条には、いわゆる「流動型」、「研究助手型」、「プロジェクト対応型」の3つの場合に限って任期を定めることができるとあります。すなわち、この法律が定める任期制は選択的なものであり、限定的な運用を想定したものとなっています。
これに対して、一律任期制を採用している医学系や金研は、「東北大学全体としての一律任期制ではないので違法ではない」としています。この解釈の是非はともかくとして、すでに任期制を採用している部局では、現職の助手から助教への移行は、大きな問題にはならないかもしれません。
テニュア・トラック制では助教には任期がつきますが、任期のない助手から任期つき助教に移行する場合、次の2点に留意する必要があります。それは、(1)本来、教員の任期つき雇用には本人の同意が必要であり、かつ(2)教員の任期制は法律による限定的任用制であるという点です。従って、法人当局が大学の規則として現助手に一律に任期をつけることはできないはずです。
現職の助手の実体は多様であり、多様性を踏まえた解決策を見いだす必要があります。職員組合としては、現在任期のない助手については、任期のない助教とすることを主張します。また、助教としての新たな教育義務に見合う待遇改善や研究費配分などの権利の改善を要求します。
(1)労働3権を効果的に行使して運動を進めます。とりわけ団体交渉を重視し、交渉能力の強化につとめます。
(2)職種ごとの問題や要求を的確につかみ、政策化した上で、問題の解決、要求の実現につとめます。
(3)新教員組織の導入に伴う助教の職務拡大に見合う待遇改善を要求します。
(4)「2006年度の基本要求」を策定し、積極的な要求運動を進めます。
(5)賃金・人事制度検討委員会を中心に、人事制度と賃金体系の学習・調査を行います。その上に立って、賃金要求の方式や水準設定に関する方針を確立します。導入が予想される能力主義や成果主義に基づく評価システムについては、それが研究・教育の質を高めるのにどのように機能するのかという観点で議論を深め、法人当局に申し入れを行います。
(6)管理運営事項についても、よりよい大学づくり、透明で公正な経営、労働条件の確保の見地から積極的に取り上げていきます。
2004年12月13日の東北大学総長選考会議において作成された「国立大学法人東北大学における総長候補者の選考及び解任の申出に関する規程(案)」は、経営協議会および教育研究評議会から各5人以内で推薦された総長候補者および本学の教授・助教授30名以上の連名で推薦された者(第5条)について、総長選考会議が「前条に基づき推薦された総長候補者を基礎として、最終の総長候補者1人を決定する」(第6条)というものでした。
この「規程」(案)には、多くの他大学において同じ国立大学法人法に基づきながらも取り入れられている(「選挙」という名称は使えなくても)「意向投票」という名での広範な大学構成員による投票を、制度として確保しようとする定めが一切ありません。これは、他大学の大多数が当然の前提としている、法人化を経ても学内民主主義とそれに基づく大学自治を守ろうとする態度とは対極的なものであると言わざるを得ません。しかもこの「規程(案)」は、次期総長の選考において現総長・現理事らの意向が幾重にも働くことを可能にするものですらあって、時代錯誤的・独裁的で「反民主的」とさえ言えるような制度でした。
そして現に、小田滋・総長選考会議議長は2005年2月19日の「日本経済新聞」紙上において「旧帝大はいずれもマンモス化し、他学部のことどころか、自分の学部でも、学科や専攻が違うところの事情を知りはしない」、「今のような状態で、学長を大学構成員の、見識が必ずしも豊かとはいえない末端のスタッフにまでひろげて選挙で選び出そうとすれば、世帯の大きな学部に票が自動的に固まるのは避けられない」などという、東北大学構成員の大多数を愚民扱いして、学内民主主義を真っ向から否定する暴言までをも行っていました。
そしてまたこの「規程」(案)は、国立大学法人法第21条第1項において「国立大学法人に、国立大学の教育研究に関する重要事項を審議する機関として、教育研究評議会を置く」と明確に規定された存在である教育研究評議会の役割をことさらに軽視した、脱法的手続きで制定が強行されました。
すなわち、この「規程」(案)については、2004年12月21日に行われた教育研究評議会において小田議長が「選考会議での制定に先立って、参考までに同評議会に提示する旨の報告」を行いました。そしてこれを「議事」として処理することによって教育研究評議会で審議の上承認されたかのごとく装っているのですが、しかしその実は、植木選考委員会幹事が「規程」(案)を読み上げただけで反対意見など出されても無視し、実質的に「審議」などされていないのです。「学長のリーダーシップ」が文科省等によって喧伝され、法人化によって教授会の権限が大幅に弱められてしまった現在において、国立大学法人東北大学の総長選考規程が「国立大学の教育研究に関する重要事項」に該当しないはずがないにもかかわらずです。
そして、この「規程」(案)は2005年1月24日の「役員会懇談会」において、それまでに学内で出されていた多くの反対意見を無視して原案のままの制定を強行されてしまいました。このような異常な手続きで制定されたこの「規程」(案)には違法の疑いさえもあると考えられるので、私たちはこれを正規の規程であるとは認めていません。
職員組合は、この過程において、この「規程」(案)とその制定手続きが数々の重大な問題点をはらむことを指摘するとともに、この「規程」(案)を白紙撤回し、広範な大学構成員の意向投票を盛り込んだ、公正で民主的な総長選考規程を正常な手続きによって制定するよう、総長選考会議および法人当局に対して繰り返し要求してきました。
具体的には、2005年1月17日付けで声明「東北大学総長選考会議による「国立大学法人東北大学における総長候補者の選考及び総長解任の申出に関する規程(案)」(2004年12月13日)に関する要望」を発表するとともに、小田議長・吉本総長に送付し、同年2月には「『総長候補者の選考及び総長解任の申出に関する規程』の撤回と、公正で民主的な総長選考方法の制度化を求める署名」を、紙媒体の他にWeb署名の形でも行い、5月までに約400筆の署名を得て、6月にこれを人事担当理事に手渡しました。
組合のこれらの活動は、組合員だけではなく、意向投票制度を必要と考える教員層や部局長レベルの人々に至るまで多くの大学構成員の共感を得ることができ、次項で述べる動きに繋がっていきました。
総長選考会議から教育研究評議会および経営協議会に対して総長候補者推薦の依頼がなされたのは2005年12月19日のことでした。しかし、その8ヶ月前の2005年4月19日総長選考会議において「本会議としては、経営協議会及び教育研究評議会に候補者の推薦を求めることになるが、総長候補者を推薦する方法は、具体的な総長選考に先立ってそれぞれで定めることであるので、なるべく早い時期にこの両機関においてこの手続きを検討しておかれたい旨を総長選考会議議長からそれぞれの議長に申し入れしておく必要がある」との確認がなされていました。
これを受けて、同年6月21日の教育研究評議会で総長候補者推薦方法検討WGの設置方法を検討することになりました。このときの議事要録には、「議長(=総長 −引用者注)から、教育研究評議会のもとに総長候補者推薦方法検討WG(仮称)を設置し9月中旬までに検討願いたい旨要請があり、同WG構成員の選出について種々意見交換を行った結果、本会議終了後、渡邉歯学研究科長を座長として総長及び理事を除く評議員で検討することとした」とあります。このことによって、教育研究評議会における総長候補者推薦方法検討WGを設置するにあたって現総長・現理事の意向が直接反映されることが不可能となりました。
その結果、渡邉歯学研究科長が総長候補者推薦方法検討WG座長に選出され、9月20日の教育研究評議会において、「意向投票」の規定を盛り込んだ「教育研究評議会における総長候補者の推薦に関する内規(案)」が示されました。その後、部局での討議を経て、11月15日教育研究評議会においてこれが「教育研究評議会における総長候補者の推薦に関する申し合わせ」として承認されるに至ったのです。
教育研究評議会における総長候補者推薦の手続きは、右図のようなものです。
教育研究評議会が推薦する総長候補者の選考方法に関する概要
I 総長候補者資格
人格が高潔で、学識が優れ、かつ、大学における教育研究活動を適切かつ効果的に運営することができる能力を有する者
↓
II 教育研究評議会で総長候補適任者10人を選考
ア i 評議員による候補者2人の推薦
※同一部局に所属しない者2人を連記
ii専任の教授・助教授15人以上による推薦
イ 上記候補者に基づき、評議員による3人連記の無記名投票
↓
III 総長候補適任者は所信表明書及び履歴書を提出
↓
IV 意向投票
常勤の理事及び専任の教授、助教授、講師、助手並びに事務職員、技術職員その他の職員のうち課長補佐相当職以上の者による単記無記名投票
↓
V 総長候補者の選考
教育研究評議会は意向投票における得票数を基に5人以内を選考
↓
VI 結果の公表
意向投票の結果及び選考結果の公表
この図に示されているように、今回定められた、教育研究評議会から推薦される総長候補者の選考における「意向投票」には、法人化に至るまで総長選挙の選挙権が一切なかった教員以外の職員についても、「課長補佐相当職以上の者」という限定付きではありますが、投票権が認められたという明確な前進があります。
今回の教育研究評議会における総長候補者選考においては、上図のIIの段階で辞退者が発生したため、意向投票の対象になった「総長候補適任者」は6名となりました。そして今回の意向投票は、この6名を対象として2006年3月9日に行われました。
上記申し合わせにおいては、「教育研究評議会は、意向投票における得票数を基に5人以内の総長候補者を選考する」とされています。しかしまた一方で、これと同時に定められた「総長候補者の選考方法に関する申合せの実施について」には、「得票数が有効投票数を総長候補適任者の人数で除した数に満たない者については、これを選考しない」との定めがあり、この条件を満たした者は井上明久副学長(金研所長)のみであったため、今回の選考において教育研究評議会から推薦された総長候補者は、井上氏1名のみということになりました。
また、この後に経営協議会においても総長候補者の選考がなされ、そこでも同じく井上氏1名のみを推薦することとなったので、総長選考会議において選考される候補者は事実上1名のみという結果になりました。
このことについて、同会議の小田議長は、3月22日、「今回総長候補者として1名しか推薦されなかったことは、本選考会議の想定外の事態でありました。私個人としてはこれは決して望ましいこととは思っておりませんが、本年4月に任期の始まる新たな選考会議は、次回以降の本学の総長候補者選考に向けてこの点についての今回の反省等も踏まえてより望ましい国立大学法人の総長選考手続についてさらなる検討を行うことを期待したいと思います」という「談話」を発表しました。
今回の総長候補者選考は、上述のような経緯をたどって、辛うじて学内民主主義の圧殺を回避できたという結果に終わりました。しかし、これは小田議長のみならず恐らく大部分の大学構成員にとって予想外のことであり、このように教育研究評議会と経営協議会の推薦する候補者が完全に一致することなど今後も期待するわけにはいきません。また小田議長の「談話」に明確に現れているように、恐らく総長選考会議はこの事態の再現を防ぐための方策を講じることになるだろうと考えざるを得ません。
そして何よりも重要なことは、総長選考会議における総長候補者選考の過程に意向投票が盛り込まれていないことに一切変わりはないという厳然たる事実です。教育研究評議会による意向投票でいかに圧倒的支持を得た者がいたとしても、経営協議会(国立大学法人法の定めにより、構成員の半数以上が学外者でなければならない)の推薦する総長候補者が決定される過程において、広範な大学構成員の意志が反映されることは明らかに不可能なのです。それゆえに、現在の「国立大学法人東北大学における総長候補者の選考及び解任の申出に関する規程(案)」に基づいて総長選考が行われる限りは、大学構成員の意志とはまったく無関係な者が総長として選出されてしまう可能性が依然として存在します。
また、今回の意向投票において教員以外の職員の一部にも投票権が認められたことは確かに前進ですが、それが「課長補佐相当職以上」であることが果たして適切であるかどうかについては疑問の余地が残ります。
さらに、教育研究評議会は、「意向投票」を実施する以上は、その開票後直ちに各総長候補者適任者の得票数を公表するのが当然のことであるはずです。しかし今回に関して言えば、開票後直ちに公表されたのは総長候補者として井上氏1名のみが推薦されることになったという事実のみでした。そして各総長候補者適任者の得票数については少し遅れて、しかも部局教授会等を通じて知らされるという理解しにくい経過をたどりました。
教育研究評議会がこの意向投票を実施できたことは学内民主主義を守るための多大な努力の賜物であり、もちろんそれ自体は組合としても高く評価します。しかし、それが広範な大学構成員の意向を問うための投票である以上は、各人の得票数についても、少なくとも学内向けには開票後直ちに公表するのが当然です。組合としては、この点については明らかに改善の必要があると考えます。
組合としては、今後も総長選考会議や役員会の動向を監視すると同時に、次回総長選考の時期までに現状の問題点を洗い直し、あくまで民主的で公正な総長選考規程の制定を求め、時間をかけて「組合案」を策定した上で、総長選考会議ならびに法人当局に対案として突きつけていくといった、積極的な行動を取ることが必要です。
今期は、給与問題に関する団体交渉が主なものとなりました。しかし、団体交渉の中では、給与問題以外の問題も適宜取り上げ、法人当局に現状の改善を要求しました。
その1つとして、准職員、時間雇用職員の待遇改善の要求があります。5月2日に法人側にこの件に関する団体交渉を申し入れ、以後行われる団体交渉でたびたびこの問題を取り上げました。
人事・給与に関して、法人当局は4つの提案をしました。その第1に法人当局が示した「本学職員の給与の取扱いに関する基本方針」は、本給を最終的に平均5.1%引き下げ、現在の調整手当を廃止し代わって地域手当を新設するという内容のものでした。この関連の交渉は、11月9日及び12月16日に行われ、組合は断固反対の立場で交渉に当たり、移行措置や地域手当の適用範囲について交渉を継続しました。なお、この交渉の過程で、「地域手当の非支給地についても財務状況を見ながら支給を検討する」旨の理事発言を引き出しました。
1月24日には、当局からの「65歳までの継続雇用システム(案)」について交渉が行われました。この案は、改正高年齢者雇用安定法に基づき、60歳定年以降「再雇用制度」によって継続雇用を可能とする内容でしたが、当面、いわゆる行政職系職員のみが対象で、教員についての制度案は示されませんでした。再雇用に際しては、希望者が全員再雇用されること等を要求し、雇用期間の設定、賃金の水準、などに関しては交渉を継続しました。
引き続き、当局から提示された「事務系職員等の新たな人事評価システムに関する基本方針(案)」について、1月26日に交渉を行い、公平性・簡素性が重要であるという主張をしました。
法人当局のこれらの一連の提案の最後に示された「新たな能力開発システムに関する基本的考え方(案)」については、2月1日に交渉が行われ、職務に関連する個人の能力開発を大学がバックアップするシステムを整備することには賛成しました。ただし、現在起こっている法令遵守に抵触するような多くの問題点の解決を具体的に進めるよう要望しました。
法人当局からのこれらの提案に対する組合の暫定見解は、2月9日に発表し、さらに2月14日に賃金・人事制度検討委員会見解として詳細な組合の見解を示しました。その後も、団体交渉は継続して2月15日、2月23日、3月16日に行われました。しかしながら、3月17日の法人役員会で給与改定案は原案通りに決定されたため、3月31日の団体交渉では、法人側給与改定強行に対して強く抗議し、給与問題に関する交渉は決裂しました。
(1)具体的成果
(2)問題点
法人側の問題点
十分誠実に交渉に対応しているとは言えない点が多々ありました。例えば、人事院勧告重視とした給与改定問題では、組合は人事院勧告に追随して東北大学の給与水準を引き下げることには、まったく合理性がないことを繰り返し指摘してきました。とくに、東北大学は昨年度黒字を計上しており、給与引き下げを行わなければならない財政状態ではなく、また人事院勧告・給与法改正に追随しなければ運営費交付金が減額されるということもなく、給与引き下げを行わねばならない財政上の必要はありませんでした。
にもかかわらず、法人当局は組合の主張にまともに答えることができずに、最初から人事院勧告遵守ありきという状況でした。このことについては、ほとんど交渉の余地がありませんでした。私たちは、宮城県が5.1%の給与引き下げを見送ったという例を挙げ、宮城県の事情と同じように東北大学職員の給与は一般の国家公務員の86%しかないことに鑑み給与引き下げを行うべきでないという主張も行い、このことを役員会や経営協議会に紹介するよう要請しその回答を待ちましたが、紹介もされませんでした。
法人当局が、組合の要求内容に誠実に答える努力をせず、ただ交渉回数さえ重ねれば、それで誠実交渉義務違反にならないと考えているのではないかと懸念します。
組合側の問題点
法人側との交渉においては、交渉を包み込む教職員の参加人数が圧倒的多数というところまでは至っておらず、もっと多くの参加を呼びかける必要があります。また、労働組合としての交渉力量を上げていくことや、組合員拡大によって組合そのものの基盤を固めていくことが重要です。
交渉要求は、これまで積み上げてきた組合の政策を踏まえて作成しました。要求項目は、下記の通りです。
1)准職員、時間雇用職員の待遇改善について
2)長期勤続者のリフレッシュ休暇(特別休暇)を新設すること
3)超過勤務の実態を把握して、不払い労働を根絶すること
4)事務職員、技術職員、看護師等の年休消化率の実態について早急に調査しその結果を示すこと
全教職員を対象にした広報活動としては、給与問題について11月に本部・支部の協力で学内便のダイレクトメールを送りました。
2004年の法人化後、2年が経過しました。法人化をきっかけに、実働できる技術職員組織の再構築にむけた動きが生まれ、中規模大学を中心に技術職員自らによる組織確立の努力によって進められています。また、法人化による労基法・労働安全衛生法の適用によって、技術職員に対する安全衛生関係業務の要請が行われ、各種資格取得の取り組みが進められているのも特徴的です。
これまでの全国各大学組合で展開された「職群確立・処遇改善の運動」によって、いくつかの大学では専門技術組織としての位置づけを確立し,独立した技術部の動きを進めています。しかし、処遇改善については、部分的な改善が行われてはいるものの、全体的には法人化による多忙化や財源不足を理由に昇給昇格の遅れが見られており、後退していると言わざるを得ず、抜本的な解決には至っていません。一方,これまでの定員削減は、技術職員組織の年齢構成にアンバランスをもたらしており、団塊の世代の大量退職時期をひかえ、各大学の技術組織の再構築にあたっても大きな障害となっています。
全国各大学の法人化後、決定権限が各大学に委ねられたことから、技術職員の組織化については各大学それぞれの実情に応じて、独自の取り組みが進められています。その動きの特徴は、中小規模大学を中心として、機能する組織への改組の動きが活発に進められていることです。また、部局組織から全学組織への改組を目指している大学、技術部組織そのものを解消した大学なども出ています。
東北大学の動きとしては、これまで組織があった理学研究科、金研、多元研では部・室による組織的な動きがありますが、人数の少ない農学研究科、流体研、通研、加齢研、生命科学研究科では大きな動きは見られません。
一方、大部局である工学研究科では、2005年4月に技術部が設立された以降、組織の確立に向けた動きが出ています。94名の技術職員が、技術本部、系技術室に専務および兼務で所属し、教育研究支援業務に従事しています。技術本部には技術部長、統括技術長を中心に、技術企画室・総合管理支援室・合同計測分析室・製作技術支援室を設置しました。部の運営は、技術企画室で組織管理・業務受発注・広報・研修・事務局の体制をとっています。また、各系に技術室を設置し、室長および各係長を中心とした組織体制となっています。室の運営は教員と技術職員で構成する技術室運営委員会で討議しています。
昨年度、新規職員を4名採用されましたが、今後毎年数名の定年退職者が予想されるため、現員数を維持したいとして、今年度は目的採用を含め7名採用しました。
運営については、まだ体制が十分整っているとはいえません。技術職員は、これまで各研究室・施設で指示されて職務を行ってきました。組織的業務・運営に不慣れであるため紆余曲折が考えられます。今後は計画立案能力や組織運営能力が要求されることになります。
また、当面の技術部運営予算はまだ決定していませんが、研修費なども含め計画運用が要求されることになります。これらの経理・会計能力も必要となります。部、室も含め技術職員の業務を把握し、支援しつつ、これまでのような個人でのみ業務を行うことから、組織(チームプレー)として業務を行っていくことになります。必要な時には他室・各系室に応援に行くことも考えられます。 工学部では、技術職員が大学に職として存在して以来の大転機を迎えています。自立した組織体として、技術職員自ら提案、計画・立案し実行していくシステムづくりが早急に望まれます。工学部では技術組織に対する理解が不十分な教員も多く、また技術職員自身の議論も不十分なままスタートしていることから、他大学・他部局を見習いつつ、働き甲斐のある自立した技術組織を早急に構築する必要があります。
大学の法人化に伴なって、研究教育現場における安全衛生関係法令が人事院規則から労基法・安全衛生法にかわり、一般企業と同様に過失があった場合には罰せられることになりました。各部局では、安全衛生委員会の立ち上げとともに、衛生管理者の定期的な巡視や環境測定、安全衛生教育が義務づけられています。
企業とは異なり、学生も対象としている教育研究現場では、安全を第一とした教育・研究が行われなければなりません。危険な装置・薬品の扱いには現場を熟知している技術職員の役割は重要です。したがって、第一線の現場で学生と接する技術職員の指導と役割は大変重要なものとなっています。単なる業務負担増とならないように技術組織としての位置づけを明確にし、専任業務、あるいは手当の支給を検討すべきです。
科研費申請では、これまで奨励研究(100万) が唯一技術職員の申請可能な科研費でしたが、一昨年度「科学研究補助金の申請についての制度変更」によって、いわゆる「教員」でなくても「研究者登録」をすれば技術職員も研究者と同様の科研費を申請することが可能となりました。しかし、登録後は奨励研究 への申請はできなくなります。また、研究者と同様の土俵で良いのか等の問題点もあります。
一般企業においても団塊の世代の大量退職が話題となっていますが、大学の技術職員の場合も同様に2年後の2010年ごろには大量の退職が見込まれます。これまでの無計画な定員削減政策によって50代以下がほとんどいない技術組織となっており、これからの教育研究支援体制にとって重大な問題となっています。これまで培われてきた高度な専門技術が失われてしまうことのないよう、年代や技術継承を考慮した早急な組織的対応が必要となっています。
これまで、各部局において部局単位で研修発表会、研究会を行ってきました。これに加えて昨年より全学の専門研修とあわせて、東北大学総合技術発表会が開催されています。第2回を迎える東北大学総合技術発表会は、2005年12月14日〜15日、工学部技術部を中心に青葉山工学部キャンパスで開催されました。東北大学として初めて全学的に技術職員が一堂に会する機会ができたことになります。これをさらに大きく発展させ、東北大学すべての技術職員が集えるよう取り組む必要があります。
組合では、技術職員の研修が、技術職員の研究教育における技術的専門性を明確にし、より高度の技術を獲得するためにも重要であるとの観点から、組織化の取り組みとともに重要視して取り組んできました。日々進展する研究に対応できるよう専門技術を習得し、かつ組織的に継承することは、技術職員に課せられた義務でもあります。あわせて、技術部として組織的に技術開発に取り組み蓄積していくことも必要です。
技術組織の確立は当面の重要な課題です。「大学の研究教育は、教員、技術職員、事務職員の3者(組織)の協力・協同によって発展させる」との観点は共通認識となりつつあります。したがって、技術職員は、教育研究の遂行において「教育研究に直接関わる専門技術」をもって貢献することが業務となります。
しかし、これまで、位置づけや業務規程が不明確で、俸給表も事務職員と同様の行政職表であること、専行職の適用問題に関しても大学の技術職員の業務内容があいまいなことから適用除外された経緯があります。したがって、法人化後の各部局における技術組織の確立の過程で、「技術職員像」について明らかにしつつ、それに基づく組織を形成・運用していくことが重要です。法人における就業規則においても「専門技術職」として明確に位置づけることも必要となります。
行一の国家公務員の賃金水準を100とした場合、大学の事務職員は全国平均で83であり、技術職員はさらに低いと言われています。給与表は一般事務職員を対象としたものが使われています。技術職員の専門的な技術業務を評価した独自の給与表を作成すべきです。
教員、事務職員と同様に、業務評価が技術部に対しても求められており、すでにいくつかの大学の技術組織では、職員の業務評価をいかに行うべきか検討に入っています。組合としても、多種多様な業務を行う技術職員が正当に評価されるよう注視し、問題点を指摘し、提言していくことも必要です。
今年度の技術職員部会としての具体的取り組みは、全国代表者会議への派遣と東北地区技術職員集会への参加でした。全国各大学との交流を進めることにより、先進的な大学の動向を知ることができました。また、東北地区各大学の現状および具体的取り組みについて交流し、東北地区としての結束を深めて、東北大学の組織化の取り組みの参考とすることができました。
技術部会としては,全学的な技術組織のあり方を含め,技術の専門性,人材の確保が重要である点を示し、技術職員数に関しては最低でも現員の確保、さらに各部局技術部組織の増員を勝ち取っていく必要があります。
(2)技術職員の年代を考慮した採用を要求します。
(3)大学技術職員の職務を明確にした「技術職給与表」の新設を要求します。
(4)技術職員の待遇や昇格の改悪に反対し、昇給昇格改善に取り組みます。
(5)団塊世代の待遇改善と、定年退職後の再雇用問題に取り組みます。
(6)研究教育に関わる専門技術の向上・技術継承が可能な専門研修体制、組織マネジメントに関する研修の充実に取り組みます。
(7)新教員組織への移行に伴なう助手の二分化と技術部組織との関係に注視します。
東北大学では長年の懸案だった教務職員制度廃止が2005年4月に漸く実現しました。一方、学校教育法改正によって、2007年4月に教員組織が、教授―准教授―助教―助手(新「助手」)、という新しい区分に改編されます。このことについて、2006年6月12日に中期計画担当理事から部局長、評議員に「教員組織における新制度の導入及び移行に関する方針(案)」が提示されました。この「方針(案)」は、新「助手」について、『専門的な知識・技術等に基づいて、教育研究活動を補助することを主たる職務とし、本学の教授、准教授、講師、助教等の教員が教育研究に専念できる環境の醸成に資する重要な職』と位置付け、『部局の判断によって適切に運用する』としています。
「助教授」「助手」の位置付けの引き上げという積極面を生かすべきことは当然ですが、他方、新「助手」が、「専門的な知識・技術等」にふさわしいキャリア・パスが保障されないままに、制度上、長年低い待遇に据え置かれる「新たな教務職員」となってはいけません。「方針(案)」をふまえて、新「助手」についての問題を整理します。
主体的な研究を職務としないこととなる新「助手」は、教員任期法の適用対象ではないので、雇用期間の設定にあたって、労基法第14条と就業規則第10条2項の適用が問題になります。従来、正規教員に任期を付ける場合には「任期法」に則り、正規職員に雇用期間を設ける例は看護師の新採用の場合のみ「任期付医療職員」による運用がされています。しかも看護師の「任期付医療職員」としての採用は、あくまで准職員採用からの改善としての措置です。
「方針(案)」および「現に在職する者の新制度への移行スキーム(案)」には、「現在の職務内容及び採用時における合意等に応じて、「助教」あるいは「助手」に移行する」「現在、任期制を採用している部局において、任期の適用を受けない状態で在職中の教員の移行措置の詳細は、部局の責任で実施する」と述べられているだけですが、最低限新「助手」には定年までの雇用が保障されることを明確にすべきです。
新「助手」は、職務の位置付けから「助教―准教授―教授」へというキャリア・パスの範囲外となります。また、現在の助手職について、部局によっては事務助手やポストドクトラルフェローとして運用されています。新助手について、何らキャリア・パスを整備せず長年にわたって低い待遇に据え置き、「教務職員問題」の無反省な繰り返しを招くことは許されません。
「方針(案)」は、新助手について、「実験・教材の準備等の「教育の補助」あるいは測定の実施や実験機器の維持管理等の「研究の補助」を担い、「専門的な知識・技術等に基づいて、教育研究活動を補助することを主たる職務とし、本学の教授、准教授、講師、助教等の教員が教育研究に専念できる環境の醸成に貢献する職務」として位置づけています。
職務を明確にすることには合理性があります。しかし、教務職員制度の廃止は、多くの教務職員の長年の不利益を十分に補うものではありません。こうした旧教務職員の職務と待遇が、教員組織の再編を機に、不本意に切り下げられることがあってはなりません。
また、技術職員の一部が現に果たしている職務領域との重複の問題もあります。新制度による待遇改善のあり方と合わせて、職務の区分、あるいは、両者を包括した専門職のあり方等について十分に検討する必要があります。さらに、「教育・研究の補助」といっても、たとえばシステム管理者、国際交流のコーディネーターといった専門性の強い職務については高い処遇が必要です。
任期のない旧助手から新助手に移行する場合には、少なくとも雇用期間の定めのない形態で移行しなければなりません。また、授業を担当するかどうかといった現実的な問題について明確な規準の設定を求め、チェックする必要があります。
今後問題が顕在化してくる可能性も含め、必要な体制をとって新助手をめぐる問題に対応していきます。
(1)運営費交付金を毎年削減するという制度に加え、昨年暮れの小泉内閣の行政改革によってさらに事務職員の数が減らされることになりました。いっそうの組織の再編成や業務の見直しが求められていますが、業務の見直しや一元化の計画が職員の削減に追いつかず、また、法人化による新たな業務も加わり、健康を害するまで働かされている職員も少なくありません。
法人化前の理事との約束も無視され、相変わらず予算ありき・サービス残業容認の風潮が続いています。この間いくつかの大学や高専に労基署の指導が入っています。それにもかかわらず、根本的な解決方法も示さないまま事務職員の善意に甘えている法人当局に対して、職員の間に不満が蓄積されています。
「高年齢の雇用」や「人事評価システム」の導入が進められています。不利益・不公平のないよう、慎重に当局と話し合いを続ける必要があります。
(2)各大学の中期目標や中期計画に記載されているように、大学の管理運営に参加する事務職員の役割が求められています。知識を身につけ能力が発揮できるよう、系統的な研修を確立しなければなりません。そのためにも業務量の軽減が必要となっています。
(3)新しく加入した組合員や各支部に点在する組合員のためにも、事務職員独自の活動が重要です。しかし、部会を開けない状態が続いています。不満が蓄積している事務職員の組織強化のためにも、組合の存在意義を広くアピールし、仲間を増やす活動が重要です。
(1)業務の見直しや適正な人員配置を求め、超過勤務を減らす運動と同時に、不払い労働をさせない運動を強めます。
(2)「高年齢の雇用」や「人事評価システム」について、慎重に法人当局と話し合いを続けていきます。
(3)職場実態のアンケート調査を行い、改善すべき事項を具体化した上で、法人当局に改善を要求していきます。
(4)事務職員部会を定期的に開催し、点在する部会員の情報交換と交流を深めます。
(5)次世代育成支援推進法に基づいた東北大学一般事業主行動計画を、実効あるものにするために、協力し進めていきます。
(6)本部執行委員会や他の専門部の協力を得ながら、知的・質的向上をめざすための学習会を行います。
(7)東北大学から他大学や高専に出向している組合員の労働条件改善のための取り組みを行います。
図書館サービスの拡大が進み、それにともない大学内外からの利用や問合せが増えています。2004年度からは市民への資料の貸出が始まっており、2006年度は、学内での資料配送サービスやオンライン・レファレンス・サービスの試行があります。個人情報保護法をふまえ利用者の情報保護に留意した業務遂行等、業務の質の向上もたえず求められています。
また、「司書資格」が図書館職員採用の条件ではなくなり、係長昇任の若年化、本館と分館との間での昇任のアンバランスなど、働く環境の変化も進んでいます。しかし、こうした従来の人員数配置の下でも労働強化の懸念される状況であるにもかかわらず、むしろ人員削減が進められています。
本館と分館との間でも、経歴評価の違いや一部職員に偏した起用のあり方への不満、現場業務の実状を正しく反映させた実行可能なシステム設計をすべきだといった声も聞かれます。
こうした中で、働きがいある図書館にしていくために組合が果たすべき役割は、ますます重要になっています。とりわけ図書館においては、正規職員と准職員や時間雇用職員の業務内容はほぼ同じであり、准職員等の待遇改善を通じて働く環境を良くしていく観点が重要です。
たとえば、システム更新にあたって、准職員等は現場の業務に習熟していてもワーキンググループには入れられず、逆に正規職員は熟練度が低くても参画し、その間の本来業務を熟練の准職員等が補うといったことが多々あります。雇用形態にとらわれずに適材適所を追及することや、能力開発のための研修を平等に受けられることなどを、は積極的に要求して行くべきです。
(1)図書館職員アンケートに取り組み、労働条件や働く環境の改善のために活用します。
(2)図書館改革のあり方について、職員の声の反映に努めます。
(3)雨宮キャンパスの青葉山への移転の影響について、情報集約をすすめ必要な対策をとります。
(4)図書館業務の実態をふまえて、准職員、時間雇用職員の働きがいと正規職員との格差縮小を求めます。
小泉内閣によって提出された「健康保険法等改正案」は、多くの反対世論にも拘らずほんの2ヶ月のスピード審議で6月14日の参議院本会議において成立させられました。その主な問題点は、高齢者を中心に自己負担を増やすこと、また保険のきく診療と保険がきかない診療を組み合わせる「混合診療」の拡大が盛り込まれたことです。これまで「混合診療」は、「高度先進医療」や「差額ベッド」などの例外を除いて、原則的に禁止されてきました。しかし、この医療改悪法に盛り込まれた中身は、高齢者を中心とした最も医療を必要とする人へ負担増を強いるものであり、さらにはお金がない人には十分な医療が提供されない、「差別医療」につながる危険性もあり、国民皆保険制度を崩壊させてしまう内容になっています。
1961年に国民皆保険が完成し、国民の大きな運動の中、長い間、労働者本人は10割給付、1973年には国や自治体が費用を負担する老人医療の無料化が実現しました。しかし、老人医療は1983年に有料化され、また労働者本人の自己負担は、1985年に1割負担、1997年には2割負担、2003年には3割負担になるなど、闘いによって勝ち取ってきた水準が引き下げられてきました。そして今度は、国民の健康を破壊する重大な医療制度改悪がなされたのです。「所得の格差が命の格差」につながるような制度改悪に断固反対して、国民が安心してかかわれる医療制度を実現する運動を大きくしていかなければなりません。
東北大学病院も法人化されて3年目に入り、なお一層の経営改善が求められています。4億5千万円の増収が課せられ、さらに必要な経費を入れると約7億円の増収が必要とされています。これを達成するには、在院日数の短縮(今年度の診療稼動目標として平均在院日数20日未満を経営戦略企画会議で提示され、5月現在平均21.8日)と入院稼働率(4月現在で1268床中79.6%、稼働率が80%を下回っている診療科、病棟については80%以上になるようベットコントロール依頼があるが、全科を通して200床は連日空いている状況にある)を上昇させなければなりません。
この3月には新東病棟が完成し、9月には移転予定であり、全国の国立大学病院の中でも有数の病床数(1308床)となります。また、高度救命救急センターのオープンなどがあり、重要な1年となっています。さらに歯学部附属病院との統合、高度先進医療センターとしての向上の課題などもあります。
しかし、それに伴う職員数の増加はされておらず、超勤は日常的で、年休や毎日の休憩も満足に取れず、現場は過酷な状況に置かれているのが現状です。とくに看護師は、4月現在ですでに18名の欠員が生じており(この数は看護単位1病棟の看護師の配置数に相当する)、安全で安心そして信頼のある看護を提供する上で大きな障害になっています。医療の現場では、労働条件の改善こそが、患者にとっても職員にとっても、そして経営改善にとっても最も重要です。
また、4月からの診療報酬改定は、過去最大の3.16%の引き下げ幅となり、この引き下げのために、初・再診料をカットし様々な加算も廃止されました。一方で医療の質を高めることを掲げて、入院患者に対する看護職員の配置数が一定以上であれば、入院基本料をより多く得られる仕組みも強化されました。患者1人当たりの入院基本料(1日あたり)を得るためには、入院患者に対する看護職員の配置基準の最高区分「7対1」(旧表記では「1.4:1」)を実現することが必要であり、東北大学病院がそれを実現するためには、今の看護師の数に対しさらに150名の増員が必要です。看護部では来年度の看護師の採用活動をすでに始めているということです。
病院支部では、昨年度の12名に続き、2006年度の新採用者オリエンテーションで組合の説明を行い、12名の新人看護師の組合加入がありました。
また、6月7日に、新人看護師7名、2年目の看護師2名の仲間を囲みながら、21名の参加で盛大に歓迎会を行うことができました。1人ひとりの組合に入った時の想いも話されて、いつになく盛り上がりました。
組合は、准職員を正規の職員にすること、また、新しく採用する際は、正規職員として採用するよう団体交渉で要求してきました。その結果、昨年度まで准職員で採用していた新人看護師を、今年度は正規職員として採用させることが実現しました。しかし、この採用は、1年という任期付き雇用にとどまり、課題を残しています。
さらに、超過勤務問題については、これまで新人看護師は、超勤を行っても勤務時間内として措置されてきましたが、これがやっと撤回されました。しかし病院全体に徹底されていないのが現状です。新人看護師は、時間外に、日常業務に欠かせない学習指導を受けていますが、明確に超勤とは位置づけられず、超勤費を支給するか否かは看護師長の裁量に委ねられているのが現状です。
学習会の取り組みとして、「給与明細の見方」について、また「看護を語る会」と題して看護のあり方について学習会を開催し、新組合員1名を含む20名に近い参加がありました。
また、16回全大教医科系大学教職員懇談会は東京で開かれ、1名が参加しました。教職員の身分保障と労働条件の改善、そして組織強化にむけて討議がされ、有意義な集会でした。
組合掲示板については、これまで多くの人の目に留まる病院内の中央廊下に、2ヶ所の掲示板が確保されていましたが、前年度より病院の改築にともなって看護部の前に場所移動となりました。これは、人目につきにくい所である上、これまでの2ヶ所から1ヶ所に減らされました。一般職員や患者さんの目にも触れる場所に掲示板を設置することを引き続き要求していかなければなりません。
(1)病院支部として仲間づくりに力を入れ、後継者を育てることについて話し合いを持ち、実行に結び付けていきます。
(2)看護師をはじめ、病院職員の増員に取り組みます。
(3)准職員を正規職員に、また看護師の採用にあたっては、任期のつかない正規職員として採用することの実現に取り組みます。
(4)超過勤務の実態や年休取得率を明らかにして、年休取得率の引き上げ、また、超過勤務の全額保証を目指します。
(5)全大教病院協議会に結集し、医療改悪に反対し、国民が安心して受けられる医療と福祉、社会保障の充実を求めて取り組みます。
東北大学には2006年5月1日現在、准職員261名、時間雇用職員921名、「教育・研究系」464名、「寄付金・事業費」384名、計2030名の非正規職員が働いています(法人側資料より)。国家公務員の定員削減政策により、東北大学では1970年〜2004年の間に700名を超える定員が削減されました。長年にわたる定員削減により減らされた正規職員の代わりに、准職員、時間雇用職員が基幹的業務を担っています。また最近は、派遣、外注化等、雇用形態も多様化し、非正規職員をとりまく環境が大きく変わろうとしてきています。
就業規則の中で、准職員はフルタイムの有期雇用、時間雇用職員はパートタイムの有期雇用として明確になりました。准職員はいわゆる「日雇い」ではなく、また時間雇用職員という名称でも「時間雇い」ではありません。しかし依然として正規職員との格差は解消されていません。とりわけ1980年7月以前採用の准職員70数名は、正規職員と全く同等に知識や経験を積み重ねてきており、東北大学の業務を円滑・効率的に遂行する上で欠くことのできない存在になっています。フルタイムで「任用中断」も継続雇用限度もない労働者を正規職員から格段に低い労働条件にすることに合理性はなく、長期の准職員については一般の職員就業規則が適用されるべきでした。
また、准職員等はそのほとんどが女性で占められており、「女性を劣悪な待遇で働かせてもかまわない」という一昔前の価値観と呼応するものです。東北大学が推進している男女共同参画社会実現の課題として直視すべき問題です。
組合は、以前より、准職員、時間雇用職員への夏季休暇(有給)の付与を求めてきました。夏季休暇は、盆等の諸行事や心身の健康維持・増進、家庭生活の充実のためには休暇が必要である、という趣旨で創設されたものです。同じ職場で働く者の労働条件は、正規、非正規にかかわらず同じであるべきです。
法人化後に導入された「計画年休」に伴う年次有給休暇の消化もあり、有給3日の夏季特別休暇は、准職員、時間雇用職員にとって切実な要求です。しかし、2005年6月と7月、2度にわたって行われた団体交渉では「ほぼゼロ回答」といってよいもので、またその説明としても「計画年休が実施されている事業場で、年休がない人に5日間の特別な休暇が与えられているという兼ね合い」「正規職員・非正規職員の格差についての経営側としての判断」といった、まったく合理性のない、誠意の疑われるものでした。
同じく団体交渉で求めた「時間雇用職員に病気休暇と忌引き休暇を付与すること」は、准職員に準じた「病気休暇(無給)、忌引き休暇(有給)」(労使協定による試行)を獲得することができました。大きな成果です。しかし、「2005年度の試行」と位置づけられながらも、2006年度も労使協定のままというのは、今後の課題になります。
なお、労働条件通知書について、時間雇用職員の通知書は「次期雇用期間更新の有無」の項目について、団体交渉での確認にしたがえば、「有り」(更新限度なし)とすべきところ、「未定」とされている部局がありました。これについて2006年6月の団体交渉でとりあげ、当該部局について「更新予定有り」での再発行を実現しました。
夏季休暇について、2006年6月5日および6月28日の団体交渉で法人側は、「心身の健康の維持及び増進などの点で夏季休暇は重要な課題」との認識と「労使協定による有給2日間での試行」という姿勢を示しました。一歩前進であり、組合は過半数代表者にこの労使協定の締結を働きかけています。正規職員との格差是正へとさらに運動を強めていく必要があります。(交渉継続中)
国家公務員法制のくびきから解放された今、労働基準法、パート労働法、判例等を活用して、また他大学の先進事例にも学びながら、准職員・時間雇用職員の要求実現に取り組んでいきます。
准職員、時間雇用職員の待遇改善
教職員共済の組合員は、2006年4月現在325名(内宮教大31名)です。(前年度350名)
今年度の給付状況は、総合共済の入院休業1件25,000円、火災共済の一部焼が1件213,000円、自動車共済対物が24件4,077,559円・対人が14件5,022,014円、終身共済の入院が1件80,000円、医療共済が24件3,632,400円でした。(大学支部調べ)
今後も組合加入時を中心に教職員共済の加入促進を図って行きます。
労金一斉積立特融会員は、2006年4月現在130名です。(前年度133名。但し、金研・図書館・農学部は支部直接扱い)
今年度から「特融預金」が、「本人確認法」「ペイオフ完全解禁」「個人情報保護法」等に基づき、個人預金(エース預金)へ切り替えられることになりました。
このため「特融預金」を組合管理から個人の責任に基づく管理へ(個人預金へ)切り替える手続が実施され、各会員の通帳が作成・配布されました。
このことは、他労組のように給与天引きによる一括入金処理であれば問題はないと思いますが、当組合のような納入作業では問題が多く、今後、見直す必要があると思います。
今期借り入れ申請は2件3,500,500円でした。
(1)2005年度末に定年退職された方々に感謝状と記念品を贈呈しました。(定年退職者16名)
(2)退職者の会の会員は現在121名が加入しております。米寿・喜寿をお祝いしての記念品贈呈や、温泉旅行等を行い懇親・交流を深めました。また、組合との絆を保つ「コア」を「退職者の会ニュース」と一緒に数回届けて来ました。
退職者の会は組合の良き理解者であり、また互いの要求実現を目指してこれまで通り連携を深めて行きます。
厚生部活動の一環として「雪と温泉と懇親のつどい」を行いました。詳細については、以下の【資料】をご参照ください。
福利厚生活動の充実は、組合の魅力を側面から後押しすることになります。
「教職員共済」・「労金」に、我々の要望を取り入れた運営を堅持してもらうよう働きかけて行きます。
−「雪と温泉と懇親のつどい」での学習について−
厚生部では、以前には各支部にいた労金・日教済の担当者の研修と慰労の場として「厚生部合宿」を行い、講師をお呼びして労金と日教済のしくみや健康に関する講演などを行ってもらっていました。ところが労金・日教済のシステム自体が変化したことによりほとんどの支部で担当者を置かなくなったことから、2004年度にはこの合宿を行うことの意義を考え直すことにし、一旦中止となりました。しかしこれは数少ない支部間の合宿交流と懇親の場でもあったことを考えて2005年度には衣替えの上で実施することとなりました。
年明け間もない1月8・9日の連休、各支部から参加者を募り、また本部執行委員は極力全員参加の全学組合員交流集会として「雪と温泉と懇親のつどい」が青根温泉エコーホテルで行われました。当初は名前どおりの温泉での交流行事として計画しましたが、やはり組合活動の参考になるような学習もしようということになり、全大教中執の竹中寛治氏、NTTの少数派組合である通信労組の宮城県副委員長の小原勝さんを来賓講師に迎え、総勢16名で出かけました。
竹中さんからは他大学の組合の拡大活動での奮闘と成果をご教示いただき、参加者一同大いに反省し、また決意を新たにしました。NTTの小原さんは、東北大職組としては、20年も前の民営化による「非公務員化」の大先輩(?)からその後の経緯と状況を教えてもらおうというごく単純な動機から講演をお願いしたに過ぎませんでした。しかし、小原さんのお話しにこれでもかこれでもかと出てくる民営化(=非公務員化)以来のNTTの労働条件の悪化ぶりには、参加者一同、文字通り青ざめ、半ば言葉を失ってしまいました。小原さんの講演の内容の最重要部分だけでも、以下のようなものがあります。
2002年3月にNTTグループの経常利益は7,182億円もあったのに、「11万人リストラ」が始まった。5月に「51歳以上『雇用形態の選択』」なるものが実施され、子会社への再雇用か全国配転かの選択が強制された。それまでと同じ場所で同じ仕事をするにはNTTを退職して子会社へ再雇用されねばならず、そうする場合には、東北の場合は賃金も退職金もあらゆる手当も、さらには出張旅費までもがそれ以前の7割となり、それを拒否してNTTに残ると全国配点(東北からは主に首都圏へ)の対象となってスキルを無視した高度な営業の業務に職務転換ことされるになった。宮城からは3人の組合員が首都圏へ転勤させられ、この脅かしで対象者の97%がNTTを一旦退職、子会社への再雇用に追い込まれて30%の賃金カットになった。これより前の2001年4月に「成果・業績主義」賃金制度が作られていた。この「成果・業績主義」は労働者をSA、A、B、C、Dの5段階に分けて評価するものだが、電話の設置や交換機のメンテナンスなどを行う技術的な職種では標準のC(期待し、要求する程度であった)を上回りようがなく、また同時に、子会社の業務とはすべてNTTからのアウトソーシングであって、子会社独自の営業努力などは存在し得ない。2003年2月には月例賃金にも評価が導入され、2004年12月にはさらにこの「処遇体系」の見直しが提案されてさらに成果・業績主義重視となり、これによって、扶養手当・年齢賃金が廃止されて評価の原資とされ、また、都市手当も現在では東京23区でしか支給されなくなった。これらの賃金体系改悪を経て、小原さん自身も電電公社時代以来ずっと宮城県内で同じ職種で働き続けているにもかかわらず、年収が最盛期の半分近くにまで減った。最大組合のNTT労組(旧全電通)がこれらに対して何の異議も唱えないので、役員会での一方的決定が簡単に押しつけられてしまう。またNTTでの「評価」とは、『業績目標設定表(チャレンジシート)』なるものを書かせ、それを基に毎年4月、10月、2月の3回直属上長との面談で決められるものであって、上司による全く恣意的な評価が可能なものである…
東北大でもこの4月より、たび重なる団体交渉での組合の追及に対して合理的な反論もできないうちに人勧「地域別賃金体系」への法的根拠も合理性もない追随による5.1%賃下げが強行されました。さらに能力・実績主義の「事務系職員等の人事評価システム」が導入されつつありますが、ここにも、上出のNTTの「チャレンジシート」そっくりのものが出てきます。また、教員に対しては間もなく、過酷な評価による熾烈な実績主義と助教授・助手職廃止=准教授・助教職への移行に乗じた任期制の拡大とをリンクさせた攻撃が行われようとしています。
NTTがこれらの賃金改悪をしているのは赤字だからではなく、賃金をカットして浮かせた金は膨大な内部留保として溜め込まれているのです。そして、赤字でもないのに賃金引き下げを強行したのは東北大も同じです。また東北大では2006年に入って、事務職員と教員の双方で評価と昇給を直結させた人事システムが提示されています。評価が恣意的にならないよう組合は監視を強めねばなりません。この状況で、NTTの先行事例は極めて重要な参考になります。
「厚生部合宿」を衣替えし、より交流・親睦会的な色合いを強めるつもりで行った「つどい」でしたが、結局その成果は、国立大学法人の人事システムに対して今までよりはるかに厳しい認識を参加者一同が持つことに帰着し、温泉という意外な場での労働組合意識の強化という効果でした。
(1)2006/1/13(金)、「旗びらき」の名称をあらため、「新春交流会」を片平市民センターで開催しました。
(2)2006/1/21(土)新春囲碁大会を金研の職員集会室で開催しました。(参加者約10名)また、将棋・百人一首・オセロなども行い、囲碁と同様に真剣勝負が繰り広げられました。
(3)2006/4/20(木)にコア編集委員会・青年部と共催で「手作り餃子パーティ」を書記局で行いました(参加者18名)。自前でこねた餃子の皮はコシが抜群で、複数参加してくれた新しい組合員も「楽しかった」と言ってくれました。
(4)2006/5/1(月)メーデー宮城県集会には、組合から約40名参加することができました。文化的な参加という点では、デコレーションコンクール等への参加の停滞が克服できず課題を残しています。
(5)上記の主な行事の他にも、コアと青年部が主催して2005/11/24にボウリング大会を行いました。また、アウトドア派の多いコア編集委員会が牽引して、取材を兼ねて“体を動かす"行事を多く企画実施しました(9/10雁戸山登山、11/12桑沼・鈴沼散策、1/23バドミントン交流会、3/11北面白山・三沢山登山、5/20(土)蛤山登山、6/1(木)ほうとう作り)。また、2005年度の本部執行委員会は、「青年」と「女性」の比率が高いことが特徴でした。文化活動も若い女性執行委員に依拠して、コア編集委員会と青年部と文化部が協力して実施したものが目立ちました。また組合員有志で「生ギターでうたう会」も行いました。良い企画を実施しているので、参加者を広げることが重要です。
(1)組合員の親睦と連帯を図りながら、文化レクリエーション活動に取り組みます。
(2)部局間の交流をもっと活発にするために、多くの組合員が参加しやすいイベントを企画・宣伝します。
(3)イベントを企画する際、青年部や女性部、コア編集委員会などと協力して、組合活動の活性化を図ります。
(4)参加が広がってみんなが元気になるよう、企画した行事の宣伝や誘い方を工夫します。
東北大学の男女共同参画委員会では、これまでに講演会やアンケート調査を続け、2005年は「育児休業に関するアンケート調査」を行い、結果がホームページに掲載されました。これを見ると、制度について知らない人が多いことや、知っていても周りの人の理解が得られず利用できない人が多いことも明らかになりました。
このような状況の東北大学が、全国では名古屋大学と並んで男女共同参画推進に熱心に取り組んでいる大学として注目されています。全国のレベルがいかに低いかは、全大教女性部定期大会での「実効がなくてもあるだけでうらやましい。うちの大学はそういう雰囲気がない」という大学が少なくなかったことにも裏付けられました。
今年度の昇任の状況を見ると、女性教員については相変わらずの低い比率であり、職員についても徐々に女性の管理職が生まれているとはいえ、差は縮まっていません。
出生率が1.25人と最低の記録を更新した原因の大きなひとつに、仕事と家庭を大切にしながら、健康で人間らしく働き続けたいとの男女共通の願いに逆行する国の政策があります。
職場での運動とともに、人間が大事にされる社会実現のために、大きな連帯の運動が重要な時期です。
○ミニ旅行「登米市の歴史探訪」
2005.10.16(日)
退職者の会女性部と共同で取り組みました。
○学習会「自分らしい旅立ちをするにはー元気なうちに自分の最後を考えてみよう」
2006.6.21(水)片平市民センター
15名参加
・県労連女性部定期大会 2005.10.29
・国公女性協議会 2005.11.15
・第16回宮城はたらく女性のつどい 2006.2.4
講演「人間らしく自分らしく」中田進氏(関西勤労協) 6名参加
・国際女性デー宮城県集会 2006.3.8
講演「日本がどこへ進もうとしているのか」 塚本三夫氏(中央大学) 11名参加
・全大教東北地区女性交流集会 2006.6.10〜11
岩手大学主催 5名参加
参加するに当たり、次世代育成支援対策推進法に基づく「東北大学一般事業主行動計画」の実施状況について、当局に質問状を提出しました。
(1)第51回日本母親大会 2005.7.23〜7.24(つくば市) 2名参加
(2)第46回宮城県母親大会 2006.6.25(柴田町) 9名参加
2005年 エルパークの存続を求める団体署名
2006.3.8 赤紙配り 1名参加
(1)男女共同参画社会実現のために
(2)元気になれる楽しい活動(ミニ旅行・学習会など)を企画します。
(3)部員名簿を整備し、活用します。
(4)女性組合員の多い病院支部と農学部支部との交流を企画します。
(5)第52回日本母親大会(7月22・23日・長野)及び第46回宮城県母親大会の成功にむけ取り組みます。
(6)国際女性デー・宮城はたらく女性のつどい実行委員会に参加し成功にむけ取り組みます。
(7)女性部として多くの女性教職員に組合への結集を呼びかけます。
青年部は、主に、青年層の交流の活性化をめざした活動を行なっています。
今年度は、本部執行委員会に3名の青年が参加していることを追い風に、委員長による会食会を皮切りに、青年部活動の立て直しにつなげる観点で、諸企画の活用をはかりました。11/24(木)にはコア編集委員会との共催でボウリング大会を実施し、12/3-4(日)には小田原で行われた全大教青年部総会に2名参加し、全国の仲間と交流しました。1/13(金)の新春交流会ではじゃんけんゲームで協力し、コア編集委員会の呼びかけた1/23(月)のバドミントン企画にも参加しました。4/20には「手作り餃子パーティー」をコアと共催で実施しました。ちょうど多元研での組合員拡大がすすんでいる時期で、身近な青年同士で、皮も具も手づくりで仕上げる餃子作りを楽しく体験する機会になりました。また、10月の国公ボウリング大会や、11月の国公青年協総会に参加しました。
また、4月の初任者研修の際には、新入職員への資料配布などの加入呼びかけを行い、若手の組合員の加入がありました。
(1)スポーツや学習会等、部局内及び他の部局の青年層との交流や情報交換ができるような活動を企画します。
(2)7/22-23(日)に仙台で行われる全大教全国青年交流集会や全大教青年部の総会への参加をはじめとして、全国の青年との交流の機会を積極的に活用します。
(1)12月11日(日)エルバーク仙台セミナーホールにて、宮城・研究者「九条の会」の発足集会が開催され、この集会には本部執行委員のみならず組合員、退職組合員が多数参加しました。
(2)1月25日(水)「国際平和友好旗びらき」(憲法問題学習会を含む)、2月11日(土)「2.11信教・思想・報道の自由を守る宮城県民集会」、4月6日(木)「ベネズエラ訪日代表団来日歓迎連帯のつどい」、5月1日(月)「メーデー宮城県集会」、5月3日(休)「憲法集会」等、憲法改悪、教育基本法改悪、イラク戦争や自衛隊派兵に反対する集会、学習会、宣伝行動に参加しました。とくに、今年のメーデーは、反動法案の国会提出が控えていたこともあり、金研支部をはじめ、組合からは退職組合員を含め約40名が参加しました。
(3)原水爆禁止2005年世界大会参加は組織できませんでした。5月6日に礼文島を出発した2006年国民平和大行進は6月18日宮城県入りし、組合では22日の仙台市内行進に参加しました。
(4)平和問題対策委員会全体の活動としては不十分でした。とくに、前年度の活動方針の課題「各支部から平和問題対策委員を募り、日常的な取り組みの立て直しをはかる」は残念ながら実現できませんでした。
国民投票法、教育基本法改悪、組織犯罪処罰法(共謀罪法)等の法案が国会に提出され、日本の平和や人権の危機が招来されようとする中、当組合も今年こそ各支部も協力のもと、平和問題対策委員会を組織し、日常的な取り組みの立て直しをはかる必要があります。
(1)核兵器の全面禁止・廃絶を求める運動を進めます。また、被爆者との連帯を進めます。
(2)有事法制の発動と具体化に引き続き反対します。
(3)平和憲法を守り、憲法を生活にいかす取り組みを進めます。
(4)平和と地球環境を守る運動に大学の英知が反映されるように取り組みます。
(5)組合員の思想・信条の自由、政党支持の自由を保障します。
(1)宮城県教職員組合協議会(宮教協)は、宮城県教職員組合、宮城県高等学校教職員組合、宮城県私立学校教職員組合連合、東北大学職員組合、宮城教育大学職員組合で構成されています。共同して教育研究集会に取り組み、学問の自由や教育基本法を守る運動を進めています。
(2)「宮城県労働組合総連合」(県労連)は「2006宮城県春闘共闘会議」(県春闘)の事務局団体として共同して賃金・労働条件改善や労働相談に取り組み、また自治体や県内大企業への要請行動を行なっています。また、宮城県労働委員会に県労連推薦の労働者委員が1名任命されています。県労連が事務局となって宮城県パート・臨時・派遣労働者連絡会が活動しています。
(3)「宮城県国家公務員労働組合共闘会議」(県国公)は、退職手当や共済組合に関する問題や「給与引下げ・地域間格差拡大」問題等に取り組んできました。国公労組と人事院等との交渉結果など信頼できる情報の提供を受けています。国立大が公務員ではなくなったことをふまえた協力関係のあり方について検討することが必要です。
(4)「宮城県医療労働組合連合会」(医労連)は、最大の医療産別である日本医労連に加盟しています。医療職員の増員や看護体制の改善等に取り組んでいます。組合の病院支部がオブザーバー加盟しています。
(5)その他、組合は「宮城憲法会議」「宮城革新統一をすすめる会」「安保条約破棄諸要求貫徹宮城県実行委員会」「宮城地域自治研究所」「宮城県原水爆禁止協議会」「日本国民救援会宮城県本部」「宮城県未組織労働者対策連絡会」「非核の政府を求める宮城の会」「宮城県社会保障推進協議会」等に参加しています。
(1)労働3権を全面的に活用するために民間労働組合の経験やノウハウを学びます。
(2)学問の自由や教育基本法を守るための教職員組合間の協力共同を重視します。
(3)諸団体と一致する要求・課題での共同を進めます。
(1)法人化された大学の労働組合の力量強化には、職場環境の改善、そこで働く者の諸要求実現という日常活動と、組合員の大幅拡大が車の両輪です。そのために今期は課題に応じ学習、宣伝、拡大、行事企画の流れをつくり、あわせて青年層の活動の拡がりと拡大を重視してきました。
その結果、本大会までに 名の新規加入者を迎えることができました。一方、退会者は 名で、その大半は退職、転勤によるものでした(下表参照)(web版では省略)。3年連続の組合員増で定期大会を開催できることを喜びたいと思います。
今期のスタートは、最悪の人事院勧告が出る中(賃金切り下げ、地域手当導入等)、本部執行部では賃金・人事制度検討委員会と共催で給与問題学習会を開き、それらの資料を活用して各支部で学習会開催を提起しました。文系支部では連続で開いた学習会内容をDVDに収録し、その後開催された学習会に使用する等して役立てました。
学習会開催後、秋の組織拡大に取り組むとともに、積極的に支部訪問をしました。
まず、本学で初の過半数組合員事業場となった川渡支部では、未組合員の参加もあって、事業場の状況を聞くことができ、あわせて組合の紹介もする等の交流をすることができました。
続いて理学研究科支部、工学研究科支部、病院支部を訪問し、支部交流と拡大を訴えました。 さらには、今期の重要項目として、組合の次代を担う青年層の活動を重視し、夕食会、座談会、ハイキング等の企画を通じて拡大に取り組み、また、毎年開かれる病院新人研修会の後連続して組合の説明会を開きました。
本学の新任用者研修会では、会場前で職員組合のパンフレットを手渡ししました。
給与問題については、全構成員へ学内便での大量宣伝を行いました。その作業には少なからぬ支部組合員のご協力をいただきました。
これらの活動の結果、川渡支部では新たに8名、多元研支部では青年を中心に6名、病院支部では12名の多くの加入を実現できました。あわせて、これらの取り組みを通じて書記局には問い合わせや学内便、メールでの加入申し込みがあります。これまでとは違ったアプローチでの加入増も進んでいます。
全支部で、1名以上の拡大を目指すことを秋と春に提起した組織・財政強化月間の結果、数字では加入増ですが、組織と運動のいっそうの強化、健全財政の保持等から見れば、まだまだ私たちに求められている水準には達していません。
一定の宣伝等は出来たものの、まだまだ支部レベルでの細かい加入促進の動きをつくれなかったことが原因の一つです。
(1)中央委員会
今期は1回開催しました。5月10日に「一般会計補正予算案について」審議し承認されました。
(2)支部代表者会議
月1回定期開催し、本部・支部の活動の確認、推進、交流の場としての役割を果たしました。
毎年開催される本学の新任職員研修時期にあわせて、片平キャンパス北門前に立て看板を設置し組合の活動等をアピールしました。
職組新聞コアは、4号発行しました。定期発行のコアは職場内組合員のみならず読者に好評です。
またコア編集委員会は、そのフットワークとチーム力で組合の文化的活動の多くに貢献しています。
職員組合ニュースは、今期電子メールによる立て直しを図りましたが2号発行に止まりました。他に、総長候補適任者アンケート報告として発行しました。全大教メールマガジンや本部から支部への各種情報提供について、支部から組合員へのメールによる情報提供が実施されました。メーリングリストaobaおよび、組合内メーリングリスト(執行部、教文部、賃金・人事制度検討委員会、過半数代表者、青年部等)についても引き続き活用されました。
ホームページは、今期、とくに給与問題や団体交渉に関連した情報整理に活用され(一連の「新人事システム(案)」団体交渉のまとめなど)、「職員、准職員、時間雇用職員の休暇制度比較一覧」は他大学での非正規職員待遇改善をすすめる際にも整理として参照されています。また、引き続き独自のドメイン(tohokudai-kumiai.org)を活用し、組合のサーバーの運用を始めました。
全教職員を対象にした主な宣伝(資料)物
職種、部局別の宣伝(資料)物
東北大学も国立大学法人の3年目に入りました。
私たちの職場である大学の教育・研究の発展と、それを支える私たちの生活・勤務条件の向上をめざすために、その保証の両輪である組織拡大、財政強化を目指して1年の活動にリズムをつくり、多様な宣伝、諸行事等を通じた次の課題を中心に取り組みます。
(1)抜本的な組合員拡大をはかる観点から、組合の政策と活動を知らせ、加入を訴える効果的・緻密な宣伝活動を行います。作成した政策資料は、学習会や大学で開催する各種説明会でも活用します。
(2)本部と各支部の緊密に連絡を大切にし、組織的な拡大行動を行います。また、組合が身近になる宣伝方法の改善を図ります。
(3)新規加入者に組合員として定着してもらうために、支部によるケアを進めます。困難がある場合には本部も積極的にサポートします。
(4)組合員拡大の推進および組織財政面での対策を図るために、ワーキンググループを設置します。
(5)迅速な情報の伝達と支部の負担を減らすために、電子媒体を用いた宣伝連絡を強化します。そのため、全組合員に電子メールで送ることが出来る態勢を整えます。
(6)独自ドメインを生かしてホームページの活用をいっそう進めます。またホームページの管理体制をいっそう強化します。組合サーバを活用したメーリングリストの立ち上げを図ります。
(1)2005年度決算と2006年度運動方針を基本に、より効果的な予算運用と節約に努めます。
(2)法人移行後の情勢の中で、組織拡大に積極的にとりくみ3年連続で組合員の減少に歯止をかけました。しかし、2年前に想定した拡大数にはほど遠い状況にあります。
(3)書記局体制は書記2名として予算を組みますが、繁忙期にアルバイトを雇用できる予算を措置します。
(1)組合の活動の前進と健全な財政運営を図る上で、組合員拡大は最重要課題として位置づけてとりくみます。今年は、最初の団塊世代の定年退職者を向かえ、非常に厳しい状況に置かれていますが、それを超える拡大を前提に取り組むことを想定して予算措置をします。
(2)組合費の納入人員は、正規職員 名、准職員 名、時間雇用職員 名として予算編成の基礎数とします。
(3)積立金会計から一定の繰り入れを行います。
(1)財政運営では、基本方針に基づき引き続き節約に努めます。
(2)決算と活動内容を基に、項目によっては一定額の削減を行います。
(3)加盟組合員数は、全大教 名、県国公 名、県労連 名とします。