ホームに戻る

東北大学職員組合2006年度定期大会報告

(大会議案はこちら

2006年7月15日(土)13:00-
片平市民センター 3f 第1・2会議室

執行委員長挨拶 吉田委員長

・ 新聞の投書欄などを見ると、お年寄りがたいへんな住民税等の高騰に怒りの声をあげている。法律改正等の時にはまさかここまで大変になるとは多くの方は思っていなかっただろうが、納付通知書などを受け取って初めて、実感として、いかに小泉構造改革が弱い者いじめなのかということがわかったのだろう。

・ 国立大の法人化も同じようなものではないか。法人化以前はバラ色に描く人や、とくに人員削減から免れるといったことが言われた。予算の編成が楽になるという楽観的な意見もあった。しかし現実に2年経ってみてどうか。それぞれ考えてほしい。議案書冒頭に書いたが、法人化はきわめて大きな問題を含むと考えている。とくにトップダウンの状況が大きく出てきている。また、大学予算の厳しさ、大学も成果や効率化が強調されている問題、人員削減の問題、儲けろといった動きなどもある。今期執行部も1年間いろいろ頑張った。その内容は議案書を見てほしい。本日の議論に期待する。それなりにいくらかの成果を上げたところがある。本日配付の「この間の夏季休暇を中心とした交渉結果から」(ビラ参照)という資料の中にも入れているが、准職員、時間雇用職員の労働条件改善には一定の成果がある。しかし残された課題も大きくある(参照 職員、准職員、時間雇用職員の休暇制度比較一覧2006年度版)。弱いところをいかに克服するか、次期の活動につなげていくか、議論してほしい。弱点は正確に理解し、克服していこう。長い時間ではないが、その中でも実りのある議論をしてほしい。


第1号議案(総括と方針)の提案 清水書記長

はじめに

 個人的には、法人化は、文部官僚の天下り先をつくったことと、教授会の力が弱まったことという2点が大きいと思う。法人側役員会は、交渉に出た人は分かると思うが、賃金問題では人勧の枠を出ず、ほとんど自分で考えていないという態度だった。また、トップダウン方式がまかり通ってきている。教授会にさえ見えない大学運営になっている。過半数代表制度について、川渡支部が唯一、組合として過半数だ。それ以外は別途過半数代表者を選出している。まだ過半数代表者と組合の区別がなかなかついていないところがある。過半数代表者は、意見は言えるが、交渉団体ではない。この面でも組合の拡大が必要だ。

 団体交渉について。労働3権が手に入った。組合はそれを有利に使うという方針で取り組んでいる。交渉の回数は多い。しかし内容的には、法人側が誠実になかなか交渉していない問題がある。これを打開するには組合の数が重要だろう。現在の力関係を前提としても、直接意見や要求が言えることは大きいし、またある程度勝ち取れるものが出てきているという点で、以前の職員団体時代とは違う。交渉を有効にしていきたい。

 将来の組合活動には、多数の組合員が必要だ。組合の役員についても数が少なくて苦労している。みなさんも実感していることだろう。

第1章<運動の基調>

 国民のための大学づくりという観点が、大学当局へ意見を言う際にも重要だ。その点で賃金・人事制度検討委員会の政策活動をひきつづき重視して、内容的に交渉能力を高めていきたい。 過半数代表者をある程度組合がリードして選出していく必要がある。

 全大教全体として組合員減にならないように大学間の連絡をとっていきたい。

第2章<教文部>

 法人化3年目を迎えた大学の状況について述べている。外部からの報道で学内の人が初めてわかるといった密室会議的な状況がある。教授会の意見すら大学に反映されないことが一番の問題だ。組合は、法人化に反対したが押し切られた関係にある。しかし最近いろんな形で法人化のぼろが出てきているようだ。とはいえ法律をひっくりかえすという状況ではないので、この法人制度のもとでいかに大学を良くしていくかということに力を割いていきたい。

 予算面では、競争的資金が重視されている。産学共同をしていない人はバカだといわんばかりだ。この方向では大学の多様性はむしろ狭まっていくことを危惧している。そうならないように気をつけていく必要がある。

 組合のシンクタンクとして、賃金・人事制度検討委員会があり、この委員会がメインになって政策活動をしている。これを強めていきたい。今年は教員の新しい制度についての議論が非常に重要になってくる。組合としても法人側に対して提案もしていきたい。すでに拡大教文部会等も開き議論している。

 教員組織の改編の中で、とくに、現在の助手が助教と助手に分かれる問題で、従来の教務職問題のような問題が起きるのではないかと危惧している。次期の執行委員会では十分検討して法人側に提案していきたい。

第3章<総長選考>

 ほぼ次期総長が決まっていると言っていいのだろう。総長選考をめぐる問題についてはすでに広報していることもあり、経過は基本的に理解されているだろう。最大の問題は密室で決めるということだが、今年は評議会推薦者の選考についてはなんとか意向投票をするところまでこぎつけた。結果は金研所長の井上氏が一人候補になっている。ただ、選考会儀は今回のことを考えて、さらに新しい方法を考えてくるかも知れない。それにも対応する必要が出てくるだろう。

第4章<団体交渉>

 回数を重ねてはいるが、内容的には不誠実交渉にかなり近い。しかし、夏季休暇など満額ではないが徐々に成果も出てきている。地域手当の提案も仙台以外は当初ゼロだったが、正規職員6%の半分の3%をつけることになった。本給については5.1%引き下げで、調整手当廃止・地域手当新設ということで、基本的に人勧通りになっているという問題がある。現給保障はある。しかし、それがいつ切り崩されるかわからないという状況もある。

 65歳までの継続雇用問題では、職員については具体的な制度が出てきているが、教員についてはまだ提案がない。教員組織の問題とあわせて、次期は教員について取り組みを強めていく必要がある。

 新評価制度や新能力開発システムの問題についてはこれからの問題だ。新評価システムについてはすでに試行がされている。

 交渉全体について、当局側の問題としては誠実交渉について内容的に不十分という問題がある。組合側の問題としては法人側は常に15から16名の参加。組合の方が10人ちょっと程度だ。ぜひ法人側を上回る数で交渉したい。准職員等を中心に現場の声を出してもらって、それが効いているように思う。人数的な面で、少なくとも法人側と同じ数を確保したい。

 要求事項については、有給3日の夏季休暇要求は引き続き追求していきたい。時間雇用職員のボーナスについても頭からだめだという姿勢ではなかったので、これから追求していく。教員の評価についてもこれから重要な時期になる。

第5章<技術職員>

 本学における技術職員の割合は他大学におけるよりも多い。技術組織の整備も各部局で進んできている。理学部、金研、多元研については以前から整備されているし、工学部についても昨年4月から技術室ができている。この問題については、支部からの状況報告等を期待している。事務職員も含めて、団塊の世代の大量退職問題がある。組合にとっても大量の減員の問題だし、技術の継承という点では、法人側にとっても大学の力が弱まる問題として重大だ。

第6章<新助手>

 この問題は、技術職とも関わる。仕事内容が重なるところがある。整理して取り組んでいく必要があるだろう。意見をいろいろ出してほしい。

第7章<事務職員>

 事務職員はとくに組合員が少ないことが問題だ。サービス残業の問題では、多くの大学で労基署が入って、何千万円、何億円の未払い残業代を払うという事態になっている。本学でも改善が必要な問題だ。組合としては当面、事務職員部会を定期的に持てるようにしていきたい。

第8章<図書館職員>

については、本館と分館の間の問題や、正規職員と非正規職員の問題がからまっている。

第9章<医療部門>

 この2年間、オリエンテーションの際に2ケタの数で拡大できている。病院支部から発言してほしい。全大教としても病院をもつ大学の懇談会があったが、他大学でもそれが全体としての組合員数の増大につながっている。

第10章<准職員部>

 時間雇用職員のボーナスについても望みはあるだろう。全教職員約7000名の中で非正規職員は約2000名であり、大きな比率だ。それに対して組合員数がまだまだ少ない。拡大しなければ。准職員、時間雇用職員の諸要求については正規職員への登用の道、時間雇用職員のボーナスなどに次年度は取り組みたい。

第11章<厚生部>

 この間、学習が中心の取り組みだったが、久々に懇親も重視して「雪と温泉と懇親のつどい」という形で開催した。実際、内容的には学習会となった。大学においても今後、成果主義的な動きが出てくるだろうと思うが、このつどいでのNTTの組合の副委員長による講演はこのことと関連するようだ。NTTの場合、成果主義は結局のところ、賃金ダウンの手段として使われているということだ。これに関連して、本学の新しい人事評価システムが法人側から今年になって出された。もととなる方針はどこかのコンサルタント会社に頼んでいるのではないかと思われるような内容だ。この点でも法人側は自分の頭で考えていない状況だ。

第12章<文化部>第13章<青年部>第14章<女性部>

 これらについては、コア編集委員会もふくめて、この間、いっしょに取り組んでいることが多い。とくに青年については、全大教全国青年交流集会がある。カンパ等、若者の参加等、まだ間に合うので、組合の活力にするためによろしくお願いする。

第15章<平和>

日常活動としては諸行動の要請にこたえて参加しているが、この数年、原水爆禁止世界大会に派遣できていないので、次期はぜひ代表を出したい。

第16章<地域の加盟団体>

これについては、次年度の予算とも関連するが、予算の支出の負担金の欄に記載した団体と共闘関係がある。

第17章<組織部>の関係で。

過半数は川渡が唯一だ。事業場ごとの過半数に向けて、各支部ごとに頑張ろう。組合自身の問題として拡大が必要なだけでなく、大学全体のためにも、これから本格的な団体交渉を展開していくために、過半数組合がぜひとも必要だ。すぐにというわけにはいかないが、将来的にはぜひ実現したい。今回も別紙で出しているが、今年度の増減はぎりぎりでプラス1だ。この3年間、純減にはなっていない。しかし、予算的には、2年前にシミュレーションした際に、毎年純増50名が必要だということだったが、そこまでいっていない。その意味でも、今年重視したいこととして、執行委員会とは別に、組織財政のワーキンググループを歴代の書記長・財政部長等で構成していくことが必要だろう。

以上、総括と方針をいっしょに提案した。活発な意見を出してほしい。


第2号議案(決算)の提案 (清水書記長・財政部長)

・決算について大きな点としては、今年度当初予算では、会議費等を一律に削ったが、現実の活動の中ではどうしても最低限必要な費用があり、結局補正をすることになった。その際に積立金会計からの取り崩しで補填した。これは赤字をさけるための緊急避難であり、苦肉の策として一定額の繰り入れをした。これが当初予算と大きく違う点だ。積立金会計は、基本的には、書記の退職金のための積立なので、本来、手を触れたくないところだが、緊急避難的に繰り入れた。特別会計は昔の闘争資金にあたる。個別の項目としては、本来ならば強化しなければいけない組織強化費の専門部のところで減らさざるを得なかった。

3号議案(予算)の提案 (清水書記長・財政部長)

予算編成方針について。収入の計算基礎は、正規職員  、准職員  、時間雇用職員  だ。これはほぼ実情通りであり、予算的にもギリギリのものだ。健全財政の見地からこれを多めにすることで収入を多く見積もることはしない。加盟組合費については、全大教は  人、県国公は月額  万円、県労連は  人として、それぞれ昨年の  人、  万円、  人から減額した内容となっている。県国公には半額くらいにしてほしいということもあり、要請にいったが、一気に減らせない実情がある。私たちは国家公務員ではなくなったが、情報としては人勧の情報等は重要だ。県国公の加盟費も徐々にしか減らしていけないのかなと思っている。増収策としては組合員拡大しかない。今期も節約につとめた予算だが、それでもまともにやると赤字になりそうな状況だ。今期は、積立金会計より、はじめから一定額を繰り入れた。これをしないと最初から赤字の予算になる。ぜひ組合員を増やして解決しなければならない。平均的には、この繰り入れがないとしたならば  名程の拡大が必要だ。


第1号議案の質疑・討論

交渉の成果と加入のメリットについて

・川渡支部代議員 組合に入るメリットが分からないという声を聞く。交渉結果を労働協約という形で締結することができないか。

・執行部 基本的に労働協約は組合と使用者側との間で締結でき、組合員だけに効力が及ぶ。それに対して、全体の職員に効力が及ぶのが労使協定だ。これは現在の組合の力では難しい。これは過半数組合がないもとで過半数代表者が締結するものだ。川渡については、過半数組合なので、支部の組合と事業場長とで労使協定を締結することはできる。可能だということをおさえた上で、戦術としてそれでいいかという問題がある。現在の教員や事務職員の加入状況のもとで、他の事業場から突出した動きを川渡がした場合に、法人側として川渡支部つぶしにかからないかということを危惧する。現在、支部には技術職員とパートの方が多い。法人側が、集中的に脱退工作をかけるということを心配している。現在のところは過半数代表者を組合が取り込んだ形で、対応していく方が組織的な問題は少なくなるのではないか。しかし、そうすると、それでは組合の存在意義とは何か、という問題になる。過半数組合になれば明確に意義が出るが、今はまだそこまで行かない。ただ、存在意義という時に一番大きな問題は、不利益処分を受けた時に相談できるのが組合だということだ。「駆け込み寺」という側面が強い。公務員ではなくなり、身分保障がなくなった。今後は人員削減という問題がありうるので、組合が法人側と交渉できるということが大きい。過半数代表者には交渉の権利はない。組合については、相手方に交渉に応じる責務がある。これは大きな違いだ。何度でも交渉できる。実際に一定の問題解決もしてきている。准職員や時間雇用職員の夏季休暇が今回かちとれたことは組合の交渉の成果だと思う。こうした動きが大学全体の中に知れ渡っていない。組合の宣伝不足も大きい。しかし、交渉力、セーフティネットとしての組合といったことを教職員もだんだんにわかってきているようだ。一人ひとりの組合員が、加入を働きかける努力をすることが必要だ。組合の意義については相当議論があるだろう。

・川渡支部代議員 労使協定を支部で締結することが難しいということだが、夏季休暇を組合員のみに与えることやボーナスを組合員のパート職員にだけは与えることなどについてはどうか。

・執行部 組合が組合員の利益を最大限尊重しなければいけないことはもちろんだ。労働協約が組合員だけに適用されるということは要求としてはまったく可能だ。ただ、今期の執行部はそうした立場をとらなかった。どうしたらいいか考えた時に、全員のために活動していて、組合加入を呼び掛けることを重視した。一人は万人のために、万人は一人のために活動して、だから組合に入ってほしいというスタンスだ。これが現状での判断だ。過半数組合になったら、組合だけの協約を締結するために交渉することが可能だ。現在の組織状況では、組合を大きくするために、教職員みんなのために活動しているスタイルの方がよいと思う。効果的だと思う。できるだけ早く過半数の組合になり過半数のための要求ができればよいと思う。

正規職員化、超勤手当問題、多くの新看護師の加入等について

・病院支部代議員 議案書に詳しく載っているが、また、コアの1面にも歓迎会の際に話された新組合員の考えなどが載っている。本部でたくさん交渉してもらい、79名の新採用看護師が期限付きだが正規職員として採用された。新看護師はこれまで、研修というものは自分のキャリアアップや仕事に慣れるためにあるので、何時間も先輩の講義を受けても超勤手当が出なかったが、ようやく超勤手当が支給されるようになった。こうした闘いの中で、4/3のオリエンテーションで多くの新看護師が加入した。まだまだ力不足で、支部だけでは若い組合員の気持ちを組み入れて活動できるにいたっていない。執行委員も忙しく、会議も8時を過ぎないと成立しない。ぜひ本部にも支えられて活動していきたい。

・執行部 支部の活動に感謝している。とくに超勤問題はこの間大きな問題だった。新看護師の勉強会が勤務時間外に行われており、しかもそれが多々あり、この問題についてかなり法人側と交渉でやりあった。本部の人事担当理事等は問題点がわかっていたようだ。使用者が形式的に拘束している場合には超勤になるという認識を人事担当理事等はもっていた。しかし、病院の看護部長等は専門職としての意識が強かったのか、自分の腕を磨くためには不払いをいとわないといったある意味で職人としての「プライド」をもった意見だったようだ。この間これが撃ち破れなかったようだ。これが東北大の病院等に特有な状況だろう。これに対して、看護師等は基本的には労働者であり、超勤が行われればペイがあるべきだという立場をとらせるようにこちらとして交渉した。実際、ある時点で、人事担当理事が病院に行き看護部長にあって話をしたということだ。そうしたことが有効な効果を発揮したのかも知れない。超勤の変則的なあり方は一定程度是正される方向。まだ問題はあるだろう。露骨に目に見えるような超勤や、有給休暇が十分にとれていないことなど、基本的には増員が必要だが、現実的には、むしろ設けろという経営改善係数等の問題がある。今後も活動は厳しいだろうが、若い力をどう育てていき、強力な労働者としての意識をもった組合員になっていくか、本部も協力したいので支部としても努力してほしい。

看護師の労働者意識、専門性、ジェンダーの観点等について

・病院支部代議員 病院ではこの間、組合員が看護師長になるといった状況になっている。また病院は大学の中での現業部門という特殊性がある。医療、福祉、教育を考える場合に、病院支部だけの闘いではないという今の本部の位置付けを推進してほしい。憲法25条にもあるように、生きていくための、健康と生活を守る最低限度としての問題だ。また、医師や看護師においては職業としての使命と権利意識が混同してしまうところがある。労働者意識と専門性は共存しなければいけない。また、ジェンダーとしての視点がある。病院は女性の職場だが、男性との格差という問題がある。パートを含めて、クラーク業務の人も低い賃金だ。労働の内容としても、家事労働の延長上で介護をしているという実態もある。

「休息」時間廃止問題について

・図書館支部代議員 宮教大で最近、勤務時間について、公務員は休息が廃止されたので、勤務時間の見直しをしたいと職員が集められ意見が求められた。昼休みに休息を含めて1時間確保することをとるか、それとも17:15の退勤時刻を選ぶかが迫られている。過半数代表者は組合員だが教員であり、事務職員がほとんどいなくて関心も低いので、関係する職員に直接聞いてほしいと法人側にまる投げした状況だ。組合として意見をきいて頑張るということをしてほしいと思ったが、いま二者択一を迫られている。

・執行部 去年の国会で公務員の労働のあり方が問題となり、公務員バッシングの一環と思うが、民主党の議員が質問したことが発端だ。これに対して「全くその通り」という経過になってきた。そうすると東北大も含め、国立大学法人は、移行の際に45分の昼休みという提案がされ、それはけしからん、昼休みを1時間保障せよという取り組みをした(2004年1月29日総長交渉参照)。結局東北大としては1時間の昼休みを、15分は「休息」という言葉は使わずに措置した。こちらも就業時刻が15分遅れたことはやむなしとした。ここでさらに国家公務員のあり方が国立大学法人にも波及して、東北地区では弘前大と岩手大がすでに実施している。これと歩調をあわせて宮教大で提案がされたのだろう。東北大も、近い将来、言われる可能性がある。その時にどう言うか、次期の執行委員会での取り組みとなる。今のところ、法人側は何も言ってきていない。

・図書館支部代議員 少子化対策に逆行する。ぜひはね返してほしい。

・執行部 次期執行部にがんばってほしい。ただ、公務員バッシングはものすごい。人事院はこれに抵抗できない状況だ。その状況で東北大でがんばれるかどうかは、やはり、組合員を増やすということにかかっている。組合が何も言わなければすんなり実施されるだろう。宮教大は基本的に教員組合だ。多くの職員の声を吸い上げた形で次期の執行部で頑張ってほしいし、そのためにも組合員の拡大をがんばろう。

正規登用制度要求の表現について

・文科系支部代議員 准職員、時間雇用職員の夏季休暇が組合の交渉によって実現したことは事業場で歓迎されている。文学研究科等事業場の過半数代表者をしているが、全学労使懇談会の席でも組合の交渉事項というペーパーを出してそれについて逐一説明をした。過半数代表者には組合ががんばったことが印象づけられただろう。過半数代表者がうまく事業場で説明すれば構成員にもわかるだろう。これに関連して、21頁の「1980年7月以前」ということについて質問する。法人側は准職員全体を対象として正規職員への登用の道をつくることを検討するという回答をしたという説明をした。組合の限定はどうしたことか。法人側の方が積極的に聞こえる。

・執行部 組合員の構成が一つだ。また、どのような登用方法をとるのかという問題もある。組合員の中からの要求としては、何十年もがんばってきた人の要求が重要だ。

・執行部 この方針でいいかどうかについては、執行委員会での議論もあった。准職員についていえば現実的に1980年以降の人については3年期限だ。重要なのはそれ以前の人だ。組合員として頑張っている人もこの1980年以前の層だ。組合員の要求を優先した。正規職員の登用の道をどのような形でつくるかというときに、その人たちが登用されやすいような、たとえば、レポートといった方法をとるようにということを言いやすくするように。一般の公務員採用試験のような方法をと法人側が言ってきた時に、この人たちを優先して雇用すべきだと言えるように。正しいかどうかはやってみないとわからないが、組合員として頑張っている人に報いたい。

・図書館支部代議員 文科系代議員の方の意見はもっともな意見と思う。自分は1980年以前の准職員だ。長いこと働いてきた。フルタイムで長年働いてきたということで、1980年以前の区分に入る。それ以降にはいって来た人たちはパート職員として長く働いてきた。その意味で質的に違わないが、フルタイムで働いてきたということ、正規職員と同じに働いてきたといことからこういった要求になっていると思う。パートで長期に働いてきた人について同じように要求しないことは気にかかるが。九州大の人の話を聞く機会があったが、その際に、フルタイムで働いた人とパートで働いた人をいっしょにされてたまるかといった話もあり問題だと思った。それでも今回大学側から1980年以前も以後もいっしょくたにして登用制度をつくるという話が合った時にはかちんときた。

・執行部 実は、執行委員会の中で議論になった時には、私も文科系代議委員とまったく同じ意見を述べた。しかし、法人側が進歩的に見える提案をしてきているときには、疑ってかかる必要があるのではないか。正規職員に登用する際に一律にするということは、ペーパー試験を一律に課すということもありうる。またレポートの場合にも恣意的な方法もありうる。今回のところは正規職員と仕事上同じ条件で低い扱いをされてきた1980年以前の准職員をとにかく正規職員にせよということで議案書の表現になっていると理解してほしい。

・執行部 今後どうするかが重要だ。具体的には、これからの課題は、どのような登用試験を実施させるのかという問題に入るだろう。登用の道ができたとしても簡単に解決するという問題ではないということと、どういった試験制度ならば受け入れられるのかについて意見がほしい。准職員部でもぜひ検討してほしい。

病院の運動と憲法、ジェンダーに関連して

・執行部 先程、病院の運動は憲法25条の視点と、ジェンダーの視点とがあるという話があった。その通りだと一方では思う。健康の問題は単に労働運動の問題であるだけでなく、国民の医療をどうするかという視点からも考えたい。次期執行部にはOさん自身が入るので、医療政策面で力を発揮してほしい。また、ジェンダーの視点は重視している。男女共同参画社会の実現は東北大にとっても重要なことだ。看護師の妻に以前の状況について聞いたことだが、東北大学出身の医者は横暴だったという。東北大特有の性質があるのではないのかと。その病院では、看護師の仕事と医者の仕事は明確にわけられていた。東北大の医者のあり方、医師と看護師とのあり方などについて分析が必要だろう。個人的な感想として発言した。

中高年の女性事務職員の処遇について

・図書館支部代議員 女性部の運動に関連する。事務職員の中高年の人の待遇がわきに置かれているような感じがする。若い頃は女性ゆえに差別された。その後、男女共同参画という流れが強まり、「全国に先駆けて」という宣言がされた後も、今度は高齢であるがゆえに差別されている。これでは立つ瀬がない。次期の執行部の方には、そういうふうに感じている人も多いということも考えてほしい。

正規登用ルール、女性部、事務の残業問題等について

・執行部 正規職員への登用の道について発言する。絶対、1980年以前の人を優先してほしい。定員化は無理だと言われた後でも、本部勤務の人が正規職員になったり、学部長の声で正規職員になったという話を聞いたりするたびに、ルールがなければいけないという気持ちをもってきた。

 高専は南の方の組合が強い。3日間の夏季休暇をかちとり就業規則に書きこまれた。組合の実績だ。また、過半数代表者には力がないと実感している。組合ということばを自然に出せるようにしていきたい。

 それから話は変わるが、女性部は役員のなり手がいない。以前は7-8人で事務局を構成していたが今は4人だ。しかもそのうち2人は出向中だ。そんな中でカンパや物資販売の取り組みができずにいる。岩手での東北地区女性交流集会に5人参加し、宮城県母親大会には10名参加して、気がついたらお金が足りずに日本母親大会には派遣できないという状況になっている。ぜひカンパに協力してほしい。また、若い人へのケアの一つとして、女性部の役員とかコア編集委員とかも勧めてほしい。

 事務職員については、サービス残業の問題が大きい。金研時代、実績通り払ってもらえる雰囲気を職場の人と一緒につくったことがある。高専も10月に高専本部機構に労基署が入りそれがきっかけで改善された。身近にも知られない所で100時間近い残業をしている人もいる。事務職員部もなかなか定期的な会議を持てずにいるが、力を貸してほしい。

・執行部 女性に関しては、昔から労働者として、女性として、高齢者として差別されているということで、ジェンダー自体が、本来は人間としての能力だろうが、社会的な女らしさ、男らしさが大本だときいている。何十年も叩き込まれた姿勢がなかなか変わらないという問題はあるだろう。組合員も家庭でのあり方なども考える必要がある。女性部は活発だが、執行部には女性がひとりもいないという組合もある。組合もいろいろ気をつけるべき点はあるだろう。女性部からいろいろ意見をいってほしい。

・執行部 事務職員の組織化について発言する。最近投書があった。その中には、「これからの交渉では、断続的にでも法人側に基本姿勢を精力的に確認していかないと、能力の欠けた勝手な提案を強行されそれが職員にはねかえるのが心配です。あらゆる機会に法人側に確認を求めることが肝要かと思います。」という意見や、「総長、役員の給与をもっとカットできないのか。」という意見など、納得できるような話がたくさんある。でも、結局、「東北大学の発展のためにがんばってください。」ということだ。これではなく、みんないっしょに頑張ることが大事だ。組合員になっていないが、いろんな不満が事務の人にはあるだろう。

1号議案採決 反対0、賛成全員。

2号議案の質疑・討論

中小企業退職金共済について

・川渡支部代議員 積立金会計に預金利子があるが、中小企業退職金共済とは何か。

・執行部 書記の退職金のための公的な共済だ。

・執行部 独立行政法人の退職金共済本部がある。政府から助成を得ている。一定の積立に対して利子がつく。年度ごとには利子を計上して来なかったが、今回、これまでの利子を計上してみたところ、200万をこえる利子があった。

2号議案の採決 反対0、賛成全員。

3号議案の質議討論

組織財政の重要課題という視点について

・執行部 補足発言をする。再度強調するが、組合員拡大月間の表を見ると加入と退会でだいたいとんとんだ。たしかに数の面ではそうだが、加入の方は、看護師は新採用だし、准職員やパートも多い。つまり、組合費というレベルで見ると、定年や転出の人は高い組合費の人、新採用の方や看護師さんは一定の措置をとったり低額の組合費だ。正規職員で長く勤めている人を拡大しないと財政的にはつり合わないことも念頭においてほしい。東北大職組には伝統があるとともに、東北地方の中心的な役割も期待されている。書記は2名は必要だ。それができなくなるとどうなるか、本当に心配だ。県国公の負担を下げたいということもあるが、宮城県の国公はこれもまた東北地方の中心だ。たとえば、福島の国公には書記はいないが、宮城県の国公にはいる。それも考えると加盟費を一気に下げられない事情もある。できるだけカットできるものはカットしたが、このようなところだ。できるだけ借金財政にはしたくない。なんとか組合員を増やすという正道を進みたい。

3号議案の採決 反対0、賛成全員

委員長退任挨拶 吉田委員長

 今日は長時間にわたりまして活発な議論ありがとうございました。これをもって今期の役員の基本的な仕事がすべて終了ということになりました。2年というのは少々長く、できれば1年ぐらいで代わりたいなというのが正直なところですが、一方で全大教にいわせれば法人化した後は1年ぐらいで代わるようでは駄目だと、もっと専門的に労働運動をやる人間を育てないと駄目なんだというような意見もあるようです。あんまりそこまでやりたくないな、というのが正直なところです。ただ、団体交渉などを何度もやっておりますと、相手方もだんだんとなれてはきているのですけども、まだまだ公務員としての意識が抜けないという感じがあった。特に人事担当理事は事務の方でして、他の理事は教員ということで、なんとなく遠慮している印象をうけるところがあります。そういったところをこちらのほうも、むしろ労働者としての組合運動というものに少しずつ慣れていかないと、民間の組合運動になれていかないとなかなかうまくいかないかなと思う。

大学側は、給料をもらって人事管理をやっているわけでして、こちらのほうはいわばボランティアとして組合運動をやっているわけなので、そういった立場の違いがあるのですが、やはり組合の執行委員というのも少しずつ勉強していって力をつけていかないといけないのかなと思っている。そういった意味で次の執行委員になってくださる方々には、いろいろな意味でご苦労が多いとは思いますが、私たちがやり残したことというのはたくさんありまして、すべて次期の執行委員会に委ねることになると思いますけども、ともかく若干ですが成果らしきものもでたというのも事実です。このような事実を私たちは大事にしていきたい。そしてこのような成果を生み出すことができたのもひとえに組合員のみなさまのさまざまな側面からのご協力の賜物だと厚く御礼を申し上げたい。どうもありがとうございました。

新任の挨拶 柳田新副委員長

 吉田委員長からも紹介があったように、無記名の投書が書記局にあった。内容的にはその場で交渉を聞いている人のものだろう。組合員ではない。核心をついた問題点が指摘されている。的確なものだ。法人側について「団体交渉の能力を疑わせるものが多々あろうかと思えます。」「あらゆる機会に法人側に確認を求めることが肝要かと思います。」と言い、また、「法人側は自ら身を削る努力をしないで職員に、負担を押しつけることが全体のないこと」「昨年の給与改訂の説明のときも給与支給日の提案のときも法人側の自己中心的な考えで、財源の数字や外注の数字データさえ示さない。不誠実交渉姿勢と思わないのか」と言っている。また、「メンタルの原因の本部の無責任体制を改善しないのか」「准職員と時間雇用職員を貴重な「職員」と認識していないのか」といった痛烈な批判もある。交渉の際には、私も、本当にこの人達は経営側としての資格があるのだろうかと思った。人事関係の事務職員の方のどなたかが同じように感じているのだと思う。団体交渉にぜひ傍聴にきてほしい。わかってももらえるだろうし、発言もできる。言っていることはこちらが筋が通っている。論争としては勝つが力で押し切られている。一方で、法人側に動員されてきてこうした感覚を持つ人がいるのだから、組合の方でもぜひ交渉に出てきてほしい。だいぶ迫力が違ってくる。今年は教員の人事制度が重大な交渉テーマになる。また最近は教授会が空洞化している。その点で、組合は教員にとって、以前よりはるかに重大な使命をもっている。教員を助ける気持ちも持って参加してほしい。本部執行部だけの組合でもない。全組合員の組合だ。情報をくれることもありがたいが、ぜひ交渉にも来てほしい。

閉会宣言 清藤副委員長

 スムーズな進行の中にも、多くの有益な発言があった。これからの基本は吉田委員長、清水書記長からも話があった通り、組織拡大、それに連動して活動の強化ということ、それを具現する一つとしての団体交渉の重要性について、確認できたと思う。基本は当日配布資料で入れてあるが、全大教委員長からのメッセ−ジにも表れている。「貴組合が大学との対等なパートナーとして当事者能力を発揮され、「過半数組合づくり」を目指し、教職員の労働条件改善と教育研究環境の充実や平和・民主主義の擁護など国民的な課題等で大きく前進され、全大教運動に一層大きな役割を果たされることを祈念しまして連帯のご挨拶といたします」。職員組合の課題とイコールだと思う。以上を確認して閉会する。


ホームに戻る